(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736404
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】高周波フィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/72 20060101AFI20150528BHJP
H03H 9/64 20060101ALI20150528BHJP
H04B 1/50 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
H03H9/72
H03H9/64 Z
H04B1/50
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-56336(P2013-56336)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-183443(P2014-183443A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】514250975
【氏名又は名称】スカイワークス・パナソニック フィルターソリューションズ ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 城二
(72)【発明者】
【氏名】治部 徹
(72)【発明者】
【氏名】小松 禎也
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】鶴成 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西村 和紀
【審査官】
橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−041141(JP,A)
【文献】
特開2010−154437(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/099532(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/72
H03H 9/64
H04B 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不平衡の第1および第2の信号端子と、
一対の平衡の第3の信号端子と、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子の間に接続され、
第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、
前記第1の信号端子と前記一対の第3の信号端子との間に接続され、
前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、
前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2の信号端子と前記一対の第3の信号端子を結ぶ回路を主回路部としたとき、
前記主回路部と並列接続になるように、前記第3の信号端子の一方と前記第2の信号端子との間に付加回路部を設け、
前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設け、
前記付加回路部において、前記周波数領域における通過特性の振幅レベルをシフトさせる素子を設けた高周波フィルタ。
【請求項2】
不平衡の第1および第2の信号端子と、
一対の平衡の第3の信号端子と、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子の間に接続され、
第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、
前記第1の信号端子と前記一対の第3の信号端子との間に接続され、
前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、
前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2の信号端子と前記一対の第3の信号端子を結ぶ回路を主回路部としたとき、
前記主回路部と並列接続になるように、前記第3の信号端子の一方と前記第2の信号端子との間に付加回路部を設け、
前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設け、
前記付加回路部は弾性波素子を用いたラダー回路部を有し、
前記ラダー回路部と前記第2の信号端子との間に第1の容量素子を設け、
前記ラダー回路部と前記第3の信号端子との間に第2の容量素子を設けた高周波フィルタ。
【請求項3】
不平衡の第1および第2の信号端子と、
一対の平衡の第3の信号端子と、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子の間に接続され、
第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、
前記第1の信号端子と前記一対の第3の信号端子との間に接続され、
前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、
前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2の信号端子と前記一対の第3の信号端子を結ぶ回路を主回路部としたとき、
前記主回路部と並列接続になるように、前記第3の信号端子の一方と前記第2の信号端子との間に付加回路部を設け、
前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設け、
前記第1または第2のフィルタおよび前記付加回路部は、同一の圧電基板に形成された弾性波素子からなる高周波フィルタ。
【請求項4】
前記ラダー回路部は、前記第2の通過帯域の中に共振周波数を有する直列腕共振器、または前記第2の通過帯域の中に反共振周波数を有する並列腕共振器を有する請求項2記載の高周波フィルタ。
【請求項5】
前記第1のフィルタを送信フィルタとして動作する請求項1から3いずれか記載の高周波フィルタ。
【請求項6】
前記第2のフィルタを受信フィルタとして動作する請求項5記載の高周波フィルタ。
【請求項7】
アンテナ共用器として動作する請求項6記載の高周波フィルタ。
【請求項8】
前記第2のフィルタは、
前記第3の信号端子の一方に接続された同相の縦結合型共振器と、
前記第3の信号端子の他方に接続された逆相の縦結合型共振器とを有する請求項1から3いずれか記載の高周波フィルタ。
【請求項9】
前記付加回路部は前記逆相の縦結合型共振器が接続された側の第3の信号端子に接続された請求項8記載の高周波フィルタ。
【請求項10】
前記付加回路部において、前記周波数領域における位相をシフトさせる素子を設けた請求項1から3いずれか記載の高周波フィルタ。
【請求項11】
前記第1または第2のフィルタおよび前記付加回路部は、同一の圧電基板に形成された弾性波素子からなる請求項1または2記載の高周波フィルタ。
【請求項12】
前記振幅レベルをシフトさせる素子は容量素子である請求項1記載の高周波フィルタ。
【請求項13】
前記位相をシフトさせる素子は容量素子である請求項10記載の高周波フィルタ。
【請求項14】
前記素子は前記主回路部から前記付加回路部に流入する電流を抑制する請求項1記載の高周波フィルタ。
【請求項15】
前記付加回路部は、2つの容量素子および2つの共振器を含む請求項1記載の高周波フィルタ。
【請求項16】
前記2つの容量素子と前記2つの共振器の一方とが、前記第3の信号端子の一方と前記第2の信号端子との間に直列接続される請求項15記載の高周波フィルタ。
【請求項17】
前記2つの共振器の他方が、前記2つの共振器の一方と前記2つの容量素子の一方との接続部とグランドとの間に接続される請求項16記載の高周波フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器において使用される高周波フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線装置においてアンテナ共用器として使用される従来の高周波フィルタを
図7に示す。
図7において、従来の高周波フィルタ40は、圧電基板31と送信フィルタ11と受信フィルタ12とアンテナ端子13と不平衡の送信端子14と一対の平衡の受信端子15a、15bとグランド16とインダクタ17を有する。送信フィルタ11と受信フィルタ12は圧電基板31の上に形成されている。送信フィルタ11は、アンテナ端子13と送信端子14との間に接続され、その信号ライン18に直列に複数の直列腕共振器19を有し、信号ライン18とグランド16との間に複数の並列腕共振器20を有し、これらはラダー型フィルタを構成する。受信フィルタ12は、アンテナ端子13と一対の受信端子15a、15bとの間に、1個の一端子対共振器21と、3個の同相の縦結合型共振器22と1個の逆相の縦結合型共振器23を有し、不平衡−平衡変換機能を有するバンドパスフィルタを構成する。なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/073377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の高周波フィルタ40は、送信端子14と受信端子15a、15bの間のアイソレーションを十分確保することができず、受信帯域において十分な減衰量を獲得することが困難であった。
【0005】
本発明は、共通の信号端子に複数のフィルタを有する高周波フィルタにおいて、各フィルタ間に良好なアイソレーションを確保することのできる高周波フィルタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本願発明は、不平衡の第1および第2の信号端子と、一対の平衡の第3の信号端子と、前記第1の信号端子と前記第2の信号端子の間に接続され、第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の信号端子と前記一対の第3の信号端子との間に接続され、前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2の信号端子と前記一対の第3の信号端子を結ぶ回路を主回路部としたとき、前記主回路部と並列接続になるように、前記第3の信号端子の一方と前記第2の信号端子との間に付加回路部を設け、前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
上記構成としたことで本願発明は、阻止帯域において大きな減衰量を有する高周波フィルタを得ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態における高周波フィルタの回路図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態における高周波フィルタについて図を用いて説明する。なお、上述した従来の高周波フィルタと同様の構成については同じ符号を付して説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施の形態における高周波フィルタの回路図である。
図1において、本発明の高周波フィルタ10は、送信フィルタ11と受信フィルタ12とアンテナ端子13と不平衡の送信端子14と一対の平衡の受信端子15a、15bとグランド16とインダクタ17を有し、無線装置(図示せず)においてアンテナ共用器として使用される。送信フィルタ11は、アンテナ端子13と送信端子14との間に接続され、その信号ライン18に直列に複数の直列腕共振器19を有し、信号ライン18とグランド16との間に複数の並列腕共振器20を有し、これらはラダー型フィルタを構成する。受信フィルタ12は、アンテナ端子13と一対の受信端子15a、15bとの間に、1個の一端子対共振器21と3個の同相の縦結合型共振器22と1個の逆相の縦結合型共振器23を有し、不平衡−平衡変換機能を有するバンドパスフィルタを構成する。ここで、同相の縦結合型共振器22は入力側の櫛電極の電極指と出力側の櫛電極の電極指の配置が同相の関係にあり、逆相の縦結合型共振器23は入力側の櫛電極の電極指と出力側の櫛電極の電極指の配置が逆相の関係にある。送信フィルタ11の送信帯域は880〜915MHz、受信フィルタ12の受信帯域は925〜960MHzである。上記した複数の直列腕共振器19と複数の並列腕共振器20と一端子対共振器21と4個の縦結合型共振器22、23は、同一の圧電基板31の上に形成した弾性表面波素子からなる。個々の直列腕共振器19および個々の並列腕共振器20および個々の同相の縦結合型共振器22は、それぞれ異なる設計値を取りうる。
【0011】
そして、本発明の高周波フィルタ10は、送信フィルタ11と受信フィルタ12を経由して送信端子14と一対の受信端子15a、15bを結ぶ回路を主回路部24としたとき、主回路部24と並列接続になるように、送信端子14と逆相の縦結合型共振器23に接続された側の受信端子15bとの間に付加回路部25を設け、付加回路部25は受信帯域の中に、送信端子14と受信端子15bを結ぶ側の主回路部24の位相と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設けたものである。
【0012】
付加回路部25は、容量26、27と共振器28、29を用いて構成した。ここで、共振器28、29は主回路部24の弾性波素子を形成したものと同じ圧電基板31の上に電極によって形成した一端子対弾性表面波共振器であり、容量26、27も同じ圧電基板31の上に電極によって形成したものである。容量26と共振器28と容量27は、この順に送信端子14と受信端子15bの間に直列接続したものであり、共振器29は、容量26と共振器28の接続部30とグランド16との間に接続したものである。これは、共振器28を直列腕共振器とし、共振器29を並列腕共振器とするラダー回路を容量26と容量27で挟んだ構成である。
【0013】
付加回路部25において、直列腕である共振器28の共振周波数を937MHz、反共振周波数を971MHz、並列腕である共振器29の共振周波数を932MHz、反共振周波数を966MHzに設定することにより、受信帯域925〜960MHzの中に通過特性を有する周波数領域Sを形成した。この周波数領域Sの周波数範囲は945〜960MHzである。容量26と容量27は、周波数領域Sにおける付加回路部25の通過特性の振幅レベルをシフトする素子であり、容量26と容量27の設計により、周波数領域Sにおける付加回路部25の通過特性の振幅レベルを主回路部24の通過特性の振幅レベルに近似させることを可能にする。そして、周波数領域Sにおいて、送信端子14と受信端子15bを結ぶ側の主回路部24の位相と、付加回路部25の位相を逆向きにしたことにより、付加回路部25の振幅と主回路部24の振幅が相殺し、送信端子14と受信端子15bの間のアイソレーション特性を向上できる。また、容量26および容量27により、付加回路部25の位相を微調整することができる。また、容量26および容量27は、主回路部24から付加回路部25に流入する電流を抑制することにより、共振器28、29を破壊から保護する機能も併せ持つ。具体的には、容量26と容量27の静電容量を共振器28の静電容量よりも小さな容量値に設定し、送信端子14に近い容量26を受信端子15bに近い容量27より小さな容量に設定したものである。
【0014】
以上のように構成した高周波フィルタ10は、付加回路部25を設けることにより、送信端子14と受信端子15bの間を通過する信号レベルを周波数領域Sにおいて低減し、良好なアイソレーション特性が得られる。
【0015】
次に、本発明の一実施の形態における高周波フィルタ10の電気特性について、
図2〜
図6を用いて説明する。
【0016】
図2は本発明の一実施の形態における高周波フィルタ10の減衰量を示す図である。
図2において実線は、高周波フィルタ10において付加回路部25が無い場合の送信端子14と受信端子15bを結ぶ主回路部24の通過特性Aであり、付加回路部25が無い場合の送信端子14と受信端子15bとの間の高周波フィルタ10のアイソレーション特性を示す。
図2において破線は、付加回路部25の通過特性Bを示す。
図2に示すように、付加回路部25の通過特性Bは、受信帯域において通過特性Aに近似するように、周波数領域Sに矩形状の通過特性を設けたものである。この矩形状の通過特性は、共振器28の共振周波数および反共振周波数と共振器29の共振周波数および反共振周波数を設定することにより、その周波数帯域が受信帯域に入るように設計したものであり、容量26と容量27を設定することにより付加回路部25の通過特性の振幅レベルが主回路部24の通過特性の振幅レベルに近似できるように設計している。
【0017】
図3は本発明の一実施の形態における高周波フィルタ10の位相を示す図である。
図3において実線は、高周波フィルタ10において付加回路部25が無い場合の送信端子14から受信端子15bに至る主回路部24のみの位相特性Cである。
図3において破線は、付加回路部25の位相特性Dを示す。
図3に示すように、付加回路部25の位相特性Dは、受信帯域内の周波数領域Sにおいて位相特性Cと逆方向の位相特性にしたものである。ここで、位相特性が逆方向であるとは、−180度〜180度の範囲内で位相差の絶対値が90度以上であり、位相をベクトルで表したときに逆方向のベクトル成分を有することをいう。
【0018】
図4において実線は、送信端子14と受信端子15a、15bの間の主回路部24と付加回路部25を含む高周波フィルタ10の平衡動作時の通過特性Eであり、高周波フィルタ10のアイソレーション特性を示す。
図4において破線は、高周波フィルタ10において送信フィルタ11と受信フィルタ12を経由した主回路部24のみの通過特性Fであり、付加回路部25が無い場合の高周波フィルタ10のアイソレーション特性を示す。
図4に示すように、高周波フィルタ10のアイソレーション特性を示す通過特性Eは、主回路部24のみのアイソレーション特性を示す通過特性Fよりも、受信帯域の特に周波数領域Sにおいて減衰量を大きくすることができ、付加回路部25を設けることによりアイソレーション特性を良化したことがわかる。
【0019】
図5において、実線は付加回路部25を含む高周波フィルタ10のアンテナ端子13と受信端子15a、15bとの間の平衡動作の通過特性Gを示し、付加回路部25がある場合の受信フィルタ12の通過特性を示す。
図5において、破線は、付加回路部25が無い場合の高周波フィルタ10のアンテナ端子13と受信端子15a、15bとの間の平衡動作の通過特性Hを示し、付加回路部25が無い場合の受信フィルタ12の通過特性を示す。
図5からわかるように、付加回路部25がある場合と無い場合の受信フィルタ12の通過特性G、Hを比較すると、付加回路部25がある場合の通過特性Gのほうが880〜885MHzにおいて減衰量が良好であり、送信帯域におけるアイソレーションを改善している。
【0020】
図6において、実線は付加回路部25を含む高周波フィルタ10のアンテナ端子13と送信端子14との間の通過特性Jを示し、付加回路部25がある場合の送信フィルタ11の通過特性を示す。
図6において、破線は、付加回路部25が無い場合の高周波フィルタ10のアンテナ端子13と送信端子14との間の通過特性Kを示し、付加回路部25が無い場合の送信フィルタ11の通過特性を示す。
図6からわかるように、付加回路部25がある場合と無い場合の送信フィルタ11の通過特性J、Kを比較すると、付加回路部25がある場合の通過特性Jのほうが受信帯域において減衰量が良好であり、受信帯域におけるアイソレーションを改善している。
【0021】
以上のように、本発明の一実施の形態における高周波フィルタは、不平衡の第1および第2の信号端子と、一対の平衡の第3の信号端子と、前記第1の信号端子と前記第2の信号端子の間に接続され、第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の信号端子と前記一対の第3の信号端子との間に接続され、前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2の信号端子と前記一対の第3の信号端子を結ぶ回路を主回路部としたとき、前記主回路部と並列接続になるように、前記第3の信号端子の一方と前記第2の信号端子との間に付加回路部を設け、前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設けた構成を有する。これにより、この周波数領域における主回路部の通過特性の振幅を相殺して減衰を高めることができ、これによって、第1のフィルタと第2のフィルタの間のアイソレーションを大きく改善することができる。ここで、この周波数領域における主回路部と付加回路部との間の位相差の絶対値は、0度〜180度の範囲内において、180度が理想的である。しかし、位相差の絶対値が90度以上であれば、位相をベクトルで表したときに逆方向のベクトル成分を有するため、通過特性の振幅を相殺してアイソレーションを高める効果を有する。
【0022】
また、上記本発明の一実施の形態における高周波フィルタは、第1のフィルタを送信フィルタとし、第2のフィルタを受信フィルタとすることにより、アイソレーション特性の良好なアンテナ共用器を得ることができる。
【0023】
また、上記本発明の一実施の形態における高周波フィルタは、主回路部の位相と付加回路部の位相を逆向きにした周波数領域Sにおいて、通過特性の振幅レベルをシフトさせる素子を付加回路部に設けたものであり、これによって、周波数領域Sにおける付加回路部の振幅を主回路部の振幅に近似させることが可能になる。特に、容量26と容量27の静電容量を共振器28の静電容量よりも小さな容量値に設定し、送信端子14に近い容量26を受信端子15bに近い容量27より小さな容量に設定することにより、周波数領域Sにおける付加回路部の振幅を主回路部の振幅に合せこむことが可能になり、アイソレーション特性を向上する効果が高くなる。
【0024】
また、上記本発明の一実施の形態における高周波フィルタは、第2のフィルタは、第3の信号端子の一方に接続された同相の縦結合型共振器と、第3の信号端子の他方に接続された逆相の縦結合型共振器とを有し、付加回路部を逆相の縦結合型共振器が接続された側の第3の信号端子に接続したことにより、付加回路部の位相と主回路部の位相を逆方向にすることができ、優れたアイソレーション特性を得ることができる。また、付加回路部に別途の位相反転機能を追加する必要が無く、回路構成を簡単にすることができる。
【0025】
また、上記本発明の一実施の形態における高周波フィルタは、付加回路部は弾性波素子を用いたラダー回路部を有し、ラダー回路部と第2の信号端子との間に第1の容量素子を設け、ラダー回路部と前記第3の信号端子との間に第2の容量素子を設けたことにより、主回路部24から流入する電流から共振器28、29を保護し、共振器28、29の破壊を防止することができる。
【0026】
また、上記本発明の一実施の形態における高周波フィルタは、第1および第2のフィルタと付加回路部を、同一の圧電基板に形成された弾性波素子を有するものとしたことにより、温度変化による周波数特性の変化が第1または第2のフィルタと付加回路部の両方に同様に生じるため、温度変化があった場合でもアイソレーション特性の劣化を少なくすることができ、高周波フィルタに適用した場合には、温度変化に対するアイソレーション特性劣化の少ない高周波フィルタを得ることができるという効果が得られる。また、第1および第2のフィルタと付加回路部を、同一の圧電基板に形成することにより、アイソレーション特性の良好な小型の高周波フィルタを得ることができる。
【0027】
なお、上記一実施の形態における高周波フィルタ10において、送信フィルタ11と受信フィルタ12と共振器28は、弾性表面波フィルタおよび弾性表面波共振器により構成したものであったが、送信フィルタ11と受信フィルタ12と共振器28を、弾性境界波フィルタおよび弾性境界波共振器により構成しても良いものであり、実施の形態1における高周波フィルタ10と同様にアイソレーション特性を向上することができるという効果を有する。
【0028】
また、上記一実施の形態における高周波フィルタ10では、受信帯域の中に周波数領域Sを設けることにより受信帯域でのアイソレーションを向上したが、同様に、送信帯域の中に周波数領域Sを設けることにより送信帯域でのアイソレーションを向上することもできる。
【0029】
また、
図1に示す高周波フィルタ10において、インダクタ17は圧電基板31の上の回路内に配置したが、インダクタ17は圧電基板31の外に設けても良い。
【0030】
また、本実施の形態では、共振器28の共振周波数および反共振周波数と共振器29の共振周波数および反共振周波数を設定することにより、その周波数帯域が受信帯域に入るように設計しているが、これはその周波数帯域が受信帯域に含まれる構成であれば本発明の効果が得られるものである。具体的には共振器28の共振周波数、もしくは共振器29の反共振周波数の一方が受信帯域に含まれればよい。
【0031】
また、共振器28、29を2段のラダー型として説明したが、それ以上の数の構成でもかまわない。
【0032】
また、送信帯域と受信帯域の周波数関係についてはこれに限るものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る高周波フィルタは、各種電子機器を構成する電子部品として有用である。
【符号の説明】
【0034】
10 高周波フィルタ
11 送信フィルタ
12 受信フィルタ
13 アンテナ端子
14 送信端子
15a、15b 受信端子
16 グランド
17 インダクタ
19 直列腕共振器
20 並列腕共振器
22、23 縦結合型共振器
24 主回路部
25 付加回路部
26、27 容量
28、29 共振器
31 圧電基板