【実施例】
【0046】
下記の実施例は、その範囲をどのような方法でも限定することなく開示を例示することが意図される。
【0047】
下記の実施例では、以下の略語を使用している:
AcOH 酢酸
CMC−Na カルボキシメチルセルロースナトリウム
DELFIA 解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
FBS ウシ胎仔血清
h 時間
mL ミリリットル
min 分
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PE 石油エーテル
PMSF フェニルメタンスルホニルフルオリド
Py ピリジン
THF テトラヒドロフラン
Tris−Cl ヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩
【0048】
実施例1:(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
化合物1を下記スキームに従って調製した。
【化1】
【0049】
DMF(3mL)中における5−ニトロ−1H−インダゾール(1−a、5g、30.65mmol)、1−(ブロモメチル)−3−フルオロベンゼン(3.76mL、30.65mmol)および炭酸カリウム粉末(4.66g、30.65mmol)の混合物を80℃で3h撹拌し、次いで水(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿物をろ過によって獲得し、さらにシリカゲル上のクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3:1)によって精製して、1−b(5.3g、19.7mmol)を得た。
【0050】
N
2下で、ラネーニッケル(0.53g、湿重量)を1−b(5.3g、19.7mmol)のメタノール(20mL)溶液に加え、混合物を脱ガスし、水素雰囲気下に室温で終夜撹拌した。触媒を注意深くろ過し、ろ液を真空中で濃縮して、1−c(4.65g、19.3mmol)を得た。
【0051】
エタノール中における2−アミノ−4−フルオロ安息香酸(1−d、7.75g、50mmol)とメタンイミドアミドアセテート(15.6g、150mmol)の混合物を還流温度で終夜撹拌し、次いで周囲温度に冷却した。沈殿物をろ過し、真空中で乾燥させて、1−e(8.0g、48mmol)を得た。
【0052】
7−フルオロキナゾリン−4(3H)−オン(1−e、8.0g、48mmol)を濃H
2SO
4(24mL)に溶解し、溶液を氷浴中で0℃まで冷却した。次いでHNO
3(24mL)を上記溶液に1滴ずつ加えて、反応温度を0℃未満に維持した。次いで混合物を100℃までゆっくり加熱し、3日間撹拌した。得られた混合物を周囲温度まで冷却し、氷水に注ぎ込んだ。沈殿物をろ過によって獲得し、次いでAcOH中で再結晶させて、1−f(3.25g、15.53mmol)を得た。
【0053】
N
2下で、金属ナトリウム(0.71g、31mmol)をメタノール(無水物、100mL)に注意深く加え、10分間撹拌して、新鮮なナトリウムメトキシド溶液を調製した。次いで上記溶液に、7−フルオロ−6−ニトロキナゾリン−4(3H)−オン(1−f、3.25g、15.53mmol)を加え、混合物を3h加熱還流した。得られた混合物を周囲温度まで冷却し、HCl(2N)を用いてpH=3〜4まで酸性化した。揮発分を減圧下で除去した。残留物を水に懸濁させ、固体をろ過によって捕集し、真空中で乾燥させて1−g(3.17g、14.4mmol)を得た。
【0054】
DMF(0.5mL)を7−メトキシ−6−ニトロキナゾリン−4(3H)−オン(1−g、1.23g、5.56mmol)のSOCl
2(8mL)溶液に加え、混合物を4h加熱還流した。揮発分を減圧下で除去して、(1−h、1.2g、5.0mmol)を得た。
【0055】
ジオキサン(40mL)中における4−クロロ−7−メトキシ−6−ニトロキナゾリン(1−h、1.2g、5.02mmol)と1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−アミン(1−c、1.2g、4.98mmol)の混合物を、3h加熱還流した。次いでそれを周囲温度まで冷却した。沈殿物をろ過によって獲得し、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して1−i(1.7g、3.88mmol)を黄色固体として得た。
【0056】
N
2下で、ラネーニッケル(0.13g、湿重量)を1−i(1.5g、3.7mmol)のメタノール(20mL)溶液に加えた。懸濁液を脱ガスし、H
2で3回パージし、次いで水素雰囲気下に室温で4h撹拌した。触媒を注意深くろ過して取り除いた。ろ液を真空中で濃縮して1−j(1.36g、3.29mmol)を黄色固体として得た。
【0057】
1−j(1.36g、3.29mmol)とピリジン(0.78g、9.86mmol)のDMF(3mL)溶液に、カルボノクロリド酸フェニル(phenyl carbonochloridate)(1.53g、9.86mmol)を加えた。混合物を室温で1h撹拌した。沈殿物をろ過によって獲得し、乾燥させて1−k(1.40g、2.63mmol)を得た。
【0058】
1−k(1.1g、2.2mmol)、ピリジン(0.2g、2.6mmol)および(3aR,6aR)−1−メチルオクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール(0.33g、2.6mmol)のDMF(3mL)溶液を80℃で1h撹拌し、次いで氷水に注ぎ込み、EtOAc(3×40mL)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4(無水物)で乾燥し、ろ過および濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(EtOAc/メタノール=2:1)によって精製して、化合物1(0.79g、1.4mmol)を得た。MS(m/e):567.1(M+1)
+。
【0059】
実施例2:(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化2】
【0060】
(3aS,6aS)−1−メチルオクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロールを用いた同様の条件下で実施例1の手順に従って化合物2を調製した。MS(m/e):566.8(M+1)
+。
【0061】
実施例3:(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化3】
【0062】
化合物3−a(40g、0.138mol、WO2010002845に開示されている手順に従って調製した)、ピリジン(40mL、0.495mol)およびDMF(無水物、22mL)の無水THF(500mL)溶液に、カルボノクロリド酸フェニル3−b(22mL、0.175mol)を1滴ずつ−10℃で加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿物をろ過し、次いで飽和NaHCO
3溶液(500mL)に懸濁させた。固体をろ過し、H
2OおよびEtOAcで洗浄し、真空中で乾燥させて化合物3−c(46g)を得た。ジオキサン(30mL)中における化合物3−c(1g、2.44mmol)と化合物3−d(369mg、2.92mmol)の混合物を70℃で5時間撹拌し、次いで周囲温度まで冷却した。沈殿物をろ過し、EtOAcで洗浄し、真空中で乾燥させて化合物3(0.8g)を得た。MS(m/e):443.4(M+1)
+。
【0063】
実施例4:(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化4】
【0064】
化合物4を実施例2の手順に従って調製した。
MS(m/e):576.9(M+1)
+
【0065】
実施例5:(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化5】
【0066】
化合物5を実施例1の手順に従って調製した。
MS(m/e):576.7(M+1)
+
【0067】
実施例6:(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化6】
【0068】
化合物6を実施例2の手順に従って調製した。
MS(m/e):546.8(M+1)
+
【0069】
実施例7:(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化7】
【0070】
化合物7を実施例1の手順に従って調製した。
MS(m/e):546.8(M+1)
+
【0071】
薬理学的試験
EGFR活性化−阻害試験
細胞の播種および飢餓:10%FBS含有DMEMに希釈したA431(ヒト類表皮癌)細胞を、96ウェルプレートに1.3×10
4細胞/ウェルで播種し、終夜インキュベートする。次いで、細胞培養培地を、90μL/ウェルの無血清DMEM培地と交換する。飢餓のためにプレートを終夜インキュベートする。
【0072】
化合物の希釈および処理:試験化合物を、FBSを含まない5%DMSO含有培地で3倍系列に希釈する。10μL/ウェルの希釈化合物を細胞に加え、10μL/ウェルの試験化合物を含まない5%DMSOを対照ウェルに加える。各試験ポイントで重複研究(duplicate study)を行う。次いで、5%CO
2インキュベーター内でプレートを37℃で60分間インキュベートする。10μL/ウェルの200ng/mL EGF(Biosource、PHG0064)を加え、5%CO
2インキュベーター内でプレートを37℃で45分間インキュベートする。
【0073】
溶解物の調製:培地を取り除き、100μL/ウェルの50mM Tris−Cl、pH8.0細胞溶解バッファー(0.5M NaCl、0.2mM EDTA、0.1%Triton X−100、1μg/mLアプロチニン、0.75μg/mLロイペプチン、1μg/mLペプスタチン、1mM DTT、500μMバナジン酸ナトリウム、および1mM PMSF含有)を各ウェルに加えて、細胞を溶解する。プロテアーゼ阻害剤を使用直前に加える。細胞溶解物を−80℃で終夜凍結させる。
【0074】
プレートのコーティングおよびブロッキング:PBSに希釈した100μL/ウェルの0.5μg/ml抗EGFR抗体(Perkin Elmer、AF231)を96ウェルDELFIAプレート(Perkin Elmer、AAAND−0001)に加え、緩やかに振盪しながら25℃で終夜インキュベートする。溶液を廃棄する。プレートを200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファー(0.05%Tween−20含有PBSバッファー)で3回洗浄する。200μL/ウェルのブロッキングバッファー(0.137MのNaCl、0.0027MのKCl、0.01MのNa
2PO
4・12H
2O、0.0015MのKH
2PO
4、pH7.4、および1%BSAを含有するPBS)を各ウェルに加え、プレートを緩やかに振盪しながら25℃で2hインキュベートする。
【0075】
結合:ブロッキングバッファーを廃棄し、プレートを200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファーで3回洗浄する。80μL/ウェルの試料希釈物(20mM Tris−Cl/pH7.3、150mM NaCl、0.1%のBSA、および0.05%Tween−20)および20μL/ウェルの細胞溶解物を次に各ウェルに加える。プレートを25℃で緩やかに振盪しながらさらに1hインキュベートする。
【0076】
検出:プレートを再度200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファーで3回洗浄する。DELFIAアッセイバッファー(Perkin Elmer、1244−106)中に希釈した100μL/ウェルの0.5μg/ml Eu−PT66抗体(Perkin Elmer、AD0040)を加え、プレートを緩やかに振盪しながら25℃で1hインキュベートする。200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファーで3回洗浄した後、100μL/ウェルのDELFIA強化バッファー(enhancement buffer)(Perkin Elmer、4001−0010)を加える。プレートを緩やかに振盪しながら25℃で30minインキュベートする。
【0077】
読み出し:Victor
3(PerkinElmer)で蛍光シグナルを340nm励起および620nm発光において測定する。
【0078】
阻害率を以下の通りに計算する:
【数1】
ここで、
[蛍光読み出し値]
処理は、EGF刺激後に試験化合物で処理したウェルの読み出し値である。
[蛍光読み出し値]
未処理は、細胞バックグラウンド信号として使用する、化合物処理もEGF刺激も行なっていないウェルの読み出し値である。
[蛍光読み出し値]
EGFは、最大シグナルとして使用する、EGF刺激を行なったが、化合物処理を行なっていないウェルの読み出し値である。
【0079】
IC
50は、XL−Fit2.0ソフトウェアを用いて計算する。
【0080】
化合物1〜7のIC
50値は、それぞれ、0.185、0.439、0.006、0.016、0.044、0.210、および0.241μMである。
【0081】
ヒト異種移植モデルのin vivo抗腫瘍試験
1.材料および方法:
ヒト腫瘍細胞系:Fadu(ヒト頭頸部、咽頭癌、HTB−43)、HCC827(ヒト非小細胞肺癌、NSCLC;CRL−2868)、A431(ヒト類表皮癌、CRL−2592)細胞系をATCCから購入した;Fadu、HCC827およびA431細胞をそれぞれEMEM、RPMI 1640およびDMEM培地+10%FBS中で増殖させた。これらの細胞を、加湿インキュベーター中37℃、5%CO
2下でインキュベートした。
【0082】
動物:無胸腺マウス(6〜8週)をShanghai SLAC laboratory animal CO.LTDから購入した。動物は、標準条件(12:12h明/暗、20〜25℃で40〜50%相対湿度)下でSPF環境、4動物/ケージで飼育し、Co
60放射−無菌飼料および無菌水を自由に摂取させた。
【0083】
薬剤:試験化合物を異なる濃度(0.05〜1.0mg/mL)で無菌の0.5%CMC−Na中で配合し、次いで4℃で保存した。
【0084】
腫瘍細胞の皮下移植および抗腫瘍有効性試験:約80%コンフルエントに達するまで、腫瘍細胞を5%CO
2インキュベーター中37℃でインキュベートした。細胞を0.05%トリプシン−EDTAによってはがし、800rpmで遠心分離し、細胞を無血清培地中に懸濁した。ヌードマウス移植のために濃度を調整した。ヌードマウスを移植前に数日間隔離し、培地0.1mL中の3×10
6FaDuもしくはA431細胞、または培地0.2mL中の5×10
6HCC827細胞を、ヌードマウスの右側腹部に皮下注射した。
【0085】
接種後1〜3週間の平均腫瘍体積が100〜300mm
3に達した時、動物を無作為化し、ビヒクルおよび化合物処置グループに分けた。マウスに、ビヒクル、0.5%CMC−Na、または試験化合物のいずれかを1日1回異なる用量レベルで経口投与した。投与容積は10mL/kg体重であった(投与レジメンを表1および表2に示した)。腫瘍体積は、長さおよび幅についてキャリパーで1週間当たり2〜3回測定し、式を用いて計算した:腫瘍体積(TV、mm
3)=幅
2×長さ/2。動物の体重および挙動を実験中に観察した。腫瘍増殖阻害を以下のようにして計算した:TGI(%)=100−(T−T
0)/(C−C
0)×100%、ここで、Tは、実験中の特定の日の処置グループの平均腫瘍体積を表し、T
0は、処置1日目の同じ処置グループの平均腫瘍体積を表し、Cは、実験中の特定の日の対照グループの平均腫瘍体積を表し、C
0は、処置1日目の同じ対照グループの平均腫瘍体積を表す。
【表1】
【表2】
【0086】
2.統計的分析:
腫瘍体積データを平均±SDとして表した。多重比較のために一元ANOVAを使用し、ビヒクル対照と比較するためにスチューデントt検定を使用した。差がP<0.05で統計的に有意であることが認められた。
【0087】
3.結果:
試験化合物は、投与量依存的に3つの腫瘍モデルで著しい腫瘍増殖阻害を示した。さらに、試験化合物で処置したどのマウスも実験中に著しい体重減少を示さなかった。
【0088】
実施例3において代表的な試験化合物によってもたらされたTGI(%)を、以下の表に示す。
【表3】
【0089】
hERGアッセイ
1.細胞培養
hERG cDNAで安定にトランスフェクトさせ、hERGチャンネルを発現しているCHO細胞系を研究に使用した。細胞を:
・ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM/F12)
・10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)
・1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシン
・500μg/ml Geneticin(登録商標)試薬(G418)
を含有する培地で培養した。試験前に、Accumax(Innovative Cell Technologies)を用いて細胞を回収した。
【0090】
2.溶液
電気生理学的記録のために、以下の溶液を使用した。
【表4】
【0091】
3.記録システム
EPC10 USB(HEKA)を用いて全細胞記録を行なった。細胞を−80mVの保持電位で電圧を固定した。hERG電流は、+20mVで2秒脱分極することによって活性化させ、その後電流を−50mVに2秒戻して、不活性化を除去し、非活性化された末尾電流を観察する。−50mVにおける第1ステップを、末尾電流ピーク振幅を測定するためのベースラインとして使用した。
【0092】
4.化合物ハンディング(handing)および希釈
化合物を、10mM DMSOストックとしてガラス製バイアル中に調製した。保存溶液を室温で10分間激しく混合した。試験のために化合物を、溶液を用いてガラス製バイアル中に希釈し;希釈液は使用前30分以内に調製した。最終希釈液で等量のDMSO(0.1%)が存在した。
【0093】
5.電気生理学手順
全細胞構造(whole-cell configuration)を達成した後、細胞を90秒モニターして安定性を評価し、外液(external solution)で66秒洗浄した。次いで上記の電圧プロトコルを、全手順の間中20秒毎に細胞に適用した。閾値より大きいパラメーターを記録した安定な細胞だけを、薬物添加手順に入ることを認めた。
【0094】
0.1%DMSO(ビヒクル)を含有する外液を細胞に適用して、ベースラインを確立した。電流を3分間安定化させた後、化合物を適用した。化合物溶液を4ステップで加え、化合物の効果が定常状態に達するまで、または最大6min、細胞を試験溶液中に保持した。続いて、陽性対照(100nMシサプリド)を加えた。電流の回復が定常状態に達するまで外液でウォッシュアウトを行なった。
【0095】
6.データ分析
PulsefitおよびOrigin 7(Originlab Corporation)を用いてデータを分析した。
【0096】
7.結果
化合物3は、マニュアル全細胞パッチクランプアッセイを用いてIC
50 9.3±1.2μM(5つの濃度、5×2)でhERG末尾電流を阻害した。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
[2]
少なくとも1種の医薬的に許容可能な担体ならびに
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩
を含む医薬組成物。
[3]
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療する方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の、
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩を投与する工程を含む、方法。
[4]
前記癌が、肺癌、特に非小細胞肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、上記[3]に記載の方法。
[5]
前記その被験体に有効量の抗癌剤を投与する工程をさらに含み、該抗癌剤が、上記[1]に記載の前記少なくとも1種の化合物、および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と異なる、上記[3]に記載の方法。
[6]
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害する方法であって、上皮成長因子受容体を有効量の上記[1]に記載の少なくとも1種の化合物、および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と接触させる工程を含む、方法。
[7]
癌を治療するための医薬品の調製における上記[1]に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩の使用。
[8]
前記癌が、肺癌、特に非小細胞肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、上記[7]に記載の使用。
[9]
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害するため、または上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療するための、上記[1]に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
[10]
前記癌が、肺癌、特に非小細胞肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、上記[9]に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。