特許第5736258号(P5736258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736258
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】内視鏡の光コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   A61B1/06 D
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-149881(P2011-149881)
(22)【出願日】2011年7月6日
(65)【公開番号】特開2013-13648(P2013-13648A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】沼澤 吉延
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−178808(JP,U)
【文献】 特開平04−125611(JP,A)
【文献】 実開平04−055302(JP,U)
【文献】 特開2002−209846(JP,A)
【文献】 特開平07−230009(JP,A)
【文献】 特開平06−105795(JP,A)
【文献】 特開昭62−034525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡内に挿通配置されたレーザビーム伝送用の光ファイバの光入射端部をレーザ光源装置に接続するための内視鏡の光コネクタ装置であって、レーザ光源装置のレーザビーム射出コネクタに対して光ファイバの光入射端部を接続/分離自在なプラグ部と、内視鏡本体に連結された可撓管の一端とがコネクタ本体部の異なる部位に取り付けられ、コネクタ本体部内において、電装品が配置された空間である電装品室と光ファイバが通過する空間であるファイバ通過室とがコネクタ本体部内において隔壁板により仕切られた構成を有する内視鏡の光コネクタ装置において、
前記光ファイバ
前記光ファイバの光入射端部と前記隔壁板とが所定の位置関係に設定されていることにより、前記プラグ部側から前記コネクタ本体部内への導入部において真っ直ぐに走行し、且つ少なくとも該隔壁板の厚み方向において尚も真っ直ぐ走行する状態で該隔壁板の前記ファイバ通過室側の板面に沿わせられている、
内視鏡の光コネクタ装置。
【請求項2】
前記光ファイバは、
前記コネクタ本体部内において、前記隔壁板の厚み方向と直交する板面に沿ってループを描いて配置されている
請求項1記載の内視鏡の光コネクタ装置。
【請求項3】
前記光ファイバが前記コネクタ本体部内において前記隔壁板の板面に沿った状態を保持するように、光ファイバが隔壁板の板面から浮き上がるのを規制するためのファイバ押さえ部材が設けられている
請求項1又は請求項2記載の内視鏡の光コネクタ装置。
【請求項4】
前記ファイバ押さえ部材は、
一端側が前記隔壁板に固定されて他端側が前記隔壁板の板面に弾力的に押し付けられた板ばねである
請求項3記載の内視鏡の光コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内視鏡の光コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる共焦点内視鏡等のように、レーザビームを用いる内視鏡には、内視鏡内に挿通配置されたレーザビーム伝送用の光ファイバの光入射端部をレーザ光源装置に接続するための光コネクタ装置が設けられている。
【0003】
そのような内視鏡の光コネクタ装置においては、レーザ光源装置のレーザビーム射出コネクタに対して光ファイバの光入射端部を接続/分離自在なプラグ部と、内視鏡本体に連結された可撓管の一端とがコネクタ本体部の異なる部位に取り付けられている。そして、コネクタ本体部内に配置された電装品と光ファイバとが、コネクタ本体部内において隔壁板により仕切られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−198733
【特許文献2】特開2005−198734
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタ本体部内において、隔壁板で仕切られた光ファイバ側の空間は光ファイバを単に通過させるだけの空間であるのに対し、電装品側の空間には、共焦点走査のためのアクチュエータの駆動回路をはじめとする各種電気部品が配置されている。
【0006】
そこで、電装品側の空間が光ファイバ側の空間より広くなるように、隔壁板は光ファイバ側の空間側に偏位してコネクタ本体部内に配置されている。それに対して光ファイバは、プラグ部側からコネクタ本体部内に、コネクタ本体部の厚みの真ん中付近の位置から導入されている。
【0007】
そのため、光ファイバがプラグ部側からコネクタ本体部内に、もし真っ直ぐに導入されると、電装品側の空間に導かれてしまったり隔壁板と干渉したりすることになる。そこで、光ファイバは、コネクタ本体部への導入部において、隔壁板をまたいで反対側の空間(即ち、光ファイバが案内されるべき空間)に向かうように、小さな曲率半径でストレスがかかった状態に屈曲されている(例えば、特許文献1の図3(B))。
【0008】
しかし、光ファイバをそのように小さな曲率半径で屈曲した状態に配置すると、組立作業中の取り扱いや、製品として使用されるようになってから受ける物理的衝撃等により、光ファイバがコネクタ本体部への導入部で折損してしまう場合がある。
【0009】
本発明の目的は、光ファイバがコネクタ本体部内にストレスなく導入配置され、組立作業や、製品として使用されるようになってからの衝撃等で光ファイバが損傷するおそれのない内視鏡の光コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の光コネクタ装置は、内視鏡内に挿通配置されたレーザビーム伝送用の光ファイバの光入射端部をレーザ光源装置に接続するための内視鏡の光コネクタ装置であって、レーザ光源装置のレーザビーム射出コネクタに対して光ファイバの光入射端部を接続/分離自在なプラグ部と、内視鏡本体に連結された可撓管の一端とがコネクタ本体部の異なる部位に取り付けられ、コネクタ本体部内において、電装品が配置された空間である電装品室と光ファイバが通過する空間であるファイバ通過室とがコネクタ本体部内において隔壁板により仕切られた構成を有する内視鏡の光コネクタ装置において、光ファイバが、プラグ部側からコネクタ本体部内への導入部において真っ直ぐに走行して隔壁板のファイバ通過室側の板面に沿うように、光ファイバの光入射端部と隔壁板との位置関係が設定されているものである。
【0011】
なお、光ファイバが、コネクタ本体部内において、隔壁板の板面に沿ってループを描いて配置されていてもよい。その場合、光ファイバがコネクタ本体部内において隔壁板の板面に沿った状態を保持するように、光ファイバが隔壁板の板面から浮き上がるのを規制するためのファイバ押さえ部材が設けられていてもよい。そして、ファイバ押さえ部材が、各々に一端側のみが隔壁板に固定されて他端側が隔壁板の板面に弾力的に押し付けられた板ばねであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光ファイバが、プラグ部側からコネクタ本体部内への導入部において真っ直ぐに走行して隔壁板のファイバ通過室側の板面に沿うように、光ファイバの光入射端部と隔壁板との位置関係が設定されていることにより、光ファイバがコネクタ本体部内にストレスなく導入配置され、組立作業や、製品として使用されるようになってからの衝撃等で光ファイバが損傷するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る内視鏡の光コネクタ装置の側面断面図である。
図2】本発明の実施例に係る内視鏡の光コネクタ装置のハウジングが外された状態のコネクタ本体部の平面図である。
図3】本発明の実施例に係る内視鏡の光コネクタ装置のハウジングが外された状態のコネクタ本体部の斜視図である。
図4】本発明の実施例に係る内視鏡の光コネクタ装置の外観斜視図である。
図5】本発明の実施例に係る内視鏡の光コネクタ装置の隔壁板の単独斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図4は、内視鏡内に挿通配置されたレーザビーム伝送用の光ファイバの光入射端部をレーザ光源装置に接続するための、内視鏡の光コネクタ装置の外観を示している。
【0015】
光コネクタ装置のコネクタ本体部10は、略円筒状のハウジング11で外装されている。コネクタ本体部10の先端部分(図において左側の部分)には、図示されていないレーザ光源装置のレーザビーム射出コネクタに対して光ファイバの光入射端部を接続/分離自在なプラグ部12が取り付けられている。13は、レーザビーム射出コネクタ側に形成されている案内溝に係合させるための係合ピンである。
【0016】
コネクタ本体部10の後端部分(図において右側の部分)には、図示されていない内視鏡本体(即ち、挿入部の基端が連結された操作部)との間を連結する可撓管14の一端が取り付けられている。可撓管14内には、光ファイバの他、信号用及び電力用の導電部材等が挿通配置されている。
【0017】
図1は、コネクタ本体部10の側面断面図、図2図3はハウジング11が取り外された状態の、コネクタ本体部10の平面図と斜視図である。各図に示される15はコネクタ本体部10のフレーム枠であり、その外側をハウジング11がすっぽりと囲んでいる。
【0018】
光ファイバ1の光入射端部には、公知のフェルール16が取り付けられている。そして、フレーム枠15に取り付けられたフェルール固定台17にフェルール16が把持固定されている。その結果、フェルール16とフェルール固定台17を介して光ファイバ1の光入射端部がフレーム枠15に対して固定された状態になっている。
【0019】
フェルール16は、先端寄りの領域が円筒状に形成されたプラグ部12の内側に、プラグ部12の軸線と平行に配置されている。電気的接続のための複数の接点ピン18もまた、プラグ部12内にプラグ部12の軸線と平行に(したがって、フェルール16と平行に)配置されている。
【0020】
図1に示されるように、接点ピン18に接続された多数の電線19がハウジング11内に導入されている。20は回路基板である。そして、そのようなコネクタ本体部10内に配置された電装品19,20と光ファイバ1とが、コネクタ本体部10内において、隔壁板21で仕切られている。
【0021】
23は、電装品19,20が配置された空間(電装品室)。24は光ファイバ1が配置された空間(ファイバ通過室)である。隔壁板21は、ファイバ通過室24側の板面が光ファイバ1の光入射端部の向き(即ち、フェルール16の向き)と平行になる状態に配置されている。
【0022】
図5は、隔壁板21を単独で示している。電気絶縁性のプラスチック材で形成された隔壁板21は、四隅の領域を除いて平面状に形成されていて、四隅の厚肉部に各々ねじ通し孔21bが形成されている。平面部には、後述するファイバ押さえ部材25の自由端25aが係合する係合孔21cが穿設されている。
【0023】
図2及び図3に示されるように、光ファイバ1は、コネクタ本体部10内において、隔壁板21の板面21aに沿う状態に配置されている。そして、隔壁板21の四隅部では、板面21aから立設されている円弧状の曲面壁に沿って円弧状に走行しており、全体としてループ状に配置されている。
【0024】
そして、光ファイバ1がコネクタ本体部10内においてそのようなループを描いた状態を保持するように、光ファイバ1が隔壁板21の板面21aから浮き上がるのを規制するためのファイバ押さえ部材25が隔壁板21の四隅の各々に取り付けられている。
【0025】
各ファイバ押さえ部材25は各々に、一端側(固定端)のみが隔壁板21に固定された板ばねであり、その固定端側は固定ねじ26により隔壁板21の四隅に固定されている。固定ねじ26は、隔壁板21の四隅のねじ通し孔21bに通されてフレーム枠15のねじ孔にねじ込まれ、ファイバ押さえ部材25と隔壁板21をフレーム枠15に固定している。ファイバ押さえ部材25の自由端25a側は、隔壁板21の係合孔21cに弾力的に押し付けられた状態に係合している。
【0026】
そのように構成された内視鏡の光コネクタ装置において、図1に示されるように、光ファイバ1が、プラグ部12側からコネクタ本体部10内への導入部に真っ直ぐに(即ち、隔壁板21の板厚方向に変位しない状態に)走行して隔壁板21のファイバ通過室24側の板面21aに沿うように、フェルール16(即ち、光ファイバ1の入射端部)と隔壁板21との位置関係が設定されている。
【0027】
具体的には、光ファイバ1の入射端部をコネクタ本体部10内に完全に真っ直ぐ延出させると、光ファイバ1が隔壁板21のファイバ通過室24側の板面21aにちょうど沿う位置関係になっている。
【0028】
その結果、光ファイバ1が、プラグ部12内からコネクタ本体部10内への導入部1Aにおいて、電装品室23側に導かれてしまったり隔壁板21と干渉することなく、したがって折れ曲がるようなストレスを受けることなくファイバ通過室24内に導かれているので、組立作業中の取り扱いや、製品として使用されるようになってから物理的衝撃等を受けても、光ファイバ1が損傷するおそれがない。
【0029】
コネクタ本体部10内で大きなループを描く状態に配置された光ファイバ1は、コネクタ本体部10内からさらに可撓管14内に引き通されている。なお、光ファイバ1を、コネクタ本体部10内でループを描かせることなく、導入部1Aから引き通し部1Bに向かって真っ直ぐにコネクタ本体部10内を通過させてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 光ファイバ
1A 導入部
10 コネクタ本体部
11 ハウジング
12 プラグ部
14 可撓管
15 フレーム枠
16 フェルール
17 フェルール固定台
18 接点ピン
19 電線19
20 回路基板
21 隔壁板
21a 板面
23 電装品室
24 ファイバ通過室
25 ファイバ押さえ部材
26 固定ねじ26
図1
図2
図3
図4
図5