(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の導電パターン形成基板の製造方法の一実施形態について説明する。
<導電パターン形成基板>
本実施形態の製造方法で製造される導電パターン形成基板は、
図1,2に示すように、透明絶縁基板11と、透明絶縁基板11の片面に設けられ、複数の列状の透明導電部12aからなる導電パターン12とを有する。導電パターン12は、透明導電部12a,12aの間および周囲に形成された第1の絶縁部13および第2の絶縁部14によって設けられている。
【0009】
透明絶縁基板11としては、透明で絶縁性を有するとともに、後述するレーザ光の照射に対して外観変化の生じにくいものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)を代表とするポリエステル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)などの絶縁性材料が挙げられる。
透明絶縁基板11の形状としては、板状のもの、可撓性を有するフィルム状のもの、立体的(3次元)に成形された成形品等を用いることができる。
【0010】
透明導電部12aは、透明絶縁材料と、該透明絶縁材料内に2次元ネットワーク状に配置された導電性繊維とを含んでいる。
透明絶縁材料としては、透明な熱可塑性樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン)、熱や活性エネルギ線(紫外線、電子線)で硬化した透明な硬化性樹脂(メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂)の硬化物が挙げられる。
【0011】
各導電性繊維は、透明絶縁基板11の表面(透明導電部12aが形成される面)の面方向に沿って2次元状に互いに異なる向きに不規則に配置されているとともに、その少なくとも一部以上が互いに重なり合う(接触し合う)程度に密集して、互いに電気的に接続されている。これにより、導電ネットワークを構成している。
【0012】
導電性繊維としては、銅、白金、金、銀、ニッケル等からなる金属ナノワイヤや金属ナノチューブが挙げられる。導電性繊維は、例えばその直径が0.3〜100nm、長さが1〜100μmに形成されている。
また、導電性繊維として、シリコンナノワイヤやシリコンナノチューブ、金属酸化物ナノチューブ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリル等を用いることもできる。
上記導電性繊維の中でも、透明導電部12aを容易に形成できると共に、後述するレーザ光の照射によって容易に絶縁部を形成できる点で、金属ナノワイヤが好ましく、銀を主成分とする金属ナノワイヤ(銀ナノワイヤ)がより好ましい。
【0013】
第1の絶縁部13および第2の絶縁部14は、導電性繊維が除去されて透明絶縁材料からなる部分である。
本実施形態における第1の絶縁部は、透明導電部12aと外観(色、透明性)が同一で視認不能な絶縁部であり、入力エリアαの導電パターン12を形成するための絶縁パターンである。第1の絶縁部13では、
図3に示すように、透明絶縁材料12b内の、導電性繊維が存在していた部分は空隙12cになっているため、導電性繊維による導電ネットワークが断絶しており、電気的に絶縁状態になっている。また、第1の絶縁部13は、導電性繊維を含む導電部と外観(色、透明性)がほぼ同一であるため、視認不能である。
第2の絶縁部14は、第1の絶縁部13と同様に導電性繊維が除去されて絶縁化されていると共に、透明導電部12aと外観が異なって視認可能な絶縁部であり、導電パターン12を囲う外形線14aと、外形線14aよりも外側に4つ形成された位置決めマーク14bと、第1の絶縁部13に接続された配線引き出し線14cと、配線引き出し線14cに接続されたコネクタ部引き出し線14dと、入力エリアαを示す組立基準線14eとからなっている。
【0014】
本発明では、2次元ネットワーク状に配置された導電性繊維が透明絶縁材料の中に配置されることで、導電性繊維が3次元状に配置される場合に比べて導電性繊維同士の接触が多くなるため、少ない導電性繊維でも充分に低い表面抵抗を得ることができる。また、透明絶縁材料から導電性繊維が除去されることで、確実に絶縁化することができる。
【0015】
<導電パターン形成基板の製造方法>
本実施形態の導電パターン形成基板の製造方法は、透明絶縁基板11の一方の面に設けられた透明導電層にパルス状レーザ光Lを所定のパターンで照射することにより絶縁部第1の絶縁部13および第2の絶縁部14を形成して導電パターン12を得る導電パターン形成工程と、第2の絶縁部14にパルス状レーザ光Lをさらに照射する再照射工程とを有する。
なお、以下の説明において、レーザ光照射前の、透明絶縁基板11と該透明絶縁基板11の一方の面に設けられた透明導電層とを有する積層体のことを、導電性基板という。また、透明導電層は、透明絶縁材料と、透明絶縁材料内に2次元ネットワーク状に配置された導電性繊維とを含む層である。透明絶縁材料および導電性繊維は上述したものが使用される。
【0016】
導電パターン形成工程では、
図4に示すようなレーザ光照射装置を使用する。レーザ光照射装置40は、レーザ光Lを発生させるレーザ光発生手段41と、レーザ光Lを集光する集光手段である凸レンズ等の集光レンズ42と、透明絶縁基板11および透明導電層aからなる導電性基板Aが載置されるステージ43とを備えている。
このレーザ光照射装置40では、レーザ光発生手段41から集光レンズ42を介して透明導電層aにレーザ光Lを照射する。
レーザ光Lの照射による導電パターンの形成では、露光、現像、エッチング等が不要であるため、簡便である。
【0017】
レーザ光発生手段41が発生するレーザ光Lは、YAGやYVO
4等のパルス状レーザ光、炭酸ガスレーザ等の連続発振レーザ光が挙げられる。中でも、簡便であることから、YAGやYVO
4等の波長1064nmもしくはその2次高調波を使用した532nmのパルス状レーザ光が好ましい。パルス状レーザ光においては、パルス幅300n秒以下が好ましく、70n秒以下がより好ましい。
【0018】
集光レンズ42の焦点Fは、通常、透明導電層aの表面毎に設定されるが、導電性基板Aに凹凸などが形成されている場合や広い面積にレーザ光を照射する場合には、透明導電層aから離れた位置に設定されていることが好ましい。詳しくは、集光レンズ42は、透明導電層aと集光レンズ42との間にレーザ光Lの焦点Fが位置するように配置される。すなわち、集光レンズ42(レーザ光L)の焦点Fを、透明導電層aと集光レンズ42との間に形成している。これにより、透明絶縁基板11に当たるレーザ光Lのスポット径は、透明導電層aに当たるレーザ光Lのスポット径より大きくなる。これにより、透明導電層aにおいてはレーザ光Lのエネルギ密度を確保して第1の絶縁部13および第2の絶縁部14を確実に形成しつつ、透明絶縁基板11においてはレーザ光Lのエネルギ密度を低減させ、さらに焦点Fと透明導電層aの距離が変化しても集光スポットSのエネルギ密度の変動を抑制することで、透明絶縁基板11の損傷を防止できる。
【0019】
集光レンズ42としては、低い開口数(NA<0.1)のものが好ましい。すなわち、集光レンズ42の開口数がNA<0.1とされることにより、レーザ光Lの照射条件設定が容易となり、特にレーザ光Lの焦点Fが透明導電層aと集光レンズ42との間に位置することによる、該焦点Fにおける空気のプラズマ化に伴うエネルギ損失とレーザ光Lの拡散を防止することができる。
【0020】
また、ステージ43は、水平方向に2次元的に移動可能になっている。ステージ43は、少なくとも上面側が透明な部材または光線吸収性を有する部材で構成されていることが好ましい。
ステージ43は、レーザ光Lの出力が1Wを超える場合、ナイロン系若しくはフッ素系の樹脂材料、又は、シリコーンゴム系の高分子材料を用いることが好ましい。
【0021】
導電パターン形成工程では、まず、ステージ43の上面に導電性基板Aを、透明導電層aが透明絶縁基板11より上に配置されるように載置する。ここで、導電性基板Aは、透明絶縁基板11と透明導電層aの透明絶縁材料とが、互いに同一材料又は同一系統の樹脂材料からなることが好ましい。例えば、透明絶縁基板11がポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、透明絶縁材料にはポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
【0022】
次いで、レーザ光発生手段41よりレーザ光Lを出射させ、レーザ光Lを集光レンズ42により集光する。その集光したレーザ光Lを透明導電層aに照射する。その際、ステージ43を、レーザ光Lの照射が所定のパターンになるように移動させる。ここで、所定のパターンとは、導電パターン12を形成するためのパターンである。
上記のように、透明導電層aにレーザ光Lを所定パターンで照射することにより、レーザ光照射部分の導電性繊維を除去して、レーザ光Lの照射部分を絶縁化し、
図1,2に示すように、透明導電層aに、透明導電部12aを有する導電パターン12が得られるように第1の絶縁部13を形成すると共に、第2の絶縁部14を形成する。なお、第1の絶縁部13および第2の絶縁部14においては、レーザ光照射前に導電性繊維の存在した部分が空隙となっている。この時点では、透明導電部12aと、第1の絶縁部13と、第2の絶縁部14とは外観が同一で見分けることはできない。
【0023】
透明導電層aに照射するレーザ光Lのエネルギ密度は1×10
16〜7×10
17W/m
2、単位面積あたりの照射エネルギは1×10
5〜1×10
6J/m
2が好ましい。
すなわち、エネルギ密度・照射エネルギが上記数値範囲よりも小さな値に設定された場合、第1の絶縁部13および第2の絶縁部14の絶縁が不十分になるおそれがある。また、上記数値範囲よりも大きな値に設定された場合、加工痕が目立つようになり、タッチパネルや電磁波シールドなどの用途では不適当となる。
【0024】
また、これらの値は、加工エリアにおけるレーザビームの出力値を、加工エリアの集光スポット面積で除することにより定義されており、簡便には、出力はレーザ発振機からの出力値に光学系の損失係数を掛けることで求められる。
また、スポット径面積Sは、下記式により定義される。
S=S
0×D/FL
S
0:レンズで集光されるレーザのビーム面積
FL:レンズの焦点距離
D:透明導電層aの表面(上面)と焦点との距離
【0025】
なお、前述した焦点Fは、レンズ等の集光手段42で、収差が十分に小さい場合を例に説明したが、例えば、焦点距離の短い球面レンズや、保護ガラスなどの収差が大きくなる要素が存在する場合には、前記焦点Fは、集光点のエネルギ密度が最も高くなる位置と定義される。
【0026】
ここで、距離Dは、通常のレーザ加工機では、焦点距離FLの0.2〜3%の範囲内に設定される。好ましくは、距離Dは、焦点距離FLの0.5〜2%の範囲内に設定される。さらに望ましくは、距離Dは、焦点距離FLの0.7〜1.5%の範囲内に設定される。距離Dが上記数値範囲に設定されることにより、第1の絶縁部13および第2の絶縁部14における導電性繊維の除去(空隙の形成)が確実に行えるとともに電気的に高い信頼性を有する絶縁パターンを形成でき、かつ、透明絶縁基板11の損傷に起因する加工痕を確実に防止できる。
【0027】
再照射工程では、導電パターン形成工程にて形成した第2の絶縁部14にパルス状レーザ光をさらに1回以上照射する。再照射工程では、透明絶縁材料が着色または除去されるため、第2の絶縁部14を可視化することができる。
再照射工程におけるパルス状レーザ光の照射方法および照射条件は、導電パターン形成工程における照射方法および照射条件と同様である。ただし、導電パターン形成工程と同一にする必要はない。
再照射の回数はレーザ光の出力や走査速度等にもよるため一概に規定できないが、確実に可視化するためには、5回以上であることが好ましい。
【0028】
再照射工程における照射パターンは、導電パターン形成工程の照射パターンと同一のデータセットで一括してレーザ光照射装置40にあらかじめ入力しておくことができる。再照射の回数が2回以上である場合には、再照射パターンをCDA等の図面情報とし、その図面情報データを電子的に照射回数だけ複写し、入力することが好ましい。これにより、照射パターン設計の工程数を削減でき、また、導電パターン形成基板の品種を切り替える際の手間を減らすことができる。さらに、複写した図面情報データに基づいて再照射する場合には、照射条件の確認が容易になることから、レーザ光照射装置40の実質的な加工精度よりも小さな値で再照射のパターンがずれるように入力することが好ましい。
また、第1の絶縁部13を形成するための照射パターンと別のデータセットとして、レーザ光照射装置40に照射パターンを入力し、レーザ光照射装置40のプログラムにより、照射回数を設定してもよい。
【0029】
なお、上記製造方法では、XYステージなどの移動式ステージ43に導電性基板Aを載せてパターニングを行うこととしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、導電性基板Aを固定状態とし、集光系部材を相対的に移動させる方法、ガルバノミラー等を用いてレーザ光Lを走査しスキャンする方法、又は、上記したもの同士を組み合わせてパターニングを行うことが可能である。
【0030】
上記のように、導電パターン形成工程と再照射工程を有する本実施形態の導電パターン形成基板の製造方法によれば、第2の絶縁部14を視認可能にしつつも、導電パターンを簡便に形成できる。
特に、上記実施形態では、導電パターン形成工程と再照射工程とが、同一のレーザ光照射装置40の同一のステージ43の上で行われるため、照射の位置精度、導電性基板Aの搬送・位置決めの位置精度、時間の精度が高い。
しかも、得られた導電パターン形成基板は、タッチパネル駆動素子の静電破壊を起こす程の高い印加電圧は迅速に拡散し、タッチパネルが動作する低い電圧領域では高い絶縁性を示す。そのため、メンブレン式または投影型静電容量式のタッチパネルに好適に使用できる。
【0031】
第2の絶縁部14を形成した後には、
図5に示すように、各透明導電部12aの端部に外部と電気的に接続するためのコネクタ部15を設けることができる。コネクタ部15を設ける方法としては、正確且つ簡便であることから、金属ペースト(例えば、銀ペースト、銅ペースト等)を印刷する方法が好ましい。印刷方法としては、スクリーン印刷が好適である。
【0032】
上記の製造方法で得た導電パターン形成基板10では、位置決めマーク14bを有するため、印刷の際に導電パターン形成基板10を容易に位置決めできる。したがって、コネクタ部を正確に設けることができる。
【0033】
上記導電パターン形成基板10は、タッチパネルの電極シートとして使用することができる。
例えば、2枚の上記導電パターン形成基板を外形線に沿って切り出したものを電極シートとし、これらを、スペーサを介して導電パターンが互いに対向するように積層することで、抵抗膜式タッチパネルの入力部材とすることができる。
また、2枚の上記導電パターン形成基板を外形線に沿って切り出したものを電極シートとし、これらを導電パターン同士が接触しないように積層することで、静電容量式タッチパネルの入力部材とすることができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、導電パターン形成工程にて第1の絶縁部13と第2の絶縁部14を形成した後、第2の絶縁部14に再照射工程を施したが、本発明では、第1の絶縁部13を導電パターン形成工程により形成した後、第2の絶縁部14を導電パターン形成工程と再照射工程とにより形成してもよいし、第2の絶縁部14を導電パターン形成工程と再照射工程とにより形成した後、第1の絶縁部13を導電パターン形成工程により形成してもよい。
【実施例】
【0035】
[製造例1]
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーS10 #75、東レ株式会社製)に、Cambrios社のOhm(商品名)インク(線径50nm程度、長さ15μm程度の銀繊維を含む混合液)を塗布し、乾燥した後、紫外線硬化性のポリエステル樹脂インクを上塗りして、乾燥・紫外線処理を施した。これにより、PETフィルム上に銀繊維からなる導電性の2次元ネットワークを有する透明導電層aを形成して、導電性基板を得た。
【0036】
[実施例1]
レーザ光照射装置として、ガルバノミラーを備えたYVO
4基本波のレーザ加工機(キーエンス社製、MD−V9920)を使用した。
上記レーザ光照射装置には、照射パターンのデータをあらかじめ入力した。
すなわち、まず、位置決めマーク14b
1を基準に、外形線14a、他の位置決めマーク14b
2、配線引き出し線14c、コネクタ部引き出し線14d、組立基準線14eのデータを作成した(
図1参照)。そのデータを電子的に複写し、入力エリアαの対角方向に2μm間隔でずれるように貼り付けて(
図6参照:なお、
図6は外形線14aのコーナーの拡大図である。)、第2の絶縁部用データを作成した。
次いで、位置決めマーク14b
1を基準に、透明絶縁パターン(第1の絶縁部)の図面データ(第1の絶縁部用データ)をCDAで作成し、この第1の絶縁部用データと第2の絶縁部用データとを合わせ、単一の図面データとしてレーザ光照射装置に照射パターンとして入力した。
なお、各絶縁パターンの絶縁ライン(第1の絶縁部13と配線引き出し線14c、配線引き出し線14cとコネクタ部引き出し線14d、など)の端部同士が接続する部分は、各絶縁ラインが交差するようにデータを作成する。これにより、レーザ加工機のレーザ照射タイミングによらず、確実に各絶縁パターン同士を連続的に接続させることができる。
【0037】
製造例1の導電性基板Aを厚さ5mmのポリアセタール製ステージの上に載置し、下記照射条件でレーザ光を照射した。その際、レーザ光の照射回数は、第1の絶縁部については1回、位置決めマーク14b
1については1回、外形線14a、他の位置決めマーク14b
2、配線引き出し線14c、コネクタ部引き出し線14d、組立基準線14eについては11回とした。
焦点から導電性基板Aまでの距離:0mm
出力:30%
移動速度:600mm/秒
発振周波数:100kHz
これにより、透明絶縁パターンからなる第1の絶縁部は視認不能で、外形線14a、位置決めマーク14b、配線引き出し線14c、コネクタ部引き出し線14d、組立基準線14eからなる第2の絶縁部は視認可能な導電パターン形成基板を得た。隣接する透明導電部12a,12a同士の電気抵抗は10Ω以上であり、絶縁状態にされていた。
上記の導電パターン形成基板は2枚作製した。
【0038】
次いで、得られた導電パターン形成基板の一方に対し、スクリーン印刷とインキの乾燥により、アクリル系樹脂からなる直径60μmのドットスペーサを設けた。
上記のようにして得た導電パターン形成基板を外形線14aに沿って切断して、配線基板を切り出した。次いで、ドットスペーサを設けた配線基板と、ドットスペーサを設けなかった配線基板とを、導電パターンが互いに対向するように配置し、その状態で両面粘着テープにより固定して、タッチパネルを得た。
本例では、外形線、位置決めマーク、配線引き出し線、コネクタ部引き出し線および組立基準線が可視化されているため、導電パターン形成基板を正確に位置決めでき、コネクタ部を正確に設けることができた。また、得られた配線基板を用いてタッチパネルを組み立てる際にも、容易に位置決めできた。
また、コネクタ部形成後、コネクタパターンと外形線の寸法精度を測定したところ、寸法公差は全て0.08mm以下であった。
【0039】
[実施例2]
外形線14aよりも外側の200mm×200mmの範囲に5mm間隔の格子状の絶縁パターン16(
図7参照)が形成されるように、パルス状のレーザ光を、実施例1と同様の照射条件で照射した。また、実施例1と同様に印刷してコネクタ部を設けて、導電パターン形成基板を得た。
次いで、外形線が中央に位置するように導電パターン形成基板を140mm×90mmの短冊状に切り出して、試験片を作成した。この試験片を用いて、帯電防止性能を静電気減衰測定機により測定したところ、5000Vの電圧を印加した後、電圧が50%になるまでの減衰時間が0.3秒であり、1%になるまでの減衰時間は30秒であった。
【0040】
[比較例1]
外形線、位置決めマーク、配線引き出し線、コネクタ部引き出し線および組立基準線にレーザ光を再照射しなかったこと以外は実施例1と同様にして、導電パターン形成基板を得た。
比較例1の導電パターン形成基板についても実施例1と同様にコネクタ部を設けたが、外形線、位置決めマーク、配線引き出し線、コネクタ部引き出し線および組立基準線が視認不能であるため、導電パターン形成基板を位置決めできず、コネクタ部の印刷以降の工程を適用することができなかった。そのため、既存のITO導電膜のレーザ加工品に使用する画像認識装置を用いて、外形線、位置決めマーク、配線引き出し線、コネクタ部引き出し線および組立基準線を検出しようとしたが、検出不能であった。