特許第5736417号(P5736417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5736417胃空間充填装置、送達システムおよび関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736417
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】胃空間充填装置、送達システムおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   A61B17/00 320
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-142327(P2013-142327)
(22)【出願日】2013年7月8日
(62)【分割の表示】特願2010-515040(P2010-515040)の分割
【原出願日】2008年6月24日
(65)【公開番号】特開2013-226442(P2013-226442A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2013年7月31日
(31)【優先権主張番号】11/768,152
(32)【優先日】2007年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509022554
【氏名又は名称】リシェイプ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エー. ソスナウスキー,
(72)【発明者】
【氏名】タイラー ジェイ. ホルシュラグ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル イー. キンケイド
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−523491(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0273060(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0178691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃空間充填装置であって、
前記胃空間充填装置は、
近位端、遠位端およびガイドワイヤチャネルを有する可撓性かつ細長い注入部材であって、前記ガイドワイヤチャネルは、前記近位端から前記遠位端まで前記注入部材を完全に通って延在している、注入部材と、
前記注入部材に固着される複数の膨張可能胃空間充填材であって、前記注入部材は、前記胃空間充填材を完全に通って延在しており、前記複数の膨張可能胃空間充填材は、人間の患者の胃の中で埋め込みおよび膨張されるように構成される、胃空間充填材と
を備える、胃空間充填装置。
【請求項2】
前記胃空間充填装置に解放可能に取り付けられるように構成される送達システムをさらに備え、
前記送達システムは、
前記注入部材の近位送達管腔を係合し、かつ、前記送達システムと、前記注入部材に連結された近位膨張可能空間充填材との間の流体連通を提供するように配置されている近位突起と、
前記注入部材の遠位管腔を係合し、かつ、前記送達システムと、前記注入部材に連結された遠位膨張可能空間充填材との間の流体連通を提供するように配置されている遠位突起と
を備える、請求項1に記載の胃空間充填装置。
【請求項3】
前記送達システムは、前記胃空間充填装置に取り付けられるように構成され、前記送達システムの前記近位突起および/または前記遠位突起が、前記注入部材の前記近位端においてゲートに挿入される、請求項2に記載の胃空間充填装置。
【請求項4】
前記送達システムは、前記送達システムが前記胃空間充填装置に解放可能に取り付けられるときに前記ガイドワイヤチャネルと整列される送達ガイドワイヤチャネルをさらに備える、請求項2に記載の胃空間充填装置。
【請求項5】
充填材ガイドワイヤチャネルおよび前記送達ガイドワイヤチャネルの中を通されるガイドワイヤをさらに備える、請求項4に記載の胃空間充填装置。
【請求項6】
前記胃空間充填材のうちの少なくとも1つは、流体で膨張されたときに少なくとも約40mmの外径を有する、請求項1に記載の胃空間充填装置。
【請求項7】
前記胃空間充填材は、前記人間の患者の前記胃の一部を少なくとも部分的に充填して、満腹感を作り出すように構成される、請求項1に記載の胃空間充填装置。
【請求項8】
前記注入部材は、前記近位端においてゲートを備え、前記ゲートは、前記近位突起および/または前記遠位突起が前記注入部材の前記近位端から除去されるときに閉じるように構成される、請求項2に記載の胃空間充填装置。
【請求項9】
前記胃空間充填装置は、前記胃空間充填装置をガイドワイヤに沿ってガイドする前に鞘で少なくとも部分的に覆われるように構成される、請求項1に記載の胃空間充填装置。
【請求項10】
前記注入部材は、ドッキングノッチを含み、
前記胃空間充填装置は、前記注入部材の前記ドッキングノッチ上で解放可能に取り付けられるように構成されるドッキングクリップを有する送達システムをさらに備える、請求項1に記載の胃空間充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、パリ条約の利益および以下の出願に基づくパリ条約の優先権を主張する;
(a)米国特許出願第11/694,536号(2007年3月30日出願)、(b)PCT出願第PCT/US06/42336号(2006年10月31日出願)、(c)PCT出願第PCT/US06/42711号(2006年10月31日出願)、(d)PCT出願第PCT/US06/42710号(2006年10月31日出願)、(e)PCT出願第PCT/US06/48647号(2006年12月20日出願)。これらの内容は、そのすべてが本明細書に記載されたと同等に、本明細書において参照により援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、埋め込み型重量制御装置に関する。より具体的には、本開示は、とりわけ、患者内に回収可能に埋め込み可能な胃空間充填装置と、胃空間充填装置の送達のための改良型装置および方法と、胃空間充填装置内に流体を留保するための方法および装置とに関する。
【背景技術】
【0003】
極度な肥満者において減量を達成するために使用される胃空間充填材は、当該分野において周知である。本目的のために利用されるいくつかの胃空間充填材は、空袋または空間充填材が、食道を通して、胃内に載置されるという原理に基づいて機能する。その後、袋または空間充填材は、口または鼻を経て胃内に挿入される充填材チューブあるいはカテーテルを通して、生理食塩水等の好適な気腹流体によって、完全または部分的に充填される。空間充填材は、胃内の空間を占有し、それによって、食物のために利用可能な余裕をより少なくし、肥満者の満腹感を作り出す。臨床経験から、多くの肥満患者にとって、胃空間充填材によって胃区画のサイズを縮小させることは、食欲を制御し、減量を達成するために、極めて有効であることが示されている。本開示は、非手術的に胃区画のサイズを縮小し、容易に除去される装置を対象とする。当業者は、胃を越えて移動するそのような装置に関する緊急手術疾病率および合併疾患統計から、除去可能な効果的医療装置の必要性が強調されることを容易に理解するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の特徴によると、胃の容積を縮小するために効果的な胃空間充填装置および方法が開示される。少なくとも1つの膨張可能空間充填材と、胃空間充填装置からの漏出を防止する筒状部とを備える、胃空間充填材が開示される。胃空間充填装置は、気腹流体と、鉱油とによって膨張され得、漏出を低減する効果をさらに有する。また、胃空間充填装置を患者内に挿入するための送達システムおよび方法も開示される。また、患者内への送達の間、胃空間充填装置を覆うための鞘および方法も開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本教示の実施形態によると、空間充填材と、空間充填材を膨張させる開口部と、筒状部と開口部との間の鉱油を受容するように構成される筒状部とを備える、胃空間充填装置が開示される。少なくとも1つの実施形態によると、筒状部は、開口部と空間充填材の外周との間に配置される。少なくとも1つの実施形態によると、筒状部は、膨張の間、流体を空間充填材に流入させるが、鉱油が筒状部と開口部との間に受容されると、流体を空間充填材から流出させない。
【0006】
本教示の実施形態によると、空間充填材と、鞘とを備え、鞘は、少なくとも部分的に空間充填材を覆う、胃空間充填装置が開示される。少なくとも1つの実施形態によると、鞘は、ステッチを引張ることによって解放可能なステッチによって、空間充填材の周囲に固着される。少なくとも1つの実施形態によると、鞘は、空間充填材の膨張に伴って、自動的に空間充填材の覆いを取る。
【0007】
本教示の実施形態によると、送達管腔と、胃空間充填装置の注入管腔と連結するために構成される突起と、送達システムを胃空間充填装置に固着して取り付くために構成されるドッキングクリップとを備える、送達システムが開示される。少なくとも1つの実施形態によると、送達システムは、注入管腔から除去されると、ステッチを引張り、空間充填材を解放し、同時に、流体を胃空間充填装置内に注入するためのルアーを露出する、ハンドルを含む。
【0008】
本教示の実施形態によると、空間充填材と、空間充填材を膨張させる開口部と、筒状部とを備え、筒状部は、筒状部と開口部との間に鉱油を受容するように構成される、胃空間充填装置を提供するステップを備える、肥満障害患者を治療するための方法が開示される。少なくとも1つの実施形態によると、筒状部は、膨張の間、気腹流体を空間充填材に流入させるが、鉱油が筒状部と開口部との間に受容された後、気腹流体を空間充填材から流出させない。
【0009】
本教示の実施形態によると、空間充填材を備える胃空間充填装置に取り付けられる送達システムを提供するステップと、鞘で空間充填材の少なくとも一部を覆うステップと、患者の胃内へと続く食道を通して、送達システムおよび胃空間充填装置を送達するステップとを備える、胃空間充填装置を患者内に据え付ける方法が開示される。
【0010】
本開示の上述の特徴および目的は、添付の図面と併せて検討される以下の説明を参照することによって、より明白となるであろう(同一参照番号は、同一要素を示す)。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
空間充填材と、該空間充填材を膨張させる開口部と、筒状部とを組み合わせて備え、該筒状部は、該筒状部と該開口部との間に鉱油を受容するように構成される、胃空間充填装置。
(項目2)
前記筒状部は、前記開口部と前記空間充填材の外周との間に配置される、項目1に記載の胃空間充填装置。
(項目3)
前記筒状部は、前記空間充填材の膨張の間、気腹流体を該空間充填材に流入させる、項目1に記載の胃空間充填装置。
(項目4)
前記筒状部は、前記鉱油が該筒状部と前記開口部との間に受容された後、前記気腹流体を前記空間充填材から流出させない、項目3に記載の胃空間充填装置。
(項目5)
前記空間充填材と連結される注入部材をさらに備える、項目1に記載の胃空間充填装置。
(項目6)
前記注入部材は、前記開口部と流体連通する注入管腔を備える、項目5に記載の胃空間充填装置。
(項目7)
前記注入管腔は、突起が該注入管腔内に挿入されるまで、流体の通過を減少させるゲートを備える、項目6に記載の胃空間充填装置。
(項目8)
鞘をさらに備え、前記鞘は、少なくとも部分的に前記空間充填材を覆う、項目1に記載の胃空間充填装置。
(項目9)
前記鞘は、ステッチによって、前記空間充填材の周囲に固着される、項目8に記載の胃空間充填装置。
(項目10)
前記ステッチは、該ステッチを引張ることによって解放される、項目9に記載の胃空間充填装置。
(項目11)
鞘解放クリップをさらに備え、該鞘解放クリップは、該鞘解放クリップが前記胃空間充填装置上に係合されている間、前記ステッチが解放されるのを防止し、該鞘解放クリップは、該鞘解放クリップが該胃空間充填装置から除去されると、該ステッチを解放させる、項目10に記載の胃空間充填装置。
(項目12)
気腹流体を前記空間充填材に送達するように構成される送達管腔と、該送達管腔に接続されるルアーと、該送達管腔に除去可能に取り付けられるハンドルとを備える、送達システムをさらに備え、該ハンドルは、内部区画を含み、該ルアーは、ハンドルが取り付けられている間、該ハンドルの該内部区画内に配置され、該ルアーは、該ハンドルが除去されると、露出され、前記ステッチは、該ハンドルが除去されると、該ステッチが引張られるように、該ハンドルに取り付けられる、項目10に記載の胃空間充填装置。
(項目13)
前記鞘は、前記空間充填材の膨張に伴って、自動的に該空間充填材の覆いを取る、項目8に記載の胃空間充填装置。
(項目14)
胃空間充填装置を患者内に据え付ける方法であって、空間充填材を備える胃空間充填装置に取り付けられる送達システムを提供するステップと、鞘で該空間充填材の少なくとも一部を覆うステップと、患者の胃内へと続く食道を通して、該送達システムおよび該胃空間充填装置を送達するステップとを組み合わせて包含する、方法。
(項目15)
前記空間充填材の覆いを取り、該空間充填材を膨張させるステップをさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記空間充填材を膨張させるステップをさらに包含し、前記鞘は、該空間充填材の膨張に伴って、自動的に該空間充填材の覆いを取る、項目14に記載の方法。
(項目17)
改良点として、複数の独立して充填されるチャンバを備え、
1つのチャンバの予想外の収縮に応じて、少なくとも1つの他のチャンバは、膨張したままであって、幽門を通る該胃空間充填装置の通過を防止する、胃空間充填装置。
(項目18)
前記胃空間充填装置は、2つの独立チャンバを備える、項目17に記載の胃空間充填装置。
(項目19)
前記チャンバは、胃の略形状に一致するように配置される、項目17に記載の胃空間充填装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、胃空間充填装置および送達システムの実施形態を示す。
図2図2Aは、近位筒状部または遠位筒状部を伴わない、注入部材の実施形態を示す。図2Bは、近位筒状部および遠位筒状部を伴う、注入部材の実施形態を示す。
図3図3は、注入部材、近位筒状部、および近位開口部の実施形態の断面図を示す。
図4図4は、注入部材、遠位筒状部、および遠位開口部の実施形態の断面図を示す。
図5図5は、遠位空間充填材を含む、胃空間充填装置の実施形態の背面図を示す。
図6図6は、近位空間充填材を含む、胃空間充填装置の実施形態の正面図を示す。
図7図7は、近位送達管腔および遠位送達管腔を含む、胃空間充填装置および送達システムの実施形態の断面図を示す。
図8図8は、ステッチチャネルおよび送達ガイドワイヤチャネルを含む、胃空間充填装置および送達システムの実施形態の断面図を示す。
図9図9は、鞘、ステッチ、および鞘解放クリップを含む、胃空間充填装置および送達システムの実施形態を示す。
図10A図10Aは、ハンドルを含む、送達システムの実施形態を示す。
図10B図10Bは、ハンドルを含む、送達システムの実施形態の断面図を示す。
図10C図10Cは、送達システムおよび送達システムから取り外されたハンドルの実施形態を示す。
図11図11Aは、近位空間充填材および遠位空間充填材が収縮されている、胃空間充填装置および鞘の実施形態を示す。図11Bは、遠位空間充填材が膨張されている、胃空間充填装置の実施形態を示す。図11Cは、近位空間充填材が膨張されている、胃空間充填装置の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に概略的に示される実施形態によると、胃空間充填装置19は、近位空間充填材91Aと、遠位空間充填材91Bと、注入部材93と、を備える。近位空間充填材91Aは、注入部材93の近位開口部96Aを通して、気腹流体によって充填され、遠位空間充填材91Bは、注入部材93の遠位開口部96Bから、流体によって充填される。送達システム200は、胃空間充填装置19に注入し、拡張させる。
【0013】
例証的実施形態によると、近位空間充填材91Aおよび遠位空間充填材91Bは、注入部材93によって、互いに離間し、固着される。例証的実施形態によると、2つの空間充填材間の距離は、少なくとも約10乃至約40mmである。胃空間充填装置19の全軸長は、約100乃至約300mmである。例証的実施形態によると、注入部材93は、半可撓性または可撓性材料から成り得る。半可撓性材料は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン、フッ素重合体、およびそれらの共重合体等の空間充填材適合性ポリマーから選択され得る。
【0014】
例証的実施形態によると、近位空間充填材91Aの縦長は、約70乃至約80mm、好ましくは、約75mmである。近位空間充填材91Aは、約100乃至約600ccの空間体積に拡張され得る。実施形態では、遠位空間充填材91Bの縦長は、約60乃至約70mm、好ましくは、約65mmである。
【0015】
遠位空間充填材91Bは、約100乃至約400ccの空間体積に拡張され得る。さらなる実施形態によると、近位空間充填材91Aの放射径は、約40乃至約60mmの直径に拡張され得、遠位空間充填材91Bの放射径は、約20乃至約40mmの直径に拡張され得る。例証的実施形態によると、近位空間充填材91Aは、胃空間充填装置19内の遠位空間充填材91Bよりも実質的に大きく、胃の入口領域における制限空間を利用して、より患者の満腹感を作り出す。例証的実施形態によると、近位空間充填材91Aおよび遠位空間充填材91Bの厚さは、約0.2乃至約1.0mm、効果的には、約0.3乃至約0.5mmである。
【0016】
図2Bに示される実施形態によると、注入部材93は、注入部材93を巻き、近位空間充填材91Aを近位注入管腔94Aに接続する近位開口部96Aを覆う、近位筒状部110Aを含む。また、注入部材93は、注入部材93を巻き、遠位空間充填材91Bを遠位注入管腔94Bに接続する遠位開口部96Bを覆う、遠位筒状部110Bを含む。
【0017】
図3に示される実施形態によると、注入部材93の近位注入管腔94Aは、注入管腔94Aと近位空間充填材91Aとの間に流体連通を提供する、近位開口部96Aを有する。図4に示される実施形態によると、注入部材93の遠位注入管腔94Bは、遠位注入管腔94Bと遠位空間充填材91Bとの間に流体連通を提供する、遠位開口部96Bを有する。近位空間充填材91Aおよび近位注入管腔94Aは、遠位空間充填材91Bまたは遠位注入管腔94Bのいずれとも流体連通しない。例証的実施形態によると、注入部材93は、約1乃至約6mmの内径を有する。例証的実施形態によると、近位注入管腔94Aは、遠位注入管腔94Bよりも実質的に大きい。
【0018】
例証的実施形態によると、近位開口部96Aは、近位空間充填材91Aを近位注入管腔94Aに接続する。例証的実施形態によると、近位筒状部110Aは、注入部材93を巻き、近位開口部96Aを覆う。近位筒状部110Aは、近位開口部96Aと近位空間充填材91Aの外周との間に配置され得る。
【0019】
近位空間充填材91Aが膨張するとき、近位筒状部110Aは、近位注入管腔94Aから、近位開口部96Aを通して、気腹流体を近位空間充填材91Aに流入させる。例証的実施形態によると、近位筒状部110Aは、近位筒状部110Aの少なくとも一部を近位開口部96Aから離れるように移動させることによって、気腹流体を近位空間充填材91Aに流入させる。例証的実施形態によると、近位空間充填材91Aの内圧と比較して、近位空間充填材91Aの外圧が高い結果、近位筒状部110Aの少なくとも一部は、近位開口部96Aから離れるように移動される。
【0020】
例証的実施形態によると、近位空間充填材91Aの膨張後、近位筒状部110Aは、近位開口部96Aに押圧され、したがって、近位筒状部110Aは、近位開口部96Aを通して、流体を近位空間充填材91Aから流出させない。例証的実施形態によると、近位空間充填材91Aの外圧と比較して、近位空間充填材91Aの内圧が高いことによって、近位筒状部110Aを近位開口部96Aに押圧する。
【0021】
別の実施形態によると、近位筒状部110Aは、注入部材93に巻かれないが、注入部材93に取り付けられ、近位空間充填材91Aが膨張される間に近位開口部96Aから少なくとも部分的に離れるように移動するように構成され、また、近位空間充填材91Aが膨張された後、近位開口部96Aを封鎖するように構成される。
【0022】
図4に示される実施形態によると、遠位筒状部110Bは、遠位開口部96Bを覆う。遠位筒状部110Bは、遠位開口部96Bを通しての遠位空間充填材91Bの膨張を可能にし、遠位空間充填材91Bが膨張される間における遠位開口部96Bを通しての遠位空間充填材91Bの収縮を防止する。近位筒状部110Aまたは遠位筒状部110Bのための適切な材料は、シリコーン等の任意のエラストマー材料を含む。
【0023】
例証的実施形態によると、生理食塩水等の気腹流体を使用して、患者の胃の所望の部分を充填し、所望の満腹感を作り出すために効果的な所望の体積に近位空間充填材91Aまたは遠位空間充填材91Bを膨張させる。この点まで近位空間充填材91Aが膨張されると、近位開口部96Aを通して鉱油が注入され、近位筒状部110Aと近位開口部96Aとの間に受容される。鉱油は、近位筒状部110Aと近位開口部96Aとの間の領域内の気腹流体に取って代わる。近位筒状部110Aと近位開口部96Aとの間の鉱油は、近位空間充填材91Aから近位開口部96Aを通しての気腹流体の漏出を低減する効果を有する。例証的実施形態によると、鉱油の有効量は、鉱油によって取って代わる気腹流体の体積と等しい体積を伴う鉱油の量である。例証的実施形態によると、鉱油は、遠位筒状部110Bと遠位開口部96Bとの間に受容される。予想外に、本教示は、漏出を大幅に改善するが、未だ開示されていないものである。
【0024】
図6に示される実施形態によると、近位注入管腔94Aは、近位ゲート112Aを含み、遠位注入管腔94Bは、注入部材93の近位に配置される遠位ゲート112Bを含む。近位ゲート112Aは、近位突起206Aが、近位ゲート112Aを通して、近位注入管腔94A内に挿入されるまで、任意の流体の少なくとも一部が近位注入管腔94A内外に流出入するのを防止する。同様に、遠位ゲート112Bは、遠位突起206Bが、遠位ゲート112Bを通して、遠位注入管腔94B内に挿入されるまで、任意の流体の少なくとも一部が遠位注入管腔94B内外に流出入するのを防止する。近位ゲート112Aまたは遠位ゲート112Bは、近位注入管腔94Aまたは遠位注入管腔94Bを実質的に覆い、近位突起206Aまたは遠位突起206Bの挿入を可能にするように操作可能な、可撓性材料から成り得る。
【0025】
図7に示される実施形態によると、胃空間充填装置19が患者の胃に送達された後、送達システム200は、胃空間充填装置19の近位端と固着して連結する口を通して挿入される。別の実施形態によると、送達システム200は、胃空間充填装置19および送達システム200が患者の胃に送達される前に、胃空間充填装置19に固着して連結される。例証的実施形態によると、送達システム200は、胃空間充填装置19のドッキングノッチ208に固着して取り付くように構成される、送達システム200のドッキングクリップ222によって、胃空間充填装置19に連結され得る。
【0026】
例証的実施形態によると、送達システム200は、近位突起206Aおよび遠位突起206Bを含む。近位突起206Aは、近位送達管腔210Aと流体連通し、遠位突起206Bは、遠位送達管腔210Bと流体連通する。送達システム200は、胃空間充填装置19の近位端と固着して連結されるとき、近位突起206Aおよび遠位突起206Bは、それぞれ、近位注入管腔94Aおよび遠位注入管腔94B内に少なくとも部分的に挿入される。
【0027】
近位空間充填材91Aは、気腹流体を近位送達管腔210A内に送達し、それによって、近位突起206Aを通して、近位注入管腔94A内に気腹流体を送達することによって、膨張され得る。同様に、遠位空間充填材91Bは、気腹流体を遠位送達管腔210B内に送達し、それによって、遠位突起206Bを通して、遠位注入管腔94B内に気腹流体を送達することによって、膨張され得る。
【0028】
図8に示される実施形態によると、胃空間充填装置19は、充填材ガイドワイヤチャネル108を含み、送達システム200は、送達ガイドワイヤチャネル224を含む。例証的実施形態によると、ガイドワイヤ218は、胃空間充填装置19または送達システム200が進行する経路に沿って設けられる。次いで、ガイドワイヤ218は、胃空間充填装置19のガイドワイヤチャネル108および送達システム200の送達ガイドワイヤチャネル224のうちの少なくとも1つの中を通される。通されると、胃空間充填装置19または送達システム200は、ガイドワイヤ218に沿って進行し得る。
【0029】
図9に示される実施形態によると、鞘202は、患者の食道を通しての挿入前または間、近位空間充填材91Aおよび遠位空間充填材91Bを少なくとも部分的に覆う。鞘202は、メッシュ生地およびシリコーンを含む、可撓性または半可撓性材料から成り得る。例証的実施形態によると、鞘202は、ステッチ204によって、胃空間充填装置19に固着される。種々のステッチパターンは、当該分野において周知である。ステッチ204は、ステッチ204の一端上で引張ることによって解放され得るもの等、容易に解放可能なステッチパターンを備え得る。近位空間充填材91Aまたは遠位空間充填材91Bの膨張の準備が整うと、ステッチ204は、除去される。
【0030】
例証的実施形態によると、ステッチ204の少なくとも一部は、胃空間充填装置19が患者内に挿入される準備が整うまで、鞘解放クリップ212によって固着される。鞘解放クリップ212は、係合される間、ステッチ204が解放され得ないように、ステッチ204の少なくとも一部を確保する。鞘解放クリップ212が除去されると、ステッチ204は、解放可能となる。
【0031】
例証的実施形態によると、ステッチ204の少なくとも一部は、送達システム200のステッチチャネル214内に位置する。これは、付加的器具を伴わずに、ステッチ204を胃空間充填装置19から離れるように引張ることを可能とする。ステッチ204の一端上を引張ることによって、ステッチ204が鞘202から解放される場合、ステッチ204は、ステッチチャネル214を通してステッチ204を引張ることによって、解放され得る。
【0032】
図10Aに示される実施形態によると、送達システム200は、送達システム200に除去可能に取り付けられ得る、ハンドル216を含み得る。図10Bに示される実施形態によると、ハンドル216は、内部区画226を含む。近位ルアー220Aおよび遠位ルアー220Bは、内部区画226内に含まれ得る一方、ハンドルは、送達システム200に取り付けられる。ハンドル216は、送達システム200に取り付けられるが、近位ルアー220Aおよび遠位ルアー220Bは、近位空間充填材91Aまたは遠位空間充填材91B内に流体を注入するためにアクセスされない。
【0033】
図10Cに示される実施形態によると、ステッチ204は、ハンドル216が送達システム200から除去されると、ステッチ204は、鞘202から離れるように引張られ、それによって、鞘202を近位空間充填材91Aまたは遠位空間充填材91Bを覆うことから解放するように、ハンドル216に取り付けられ得る。同様に、ハンドル216の除去は、近位空間充填材91Aおよび遠位空間充填材91Bが、ハンドル216が除去される場合のみ注入可能なように、近位ルアー220Aおよび遠位ルアー220Bを露出させる。本実施形態では、近位空間充填材91Aおよび遠位空間充填材91Bは、鞘202が解放されるまで、膨張不可能である。
【0034】
図11A図11B、および図11Cに示される実施形態によると、胃空間充填装置19は、3つの鞘(近位鞘202A、中心鞘202C、および遠位鞘202B)によって、少なくとも部分的に覆われる。遠位鞘202Bは、遠位空間充填材91Bの遠位部分を少なくとも部分的に覆い、中心鞘202Cは、遠位空間充填材91Bの近位部分および近位空間充填材91Aの遠位部分を少なくとも部分的に覆い、近位鞘202Aは、近位空間充填材91Aの近位部分を少なくとも部分的に覆う。
【0035】
遠位空間充填材91Bの膨張に伴って、遠位鞘202Bは、胃空間充填装置19の遠位端に向かって丸められ、中心鞘202Cの遠位部分は、胃空間充填装置19の中心に向かって丸められる。近位空間充填材91Aの膨張に伴って、近位鞘202Aは、胃空間充填装置19の近位端に向かって丸められ、中心鞘202Cの近位部分は、胃空間充填装置19の中心に向かって丸められる。例証的実施形態では、近位空間充填材91Aの膨張に伴って、近位空間充填材91Aが膨張されるときに近位鞘202Aが送達システム200上で丸められ、送達システム200が取り外され、除去されると、近位鞘202Aが送達システム200とともに除去されるように、近位鞘202Aは、胃空間充填装置19の近位端に取り付けられる送達システム200に向かって丸められる。
【0036】
例証的実施形態では、胃空間充填装置19は、2つの鞘(近位鞘202Aおよび遠位鞘202B)によって、少なくとも部分的に覆われる。遠位鞘202Bは、遠位空間充填材91Bが膨張され、それが、胃空間充填装置19の遠位端に向かって、または胃空間充填装置19の中心に向かって、遠位鞘202Bを丸まらせるまで、遠位空間充填材91Bを少なくとも部分的に覆う。同様に、近位鞘202Aは、胃空間充填装置19の近位端に向かって、または胃空間充填装置19の中心に向かって、近位鞘202Aを転動させる、近位空間充填材91Aが膨張されるまで、近位空間充填材91Aを少なくとも部分的に覆う。
【0037】
例証的実施形態では、胃空間充填装置19は、単一の鞘(中心鞘202C)によって、少なくとも部分的に覆われる。中心鞘202Cは、近位空間充填材91Aおよび遠位空間充填材91Bをそれぞれ少なくとも部分的に覆う。遠位空間充填材91Bの膨張に伴って、中心鞘202Cは、中心鞘202Cが遠位空間充填材91Bを覆わなくなるまで、胃空間充填装置19の近位端から、胃空間充填装置19の中心に向かって、丸められる。近位空間充填材91Aの膨張に伴って、中心鞘202Cは、中心鞘202Cが近位空間充填材91Aを覆わなくなるまで、胃空間充填装置19の近位端から、胃空間充填装置19の中心に向かって、丸められる。代替として、近位空間充填材91Aの膨張に伴って、中心鞘202Cは、胃空間充填装置19の中心から、胃空間充填装置19の近位端に向かって、丸められ得る。
【0038】
装置および方法は、最も実践的実施形態であると現在考えられるものの観点から説明されたが、本開示は、開示される実施形態に制限される必要がないものと理解されたい。請求項の精神および範囲内に含まれる種々の修正および類似構成を網羅するものと意図され、その範囲は、そのような修正および類似構造を全部包含するように、最大限広範な解釈を与えられるべきである。本開示は、以下の請求項の一部および全部の実施形態を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11