【実施例】
【0030】
図1から
図16には、本発明の好ましい一実施例のカレンダ機構としてのオートカレンダ機構1を備えた時計、即ち、カレンダ機構付時計2が示されている。
【0031】
カレンダ機構付時計2は、
図1に示したような外観3を有する。すなわち、カレンダ機構付時計2は、時針11a、分針11b及び秒針11cからなる時刻表示針11を中心軸線Cのまわりで時計回りC1に回転可能に備える。カレンダ機構付時計2の文字板12は月表示領域13a及び日表示領域13bを備えた月日表示窓13を有する。14は時計ケース、15はりゅうずである。
【0032】
図4の断面図に示した例では、時針11aが先端に取付けられた時車ないし筒車16a、分針11bが先端に取付けられた分車16b、秒針11cが先端に取付けられた秒車ないし四番車16cは、地板6や二番受7aで支持された中心パイプ7bを介して、中心軸線Cのまわりで回転自在に支持され、筒車16aの歯車部ないし筒歯車17a、分車16bの分歯車ないし二番歯車17b及び四番車16cの歯車部ないし四番歯車17cを相互に繋ぐと共に時計用ぜんまいを備えた香箱の如き駆動源(図示せず)に繋ぐ他の輪列を含む運針用輪列17によって回転される。17fはぜんまいの自動巻用の回転錘17gを支えるボールベアリング部である。
【0033】
図2に示した通り、第一及び第二日回し中間車33,34を介して筒車16aの筒歯車17aに日回し歯車部31で噛合した日回し車30は、中心軸線HのまわりでH1方向に1回転/日の速度で回転され、日回し爪32で日車40を反時計回りC2に間欠的に回転させる。
【0034】
日車40は、
図2に加えて
図4からわかるように、大径の環状板状の日表示車部41と、該日表示車部41の内縁から軸線方向に平行に延びた大径円筒状部42aと、該大径円筒状部42aの下端から径方向内向きに延びた小幅の鍔状部42bと、該鍔状部42bの内縁から軸線方向に平行に延びた小径厚肉円筒状部42cと、該小径厚肉円筒状部42cの下端側の内周縁に形成された日歯車部45と、大径円筒状部42aの内周縁に形成された月送り歯46とを有する。
【0035】
月送り歯部46は、二つの歯部46a,46bを含む。日表示車部41の文字板側表面41aには、1〜31までの31個の日付を表す文字LDが等間隔に表示されている。日歯車部45は、31個の歯部47を等間隔に備える。この例では、特定の隣接する歯部47a,47bの間に切欠部48を有する。切欠部48は、歯部47と概ね同程度の周方向幅を有する。日車40のC2方向回転は、日躍制爪部22a、日躍制バネ部22bを備える日ジャンパ22によって規正される。
図4〜
図6からわかるように、日車40の厚さ方向の位置ズレは、日歯車部45を覆うように地板6に取付けられた日車押さえ21によって規制されている。
【0036】
日車40の月送り歯部46は、月伝え車50を介して月車60を中心軸線CのまわりでC1方向に回転させる。
【0037】
月伝え車50は、
図2からわかるとおり、中心軸線Jのまわりで回転自在な歯車51からなり、歯車51の歯52は、日車40の月送り歯部46の歯部46a,46bと係合した際に、該歯部46a,46bの夫々によって一歯分だけJ1方向にされる。この例では、月送り歯部46が二つの歯部46a,46bを含むので、月伝え車50は、一月に二歯分だけJ1方向に回転される。
【0038】
月車ないし月表示車60は、
図4の如き断面説明図及び
図2の如き平面説明図からわかるように、筒車16aの筒状部16a1が遊嵌され日車押さえ21に固定された月表示車案内パイプ61と、ハブ部62で該案内パイプ61に回転自在に嵌合され外周にカム面63が形成された月カム64と、月カム64に嵌着され24個の歯部65を備えた月歯車66と、該月歯車66に固定された月表示板部67とを有する。
【0039】
月カム64のカム面63は、一ヶ月が31日である大の月に対応する小径円弧状カム面63aと、一ヶ月が30日以下である小の月に対応する大径円弧状カム面63bとを有する。
【0040】
月歯車66は月伝え車50と噛合し、月伝え車50が一ヶ月当たり二歯分回転される毎に二歯分回転され、中心軸線CのまわりでC1方向に、一年で一回転される。
【0041】
月表示板部67の文字板側表面67aには、1月から12月までの月を表す文字LMが二つずつ(全体で総計24個)等間隔に表示されている。月表示板部67は、
図4等からわかるように日車40の日表示車部41の内周縁よりも僅かに小径の外周縁を備える。従って、月表示板部67の文字板側表面67aにある月を表す文字LMが日表示車部41の文字板側表面41aにある日を表す文字LDよりも僅かに中心軸線Cに近い側で文字板12の月日表示窓13内の所定の領域13a,13bにおいて月日として表示される。
【0042】
月車60のC1方向回転は、月躍制爪部24a、月躍制バネ部24bを備える月ジャンパ24によって規正される。
図4〜
図6からわかるように、月車60の厚さ方向の位置ズレは、月カム64の文字板側への変位を規制するように月表示車案内パイプ61に取付けられた月車押さえ23によって規制されている。
【0043】
オートカレンダ機構1は、月カム64に加えて、作動レバー70及び駆動レバー構造体4を有する。
【0044】
作動レバー70は、
図2に示したように、軸71の中心軸線EのまわりでE1,E2方向に回動可能な腕部72と、先端の歯状被係合部73と、腕部72をE2方向に偏倚させるバネ部74とを有する。腕部72は、概ね真っ直ぐな腕部本体部75と該腕部本体部75の先端から歯状被係合部73の基端まで延びた「く」の字状の接続腕部76とからなる。軸71は、
図4に示したように、日表示車部41に嵌着されたピンからなり、該ピン71は小径部71aで腕部72の本体部75の孔77に回転自在に嵌合されている。作動レバー70は、
図4の断面説明図からわかるように、時計2の厚さ方向に見て、日車40の日歯車部45の歯部47や日回し車30の日回し爪32と概ね同じ厚さ方向位置であって、且つ日車押さえ21と駆動レバー構造体4の後述する第二駆動レバー90の円弧状腕部92との間に位置する。
【0045】
バネ部74は、先端部74aで日車40の小径厚肉円筒状部42cの外周面に当接し、通常は、作動レバー70の腕部72及び歯状被係合部73をE2方向に偏倚した通常送り許容位置としての非係合位置ないし後退位置P1(例えば
図2)に設定する。歯状被係合部73は、日車40の切欠部48に丁度臨む位置にあり、作動レバー70がE1方向に回動偏倚された場合、歯状被係合部73は、例えば後述の
図8の(a)等に示すような事前送り許容位置としての係合位置ないし突出位置P2に設定される。
【0046】
駆動レバー構造体4は、第一の駆動レバー80と、第二の駆動レバー90とからなる。
【0047】
第一の駆動レバー80は、円弧状の腕部81と、該円弧状腕部81の中間部81aから概ね径方向外向きに延びた直線状腕部82とを含む。円弧状腕部81は、中間部81aよりも基端側に位置する基端側円弧状腕部83と、中間部81aよりも先端側に位置する先端側円弧状腕部84とからなる。基端側円弧状腕部83の基端部には概ね径方向内向きに延びたカム従節部85が形成されている。直線状腕部82は、ピン86を介して中心軸線Aの回りでA1,A2方向に回動自在である。ピン86は、
図4に示したように、大径部において日車押さえ21に取付けられている。第一駆動レバー80は、先端側円弧状腕部84の先端部84aに第二駆動レバー90の基端側と係合する係合凹部87を有する。第一駆動レバー80は、
図4及び
図5の断面説明図からわかるように、時計2の厚さ方向に見て、日車押さえ21と月車60の月歯車66との間であって月カム64と実際上同一のところに位置する。
【0048】
第二の駆動レバー90は、直線状腕部91と、円弧状腕部92と、バネ部93とを有し、円弧状腕部92の一端部92aの回転中心軸線BのまわりでB1,B2方向に回動可能である。より詳しくは、第二駆動レバー90は、
図6に示したように、地板6に螺着されたピン94に端部92aにある孔部95で回動可能に嵌合されている。第二駆動レバー90の円弧状腕部92は、
図4〜
図6の断面説明図からわかるように、時計2の厚さ方向に見て、地板6のレバー配設作動用凹部内において、作動レバー70の腕部72よりも僅かに裏蓋側(文字板12から遠い側)に位置する。
【0049】
直線状腕部91は、一端部91aにピン状係合部96を備え、該ピン状係合部96において、第一駆動レバー80の係合凹部87に係合されている。直線状腕部91は、他端部91bで円弧状腕部92の中間部92bにつながっている。バネ部93は、基端部93aにおいて円弧状腕部92の端部92aの側縁92cにつながり、先端部93bにおいて地板6の如き静置部材の壁部6bに係止されていて、第二駆動レバー90にB2方向の偏倚力を及ぼす。従って、第一駆動レバー90は、ピン状係合部96と第一駆動レバー80の係合凹部87との係合を介して、第一駆動レバー80に対して、A1方向偏倚力を及ぼし、第一駆動レバー80のカム従節部85を月カム64のカム面63に押付ける。
【0050】
第二駆動レバー90の円弧状腕部92は、もう一方の端部(先端部)92dにピン状押圧部97を備える。第一駆動レバー80のカム従節部85が月カム64のカム面63のうち小の月のカム面63bによって押されて、第一駆動レバー90がA2方向に回動されると、係合部87,96間の係合を介して、第二駆動レバー90がB1方向に回動され、第二駆動レバー90のピン状押圧部97が、作動レバー70の腕部本体部75の外側面78を押して、先端の歯状被係合部73を通常送り許容位置としての後退位置P1から事前送り許容位置としての突出位置P2へとE1方向に回動変位させる。
【0051】
従って、大の月においては、月車60の回転に伴い駆動レバー構造体4の第一駆動レバー80のカム従節部85が月カム64の小径円弧状カム面部63aに当接するので、駆動レバー構造体4の第一駆動レバー80がA1方向に回動した大の月位置Q1を採る。このとき、第一駆動レバー80の係合凹部87が後退するので、バネ部93のバネ力の作用下で第二駆動レバー90のピン状係合部96のある直線状腕部91及びこれと一体的な円弧状腕部92がB2方向に回動変位される。その結果、駆動レバー構造体4の第二駆動レバー90の腕部92の先端部にあるピン状押圧部97が、
図3等に示したように、作動レバー70の軌跡(日車40がC2方向に回転される際において該日車40に取付けられ通常送り許容位置としての後退位置P1にある作動レバー70の外側面部78が通る軌跡)の外に位置する。より詳しくは、第二駆動レバー90は、そのピン状押圧部97が、少なくとも、日回し爪32が走査される角度領域においては、作動レバー70の軌跡(日車40がC2方向に回転される際において該日車40に取付けられ後退位置P1にある作動レバー70の外側面部78が通る軌跡)の外に位置する大の月位置S1を採る。従って、大の月においては、駆動レバー構造体4は、実際上作動レバー70を駆動変位しない。
【0052】
一方、小の月においては、駆動レバー構造体4の第一駆動レバー80のカム従節部85が月カム64の大径円弧状カム面部63bに当接するので、駆動レバー構造体4の第一駆動レバー80がA2方向に回動した小の月位置Q2を採る。このとき、第一駆動レバー80の係合凹部87が第二駆動レバー90のピン状係合部96をバネ部93のバネ力に抗して押すので、第二駆動レバー90のピン状係合部96のある直線状腕部91及びこれと一体的な円弧状腕部92がB1方向に回動変位される。その結果、駆動レバー構造体4の第二駆動レバー90の腕部92の先端部にあるピン状押圧部97が、
図2等に示したように、作動レバー70の軌跡(日車40がC2方向に回転される際において該日車40に取付けられた作動レバー70が通常送り許容位置としての後退位置P1にある場合にその外側面部78が通る軌跡)内に位置する。より詳しくは、第二駆動レバー90は、そのピン状押圧部97が、日回し爪32が走査される角度領域において、作動レバー70の軌跡(日車40がC2方向に回転される際において該日車40に取付けられた作動レバー70が後退位置P1にある場合にその外側面部78が通る軌跡)内に位置する小の月位置S2を採る。従って、小の月においては、駆動レバー構造体4は、作動レバー70が日回し爪32の走査領域に入ると作動レバー70を駆動変位させる。
【0053】
次に、以上の如く構成されたオートカレンダ機構1を備えた時計2のカレンダ機構1の動作について、説明する。
【0054】
例えば、5月の如く一月が31日ある大の月においては、
図3に示したように、駆動レバー構造体4の第一駆動レバー80は、第二駆動レバー90のバネ部93のバネ力の作用下でA1方向に回動されてカム従節部85が月車60の月カム64の小径カム面63aに当接する大の月位置Q1を採る。これに応じて、係合部87,96間の係合を介して第二駆動レバー90がB2方向に回動した大の月位置S1を採り、第二駆動レバー90のピン状押圧部97が、実際上、作動レバー70の回転軌跡の外側に位置する。従って、作動レバー70は、日車40の回転位置にかかわらず、
図3に示したように、バネ部74のバネ力の作用下で実際上E2方向に偏倚した通常送り許容位置としての後退位置P1を採り、作動レバー70の歯状被係合部73が日車40の切欠部48から径方向内向きに突出することはない。
【0055】
その結果、日車40の回転位置にかかわらず、日回し爪32が一日に一回転される際に、より詳しくは日変りのときに、日歯車45の最近接位置にある歯部47に係合して日歯車45を一歯分だけ反時計回りC2に間欠回転させる。この動作は、31日間(五月の間中毎日)実際上同じである。
【0056】
なお、月末近くになると、日車40の月送り歯46が月伝え車50の歯52に係合して月伝え車50をJ1方向に回し、該月伝え車50が月歯車66を回して、月表示車67の月表示を進める。この例では、29日から30日に変るところで前側の月送り歯46aが月伝え車50を介して月車60を一歯分だけ回し、更に、月変わりになるところ(31日から1日に変るところ)で、後側の月送り歯46bが月伝え車50を介して月車60を一歯分だけ回して、月車60の月表示車67による月表示を、例えば、5月(MAY)から6月(JUN)に変える。
【0057】
一方、例えば、4月の如く一月が30日ある小の月においては、前述の通り、例えば
図2や
図7の(a)に示したように、駆動レバー構造体4の第一駆動レバー80は、第二駆動レバー90のバネ部93のバネ力に抗してA2方向に回動されてカム従節部85が月車60の月カム64の大径カム面63bに当接する小の月位置Q2を採る。これに応じて、係合部87,96間の係合を介して第二駆動レバー90がB1方向に回動した小の月位置S2を採り、第二駆動レバー90のピン状押圧部97が、作動レバー70の回転軌跡の範囲内に入り込む。
【0058】
駆動レバー構造体4を構成する第一及び第二駆動レバー80,90が小の月位置Q2,S2にあるこの状態で、月初から日が経つにつれて、日回し車30が一回転する毎に日回し爪32が日車40の日歯車45の歯部47を一日に一歯分だけ反時計回りC2に送り、文字板12の月日窓13内の日表示領域13bに表示される日付が「1」から一つずつ増す。
【0059】
図7の(a)に示したように、29日の終り頃(この例では、例えば、22時(午後10時)44分頃)になると、日回し爪32が日歯車45の最近接歯部47に係合する。
【0060】
この後、時の経過に伴う筒車16aの回転に応じた日回し車40の回転により、
図7の(b)に示したように、日回し爪32が日車40をC2方向に回す。これに応じて、日車40の月送り歯46の前側の歯部46aが月伝え車50の歯部52に係合し始める直前状態に達し月車60もC1方向に回し始める直前状態に達している。日車40のC2方向回転により、
図7の(b)では、日ジャンパ22の爪部22aの先端が歯部47の頂点に達して日の切り替えが行われる直前の状態になっている。また、
図7の(b)では、日車40と共にC2方向に回転された作動レバー70の外側面78が、作動レバー70と干渉する小の月位置S2にある第二駆動レバー90のピン状押圧部97に当接する直前の状態になっている。
【0061】
日ジャンパ22が飛ぶと、
図7の(b)に示した状態から
図8の(a)に示したように表示が4月30日に変った直後の状態に移る。このとき、前側の月送り歯46aが月伝え車50を介して月車60を一歯分だけC1方向に回すので、カム従節部85が月カム64の大径カム面部63bに沿って周方向に変位するけれども、カム従節部85の径方向位置は変らないので、第一及び第二駆動レバー80,90は
図7の(b)の場合と実際上同じ位置Q2,S2に留まる。
【0062】
一方、ジャンパ22が日歯車45を半歯分だけC2方向に回すので、日歯車45の歯47は日回し爪32から離れ、次の歯47が日回し爪32の背後に近い所定位置に達する。この歯47は、切欠部48を挟む前側の歯47aである。
【0063】
なお、4月(小の月)の30日の状態では、上記の日車40の反時計回りC2の間欠回転に伴い作動レバー70のうち径方向最外部に位置する外側面78が該外側面78のC2方向回転軌跡内に入り込んでいる第二駆動レバー90のピン状押圧部97に押し付けられるので、作動レバー70がバネ部74のバネ力に抗してE1方向に回動されると共に、作動レバー70の先端の歯状被係合部73が日車40の日歯車45の歯部47a,47b間の切欠部48に丁度嵌込む。このとき、作動レバー70の先端の歯状被係合部73は、
図8の(a)及び(b)に示したように、日車40の日歯車45を構成する通常の歯部47よりも大きく半径方向内向きに突出し日回し爪32の軌跡内に位置する事前送り許容位置としての突出位置P2を採る。なお、作動レバー70の先端の歯状被係合部73のこの突出位置P2が日回し爪32の軌跡内であって作動レバー70の先端の歯状被係合部73が日回し爪32と係合し得る限り、作動レバー70の先端の歯状被係合部73の突出量は日歯車45の歯部47の突出量よりも大きい代わりに該歯部47の突出量と同程度でも歯部47の突出量よりも多少小さくてもよい。
【0064】
この後、時間の経過と共に筒車16aが回り、それに応じて、日回し車30がまわって、
図8の(b)に示したように、日回し爪32が概ね一周して切欠部48内に突出した作動レバー70の歯状被係合部73に噛合い始める。この例では、これは、例えば、21時19分頃である。即ち、4月30日の午後9時20分頃になると、通常の日回し開始時刻(この例では、上述のように、午後10時45分頃)よりも多少早いものの概ね同程度の時間帯に日送り動作が開始されることになる。すなわち、この例では、日回し爪32が日車40に取付けられた作動レバー70の歯状被係合部73に係合してこれを送ることにより、日車40をC2方向に回すことになる。
【0065】
図9の(a)では、日回し爪32が日歯車45の歯部47a,47b間において切欠部48内に挿入された作動レバー70の歯状被係合部73に係合した状態における日車40のC2方向回転が進んで、日ジャンパ22が飛ぶ寸前の状態が示されている。ここで、作動レバー70の歯状被係合部73は、通常ならば日回し爪32によって送られることになる歯部47aよりも上流側において日回し爪32と係合することから、通常よりも多少(この例では1時間半程度)早めに日車40の送りが開始され、通常よりも早く日ジャンパ22の躍制爪部22aが係合位置にある歯部47に対して飛ぶことになる。なお、この状態では、後側の月送り歯46bは月伝え車50の歯52のところに達していないので、月送りは行われない。
【0066】
日ジャンパ22が飛ぶと、その直後は、
図9の(b)に示したような状態になる。すなわち、駆動レバー構造体4を構成する第一及び第二駆動レバー80,90は実際上同じ位置Q2,S2に留まるけれども、日車40のC2方向回転に伴い、日歯車45のうち、作動レバー70の歯状被係合部73の直後(上流側)にある歯部47bの前縁47b1が日回し爪32の先端部の後縁32bにぶつかって日回し爪32に対してF方向の力を及ぼす。日歯車45の歯部47bは、更に、日回し爪32をF方向に後退させながら日回し爪32をC2方向に追越す追越動作を開始する。
【0067】
日ジャンパ22の前記の飛び(飛躍)動作が完了する直前の時点においては、
図10の(a)に示したように、日歯車45のうち切欠部48の後側の歯部47bの前縁47b1の先端が日回し爪32の後縁32bの先端に当たる状態になる。この間、駆動レバー構造体4を構成する第一及び第二駆動レバー80,90は実際上同じ位置Q2,S2に保たれる。一方、日車40のC2方向回転に伴い第二駆動レバー90のピン状押圧部97が作動レバー70の外側面78のうち径方向内側に後退した外側面部78aに係合するようになるので、作動レバー70はE2方向に回動されて、その歯状被係合部73が切欠部48から抜けた通常送り許容位置としての後退位置P1に戻る。
【0068】
日ジャンパ22の飛び動作が完了する時点においては、
図10の(b)に示したように、切欠部48の後側の歯部47bが日回し爪32を完全に追い越した位置(被日送り位置)で日ジャンパ22によって規正された状態になる。このとき、日回し爪32は被日送り位置に達した日歯車45の歯部47bの背後に位置することになるので、日回し車30のH1方向回転により歯部47bを日送り可能になる。なお、駆動レバー構造体4を構成する第一及び第二駆動レバー80,90は実際上同じ位置Q2,S2に保たれ、作動レバー70も歯状被係合部73が切欠部48から抜けた通常送り許容位置としての後退位置P1に保たれる。
【0069】
時の経過に伴う筒車16aの回転に応じて、日回し車30がH1方向に回り、
図11の(a)に示したように、日回し爪32が被日送り位置にある日歯車45の歯47bを送り始める。この時点は、この例では、22時(午後10時)44分である。このとき、日車40のC2方向回転により、後側の月送り歯46bが月伝え車50の歯部52に噛合う直前の状態にあり、この後、日送りの進行と同時に月送りが進行することになる。一方、この間、駆動レバー構造体4を構成する第一及び第二駆動レバー80,90は実際上同じ位置Q2,S2に保たれ、作動レバー70も歯状被係合部73が切欠部48から抜けた通常送り許容位置としての後退位置P1に保たれる。
【0070】
日回し車30の日回し爪32による日送り即ち日車40の日歯車45の歯47bの送りが進行して、日車40が日歯車45の半ピッチ分だけ回転すると、
図11の(b)に示した状態になる。このとき、日ジャンパ22の躍制爪部22aの先端が日歯車45の最近接歯部47の実際上先端ないし頂点に当接する状態にある。
【0071】
この状態では、日車40のC2方向回転に伴い日車40の後側の月送り歯46bが歯52に係合し月伝え車50をJ1方向に回転させて月車60をC1方向に回す。これにより、第一駆動レバー80のカム従節部85が月カム64の大径円弧状カム面63bの端から外れ、バネ部93の作用下で、A1方向に回動して月カム64の小径円弧状カム面63aに当接する大の月状態ないし位置Q1になり、これに応じて、第二駆動レバー90もB2方向に回動されて、大の月位置S1に戻り、ピン状押圧部97が作動レバー70の軌跡から完全に外れる。従って、
図11の(b)の状態では、日車40による日表示が「31」と「1」との中間に達し、月車60による月表示も「四月(APR)」と「五月(MAY)」との中間に達している。なお、作動レバー70は歯状被係合部73が切欠部48から抜けた通常送り許容位置としての後退位置P1に保たれる。
【0072】
日ジャンパ22の躍制爪部22aが飛び(飛躍)動作を完了して次の歯47,47の間に落ちて日歯車45を規正すると、
図12に示した状態になる。この状態では、日車40のC2方向回転に伴い日表示が、文字板12の月日窓13の日表示領域13bにおいて「31」と「1」との中間を示す状態から完全に「1」を示す状態に変わる。一方、日車40のC2方向回転に伴う月送り歯46bのC2方向回転により、月伝え車50もJ1方向に回転して、月車60をC1方向に回転させ、これに応じて月車60の月表示板67もC1方向に回転して、月表示も、文字板12の月日窓13の月表示領域13aにおいて「四月(APR)」と「五月(MAY)」との中間を示す状態から完全に「五月(MAY)」を示す状態に変わる。この間、駆動レバー構造体4を構成する第一及び第二駆動レバー80,90は実際上同じ大の月位置Q1,S1に保たれ、作動レバー70も歯状被係合部73が切欠部48から抜けた通常送り許容位置としての後退位置P1に保たれる。これにより、完全に、大の月を表示する状態(この例では、5月1日を表示する状態)になる。その後は、
図3に関して説明したように、大の月の日送りが繰返される。
【0073】
なお、大の月から小の付月に移る場合、
図13の(a)及び(b)において例示したように、月変わりのタイミングにおいて、月車60のC1方向回転に応じて駆動レバー構造体4の第一駆動レバー80のカム従節部85が月カム64の大の月に対応する小径円弧状部63aから小の月に対応する大径円弧状部63bに移り、これにより、第一駆動レバー80がバネ部93のバネ力に抗してA2方向に回動されて小の月位置Q2を採り、更に、第二駆動レバー90がバネ部93のバネ力に抗してB1方向に回動されて小の月位置S2を採る。これにより、第二駆動レバー90のピン状押圧部が作動レバー70のC2方向回転軌跡内に入り、小の月の月末処理の準備ができる。その他の点は、
図3に関連して説明した通りである。
【0074】
なお、カレンダ機構付時計2は、手動カレンダ修正機構5として、日修正位置U1と月修正位置U2との間でV1,V2方向に揺動可能な揺動車25、月修正車26及び修正伝え車27を有する。りゅうず15を引いて巻真18を一段引出した巻真一段目において、巻真18を一方向に回すと、修正伝え車27を介して揺動車25が日修正位置U1にV1方向に移動されて日歯車45と噛合され、巻真18の前記一方向の回転に応じて日車40がC2方向に回転されて日修正が行われる。一方、巻真一段目において、巻真18を逆方向に回すと、揺動車25が月修正位置U2にV2方向に移動されて月歯車66と噛合され、巻真18の前記逆方向の回転に応じて月車60がC1方向に回転されて月修正が行われる。
【0075】
図14から
図18には、本発明の好ましい別の一実施例のカレンダ機構としてのオートカレンダ機構1Aを備えた時計、即ち、カレンダ機構付時計2Aが示されている。
図14から
図18に示したカレンダ機構1A付きの時計2Aにおいて、
図1から
図13に示したカレンダ機構1付きの時計2の要素と比較して、同じ要素には同一の符号が付され、対応するけれども異なるところのある要素には対応する符号の後に添字Aが付されている。
【0076】
時計2Aのオートカレンダ機構1Aでは、例えば
図14及び
図15に示したように、日車40Aの日歯車45Aが、剛性の日回し爪32Aによって31日に送られるべき歯47cに重なる周方向位置において歯47cの裏蓋側面及び小径厚肉円筒状部42cAに切欠部48Aを備える。なお、日回し爪32Aは、時計2のオートカレンダ機構1の日回し爪32と同様に弾性的に撓み得る腕部を備えていてもよい。
【0077】
また、時計2Aのオートカレンダ機構1Aでは、
図14に示したように、作動レバー70Aは、歯状被係合部73Aが歯47cのところにある切欠部48Aに嵌り込むような周方向位置で回動可能に日車40Aに取付けられた腕部72とバネ部74とを有する。歯状被係合部73Aは、切欠部48A内に挿入された際に、その先端部73Aaが歯47cの先端部よりも径方向内向きに大きく突出するように長く形成されている。
【0078】
その他の点では、時計2Aのオートカレンダ機構1Aは、時計2のオートカレンダ機構1と実際上同様に形成されている。
【0079】
以上の如く構成された本発明の好ましい別の一実施例のカレンダ機構付時計2Aのオートカレンダカレンダ機構1Aでは、小の月の月末には、次のような動作が行われる。
【0080】
図16の(a)は、最初の実施例のカレンダ機構付時計2のオートカレンダカレンダ機構1についての
図7の(a)に対応する状態を示し、例えば、4月29日から4月30日への日替わりが始まる直前の状態である。この状態では、駆動レバー構造体4の第一及び第二駆動レバー80,90は、夫々、小の月用の位置Q2,S2に位置するけれども、作動レバー70Aはまだ通常送り許容位置としての後退位置P1Aに位置する。
【0081】
図16の(b)は、オートカレンダカレンダ機構1についての
図7の(b)に対応する状態を示し、例えば、4月29日から4月30日への表示の日替わり進行している状態である。この状態でも、駆動レバー構造体4の第一及び第二駆動レバー80,90は、夫々、小の月用の位置Q2,S2に位置するけれども、作動レバー70Aはまだ通常送り許容位置としての後退位置P1Aに位置する。
【0082】
この状態では、駆動レバー構造体4の第二駆動レバー90が小の月用の位置S2に設定され、ピン状押圧部97が作動レバー70AのC2方向回転軌跡内にB1方向に入り込んでいるので、日車40AのC2方向回転により、作動レバー70Aの外側面78がピン状押圧部97のところに達すると、作動レバー70Aがピン状押圧部97によってE1方向に押され得るようになり、作動レバー70Aの歯状被係合部73Aが切欠部48Aを通って径方向内向きに突出し得るようになる。
【0083】
図17の(a)は、4月30日から次の日への日送りが開始される際の時計2Aのカレンダ機構1Aの状態を示す。この時点では、作動レバー70Aがピン状押圧部97によってE1方向に押されて、作動レバー70Aの長い歯状被係合部73Aが切欠部48Aに挿入され、且つその先端部73Aaが重なる位置にある歯47cよりも大きく径方向内向きに突出した事前送り許容位置としての位置P2Aに設定されている。従って、日回し車30Aの日回し爪32Aが本来の日送り位置にある歯部47dよりも一歯分だけ上流側に位置する歯部47cの位置において大きく突出した歯状被係合部73Aの先端部73Aaと係合して、これをC2方向に送り始める。この状態は、時計2のカレンダ機構1の場合の
図8の(b)の状態に概ね対応する。但し、送りが開始される時刻はこの例では例えば19時(午後7時)頃で、
図8の(b)の場合よりも2.5時間程度早くなる。
【0084】
その後、筒車16aの回転に伴う日回し車30Aの回転に応じて歯状被係合部73Aの先端部73Aaで日車40AのC2方向回転ないし日送りが進行し、
図17の(b)に示したように日ジャンパ22が飛ぶ直前の状態に達する。これは、小の月(この例では4月)の終りの日である30日において、大の月(この例では5月)の1日に移る際に行われる二日分の日送りの最初の一日分の日送り(「30」日から「31」日への日送り)の丁度中間の状態であって、時計2のカレンダ機構1の場合の
図9の(a)の状態に概ね対応する。
【0085】
次に、日ジャンパ22による飛び(飛躍)及び隣接歯47,47間への落ち込みによる規正動作が行われる。このとき、日車40Aの日歯車45Aは、C2方向に概ね半ピッチ分回転して、「31」が月日窓13の日表示領域13bに表示される
図18の(a)に示した状態になる。この状態は、時計2のカレンダ機構1の場合の
図10の(b)の状態に概ね対応する(但し、
図17の(a)に関連して説明したように日回し車40Aの位置は
図10の(b)の日回し車40の位置とは多少異なる)。
【0086】
この状態では、作動レバー70Aの外側面78の後退(凹状)外側面部78aが第二駆動レバー90のピン状押圧部97に接触するようになるので、作動レバー70Aは、バネ部74の作用下で歯状被係合部73Aが切欠部48Aを通って突出する事前送り許容位置としての位置P2Aから切欠部48Aの手前側に引いた通常送り許容位置としての位置P1AにE2方向に回動して後退する。一方、日歯車45AのC2方向の半ピッチ分の回転により、切欠部48Aのある歯部47cが日回し車30Aの日回し爪32Aよりも先行して次に日送りされるべき位置に落ち着く。
【0087】
その後、筒車16aの回転に伴う日回し車30Aの回転に応じて、
図18の(b)に示したように、日回し爪32Aが被日送り位置にある歯47cに係合して該歯47cを送り始めると共に、日車40Aの後側の月送り歯46bが月伝え車50を介して月車60を回して月送りを始める。これにより、月日窓13の日領域13bの日表示が、「31」日から「1」日に変わると共に、月領域13aの月表示が、「四月(APR)」から「五月(MAY)」に変わる。これは、時計2のカレンダ機構1の場合の
図11の(a)の状態に概ね対応する。小の月におけるこれ以後の動作は、時計2のカレンダ機構1の場合と同様である。
【0088】
また、大の月においては、月カム64の小径円弧状部63aにカム従節部85が当接するので、駆動レバー構造体4の第一及び第二のレバー80,90が夫々A1,B2方向に回動した大の月位置Q1,S1を採って、ピン状押圧部97が作動レバー70AのC2方向回転軌跡から完全に外れるので、作動レバー70Aも常時E2方向に回動して歯状被係合部73Aが切欠部48Aから完全に後退した通常送り許容位置としての位置P1Aを採るから、日回し車30Aの日回し爪32Aは、日歯車部45Aの31個の歯部47を順に送る点で、時計2のカレンダ機構1の場合と同様である。大の月から小の月に移る場合の動作も、基本的には、時計2のカレンダ機構1の場合と同様である。
【0089】
図19から
図23には、本発明の好ましい更に別の一実施例のカレンダ機構としてのオートカレンダ機構1Bを備えた時計、即ち、カレンダ機構付時計2Bが示されている。
図19から
図23示したカレンダ機構1B付きの時計2Bにおいて、
図1から
図13に示したカレンダ機構1付きの時計2の要素や
図14から
図18に示したカレンダ機構1A付きの時計2Aの要素と比較して、同じ要素には同一の符号が付され、対応するけれども異なるところのある要素には対応する符号(但し最後にAがある場合にはAを除く)の後に添字Bが付されている。
【0090】
時計2Bのオートカレンダ機構1Bでは、例えば
図19に示したように、
図14等に示した時計2Aのオートカレンダ機構1Aの場合と同様に、日車40Bの日歯車45Bが、剛性の日回し爪32Aによって31日に送られるべき部分の歯を欠き該部分(周方向領域)に切欠部48Bが形成されている。この場合も、日回し爪32Aは、時計2のオートカレンダ機構1の日回し爪32と同様に弾性的に撓み得る腕部を備えていてもよい。
【0091】
また、時計2Bのオートカレンダ機構1Bでは、
図20や
図21に示したように、作動レバー70Bが外側面部78において駆動レバー構造体4の第二駆動レバー90のピン状押圧部97によって押されてE1方向に回動した事前送り許容位置としての位置P2Bを採る場合に、作動レバー70Aの場合と同様に、径方向内向きに日歯車45Bの通常の歯47よりも大きく突出するように長い歯状被係合部73Bを備える。
【0092】
オートカレンダ機構1Bの作動レバー70Bは、駆動レバー構造体4の第二駆動レバー90のピン状押圧部97が外側面部78に接触しない領域に径方向外向きに後退している場合、オートカレンダ機構1Aの作動レバー70Aと異なり、
図22や
図23に示したように、歯状被係合部73Bが日歯車45Bの通常の歯47と丁度同じような径方向位置まで切欠部48Bから径方向内向きに突出する状態を採るように、歯状被係合部73Bやバネ部74Bが形成されている。
【0093】
その他の点では、時計2Bのオートカレンダ機構1Bは、時計2のオートカレンダ機構1や時計2Aのオートカレンダ機構1Aと実際上同様に形成されている。
【0094】
以上の如く構成された本発明の好ましい更に別の一実施例のカレンダ機構付時計2Bのオートカレンダカレンダ機構1Bでは、小の月の月末には、次のような動作が行われる。
【0095】
図19は、カレンダ機構付時計2のオートカレンダカレンダ機構1についての
図7の(a)に対応し、カレンダ機構付時計2Aのオートカレンダカレンダ機構1Aについての
図16の(a)に対応する状態を示し、例えば、4月29日から4月30日への日替わりが始まる直前の状態である。この状態では、駆動レバー構造体4の第一及び第二駆動レバー80,90は、夫々、小の月用の位置Q2,S2に位置するけれども、作動レバー70Aはまだ通常送り許容位置としての後退位置P1Bに位置する。
【0096】
この状態で、日送りが行われて「30」日になる。このとき、位置S2に位置する第二駆動レバー90のピン状押圧部97に作動レバー70Bの外側面78が押し付けられて作動レバー70BがE1方向に回動されて事前送り許容位置としての位置P2Bに設定され、該作動レバー70Bの歯状被係合部73Bが日車40Bの日歯車45Bの切欠部48Bを通って径方向内向きに大きく突出する。
【0097】
この30日の状態で且つ筒車16aの回転に伴う日回し車30Aの回転によって日回し爪32Aが作動レバー70Bの大きく突出した歯状被係合部73Bの先端部73Baに当たって日送りを始める状態が、
図20に示されている。この状態は、カレンダ機構付時計2Aのオートカレンダカレンダ機構1Aについての
図17の(a)に示した状態(従って、カレンダ機構付時計2のオートカレンダカレンダ機構1についての概ね
図8の(b)の状態)に対応する。すなわち、日回し車30Aの日回し爪32Aが本来の日送り位置にある歯部47dよりも一歯分だけ上流側に位置する周方向位置において大きく突出した歯状被係合部73Bの先端部73Baと係合して、これをC2方向に送り始める。この送りが開始される時刻はカレンダ機構付時計2Aのオートカレンダカレンダ機構1Aの場合と同様に、例えば19時(午後7時)頃で、
図8の(b)の場合よりも2.5時間程度早くなる。
【0098】
その後、筒車16aの回転に伴う日回し車30Aの回転に応じて歯状被係合部73Bの先端部73Baで日車40BのC2方向回転ないし日送りが進行し、時刻はカレンダ機構付時計2Aのオートカレンダカレンダ機構1Aについて
図17の(b)に示したのと同様に、
図21に示した状態(日ジャンパ22が飛ぶ直前の状態)に達する。これは、前述の通り、小の月(この例では4月)の終りの日である30日において、大の月(この例では5月)の1日に移る際に行われる二日分の日送りの最初の一日分の日送り(「30」日から「31」日への日送り)の丁度中間の状態で、時計2のカレンダ機構1の場合の
図9の(a)の状態に概ね対応する。
【0099】
次に、日ジャンパ22による飛び(飛躍)及び隣接歯47,47間への落ち込みによる規正動作が行われ、日車40Bの日歯車45BがC2方向に概ね半ピッチ分回転して「31」が月日窓13の日表示領域13bに表示される。この状態では、作動レバー70Bの外側面78の後退(凹状)外側面部78aが第二駆動レバー90のピン状押圧部97に対面するようになりピン状押圧部97に接触しなくなるので、作動レバー70Bは、バネ部74Bの作用下で歯状被係合部73Bの先端部73Baが日歯車45Bの通常の歯部47と実際上同じ径方向突出位置になる。一方、日歯車45BのC2方向の半ピッチ分の回転により、切欠部48Bにおいて通常の歯部47と実際上同じ突出状態を取っている歯状被係合部73Bが日回し車30Aの日回し爪32Aよりも先行して次に日送りされるべき位置に落ち着く。
【0100】
その後、筒車16aの回転に伴う日回し車30Aの回転に応じて、
図22に示したように、日回し爪32Aが被日送り位置にある歯73Bに係合して該歯73Bを送り始めると共に、日車40Bの後側の月送り歯46bが月伝え車50を介して月車60を回して月送りを始める。これにより、月日窓13の日領域13bの日表示が、「31」日から「1」日に変わると共に、月領域13aの月表示が、「四月(APR)」から「五月(MAY)」に変わる。これは、時計2Aのカレンダ機構1Aの場合の
図18の(b)の状態ないし時計2のカレンダ機構1の場合の
図11の(a)の状態に概ね対応する。小の月におけるこれ以後の動作は、時計2Aのカレンダ機構1Aや時計2のカレンダ機構1の場合と同様である。
【0101】
大の月においては、月カム64の小径円弧状部63aにカム従節部85が当接するので、駆動レバー構造体4の第一及び第二のレバー80,90が夫々A1,B2方向に回動した大の月位置Q1,S1を採って、ピン状押圧部97が作動レバー70BのC2方向回転軌跡から完全に外れるので、作動レバー70Bも常時E2方向に回動して歯状被係合部73Bが切欠部48Bから通常の歯47と同じだけ突出する通常送り許容位置としての位置P1Bを採るから、日回し車30Aの日回し爪32Aは、日歯車部45Bの30個の歯部47と同様に歯状被係合部73Bを送る点で、結果的には、時計2Aのカレンダ機構1Aや時計2のカレンダ機構1の場合と同様である。大の月から小の月に移る場合の動作も、基本的には、時計2Aのカレンダ機構1Aや時計2のカレンダ機構1の場合と同様である。