【実施例】
【0029】
実施例及び比較例で使用した原料粉末は、次の通りである。
(1)炭酸ストロンチウム(SrCO
3)粉末:純度99.7質量%、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径0.9μm
(2)塩化ストロンチウム(SrCl
2・6H
2O)粉末:純度99質量%
(3)炭酸カルシウム(CaCO
3)粉末:純度99.99質量%、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径3.87μm
(4)酸化ユウロピウム(Eu
2O
3)粉末:純度99.9質量%、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径2.7μm
(5)酸化マグネシウム(MgO)粉末:気相法により製造したもの、純度99.98質量%、BET比表面積から換算した粒子径0.2μm
(6)二酸化ケイ素(SiO
2)粉末:純度99.9質量%、BET比表面積から換算した粒子径0.01μm
(7)酸化イットリウム(Y
2O
3)粉末:純度99.9質量%
【0030】
[実施例1]
原料粉末にSrCO
3粉末、SrCl
2・6H
2O粉末、CaCO
3粉末、Eu
2O
3粉末、MgO粉末、SiO
2粉末を用い、SrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:MgO:SiO
2のモル比がそれぞれ2.445:0.125:0.360:0.035:1:2.000となるように秤量した。秤量した各粉末を、水中にてボールミルを用いて15時間湿式混合して、粉末混合物のスラリーを得た。得られたスラリーをロータリーエバポレーターで乾燥して、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末をアルミナ坩堝に入れて、大気雰囲気下にて800℃の温度で3時間焼成し、次いで、室温まで放冷した後、2体積%水素−98体積%アルゴンの混合ガス雰囲気下にて1220℃の温度で3時間焼成して、組成式がSr
2.
57Ca
0.
36Eu
0.
07MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を、下記の方法により測定した。表1に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0031】
[発光強度の温度特性の測定方法]
試料のSMS青色発光蛍光体を10℃/1分の昇温速度で加熱して、30℃、50℃、100℃、150℃の各温度となった時点で、該温度を5分間維持した後に該温度を維持したままSMS青色発光蛍光体にキセノンランプを用いて波長400nmの紫外光を照射して、発光スペクトルを測定する。得られた発光スペクトルの400〜500nmの波長範囲の中で最大ピーク強度を求め、これを発光強度とする。発光強度は、後述の比較例1で製造したSMS青色発光蛍光体を30℃に加熱したときの発光強度を100とした相対値で示す。
【0032】
[実施例2]
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.295:0.125:0.510:0.035:1:2.000としたこと以外は、実施例1と同様にして組成式がSr
2.
42Ca
0.
51Eu
0.
07MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表1に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0033】
[比較例1]
原料粉末にSrCO
3粉末、SrCl
2・6H
2O粉末、Eu
2O
3粉末、MgO粉末、SiO
2粉末を用い、各原料粉末をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:Eu
2O
3:MgO:SiO
2のモル比が2.805:0.125:0.035:1:2.000となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして組成式がSr
2.
93Eu
0.
07MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表1に、得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を示す。
【0034】
[比較例2]
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.655:0.125:0.150:0.035:1:2.000としたこと以外は、実施例1と同様にして組成式がSr
2.
78Ca
0.
15Eu
0.
07MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表1に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0035】
[比較例3]
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.055:0.125:0.750:0.035:1:2.000としたこと以外は、実施例1と同様にして組成式がSr
2.
18Ca
0.
75Eu
0.
07MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表1に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0036】
表1
────────────────────────────────────────
SMS青色発光蛍光体の SMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性
SrとCaのモル比 ───────────────────────
Sr:Ca 30℃ 50℃ 100℃ 150℃
────────────────────────────────────────
実施例1 1:0.14 100 97 86 76
実施例2 1:0.21 105 101 90 78
────────────────────────────────────────
比較例1 Caの添加なし 100 96 83 72
比較例2 1:0.05 98 93 81 70
比較例3 1:0.34 91 86 77 66
────────────────────────────────────────
【0037】
上記表1の結果から、SrをCaで本発明の範囲で置換したSMS青色発光蛍光体(実施例1、2)は、Caで置換していないSMS蛍光体(比較例1)やCaの含有量が本発明の範囲から逸脱したSMS蛍光体(比較例2、3)と比べて、120℃付近(100〜150℃)での高温環境下での発光強度が高く、発光強度の温度安定性が高いことが分かる。
【0038】
[実施例3]
(但し、本実施例は、本発明の実施例ではない。)
原料粉末にSrCO
3粉末、SrCl
2・6H
2O粉末、CaCO
3粉末、Eu
2O
3粉末、Y
2O
3粉末、MgO粉末、SiO
2粉末を用い、各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:Y
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.500:0.125:0.300:0.035:0.0025:1:2.000としたこと以外は、実施例1と同様にして組成式がSr
2.
625Ca
0.
300Eu
0.
070Y
0.
005MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表2に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0039】
[実施例4]
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:Y
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.440:0.125:0.360:0.035:0.0025:1:2.000としたこと以外は、実施例3と同様にして組成式がSr
2.
565Ca
0.
360Eu
0.
070Y
0.
005MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表2に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0040】
[実施例5]
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:Y
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.355:0.125:0.450:0.035:0.0025:1:2.000としたこと以外は、実施例3と同様にして組成式がSr
2.
475Ca
0.
510Eu
0.
070Y
0.
005MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表2に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0041】
[実施例6]
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:Y
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.290:0.125:0.510:0.035:0.0025:1:2.000としたこと以外は、実施例3と同様にして組成式がSr
2.
415Ca
0.
510Eu
0.
070Y
0.
005MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表2に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0042】
[実施例7]
(但し、本実施例は、本発明の実施例ではない。)
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:Y
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.200:0.125:0.600:0.035:0.0025:1:2.000としたこと以外は、実施例3と同様にして組成式がSr
2.
325Ca
0.
600Eu
0.
070Y
0.
005MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表2に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0043】
[実施例8]
(但し、本実施例は、本発明の実施例ではない。)
各原料粉末の量をSrCO
3:SrCl
2・6H
2O:CaCO
3:Eu
2O
3:Y
2O
3:MgO:SiO
2のモル比で2.140:0.125:0.660:0.035:0.0025:1:2.000としたこと以外は、実施例3と同様にして組成式がSr
2.
265Ca
0.
660Eu
0.
070Y
0.
005MgSi
2O
8のSMS青色発光蛍光体を製造した。得られたSMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性を上記の方法により測定した。表2に、得られたSMS青色発光蛍光体のSrとCaのモル比と発光強度の温度特性を示す。
【0044】
表2
────────────────────────────────────────
SMS青色発光蛍光体の SMS青色発光蛍光体の発光強度の温度特性
SrとCaのモル比 ───────────────────────
Sr:Ca 30℃ 50℃ 100℃ 150℃
────────────────────────────────────────
実施例3 1:0.11 106 99 89 77
実施例4 1:0.14 107 104 92 81
実施例5 1:0.18 109 104 96 83
実施例6 1:0.21 112 108 96 84
実施例7 1:0.26 106 102 90 78
実施例8 1:0.29 106 101 90 77
────────────────────────────────────────
【0045】
上記表2の結果から、Srの一部をCaで置換し、さらにYで共付活したSMS青色発光蛍光体は、120℃付近での高温環境下での発光強度が高く、発光強度の温度安定性が高いことが分かる。