(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サンプルチャンバは、前記サンプルチャンバに設けられた測定ゾーンを含んでなり、前記測定ゾーンはサンプルチャンバ内の、作動電極とカウンタ電極が重なる一定の領域である、請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、測定ゾーンがサンプルチャンバ容積を部分的に充填するだけである、小さい容積のインビトロ分析物電気化学センサを対象とする。センサは、正確な分析物の読みを得るために、サンプルチャンバ全体が充填される必要がある以前のセンサストリップに比べて、小さな生物学的流体サンプル容積を使用する。本発明のセンサストリップは、向かい合う2つの電極システムを含み、付加的なインジケータ電極が、向かい合う電極の下流に配置される。こうした構成を用い、また、たとえば、電解電量分析技法と共に使用されると、分析されるサンプルの容積は、向かい合う2つの電極間に存在するサンプルである
。向かい合う2つの電極間のこの容積は、測定ゾーンである。
【0022】
本発明の実施形態は、サブマイクロリットル容積、たとえば、約0.2μL以下、たとえば、約0.15μL以下、たとえば、約0.1μL以下を有する測定ゾーンを有するセンサを含む。一部の実施形態では、測定ゾーンの容積は、約0.05μLほどに少ない、または、約0.03μLほどに少なくてもよい。本発明のデバイスは、任意の生物学的流体と共に使用するようになっていてもよい。たとえば、生物学的流体は、限定はしないが、血液、血清、間隙の流体、尿、涙、汗、および同様なものであってよい。同様に、本デバイスは、限定はしないが、グルコース、乳酸塩、および同様なものを含む種々の分析物の濃度を決定するのに使用されてもよい。
【0023】
サンプルチャンバ内に存在するサンプル容積の一部分だけが分析され、サンプルチャンバ内に存在するさらなるサンプルが分析されないため、測定精度は、サンプルチャンバ内に存在するサンプルの総量に依存しない。本発明のセンサは、サンプルチャンバ全体を充填しないサンプルの分析物濃度を決定することができる。すなわち、正確な分析物濃度を得るために、サンプルチャンバがサンプルで完全に充填されることは必要でない。
【0024】
述べたように、インジケータ電極は、少なくとも、1つの作動電極と1つのカウンタ電極を含む向かい合う2電極システムの下流に配置されることができる。分析物検査は、インジケータ電極がトリガーされるまで、始動されないことになり、そのため、向かい合う電極間における所望の容積の存在が確保される。
【0025】
特に、検査のために電解電量分析法を使用するときに、正確な分析物測定値を得るために、測定ゾーン内のサンプルは、固定サンプル容積を確保するために、非流動的であってよい、すなわち、測定ゾーンおよびサンプルチャンバを通る流れが停止される。一部の実施形態では、インジケータ電極は、サンプル流が停止したか否かを判定するように構成されることができる。
【0026】
本明細書で使用されるとき、以下の定義が、述べる用語を規定する。
「生物学的流体(biological fluid)」は、その中の分析物を測定することができる任意の体液、たとえば、血液、間隙の流体、皮膚流体、汗、および涙である。「血液(blood) 」は、全血、および、血漿および血清などの無細胞成分を含む。
【0027】
「カウンタ電極(counter electrode) 」は、作動電極と共に使用される、カウンタ電極を通して作動電極を通って流れる電流と、大きさが同じでかつ符号が逆の電気化学電流が流れる電極を指す。「カウンタ電極」という用語は、「カウンタ電極」が、参照電極またはカウンタ/参照電極を除外するという説明がされなければ、参照電極(すなわち、カウンタ/参照電極)として同様に機能するカウンタ電極を含むことを意味する。
【0028】
「下流(downstream)」は、経路内に後で存在するか、または、後で接触する相対的位置を指し、たとえば、下流電極は、上流電極がその同じサンプルによって接触された後に、生物学的流体サンプルによって接触される。
【0029】
「電気化学センサ(electrochemical sensor)」または「電気化学センサストリップ(electrochemical sensor strip)」およびその変形は、電気化学的酸化および還元反応によって、分析物の濃度の存在を検出する、かつ/または、濃度を測定するように構成されたデバイスである。これらの反応は、分析物の量または濃度に関係付けられる可能性がある電気信号に変換される。電気化学センサは、細長いストリップまたはその他のものとして構成されてもよい。
【0030】
「電気分解(electrolysis)」は、電極において直接的に、または、1つまたは複数の電子移動作用物質(たとえば、酸化還元媒介物および/または酵素)による、化合物の電気的酸化または電気的還元である。
【0031】
「電子移動作用物質(electron transfer agent) 」は、酸化還元媒介物と分析物との間、または、作動電極と分析物との間で電子を搬送する分子である。電子移動作用物質は、酸化還元媒介物と共に使用されてもよい。
【0032】
「向かい合う電極(facing electrode)」という用語は、作動電極の作動表面が、カウンタ電極の表面にほぼ対向して配設される、作動電極とカウンタ電極の構成を指す。
「インジケータ電極(indicator electrode) 」は、生物学的流体サンプルで、サンプルチャンバおよび/または測定ゾーンが部分的にまたは完全に充填されていることを検出する1つまたは複数の電極を含む。
【0033】
「層(layer) 」は、1つまたは複数の層を含む。
「測定ゾーン(measurement zone)」は、分析物検査中に呼び掛けられる、作動電極と
カウンタ電極との間に存在するサンプルの部分だけを収容する大きさに作られたサンプルチャンバの領域として本明細書で規定される。
【0034】
「非拡散性(non-diffusible)」、「非浸出性(non-leachable) 」、または、「 非放出
性(non-releasable)」 化合物は、分析物検査の継続時間中に、作動電極の作動表面から
実質的に拡散しない化合物である。
【0035】
「酸化還元媒介物(redox mediator)」は、直接的に、または、電子移動作用物質によって、分析物と作動電極との間で電子を搬送する作用物質である。
「参照電極(reference electrode) 」は、「参照電極」が、カウンタ/参照電極を除外するという説明がされなければ、カウンタ電極(すなわち、カウンタ/参照電極)として同様に機能する参照電極を含む。
【0036】
「作動電極( working electrode) 」は、酸化還元媒介物の働き(agency)がある場合ま
たは働きが無い場合に、分析物が、そこで電気的酸化または電気的還元される電極である。
【0037】
全体の図面および特に
図1を参照すると、本発明の小さな容積のインビトロ電気化学センサストリップ10が、概略的に示される。センサストリップ10は、第1支持体12、第2支持体14、および第1支持体12と第2支持体14との間に配置されたスペーサ15を有する。以下で述べるように、センサストリップ10は、少なくとも1つの作動電極、少なくとも1つのカウンタ電極、および少なくとも1つのインジケータ電極を含む。センサストリップ10は、層状構造であり、いくつかの実施形態では、全体が長方形の形状を有する。すなわち、その長さは幅より長いが、他の形状も可能である。
【0038】
ストリップ10などのセンサストリップの基本原理は、一般に知られている。ストリップは、遠位端、および、センサ読み取り器内に挿入されるように全体が構成され、配置された対向する近位端を有する。センサストリップの種々の特定の構造は、たとえば、米国特許第6,143,164号、第6,338,790号、および第6,616,819号に見出すことができる。
【0039】
センサの寸法は多様でありうる。いくつかの実施形態では、センサストリップ10の全長は、約20mm以上で、かつ、約50mm以下である。たとえば、長さは、約30〜45mm、たとえば、約30〜40mmであってよい。しかし、より短く、また、より長い
センサストリップ10を作ることができることが理解される。いくつかの実施形態では、センサストリップ10の全体の幅は、約3mm以上で、かつ、約10mm以下である。たとえば、幅は、約4〜8mm、約5〜6mmであってよい。1つの実施形態では、センサストリップ10は、約32mmの長さと約6mmの幅を有する。別の実施形態では、センサストリップ10は、約40mmの長さと約5mmの幅を有する。なお別の実施形態では、センサストリップ10は、約34mmの長さと約5mmの幅を有する。
支持体
上述したように、センサストリップ10は、センサストリップ10の全体の形状およびサイズを形成する、第1および第2支持体12、14(非導電性で不活性な支持体)を有する。支持体12、14は、実質的に剛性があってもよく、または、実質的に柔軟性があってもよい。いくつかの実施形態では、支持体12、14は、柔軟性があるか、または、変形可能である。支持体12、14についての適した材料の例は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、および他の「プラスチック」またはポリマを含むが、それに限定されない。いくつかの実施形態では、支持体材料は、「メリネックス(Melinex) 」ポリエステルである。他の非導電性材料が使用されてもよい。スペーサ層
先に示したように、支持体12と支持体14との間に、スペーサ15が配置される。スペーサ15は、第1支持体12を第2支持体14から分離させる。スペーサ15は、通常、少なくとも、支持体12、14と同程度に柔軟性がありかつ変形可能である(または、同程度に剛性がある)不活性な非導電性支持体である。いくつかの実施形態では、ペーサ15は、粘着層または両面粘着テープまたはフィルムである。ペーサ15用に選択される、いずれの粘着作用物質も、正確な分析物測定を妨げる可能性がある材料を拡散せず、または、放出しないように選択されるべきである。
【0040】
いくつかの実施形態では、ペーサ15の厚さは、少なくとも約0.01mm(10μm)であり、また、約1mmまたは0.5mm以下であってもよい。たとえば、厚さは、約0.02m(20μm)〜0.2m(200μm)であってよい。1つのある実施形態では、厚さは、約0.05m(50μm)であり、別の実施形態では、約0.1m(100μm)である。
サンプルチャンバ
依然として
図1を参照し、また、
図2も参照すると、センサストリップ10は、分析されるサンプルの容積を受け取るサンプルチャンバ20を含む。サンプルチャンバ20は、サンプルがチャンバ20内に与えられると、サンプルが、作動電極とカウンタ電極の両方に電解式の接触状態になり、電極間に流れる電流が、分析物の電解(電気的酸化または電気的還元)を起こすことを可能にするように構成される。サンプルチャンバ20は、サンプルを受け取る入り口21を有する。
【0041】
サンプルチャンバ20は、支持体12、支持体14、およびスペーサ15によって画定される。具体的には、サンプルチャンバ20は、スペーサ15が存在しない、支持体12と支持体14との間に存在する。通常、スペーサ15の無い、支持体12と14との間のエリアを設けるために、スペーサ15の一部分が除去される。除去されたスペーサのこの容積がサンプルチャンバ20である。
【0042】
図2を参照すると、センサストリップ10の平面図が示される。この図から、サンプルチャンバ20は、センサストリップ10の第1側面縁から対向する第2側面縁まで延在する。サンプルチャンバ20の端のうちの一方は、入り口21を含み、そのため、センサストリップ10は、「サイドフィル(side fill) 」センサである。センサストリップ10は、どの面が入り口21であるかを示すために、印字または他の印を含んでもよい。センサは、別法として、または、付加的に、「エンドフィル(end fill)」センサ(たとえば、
図3を参照されたい)、および/または、「トップフィル(top fill)」センサとして構成す
ることができることが理解されるであろう。同様に、
図2には、以下で詳細に説明される測定ゾーン30が示される。
【0043】
図3を参照すると、代替のセンサストリップ10' の平面図が示される。この図によるこの例の場合、サンプルチャンバ20' は、センサの遠位端から排出用の両方の側面縁まで延在する。サンプルチャンバ20' は、遠位端に入り口21' を含む。そのため、センサストリップ10' は、「エンドフィル」センサである。同様に、
図3には、測定ゾーン30' が示される。以下の説明の場合、「サンプルチャンバ20' 」という用語が使用されるが、両方のチャンバ20、20' が、説明に含まれる。
【0044】
サンプルチャンバ20の容積は、ほぼ、スペーサ15の厚さに、除去されたスペーサ15の面積を掛けた値である。この厚さは、分析物の迅速な電解を促進するために小さい。それは、所与のサンプル容積について、サンプルのより多くが、電極表面に接触することになるからである。さらに、約5秒以下であってよい測定時間に比べて、拡散時間が長いため、薄いサンプルチャンバ20は、分析物検査中に、サンプルチャンバの他の部分から測定ゾーン内への分析物の拡散による誤差を減らすのに役立つ。
【0045】
サンプルチャンバ20は、小さな容積を有する。たとえば、容積は、数マイクロリットル容積から、サブマイクロリットル容積などの、約2μLまたは1μL以下の容積の範囲にあってもよい。たとえば、サンプルチャンバ20は、約5μL以下、たとえば、約1μL以下、たとえば、約0.5μL以下の容積を有してもよい。
電極
上述したように、センサストリップ10は、作動電極、カウンタ電極、およびインジケータ電極を含む。カウンタ電極は、カウンタ/参照電極または参照電極であってよい。複数のカウンタ電極が存在する場合、カウンタ電極のうちの1つのカウンタ電極は、カウンタ電極であることになり、1つまたは複数のカウンタ電極は、参照電極であってよい。
図4〜8を参照すると、適した電極構成の4つの例が示される。構成のそれぞれにおいて、作動電極は参照数字22で指定され、カウンタ電極は参照数字24で指定され、インジケータ電極は参照数字25で指定される。これらの参照数字は、構成の実施形態を示すためにアルファベット接尾部を含む。一般的な説明の場合、作動電極は、ひとまとめに作動電極22と呼ばれ、カウンタ電極は、ひとまとめにカウンタ電極24と呼ばれ、インジケータ電極は、ひとまとめにインジケータ電極25と呼ばれるであろう。
【0046】
センサストリップ10および電極22、24、25の構造の理解を容易にするために、以下の名称が使用されるであろう。任意の電極22、24、25の長さは、サンプル移動方向に沿う軸方向寸法である。任意の電極22、24、25の幅は、横方向の寸法である。
図4、6、および7において、電極は、かなりの厚さを有するものとして示されており、これは、電極の配置および全体の構造の理解を容易にするために行われたことが理解されるべきでる。通常、電極は、電極が形成される方法に応じて非常に薄いであろう。たとえば、スクリーン印刷電極は、通常、少なくとも数マイクロメートル厚であり、一方、スパッタリング電極または電着電極は、通常、サブミクロン厚である。
作動電極
作動電極は、第1支持体12上に配置される。
図4および5を参照すると、作動電極22Aは、支持体12上に示され、
図6では、作動電極22Bは、支持体12上にあり、
図7では、作動電極22Cは、支持体12上にあり、
図8では、作動電極22Dは、支持体12上にある。一般的な説明の場合、全ての作動電極22A、22B、22C、22D
は、ひとまとめに作動電極22と呼ばれるであろう。
【0047】
作動電極22は、金、炭素、プラチナ、二酸化ルテニウム、パラジウム、または、非腐食性の導電性材料などの導電性材料層である。適した導電性エポキシの例は、ECCOC
OAT CT5079−3炭素充填導電性エポキシ被覆(W.R. Grace Company (マサチューセッツ州ウォバーン(Woburn, MA))から入手可能)である。
【0048】
作動電極22は、種々の方法のうちのいずれかの方法によって、支持体12上に塗布される。電極22は、気相堆積または真空堆積などによって堆積されるか、スパッタリングされるか、平坦表面上に、または、エンボス加工されるかまたはその他の方法で窪んだ表面に印刷されるか、別個のキャリアまたはライナから転写されるか、エッチングされるか、あるいは、成形されてもよい。スクリーン印刷は、作動電極22を塗布するための好ましい方法であるが、圧電印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、フォトリソグラフィ、および塗装などの他の方法を使用することができる。
【0049】
作動電極22の材料は、通常、電気抵抗が比較的低く、通常、動作中のセンサの電位範囲にわたって電気化学的に不活性である。
作動電極22は、以下で述べるように、カウンタ電極と共に、分析物の分析のための測定ゾーン30内に設けられる。具体的には、作動電極22Aは、測定ゾーン30A内にあり、作動電極22Bは、測定ゾーン30B内にあり、作動電極22は、測定ゾーン30C内にあり、作動電極22Dは、測定ゾーン30D内にある。検知用化学物質
作動電極22に加えて、分析物の分析のために、検知用化学物質材料(複数可)が、好ましくは、測定ゾーン30内に設けられる。検知用化学物質材料は、サンプル内での作動電極22と分析物との間の電子の移動を容易にする。任意の検知用化学物質が、センサストリップ10で使用され、検知用化学物質は、1つまたは複数の材料を含んでもよい。
【0050】
検知用化学物質は、拡散性か、浸出性か、非拡散性か、または、非浸出性であることができる。本明細書の説明のために、「拡散性」という用語は、「拡散性または浸出性」を表すために使用され、「非拡散性」という用語は、「非拡散性または非浸出性」およびその変形を表すために使用されるであろう。検知用化学物質成分の配置は、検知用化学物質成分が拡散性か、または、拡散性でないかに応じてもよい。たとえば、非拡散性および/または拡散性成分(複数可)が共に、作動電極22上の検知層を形成してもよい。あるいは、1つまたは複数の拡散性成分が、分析されるサンプルの導入前に、サンプルチャンバ20または測定ゾーン30内の任意の表面上に存在してもよい。別の例では、サンプルチャンバ20および測定ゾーン30内にサンプルを導入する前に、1つまたは複数の拡散性成分(複数可)が、サンプル内に設置されてもよい。
電子移動作用物質
検知用化学物質は、一般に、分析物へ/からの電子の移動を容易にする電子移動作用物質を含む。電子移動作用物質は、拡散性または非拡散性であってよく、また、層として作動電極22上に存在してもよい。適した電子移動作用物質の一例は、分析物の反応を触発する酵素である。たとえば、分析物がグルコースであるとき、ピロロキノリンキノングルコースデヒドロゲナーゼなどのグルコースオキシダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼが使用される。他の分析物について、他の酵素を使用することができる。
【0051】
電子移動作用物質は、拡散性であろうと、拡散性でなかろうと、作動電極22と分析物との間の電流を増大させ、分子の電気化学的分析を可能にする。作用物質は、電極と分析物との間の電子の移動を容易にする。
酸化還元媒介物
この検知用化学物質は、電子移動作用物質に対して付加的にまたは別法として、酸化還元媒介物を含んでもよい。いくつかの実施形態は、遷移金属化合物または錯体である酸化還元媒介物を使用する。適した遷移金属化合物または錯体の例は、オスミウム、ルテニウム、鉄、およびコバルト化合物または錯体を含む。これらの錯体では、遷移金属は、通常、1座、2座、3座、または4座である1つまたは複数のリガンドに配位結合する。酸化還元媒介物は、ポリマ酸化還元媒介物、または、酸化還元ポリマ(すなわち、1つまたは
複数の酸化還元種を有するポリマ)であることができる。適した酸化還元媒介物および酸化還元ポリマの例は、たとえば、米国特許第6,338,790号、ならびに、米国特許第6,605,200号および第6,605,201号に開示される。
【0052】
酸化還元媒介物は、非拡散性である場合、層として作動電極22上に配設される。酸化還元媒介物および電子移動作用物質を有する実施形態では、酸化還元媒介物および電子移動作用物質が、共に、非浸出性である場合、両方の成分は、個々の層として作動電極22上に配設されるか、または、単一層として組合せて、塗布される。
【0053】
酸化還元媒介物は、拡散性であろうと、拡散性でなかろうと、作動電極22と分析物との間の電流を媒介し、電極上での直接的な電気化学反応に適さない場合がある分子の電気化学的分析を可能にする。媒介物は、電極と分析物との間で電子を移動させる作用物質として機能する。
カウンタ電極
センサストリップ10は、第2支持体14上に配置された少なくとも1つのカウンタ電極を含む。
図4および5を参照すると、カウンタ電極24Aは、支持体14上に示され、
図6では、カウンタ電極24Bは、支持体14上にあり、
図7では、カウンタ電極24Cは、支持体14上にあり、
図8では、カウンタ電極24Dは、支持体12上にある。一般的な説明の場合、全てのカウンタ電極24A、24B、24C、24Dは、ひとまとめにカウンタ電極24と呼ばれるであろう。作動電極22およびカウンタ電極24は、向かい合う電極対を形成する。
【0054】
カウンタ電極24は、作動電極22と同様な方法で構築されてもよい。カウンタ電極24はまた、カウンタ/参照電極であってよい。あるいは、別個の参照電極が、サンプルチャンバに接触して設けられてもよい。カウンタ電極24について適した材料は、炭素、非導電性ベース材料上に塗布されたAg/AgClまたはAg/AgBr、あるいは銀金属ベース上の塩化銀を含む。作動電極22について利用可能なものと同じ材料および方法が、カウンタ電極24を作るのに使用されてもよいが、異なる材料および方法が使用されてもよい。カウンタ電極24は、Ag/AgClおよび炭素などの複数の導電性材料の混合物を含むことができる。
インジケータ電極
センサストリップ10は、第1支持体12と第2支持体14の一方の上に配置された少なくとも1つのインジケータ電極を含む。
図4および5を参照すると、インジケータ電極25Aは、支持体14上に示され、
図6では、インジケータ電極25Bは、支持体14上にあり、インジケータ電極25B' は、支持体12上にあり、
図7では、インジケータ電極25Cは、支持体12上にあり、
図8では、インジケータ電極25Dは、支持体14上にあり、インジケータ電極25D' は、支持体12上にある。一般的な説明の場合、全てのインジケータ電極25A、25B、25B' 、25C、25D、25D' は、ひとまとめにインジケータ電極25と呼ばれるであろう。
【0055】
インジケータ電極25は、作動電極22および/またはカウンタ電極24と同様な方法で構築されてもよい。インジケータ電極25についての適した材料および方法は、作動電極22および/またはカウンタ電極24について使用される同じ材料および方法を含むが、異なる材料および方法が使用されてもよい。炭素は、インジケータ電極25について使用されてもよい材料である。
【0056】
インジケータ電極25は、測定ゾーン30の部分的な充填を防止するために、サンプルチャンバ20が完全に充填されたときを検出するのに使用される。
インジケータ電極25は、少なくとも作動電極22がインジケータ電極25と入り口21との間に配置された状態で、サンプルチャンバ20内に配置される。多くの実施形態で
は、カウンタ電極24も、インジケータ電極25と入り口21との間に配置されるであろう。インジケータ電極25は、生物学的流体サンプルが、入り口21を介してサンプルチャンバ20に入ることによって、インジケータ電極25に接触する前に、作動電極22を通って軸方向に流れるように配置される。
【0057】
サンプルがインジケータ電極25に接触することによって、電極25は、取り付けられた計量器に対する信号の供給源となる。適した信号は、たとえば、電圧、電流、抵抗、インピーダンス、またはキャパシタンスを含む。信号は、計量器および/またはユーザに対して、測定ゾーン30内に検査を始めるのに十分なサンプルが存在することを指示する。この指示は、視覚信号および/または聴覚信号および/または振動信号であってよく、あるいは、計量器は、検査を自動的に始動するように構成されてもよい。
電極構成
作動電極22およびカウンタ電極24は、向かい合う電極対を形成するために、互いに向かい合う構成で対向する支持体上に配置される。インジケータ電極25は、少なくとも作動電極22の下流のいずれかの支持体12、14上に配置される。
【0058】
図4および5を参照すると、作動電極22Aは、サンプルチャンバ20A内の支持体12の内部表面を占め、カウンタ電極24Aは、サンプルチャンバ20A内の作動電極22Aに直接対向する支持体14の内部表面の同じエリアを占める。すなわち、作動電極22Aは、向かい合うまたは対向する関係で、カウンタ電極24Aにオーバラップし、電極22A、24Aのそれぞれと同じ面積である電極オーバラップを形成する。インジケータ電極25Aは、作動電極22Aとカウンタ電極24Aの下流の支持体14の表面を占める。
図5に示すように、作動電極22A、カウンタ電極24A、およびインジケータ電極25はそれぞれ、サンプルチャンバ20Aの横方向幅にまたがる。
【0059】
図6を参照すると、第2の向かい合う電極構成が示される。第1の構成と同様に、作動電極22Bは、サンプルチャンバ20B内の支持体12の内部エリアを占め、カウンタ電極24Bは、サンプルチャンバ20B内の作動電極22Bに直接対向する支持体14の同じ表面エリアを占める。すなわち、作動電極22Bは、向かい合うまたは対向する関係で、カウンタ電極24Bにオーバラップし、電極22B、24Bのそれぞれと同じ面積である電極オーバラップを形成する。この実施形態では、2つのインジケータ電極25B、25B' が存在する。インジケータ電極25Bは、カウンタ電極24Bの下流の支持体14の表面を占め、インジケータ電極25B' は、作動電極22Bの下流の支持体12の表面を占める。インジケータ電極25B、25B' 自体は、向かい合う電極である。2つのインジケータ電極25、25B' は、測定ゾーン30B内に存在するサンプルを乱すことなく、実際の測定から、インジケータ電極における充填検出ゾーンを分離するのに使用されてもよい。
【0060】
図7を参照すると、第3の向かい合う電極構成が示される。作動電極22Cは、サンプルチャンバ20C内の支持体12の表面を占め、カウンタ電極24Cは、サンプルチャンバ20C内の作動電極22Cに直接対向する(作動電極22Cより面積が大きい)支持体14の表面を占める。カウンタ電極24Cの軸方向長さは、作動電極22Cの軸方向長さより長い。この構成は、カウンタ電極24Cの長さが長く、したがって、製造が容易であるため、多数の利点、たとえば、センサの製造性を提供する。作動電極22Cは、向かい合うまたは対向する関係で、カウンタ電極24Cの一部分だけにオーバラップし、作動電極22Cの長さである電極オーバラップを形成する。インジケータ電極25Cは、作動電極22Cの下流の支持体12の表面を占める。
【0061】
図8を参照すると、第4の向かい合う電極構成が示される。第2の構成と同様に、作動電極22Dは、サンプルチャンバ20D内の支持体12の表面エリアを占め、カウンタ電
極24Dは、サンプルチャンバ20D内の作動電極22Dに直接対向する支持体14の同じ表面エリアを占める。作動電極22Dは、向かい合うまたは対向する関係で、カウンタ電極24Dにオーバラップし、電極22D、24Dのそれぞれと同じ面積である電極オーバラップを形成する。この実施形態では、2つのインジケータ電極25D、25D' が存在する。インジケータ電極25Dは、カウンタ電極24Dの下流の支持体14の表面を占め、インジケータ電極25D' は、作動電極22Dの下流の支持体12の表面を占める。インジケータ電極25D、25D' は、電極25、25B' の長さに沿って軸方向に離間する複数の腕部または枝部を有する。こうした腕部または枝部は、インジケータ電極25D、25D' を横切るサンプルの流れを監視するのに使用されてもよい。この実施形態では、作動電極22Dも、カウンタ電極24Dも、インジケータ電極25D、25D' も、サンプルチャンバ20Dの横方向幅にまたがらない。
【0062】
電極は、通常、図には示されない、電極からセンサの近位端まで延在する導電性トレースに接続されることが留意される。こうしたトレースは、計量器に電極を動作可能に接続するのに使用される。
測定ゾーン 測定ゾーン30は、サンプルチャンバ20内に存在し、分析物検査中に呼び掛けられるサンプルの部分を含むサンプルチャンバ20の領域である。ほとんどの実施形態では、測定ゾーン30は、サンプルチャンバ20の容積未満の容積を有し、そのため、測定ゾーン30は、小さな容積、たとえば、約数マイクロリットル〜約1μL以下を有し、たとえば、サブマイクロリットル容積を有してもよい。たとえば、測定ゾーン30は、約0.2μL以下、たとえば、約0.15μL以下、たとえば、約0.1μL以下の容積を有してもよい。一部の実施形態では、測定ゾーン30の容積は、約0.05μL以下または約0.03μL以下である。測定ゾーン30は、作動電極22とカウンタ電極24との間の容積である。
【0063】
測定ゾーン30は、サンプルチャンバ20の容積に等しい容積を有することができるが、ほとんどの実施形態では、測定ゾーン30の容積は、サンプルチャンバ20の容積の約75%以下、たとえば、約50%以下、たとえば、約25%以下である。測定ゾーン30についての容積の特定の適した例は、サンプルチャンバ20の容積の約17%以下、約33%以下、約50%以下、および、約67%以下を含む。
【0064】
図2および3は、サンプルチャンバ20、20' 内の測定ゾーン30、30' の位置を破線で示す。これらの図示する実施形態では、測定ゾーン30、30' は、入り口21、21' に非常に接近している。さらに、測定ゾーン30、30' が、サンプルチャンバ20、20' より小さいことが容易に見てわかる。
【0065】
図4〜8に示す電極構成が上述された。やはり
図4〜8を参照すると、測定ゾーンとサンプルチャンバとの関係が、これらの構成のそれぞれについて、説明されるであろう。
図4および5では、サンプルチャンバ20Aおよび測定ゾーン30Aが示され、
図6では、サンプルチャンバ20Bおよび測定ゾーン30Bが示され、
図7では、サンプルチャンバ20Cおよび測定ゾーン30Cが示され、
図8では、サンプルチャンバ20Dおよび測定ゾーン30Dが示される。一般的な説明の場合、全てのサンプルチャンバ20A、20B、20C、20Dは、ひとまとめにサンプルチャンバ20と呼ばれ、全ての測定ゾーン30A、30B、30C、30Dは、ひとまとめに測定ゾーン20と呼ばれるであろう。
【0066】
図4〜8に示す測定ゾーンは、
図2の測定ゾーン30であるか、
図3の測定ゾーン30' であるか、または、サンプルチャンバ構成を有するなお異なるセンサストリップ内に存在することができる。
図4〜8のそれぞれでは、示す図は、サンプルチャンバの全容積を示す。たとえば、
図4および5に示すサンプルチャンバ20Aは、同じ位置に配置された
図2のサンプルチャンバ20であってよい。すなわち、
図2および4を参照すると、生物
学的流体サンプルは、入り口21、21Aにおいて左側でストリップ10に入り、軸方向にサンプルチャンバ20、20A内を右に、測定ゾーン30、30Aまで流れることになる。測定ゾーン30、30A内で、サンプルは、作動電極22Aおよびカウンタ電極24Aに接触し、電極22A、24Aの左端縁、次に、右端縁に接触することになる。電極22A、24Aを覆い、かつ、測定ゾーン30、30Aを充填することによって、サンプルは、さらに軸方向に右にインジケータ電極25Aまで進むことになる。この軸方向の左から右への流れは、
図4〜8の電極構成の全てについての流れ方向である。
【0067】
図4,5を参照すると、測定ゾーン30Aは、整列した作動電極22Aとカウンタ電極24Aの軸方向端縁間および横方向縁間に延在する電極オーバラップに存在する。すなわち、電極22A、24Aの端は、他方を通り越して軸方向にも横方向にも延在せず、そのため、電極オーバラップは、両方の電極22A、24Aのエリアである。測定ゾーン30Aの厚さは、電極22Aと24Aとの間の距離である。この実施形態では、作動電極22Aおよびカウンタ電極24A、したがって、測定ゾーン30Aは、サンプルチャンバ20Aの縁まで横方向に延在する。
【0068】
図6の測定ゾーン30Bは、
図4および5の測定ゾーン30Aと同じである。測定ゾーン30Bは、整列し、かつ、他方を通り越して軸方向にも横方向にも延在しない作動電極22Bとカウンタ電極24Bの軸方向端縁間および横方向縁間に延在する電極オーバラップに存在する。
【0069】
図7のカウンタ電極24Cは、作動電極22Cに比べてより長い軸方向長さおよびより大きい面積を占める。この実施形態では、測定ゾーン30Cは、電極22C、24Cのオーバラップによって画定される容積である。電極オーバラップは、軸方向に作動電極22Cのところまで延在するに過ぎない。電極オーバラップ、したがって、測定ゾーン30Cは、カウンタ電極24Cの全長にまたがらないが、検査中にサンプルが呼び掛けられる軸方向長さにだけ存在する。
【0070】
図8の測定ゾーン30Dは、作動電極22Dおよびカウンタ電極24D、したがって、測定ゾーン30Dが、サンプルチャンバ20Dの横方向縁まで延在しないことを除いて、
図4および5の測定ゾーン30Aならびに
図6の測定ゾーン30Bと同じである。測定ゾーン30Dは、整列し、かつ、他方を通り越して延在しない作動電極22Dとカウンタ電極24Dの軸方向端縁間および横方向縁間に延在する。
【0071】
測定ゾーン30の容積は、作動電極22とカウンタ電極24との間の距離に、測定ゾーン30の長さ(電極22、24の軸方向長さオーバラップである)と、測定ゾーン30の幅(電極22、24の横方向幅オーバラップである)を掛けた値である。いくつかの実施形態では、容積は、サブマイクロリットル、たとえば、約0.2μL以下、たとえば、約0.15μL以下、たとえば、約0.1μL以下である。一部の実施形態では、測定ゾーン30の容積は、約0.05μL以下または約0.03μL以下である。
【0072】
サンプルチャンバ20の厚さまたは深さでもある作動電極22とカウンタ電極24との間の距離は、スペーサ15の厚さに基づく。上述したように、スペーサ15の厚さ、したがって、電極22と24との間の距離は、少なくとも約0.01mm(10μm)、多くの実施形態では、約1mm以内であってよい。通常、この距離は、約0.02mm(20μm)〜0.2mm(200μm)、たとえば、約0.05mm(50μm)または0.1mm(100μm)である。多くの実施形態では、電極22と24との間のこの距離は、測定ゾーンの軸方向長さ未満である。たとえば、この距離は、電極22、24の短い軸方向長さによって画定される測定ゾーン30の軸方向長さの、10%未満(約1〜10%など)、たとえば、約5%未満(たとえば、約1〜5%未満)、たとえば、約3%未満で
あってよい。低いレベルが好ましい。それは、エッジ拡散について利用可能な平坦エリアの減少によって低いレベルが測定精度を上げるからである。この所望のパーセンテージの場合、電極22、24は、サンプルチャンバ20の横方向幅にまたがってもよい。
センサの適用
センサストリップ10、10' などの本発明の分析物センサについての一般的な使用は、患者または他のユーザ内の、グルコース濃度などの分析物濃度の決定のためである。多くの実施形態では、センサストリップ10は、薬局、病院、診療所において、医師および医療デバイスの他の供給源から入手可能である。複数のセンサストリップ10が、一緒にパッケージングされ、単一ユニット、たとえば、25、50、または100ストリップのパッケージとして販売されることができる。
【0073】
センサストリップ10は、一般に、PCまたは他の電子機器に接続することができる電気計量器と共に使用するように構成される。接続は、有線であってもよく、または、無線であってもよい。この計量器は、センサストリップ10とほぼ同じ場所で利用可能であり、また、時には、センサストリップ10と一緒にパッケージングされてもよい。
【0074】
患者またはユーザから、生物学的流体、たとえば、血液のサンプルを得るためのランシングデバイスまたは他の機構もまた、一般に、センサストリップ10および計量器と同じ場所で利用可能であり、また、時には、センサストリップ10および/または計量器と一緒にパッケージングされてもよい。
センサの動作
使用時、生物学的流体のサンプルは、分析物の濃度が決定される、電気化学ストリップのサンプルチャンバ内に提供される。多くの実施形態では、決定されるのは血液中のグルコースの濃度である。同様に、多くの実施形態では、生物学的流体の供給源は、たとえば、ランシングデバイスによって患者の皮膚に穿孔した後に、患者から取り出される血液の滴である。
【0075】
以下の説明は、センサストリップ10を対象とするが、この説明は、センサストリップ10' および他のセンサストリップ構成にも当てはまる。センサストリップ10、サイドフィルセンサの場合、入り口21がサンプルに接触するように、センサストリップ10は、生物学的流体のサンプルに接触させられる。しばしば、センサストリップ10は、その近位端で計量器内に動作可能に接続される(多くの実施形態では、挿入される)。サンプルの一部分だけが、入り口21を介してサンプルチャンバ20に入り、軸方向に、測定ゾーン30と作動電極22とカウンタ電極24まで流れる。
【0076】
センサストリップが取り付けられる先の計量器は、通常、インジケータ電極25からの信号が受信される時があるかを監視するようにプログラムされ、したがって、サンプルがインジケータ電極25に接触したかどうか、また、接触した時を指示する。インジケータ電極25は、作動電極22および測定ゾーン30の下流にあるため、信号が受信されるとき、十分な量のサンプルがサンプルチャンバ20に入って、測定ゾーン330が適切に充填されていることが保証される。信号は、オン/オフ信号であってよく、または、既存の信号の変化(増加または減少)であってよい。
【0077】
多くの実施形態では、サンプル、たとえば、血液の滴の一部分だけが、センサストリップ10に入る。ストリップ10、特に、入り口21が、滴との接触から取り除かれると、サンプルチャンバ20内のサンプルは、流れを停止し、少なくとも実質的に静止状態のままになる。サンプルチャンバ20の寸法は、サンプルが、供給源(たとえば、滴)が無い状態で移動することを禁止し、サンプルが、ほぼ非流動状態のままになる。全てではないが多くの実施形態では、約5秒以下ほどしかかからないか、または、約30秒以上ほどもかかる場合がある分析中に、サンプルは流れない。
【0078】
図8に示す電極構成は、サンプルが流れを停止したことを確認するのに使用することができるインジケータ電極25D、25D' を含む。入り口21からサンプル供給源を取り除くことによって、少なくともインジケータ電極25D、25D' の左端に接触するサンプルが停止するべきである。センサストリップが取り付けられている先の計量器は、電極25D、25D' からの信号の変化を監視するようにプログラムされてもよい。サンプルによって覆われたインジケータ電極25D、25D' の表面積が変化する(たとえば、増加する)につれて、電極25D、25D' からの信号が変化し、サンプルが依然として流れていることを示す。上述したように、分析中に、分析される容積が固定されるように、サンプルが流れないことがいくつかの事例では望ましい場合がある。特に、分析物の濃度を決定するために電解電量分析法を使用するとき、サンプルは固定されるべきである。
【0079】
分析検査は、電解電量分析法、電流分析法、電位差分析法、または方法の組合せによって行われてもよい。計算方法は、センサストリップ10と共に使用するように構成された計量器および他の電子機器に応じるであろう。計量器、電子機器、および計算方法に関する詳細は、たとえば、米国特許第6,338,790号で説明される。
【0080】
センサストリップ10は、電極22、24に電位を印加した状態で、または、印加しない状態で動作してもよい。一実施形態では、電気化学反応は自然に起こり、電位が、作動電極22とカウンタ電極24との間に印加される必要はない。別の実施形態では、電位が、作動電極22とカウンタ電極24との間に印加される。電位は、一定であっても、一定でなくてもよく、電位の大きさは、酸化還元媒介物に依存する。上記したように、検知用化学物質および電極に関連する電位に関する詳細は、たとえば、米国特許第6,338,790号で説明される。
【0081】
分析物検査中に、生物学的流体サンプル内に存在する分析物が拡散し、したがって、測定される信号に寄与する。一般に、2つの競合する拡散プロセスが存在する。1つのプロセスは、電極22と24との間で、かつ、電極22、24の表面に垂直に起こり、第2のプロセスは、測定ゾーン30の外側の領域から電極22、24の表面に平行に起こる。第2のプロセスによる拡散量を最小にすることが望ましい。これは、[電極22と24の幅×電極22と24との距離]と[電極22と24の幅×測定ゾーン30の長さ]の比を減少させることによってもたらされる。換言すれば、これは、電極22と24との距離を、測定ゾーン30の軸方向長さの約1〜10%、たとえば、約5%未満、たとえば、約3%未満に減少させることによってもたらされる。たとえば、50μmの距離と1000μmの長さは、5%の値を提供し、38μmの距離と1000μmの長さは、3.75%の値を提供する。
(実施例)
以下の実施例は、本発明による分析物センサを示すために提供される。しかし、以下の例は、例示に過ぎず、本発明に従って作られてもよい多くの異なるタイプのセンサを決して包括していないことが理解されるであろう。
(実施例1〜4)
図6に示すレイアウトと同様の、4つの異なる電極軸方向長さを有する分析物センサストリップが作られた。例のそれぞれについて、サンプルチャンバの横方向幅および軸方向長さは、それぞれ、1mmおよび6mmであり、向かい合う電極間の厚さ(すなわち、サンプルチャンバの厚さおよび測定ゾーンの厚さ)は0.05mmであり、測定ゾーンの軸方向長さは、1mmから、2mm、3mm、4mmまで変わった。そのため、チャンバ容積は、0.3μLであり、一方、測定ゾーンの容積は、それぞれ、0.05μLから、0.10μL、0.15μL、0.20μLまで変わった。測定ゾーンの総容積と共に、測定ゾーンの軸方向幅は、以下に示される。
【0082】
比較例として、全チャンバ長さにまたがるように、作動電極の軸方向長さを延長することによって、チャンバサンプル容積と測定ゾーンが共に0.3μLである別個のセンサストリップが構築された。
【0084】
緩衝液内のグルコースは、例のセンサを試験する(n=12/条件)ために使用された。電流対時間測定値の曲線の積分に基づいて電荷が計算された。結果は、
図9に示され、エラーバーは標準偏差を示す。電極の軸方向長さの6mm(0.24インチ)から1mm(0.04インチ)まで線形関係が延びることができる。
【0085】
測定ゾーンが、全チャンバ容積(すなわち、比較の例)から部分的なチャンバ容積(例1〜4)まで変わっても、電荷は、測定ゾーンの容積に比例することがわかった。これは、測定ゾーンの外側からの分析物のエッジ拡散が、取るに足らず、試験される電極構成についての測定エラーに寄与しないことを示す。
例5〜8
4つの異なる分析物センサストリップおよび比較ストリップが、例1〜4と同じ構成で構築された。異なるヘマトクリットレベル(Hct、20%、40%、60%、)に調整された単一ドナーからの血液サンプルが試験された。結果は
図10に示され、エラーバーは標準偏差を示す(n=8/条件)。試験された異なる血液サンプルについて、線形関係が、依然として存在した。3つの線形当てはめ全ての相関係数R
2は、0.98より大きく、かつ、各試験の標準偏差は、<5%である。
【0086】
本発明は、種々の特定でかつ好ましい実施形態および技法を参照して述べられた。しかし、本発明の精神および範囲内に留まったままで、多くの変形および変更を行ってもよいことが当業者には明らかであろう。
【0087】
本明細書の全ての特許および他の参考文献は、本発明が関係する当業者のレベルを指示する。それぞれの個々の特許が、まるで参照により特にかつ個々に組み込まれるように、全ての特許が参照により本明細書に組み込まれる。