【文献】
井上真杉,“マルチメディア対応ミリ波高速無線LANシステム”,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO)シンポジウム論文集 1997年〜2006年版 Ver.1.1 ,日本,社団法人情報処理学会,1998年 7月 8日,Vol.98,No.8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本願出願人に譲渡された未決の米国特許出願第08/974376号に記述されているように、無線通信システムは複数の加入者無線局または加入者装置(固定または移動)と固定ネットワーク・インフラストラクチャとの間の双方向通信を容易にする。通信システムの例には、移動セルラー電話システム、パーソナル通信システム(PCS)、およびコードレス電話が含まれる。それらの無線通信システムの重要な目的は、加入者装置の利用者を固定ネットワーク・インフラストラクチャ(通常は有線システム)に接続するために、複数の加入者装置とそれらの装置のそれぞれの基地局の間に通信チャネルを要求に応じて設けることである。多数のアクセス法を有する無線システムでは、基本的な情報伝送単位として時間「フレーム」が用いられる。各フレームは、複数の時間スロットに細分される。
【0003】
ある時間スロットが制御目的のために使用され、またある時間スロットが情報伝達のために用いられる。加入者装置は、選択された基地局と「多重化」技術を用いて通常交信して、接続の両方向に情報の交換を行えるようにしている。
【0004】
基地局から加入者装置への伝送は、「ダウンリンク」伝送と一般に呼ばれている。加入者装置から基地局への伝送は、「アップリンク」伝送と一般に呼ばれている。所与のシステムの設計基準に依存して、先行技術の無線通信システムは時分割多重化(TDD)法または周波数分割多重化(FDD)法を通常用いて、基地局と加入者装置との間の情報交換を容易にしている。TDD多重化技術とFDD多重化技術は、この分野で周知である。
【0005】
最近、音声、データおよび画像などの特に広い帯域のサービスを提供するために、広帯域すなわち「ブロードバンド」無線通信ネットワークが提案された。ブロードバンド無線通信システムは、複数の基地局と複数の固定加入者局すなわち顧客構内機器(CPE)との間の双方向通信を容易にする。ブロードバンド無線通信システムの1つの例が、未決の米国特許出願第08/974376号に記述されており、かつ
図1のブロック線図に示されている。
図1に示されているように、ブロードバンド無線通信システムの1つの例100が、複数のセル102を含んでいる。各セル102は関連するセル場所104を含み、そのセル場所は基地局106と能動アンテナアレイ108を主として含んでいる。各セル102はセルの基地局106と、セル102の有効範囲全体にわたって固定顧客場所112に配置されている複数の顧客構内機器(CPE)110との間の無線接続を行う。無線通信システム100の利用者には、住宅用の顧客と業務用の顧客とが含まれることがある。したがって、この無線通信システムの利用者のシステムの取扱い方についての要求や帯域幅に対する要求には種々のものがある。各セルは数百またはそれ以上もの住宅用CPEまたは業務用CPEを取扱うことができる。
【0006】
図1のブロードバンド無線通信システム100は、複数のCPE110に真の「需要に応じた帯域幅」を提供する。CPE110は、CPEを利用している顧客により求められるサービスの種類および質を基にして、CPEのそれぞれの基地局106からの帯域幅割当てを要求する。種々のブロードバンドサービスが、種々の帯域幅要求および種々の待ち時間要求を有する。顧客が利用できるサービスの種類と質は、変更および選択ができる。
所与のサービスに専用される帯域幅の広さは、そのサービスにより求められるサービスの質と情報速度(および帯域幅の利用可能性その他のシステム・パラメータも考慮して)により決定される。
例えば、T1型連続データサービスは、良く制御された配信待ち時間を持つ多数の帯域幅を通常求める。終了させられるまで、それらのサービスは各フレーム毎に一定の帯域幅割当てを求める。対照的に、インターネット・プロトコル・データサービス(TCP/IP)などのある種のデータサービスは帯域幅要求が急変し、しばしば休止し(休止の場合には、ある任意の時刻には必要とする帯域幅は零であることがある)、動作時には遅延の変化にかなり鈍感である。基地局メディア・アクセス制御(「MAC」)は、利用可能な帯域幅をアップリンクおよびダウンリンクにおける物理的チャネルに割当てる。アップリンク・サブフレームとダウンリンク・サブフレーム内では、基地局MACは、種々のサービスの質(QoS)により課される優先順位および規則に依存して、種々のサービスの間に利用可能な帯域幅を割当てる。MACは、MAC「層」(TCP/IPなどの情報上部層)と「物理的層」(物理的チャネルにおける情報)の間でデータを伝送する。
【0007】
CPEサービス要求は多種多様であり、かつ任意の1つの基地局によりサービスされるCPEの数は多いので、
図1に示されているブロードバンド無線通信システムなどの無線通信システムにおける帯域幅割当て過程は、厄介で複雑なものになることがある。これは、MACと物理的通信プロトコル層の間の同期を維持しつつ、データを迅速に伝送することに関しては特にそうである。基地局は、多様なデータ(例えば、T1およびTCP/IP)をデータプロトコルを用いてMACと物理的層との間で伝送する。通信プロトコルの1つの目的は、MACと物理的層との間で伝送することである。通信プロトコルは、所与の任意の時刻に最大帯域幅でデータを伝送する必要性と、送っている間にデータが失われた時にMACと物理的層との間の同期を維持する必要性とを釣り合わせなければならない。
【0008】
先行技術の通信プロトコルは、無線通信システムでデータを伝送するために提案されていた。先行技術の1つの通信プロトコルは、ヘッダとペイロードを含んでいる可変長データパケットを用いて、MACメッセージを物理的層へ伝送するシステムを教示している。
ペイロードは、MACメッセージ・データタイプ(例えば、T1およびTCP/IP)のためのデータを含んでいる。先行技術では、ヘッダは物理的層境界でスタートし、ペイロードの長さおよび次のデータパケットの場所などの情報を無線通信システムに提供する。
通常、通信プロトコルは、可変長データパケットを介して適切な帯域幅使用法を提供する。しかし、この種のプロトコルにより行われるMACと物理的層との間の同期は完全ではない。
その理由は、システムがヘッダを失うと、プロトコルは物理的層境界の初めにおいて次のヘッダを見付けるまで以後のデータの全てを見落とすからである。その後でシステムは、その物理的層境界からデータを使用することを始める。そうすると、可変長さデータパケット・プロトコルは、受けたデータ(すなわち、失われたヘッダと次の物理的境界の間で受けたデータ)をかなり大量に失う。したがって、それは無線通信システムで使用するためには効率の低い通信プロトコルである。
【0009】
他の先行技術プロトコルは、固定長データパケットを用いてMACメッセージを伝送するシステムを教示している。それらのシステムに従って、メッセージは他のメッセージに対して一定の位置で常に始まる。そのシステムがメッセージの一部を失うと、プロトコルは次のメッセージを次の固定されている位置で見付けることができるので、プロトコルはその1つのメッセージを失うだけである。したがって、固定長データパケット・プロトコルは、物理的層同期のために適切なMACを提供する。しかし、固定長データパケットは、所与の任意のデータタイプから最大のメッセージを受けるために、固定長データパケット・プロトコルは帯域幅の使用が不得手である。殆どのメッセージは最大のメッセージよりもはるかに小さいので、固定長データパケット・プロトコルは広い帯域幅を一定の基準で通常無駄にする。
【0010】
したがって、無線通信システムにおいてMACと物理的層との間でデータを効率的に伝送するデータを伝送ならびに同期する方法の需要が存在する。データの伝送ならびに同期のためのこの方法は、無線通信システムのアップリンクで頻繁に変化する帯域幅割当て要求を出す任意の多数のCPEを取り扱えなければならない。そのようなデータの伝送および同期のための方法は、アップリンクとダウンリンクの両方での複数の基地局と複数のCPEとの間のメッセージ交換により使用される帯域幅の広さの点で効率的でなければならない。また、データの伝送および同期のためのこの方法は、メッセージの一部が失われた時に大量のデータの喪失を防ぐために、次のデータメッセージに迅速に同期しなければならない。本発明は、そのようなデータ伝送および同期法を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この説明全体を通じて、示されている好適な実施例は本発明を限定するものではなくて代表例と考えるべきである。
本発明の好適な実施例は、ブロードバンド無線通信システムにおいてデータを伝送および同期する方法である。ブロードバンド無線通信システム、および複数のユーザーにより共用される物理的通信媒体を有する同様な種類の何らかの通信システム、の重要な性能基準は、システムが物理的媒体をいかに効率よく使用するかである。無線通信システムは媒体共用通信システムであるので、加入者によるアクセスおよびネットワークへの伝送は制御せねばならない。無線通信システムにおいては、媒体アクセス制御(「MAC」)通信プロトコルが物理的媒体へのユーザーアクセスを通常制御する。MACは、加入者が物理的媒体での伝送を許される時を決定する。また、競合が許されるならば、MACは競合過程を制御して、起き得るいかなる衝突も解消する。
【0018】
図1に示されているシステムでは、MACは基地局106により処理されるソフトウエアにより通常実行される(ある実施例では、ソフトウエアは基地局とCPEでプロセッサにより実行できる)。基地局106は、権利を伝送する要求を受け、優先順位、サービスの種類、サービスの質およびCPE110に関連するその他の要因を考慮に入れて、利用できる時間内にそれらの要求を認める。CPE110により提供されるサービスは変化するものであり、PBXからの音声トランクなどのTDM情報を含んでいる。サービススペクトラムの他の端では、CPEは、周知のワールドワイドウエブすなわちインターネットと通信するために突然現れ、しかも遅延を許容するコンピュータデータをアップリンクできる。
【0019】
基地局MACは、アップリンク通信リンクとダウンリンク通信リンクに対して帯域幅をマップし、割当てる。それらのマップは、基地局により発生されて維持され、アップリンク・サブフレーム・マップおよびダウンリンク・サブフレーム・マップと呼ばれている。
MACは、T1,E1などの高い優先順位の一定ビット伝送速度(CBR)サービスおよび類似の一定ビット伝送速度サービスにより課される帯域幅要求を満たすために、十分な帯域幅を割当てねばならない。
また、MACは、インターネット・プロトコル(IP)データサービスなどの低い優先順位のサービスにわたって残りのシステム帯域幅を割当てなければならない。MACは、公平に重み付けられた待ち合わせまたはラウンドロビン待ち合わせなどのQoSに依存する種々の技術を用いて、それらの低い優先順位のサービスの間で帯域幅を分配する。
【0020】
図1に示されている通信システムのダウンリンクは、1点−多点基準(すなわち、基地局106から複数のCPE110へ)で動作する。未決の関連する米国特許出願第08/974376号に記述されているように、中央基地局106は、いくつかの区画へ同時に送信できる区画されたアクティブなアンテナアレイ108を含んでいる。無線通信システム100の一実施例では、アクティブなアンテナアレイ108は6つの独立した区画へ同時に送信する。所与の周波数チャネルおよびアンテナ区画内では、全ての局は同じ送信を受ける。
基地局は、ダウンリンク方向で動作する送信機に過ぎないから、時間を上流側(アップリンク)送信期間と下流側(ダウンリンク)送信期間に分割する全体の時分割多重化を除き、他の基地局との調整を行うことなしに送信する。基地局は、区画(および周波数)内の全てのCPEに放送する。CPEは、受信されたメッセージ中のアドレスをモニタし、自己に宛てられたアドレスのみを保持する。
【0021】
CPE110は、基地局MACにより制御される要求を基準としてアップリンクを共用する。CPEにより利用されるサービスのクラスに依存して、基地局は選択されたCPEにアップリンクに送信する権利を継続して与えることができ、またはCPEからの要求を受けた後で、送信権を基地局により与えられる。個々にアドレスされるメッセージに加えて、メッセージは基地局によりマルチキャスト・グループへ送ることができ(制御メッセージおよびビデオ配布がマルチキャスト応用の例である)、かつ全てのCPEへ放送できる。
【0022】
フレームマップ−アップリンク・サブフレーム・マッピングおよびダウンリンク・サブフレーム・マッピング
本発明の好適な実施例では、基地局106は、アップリンク通信リンクおよびダウンリンク通信リンクに割当てられた帯域幅のサブフレーム・マップを維持する。未決の関連する米国特許出願第08/974376号に詳細に記述されているように、アップリンクとダウンリンクは、時分割多重化(すなわち「TDD」)式に多重化することが好ましい。本発明は、TDD方式での応用に関して説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。通信技術の当業者は、本発明の方法をFDD方式に容易に適合できることを認識できる筈である。
【0023】
TDD方式に使用するようにされている一実施例では、フレームとはN個(Nは一定なままである)の連続する時間期間すなわち時間スロットを含むものとして定義される。この「フレームを基準とする」手法に従って、この通信システムは、ダウンリンク送信のためにのみ最初のN1時間スロット(NはN1より大きいかN1に等しい)を動的に構成する。残りのN2時間スロット(N2はN−N1に等しい)は、アップリンク送信のみのために動的に構成される。このTDDフレームを基準とするやり方の下では、ダウンリンク・サブフレームは最初に送信されることが好ましく、かつフレーム同期のために必要な情報が前に付けられる。
【0024】
図2は、本発明の実施において通信システム(
図1に示されているものなど)が使用できるTDDフレームおよびマルチフレーム構造200を示す。
図2に示されているように、TDDフレーム200は、複数の物理的スロット(PS)204、204′に細分される。
図2に示されている実施例では、フレームは持続時間が1ミリ秒であって、物理的スロットを800個含んでいる。あるいは、本発明は持続時間がそれより短いか、長く、かつPSをそれより多くまたは少なく有するフレームを使用できる。利用可能な帯域幅は、基地局によりある所定数のPSの単位で割当てられる。周知のリード‐ソロモン符号化法などのある形式のデジタル符号化が、情報要素(PI)と呼ばれる所定数のビット単位にわたってデジタル情報に対して行われる。変調はフレーム内で変わることがあり、選択されたPIを送信するために求められるPSの数(したがって、時間の長さ)を決定する。
【0025】
未決の米国特許出願第08/974376号により詳しく記述されているように、
図1に示されているブロードバンド無線通信システムの一実施例では、TDDフレーミングは適応性のあることが好ましい。すなわち、ダウンリンクに割当てられたPSの数対アップリンクに割当てられたPSの数が時間と共に変化する。本発明のデータを伝送および同期する方法はFDD通信システムとTDD通信システムで使用できる。更に、本発明は、
図2に示されているフレームおよびマルチフレーム構造に類似するフレーム、ならびにマルチフレーム構造を用いる適応TDDシステムおよび固定TDDシステムに使用できる。
図2に示されているように、周期的な機能を支援するために、多数のフレーム202がマルチフレーム206に纏められ、多数のマルチフレーム206がハイパーフレーム208に纏められる。一実施例では、各マルチフレーム206は2つのフレーム202を含み、各ハイパーフレーム208は22のマルチフレーム206を含んでいる。フレームの他の構造と、マルチフレームの他の構造およびハイパーフレームの他の構造を本発明で使用できる。例えば、本発明の他の実施例では、各マルチフレーム206は16のフレーム202を含み、各ハイパーフレーム208は32のマルチフレーム206を含む。本発明の実施例に使用されるダウンリンク・サブフレームおよびアップリンク・サブフレームそれぞれの例が、
図3と
図4にそれぞれ示されている。
【0026】
ダウンリンク・サブフレーム・マップ
図3は、情報を複数のCPE110へ送るために基地局106により使用できるダウンリンク・サブフレーム300の1つの例を示す。基地局は、ダウンリンク帯域幅割当てを反映するダウンリンク・サブフレーム・マップを保持することが好ましい。ダウンリンク・サブフレーム300はフレーム制御ヘッダ302と、変調の形式によってグループに纏められて、異なる形式で変調されているデータを分離するために用いられる組み合わされた変調遷移間隙(MTG)306により分離される複数のダウンリンクデータPS304(例えば、PS304データはQAM‐4を用いて変調され、PS304′データはQAM‐16を用いて変調されている、等)と、送信/受信遷移間隙308とを含むことが好ましい。選択された任意のダウンリンク・サブフレームには、異なる変調形式で変調されたデータブロックの任意の1つまたは複数のものがなくてもよい。一実施例では、変調遷移間隙(MTG)306の持続時間は0PSである。
図3に示されているように、フレーム制御ヘッダ302は、同期および等化のために物理的制御層(またはPHY)により使用されるプリアンブル310を含んでいる。フレーム制御ヘッダ302は、PHY(312)とMAC(314)のための制御セクションも含んでいる。
【0027】
ダウンリンクデータPSは、データとメッセージをCPE110へ送るために使用される。このデータは符号化し(例えば、リードソロモン符号化法を用いて)、選択されたCPEにより用いられる現在の動作変調で送信することが好ましい。データは、QAM‐4、それに続いてQAM‐16、その後にQAM‐64などの所定の変調順序で送ることが好ましい。変調遷移間隙306は、もし存在するならば、データを伝送するために用いられる異なる形式で変調されたセクションを分離するために用いられる。フレーム制御ヘッダ302のPHY制御部312は、変調形式が変化するPS304の同一性を示す放送メッセージを含むことが好ましい。最後に、
図3に示されているように、Tx/Rx遷移間隙308はダウンリンク・サブフレームをアップリンク・サブフレームから分離する。
【0028】
アップリンク・サブフレーム・マップ
図4は、データを伝送し、同期する本発明に使用するようにされているアップリンク・サブフレーム400の一例を示す。このデータを伝送し、同期する方法に従って、CPE110(
図1)は、アップリンク・サブフレーム400を用いて情報(帯域幅要求を含んでいる)をそれに関連する基地局106に送る。
図4に示されているように、アップリンク・フレーム中にCPE110により送られる3つの主なクラスのMAC制御メッセージ、(1)CPE位置決めのために保留されている競合スロット(位置決め競合スロット402)内で送られるMAC制御メッセージ、(2)帯域幅割当てのためにマルチキャスト・ポールおよび放送ポールに応答するために保留されている競合スロット(帯域幅要求競合スロット404)内で送られるMAC制御メッセージ、(3)個々のCPEに特に割当てられた帯域幅で送られるMAC制御メッセージ(CPEがスケジュールしたデータスロット406)、がある。
【0029】
競合スロット(すなわち、競合スロット402と404)のために保留されている帯域幅は一緒にグループに纏められ、所定の変調形式を用いて送られる。
【0030】
例えば、
図4に示されている実施例では、競合スロット402と404はQAM‐4変調を用いて送られる。残りの帯域幅は、CPEによってグループに纏められる。それのスケジュールされた帯域幅の間、CPE110は、CPEとそれに関連する基地局106の間の伝送における環境要因の影響により決定される固定された変調で送る。アップリンク・サブフレーム400は、
図3を参照して上で説明した変調遷移間隙(MTG)306の機能に類似する機能を実行する複数のCPE遷移間隙(CTG)408を含んでいる。すなわち、CTG408は、アップリンク・サブフレーム400の間は種々のCPE110からの送信を分離する。一実施例では、CTG408の持続時間は物理的層2つ分である。送信CPEは、CTG408の第2のPS中に1PSプリアンブルを送ることにより、基地局が新しいCPE110に同期できるようにすることが好ましい。多数のCPE110が位置決め競合期間中に同時に送信して衝突が起きる結果となることがある。衝突が起きると基地局は応答しないことがある。ダウンリンク・サブフレームとアップリンクサブフレームは、無線通信システムにおいて層状にされているデータ伝送のためのメカニズムを提供する。
【0031】
ブロードバンド無線通信システムにおける層状のデータ伝送アーキテクチャ
本発明の重要な特徴は、より高い通信プロトコル層(連続許可(「CG」)および需要を割当てられた多重アクセス(「DAMA」))を要約できることである。本発明の一実施例では、基地局106はMACを介するサービス・アクセスポイント(SAP)と物理的データの間の層状伝送アーキテクチャを保持する。
種々のSAPが、種々の通信プロトコルと待ち時間要求を有する。要約の最高レベルにおいては、T1などのCGデータサービスが良く制御された配信待ち時間を持つ非常に広い帯域幅を通常要求する。対照的に、インターネット・プロトコル・データサービス(TCP/IP)などのDAMAデータサービスは突発的(bursty)で、しばしば無通話(これは1つの任意の時刻には零帯域幅である)で、かつ動作している時も遅延の変化にかなり鈍感である、層状データ伝送アーキテクチャはブロードバンド無線通信システムにおいて、種々のSAPとインタフェースするためのメカニズムを提供する。
【0032】
図5は、本発明に使用するデータ送りアーキテクチャの好適な実施例を示す。
図5に示されているように、収束サブプロセス(CS)層502とMAC層504が、ブロードバンド無線通信システムにおいてデータを送るためにインタフェースする。収束サブプロセスとそれのアクセスポイントが、サービスに特化した接続の設定および保守とデータ伝送のためにより高い通信プロトコル層に対するインタフェースを行う。データの収束サブプロセスは、この技術において周知である。1つのそのような収束サブプロセスが、Harry J.R.DuttonおよびPeter Lenhard著「同期転送モード(ATM)、技術的概観(A Synchronous Transfer Mode(ATM),Technical Overview)」第2版、3-21〜3-24ページ、Prentice Hall、1995年10月、に記載されている。MACは、時分割多重化(TDM)、高次層制御メッセージ(HLCM)、連続許可(CG)および需要割当てマルチアクセス(DAMA)などの通信プロトコルの高次層にSAPを提供する。
図5に示されているように、MACは、高レベルメディア・アクセス仲裁(HL‐MAA)層502と低レベルメディア・アクセス仲裁(LL‐MAA)層504との2つの層を有することが好ましい。
【0033】
一実施例では、HL‐MAA502は多数の機能を行う。HL‐MAA502は、基地局(BS)制御機能、CPE位置決めデータ接続の設定および保守機能、および負荷平準化機能のために、高次プロトコル層とインタフェースすることが好ましい。収束サブ層を介して、BS HL‐MAAはBS中の高次層とインタフェースし、帯域幅の利用可能性と、接続に特有の帯域幅限界とを基にして、レベルが変化するサービスで提供される接続に対する要求を受けるか、または受けない。HL‐MAA502は、データの物理的チャネルに提供する負荷のレベルを平準化することが好ましい。MACのBS HL‐MAAサブ層は、帯域幅割当ておよび物理的チャネルにおける負荷レベルの平準化を制御することも好ましい。BS HL‐MAAは、このMACドメイン内の全ての物理的チャネルに付加することに気付いている。既存の接続を、別の物理的チャネルへ移動させてセクタ内の帯域幅の使用を一層良く平衡させることができる。
【0034】
好適な実施例では、LL‐MAA504はCPEとBS MACの間のインタフェースを行う。LL‐MAA504は、個々の物理的チャネルに対する帯域幅割当てを行うことが好ましい。各物理的チャネルは、BS LL‐MAAの対応する例を有する。同様に、各CPEは、CPE LL‐MAAの対応する例を有する。
【0035】
したがって、LL‐MAAは、伝送収束(TC)層506と物理的(PHY)層508に、HL‐MAAがそれらの層に結合されているよりも一層緊密に結合されている。BS
LL‐MAAは、帯域幅要求と、制御メッセージの需要と、各CPEと通信するために使用される特定の変調とを基にして行われる、所与の任意の時刻に利用できる実際の帯域幅量の決定において、BS HL‐MAAと協働することが好ましい。BS LL‐MAAは、CPEに送るダウンリンクデータをパケットにすることが好ましい。CPE LL‐MAAはBS LL‐MAAをパケットにする際に使用する帯域幅割当てアルゴリズムと同じアルゴリズムを用いてアップリンクデータをパケットにすることが好ましいが、範囲はCPEの割当てられた帯域幅に限られる。LL‐MAA504は、メッセージを多数の時分割多重化(TDD)フレームにわたって断片にできる。
【0036】
データを送りかつ同期する本発明は、物理的(PHY)層508から相対的に切り離されている可変長MACパケットを送るために、固定長伝送収束/物理的TC/PHYパケットに依存する。伝送収束(TC)層506は、MAC層502、504とPHY層508を結合させない手段を提供する。TC/PHYパケット・フォーマットの部とMACパケットおよびヘッダ・フォーマットの部で詳しく説明するように、本発明の好適な実施例は可変長MACパケットと固定長TC/PHYパケットを使用する。本発明の好適な実施例は、BSから種々のCPEの1つへデータを送る際にダウンリンク・サブフレームマップおよびアップリンク・サブフレームマップを使用することも好ましい。好適な実施例では、MACは上で説明し、かつ未決の米国特許第09/316518号に記載されているように、データを転送するために適応フレーム構造を使用することが好ましい。適応フレーム構造により送られるデータはフォーマットされたデータのセットすなわち「パケット」を含む。本発明に使用するのに適する1つのパケット・フォーマットが、以下に述べられている。この分野の当業者は、本発明の要旨を逸脱することなく代わりのMACフォーマットを使用できることを理解されるであろう。
【0037】
MACパケット・フォーマット‐ヘッダおよびペイロード
MACパケットデータは、無線通信システムにおける高次通信プロトコル層(例えば、CGとDAMA)と低次通信プロトコル層(例えば、TCとPHY)の間で交換されたデータを表す。本発明の好適な実施例では、全ての用途のためのデータは、接続IDと各種の状態ビットを含んでいるヘッダが前に付されているパケットで送られる。接続IDは、基地局により加入者局へ送られるデータを認識するためのメカニズムを、加入者局に提供する。加入者局は、接続IDにより参照される情報を基にして、パケットを適切に処理する。
【0038】
MACデータは、TDDフレーム200を通じてばらばらにできる。好適な実施例では、この断片化はMACヘッダを用いて行われる。MACヘッダは、TDDフレーム200を通じる断片化の制御と制御問題および経路指定問題を取扱うために用いられる。好適な最小断片サイズと断片化ステップサイズは、「位置決め結果」メッセージ中のCPEに与えられる。「開始」断片と「継続」断片は、少なくとも最小断片サイズにすべきことが好ましい。もしそれより大きいとすると、付加サイズは、断片ステップサイズの倍数にすべきことが好ましい。終了断片とばらばらにされていないMACパケットは、断片化最小サイズ要求と断片化ステップサイズ要求を免れることが好ましい。
【0039】
TDDフレーム200内では、MACにより接続へ送られたデータは断片化しないことができ(単一のTDDフレームで送られる)、またはある数の継続パケットにより分離されている開始パケットと終了パケットを含むことができる。本発明の好適な実施例では、MACパケットのフォーマットはヘッダとペイロードを有する。MACヘッダは、標準MACヘッダと短縮MACヘッダとの2つの異なるフォーマットを有することとが好ましい。基地局とCPEとの特定のネットワークは、標準MACヘッダのみまたは短縮MACヘッダのみを使用することが好ましいので、それら2つのヘッダ・フォーマットは単独で使用することが好ましい。標準MACヘッダは、データまたは無線インタフェースにおいて固定長データパケットを支持する。好適なダウンリンクMACは、好適なアップリンクMACヘッダから僅かに変化する。
【0040】
図6aは、本発明に使用するようにされている標準MACダウンリンク・パケット・フォーマット600aの好適な実施例のフォーマットを示す。特定のフィールド、特定のフィールド長、および特定のフィールド構成について
図6aを参照して説明するが、通信技術の当業者は本発明の実施に際して代わりの構成を使用できることを理解する筈である。
標準MACダウンリンク・パケット・フォーマット600aは、標準MACダウンリンク・ヘッダ640と可変長ペイロード622を含むことが好ましい。標準MACダウンリンク・ヘッダ640は、全体の長さが6バイトになる9つの異なるフィールドを含むことが好ましい。標準MACダウンリンク・ヘッダ640は、長さが1ビットであることが好ましいヘッダ・フラッグ・フィールド604で始まる。図示の実施例では、ヘッダ・フラッグ・フィールド604は、可変長パケットを許すのみであるシステムでは論理1にセットされる。したがって、標準MACヘッダは可変長データパケットをサポートするので、ヘッダ・フラッグ・フィールド604は標準MACダウンリンク・ヘッダ640に対しては論理1に常にセットされる。ヘッダ・フラッグ・フィールド604の後にパワー制御(PC)フィールド606が続く。
【0041】
パワー制御フィールド606は、CPEのパワーを迅速に微調整するものであって、長さは2ビットが好ましい。パワー制御フィールド606はCPEのパワーを絶対量ではなくて相対的に調整することが好ましい。好適な実施例では、パワー制御フィールド606の2ビットには、00「パワーを変化しない」、01「パワーを少し増加する」、11「パワーを少し減少する」、10「将来の使用のために保留する」、ということを表す論理値が割当てられる。暗号(E)ビットフィールド608は、パワー制御フィールド606に続くことが好ましい。暗号ビットフィールド608はペイロードについての情報を提供し、長さは1ビットである。ペイロードが暗号化されると、暗号ビットフィールド608は論理1にセットされ、さもなければ論理0にセットされる。MACヘッダは、暗号化されないで常に送信される。暗号ビットフィールド608の後には、接続ID保留フィールド610が続く。接続ID保留フィールド610は、接続ID(CID)フィールド612(後で説明する)の将来の拡張のための手段を提供するもので、長さは8ビットである。接続IDフィールド612は、接続ID保留フィールド610の後に続き、識別情報をCPEに提供する。接続IDフィールド612の長さは、16ビットである。接続IDは、基地局とCPEの間の接続時に設定される宛先識別子であって、CPEを一意に特定するものである。断片化制御フィールド614は、接続IDフィールド612の後に続く。
【0042】
断片化制御(フラッグ)フィールド614は、断片化情報を提供するものであって、長さは3ビットである。あるシステムが可変長パケット(すなわち、標準MACダウンリンク・フォーマット)をサポートすると、MACは断片化を実行して無線リンク帯域幅を効率的に使用する。好適な実施例では、断片化制御フィールド614の3ビットには、010「断片化されるメッセージの断片化を開始する」、000「断片化されるメッセージの断片化を継続する」、100「断片化されるメッセージの断片化を終了する」、110「断片化されないメッセージ」、ということを表す値を割当てることが好ましい。パケット喪失優先順位(PLP)フィールド616が、断片化制御フィールド614の後に続く。
パケット喪失優先順位フィールド616は混雑に関する情報を提供し、長さが1ビットである。混雑状況では、無線通信システムは低い優先順位のパケットを最初に捨てる。無線通信システムは、パケット喪失優先順位フィールド616を低い優先順位のパケットに対して論理1にセットする。逆に、高い優先順位のパケットに対しては、パケット喪失優先順位フィールド616は論理0にセットされる。長さを保留された(Len)フィールド618は、パケット喪失優先順位フィールドの後に続く。
【0043】
長さを保留されたフィールド618は長さが5ビットであることが好ましく、長さフィールド620(以下でより詳しく説明する)の将来の拡張の手段を提供する。長さフィールド620は長さを保留されたフィールド618の後に続き、MACパケット・ペイロードについての情報を提供する。長さフィールド620は長さが11ビットで、MACパケット・ペイロードにおけるバイトの数を指示する。長さフィールド620の後にペイロードフィールド622が続く。ペイロードフィールド622は、長さフィールド620により決定される可変長フィールドである。ペイロードフィールド622は、データ・サービスタイプ特定(例えば、T1,TCP/IP)からのデータ要素の一部を含む。それらのデータ要素は、接続IDフィールド612により特定されたCPEへ送られる。短縮MACダウンリンク・パケット・フォーマット600bは、標準MACダウンリンク・パケット・フォーマット600aに類似する。
【0044】
図6bは、本発明に使用するようにされている短縮MACダウンリンク・パケット・フォーマット600bの好適な実施例のフォーマットを示す。通信技術の当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく代わりの構成を使用できることを理解できる筈である。短縮MACダウンリンク・パケット・フォーマット600bは、短縮MACダウンリンク・ヘッダ650と、固定長ペイロード623とを含むことが好ましい。短縮MACダウンリンク・ヘッダ650は、全長が4バイトになる7つの異なるフィールドを含むことが好ましい。短縮MACダウンリンク・ヘッダ650は、長さが1バイトであるヘッダ・フラッグ・フィールド604で始まる。ヘッダ・フラッグ・フィールド604は、システムにおいて論理0にセットされる。それは、固定長パケットを許すだけである。したがって、図示の実施例においては、短縮MACダウンリンク・ヘッダ650は固定長データパケットをサポートするので、ヘッダ・フラッグ・フィールド604は短縮MACヘッダに対して論理0に常にセットされる。ヘッダ・フラッグ・フィールド604の後に、パワー制御フィールド606と、暗号化ビットフィールド608と、保留接続IDフィールド610と、接続IDフィールド612とが続く。それらのフィールドは、
図6aの標準MACダウンリンク・パケットおよびヘッダ・フォーマット600aの説明において上で説明したものと同じである。接続IDフィールド612の後に、帰路(backhaul)保留断片化(BRF)フィールド615が続き、長さは3ビットが好ましい。BRFフィールド615は帰路断片化のために保留され、帰路に特有の断片化情報を送るために使用することが好ましい。
上記PLPフィールド616は、BRFフィールド615の後に続く。
標準MACアップリンク・パケット・フォーマット600cは、標準MACダウンリンク・パケット・フォーマット600aに類似している。それについては、以下で説明する。
【0045】
図6cは、本発明に使用されるようにされている標準MACアップリンク・パケット・フォーマット600cの好適な実施例のフォーマットを示す。通信技術の当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく代わりの構成を使用できることを理解できる筈である。
図6cの標準MACアップリンク・パケット・フォーマット600cは標準MACアップリンク・ヘッダ660と、可変長ペイロード622とを含むことが好ましい。標準MACアップリンク・ヘッダ660のフォーマット(
図6c)は、1つの例外を除き、標準MACダウンリンク・ヘッダ640のフォーマット(
図6a)と同じである。すなわち、標準MACアップリンク・ヘッダ660では、ヘッダ・フラッグ604の後に、パワー制御フィールド606(
図6a)ではなくて、ポール・ミー(PM)フィールド605が続く。ポール・ミーフィールド605は長さが3ビットで、帯域幅のために要求をポールすべきである時を示す。ポール・ミーフィールド605は、パケットに関連するCPEから接続要求が受けられた時も示す。好適な実施例では、ポール・ミーフィールド605には、第1の選択されたレベルと255の間のサービスの質(QoS)を持つ接続に対してポールすべき要求を表す、01と、1と第2の選択されたレベルの間のQoSを持つ接続に対してポールすべき要求を表す、10と、の論理値が割当てられる。
図6dに示されている短縮MACアップリンク・パケット・フォーマット600dは、
図6bの短縮MACダウンリンク・パケット・フォーマット600bに類似する。
【0046】
図6dは、本発明に使用されるようにされている短縮MACアップリンク・パケット・フォーマット600dの好適な実施例のフォーマットを示す。短縮MACアップリンク・パケット・フォーマット600dは、短縮MACアップリンク・ヘッダ670と、固定長ペイロード623とを含むことが好ましい。短縮MACアップリンク・ヘッダ670のフォーマットは、1つの例外を除き、
図6bの短縮MACアップリンク・ヘッダ650のフォーマットと同じである。とくに、
図6dの短縮準MACアップリンク・ヘッダ670では、短縮MACダウンリンク・ヘッダ650のフォーマット(
図6b)のパワー制御フィールド606の代わりにポール・ミー(PM)フィールド605が用いられる。
図6dに示されているように、ポール・ミーフィールド605は、ヘッダフラッグ604の後に続く。ポール・ミーフィールド605は、
図6cの標準MACアップリンク・パケット600cのフォーマットを参照して上で説明した。
【0047】
図6a〜
図6dを参照して、上で説明したアップリンク・パケット600a、600cと、ダウンリンク・パケット600b、600dとのフォーマットは、本発明に使用するようにされている無線通信システムにおいてCPEと基地局の間でデータを伝送するための好適なメカニズムである。しかし、これは本発明を限定することを意味しない。この技術の当業者は、MACパケット600a、600c、600b、600dのフォーマットの他の種類を本発明の範囲を逸脱することなく使用できることを理解できる筈である。
【0048】
本発明の好適な実施例では、MACアップリンク・パケットとMACダウンリンク・パケットは、TC層506(
図5)を介して物理的層508(
図5)とインタフェースする。TC層506は、MACメッセージを無線インタフェースに適合できるパケットに纏める。TC層5506は、要求に応じてMACメッセージをTC/PHYパケットの間に分配できる。通信技術の当業者は、データをTC/PHYパケットで送るために非常に多数のフォーマットが存在することを理解される筈である。次に、本発明に使用されるようにされている1つのTC/PHYパケット・フォーマットを、
図7を参照して説明する。
【0049】
TC/PHYパケット・フォーマット
図7は、本発明に使用するようにされているTC/PHYパケット700の好適な実施例のフォーマットを示す。TC/PHYパケット700のフォーマットは、全長が228ビットである5つの異なるフィールドを有することが好ましい。
TC/PHYパケット700は、「TCデータユニット」(TDU)とも呼ばれる。
図7に示されているように、TC/PHYパケット700は、8ビットヘッダ702と、208ビット・ペイロード・フィールド712と、12ビットCRCフィールド712とを有する。ヘッダ702は、ヘッダ存在(HP)フィールド704と、ヘッダ保留(R)フィールド706と、位置フィールド(Pos)フィールド708とを有することも好ましい。ヘッダ存在フィールド704の長さは1ビットであって、TC/PHYパケット700内に存在するMACヘッダのスタートの存在(または不存在)についての情報を提供する。MACヘッダは、TC/PHYパケット700内のどこかでスタートすると、ヘッダ存在フィールド704は論理1にセットされ、さもなければ論理0にセットされる。保留フィールド706は、ヘッダ存在フィールド704の後に続く。保留フィールド706は、長さが2ビットであって、将来の使用のために選択により保留される。位置フィールド708は、保留フィールド706の後に続く。位置フィールド708は長さが5ビットであって、ペイロード内のMACヘッダ、がスタートするバイト位置を示すことが好ましい。TC/PHYパケット700は、208ビット(すなわち、26バイト)のペイロードを有することが好ましい。ペイロード712は、以下で詳細に説明するMACパケット情報を含む。
図7に示されているCRCフィールド710はペイロード712の後に続く。
CRCフィールド710の長さは、12ビットである。CRCフィールド710は、周知の周期的冗長性検査技術を用いて誤り訂正機能を行う。TC/PHYパケット・フォーマット700 (TDU)は、MAC実体(パケット)をPHY要素へマッピングするために機構を提供する。以下に、この機構について詳しく説明する。
【0050】
PHY要素へのMAC実体のマッピング
本発明の一実施例では、BS LL‐MAAは、物理的チャネルの利用可能な帯域幅の割当てとマッピングの全てを、高次通信プロトコル層から受けた要求のサービス要求の優先順位および質を基にして行う。また、帯域幅の利用可能性は、BSと個々のCPEの間の許容ビット誤り率(BER)を達成するために求められる変調を基にすることが好ましい。BS MACは、PHYからの、特定のCPEに対して求められる変調を決定するための信号の質、すなわち、利用できる帯域幅、についての情報を使用することが好ましい。BS LL‐MAAがアップリンク帯域幅をCPEに一度割当てると、各CPEのLL‐MAAはそれが突出しているアップリンク要求にその帯域幅を割当てる。
【0051】
図8は、可変長MACメッセージの流れから228ビットTCデータユニット(TDU)、TC/PHYパケットとしても知られている、700と、300ビットPlと、最後に25記号PS(PlとPSは
図2を参照して先に説明した)と、への4段マッピングの好適な実施例を示す。
図8に示されており、かつ以下に説明するように、本発明はPS通信プロトコルレベルからMAC通信プロトコルレベルへ、およびMAC通信プロトコルレベルからPS通信プロトコルレベルへ、マップすることが好ましい。LL‐MAAが割当てる好適な最小の物理的ユニットは、25記号PS802である。LL‐MAAが割当てる好適な最小の論理的ユニットは、228ビットTCデータユニット(TDU)700の208ビット(26バイト)ペイロード712である。通信技術の当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、物理的ユニットと論理的ユニットの別の最小構成を使用できることを理解できるであろう。228ビットのTDUは、300ビットPl 804を作成するために周知のリード‐ソロモン符号化技術を用いて符号化することが好ましい。種々の遷移間隙などの、符号化を要しない帯域幅需要は1PSの単位で割当てることが好ましい。符号化(例えば、リード‐ソロモン符号化技術を用いて)を要する帯域幅需要はTDU700で割当てることが好ましく、各変調(ダウンリンクの場合)と、各CPE(送信アップリンクの場合)、がTDU700の整数倍に付加されてPl804の整数倍を作成する。好適な実施例におけるこの付加については、以下に詳しく説明する。Plを送信するために要するPS802の数は、使用される変調形式で変化する。
【0052】
MACからPHYへのダウンリンク・マッピング
上で説明し、かつ未決の米国特許出願第09/316518号に記載されているように、本発明に使用されるようにされているダウンリンク・サブフレーム300の好適な実施例(
図3)は、固定長のプリアンブル310と、PHY制御部312と、MAC制御部314とを含んでいるフレーム制御ヘッダ302でスタートする。このフレーム制御ヘッダ302によってCPEをダウンリンクに同期させること、およびアップリンクとダウンリンクとのマッピングを決定することを許す。
【0053】
図9は、本発明の好適な実施例における利用者のダウンリンク需要への好適なダウンリンク・サブフレーム300のボデーのマッピングを示す。変調遷移間隙(MTG)306は、変化する変調技術との同期を確実に行うための1PSプリアンブルの目的を果たす。
ダウンリンク・サブフレーム300内では、変調(例えば、QAM‐4、QAM‐16、およびQAM‐64)によりグループに纏めることが好ましい。変調ブロック内では、パケットをCPEによってグループに纏めることができるが、そのように纏める必要はない。個々のCPEのための全てのメッセージ(フレーム・ヘッダ内のもの以外の)は、同じ変調形式を用いて送信することが好ましい。好適な実施例のマッピング法では、特定の変調での各MACパケット列をTDU700の整数倍であるように付加すべきである。この付加は、符号化の後でPlの整数倍を得るために使用される。付加は、充填バイト0x55を使用することが好ましい。アップリンク・マッピングの構造は、ダウンリンク・マッピングの構造とは僅かに異なる。以下に、この構造を
図4と
図10を参照して説明する。
【0054】
MACからPHYへのアップリンク・マッピング
本発明に使用するようにされているアップリンク・サブフレーム400(
図4)は、
図4を参照して上で説明したように、アップリンク競合アクセス・スロットを有することが好ましい。アップリンク・サブフレーム400は、選択により使用できる位置決め競合スロット402で始まることが好ましい。局の位置決め中に使用するために、いくつかの位置決め競合スロット402がPHYに定期的に割当てられることが好ましい。好適な一実施例では、位置決めメッセージは1PSプリアンブルの後に続き、単独で送られることが好ましい。また、他のMAC制御メッセージは同じMACパケットにパックしないことが好ましい。帯域幅要求競合スロット404は、帯域幅要求のためのマルチキャスト・ポールおよび放送ポールに応答するために割当てることが好ましい。好適な一実施例では、帯域幅要求メッセージは、帯域幅要求競合期間中に送られる時は、1PSプリアンブルを先行させて、全TDUに付加することが好ましい。CPEは、他の接続に対する付加帯域幅要求を同じMACパケットに全TDUへのパディングの一部としてパックできる。次に、アップリンク・マッピングについて説明する。
【0055】
図10は、本発明に使用するようにされているアップリンク・サブフレーム400の計画された部分の、本発明の一実施例における加入者のアップリンク需要へのマッピングを示す。
図9のMTG306と同様に、CPE遷移間隙(CTG)408は、新しいCPEとの同期を確実に行うようにする1PSプリアンブルを含むことが好ましい。サブフレーム400内では、TC/PHYパケット700は、CPEによりグループに纏めることが好ましい。個々のCPEからの、帯域幅要求競合スロットで送られる帯域幅要求以外の、全てのメッセージは同じ変調形式を用いて送ることが好ましい。好適な実施例では、符号化の後でPlの整数倍を提供するために、CPEの送信はTDUの整数倍であるようにパッドされることが好ましい。パディングは、充填タイプ0x55を使用することが好ましい。
【0056】
アップリンク・マッピングとダウンリンク・マッピングは、データをPHY層508に送るために高次通信プロトコル層(CGとDAMA)にある機構を提供する。
【0057】
本発明のデータを伝送し、同期する技術を使用することにより、計画されたアップリンクデータとダウンリンクデータはMAC層502、504(
図5)と物理的層508(
図5)の間で伝送および同期される。計画されたアップリンクデータとダウンリンクデータは、CPE110により使用される変調形式を基にして、アップリンク・サブフレーム400とダウンリンク・サブフレーム300内でそれぞれ送られることが好ましい。本発明は、アップリンクデータとダウンリンクデータをMAC層502、504と物理的層508の間で送るために、MACパケット600a、600b、600c、600d(それぞれ
図6a〜6d)のフォーマットとTC/PHYパケット・フォーマット700(
図7)を使用することが好ましい。PHY要素へのMAC実体のマッピングは、上で説明した (
図8〜
図10)4段階のアップリンク・マッピングおよびダウンリンク・マッピングに従って行うことが好ましい。本発明および以下でより詳細に説明するやり方に従って、MACパケットデータは可変長のようにしてTC/PHYパケット・フォーマット700へマップされる。したがって、TC/PHYパケット700より大きいMACパケットはばらばらにされる。TC/PHYパケット700より小さいMACパケットは、2つの条件の1つが適用されなければ、1つのTC/PHYパケット700内の次のMACパケットに連結される。それらの条件については、以下で詳細に説明する。
【0058】
本発明の方法は、無線通信システムにおいてMACと物理的通信プロトコル層との間でデータを効率的に送る。本発明に従って帯域幅は効率的に使用される。その理由は、多数の可変長メッセージが多数のTC/PHYパケット700にわたって連結される。本発明は、データメッセージ・ヘッダがデータまたは無線リンクにわたって失われた時に、次のデータメッセージに迅速に同期するので有利である。失われたデータまたは無線リンクが再設定された後で、本発明は迅速な同期を行えるようにする。その理由は、次のMACヘッダ640、650、660、または670(
図6a〜6d)を見出すために、無線通信システムは、受けられたTC/PHYパケット700のヘッダ存在フィールド704を走査する必要があるのみだからである。したがって、データまたは無線リンクが再設定された時に、ほんの僅かな情報(1MACメッセージより少ない)が失われる。この技術を、
図11を参照して以下に詳細に説明する。
【0059】
データ伝送および同期技術
本発明の好適な実施例では、
図6a〜6dを参照して説明したように、ペイロードは可変長MACパケット600a、600b、600c、600dのフォーマットを送ることが好ましい。MACパケット600a、600b、600c、600dの長さに依存して、本発明は、物理的層508(
図5)にマッピングした時にMACパケット600a、600b、600c、600dをばらばらにし、または連結する。本発明の好適な実施例では、TC/PHYパケット700は、最大容量が208ビットであるペイロード712(
図7)を有する。好適な最大である208ビットは単なる例であって、他のTC/PHYパケット・フォーマットを使用できること、および種々の最大ペイロードを持つことができることをこの分野の当業者は理解されるであろう。時にはTC/PHY700は、MACパケット600a、600b、600c、600dをマッピングするために利用できる最大容量より小さい容量を持つことができる。この状況は、以前のMACパケットまたはMACパケットの断片が現在のTC/PHYパケット700に既にマップされている時に起きる。例えば、好適な実施例では、96ビットのMACパケットがTC/PHYパケット700にマップされたとすると、次のMACパケット600を、連結技術を用いてマッピングするために、112ビットをTC/PHYパケット700のペイロード712において利用できる。可変長MACパケットを送り、かつこのようにしてTC/PHYパケット700にマッピングする手順が
図11に示されており、以下に詳細に説明する。
【0060】
図11に示されているように、本発明の方法はステップ150においてMACパケット600をまず得ることにより、データ送りおよび同期技術を開始する。
この方法は、MACパケット600が現在のTC/PHYパケット700のペイロード712より長いかどうかを判定するステップ152へ進む。もし長ければ、この方法はステップ154へ進み、そのステップではMACパケット600をばらばらにし、長くなければこの方法はステップ160へ進み、そのステップではMACパケット600をTC/PHYパケットにマップする。
【0061】
ステップ154では、この方法はMACパケット600を「断片MACパケット」と呼ばれる小ビット長パケットにばらばらにする。ばらばらにされたMACパケット600は第1の断片MACパケットと第2の断片MACパケットを少なくとも有する。その第1の断片MACパケットは、現在のTC/PHYパケット700の残りの利用可能なビットを充たすために構成されることが好ましい。この方法は、ステップ154で第1の断片MACパケットを、上記のように現在のTC/PHYパケット700にマップする。その後で、この方法は、ステップ156へ進む。ステップ156では、この方法は、全ての断片がマップされるまで、残りの断片を次の引き続くTC/PHYパケットへマップする。本発明の好適な実施例に従って、この方法は、同じTDDフレーム200におけるMACパケットから全ての断片を送ることが好ましい。その後で、この方法は、ステップ150へ戻って他のMACパケットを得る。
【0062】
ステップ160では、この方法は、MACパケットを上記のようにTC/PHYパケットにマップする。その後で、この方法は、判定ステップ162へ進んで、TC/PHYパケット700のペイロードに利用できるビットが存在するかどうかを判定する。マップされたMACパケットが、TC/PHYパケット700の中間(すなわち、ペイロード全体を充たす前)で終らされたとすると、ビットは利用可能なままである。ペイロード内のビットが利用可能なままであるとすると、この方法は判定ステップ166へ進み、利用可能でなければ、ステップ164へ進み、そこからステップ150へ戻って上記のように別のMACパケットを得る。判定ステップ166では、この方法はダウンリンクで変調の変化があったかどうかを判定する。もしあったならば、この方法はステップ168へ進んで、MTG306、306′が後に続く新しいTC/PHYパケット700を得、もしなかったならば、この方法は判定ステップ170へ進む。したがって、ステップ168の後で新しい変調の第1のMACパケットが、MTG306、306′が後に続く新しいTC/PHYパケット700にマップされる。ステップ168の後では、この方法はステップ164へ進み、そのステップでこの方法はステップ150へ戻って上記のように別のMACパケットを得る。次のMACパケットは新しい変調形式を用いて送られる。
【0063】
判定ステップ170では、この方法は、アップリンクでCPEの変化があったかどうかを判定する。もしあったならば、この方法はステップ172へ進んで、CTG408,408′,408″が後に続く新しいTC/PHYパケット700を得、もしなかったならば、この方法は判定ステップ174へ進む。したがって、ステップ172では、次のCPEの第1のMACパケットが、CTG408,408′,408″が後に続く新しいTC/PHYパケット700にマップされる。ステップ172の後では、この方法はステップ164へ進み、そのステップでこの方法はステップ150へ戻って、新しいCPEになるであろう別のMACパケットを得る。ステップ174では、この方法は、もしあれば次のMACパケット、を現在のTC/PHYパケット700にマップする。その後で、この方法は、ステップ152へ戻って上記のように機能する。
【0064】
まとめ
要約すれば、データを伝送および同期する本発明の方法は無線通信システムでデータを伝送および同期する強力で、非常に効率的な手段を含む。データを伝送および同期するこの方法はデータフォーマットとデータ伝送技術の組合わせを用いて、通信システムにおいてデータを効率的に伝送する。
有利なことに、本発明はデータの喪失が起きた時に層を迅速に同期する。この迅速な同期は、データまたは無線リンクの再設定時に2つ以上のMACメッセージのデータ喪失を阻止する。また、多数のMACパケットは本発明の技術を用いて多数のTC/PHYパケット700にマップすることが好ましい。
【0065】
本発明のいくつかの実施例を説明した。しかし、本発明の要旨および範囲を逸脱することなく種々の変更を行うことができることを理解されるであろう。例えば、本発明の方法をTDD無線通信システムで使用されるものとして上で説明したが、FDD無線通信システムにも全く同様に容易に使用される。
更に、本発明の方法は、ほぼいかなる種類の通信システムにも使用できる。それの用途は、無線通信システムに限定されるものではない。1つのそのような例は、衛星通信システムに本発明を使用することである。そのような通信システムでは、衛星は上記基地局の代わりをする。また、CPEは、衛星から一定の距離にもはや配置されていない。あるいは、本発明は、有線通信システムに使用できる。有線システムと無線システムとの唯一の違いは、チャネル特性が両者の間で異なることである。しかし、データの伝送および同期は、2つの種類のシステムの間で変化はない。したがって、本発明は、説明した特定の実施例によって限定されるのではなく、添付した特許請求の範囲によってのみ限定される。