(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサ部は、幅0.1mm〜1mmの線状であって、前記粘着剤層からの突出高さが30μm〜120μmとなるように形成されている、請求項1または2に記載の粘着テープロール。
前記スペーサ部は、前記粘着テープの長手方向に沿って延びる線状であり、複数の前記スペーサ部が0.5mm〜5mmのピッチで設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着テープロール。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施態様に係る粘着テープロールを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、押出しダイの開口形状を示す平面図である。
【
図5】
図5は、回転抵抗値および使用感の評価方法を示す説明図である。
【
図6】
図6は、回転抵抗値および使用感の評価方法を示す説明図である。
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る粘着テープロールの斜視図であり、
図2はそのII-II線断面図である。この粘着テープロール10は、長尺テープ状(帯状)の基材20の一方の面20Aに粘着面32が形成された粘着テープ12を、その粘着面32が外側(ロールの外周側)を向くようにして、巻芯14の周囲にロール状に巻回してなる。巻芯14としては、コスト、廃棄処分の容易性、クッション性等の観点から、紙製(典型的にはボール紙製)のものを好ましく用いることができる。あるいは、他の材質(例えば合成樹脂)からなる巻芯であってもよい。また、巻芯14を使わずに粘着テープ12のみをロール状に巻回してなる、いわゆるコアレスタイプの粘着テープロールであってもよい。すなわち、本発明において、巻芯14はあくまでも任意的な構成要素である。
【0018】
粘着テープ12には、粘着テープロール10のほぼ一周長毎に、切断用の切れ目24が設けられている。この切れ目24は、粘着テープ12の長手方向の一端を残部から切断しやすくするために用いられる切断手段であって、例えば、長孔や波形のスリットを並べたもの、ミシン目等の間欠スリット、等であり得る。なお、
図1に示す例では、切れ目24が粘着テープ12の幅方向(長手方向と直交する方向)に沿って設けられているが、幅方向に対して斜めに設けられていてもよい。また、
図1に示す例では、粘着テープ12の幅全体を横断して切れ目24が設けられているが、粘着テープ12の幅の一方から途中まで延びて切断のきっかけを与えるように設けられた切れ目24であってもよい。
【0019】
以下、粘着テープ12の構成をより詳しく説明する。粘着テープ12は、基材20と、その一方の面に設けられた粘着剤層33と、粘着剤層33の上に部分的に設けられたスペーサ部34とを有する。この粘着剤層33の外表面が粘着面22となっている。スペーサ部34は、粘着面32よりも外側に突出しており、粘着テープ12がロール状に巻かれた状態(すなわち、粘着テープロール10)において基材の他方の面(背面)20Bと粘着面32との間に隙間を確保し、これにより粘着面32が背面20Bに密着する(直に貼りつく)ことを阻止し得るように構成されている。
【0020】
基材20としては、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等を用いることができる。樹脂フィルムの例としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等)フィルム、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、塩化ビニル樹脂フィルム、酢酸ビニル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリアミド樹脂製フィルム、フッ素樹脂フィルム、セロハン、等が挙げられる。紙としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙、等が例示される。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
【0021】
基材20は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。例えば本実施態様では、
図2に示すように、支持層202と背面層204とが積層された構造の基材20を用いている。基材20の構成材料には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0022】
ここに開示される粘着テープロールの基材20としては、少なくとも背面20Bが樹脂材料(好ましくはポリオレフィン樹脂、例えばポリエチレン樹脂)により構成されたものを好ましく用いることができる。例えば、紙の背面に樹脂フィルムが積層された形態の基材、紙の背面に樹脂材料が溶融押出しコーティングされた形態の基材、単層または複層の樹脂フィルム、等を好ましく用いることができる。
【0023】
基材20の一方の面20Aには、コロナ放電処理や下塗り剤の塗布等、粘着剤層33の投錨性を高めるための表面処理が施されていてもよい。あるいは、かかる表面処理が施されていない基材20を使用してもよい。一方の面20Aが紙または布製である基材20は、上記表面処理を必要とすることなく良好な投錨性を確保しやすいので、コストや生産性等の観点から有利である。
【0024】
基材20の背面20Bには、シリコーン系剥離剤の塗布等、粘着テープロール20の巻戻し力を適切な範囲に調節するための表面処理(典型的には、巻戻し力が高くなりすぎることを防止する剥離処理)が施されていてもよい。あるいは、背面20Bに上記表面処理が施されていない基材20を使用してもよい。少なくとも背面20Bがポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン樹脂)により構成された基材20は、後述するスペーサ層を構成するエラストマーの選択と相俟って、上記表面処理(剥離処理等)を必要とすることなく適切な巻戻し力を示す粘着テープロール20を実現するのに適している。したがって、かかる構成の基材20の使用は、コストや生産性等の観点から有利である。特に好ましい基材20として、支持層202が紙からなり、背面層204としてポリエチレン樹脂フィルムが積層され、そのポリエチレン樹脂フィルムの表面(基材20の背面20B)に剥離処理が施されていない基材20を例示することができる。
【0025】
基材20の厚みや幅は、目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。一般的には、基材20の厚みを凡そ30μm〜300μm(典型的には凡そ40〜100μm)程度とすることが適当である。また、基材20の幅を凡そ1cm〜100cm(典型的には凡そ3cm〜50cm、例えば凡そ5〜40cm)程度とすることが適当である。
【0026】
粘着剤層33は、SISをベースポリマーとする粘着剤(SIS系粘着剤)からなる。上記粘着剤としては、この種の技術分野において公知ないし慣用のSIS系粘着剤と同様のものを好ましく用いることができる。かかる粘着剤は、一般に、ベースポリマーとしてのSISと、粘着付与樹脂(タッキファイヤー)と、プロセスオイルと、を主要な成分として含有する。各成分の種類や配合比は、粘着テープロールの用途(例えば、清掃用の粘着テープロールでは、主に対象とする被清掃面が板張りか、タイル張りか、畳張りか、絨毯敷きか、あるいは種々の被清掃面を対象とする粘着テープロールか、など)に応じて、所望の粘着性能(粘着力、凝集力、初期接着性等)が得られるように設定され得る。
【0027】
例えば、上記粘着剤用の粘着付与樹脂として、一般的なロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等、の各種粘着付与樹脂を、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。特に限定するものではないが、ベースポリマー100質量部に対する粘着付与樹脂の配合量は、例えば凡そ50〜200質量部程度とすることができ、通常は凡そ80〜150質量部程度とすることが適当である。
【0028】
また、上記粘着剤用のプロセスオイルとしては、例えば、一般的なパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等のプロセスオイルを、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。特に限定するものではないが、ベースポリマー100質量部に対するプロセスオイルの配合量は、例えば凡そ50〜200質量部程度とすることができ、通常は凡そ90〜150質量部程度とすることが適当である。
【0029】
ここに開示される技術において、粘着剤層を構成する粘着剤には、さらに、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。これらの添加剤の種類や配合量は、この種の粘着剤における通常の種類および配合量と同様とすることができる。
【0030】
上記SIS系粘着剤は、粘着成分を加熱溶融させて粘着剤層を形成するホットメルト型、粘着成分の水分散液を乾燥させて粘着剤層を形成するエマルション型、粘着成分の有機溶剤溶液を乾燥させて粘着剤層を形成する溶剤型、等の種々のタイプの粘着剤であり得る。なかでもホットメルト型の粘着剤が好ましい。
【0031】
基材20の一方の面20Aは、その全範囲に粘着剤層33が形成されていてもよく、一部を除いた範囲に粘着剤層33が形成されていてもよい。例えば、
図1,2に示すように、基材20の幅方向の両端に沿って、粘着剤層33が形成されていない非粘着部(ドライエッジ)22,23を有してもよい。この非粘着部22,23の幅は、各々、例えば1mm〜20mm(典型的には3〜15mm)程度とすることができる。粘着剤層33は、典型的には、基材20の全範囲または上記非粘着部を残した範囲に、むらなく連続して形成(ベタ塗り)されている。
【0032】
粘着剤層33の厚み(
図2のT1)は、粘着テープロール10の用途に応じて、所望の粘着性能が得られるように適宜設定され得る。通常は、粘着剤層33の厚みを凡そ5μm〜50μmの範囲とすることが好ましく、典型的には凡そ5μm〜35μmであり、例えば凡そ10μm〜20μmとすることができる。
【0033】
ここに開示される技術におけるスペーサ部34は、以下の条件:
非アクリル系重合体であって粘着剤層とは異なるポリマー(すなわち、アクリル系重合体以外であって且つSIS以外のポリマー)をベースポリマーとする;および、
20℃における貯蔵弾性率が凡そ1.6×10
5〜4.2×10
5Paの範囲にある;
を満たすエラストマーから構成されることによって特徴付けられる。好ましい一態様では、上記エラストマーの20℃における貯蔵弾性率が、凡そ2×10
5〜3×10
5Paの範囲にある。
【0034】
ここで、上記貯蔵弾性率の測定周波数は1Hzとする。この貯蔵弾性率は、例えば、一般的な粘弾性測定装置を使用し、厚み2mmのサンプルを直径25mmのパラレルプレートにセットして、上記周波数にて測定を行うことにより把握することができる。測定温度域および昇温速度は、粘弾性測定装置の機種等に応じて適切に設定すればよく、特に限定されない。例えば、測定温度としては少なくとも0℃〜30℃の範囲を含む温度域(例えば−70℃〜150℃)とすることができ、昇温速度は0.5〜5℃/分(例えば2℃/分)程度とすることができる。
【0035】
上記エラストマーのベースポリマーとしては、上記貯蔵弾性率を満たすエラストマーを与える種々の非アクリル系重合体を用いることができる。ゴム系重合体の使用が好ましく、具体例としてはSBS、SEBS、CEBC、SEBC等が挙げられる。なかでもCEBCが特に好ましい。このようなベースポリマーと、プロセスオイルと、必要に応じて使用される粘着付与樹脂と、を主要な成分として含むエラストマーが好ましい。各成分の種類や配合比は、上記貯蔵弾性率を所望の範囲に調整し得るように設定することができる。
【0036】
例えば、上記エラストマー用のプロセスオイルとして、一般的なパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等のプロセスオイルを、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。エラストマーの貯蔵弾性率は、プロセスオイルの配合量を少なくすると上昇し、多くすると低下する傾向にある。したがって、プロセスオイルの配合量を適切に設定することにより、エラストマーの貯蔵弾性率を好ましい範囲に調節することができる。特に限定するものではないが、ベースポリマーとしてゴム系重合体を採用する場合、該ベースポリマー100質量部に対するプロセスオイルの配合量は、例えば凡そ90〜150質量部程度とすることができる。
【0037】
また、上記エラストマー用の粘着付与樹脂としては、例えば、一般的なロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等、の各種粘着付与樹脂を、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。通常は、常温で固体状の粘着付与樹脂の好ましく用いられる。エラストマーの貯蔵弾性率は、粘着付与樹脂の配合量を多くすると上昇し、少なくすると低下する傾向にある。したがって、粘着付与樹脂の配合量を適切に設定することにより、エラストマーの貯蔵弾性率を好ましい範囲に調節することができる。特に限定するものではないが、ベースポリマー100質量部に対する粘着付与樹脂の配合量は、例えば凡そ100質量部以下とすることができ、凡そ75質量部以下(例えば5〜75質量部程度)、さらには凡そ60質量部以下(例えば40〜60質量部程度)としてもよい。あるいは、粘着付与樹脂を実質的に含まない組成のエラストマーであってもよい。
【0038】
なお、スペーサ部34を構成するエラストマーは、ポリマー成分のうちの副成分として、ベースポリマー以外のポリマーを含有することができる。上記副成分としては、SIS以外のポリマーから選択される一種または二種以上を好ましく採用し得る。換言すれば、SISを実質的に含有しない組成のエラストマーが好ましい。また、上記ベースポリマー以外のポリマーを実質的に含有しない組成のエラストマーであってもよい。
【0039】
ここに開示される技術において、スペーサ部34を構成するエラストマーには、さらに、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。これらの添加剤の種類や配合量は、この種の粘着剤における通常の種類および配合量と同様とすることができる。例えば、着色剤を含む組成のエラストマーとすることにより、粘着層上におけるスペーサ部の形状や配置を容易に把握することができる。このことは、例えば、スペーサ部を形成する過程(ひいては粘着テープロールを製造する過程)において工程管理を行う上で有利である。
【0040】
スペーサ部34の平面形状、断面形状および配置は、基材20の他方の面(背面)20Bに粘着面32が直に貼りつく事象を阻止し得るように設定すればよい。例えば、複数の線状のスペーサ部が互いにほぼ平行に配置された態様を好ましく採用し得る。各線状スペーサ部の平面形状は、直線状、曲線状、折れ線状、波型等であり得る。製造容易性の観点から、直線状のスペーサ部が好ましい。例えば、粘着テープの長手方向に沿って伸びる複数の直線状スペーサ部がストライプ状に配置された態様を好ましく採用し得る。かかる態様の粘着テープシートは、粘着テープの長手方向の各部における構成(断面形状)が一定であることから、該長手方向に対する巻戻し力や、被清掃面上を転動させる場合における使用感のばらつきが少ないので好ましい。すなわち、上記巻戻しや転動をよりスムーズに行うことができる。
【0041】
ここに開示される粘着テープロールは、また、一の方向に互いにほぼ平行に延びる複数の直線状スペーサ部からなる第一のスペーサ群と、該一の方向と交差(典型的には直交)する方向に互いにほぼ平行に延びる複数の直線状スペーサ部からなる第二スペーサ群と、を有する態様であってもよい。例えば、第一のスペーサ群と第二のスペーサ群とが格子状に配置された態様であり得る。ここに開示される粘着テープロールの他の態様として、複数の点状のスペーサ部が、所定のパターンに沿って、あるいはランダムに配置された態様が例示される。
【0042】
スペーサ部34の形状が線状である場合、該線の幅(
図2のW1)は、例えば凡そ0.1mm〜1mmとすることができ、通常は凡そ0.2mm〜0.5mmとすることが好ましい。スペーサ部34の形状が点状である場合には、該点の短軸方向の長さを上記範囲とすることが好ましい。
図1,2に示すように複数の線状スペーサ部34が互いにほぼ平行に配置された態様において、それら線状スペーサ部34のピッチ(
図2のW2)は概ね一定であることが好ましい。例えば、上記ピッチを凡そ0.5mm〜5mm程度とすることができ、通常は凡そ1mm〜5mm(例えば凡そ1mm〜3mm)とすることが好ましい。このようなスペーサ部34は、粘着剤層33が設けられた範囲の全体に亘ってほぼ均等に配置されていることが好ましい。
【0043】
各スペーサ部34は、粘着剤層33よりも外側に突出して形成されている。粘着剤層33の表面(すなわち粘着面32)からのスペーサ部34の突出高さ(
図2のT2)は、通常は凡そ10μm〜200μmとすることが適当であり、凡そ30μm〜120μm(例えば55μm〜95μm)とすることが好ましい。なお、スペーサ部34のうち下方の一部は、粘着面32よりも下方(すなわち基材20側)にあってもよい。かかる態様の粘着テープ12は、例えば、粘着剤層33に形成した窪みに沿ってスペーサ部34を形成する、粘着剤層33が未だ流動性を有する状態にあるうちにその上からスペーサ部形成用のエラストマーを供給する、等の方法により製造され得る。なお、スペーサ部34の突出高さT2は、粘着剤層33の厚みT1よりも大きくすることが好ましい(すなわちT1<T2)。
【0044】
スペーサ部34は、粘着剤層33の単位面積当たり、5%以上50%以下(より好ましくは10%以上30%以下、例えば15%以上20%以下)の部分を占めるように形成されていることが好ましい。これより小さすぎると巻戻し力が過剰に高くなりやすくなる場合があり、これより大きすぎると被清掃面に対する粘着力が不足しやすくなる場合がある。粘着剤層33の単位面積当たりにスペーサ部34が占める面積(占有率)を上記範囲とすることにより、巻戻し力と、被清掃面に対する粘着力とを、バランスよく両立させることができる。
【0045】
ここに開示される粘着テープロールは、巻戻し速度1000mm/分における巻戻し力が凡そ0.2〜2.5N/150mm(例えば0.3〜2N/150mm)の範囲となるように形成されることが好ましい。この程度の巻戻し力を示す粘着テープロールは、上記レール引き現象を起こし難く、保存中に外周端が自然に巻きほどけて(剥がれて)しまう事象も起こり難く、且つ最外周の粘着テープを容易に引き出す(引き剥がす)ことができるので取扱い性がよい。
【0046】
好ましい一態様では、該粘着テープロールを23℃で30日間保存した後において、上記巻戻し力が凡そ0.5〜2.5N/150mm(より好ましくは0.8〜2N/150mm)の範囲にある。かかる特性を有する粘着テープロールは、上記保存後において、レール引き現象を起こし難く、保存中に外周端が自然に巻きほどけて(剥がれて)しまう事象も起こり難く、且つ最外周の粘着テープを引き剥がしやすいので好ましい。上記条件で保存する前後のいずれにおいても巻戻し力が上記範囲にある粘着テープロールがより好ましい。また、上記条件で保存する前後における巻戻し力の変化率が±65%以内(典型的には±35%以内)である粘着テープロールが特に好ましい。ここで、上記巻戻し力変化率は、保存前における巻戻し力(初期巻戻し力)Faと、保存後における巻戻し力Fbとから、次式:(Fb−Fa)/Fa×100(%);により算出することができる。なお、巻戻し力の測定方法としては、後述する実施例に記載の方法と同様の方法を採用することができる。
【0047】
ここに開示される粘着テープロールは、後述する治具のシャフト角度を約55°として、725mm/秒の速度で平滑な板張り面上(すなわち、一般的なフローリング材上)を軽く転がした場合における回転抵抗値が凡そ5〜15N/150mm(例えば凡そ6〜12N/150mm)の範囲となるように形成されることが好ましい。この程度の回転抵抗値を示す粘着テープロールによると、良好な使用感が得られやすいので好ましい。上記回転抵抗値が低すぎると、被清掃面上の異物を捕捉する性能が不足しがちとなる場合があり得る。また、上記転がした際の手応えが弱すぎて、使用者が清掃効果を実感し難くなる場合があり得る。一方、回転抵抗値が高すぎると使用者に過度な負担がかかり、また巻戻し力とのバランスによってはレール引き現象を起こすことがあり得る。
【0048】
好ましい一態様では、該粘着テープロールを23℃で30日間保存した後において、上記回転抵抗値が凡そ5〜15N/150mm(例えば凡そ6〜12N/150mm)の範囲にある。かかる特性を有する粘着テープロールは、上記保存後において、良好な使用感が得られやすいので好ましい。上記条件で保存する前後のいずれにおいても回転抵抗値が上記範囲にある粘着テープロールがより好ましい。上記条件で保存する前後における回転抵抗値の変化率が±50%以内(典型的には±30%以内)である粘着テープロールが特に好ましい。ここで、上記回転抵抗値変化率は、保存前における回転抵抗値(初期回転抵抗値)Fcと、保存後における回転抵抗値Fdとから、次式:(Fd−Fc)/Fc×100(%);により算出することができる。なお、回転抵抗値の測定方法としては、後述する実施例に記載の方法と同様の方法を採用することができる。
【0049】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
【0050】
<例1>
押出しダイを備えた2軸押出機を用い、粘着剤層形成用の粘着剤とスペーサ部形成用の樹脂材料(スペーサ樹脂)とを上記ダイから加熱溶融状態で押し出して、基材の一方の面に塗工した。基材としては、坪量40g、厚み50μm、幅80mmの純白紙の他方の面(粘着剤層が形成される面とは反対側の面、すなわち背面)に、厚み20μmのポリエチレンフィルムがラミネートされた基材を使用した。このことによって、
図2に示す断面形状の粘着テープ12を作製した。この粘着テープ12は、基材20の幅中央部に粘着剤層33が幅70mmの帯状に設けられている。粘着剤層33の厚みT1は15μmである。その粘着剤層33の上に、粘着テープ12の長手方向に沿って延びる直線状のスペーサ部34が、略一定のピッチW2(ここでは約2mm)で29本設けられている。各スペーサ部34の幅W1は0.37mmであり、粘着面22からの突出高さT2は70μmである。この粘着テープ12を、粘着面32が外側となるように巻き取って粘着テープロール10を得た。
【0051】
なお、本例で使用した押出しダイは、
図3,4に示すように、スリット状の第一開口71と、該スリットと平行に一定の間隔で配列された複数(ここでは29個)の点状の第二開口72とを有する。この押出しダイ70は、基材20の走行方向に対して、第一開口71が下流側、第二開口72が上流側となるようにセットされている。このことによって、第一開口71および第二開口72にそれぞれ連なる粘着剤通路75およびスペーサ樹脂通路76から加熱溶融状態の粘着剤およびスペーサ樹脂を押し出しつつ基材20を走行させることにより、粘着剤層33とその上にストライプ状に形成されたスペーサ部34とを一度に形成できるように構成されている。
【0052】
上記粘着剤層形成用の粘着剤としては、SISをベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、粘着付与樹脂130部と、プロセスオイル100部とからなるSIS系粘着剤を使用した。SISとしては、日本ゼオン株式会社の商品名「クインタック3520」を使用した。粘着付与樹脂としては、東燃化学株式会社の商品名「エスコレッツ1310」を使用した。プロセスオイルとしては、ジャパンケムテック株式会社の商品名「ナイフレックス222B」を使用した。
【0053】
スペーサ樹脂としては、SISをベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、粘着付与樹脂20部と、プロセスオイル100部とからなるSIS系樹脂組成物を使用した。SISとしては、日本ゼオン株式会社の商品名「クインタック3280」を使用した。粘着付与樹脂としては、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「クリアロンP−105」を使用した。プロセスオイルとしては、ジャパンケムテック株式会社の商品名「ナイフレックス222B」を使用した。
【0054】
<例2>
本例では、スペーサ樹脂として、SBSをベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、粘着付与樹脂20部と、プロセスオイル100部とからなるSBS系樹脂組成物を使用した。SBSとしては、クレイトンポリマージャパン株式会社の商品名「クレイトンD1155JP」を使用した。粘着付与樹脂としては、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「YSレジンTR105」を使用した。プロセスオイルとしては、ジャパンケムテック株式会社の商品名「ナイフレックス222B」を使用した。その他の点については例1と同様にして粘着テープロールを作製した。
【0055】
<例3>
本例では、スペーサ樹脂として、SEBSをベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、粘着付与樹脂20部と、プロセスオイル100部とからなるSEBS系樹脂組成物を使用した。SEBSとしては、クレイトンポリマージャパン株式会社の商品名「クレイトンD1657JP」を使用した。粘着付与樹脂としては、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「クリアロンP−105」を使用した。プロセスオイルとしては、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPW90」を使用した。その他の点については例1と同様にして粘着テープロールを作製した。
【0056】
<例4>
本例では、スペーサ樹脂として、CEBCをベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、粘着付与樹脂20部と、プロセスオイル100部とからなるCEBC系樹脂組成物を使用した。CEBCとしては、JSR株式会社の商品名「ダイナロン6200P」を使用した。粘着付与樹脂としては、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「クリアロンP−105」を使用した。プロセスオイルとしては、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPW90」を使用した。その他の点については例1と同様にして粘着テープロールを作製した。
【0057】
<例5>
本例では、スペーサ樹脂として、非結晶性ポリプロピレン(APP)をベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、粘着付与樹脂20部と、プロセスオイル100部とからなるAPP系樹脂組成物を使用した。APPとしては、住友化学株式会社の商品名「タフセレン6532V」を使用した。粘着付与樹脂としては、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「クリアロンP−105」を使用した。プロセスオイルとしては、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPW90」を使用した。その他の点については例1と同様にして粘着テープロールを作製した。
【0058】
<例6>
本例では、スペーサ樹脂として、非結晶性ポリα−オレフィン(APAO)をベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、粘着付与樹脂20部と、プロセスオイル100部とからなるAPAO系樹脂組成物を使用した。APAOとしては、デグッサ(Degussa)社の商品名「ベストプラスト750」を使用した。粘着付与樹脂としては、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「クリアロンP−105」を使用した。プロセスオイルとしては、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPW90」を使用した。その他の点については例1と同様にして粘着テープロールを作製した。
【0059】
<例7>
本例では、スペーサ樹脂として、アクリル系共重合体をベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、アクリル系オリゴマー50部とからなるアクリル系樹脂組成物を使用した。アクリル系共重合体としては、クラレ株式会社の商品名「LA−2140e」を使用した。アクリル系オリゴマーとしては、東亞合成株式会社の商品名「アルフォンUP−1000」を使用した。その他の点については例1と同様にして粘着テープロールを作製した。
【0060】
<例8>
本例では、スペーサ樹脂として、EVAをベースポリマーとし、該ベースポリマー100部と、プロセスオイル50部とからなるEVA系樹脂組成物を使用した。EVAとしては、東レ・デュポン株式会社の商品名「EV−45X」を使用した。プロセスオイルとしては、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルNS−90S」を使用した。その他の点については例1と同様にして粘着テープロールを作製しようとしたところ、粘着剤の溶融粘度と硬化(冷却)性とを適切にバランスさせることが困難であり、該粘着剤を所望の厚みに塗布することができず流れてしまう等の理由により、粘着テープロールを得ることができなかった。
【0061】
なお、例1〜8において粘着テープロールの作製に使用した粘着剤および各スペーサ樹脂には、それぞれ、慣用の酸化防止剤、紫外線安定剤および紫外線吸収剤が、通常の使用量(ここでは、ベースポリマー100部に対して合計で約3部)で添加されている。これらの添加剤は、各例に係るスペーサ樹脂の貯蔵弾性率や粘着テープロールの特性(巻戻し力、回転抵抗値など)に実質的な影響を及ぼすようなものではない。
【0062】
例1〜7により得られた粘着テープロールおよび例1〜8で使用したスペーサ樹脂につき、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0063】
[貯蔵弾性率]
TAインスツルメント社製の粘弾性測定装置、型式ARESを使用して、各例に係るスペーサ樹脂の20℃における貯蔵弾性率を測定した。すなわち、各例に係るスペーサ樹脂を厚み2mmのシート状に成形し、これを直径25mmのパラレルプレートに合わせて打ち抜き、装置のチャックに装着した。そして、1Hzの周期でひずみを与えつつ、5℃/分の昇温速度で−70℃から150℃まで温度を上昇させて、20℃のときの貯蔵弾性率を測定した。
【0064】
[巻戻し力]
各例において作製した粘着テープロール(粘着剤層の幅70mm)を、作製から30日間、23℃で保存した。その保存後の粘着テープロールを引張試験機にセットし、温度23℃、相対湿度50%の測定環境において、粘着テープの先端を試験機のチャックに装着して1000mm/分の速度で引っ張ることにより、上記粘着テープロールを接線方向に巻き戻した。このときの巻戻し力を、粘着剤層の幅150mm当たりの値に換算して表1に示した。なお、例1〜7の粘着テープロールは、いずれも、作製直後における巻戻し力が0.5〜2.5N/150mmの範囲にあった。
【0065】
[巻戻し性]
上記条件で保存した後の粘着テープロールにつき、試験者が粘着テープの先端を手で掴んで約1000mm/分の速度で接線方向に引き出し、このときの手応えと剥がれ具合により巻戻し性を評価した。その結果を表1に併せて示した。表1中、巻戻し性を示す欄の○は巻戻し性が良好であることを、△は巻戻し性がやや不良である(理想的な手応えよりもやや重い、またはやや軽い)ことを、×は巻戻し性が不良である(重すぎる、または軽すぎる)ことを表している。なお、例1〜7に係る粘着テープロールは、いずれも、作製直後において、巻戻し力が0.5〜2N/150mmの範囲にあり、且つ良好な巻戻し性を示した。
【0066】
[回転抵抗値および使用感]
図5,6に示す概略形状を有する粘着テープロール用治具50の回転部52に、上記条件で保存した後の粘着テープロール10を取り付けた。そして、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下にて、試験者が治具50のグリップ54を軽く持ち、治具50のシャフトと床面56とのなす角度θが55°となるようにして、725mm/秒の速度で平滑な板張り面(ここでは板張りの床)56上を転がした。このときグリップ54にかかる力(回転抵抗値)を、デジタルフォースゲージで測定した。その結果を、粘着剤層の幅150mm当たりの値に換算して表1に示した。また、このとき試験者が得た手応えにより粘着テープロールの使用感を評価し、その結果を表1に併せて示した。表1中、使用感を示す欄の○は使用感が良好であることを、△は使用感がやや不良である(理想的な手応えよりもやや重い、またはやや軽い)ことを、×は使用感が不良である(重すぎる、または軽すぎる)ことを表している。なお、例1〜7に係る粘着テープロールは、いずれも、作製直後において、回転抵抗値が6〜12N/150mmの範囲にあり、且つ良好な使用感を示した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示されるように、SISおよびアクリル系共重合体以外のポリマーをベースポリマーとし、且つ貯蔵弾性率が1.6×10
5〜4.2×10
5Pa(より具体的には2×10
5〜3×10
5Pa)の範囲にあるスペーサ樹脂を用いた例4の粘着テープロールは、保存後にも適切な巻戻し力(具体的には0.5〜2.5N/150mm、より詳しくは1〜2N/150mm)を示し、且つ巻戻し性が良好であった。例4の粘着テープロールは、保存後にも適切な回転抵抗値(具体的には6〜12N/150mm、より詳しくは8〜10N/150mm)を示し、且つ使用感が良好であった。
【0069】
一方、粘着剤層と同様にSISをベースポリマーとするスペーサ樹脂を用いた例1に係る粘着テープロールは、保存後の巻戻し力および回転抵抗値が高すぎ、巻戻し性および使用感も重いものであった。アクリル系共重合体をベースポリマーとするスペーサ樹脂を用いた例2では、保存後の回転抵抗値測定において、測定値の値自体は手頃な範囲であったが、スペーサ部が粘着剤層から離れて板面に移行(残留)する事象がみられた。貯蔵弾性率が1.6×10
5Paよりも小さすぎるポリマーをベースポリマーとするスペーサ樹脂を用いた例2,3では、巻戻し力と回転抵抗値とを両立させることが困難であった。貯蔵弾性率が10×10
5Paよりも大きすぎるポリマーをベースポリマーとするスペーサ樹脂を用いた例5,6では、保存後の巻戻し力が大きすぎ、試験者が手で巻き戻した場合に粘着テープが途中で破れる(基材破壊する)こともあった。また、例5,6に係る粘着テープロールは回転抵抗値が低すぎ、実際の使用感も軽すぎるものであった。
【0070】
以上より、スペーサ部を構成するエラストマーとして、SIS以外の非アクリル系ポリマーをベースポリマーとし且つ貯蔵弾性率が上記範囲にあるエラストマー(スペーサ樹脂)を採用することにより、適度な巻戻し力および使用感を安定して維持し得る粘着テープロールが実現されることが確認された。