特許第5736409号(P5736409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736409
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】クリーム用油脂組成物
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/007 20060101AFI20150528BHJP
   A23L 1/19 20060101ALI20150528BHJP
   A23C 11/04 20060101ALI20150528BHJP
   A23C 11/08 20060101ALN20150528BHJP
【FI】
   A23D9/00 514
   A23L1/19
   A23C11/04
   !A23C11/08
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-111166(P2013-111166)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-226127(P2014-226127A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2014年6月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040144
【氏名又は名称】太陽油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】東倉 誓哉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝
【審査官】 長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−009665(JP,A)
【文献】 特開2011−055752(JP,A)
【文献】 特開2012−070703(JP,A)
【文献】 特開2007−282535(JP,A)
【文献】 特開2006−304713(JP,A)
【文献】 特開2009−153491(JP,A)
【文献】 特表平11−500317(JP,A)
【文献】 特開2009−201380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00− 9/06
A23L 1/19
A23C 11/00−11/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25〜55質量%のラウリン系油脂、及び30〜75質量%の液状油脂を含む、飲料用又は飲料成分を含むゼリー用のクリーム用いるための油脂組成物であって、
ラウリン系油脂が、ラウリン系油脂100質量部に対してパーム核ステアリンを10質量部〜100質量部含み、且つ
前記液状油脂は、構成脂肪酸としてオレイン酸を60質量%以上含む、前記油脂組成物。
【請求項2】
ラウリン系油脂が、パーム核油及びヤシ油からなる群から選択される少なくとも1種を更に含む、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項3】
液状油脂が、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックヒマワリ油、及びハイオレイックサフラワー油からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
【請求項4】
パームオレイン及びパームダブルオレインからなる群から選択される少なくとも1種のパーム系油脂を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
【請求項5】
前記飲料がコーヒーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の油脂組成物を含む、コーヒークリーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーなどの飲料やコーヒーゼリーなどのデザート類に添加するクリーム用油脂組成物に関する。より具体的には、冷凍・解凍安定性、酸化安定性に優れ、さらに、良好な口溶け感を有するクリーム用油脂組成物、および前記組成物を含む飲料およびデザート類添加用クリームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コーヒーなどの飲料やコーヒーゼリーなどのデザート類に添加するためのクリームとして、植物性油脂を原料として製造される植物性クリーム(水中油型乳化物)が知られている。植物性クリームは生乳から得られる生クリームに比べて輸送・保存における乳化安定性に優れ、かつ比較的安価に製造されるという利点を有するためにその消費量は多い。この植物性クリームの製造では、通常、安定な乳化物を得るため、複数の乳化剤とリン酸塩、クエン酸塩等の安定剤を使用して調製される。
【0003】
クリーム等の製造に用いられるクリーム用油脂組成物には、冷凍保存後、使用時に解凍しても粘度が変化しにくい優れた冷凍・解凍安定性(凍結耐性ともいう)や、長期保存を可能とする高い酸化安定性などが求められる。
【0004】
これらの特性に着目した従来の油脂組成物としては、パーム核オレイン油、ヤシ油、パーム核油等のラウリン系油脂と、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックナタネ油、オリーブ油等液状油脂との混合油又はエステル交換油が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−000127号公報
【特許文献2】特開2007−274997号公報
【特許文献3】特開2009−153454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者による研究の結果、上記従来の油脂組成物は、凍結耐性を重視したため、結晶量の少ない油脂が選択されており、製造されるクリームは、そのまま食した時のクリームとしての食感がなく、クリームが口の中で溶けていく感覚もあまり味わえないことが判った。
したがって、従来のクリーム用油脂組成物と同等の凍結耐性、酸化安定性を有するとともに、口溶け感に優れるクリーム用油脂組成物を得ることに対する高い需要が存在する。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みたものであり、凍結耐性、酸化安定性及び口溶け感に優れるクリーム用油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意努力により、クリーム用油脂組成物中に25〜55質量%のラウリン系油脂、及び30〜75質量%の液状油脂を含み、且つ、ラウリン系油脂が、ラウリン系油脂100質量部に対してパーム核ステアリンを10〜100質量部以上含むことにより、凍結耐性、酸化安定性を低下させることなく、口溶け感にも優れるクリームが得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0009】
<1> 25〜55質量%のラウリン系油脂、及び30〜75質量%の液状油脂を含む、クリーム用油脂組成物であって、
ラウリン系油脂が、ラウリン系油脂100質量部に対してパーム核ステアリンを10質量部〜100質量部含む、前記クリーム用油脂組成物。
<2> ラウリン系油脂が、パーム核油及びヤシ油からなる群から選択される少なくとも1種を更に含む、上記<1>に記載のクリーム用油脂組成物。
<3> 液状油脂が、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックヒマワリ油、及びハイオレイックサフラワー油からなる群から選択される少なくとも1種である、上記<1>又は<2>に記載のクリーム用油脂組成物。
<4> パームオレイン及びパームダブルオレインからなる群から選択される少なくとも1種のパーム系油脂を更に含む、上記<1>〜<3>のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物を含む、コーヒークリーム。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、従来のクリーム用油脂組成物と同等の凍結耐性、酸化安定性を維持しつつ、かつ口溶け感に優れるクリーム用油脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
<<クリーム用油脂組成物>>
本発明のクリーム用油脂組成物は、25〜55質量%のラウリン系油脂、及び30〜75質量%の液状油脂を含み、且つ、ラウリン系油脂が、ラウリン系油脂100質量部に対してパーム核ステアリンを10質量部〜100質量部含むことを特徴とする。
なお、本発明のクリーム用油脂組成物からクリームを作製する際には、後述するように油相部に乳脂肪を添加することができるが、本明細書及び特許請求の範囲において「油脂組成物」という場合には、特に断らない限り、植物性油脂(すなわち、乳脂肪を除く油脂)からなる油脂組成物を意味する。
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「口溶け感」があるとは、クリームを食した際に舌がクリームのボリュームを感じる(クリームの食感がある)ことができ、且つ、口の中でクリームが溶けていくことを感じられる(クリームの口溶けを感じる)ことをいう。口溶け感がよいほど、クリームを食した際に舌がクリームの存在を感じつつも、口の中でクリームが溶けていくため、食べ終えた後にクリームが口に残っている感覚が少ない。
【0012】
<ラウリン系油脂>
本明細書及び特許請求の範囲において、ラウリン系油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン酸を45質量%以上含み、かつ不飽和脂肪酸量が20%以下である油脂の総称である。
ラウリン系油脂に含まれる油脂は、好ましくは、ヨウ素価22%以下である。
本発明のクリーム用油脂組成物は、クリーム用油脂組成物全質量に対してラウリン系油脂を25〜55質量%含む。ラウリン系油脂の割合は、30〜50質量%であることが好ましく、35〜45質量%であることがより好ましい。
【0013】
パーム核ステアリンとは、パーム核油を自然分別、溶剤分別、界面活性剤分別等の分別方法で、高融点画分と低融点画分に分別して得られる、ヨウ素価が10以下の高融点画分の油脂を意味する。自然分別とは、油脂を徐冷し、減圧濾過により高融点部と低融点部に分別する方法である。
本発明のクリーム用油脂組成物は、ラウリン系油脂として、パーム核ステアリンを、ラウリン系油脂がラウリン系油脂100質量部に対して10質量部〜100質量部含む。
パーム核ステアリンは、ラウリン系油脂100質量部に対して15質量部〜100質量部であることが好ましく、20質量部〜100質量部であることがより好ましく、30質量部〜100質量部であることがさらにより好ましい。ラウリン系油脂全質量に対するパーム核ステアリンの質量割合が上記範囲内であると、クリームの口溶け感が向上する。
また、パーム核ステアリンは、クリーム用油脂組成物100質量%に対して、2.5〜55質量%含むことが好ましく、6〜50質量%含むことがより好ましく、10.5〜45質量%含むことがさらにより好ましい。
【0014】
本発明のクリーム用油脂組成物は、ラウリン系油脂がパーム核ステアリンのみから構成されていてもよいが、パーム核ステアリン以外のラウリン系油脂を更に含んでいてもよい。パーム核ステアリン以外のラウリン系油脂としては、パーム核油、ヤシ油、これらのエステル交換、分別、配合等の処理を行った油脂が挙げられる。これらの中でも、パーム核油、ヤシ油が好ましく、パーム核油がより好ましい。パーム核ステアリン以外のラウリン系油脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
<液状油脂>
本明細書及び特許請求の範囲において、液状油脂は、構成脂肪酸としてオレイン酸を60質量%以上含む油脂を意味する。また、液状油脂は、好ましくは、20℃よりも低い融点を有する油脂である。
本発明のクリーム用油脂組成物は、30〜75質量%の液状油脂を含む。
液状油脂の具体例としては、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックナタネ油、ヒマワリ油、ナタネ油、大豆油、コーン油、綿実油、紅花油、オリーブ油、またそれらを分別、配合、エステル交換等した油脂が挙げられる。これらの中でも、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油が好ましく、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックヒマワリ油がより好ましく、ハイオレイックナタネ油がさらにより好ましい。これらの油脂を2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
液状油脂は、クリーム用油脂組成物の全質量に対して30〜75質量%の割合で含まれる。液状油脂は、クリーム用油脂組成物の全質量に対して、35〜70質量%の割合で含まれることがより好ましく、40〜65質量%の割合で含まれることがさらにより好ましく、45〜65質量%の割合で含まれることが特に好ましい。液状油脂の割合が上記範囲内であると、酸化安定性を大きく低下させることなく、凍結耐性を向上させることができる。
【0017】
<その他の油脂>
本発明のクリーム用油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、ラウリン系油脂及び液状油脂以外の油脂(以下、その他の油脂と呼ぶことがある)を含んでいてもよい。その他の油脂としては、例えば、パーム系油脂が挙げられる。
その他の油脂は、クリーム用油脂組成物の全質量に対して0〜25質量%の割合で含まれることが好ましく、0〜20質量%の割合で含まれることが好ましい。また、その他の油脂を含む場合の下限値は、0.01質量%であってもよく、0.1質量%であってもよく、1質量%であってもよい。
(パーム系油脂)
本明細書及び特許請求の範囲において、パーム系油脂は、パーム油またはパーム油を分別、配合、エステル交換等した油脂を意味する。パーム系油脂としては、パームオレイン、パームダブルオレインが好ましく、パームダブルオレインがより好ましい。パーム系油脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
<その他の任意成分>
本発明のクリーム用油脂組成物は、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤などを添加してもよい。酸化防止剤としては、ビタミンE、ビタミンC、ローズマリー抽出物、茶抽出物、コケモモ抽出物等が挙げられる。
【0019】
本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂、液状油脂及び/又はその他の油脂を単に混合しただけのものであってもよく、または、ラウリン系油脂、液状油脂及び/又はその他の油脂を混合後にエステル交換したものであってもよい。
エステル交換は、当該技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。例えば、非選択的エステル交換反応方法、選択型(指向型)エステル交換反応方法が挙げられる。
【0020】
<<クリーム>>
上述した油脂組成物から下記のように水中油型乳化油脂組成物であるクリーム(又はクリーム組成物)を製造することができる。
〔油相部〕
本発明のクリームは水相部と油相部からなり、油相部に上記本発明のクリーム用油脂組成物を含有することを特徴とする。
本発明において、油相部は、本発明のクリーム用油脂組成物に加えて、油脂として乳脂肪を更に含んでいてもよい。乳脂肪としてバターオイル、バター、生クリーム、牛乳等を由来とする乳脂肪が挙げられる。
【0021】
本発明のクリームの油相部には、上記油脂に加えて、親油性の乳化剤、着香料、着色料等を添加してもよい。乳化剤としては、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等従来公知の乳化剤のうちHLBの低い乳化剤が例示でき、本発明においてはこれらのいずれを適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明において、クリーム全質量に対する油相部質量が5〜45質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40%、更により好ましくは10〜35%である。この範囲内であると、コーヒーや紅茶等に添加した場合にも風味が損なわれず良好だからである。特に油相部質量が45質量%を超えると、グリーシーになり風味が損なわれやすい。
【0022】
〔水相部〕
本発明のクリームの水相部は、水に、カゼインナトリウム、脱脂粉乳、糖類や必要に応じて、蔗糖脂肪酸エステル、クエン酸ナトリウム、トリポリりん酸ナトリウム、第二りん酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ヘキサメタりん酸ナトリウム、カラギナン等増粘多糖類などを添加してもよい。
【0023】
本発明のクリームの水相部は、更に、甘味や粘度の調節を目的として糖類を配合してもよい。糖類としては、例えば、水飴、粉飴、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレハロース等が挙げられ、これは必要に応じ適宜組み合わせて配合される。
【0024】
<<クリームの製造方法>>
本発明のクリームは、一般的な水中油型乳化油脂組成物の製造方法により製造できる。代表的な方法を述べると、油脂を含む油相部の材料を混合して溶解ないし分散させて油相部を調製する。乳化剤を使用する場合であって、乳化剤が親油性のものを用いる場合には、原料油脂の一部または全部に添加し溶解ないし分散させて油相部を調製する。次に、上述したカゼインナトリウム等の添加物を水に添加して水相部を調製する。
【0025】
調製した油相部と水相部を60℃から80℃に加温し、混合して予備乳化を行う。予備乳化後、ホモゲナイザーにて均質化し、バッチ式殺菌法、または間接加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法にて滅菌し、再びホモゲナイザーにて均質化し冷却しエージングする。
【0026】
本発明のクリーム用油脂組成物は、様々なクリーム用途に使用できるが、特にコーヒークリームに代表される、飲料用のクリームや該飲料成分を含むゼリー用のクリーム好適に使用することができる。
飲料の具体例としては、コーヒー、紅茶、緑茶、果実飲料等が挙げられる。これらの中でも、コーヒー、紅茶が特に好ましい。すなわち、本発明のクリーム用組成物を用いて製造されたクリームは、コーヒークリームの用途として包含される、飲料としてのコーヒー用又は紅茶用の液状クリームやコーヒーゼリー又は紅茶ゼリー用の液状クリームとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0027】
<油脂組成物の調製>
以下の方法に従って、実施例1〜8及び比較例1〜6のクリーム用油脂組成物を得た。各クリーム用油脂組成物の組成を表2〜表5に示す。また、実施例1〜8及び比較例1〜6において使用した各油脂の構成脂肪酸組成を表1に示す。
なお、表1〜表5中、%は質量%を表す。また、表2〜表5中、部とは、ラウリン系油脂100質量部に対するパーム核ステアリンの質量部を表す。
【0028】
[実施例1〜3及び比較例1〜4]
パーム核ステアリンとハイオレイックナタネ油とを表2〜3に示す配合割合(質量%)で混合した後、結晶を完全に溶解させた。その後、脱色、脱臭をし、実施例1〜3及び比較例1〜4の各油脂組成物を得た。
【0029】
[比較例5]
パーム核油とハイオレイックナタネ油とを表3に示す配合割合(質量%)で混合した後、結晶を完全に溶解させた。その後、脱色、脱臭をし、比較例5の油脂組成物を得た。
【0030】
[実施例4〜6]
パーム核ステアリン、パーム核油及びハイオレイックナタネ油を表4に示す配合割合(質量%)で混合した後、結晶を完全に溶解させた。その後、脱色、脱臭をし、実施例4〜6の各油脂組成物を得た。
【0031】
[実施例7〜8及び比較例6]
パーム核ステアリン、パーム核油、パーム核極度硬化油(以上、ラウリン系油脂)、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックヒマワリ油(以上、液状油脂)、及びパームダブルオレイン(以上、パーム系油脂)を表5に示す配合割合(質量%)で混合した後、エステル交換し、脱色、脱臭をし、実施例7〜8及び比較例6の各油脂組成物を得た。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
<原料油脂の分析>
(脂肪酸組成)
基準油脂分析法(暫17−2007トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法))に準じて測定した。
ガスクロマトグラフィー装置は、島津製作所(株)製、GC−2010型。カラムは、SUPELCO社製、SP−2560。
【0038】
<コーヒークリームの調製>
下記表6に記載の割合で油相部と水相部を混合し、65℃にて10分間予備乳化を行い、100kg/cm2で均質化した。次いで、75℃にて15分間加熱殺菌を行い、300kg/cm2で再度、均質化した。
均質化後、冷却し、5℃で1晩、エージングし、実施例1〜8及び比較例1〜6の各油脂組成物を含むコーヒークリームを調製した。
【0039】
【表6】
<<評価>>
【0040】
<凍結耐性>
上記で得られた各油脂組成物を含むコーヒークリームを10mlのバイアル瓶に5ml採取し、−20℃で1晩凍結した後に、5℃で6時間解凍し、評価を行った。
流動性(ボテ、固化)及び離水を観察し、下記の通り流動性についてA、B、C、Dの4段階、離水についてはA、B、C、−の4段階で評価した。
(流動性)
ボテ無し ⇒ A
若干ボテ有り ⇒ B
ボテ有り ⇒ C
固化 ⇒ D
(離水)
離水無し ⇒ A
離水若干有り ⇒ B
離水有り ⇒ C
固化のため測定不可 ⇒ −
その結果を表2〜5に示す。なお、表2〜5中、例えば、「A,B」は、流動性の評価がAであり、離水の評価がBであることを意味する。
【0041】
<酸化安定性(酸化難易度)>
本明細書において酸化安定性の指標として下記「酸化難易度」を用いた。
油脂組成物の不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)含量にそれぞれ特定の係数(オレイン酸…0.89、リノール酸…21、リノレン酸…39)を掛けた数値の和をその油脂組成物の酸化難易度とした(参考文献:福沢健治、寺尾純二、脂質過酸化実験法、廣川書店)。
『酸化難易度=オレイン酸含量×0.89+リノール酸含量×21+リノレン酸含量×39』
例…オレイン酸46.2%、リノール酸8.7%、リノレン酸0%の場合。
(0.89×46.2)+(21×8.7)+(39×0)=224
上記より求めた酸化難易度をもとに、以下のように酸化安定性をA、B、Cの3段階で評価した。
(酸化難易度)
〜299 ⇒ A+
300〜349 ⇒ A
350〜399 ⇒ B
400〜449 ⇒ C
450〜 ⇒ D

各実施例及び比較例の油脂組成物の酸化難易度及び酸化安定性を表2〜5に示す。
【0042】
<口溶け感>
市販のコーヒーゼリー(約60〜80g)に各実施例又は比較例の油脂組成物を含むコーヒークリーム約5mlを上乗せし、パネラー5人によりコーヒーゼリーを食した際のコーヒークリームの口溶け感を評価した。
A+:とてもクリームの食感があり、大変口溶けが良い
A:クリームの食感があり、口溶けが良い
B:ややクリームの食感があり、口溶けを感じる
C:ややクリームの食感があり、口溶けが劣る
D:クリームの食感がなく、口溶けがない
その結果を表2〜5に示す。
【0043】
表2〜5から明らかなように、実施例1〜8のクリーム用油脂組成物を含むコーヒークリームは、凍結耐性、酸化安定性、口溶け感のいずれも評価がA+、A又はBであり、コーヒークリームとして優れていた。一方、比較例1〜6のクリーム用油脂組成物を含むコーヒークリームは、凍結耐性、酸化安定性、口溶け感のいずれか1つ又は2つ以上において評価がC、D、であり、本発明のものよりも効果に劣っていた。したがって、本発明のクリーム用油脂組成物は、従来の油脂組成物に比べて、クリームへの使用に適していることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のクリーム用油脂組成物は、凍結耐性、酸化安定性、口溶け感のいずれにも優れる。したがって、産業上、極めて有用である。