特許第5736307号(P5736307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736307
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】シート調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/12 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   B60N2/12
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-517019(P2011-517019)
(86)(22)【出願日】2009年7月7日
(65)【公表番号】特表2011-527251(P2011-527251A)
(43)【公表日】2011年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2009004900
(87)【国際公開番号】WO2010003631
(87)【国際公開日】20100114
【審査請求日】2012年7月4日
(31)【優先権主張番号】102008032162.1
(32)【優先日】2008年7月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167151
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】ディール アンドレアス
【審査官】 平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−092166(JP,A)
【文献】 特開2006−347516(JP,A)
【文献】 特開2000−134985(JP,A)
【文献】 特開2007−001366(JP,A)
【文献】 特開2007−124792(JP,A)
【文献】 特開2007−176221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動運動を発生させるための電動機(11)を有し、該電動機がその駆動運動を伝達させるために伝動装置(13)と作用結合し、該伝動装置が伝動装置ハウジング(19)を備え、該伝動装置ハウジング内に前記電動機の駆動運動を減速または変速させるための伝動装置構成要素が配置されている、車両シート(1)のためのシート調整装置において、
前記伝動装置(13)が、前記伝動装置構成要素のうちの少なくとも1つの伝動装置構成要素の回転数または回転数に依存する量に関する情報を検出するための少なくとも1つの検出手段を備えていること、
前記伝動装置(13)に、前記検出手段から提供された信号を評価するための電子評価装置が配置されていること、
前記伝動装置(13)に、または、前記伝動装置ハウジング(19)の内部に、前記シート調整装置の制御部および/または電子パワー装置が配置されていること、
を特徴とするシート調整装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検出手段が前記電子評価装置に組み込まれ、特に該電子評価装置と共通の回路基板(23)上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシート調整装置。
【請求項3】
前記シート調整装置の前記制御部および/または前記電子パワー装置が完全に前記伝動装置ハウジング(19)の内部に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシート調整装置。
【請求項4】
回転運動のために設けられている前記伝動装置構成要素の少なくとも1つに、少なくとも1つの信号発生器が配置されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載のシート調整装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの信号発生器が、前記電動機の駆動軸(12)よりも低い回転数による回転運動のために設けられている伝動装置構成要素に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載のシート調整装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの信号発生器が、複数個の伝動装置のうちの1つの伝動装置構成要素であって、前記複数個の伝動装置構成要素の回転運動の際に前記伝動装置(13)内で最も低い回転数で回転する前記1つの伝動装置構成要素に配置されていることを特徴とする、請求項またはに記載のシート調整装置。
【請求項7】
前記検出手段が前記伝動装置ハウジング(19)の内部に配置されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載のシート調整装置。
【請求項8】
前記電子評価装置が前記伝動装置ハウジング(19)の内部に配置されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載のシート調整装置。
【請求項9】
前記伝動装置(13)を給電部および/または制御部と接続するための接続部、および、前記伝動装置を前記電動機と電気接触させるための接続部が設けられていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載のシート調整装置。
【請求項10】
記伝動装置(13)に給電用および/またはデータ交換用の少なくとも1つの電気接続部が設けられていること、前記伝動装置(13)に、前記電動機(11)に電流を供給するための手段が設けられていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載のシート調整装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの給電用電気接続部が前記伝動装置ハウジング(19)に配置されていることを特徴とする、請求項10に記載のシート調整装置。
【請求項12】
前記伝動装置(13)が、ケーブル接続されるデータ誘導手段またはケーブルなしのデータ誘導手段により、前記シート位置調整装置の制御部と接続していることを特徴とする、請求項10または11に記載のシート調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動運動を発生させるための電動機を有し、該電動機がその駆動運動を伝達させるために伝動装置と作用結合し、該伝動装置が伝動装置ハウジングを備え、該伝動装置ハウジング内に前記電動機の駆動運動を減速または変速させるための伝動装置構成要素が配置されている、車両シートのためのシート調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシート調整装置は特許文献1から知られている。
【0003】
車両シート、特にシングルシートは、通常位置調整可能に構成されている。この場合、シートは全体が縦方向に変位可能であり、このため車両シートの着座部分はオーバーレールに固定され、オーバーレールは車両に固定されているアンダーレールに対し縦方向に変位可能である。
【0004】
さらに、車両シートの背もたれ部分は通常着座部分に回動可能に枢着されている。この場合枢着は金具によって行われ、金具は着座部分側と背もたれ部分側とに互いに相対的に回動可能または回転可能な構成部品を有している。このためには種々のタイプの金具があり、頻繁に使用されるのはロック金具または揺動金具である。
【0005】
車両シートを移動させるため、手動または電動式に駆動される位置調整運動が採用されることがある。電動式駆動運動を生じさせために通常は電動機が使用され、特に自動車の直流電流網による直流電動機が使用される。この種の直流電動機は、通常は位置調整運動としてそのまま利用できないような高回転数の駆動運動を提供するので、伝動装置により減速が行われる。減速した運動によりシートまたはシート構成要素が位置調整される。
【0006】
特に、たとえばシートアンダーレールに対するシートの縦方向ポジションまたは特定の背もたれ傾斜度を記憶する場合のようなメモリーシート機能に対しては、電動機の回転回数および/または回転数を確定できるようにするため、電動機は検出手段を有している。この情報はシート調整装置の制御部によって利用されて、シートまたはその構成要素を所望の記憶位置へ移動させる。特に多数のシートが設けられている場合には、多数の異なる電動機が必要であり、高コストになる。さらに、公知の解決手段の欠点は、従来使用されている電動機の回転数が高いために高スキャン周波数が必要であり、大量のデータを処理しなければならず、パワフルで高価な電子評価装置が必要である。さらに、高周波数によって強い電磁負荷が発生し、隣接のユニットに障害が生じないようにするには高コストを必要とする。
【0007】
電動機の回転数を検出してこれから車両シートのポジションを演算するこの種のシート調整装置は、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第102004019466B4号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3527906A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、本発明の課題は、第1の観点によれば、従来のものよりも技術的に低コストの電動機を必要とする、冒頭で述べた種類のシート調整装置を提供することである。本発明の第2の観点によれば、所定の調整距離を生じさせるため、従来のシート調整装置よりも低パワーの電子評価装置を必要とするシート調整装置を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、本発明によれば、冒頭で述べた種類のシート調整装置において、伝動装置が、伝動装置構成要素のうちの少なくとも1つの伝動装置構成要素の回転数または回転数に依存する量に関する情報を検出するための少なくとも1つの検出手段を備えていること、前記伝動装置に、前記検出手段から提供された信号を評価するための電子評価装置が配置されていること、前記伝動装置に、または、前記伝動装置ハウジングの内部に、前記シート調整装置の制御部および/または電子パワー装置が配置されていることによって解決される。
【0011】
検出手段を電動機内に配置し、電動機軸の高回転数のために高スキャン周波数を必要としていた従来の解決手段とは異なり、本発明による解決手段では、伝動装置内で行われる減速のために、従来のものよりも低い回転数を利用することができる。通常は回転数が著しく低いためにスキャン周波数が低く、パワーの低い電子評価装置を必要とするにすぎない。これに対し、従来のような高パワーの電子評価装置を使用すると、電子評価装置内では演算容量が別の目的に使用される。さらに、周波数が低いと故障が著しく少なく、周辺の電子装置に対して好ましく影響する。
【0012】
さらに、本発明による解決手段は、メモリ機能のない車両シートに対しても、メモリ機能を備えた車両シートに対しても適している、技術的に低コストの電動機を可能にする。検出手段は、公知の解決手段とは異なり、電動機にではなく、有利には伝動装置の側面または内部に配置されているので、回転数検出用の検出手段を有していないメモリ機能を備えたシート調整装置用の電動機も使用することができる。この電動機はメモリ機能のないシートに対しても使用できるので、このことは、シート調整装置が異なっている場合の電動機の規格化に利用することができる。従って、電動機または駆動ユニットは規格部品として設けることができ、これは個々の電動機の部品数を少なくさせ、よって低コストにさせることができる。これには本発明にしたがって設けられる処置も寄与し、すなわち少なくとも1つの検出手段によって提供される信号を評価するための電子評価装置の一部または全体を伝動装置に設け。電動機には設けないという処置も寄与する。これによっても電動機が機能低減され、電動機を規格化することができる。この場合、少なくとも1つの検出手段が電子評価装置に組み込まれ、特に該電子評価装置と共通の回路基板上に配置されていれば、特に有利である。
【0013】
さらに、本発明の有利な構成によれば、伝動装置に給電用および/またはデータ交換用の少なくとも1つの電気接続部が設けられ、伝動装置が、該伝動装置から電動機へ電動機給電用の電流を供給するための手段、特に伝動装置に電動駆動運動を生じさせるための手段を備えている。このような解決手段によっても、従来のものよりも技術的に低コストで、種々のシート調整装置に対し、電動機の型式の種類を少なくすることが可能である。従って、本発明によるこの観点も、メモリ機能を備えたシートにも、メモリ機能のないシートにも同型式の電動機を備えさせるために利用することができる。さらに、伝動装置に電気接触部を設けるという本発明による解決手段により、電動機および伝動装置の種々の実施態様に対し、従来のものよりも簡単にモジュール構成を形成させることが可能である。というのは、給電および/またはデータ交換のために電動機と伝動装置との間にインターフェースを定義することができるからである。この場合、電動機の電気接触を伝動装置を介して行うのが有利である。このため、伝動装置と電動機とは、互いに接続させることのできる接触手段を備えている。接触手段は互いに直接接続することができ、このためにプラグ/ソケットのように構成されていてよい。他の実施態様では、伝動装置の接触手段と電動機の接触手段とは導線手段を用いて互いに接続されていてもよい。
【0014】
伝動装置が該伝動装置自体に配置される制御ユニットをも備えていれば好ましいことが明らかになった。制御ユニットは、有利には、それぞれのシートの運動を実施するために必要なすべての制御機能を受け持つことができる。同様に制御ユニットは、シート調整装置のそれぞれの駆動部を作動させるために必要な機能だけを制御するようにしてもよい。この場合には、制御ユニットが電子回路を備えた回路基板を有し、回路基板が伝動装置に配置され、好ましくは伝動装置ハウジングに、特に有利には該ハウジング内部に配置され、これによって制御ユニットが損傷および汚染から保護されるのが好ましいことが明らかになった。制御ユニットは、電動機に必要な電子制御装置も電子パワー装置も含んでいることができる。
【0015】
本発明の有利な実施態様では、伝動装置には、検出手段として構成される少なくとも1つのセンサが設けられていてよく、このセンサを用いて、回転可能に配置される伝動装置部品の回転運動に関する情報を検出することができる。このようなセンサは、たとえばホールセンサのような、誘導性センサ或いは磁気効果を利用可能なセンサであってよい。ホールセンサとの関係で必要な磁石は種々の態様で回転伝動装置部品に装着でき、たとえば接着されていてよい。しかし特に有利なのは、適正コストのプラスチック材料を、このために設けられる伝動装置部品の所定個所で磁化させることである。このようにして、補助磁石を組み込むことに伴う高コストの処置を省略できる。このために必要な製造方法はそれ自体公知であり、たとえばD−78713シャラムベルク・ズルゲン在の企業、MS−シャラムベルクGmbH & Co. KGによって提供され、実施されている。
【0016】
回転数情報を検出するために設けられる少なくとも1つのセンサ、好ましくはホールセンサは、制御ユニット内に組み込まれていてよく、特に制御ユニットの回路基板上に配置されていてよい。制御ユニットは、有利には、前記伝動装置部品の回転の際に前記少なくとも1つの磁石がホールセンサを通過し、これをホールセンサによって検出可能であるように、伝動装置に配置されていてよく、特にその伝動装置ハウジングの内部に配置されていてよい。
【0017】
基本的には、本発明によるシート調整装置との関連で、少なくとも1つの伝動装置構成要素を有する各種の伝動装置を使用することができる。本発明によるシート調整装置は、たとえば少なくとも1つの斜板型伝動装置、遊星歯車装置、ウォーム歯車装置、または平歯車伝動装置を有することができ、およびこれら伝動装置の組み合わせを有することができる。特に有利なのは、高減速率を備えた伝動装置である。というのは、この種の伝動装置の場合、駆動電動機のその都度の回転数に比べて特に低い回転数が生じるからである。それ故、本発明との関連では、伝動装置内で最も低い回転数を有している伝動装置構成要素の回転数または回転運動を前記検出手段により検出するのが合目的である。多くの場合、これは、伝動装置の回転運動を位置調整すべきシート構成要素に伝達させる従動側の伝動装置構成要素である。
【0018】
本発明の他の有利な構成は従属項、以下の説明および図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次に、本発明を図面に概略的に示した実施形態を用いて詳細に説明する。
図1】本発明によるシート調整装置を備えた車両シートを示す図である。
図2】本発明によるシート調整装置を極めて概略的に示した原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
自動車の車両シート1は着座部分3と背もたれ4とを有し、背もたれ4は、2つの金具を用いて着座部分3の側部に装着され、着座部分3に対し相対的に回動可能であり、異なる傾斜位置でロック可能である。自動車内での車両シート1の配向および自動車の通常の走行方向と、車両シート1での金具の対称性および配置とは、車両シートを使用する方向を決定する。車両シートはベルト一体型シートとして構成され、すなわち安全ベルトの上端が背もたれ4に固定され、正確にいえば、背もたれの上稜に設けた自動ベルト装置に固定されている。
【0021】
シートを縦方向に変位させるため、シートはその着座部分3でもって、互いに間隔をもって平行に配向された2つのシートレール対5,6上に配置されている。シートレール対5,6のそれぞれは、車両底部に固定されているアンダーレール5a,6aと、シートアンダーレール5a,6aで案内されてこれに対し相対的に縦方向に変位可能なオーバーレール5b,6bとを有している。シートオーバーレール5b,6bのそれぞれは本発明による電気シート調整装置10と作用結合している。この場合、1実施形態では、両シートレール対に対し共通のシート調整装置10が設けられていてよい。これとは択一的な実施形態では、各シートレール対5,6に固有のシート調整装置が付設されていてもよい。後者の実施形態では、両シートオーバーレールの運動の連動部が設けられていてよく、特にたとえば独国特許第19860910B4号明細書に記載されているようなシート調整装置の両電動機の機械的連動部または電子的連動部が設けられていてよい。
【0022】
本発明によるシート調整装置は、図2に示した直流電動機11を有し、該直流電動機の駆動軸12は減速装置13と作用結合されている。本実施形態の減速装置13は、オーバーレール5b,6bのうちの少なくとも一方と作用結合し、入力側に、ウォーム歯車15と噛み合っているウォーム14を有している。ウォーム歯車15は、減速装置側の従動軸上に配置されている平歯車16と噛み合っている。従動軸上には、さらに、図面には図示していない他の歯車が配置され、この歯車はアンダーレールのラックと噛み合っている。このようにして、駆動電動機11の回転運動は駆動運動を減速させ、好ましくは150:1ないし250:1の範囲の比率で減速させ、また駆動運動はオーバーレール5b,6bを、よってシートを車両長手方向に並進運動させる。
【0023】
特に図2からわかるように、減速装置13はハウジング19を有し、該ハウジングの外面には第1の電気コンタクトプラグ20が設けられている。電気コンタクトプラグはバスコンタクトプラグとして構成されていてよい。バスコンタクトプラグ20に接続可能なバスケーブル21を介して減速装置ハウジング19は電気エネルギー源と接続されていてよく、特に自動車バッテリーおよびアクチュエータ(たとえばスイッチ)と接続されていてよい。図示した実施形態とは異なる他の実施形態では、減速装置はバスコンタクトプラグ20を用いてシート調整装置の外部制御部に接続されている。
【0024】
減速装置の外側の好ましい操作位置に設けられているアクチュエータ(図示せず)を用いて、シートの操作者はシート調整装置に対し実施される調整運動(すなわち電動機に対する一種の作動命令)を発生させることができ、この調整運動は各減速装置構成要素の特定の回転回数に相当するものである。バスコンタクトプラグ20は、減速装置ハウジング19内に配置されてシート調整装置に対する制御機能をもつ電子回路と接続されている。この電子回路は、減速装置ハウジングの内側に固定されている回路基板23上に配置されていてよい。回路基板23は、平歯車16および減速装置内で最も低い回転数で運動する減速装置構成要素に対し直接対向している。
【0025】
減速装置ハウジング19は第2のコンタクトプラグ24を有し、該第2のコンタクトプラグにより電動機11を減速装置ハウジング19と電気接続可能である。このため、好ましくは、適当な接触手段を使用して電動機11をそのハウジング19でもって直接に該減速装置ハウジングのコンタクトプラグ24に接続する。これとは択一的に、この接続をケーブルを使用して行ってもよい。第2のコンタクトプラグ24は第1のコンタクトプラグと直接にまたは回路基板23を介して電気接続され、これによって給電のために車両の搭載電源への電動機11の接続が行われる。このようにして電動機11はその駆動に必要なエネルギーを減速装置を介して得る。
【0026】
回路基板には、検出手段として、ホールICとして構成されたホールセンサ25が配置され、ホールセンサ25は減速装置内の従動側に配置されている平歯車16のすぐ近くにある。平歯車16は焼結材、たとえばプラスチック焼結材から製造されており、これにより、局部的に限定的に磁性のある材料も、本実施形態の平歯車の材料に一体に組み込むことができる。このようにして1個または複数個の磁石26を平歯車に一体に組み込むことができる。複数個の磁石26を組み込む場合には、これら磁石は好ましくは周囲に均等に配分して配置する。このようにして平歯車16の回転運動をさらにスケーリングすることができる。1回転あたりに使用される磁石の個数に応じては、1回転あたりの増分値のパルス周波数をそれぞれの減速段に適合させてよい。好ましくは平歯車16の周囲に均等に配分して配置される複数個のセンサによっても解像度の向上を達成できる。
【0027】
したがって、本実施形態では、ホールセンサ25と、平歯車16に設けた少なくとも1つの磁石26とを用いて、減速装置に一体に組み込まれて回路基板23上に配置されている電子回路に供給されるパルスが平歯車16の回転数に依存して発生させられる。そこでは、ホールセンサをベースにした回転数測定が評価される。測定したホールセンサ増分値に依存してそれぞれ所望のリアクションを電子回路によって行うことができ、これによって電動機を制御する。この制御の際、特に測定した平歯車16の回転回数を用いて電動機の回転数を制御することができる。この場合、パルス幅変調(PWM)をベースにした電動機回転数制御が有利である。同様に、検出した平歯車16の回転数または回転回数を用いて、シートの所定長さの移動距離をも制御でき、よってこの移動距離を生じさせることもできる。この場合、移動距離の長さは、平歯車16の所定回転回数を該平歯車の実際の測定回転回数と比較することで生じさせる。この所定の回転回数に達すると、制御部によって電動機を停止させる。
【0028】
他の実施形態では、平歯車または他の減速装置部品の回転回数を、車両シートの回転調整または回動調整可能な構成要素の所定回転角の大きさを決定する決定量として利用することができる。このようなシート調整装置の構成および機能は、基本的には、図2に図示した構成に対応させることができる。背もたれ調整の場合には、前述した実施形態とは異なり、平歯車の回転運動は並進運動に変換されるのではなく、回転運動として利用される。
【符号の説明】
【0029】
1 車両シート
3 シート部分
4 背もたれ
5 シートレール対
5a シートアンダーレール
5b シートオーバーレール
6 シートレール対
6a シートアンダーレール
6b シートオーバーレール
10 シート調整装置
11 電動機
12 駆動軸
13 減速装置
14 ウォーム
15 ウォーム歯車
16 平歯車
19 減速装置ハウジング
20 コンタクトプラグ
21 バスケーブル
23 回路基板
24 コンタクトプラグ
25 ホールセンサ
26 磁石
図1
図2