(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアゾール容器の上端部に設けられている内容液の排出用バルブステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液が噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、
この噴射ボタンが前記バルブステムと接続するステム接続部と、このステム接続部と別体のものであって、このステム接続部と上下方向に相対的に移動できる作動部とから成り、
ステム接続部には内部空間が設けられ、その内部空間の入口側は前記バルブステムと連通し、その上方側では作動部の導通路と連通することができ、
この作動部の導通路の出口部がエアゾール容器内の内容液を外部に噴霧する噴射口を成し、
作動部の基端部分の全体をステム接続部の内部空間内に配置し、
ステム接続部と作動部との間には弾撥部材を配備して作動部を常に上方に付勢し、
作動部の基端部分の外壁面とステム接続部の内部空間の内壁面の接合面に、作動部外壁面とステム接続部の内壁面とを封止する封止手段を設け、
これにより、前記封止手段の上方の内部空間と作動部の基端部分との間隙部が定量室を形成し、前記作動部を押下することにより定量室内にエアゾール容器内の内容液が貯留し、更に作動部を押下することにより、前記封止手段による封止が行われ且つ定量室と作動部の導通路とが連通して、当該定量室に貯留した内容液が前記噴射口から噴霧されることを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタン。
エアゾール容器の上端部に設けられている内容液の排出用バルブステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液が噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、
この噴射ボタンが前記バルブステムと接続するステム接続部と、このステム接続部と別体のものであって、このステム接続部と上下方向に相対的に移動できる作動部とから成り、
ステム接続部には導通路とこれに続く内部空間が形成され、その導通路の入口側は前記バルブステムと連通し、その内部空間の出口側を噴射口側と成し、
作動部の基端部分の全体をステム接続部の内部空間内に配置して、作動部の基端部分と前記ステム接続部の先端部分との境界部が噴射口として形成され、
ステム接続部と作動部との間には弾撥部材を配備して作動部を常に上方に付勢し、
ステム接続部の導通路から噴射口までの間の空間部が定量室とされ、
作動部の基端部分の外壁面とステム接続部の内壁面の接合面に、作動部外壁面とステム接続部内壁面とを封止する封止手段を設け
これにより、前記作動部を押下することにより前記封止手段の封止により定量室内にエアゾール容器内の内容液が貯留し、前記作動部への押下力を除去することにより前記封止手段の封止が解除されて前記作動部の基端部分と前記ステム接続部の先端部分との境界部から内容液が噴霧されることを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタン。
前記封止手段が、作動部の基端側外壁に嵌合されたOリング等のシーリング部材と、この作動部の基端側外壁と適合するステム接続部の内壁面の上端側の大径部とそれに続く基端側の細径部とからなり、
前記シーリング部材が前記ステム接続部の細径部に位置した際に封止が行われ、前記シーリング部材が前記ステム接続部の大径部に位置した際にその封止が解除されることを特徴とする請求項3に記載のエアゾール容器の定量噴射ボタン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明においては、上記先行技術文献にあるような定量室を形成するための封止手段を異なる構成のものとして、適切な封止を可能とし、且つより簡易な構成によりこれを実現できるものを創案することをその課題としている。
上記従来の噴射ボタンにあっては、その封止手段は、ステム接続部の先端部分が作動部の内部空間又は導通路の噴射口側の通路を封止するに際して、そのステム接続部の先端部分が作動部の内部空間の一部と当接する形式を採用しているが、この云わば弁棒先端と弁座との突き当たり形式の封止を採用するのではなく、別の構成によりこれを実現することをその課題としている。
【0010】
これを解決するために、本発明においては、ステム接続部と作動部との封止を、例えばステム作動部の先端部分の外壁面と、これに適合する作動部の内壁面との係合又は接合関係の種々の態様を採用して、この係合関係の種々の態様において封止ができるように封止手段を構成してその解決を図ったのである。
そしてこれにより、ステム接続部と作動部との相互の上下のストローク距離を適宜設定することにより、容易に定量室の容量を変更し、設定することができるという効果が実現されることとなるのである。
つまり、定量室の半径方向長さの設計を変更をすることなく、前記上下ストロークの長さの適宜設定により自由に定量室の容量を変更し、設定することができることとなるのである。
このように定量室の容量を容易に変更し、設定できるようにするということも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、エアゾール容器の上端部に設けられている内容液の排出用バルブステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液が噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、この噴射ボタンが前記バルブステムと接続するステム接続部と、このステム接続部と別体のものであって、このステム接続部と上下方向に相対的に移動できる作動部とから成り、ステム接続部には導通路が形成され、その導通路の入口側は前記バルブステムと連通し、その出口側は作動部の内部空間と連通し、作動部の適宜位置にはエアゾール容器内の内容液を外部に噴霧する噴射口が設けられ、ステム接続部の導通路から作動部の噴射口までの間の何れかの空間部に定量室が形成され、ステム接続部の先端部分を作動部の内側に配置し、ステム接続部の先端側外壁面と作動部の内壁面の接合面に、ステム接続部外壁面と作動部内壁面とを封止する封止手段を設けたことを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【0012】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記封止手段が、ステム接続部の先端側外壁に嵌合されたOリング等のシーリング部材と、このステム接続部の先端側外壁と適合する作動部の内壁面の先端側の細径部とそれに続く基端側の大径部とからなり、前記シーリング部材が前記作動部の細径部に位置した際に封止が行われ、前記シーリング部材が前記操作部の大径部に位置した際にその封止が解除されることを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【0013】
本発明の第3のものは、上記第1の発明において、前記封止手段が、ステム接続部の先端側に設けた先端細径部とそれに続く基端側の大径部と、これらに適合する作動部の内壁面に設けた環状弁とからなり、この環状弁がステム接続部の大径部と適合した際に封止が行われ、この環状弁がステム接続部の先端細径部と適合した際にはその封止が解除されることを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【0014】
本発明の第4のものは、エアゾール容器の上端部に設けられている内容液の排出用バルブステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液が噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、この噴射ボタンが前記バルブステムと接続するステム接続部と、このステム接続部と別体のものであって、このステム接続部と上下方向に相対的に移動できる作動部とから成り、ステム接続部には内部空間が設けられ、その内部空間の入口側は前記バルブステムと連通し、その上方側では作動部の導通路と連通し、作動部の適宜位置にはエアゾール容器内の内容液を外部に噴霧する噴射口が設けられ、ステム接続部の内部空間から作動部の噴射口までの間の何れかの空間部に定量室が形成され、作動部の基端部分をステム接続部の内部空間内に配置し、作動部の基端側外壁面とステム接続部の内部空間の内壁面の接合面に、作動部外壁面とステム接続部の内壁面とを封止する封止手段を設けたことを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【0015】
本発明の第5のものは、上記第4の発明において、前記封止手段が、作動部の基端側部分に設けた細径部とそれに続く上方側の大径部と、これらに適合するステム接続部の内壁面に設けた環状弁とからなり、この環状弁が作動部の大径部と適合した際に封止が行われ、この環状弁が作動部の下端側細径部と適合した際にはその封止が解除され、前記封止が実行された際にはステム接続部の内部空間と作動部の導通路が連通され、前記封止が解除された際にはステム接続部の内部空間と作動部の導通路が閉鎖されることを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【0016】
本発明の第6のものは、エアゾール容器の上端部に設けられている内容液の排出用バルブステムに装着する噴射ボタンであって、この噴射ボタンを押下することによって、内容液が噴射ボタンの噴射口から噴霧される噴射ボタンにおいて、この噴射ボタンが前記バルブステムと接続するステム接続部と、このステム接続部と別体のものであって、このステム接続部と上下方向に相対的に移動できる作動部とから成り、ステム接続部には導通路が形成され、その導通路の入口側は前記排出ステムと連通し、その出口側を噴射口と成し、
作動部の基端側部分をステム接続部の内部空間内に配置して、作動部の基端側部分と前記ステム接続部の先端部分との境界部が噴射口として形成され、ステム接続部の導通路から噴射口までの間の空間部が定量室とされ、作動部の基端側外壁面とステム接続部の内壁面の接合面に、作動部外壁面とステム接続部の内壁面とを封止する封止手段を設けたことを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【0017】
本発明の第7のものは、上記第6の発明において、前記封止手段が、作動部の基端側外壁に嵌合されたOリング等のシーリング部材と、この作動部の基端側外壁と適合するステム接続部の内壁面の上端側の大径部とそれに続く基端側の細径部とからなり、前記シーリング部材が前記ステム接続部の細径部に位置した際に封止が行われ、前記シーリング部材が前記ステム接続部の大径部に位置した際にその封止が解除されることを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【0018】
本発明の第8のものは、上記第1乃至第7の何れかの発明において、ステム接続部と作動部との間にコイルスプリングや樹脂スプリング等の弾撥部材を装備して、作動部を常に上方に付勢したことを特徴とするエアゾール容器の定量噴射ボタンである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1のものにおいては、ステム接続部と作動部とからなる噴射ボタンであって、ステム接続部の先端部分を作動部の内側に配置し、封止手段を、ステム接続部の先端側外壁面と作動部の内壁面の何れか一方又は両方に設けたことを特徴としている。
即ち、封止手段は、ステム接続部の先端側の外壁面と作動部の内壁面との間の接合面又は係合面に設けているのである。
従って、その封止構造も簡易なものとして製作でき、作動部とステム接続部間の上下方向ストロークも自在に設計することが出来ることなり、定量室の容量設定に際して、定量室の半径方向の長さを変更することなく、その容量を適宜変更し、設定することができることとなるのである。
【0020】
本発明の第2のものにおいては、上記第1の発明において、封止手段をより具体化したものであり、その効果は上記第1の発明と同じである。
即ち、封止手段として、ステム接続部の先端側外壁に嵌合されたOリング等のシーリング部材と、このステム接続部の先端側外壁と適合する作動部の内壁面の先端側の細径部とそれに続く基端側の大径部とから形成し、前記シーリング部材が前記作動部の細径部に位置した際に封止が行われ、前記シーリング部材が前記操作部の大径部に位置した際にその封止が解除されるように構成したものである。
【0021】
上記構成を採用することにより、作動部を押下することによりステム接続部のシーリング部材が作動部の大径部から上方(先端側)の細径部と適合することにより封止が行なわれた状態となり、そのまま更に作動部を押下することによりバルブステムも押下され、エアゾール容器内の内容液が排出されて封止された定量室内に貯留し、その後作動部の押下を中止することにより、作動部は定量室内の内容液の内圧により上方に移行し、シーリング部材が今度は作動部の大径部に移行して封止が解除され、定量室内の一定量の内容液が作動部の噴射口から外部に噴霧されることとなるのである。
この具体的な作動手順については後に詳述する。
【0022】
本発明の第3のものにおいては、上記第2の発明と同様に、別態様にて封止手段をより具体化したものであり、その効果は上記第1の発明と同じである。
即ち、封止手段として、ステム接続部の先端側に設けた先端細径部とそれに続く基端側の大径部と、これらに適合する作動部の内壁面に設けた環状弁とからなり、この環状弁がステム接続部の大径部と適合した際に封止が行われ、この環状弁がステム接続部の先端細径部と適合した際にはその封止が解除されるように構成したものである。
【0023】
上記構成を採用することにより、作動部を押下することにより作動部の内壁面に設けられた環状弁がステム接続部の基端側の大径部と適合することにより封止が行なわれた状態となり、そのまま更に作動部を押下することによりバルブステムも押下され、エアゾール容器内の内容液がステム接続部の導通路から作動部の内部空間内に排出されて、封止された定量室内に貯留し、その後作動部の押下を中止することにより、作動部は定量室内の内容液の内圧により上方に移行し、前記環状弁が今度は作動部の細径部に移行して封止が解除され、定量室内の一定量の内容液が作動部の噴射口から外部に噴霧されることとなるのである。
この具体的な作動手順についても後に詳述する。
【0024】
本発明の第4のものにおいては、その効果は、上記第1の発明と同じであるが、噴射ボタンを構成するステム接続部と作動部との組合せの構成が異なる。
即ち、この第4の発明においては、作動部の基端(下端)部分がステム接続部の内側に配置されており、云わば第1の発明とその構成を逆様にしているのである。
つまり、この第4の発明に係る噴射ボタンは、ステム接続部と作動部とから成り、作動部の基端部分をステム接続部の内側に配置し、封止手段を、作動部の基端側外壁面とステム接続部の内壁面の何れか一方又は両方に設けたものである。
【0025】
本発明の第5のものにおいては、上記第4の発明において、封止手段を具体化したものであり、その効果は上記第4の発明と同じである。
即ち、封止手段として、作動部の基端部分に設けた細径部とそれに続く上方側の大径部と、これらに適合するステム接続部の内部空間の内壁面に設けた環状弁とからなり、この環状弁が作動部の大径部と適合した際に封止が行われ、この環状弁が作動部の下端側の細径部と適合した際にはその封止が解除され、前記封止が実行された際にはステム接続部の内部空間と作動部の導通路とが連通され、前記封止が解除された際にはステム接続部の内部空間と作動部の導通路とが閉鎖される構成したものである。
尚、この発明においては、エアゾール容器の使用状態においては、つまり、容器の保管時や運搬時と異なり、使用する前のスタンバイ状態においては、エアゾール容器のバルブステムは押下されたままの状態にセットしておくこととなる。
この点に関しては後に詳述する。
【0026】
本発明の第6のものにおいては、上記第4の発明と基本構成概念は共通するものの、噴射口の位置及びその噴射口を設ける態様が異なるものである。
即ち、作動部の基端(下端)部分がステム接続部の内側に配置され、バルブステムに接続されるステム接続部の噴射口がステム接続部の導通路の出口側に形成されており、作動部の基端部分とステム接続部の先端部との境界部にその噴射口が形成されている。
従って、作動部には導通路が形成されていないのである。
しかし、封止手段としては、上記第1発明又は第4発明と同様に、作動部の基端側外壁面とステム接続部の内壁面の何れか一方又は両方に、作動部外壁面とステム接続部の内壁面とを封止する封止手段が設けられたものである。
これにより、上記第1発明又は第4発明と同様の効果を発揮することとなる。
【0027】
本発明の第7のものにおいては、上記第6の発明において、封止手段を具体化したものである。
即ち、その封止手段が、作動部の基端側外壁に嵌合されたOリング等のシーリング部材と、この作動部の基端側外壁と適合するステム接続部の内壁面の上端側の大径部とそれに続く基端側の細径部とからなり、前記シーリング部材が前記ステム接続部の細径部に位置した際に封止が行われ、前記シーリング部材が前記ステム接続部の大径部に位置した際にその封止が解除される構成としたものである。
その効果も上記第6の発明と同じである。
【0028】
本発明の第8のものにおいては、上記第1乃至第7の発明において、ステム接続部と作動部との間にコイルスプリングや樹脂スプリング等の弾撥部材を装備して、作動部を常に上方に付勢した技術的事項を付加したものである。
このような弾撥部材を配備することにより、定量室内に貯留された内容液をより効率よく噴射口から外部空間へと噴霧することができるのである。
尚、本発明においては、定量室内には外気圧よりも高い高圧ガスが充填される関係上、この弾撥部材を内部に装備せずとも実施可能である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
本発明においては、大別して3つの実施形態を提案しているが、その第1実施形態に係る定量噴射ボタンが請求項1乃至3に係るものであり、その第2実施形態に係る定量噴射ボタンが請求項4及び5に係るものであり、その第3実施形態に係る定量噴射ボタンが請求項6及び7に係るものである。
請求項8に係る噴射ボタンは、こられ3つの実施形態の全てに応用できるものである。
そして、第1実施形態に係るものが以下に説明する実施例1乃至4であり、第2実施形態に係るものが以下に説明する実施例5及び6であり、第3実施形態に係るものが以下に説明する実施例7である。
以下、順次各実施例について説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は、本発明のエアゾール容器の定量噴射ボタンに係る実施例1を図示する縦断面説明図であり、その(A)が保管状態又は噴霧状態を示し、その(B)が作動部を押下して封止手段が機能し、定量室が形成されている状態を示し、その(C)が更に作動部を押下してバルブステムを押下し、定量室内にエアゾール容器内の内容液を充填している状態を示している。
【0032】
まず、本発明に係る定量噴射ボタン1は、エアゾール容器Cの上端部に設けられた開閉バルブの上端から上方に突出する内容液の排出用バルブステムSに接続するステム接続部11と、このステム接続部11の上端側の先端部分をその内部に受容する筒形状の作動部12とから形成される。
【0033】
ステム接続部11の基端部分11kは、バルブステムSと接続し、軸芯部には導通路11tが形成され、導通路11tの上端部壁面には横穴11yが設けられ、作動部12の内部空間12nと連通している。
作動部12の内部空間12nは円柱形状の筒孔から成り、この筒孔内にステム接続部11のやはり円柱形状(先端部半球形状)の先端部分11sが遊嵌されている。
【0034】
ステム接続部11の先端部分11sの外周には環状溝部が設けられ、これにOリング13が嵌合されている。
他方、作動部12の内部空間12nの内壁面はその先端(上端)側の内径が細い細径部
14に、その基端(下方)側が前記細径部14よりも大きい内径を有する大径部15に形成されている。
【0035】
作動部12は、その下端側に位置する略筒形状の基端側部分12kと上端側に位置するやはり略筒形状の先端側部分12sとが一体的に形成され、その基端側部分12kの下端縁部が内向きに延長する鍔部12fを有し、この鍔部12fがステム接続部11の基端部分11kの環状凸部11fと相互に係合する。
これにより、作動部12はステム接続部11と分離せずに、作動部12の上下のストローク距離が決定される。
従って、この上下のストロークの範囲で、前記Oリング13が作動部12の先端側部分12sの内壁面の細径部14及び大径部15と係合し、その上方側の細径部14と係合すれば封止が行なわれ、下方側の大径部15と適合すればその封止が解除される。
【0036】
ここにおいて、定量室は、上記Oリング13が作動部12の細径部14と係合して封止を行なった際に形成され、具体的にはバルブステムS内、ステム接続部11の導通路11t、横穴11y、及び作動部12の内部空間12nのOリング13から下方の隙間ということとなる。
この実施例1では、ステム接続部11の基端部分11kの少し上方に環状封止部16を形成して、作動部12の先端側部分12sと基端側部分12kとの内部空間を仕切っているため、作動部12側の内部空間内の前記定量室部分は、前記Oリング13とこの環状封止部16の上方の隙間部分となる。
【0037】
このように、作動部12の基端側部分12kの内部に閉鎖空間12hを設けたのは、この閉鎖空間12hがエアースプリングの機能を果たすためであり、これによりステム接続部11と作動部12との間にコイルスプリング等の弾撥部材が不要となる。
勿論、この実施例においても、ステム接続部と作動部の間にコイルスプリングを設けて実施することもできる。
但し、上記定量室内に充填された内容液は、外気よりも高圧であるために、このようなエアースプリングやコイルスプリング等の弾撥部材を設けずに実施することができものである。
【0038】
次に、この実施例1の作動手順とその機能について説明する。
(1) まず(A)図は、保管時(不使用時)状態を示す。
この状態では、バルブステムSは、上方端に付勢されており、閉鎖状態である。またOリング13は作動部12の内壁面の大径部15の部位に位置するために封止は解除された状態であり、ステム接続部11の導通路11tから作動部12の内部空間12nも連通された状態である。
【0039】
(2) 次に(B)図は、作動部12を指で押下して封止手段を封止し、バルブステムSは押下されていない状態を示す。
この状態では、作動部12が押下されて、Oリング13が作動部12の先端側部分12sの内壁面の細径部14の部位に移行して、封止状態となり、定量室が形成されるが、バルブステムSは押下されていない状態であり、内容液の貯留は未だである。
また、この状態で作動部12の先端側部分12sの下端部がステム接続部11の基端部分11kの上端面と当接している状態となる。
【0040】
(3) 次に(C)図は、更に作動部12が押下されることによって、バルブステムSが押下されることとなり、エアゾール容器内から内容液が排出され、定量室内に内容液が充填されている状態を示している。
所定時間、作動部12を押下することによって、定量室内に内容液が充填され、エアゾール容器内の内圧とほぼ同一の圧力に高まることとなる。
【0041】
(4) 最後に、作動部12から指を離すことによって(A)図の状態に戻り、封止手段の封止が解除されて定量室内の一定量の内容液が作動部12の上端面に設けられた噴射口19から外部に噴霧されることとなる。
この図の状態では、Oリング13が作動部12の内壁面の大径部15の部位に位置するために封止手段の封止解除により定量室内の内容液が外部に噴霧されるのである。
以上の作動手順において、その封止手段は、シーリング部材としての前記Oリング13と、作動部12の先端側部分12sの内壁面に形成されている上方側の細径部14とこれに続く下方の大径部15との連携と共働によって実行されるのである。
【実施例2】
【0042】
図2は、本発明のエアゾール容器の定量噴射ボタンに係る実施例2を図示する縦断面説明図であり、その(A)が保管状態又は噴霧状態を示し、その(B)が作動部を押下して封止手段が機能し、定量室が形成されている状態を示し、その(C)が更に作動部を押下してバルブステムが押下され、定量室内にエアゾール容器内の内容液を充填している状態を示している。
【0043】
この実施例2に係る定量噴射ボタン2は、エアゾール容器Cの上端のバルブステムSに接続するステム接続部21と、このステム接続部21の先端部分21sをその内部に受容する筒形状の作動部22とから形成される。
ステム接続部21は、基端側の基端部分21kとその上方側の先端部分21sとから成り、作動部22は、下端側の基端側部分22kとこれに連結する筒形状の上方側の先端側部分22sとからなり、この先端側部分22sは外側筒体と内側筒体の2つの構成部材を一体的に結合し、作動部22とステム接続部21との間には弾撥部材としてコイルスプリング28が介装されている。
【0044】
ステム接続部21の基端部分21kは、バルブステムSと接続し、軸芯部には導通路21tが形成され、導通路21tの上端部壁面には横穴21yが設けられ、作動部22の内部空間22nと連通することができる。
作動部22の内部空間22nは円柱形状の筒孔から成り、この筒孔内にステム接続部21のやはり略円柱形状(先端部先細形状)の先端部分21sが遊嵌されている。
【0045】
作動部22の先端部分22sの内壁面には、当該内壁面から中心部方向に延長する環状弁23が形成されている。
他方、ステム接続部21の先端部分21sは、その先端側の外径をやや細く形成して細径部24を、その細径部24の下方にその細径部24の外径よりも大きい外径の大径部25が連続して形成されている。
【0046】
作動部22は、その基端部に位置する略筒形状の基端側部分22kの下端面が、ステム接続部21の基端部分21kの上端面と所定間隔を維持して対面しており、これにより、作動部22が押下されて、ステム接続部21の基端部分21kの上端面と当接することにより作動部22の上下の相対的なストローク距離が決定される。
従って、この上下のストロークの範囲で、前記作動部22内壁面に設けられた環状弁23がステム接続部21の先端部分21sの外壁面の細径部24と大径部25と係合し、その上方側の細径部24と適合すれば封止が解除され、下方側の大径部25と適合すればその封止が行なわれるのである。
【0047】
ここにおいて、定量室は、上記環状弁23がステム接続部21の先端部分21sの大径部25と係合して封止を行なった際に形成され、具体的にはバルブステムS内、ステム接続部21の導通路21t、横穴21y、及び作動部22の内部空間22nの環状弁23から下方の空間内ということとなる。
【0048】
この実施例においては、ステム接続部21と作動部22の間にコイルスプリング28を設けて実施しているが、このコイルスプリング28を設けずに実施することもできる。
というのも、上記定量室内に充填された内容液は、外気よりも高圧であるために、このようなコイルスプリング等の弾撥部材を設けずに実施することができるからである。
【0049】
次に、この実施例2の作動手順とその機能について説明する。
(1) (A)図は、不使用(保管時)状態を示す。
この状態では、バルブステムSは、上方端に付勢されており、閉鎖状態である。また環状弁23は、ステム接続部21の先端部分21sの外径の小さい細径部24の部位に位置するために封止は解除された状態である。
【0050】
(2) (B)図は、作動部22を指で押下して封止手段を封止し、バルブステムSは押下されていない状態を示す。
この状態では、作動部22が押下されて、作動部22の下端面がステム接続部21の基端部分21kの上端面と当接した状態であり、環状弁23がステム接続部21の先端部分21sの大径部25の部位に移行して、封止状態となり、定量室が形成されているが、バルブステムSは押下されていない状態である。
【0051】
(3) (C)図は、更に作動部22が押下されることによって、バルブステムSが押下されることとなり、エアゾール容器内から内容液が排出され、定量室内に内容液が充填される状態を示している。
所定時間、作動部22を押下することによって、定量室内に内容液が充填され、エアゾール容器内の内圧とほぼ同一の圧力に高まることとなる。
【0052】
(4) 最後に、作動部22から指を離すことによって(A)図の状態に戻り、封止手段の封止が解除されて定量室内の一定量の内容液が作動部22の上端面に設けられた噴射口29から外部に噴霧されることとなる。
この図の状態では、作動部22の環状弁23がステム接続部21の細径部24の部位に位置するために封止手段の封止は解除され、定量室内の内容液が外部に噴霧されるのである。
以上の作動手順において、その封止手段は、作動部22の内壁面に設けられた環状弁23と、ステム接続部21の先端部分21sに形成された細径部24とこれに続く下方の大径部25との連携と共働によって実行されるのである。
【0053】
尚、この実施例2においては、ステム接続部21の導通路21tの上端部分に設けられた横穴21yが、不使用時には閉鎖され、内容液の充填時には開放され、また噴霧時には閉鎖されるように構成しているが、この横穴21yの開閉は、常に開放されたままでもよく、定量室の容量を考慮して決定することができる。
即ち、この横穴21yの開閉動作は必須のものでなく、必要に応じて設定すればよい。
【実施例3】
【0054】
図3は、本発明のエアゾール容器の定量噴射ボタンに係る実施例3を図示する縦断面説明図であり、その(A)が保管状態を示し、その(B)が作動部を押下して封止手段が機能し、定量室が形成されて内容液が充填されている状態を示し、その(C)が作動部の押下を解除して内容液を噴霧している状態を示している。
【0055】
この実施例3に係る定量噴射ボタン3は、エアゾール容器の上端に位置するバルブステムSに接続するステム接続部31と、このステム接続部31の全体を取り囲むように配置された筒形状の作動部32とから形成される。その基本的な構成は上記実施例2と同様である。
【0056】
ステム接続部31は、下端側の基端部分31kとその上方側の先端部分31sとから成り、作動部32は、その内部に上記ステム接続部31の全体を受容することができるような筒体形状のもので、基端側部分32kと、これに連続する上方側の先端側部分32sとからなる。
この作動部32の上方側部分32sの軸芯部の内部空間の内壁面32wの部位に環状弁33が設けられている。その先端側には内容液を噴霧する噴射口39が設けられている。
また、作動部32とステム接続部31との間には弾撥部材としてコイルスプリング38が介装され、作動部32は常に上方に付勢されている。
更に、作動部32の基端側部分32kの下端縁部は、内向きに鍔部32fが形成され、ステム接続部31の下端面に当接している。
【0057】
ステム接続部31の基端部分31kは、バルブステムSと接続し、軸芯部には導通路31tが形成され、導通路31tの上端部壁面には横穴31yが設けられ、作動部32の内部空間32nと連通している。
作動部32の内部空間32nは円柱形状の筒孔から成り、この筒孔内にステム接続部31のやはり略円柱形状(先端部先細形状)の先端部分31sが遊嵌されている。
【0058】
作動部32の先端側部分32sの内壁面32wには、前記した通り、当該内壁面32wから中心部方向に延長する環状弁33が形成されている。
他方、ステム接続部31の先端部分31sは、その先端側の外径が細い細径部34と、その細径部34の下方にその細径部34の外径よりも大きい外形の大径部35が連続して形成されている。
【0059】
上記した通り、作動部32の基端側部分32kの下端縁部に設けられた内向きの鍔部32fが、ステム接続部31の基礎部分31kの下端面と当接でき、これにより、作動部32が押下され、その後作動部32の押下が解除された際に前記鍔部32fがステム接続部31の基端部分31kの下端面と当接することにより作動部32の上下の相対的なストローク距離が決定される。
従って、この上下のストロークの範囲で、前記作動部32の内壁面32wに設けられた環状弁33がステム接続部31の先端部分31sの外壁面の細径部34と大径部35と係合し、その上方側の細径部34と適合すれば封止が解除され、下方側の大径部35と係合すればその封止が行なわれるのである。
【0060】
ここにおいて、定量室は、上記環状弁33がステム接続部31の先端部分31sの大径部35と係合して封止を行なった際に形成され、具体的にはバルブステムS内、ステム接続部31の導通路31t、横穴31y、及び作動部32の内部空間32nの環状弁33から下方の空間内ということとなる。
【0061】
次に、この実施例3の作動手順とその機能について説明する。
(1) まず(A)図は、不使用(保管時)状態を示す。
この状態では、バルブステムSは、上方端に付勢されており、閉鎖状態である。また環状弁33は、ステム接続部31の先端部分31sの外径の小さい細径部34の部位に位置するために封止は解除された状態であり、ステム接続部31の導通路31tから作動部32の内部空間32nも連通された状態である。
【0062】
(2) 次に(B)図は、作動部32を指で押下して封止手段を封止し、バルブステムSも押下されて、エアゾール容器内の内容液が充填されている状態を示す。
この状態では、作動部32が押下されて、作動部32の環状弁33がステム接続部31の大径部35の部位に移行して、封止状態となって定量室が形成され、尚且つ、バルブステムSが押下された状態となり、エアゾール容器内の内容液が前記定量室内に充填されている状態である。
所定時間、作動部32を押下することによって、定量室内がエアゾール容器内の内圧とほぼ同一の圧力に高まることとなる。
【0063】
(3) 最後に(C)図は、作動部32から指を離すことによって(A)図と同じ状態に戻った状態を示し、封止手段の封止が解除されて定量室内の内容液が作動部32の上方に設けられた噴射口39から外部に噴霧されることとなる。
この図の状態では、作動部32の環状弁33がステム接続部31の細径部34の部位に位置するために封止手段は、その封止が解除され、これにより定量室内の一定量の内容液が外部に噴霧されるのである。
以上の作動手順において、その封止手段は、作動部32の内壁面32wに設けられた環状弁33と、ステム接続部31の先端部分31sに形成された細径部34とこれに続く下方の大径部35との連携及び共働によって実行されるものである。
【実施例4】
【0064】
図4は、本発明のエアゾール容器の定量噴射ボタンに係る実施例4を図示する縦断面説明図であり、その(A)が保管(不使用)状態を示し、その(B)が作動部を押下して封止手段が機能し、定量室が形成されて内容液が充填されている状態を示し、その(C)が作動部の押下を解除して内容液を噴霧している状態を示している。
この実施例4は、上記実施例3と基本的には同じ構成からなるものであるが、その弾撥部材であるコイルスプリングの位置が相違する。
【0065】
この実施例4に係る定量噴射ボタン4は、上記実施例と同様に、エアゾール容器Cの上端部に位置するバルブステムSに接続するステム接続部41と、このステム接続部41の全体を取り囲むように配置された筒形状の作動部42とから形成される。
ステム接続部41は、下端側の基端部分41kとその上方側の細長い円柱形状の先端部分41sとから成り、作動部42は、前記ステム接続部41の全体をその内部に受容できる筒体形状のもので、基端側の基端側部分42kからこれに連続する上方側の先端側部分42sとから成る。
【0066】
この作動部42の先端側部分42sの軸芯部の内部空間の内壁面42wの部位に環状弁43が設けられている。その先端側には内容液を噴霧する噴射口49が設けられている。
また、作動部42とステム接続部41との間には弾撥部材としてコイルスプリング48が介装され、作動部42は常に上方に付勢されている。
更に、作動部42の基端側部分42kの下端側の筒孔内の上端面42fは、ステム接続部41の下端側の基端部分41kの上端面と当接するように形成している。
【0067】
ステム接続部41の基端部分41kは、バルブステムSと接続し、軸芯部には導通路41tが形成され、導通路41tの上端部壁面には横穴41yが設けられ、作動部42の内部空間42nと連通することができる。
作動部42の内部空間42nは円柱形状の筒孔から成り、この筒孔内にステム接続部41のやはり略円柱形状(先端部先細形状)の先端部分41sが遊嵌されている。
【0068】
作動部42の先端側部分42sの内壁面42wには、前記した通り、当該内壁面42wから中心部方向に延長する環状弁43が形成されている。
他方、ステム接続部41の先端部分41sは、その先端側の外径が細い細径部44と、その細径部44の下方にその細径部44の外径よりも大きい外形の大径部45が連続して形成されている。
【0069】
上記した通り、作動部42の基端側部分42kの下端側の筒孔の上端面42fが、ステム接続部41の基端部分41kの上端面と当接でき、これにより、作動部42が押下され、ステム接続部41の基端部分41kの上端面も押下され、そしてバルブステムSが押下される。
従って、実施例4における、ステム接続部41と作動部42との相対的な上下のストロークは、この作動部42の下端側の筒孔の上端面42fとステム接続部41の基端部分41kの上端面との間隔距離によって決定される。
そして、このストロークの範囲で、前記作動部42内壁面42wに設けられた環状弁43がステム接続部41の先端部分41sの外壁面の細径部44と大径部45と係合し、その上方側の細径部44と適合すれば封止が解除され、下方側の大径部45と係合すればその封止が行なわれるのである。
【0070】
ここにおいて、定量室は、上記環状弁43がステム接続部41の先端側の大径部45と係合して封止を行なった際に形成され、具体的にはバルブステムS内、ステム接続部41の導通路41t、横穴41y、及び作動部42の内部空間42nの環状弁43から下方の空間内ということとなる。
【0071】
次に、この実施例4の作動手順とその機能について説明する。
(1) まず(A)図は、不使用(保管)時の状態を示す。
この状態では、バルブステムSは、上方端に付勢されており、閉鎖状態である。また環状弁43は、ステム接続部41の先端部分41sの外径の小さい細径部44の部位に位置するために封止は解除された状態である。他方、ステム接続部41の導通路41tと作動部42の内部空間は閉鎖された状態にある。
尚、この閉鎖は、解除されたままの状態に構成してもよい。
【0072】
(2) 次に(B)図は、作動部42を指で押下して封止手段を封止し、バルブステムSも押下されて、エアゾール容器内の内容液が充填されている状態を示す。
この状態では、作動部42が押下されて、作動部42の環状弁43がステム接続部41の大径部45の部位に移行して、封止状態となって定量室が形成され、且つ、ステム接続部41の導通路41tと作動部42の内部空間42nとが連通され、またバルブステムSも押下された状態となり、エアゾール容器内の内容液が前記定量室内に充填される。
所定時間、作動部42を押下することによって、定量室内がエアゾール容器内の内圧とほぼ同一の圧力に高まることとなる。
【0073】
(3) 最後に(C)図では、作動部42から指を離すことによって(A)図と同じ状態に戻り、封止手段の封止が解除されて定量室内の内容液が作動部42の上方に設けられた噴射口49から外部に噴霧されることとなる。
この図の噴霧状態においては、ステム接続部41の導通路41tと作動部42の内部空間42nとは閉鎖された状態としている。上記した通り、この閉鎖は解除されたままであってもよい。
以上の作動手順において、その封止手段は、作動部42の内壁面42wに設けられた環状弁43と、ステム接続部41の先端部分41sに形成された細径部44とこれに続く下方の大径部45との連携及び共働によって実行されるものである。
【実施例5】
【0074】
図5は、本発明のエアゾール容器の定量噴射ボタンに係る実施例5を図示する縦断面説明図であり、その(A)が保管状態を示し、その(B)がバルブステムをセット状態(押下した状態)として開放したスタンバイ状態を示し、その(C)が作動部を押下して内容液を噴霧している状態を示している。
この実施例では、上記実施例と異なり、噴射ボタンを押下した際に一定量の内容液が噴霧されるタイプのものである。
そして、その構成も、上記実施例と異なり、作動部の基端側部分がステム接続部の内側に嵌挿されており、上記実施例と丁度逆様の構成となっている。
【0075】
この実施例5に係る定量噴射ボタン5は、エアゾール容器Cの上端のバルブステムSに接続するステム接続部51と、このステム接続部51の軸芯部にその基端側部分が嵌入する作動部52とから形成される。
ステム接続部51は、その全体が略筒形状で、その下端側の基端部分51kとこれに連結する上方側の先端部分51sとから成り、この先端部分51sの軸芯部分に前記作動部52の基端側部分52kが嵌入するように形成される。
ステム接続部51の軸芯部の内部空間51nの内壁面51wの部位には環状弁53がその中心方向に延長するように設けられている。
【0076】
他方、作動部52の基端側部分52kは略円柱形状を有し、その下端部の外径の細い細径部54とこの細径部54から上方に続く、前記細径部54よりも大きい外径の大径部55が形成され、前記環状弁53がこの大径部55の部位に位置して係合した際に封止が行われ、その下方の細径部54の部位に位置した際にその封止が解除される。
作動部52の上端側の先端側部分52sの下端面とステム接続部51の上端面との間には弾撥部材としてコイルスプリング58が介装され、作動部52は常に上方に付勢されている。また作動部52の上端面中央には内容液を噴霧する噴射口59が設けられている。
【0077】
作動部52の軸芯部には導通路52tが形成されており、この導通路52tの下端部分には横方向に横穴52yが設けられ、ステム接続部51の内部空間51nと連通することができる。
ステム接続部51の内部空間52nは円柱形状の筒孔から成り、この筒孔の下端部はバルブステムSと接続し、この筒孔内に上方から作動部52の略円柱形状(下端部先細形状)の基端側部分52kが嵌入しているのである。
【0078】
ステム接続部51の筒孔の内壁面51wには、前記した通り、当該内壁面51wから中心部方向に延長する環状弁53が形成されている。
他方、作動部52の基端側部分52kは、その下端側の外径が細い細径部54と、その細径部54の上方にその細径部54の外径よりも大きい外径の大径部55が連続して形成されている。
【0079】
上記した通り、ステム接続部51の上端面と、作動部52の先端側部分52sとの間にコイルスプリング58が介装されているために、作動部52が押下され、前記コイルスプリング58が収縮した状態でステム接続部51も同時に押下され、作動部52の上下方向のストローク距離が決定され、その後バルブステムSが押下される。
従って、実施例5における、作動部52とステム接続部51との相対的な上下のストロークは、この作動部52の先端側部分52sとステム接続部51との間隔距離によって決定される。
【0080】
そして、このストロークの範囲で、前記ステム接続部51の内壁面51wに設けられた環状弁53が作動部52の基端側部分52kの細径部54と大径部55と係合し、その下方側の細径部54と適合すれば封止が解除され、上方側の大径部55と適合すればその封止が行なわれるのである。
ここにおいて、定量室は、上記環状弁53が作動部52の大径部55の部位に位置した際に封止が行われ、このときに形成されるのである。
具体的にはバルブステムS内及びステム接続部51の内部空間51n内ということとなる。このとき、ステム接続部51の内部空間51nと作動部52の導通路52tとの連通は閉鎖された状態である。
【0081】
次に、この実施例5の作動手順とその機能について説明する。
(1) まず(A)図は、保管時状態を示す。
この状態では、バルブステムSは、上方端に付勢されており、閉鎖状態である。また環状弁53は、作動部52の下端側の基端側部分52sの外径の小さい細径部54の部位に位置するために封止は解除された状態である。他方、作動部52の導通路52tとステム接続部51の内部空間51nとは閉鎖されたまま状態である。
即ち、作動部52の導通路52tの下端の横穴52yは、閉鎖状態の位置にあり、これによって、この保管(不使用)状態において、定量室が形成されているのである。
この定量室は、従って、バルブステムS内とステム接続部51の内部空間51n内ということとなるが、この時点では内容液は貯留していない。
【0082】
(2) 次に(B)図は、使用可能状態にセットした状態であり、即ち何時でも定量噴射可能なスタンバイ状態を示したものであり、この状態はバルブステムSを開放状態としたセット状態である。
このバルブステムSを開放状態のままとするには、バルブステムSを押下した状態に維持するストッパーを別途設けておけばよく、その具体的手段は自由に設定することができる。
このようなスタンバイ状態によって、上記定量室には、エアゾール容器の内容液が充填されたままの状態となるのである。
【0083】
(3) 最後に(C)図の状態において、使用者は作動部52を指で押下する。
作動部52が押下されると、まずコイルスプリング58が収縮して、作動部52が下方に移行する。
作動部52が下方に移行すると、その基端側部分52kの大径部55がステム接続部51の内壁面51wに設けられた環状弁53と係合して封止が行なわれる。
その後、それまで閉鎖されていた作動部52の導通路52tの横穴52yが開放され、定量室内に充填されていた内容液が、この横穴52yから導通路52tを通過して、噴射口59から外部空間に噴霧されるのである。
以上の作動手順において、その封止手段は、ステム接続部51の内壁面51wに設けられた環状弁53と、作動部52の基端側部分52kに形成された細径部54とこれに続く上方の大径部55との連携及び共働によって実行されるものである。
【実施例6】
【0084】
図6は、本発明のエアゾール容器の定量噴射ボタンに係る実施例6を図示する縦断面説明図であり、その(A)は、バルブステムをセット状態(押下した状態)として開放し、内容液を充填している状態を示し、その(B)が作動部を押下して内容液を噴霧している状態を示している。
この実施例6は、上記実施例5とほぼ同様の構成であるが、コイルスプリングの配設位置が異なっている。他の構成要素は、それぞれ上下方向サイズを異にするが、略同一構成である。
【0085】
即ち、上記実施例5においては、そのコイルスプリングの配設位置は、作動部52上端側の先端側部分52sの下端面と、ステム接続部51の上端面の間に介装していたが、この実施例6においては、作動部52の下端側の基端側部分52kの略中央部に設けた環状凸部62dとステム接続部51の内部空間51nの環状段部61dの間に介装している。
この位置にコイルスプリング68を介装することによって、ステム接続部51の内部空間51nをより広く形成することができる。
【0086】
この実施例6においても、その定量室は、バルブステムS内及びステム接続部51の内部空間51n内となり、この定量室が形成されている状態で、封止手段は封止解除状態となっている。
また、この定量室が形成され、封止解除状態で、ステム接続部51の内部空間51nと作動部52の導通路52tとの連通は閉鎖された状態としている。この状態でバルブステムを開放状態にセットすることにより、この定量室内に内容液が充填され、スタンバイ状態となるのである。
その他の構成は、上記実施例5と同一であり、その構成部材の図中符号を同一に表示している。
【0087】
以下、この実施例6の作動手順とその機能について説明する。
(1) まず(A)図は、使用可能状態にセットした状態であり、上記実施例5の(B)図の状態と同じである。
この状態では、バルブステムSは、下方に押下された状態にセットされ、開放状態であり、スタンバイ状態である。
環状弁53は、この図においては明瞭ではないが、作動部52の基端側部分52kの外径の小さい細径部54の部位に位置するために封止は解除されている状態である。
【0088】
他方、作動部52の導通路52tとステム接続部51の内部空間51nとは閉鎖されたまま状態である。
即ち、作動部52の導通路52tの下端の横穴52yは、閉鎖状態の位置にあり、これによって、このスタンバイ状態において定量室が形成され、エアゾール容器内の内容液がこの定量室内に充填されたままに維持されるのである。
この定量室は、従って、バルブステムS内及びステム接続部51の内部空間51n内ということとなる。
【0089】
(2) 次に(B)図の状態において、使用者が作動部52を指で押下すると、内容液が噴射口59から外部空間へと噴霧される。
作動部52が押下されると、まずコイルスプリング68が収縮して、作動部52が下方に移行する。
作動部52が下方に移行すると、その基端側部分52kの大径部55がステム接続部51の内壁面51wに設けられた環状弁53と係合して封止が行なわれる。
【0090】
その後、それまで閉鎖されていた作動部52の導通路52tの横穴52yが開放され、定量室内に充填されていた内容液が、この横穴52y、導通路52tを通過して、噴射口59から外部空間に噴霧されるのである。
以上の作動手順において、その封止手段は、ステム接続部51の内壁面51wに設けられた環状弁53と、作動部52の基端側部分52kに形成された細径部54とこれに続く上方の大径部55との連携及び共働によって実行されるものである。
【実施例7】
【0091】
図7は、本発明のエアゾール容器の定量噴射ボタンに係る実施例7を図示する縦断面説明図であり、その(A)が不使用時の状態を示し、その(B)が作動部を押下して定量室を形成した状態を示し、その(C)が更に作動部を押下してバルブステムを押下し、内容液を定量室内に充填している状態を示している。
この実施例7は、作動部がステム接続部の内部に嵌入する点で上記実施例5及び6と同じであるが、噴射口の形式が上記のものと異なり、その噴射口が作動部の基端部外周縁部に円環状に形成されているものである。
また、コイルスプリングを使用せずに樹脂スプリングを使用している点でも相違する。
【0092】
この実施例7に係る定量噴射ボタン7は、エアゾール容器の上端のバルブステムSに接続するステム接続部71と、このステム接続部71の軸芯部にその基端側部分が嵌入する作動部72とから形成される。
ステム接続部71は、その全体が略筒形状で、その下端側の基端部分71kとこれに連続する上方側の先端部分71sとから成り、この先端部分71sの軸芯部分に前記作動部72の基端側部分72sが嵌入するように形成される。
また、ステム接続部71の軸芯部中央には上方に伸長する突出部71pが形成されている。この突出部71pは、その先端部が先細に形成され、後に説明する作動部71の下端面に形成されている樹脂スプリング78と係合するものである。
【0093】
他方、作動部72は、略円柱形状を有し、その上方側の外径がやや小さい先端側部分72sと、この先端側部分72sの外径よりも大きい基端側部分72kとから形成されたものである。
その基端側部分72kの外周には環状凹部を設けてOリング73が嵌合されている。
この作動部72の基端側部分72kがステム接続部71の内部に嵌入するように形成され、ステム接続部71の内部空間71nの上方側の内壁面にその内径の大きい大径部75が形成され、この大径部75の下方にはその内径が大径部75よりも小さい細径部74が形成されている。
【0094】
この大径部75及び細径部74と前記シーリング部材としてのOリング73とが係合することによって、定量室が形成されるのである。
即ち、Oリング73がステム接続部71の内部空間71n内の細径部74の部位に位置した際に封止が行われ、このOリング73がその大径部75の部位に位置した際にその封止が解除されるのである。
【0095】
そして、この実施例では、噴射口79がステム接続部71と作動部72との間の隙間によって形成されるため、円環状の噴射口79となっている。
作動部72の下面には、上記した通り、樹脂スプリング78が形成されており、この樹脂スプリング78は、弾力性を有する合成樹脂製の突条78t、78t、…が複数本円環状に下向きに配設されたものから成る。
【0096】
これら円環状に配設された突条78tの内部に前記ステム接続部71の突出部71pの先細の先端部が嵌入するように配置されるのである。
従って、作動部72が下方に押下されると、これらの突条78tが下方に位置するステム接続部71の突出部71pの先細先端部と適合して、それぞれの突条78tの先端部が外側方向に拡開され、その反発力が上方への反発力となって発揮され、コイルスプリングと同等の機能を発揮するのである。
【0097】
ステム接続部71の基端部分71kの軸芯部には導通路71tが形成され、この導通路71tの上端部には横方向に横穴71yが設けられ、ステム接続部71の内部空間71nと連通している。
この実施例において、作動部72の上下のストロークは、上記した樹脂スプリング78とステム接続部71の軸芯部に設けられた突出部71pとの係合により決定され、つまり樹脂スプリング78を形成する環状の突条78tの長さとほぼ同等と成る。
【0098】
この実施例での定量室は、上記Oリング73がステム接続部71の内部空間71nの細径部74の部位に位置したときに封止が行われて形成され、他方大径部75の部位に位置したときにその封止が解除されてその定量室の形成が消失して、内容液が円環状の噴射口79から外部に噴霧されるのである。
具体的には、その定量室は、バルブステムS内、導通路71t、横穴71y及びステム接続部71の内部空間71n内ということとなる。
【0099】
この実施例7の作動手順は以下の通りとなる。
(1) (A)図は、不使用(保管時)状態を示す。
この状態では、バルブステムSは、上方端に付勢されており、閉鎖状態である。またOリング73は、ステム接続部71の上方側の大径部75の部位に位置するために封止は解除された状態にある。
【0100】
(2) 次に(B)図は、作動部72が押下されて定量室が形成されているが、この状態ではバルブステムSが押下されておらず、開放状態となっておらず、内容液は未だ充填されていない。
【0101】
(3) 更に(C)図の状態のように、使用者が作動部72を更に指で押下すると、バルブステムSが押下され、エアゾール容器内の内容液が定量室内に導入され、充填される。
以上の作動手順において、その封止手段は、作動部72に設けられたOリング73と、ステム接続部71の内部空間71nの内壁面に形成された細径部74とこれに続く上方の大径部75との連携及び共働によって実行されるものである。
【0102】
以上、7つの実施例について説明したが、本発明においては、その特徴的な技術的事項は、3つに大別することができ、その一は、作動部とステム接続部からなるエアゾール容器の定量噴射ボタンにおいて、ステム接続部の先端部分が作動部の内部に嵌入するタイプ、その二は、作動部の基端側部分がステム接続部の内部に嵌入するタイプ、またその三は、前記第二のタイプにおいて、噴射口を円環状に作動部の基端外周部に設けたものである。
【0103】
また、それぞれの実施例において、その封止手段も各種設計変更することができる。
即ち、上記実施例では、Oリング又は環状弁と、これに係合する内壁面の大径部と細径部、或いは外壁面の大径部と細径部から構成されるが、これら相互に係合する構成部材は、相互に関係する内壁面又は外壁面の何れか一方の側に設けることができ、その何れの側に設けて実施することもできるものである。
要するに、Oリングや環状弁と細径部及び大径部との係合関係からなる封止手段において、その何れか一方をステム接続部又は作動部の何れか一方に設けて実施することができるものである。
【0104】
それぞれの実施例において、コイルスプリングや樹脂スプリング等の弾撥部材は、これを装着して形成することもできるし、これを介在させずに実施することもできる。
構成部材の材質は、金属製のコイルスプリング以外は合成樹脂製であり、適宜その材質を選択して採用することができる。
それぞれの構成部材のサイズ、形状等は自由に設計することができる。
特に、ステム接続部又は作動部の嵌入部分の長さ等は必要に応じて設計変更することができる。
【0105】
また、ステム接続部や作動部のそれぞれの構成部材を複数のパーツから構成し、これを合体・結合して一体化して形成してもよいものである。
とりわけ、内部にスプリングやシール材を内装する際には、複数のパーツを用いてステム接続部或いは作動部を形成することとなるのが普通である。
以上、本発明は、簡易な構成にして、その構成や組み合わせにおいて非常に多様な実施例を構想することができ、その封止手段もこれまでにない構成を採用することによって、エアゾール容器の定量噴射ボタンを提案することができたものである。