特許第5736452号(P5736452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736452
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】キナゾリン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20150528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150528BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20150528BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20150528BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20150528BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20150528BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150528BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   C07D487/04 137
   C07D487/04CSP
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61P11/00
   A61P1/04
   A61P17/00
   A61P1/18
   A61K45/00
   A61K31/517
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-516973(P2013-516973)
(86)(22)【出願日】2011年5月25日
(65)【公表番号】特表2013-529653(P2013-529653A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】CN2011074637
(87)【国際公開番号】WO2012000356
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2013年2月26日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2010/074792
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512278054
【氏名又は名称】ハチソン メディファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウェイハン
(72)【発明者】
【氏名】スー,ウェイ‐グオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】クイ,ユミン
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ヤンシン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シャオチン
【審査官】 堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/002845(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101619043(CN,A)
【文献】 特表2011−526913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物 (3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミドおよび/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
少なくとも1種の医薬的に許容可能な担体ならびに
請求項1に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩
を含む医薬組成物。
【請求項3】
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療するための医薬組成物であって、有効量の請求項1に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩を含む、医薬組成物。
【請求項4】
前記癌が、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記肺癌が、非小細胞肺癌である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
有効量の抗癌剤をさらに含み、該抗癌剤が、請求項1に記載の化物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と異なる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、該化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と該抗癌剤とは、単一剤形または別々の剤形として投与される、医薬組成物。
【請求項7】
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害するin vitro方法であって、上皮成長因子受容体を有効量の請求項1に記載の化物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と接触させる工程を含む、方法。
【請求項8】
癌を治療するための医薬品の調製における請求項1に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩の使用。
【請求項9】
前記癌が、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、請求項に記載の使用。
【請求項10】
前記肺癌が、非小細胞肺癌である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害するため、または上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療するための、請求項1に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
【請求項12】
前記癌が、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、請求項11に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
【請求項13】
前記肺癌が、非小細胞肺癌である、請求項12に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、製薬分野、および特に、ある特定のキナゾリン化合物、前記化合物を含有する組成物およびその使用に関する。これらのキナゾリン化合物は、上皮成長因子受容体(EGFR)の過剰発現および/または過剰活性(overactivity)を効果的に阻害することができる。
【背景技術】
【0002】
技術的背景
上皮成長因子受容体(EGFR)への上皮成長因子(EGF)の結合は、チロシンキナーゼ活性を活性化することができ、それによって細胞増殖をもたらす反応が誘発され得る。EGFRの過剰発現および/または過剰活性は、癌の素因になり得る無制御の細胞分裂をもたらすことがある。EGFRの過剰発現および/または過剰活性を阻害することができる化合物は、したがって癌を治療するための潜在的候補である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の要旨
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0004】
少なくとも1種の医薬的に許容可能な担体ならびに本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物も提供する。
【0005】
それを必要とする被験体に、有効量の、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩を投与する工程を含む、上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療する方法も提供する。
【0006】
癌を治療するための医薬品の調製における本発明の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩の使用も提供する。好ましい実施形態では、癌は、肺癌、頭頸部癌(head and neck cancer)、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される。
【0007】
上皮成長因子受容体を有効量の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と接触させる工程を含む、上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害する方法をさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
本明細書において使用する、以下の単語、表現および記号は、それらを使用する文脈がその他の場合を示す範囲を除いて、一般に後述の意味を有することが一般的に意図される。以下の略語および用語は、全体にわたって指示されている意味を有する:
【0009】
本明細書に記載の化合物には、それだけには限定されないが、それらの光学異性体、ラセミ化合物、および他のそれらの混合物がある。それらの状況では、単一鏡像異性体またはジアステレオ異性体、すなわち、光学活性形態は、不斉合成によってまたはラセミ化合物もしくはジアステレオ異性体の混合物の分割によって得ることができる。ラセミ化合物またはジアステレオ異性体の混合物の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを用いたクロマトグラフィーなどの従来の方法によって達成することができる。
【0010】
本明細書に記載の化合物が種々の互変異性型で存在する場合、「化合物」という用語は、化合物の全ての互変異性型を含むことが意図される。かかる化合物は、多形体およびクラスレートを含む結晶形も含む。同様に、「塩」という用語は、化合物の塩の全ての異性体、ラセミ化合物、他の混合物、ZおよびE型、互変異性型ならびに結晶形を含むことが意図される。
【0011】
「医薬的に許容可能な塩」には、それだけには限定されないが、無機酸との塩、例えば塩化水素酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、硝酸塩、および同様の塩;ならびに有機酸との塩、例えばリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、およびアルカン酸塩、例えば酢酸塩、HOOC−(CH−COOH(ここでnは0〜4である)、および同様の塩がある。同様に、医薬的に許容可能な陽イオンとしては、それだけには限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、およびアンモニウムが挙げられる。
【0012】
さらに、本明細書に記載の化合物を酸付加塩として得る場合、遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性にすることによって得ることができる。反対に、生成物が遊離塩基の場合、付加塩、特に医薬的に許容可能な付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を適当な有機溶媒に溶かし、溶液を酸で処理することによって生成することができる。当業者は、非毒性の医薬的に許容可能な付加塩を調製するのに使用できる種々の合成方法論を認識するはずである。
【0013】
「水和物」などの「溶媒和物」は、溶媒と化合物の相互作用によって形成される。「化合物」という用語は、化合物の、水和物を含めた溶媒和物を含むことが意図される。同様に、「塩」は、塩の、水和物などの溶媒和物を含む。適当な溶媒和物は、医薬的に許容可能な、一水和物および半水和物を含めた水和物などの溶媒和物である。
【0014】
「キレート」は、化合物が金属イオンに2(またはそれ以上)点で配位することによって形成される。「化合物」という用語は、化合物のキレートを含むことが意図される。同様に、「塩」は、塩のキレートを含む。
【0015】
「非共有結合錯体」は、化合物と別の分子の相互作用によって形成され、ここで共有結合は、化合物と分子の間に形成されていない。例えば、錯体形成(complexation)は、ファンデルワールス相互作用、水素結合、および静電的相互作用(イオン結合とも呼ばれている)によって起こり得る。かかる非共有結合錯体は、「化合物」という用語に含まれている。
【0016】
「活性薬剤(active agent)」という用語は、生物学的活性を有する化学物質を示すのに使用する。いくつかの実施形態では、「活性薬剤」は、医薬的な有用性を有する化学物質である。
【0017】
「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」または「緩和(alleviation)」は、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害に対する素因を治療する(cure)、治癒する(heal)、緩和する、軽減する、変化させる、改善する(remedy)、回復する(ameliorate)、改善する(improve)、またはそれに影響を与えるという目的で、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩を、疾患もしくは障害を有し、または疾患もしくは障害の症状を有し、または疾患もしくは障害に対する素因を有する被験体に投与することを意味する。疾患または障害は、例えば、癌であってよい。
【0018】
「阻害」という用語は、生物学的活性またはプロセスのベースライン活性の低下を示す。「上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害」は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩の非存在下におけるEGFRの活性と比較して、該少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩の存在に対する直接的または間接的な反応としてのEGFRの発現および/または活性の低下を意味する。活性の低下は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩とEGFRとの直接的な相互作用が原因であっても、または本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩とEGFR活性に同様に影響する1種または複数の他の因子との相互作用が原因であってもよい。例えば、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩の存在は、EGFRに直接的に結合することによって、(直接的または間接的に)別の因子にEGFR活性を低下させることによって、または細胞または生物中に存在するEGFRの量を(直接的または間接的に)低下させることによって、EGFR活性を低下させ得る。
【0019】
「有効量」という用語は、被験体の疾患または障害を「治療する(treat)」のに有効な、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩の量を意味する。癌の場合は、有効量は、上記の「治療すること」、「治療」および「緩和」の定義に記載のような観察可能または測定可能な変化のいずれかを被験体に引き起こし得る。例えば、有効量は、癌または腫瘍細胞の数の減少;腫瘍の大きさの低減;例えば、軟部組織および骨への腫瘍の拡散を含めた、抹消器官への腫瘍細胞浸潤の阻害または阻止;腫瘍の転移の阻害および阻止;腫瘍の増殖の阻害および阻止;1種または複数の癌に関連する症状の多少の軽減、罹患率(morbidity)および死亡率の低下;生活の質の改善;あるいはかかる効果の組合せを可能にする。有効量は、上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する疾患の症状を低減させるのに十分な量であってもよい。癌療法では、in vivoでの有効性は、例えば、生存期間、無増悪期間(time to disease progression)(TTP)、奏効率(response rate)(RR)、奏効持続期間(duration of response)、および/または生活の質を評価することによって測定することができる。当業者によって認められているように、投与経路、賦形剤の使用、および他の薬剤との共使用(co-usage)に応じて、有効量は異なっていてよい。
【0020】
「有効量」という用語はまた、上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害するのに有効な、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩の量を意味していてもよい。
【0021】
本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細は、以下に記載される。
【0022】
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0023】
本明細書に記載のキナゾリン化合物および/またはその医薬的に許容可能な塩は、当該分野でよく知られている方法によって市販されている出発原料から合成することができる。詳細なプロセスは、本出願の実施例の項で例示されている。
【0024】
所望のキナゾリン化合物を合成するのに有用な合成化学変換は、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999);L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);ならびにL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)およびその次の版にも記載されている。
【0025】
本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩は、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、結晶化、または他の適当な方法によって精製することができる。
【0026】
本明細書に記載の少なくとも1種のキナゾリン化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩は、EGFRキナーゼと相互作用でき、かつ/またはEGFR活性を阻害することができる。
【0027】
少なくとも1種の医薬的に許容可能な担体ならびに本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩を含む組成物も提供する。
【0028】
本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩を含む組成物は、種々の既知の方法、例えば経口、非経口、吸入スプレーによって、または埋め込みリザーバー(implanted reservoir)を介して投与することができる。本明細書では「非経口」という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内(intrathecal)、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0029】
経口組成物は、それだけには限らないが、錠剤、カプセル剤、乳剤および水性懸濁剤、分散剤および液剤を含む、任意の経口的に許容可能な剤形(dosage form)であってよい。錠剤に一般的に使用される担体には、ラクトースおよびコーンスターチがある。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も、錠剤に通常加えられる。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチがある。水性懸濁剤または乳剤を経口投与する場合、有効成分(active ingredient)は、乳化剤または懸濁化剤を合わせた油相中に懸濁または溶解させればよい。望むなら、いくつかの甘味料、香味料、または着色剤を添加してもよい。
【0030】
無菌の注射可能な組成物(例えば、水性または油性懸濁液)は、適当な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween80など)および懸濁化剤を用いて当該分野で既知の技術に従って配合することができる。無菌の注射可能な製剤(preparation)は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のように、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射剤または懸濁剤であってもよい。使用できる医薬的に許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、マンニトール、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。その上、無菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体(例えば、合成モノまたはジグリセリド)として従来使用されている。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射剤の調製に有用であり、それらのポリオキシエチル化型のようにオリーブ油またはヒマシ油など天然の医薬的に許容可能な油も同様である。これらの油剤または懸濁剤はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散剤を含有することができる。
【0031】
吸入組成物は、製剤の分野でよく知られている技術に基づいて調製でき、ベンジルアルコールもしくは他の適当な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で既知の他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して生理食塩水(saline)中の溶液として調製することができる。
【0032】
局所組成物は、油、クリーム、ローション、軟膏などの形態で配合することができる。組成物の適当な担体には、植物油または鉱油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分枝鎖脂肪または油、動物性脂肪および高分子量アルコール(C12超)が含まれる。いくつかの実施形態では、医薬的に許容可能な担体は、有効成分が可溶性のものである。乳化剤、安定剤、湿潤剤および抗酸化剤、ならびに色または芳香を付与する薬剤も、望むなら、含んでいてもよい。さらに、経皮浸透促進剤をこれらの局所製剤に使用してもよい。これらの促進剤の例は、米国特許第3,989,816号および第4,444,762号に見つけることができる。
【0033】
クリームは、鉱油、自己乳化蜜蝋および水の混合物から配合してもよく、この混合物中に、少量の扁桃油などの油に溶解させた有効成分が混合されている。このようなクリームの一例は、約40部の水、約20部の蜜蝋、約40部の鉱油および約1部の扁桃油を含むものである。軟膏は、扁桃油などの植物油中における有効成分の溶液を温かい軟パラフィンと混合し、混合物を冷却させることによって配合してもよい。このような軟膏の一例は、約30重量%のアーモンドおよび約70重量%の白色軟パラフィンを含むものである。
【0034】
医薬的に許容可能な担体は、組成物の有効成分に適合性であり(いくつかの実施形態では、有効成分を安定化でき)、治療を受ける被験体に有害でない担体を意味する。例えば、シクロデキストリン(本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩と特定のより可溶性が高い複合体を形成する)などの可溶化剤は、有効成分の送達のための医薬賦形剤として利用することができる。他の担体の例には、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C Yellow #10がある。合成および天然ポリマー(例えばアルブミンおよびその誘導体)などの親水性賦形剤も、医薬的に許容可能な担体の例である。
【0035】
適当なin vitroアッセイは、EGFRの活性を阻害する際の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩の有効性を事前に評価するのに使用することができる。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩は、in vivoアッセイによって癌を治療する際のその有効性についてさらに調べることができる。例えば、本明細書に記載の化合物および/またはその医薬的に許容可能な塩は、癌を有する動物(例えば、マウスモデル)に投与でき、その治療効果を利用することができる。その結果に基づいて、ヒトなどの動物に対する適切な投与量範囲および投与経路も決定することができる。
【0036】
それを必要とする被験体に、有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩を投与する工程を含む、上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療する方法も提供する。
【0037】
本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩は、例えば、癌にかかっている被験体において、有益な治療的または予防的効果を達成するのに使用することができる。本明細書では、「癌」という用語は、無制御のもしくは無調節な細胞増殖、細胞分化の減少、周囲組織に侵入する不適切な能力、および/または異所部位において新しい増殖を確立する能力を特徴とする細胞障害を意味する。「癌」という用語は、それだけには限定されないが、充実性腫瘍および血液由来腫瘍(bloodborn tumor)を含む。「癌」という用語は、皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液、および血管の疾患を包含する。「癌」という用語は、原発性および転移性癌をさらに包含する。
【0038】
充実性腫瘍の非限定的な例には、膵癌;膀胱癌;結腸直腸癌;転移性乳癌を含む乳癌;アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌を含む前立腺癌;例えば、転移性腎細胞癌を含む腎臓癌;肝細胞癌;例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞癌(BAC)、および肺腺癌を含む肺癌;例えば、進行性上皮性癌または原発性腹膜癌を含む卵巣癌;子宮頚癌(cervical cancer);胃癌;食道癌;例えば、頭頸部扁平上皮癌を含む頭頸部癌;例えば、悪性黒色腫を含む皮膚癌;転移性神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌癌;例えば、神経膠腫、退形成型希乏突起膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人未分化星状細胞腫を含む脳腫瘍;骨の癌;軟部組織肉腫;ならびに甲状腺癌が含まれる。
【0039】
血液悪性疾患の非限定的な例には、急性骨髄性白血病(AML);加速性CMLおよびCML急性転化期(blast phase)(CML-BP)を含む慢性骨髄性白血病(CML);急性リンパ芽球性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL);ホジキン病(HD);濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;不応性貧血(RA)、環状鉄芽球(ringed siderblast)を伴う不応性貧血(RARS)、(過剰な芽球を伴う不応性貧血(RAEB)、および形質転換におけるRAEB(RAEB-T)を含む骨髄異形成症候群(MDS)ならびに骨髄増殖性症候群が含まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、治療すべき癌の例には、それだけには限定されないが、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、膵癌、大腸癌(colon cancer)、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、骨癌、および白血病がある。いくつかの実施形態では、治療すべき癌の例は、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩は、本明細書に記載の前記少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と異なる、有効量の別の治療薬と併せて投与する。いくつかの実施形態では、もう一方の治療薬は、抗癌剤である。いくつかの実施形態では、もう一方の治療薬は、治療対象となる疾患または症状にかかっている患者に通常投与するものである。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩は、単一剤形でまたは別々の剤形としてもう一方の治療薬と共に投与してもよい。別々の剤形として投与する場合、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩より前に、同時に、または投与後に、もう一方の治療薬を投与することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩は、抗癌剤と併せて投与する。本明細書では、「抗癌剤」という用語は、癌を治療する目的で癌にかかっている被験体に投与する任意の薬剤を意味する。非限定的な例抗癌剤には:放射線治療;免疫療法;DNA損傷化学療法薬;および細胞複製を妨害する化学療法薬が挙げられる。
【0043】
DNA損傷化学療法薬の非限定的な例には、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシンおよびその類似体または代謝物、ならびにドキソルビシン);トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、およびダウノルビシン);アルキル化剤(例えば、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、チオテパ、イホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、デカルバジン(decarbazine)、メトトレキサート、マイトマイシンC、およびシクロホスファミド);DNAインターカレート剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン);DNAインターカレート剤およびフリーラジカル発生剤、例えばブレオマイシン;ならびにヌクレオシド模倣物(例えば、5−フルオロウラシル、カペシチビン(capecitibine)、ゲムシタビン、フルダラビン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、およびヒドロキシ尿素)が挙げられる。
【0044】
細胞複製を妨害する化学療法薬には:パクリタキセル、ドセタキセル、および関連類似体;ビンクリスチン、ビンブラスチン(vinblastin)、および関連類似体;サリドマイドおよび関連類似体(例えば、CC−5013およびCC−4047);タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブおよびゲフィチニブ);プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ);IκBキナーゼの阻害剤を含むNF−κB阻害剤;癌内で過剰発現されたタンパク質に結合し、それによって細胞複製を下方制御する抗体(例えば、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、およびベバシズマブ);ならびにその阻害が細胞複製を下方制御する、癌内で上方制御、過剰発現または活性化されることが知られているタンパク質または酵素の他の阻害剤が挙げられる。
【0045】
上皮成長因子受容体を有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種の医薬的に許容可能な塩と接触させる工程を含む、上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害する方法も提供する。
【実施例】
【0046】
下記の実施例は、その範囲をどのような方法でも限定することなく開示を例示することが意図される。
【0047】
下記の実施例では、以下の略語を使用している:
AcOH 酢酸
CMC−Na カルボキシメチルセルロースナトリウム
DELFIA 解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
FBS ウシ胎仔血清
h 時間
mL ミリリットル
min 分
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PE 石油エーテル
PMSF フェニルメタンスルホニルフルオリド
Py ピリジン
THF テトラヒドロフラン
Tris−Cl ヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩
【0048】
実施例1:(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
化合物1を下記スキームに従って調製した。
【化1】
【0049】
DMF(3mL)中における5−ニトロ−1H−インダゾール(1−a、5g、30.65mmol)、1−(ブロモメチル)−3−フルオロベンゼン(3.76mL、30.65mmol)および炭酸カリウム粉末(4.66g、30.65mmol)の混合物を80℃で3h撹拌し、次いで水(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿物をろ過によって獲得し、さらにシリカゲル上のクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3:1)によって精製して、1−b(5.3g、19.7mmol)を得た。
【0050】
下で、ラネーニッケル(0.53g、湿重量)を1−b(5.3g、19.7mmol)のメタノール(20mL)溶液に加え、混合物を脱ガスし、水素雰囲気下に室温で終夜撹拌した。触媒を注意深くろ過し、ろ液を真空中で濃縮して、1−c(4.65g、19.3mmol)を得た。
【0051】
エタノール中における2−アミノ−4−フルオロ安息香酸(1−d、7.75g、50mmol)とメタンイミドアミドアセテート(15.6g、150mmol)の混合物を還流温度で終夜撹拌し、次いで周囲温度に冷却した。沈殿物をろ過し、真空中で乾燥させて、1−e(8.0g、48mmol)を得た。
【0052】
7−フルオロキナゾリン−4(3H)−オン(1−e、8.0g、48mmol)を濃HSO(24mL)に溶解し、溶液を氷浴中で0℃まで冷却した。次いでHNO(24mL)を上記溶液に1滴ずつ加えて、反応温度を0℃未満に維持した。次いで混合物を100℃までゆっくり加熱し、3日間撹拌した。得られた混合物を周囲温度まで冷却し、氷水に注ぎ込んだ。沈殿物をろ過によって獲得し、次いでAcOH中で再結晶させて、1−f(3.25g、15.53mmol)を得た。
【0053】
下で、金属ナトリウム(0.71g、31mmol)をメタノール(無水物、100mL)に注意深く加え、10分間撹拌して、新鮮なナトリウムメトキシド溶液を調製した。次いで上記溶液に、7−フルオロ−6−ニトロキナゾリン−4(3H)−オン(1−f、3.25g、15.53mmol)を加え、混合物を3h加熱還流した。得られた混合物を周囲温度まで冷却し、HCl(2N)を用いてpH=3〜4まで酸性化した。揮発分を減圧下で除去した。残留物を水に懸濁させ、固体をろ過によって捕集し、真空中で乾燥させて1−g(3.17g、14.4mmol)を得た。
【0054】
DMF(0.5mL)を7−メトキシ−6−ニトロキナゾリン−4(3H)−オン(1−g、1.23g、5.56mmol)のSOCl(8mL)溶液に加え、混合物を4h加熱還流した。揮発分を減圧下で除去して、(1−h、1.2g、5.0mmol)を得た。
【0055】
ジオキサン(40mL)中における4−クロロ−7−メトキシ−6−ニトロキナゾリン(1−h、1.2g、5.02mmol)と1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−アミン(1−c、1.2g、4.98mmol)の混合物を、3h加熱還流した。次いでそれを周囲温度まで冷却した。沈殿物をろ過によって獲得し、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して1−i(1.7g、3.88mmol)を黄色固体として得た。
【0056】
下で、ラネーニッケル(0.13g、湿重量)を1−i(1.5g、3.7mmol)のメタノール(20mL)溶液に加えた。懸濁液を脱ガスし、Hで3回パージし、次いで水素雰囲気下に室温で4h撹拌した。触媒を注意深くろ過して取り除いた。ろ液を真空中で濃縮して1−j(1.36g、3.29mmol)を黄色固体として得た。
【0057】
1−j(1.36g、3.29mmol)とピリジン(0.78g、9.86mmol)のDMF(3mL)溶液に、カルボノクロリド酸フェニル(phenyl carbonochloridate)(1.53g、9.86mmol)を加えた。混合物を室温で1h撹拌した。沈殿物をろ過によって獲得し、乾燥させて1−k(1.40g、2.63mmol)を得た。
【0058】
1−k(1.1g、2.2mmol)、ピリジン(0.2g、2.6mmol)および(3aR,6aR)−1−メチルオクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール(0.33g、2.6mmol)のDMF(3mL)溶液を80℃で1h撹拌し、次いで氷水に注ぎ込み、EtOAc(3×40mL)で抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、NaSO(無水物)で乾燥し、ろ過および濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(EtOAc/メタノール=2:1)によって精製して、化合物1(0.79g、1.4mmol)を得た。MS(m/e):567.1(M+1)
【0059】
実施例2:(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化2】
【0060】
(3aS,6aS)−1−メチルオクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロールを用いた同様の条件下で実施例1の手順に従って化合物2を調製した。MS(m/e):566.8(M+1)
【0061】
実施例3:(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化3】
【0062】
化合物3−a(40g、0.138mol、WO2010002845に開示されている手順に従って調製した)、ピリジン(40mL、0.495mol)およびDMF(無水物、22mL)の無水THF(500mL)溶液に、カルボノクロリド酸フェニル3−b(22mL、0.175mol)を1滴ずつ−10℃で加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿物をろ過し、次いで飽和NaHCO溶液(500mL)に懸濁させた。固体をろ過し、HOおよびEtOAcで洗浄し、真空中で乾燥させて化合物3−c(46g)を得た。ジオキサン(30mL)中における化合物3−c(1g、2.44mmol)と化合物3−d(369mg、2.92mmol)の混合物を70℃で5時間撹拌し、次いで周囲温度まで冷却した。沈殿物をろ過し、EtOAcで洗浄し、真空中で乾燥させて化合物3(0.8g)を得た。MS(m/e):443.4(M+1)
【0063】
実施例4:(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化4】
【0064】
化合物4を実施例2の手順に従って調製した。
MS(m/e):576.9(M+1)
【0065】
実施例5:(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化5】
【0066】
化合物5を実施例1の手順に従って調製した。
MS(m/e):576.7(M+1)
【0067】
実施例6:(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化6】
【0068】
化合物6を実施例2の手順に従って調製した。
MS(m/e):546.8(M+1)
【0069】
実施例7:(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
【化7】
【0070】
化合物7を実施例1の手順に従って調製した。
MS(m/e):546.8(M+1)
【0071】
薬理学的試験
EGFR活性化−阻害試験
細胞の播種および飢餓:10%FBS含有DMEMに希釈したA431(ヒト類表皮癌)細胞を、96ウェルプレートに1.3×10細胞/ウェルで播種し、終夜インキュベートする。次いで、細胞培養培地を、90μL/ウェルの無血清DMEM培地と交換する。飢餓のためにプレートを終夜インキュベートする。
【0072】
化合物の希釈および処理:試験化合物を、FBSを含まない5%DMSO含有培地で3倍系列に希釈する。10μL/ウェルの希釈化合物を細胞に加え、10μL/ウェルの試験化合物を含まない5%DMSOを対照ウェルに加える。各試験ポイントで重複研究(duplicate study)を行う。次いで、5%COインキュベーター内でプレートを37℃で60分間インキュベートする。10μL/ウェルの200ng/mL EGF(Biosource、PHG0064)を加え、5%COインキュベーター内でプレートを37℃で45分間インキュベートする。
【0073】
溶解物の調製:培地を取り除き、100μL/ウェルの50mM Tris−Cl、pH8.0細胞溶解バッファー(0.5M NaCl、0.2mM EDTA、0.1%Triton X−100、1μg/mLアプロチニン、0.75μg/mLロイペプチン、1μg/mLペプスタチン、1mM DTT、500μMバナジン酸ナトリウム、および1mM PMSF含有)を各ウェルに加えて、細胞を溶解する。プロテアーゼ阻害剤を使用直前に加える。細胞溶解物を−80℃で終夜凍結させる。
【0074】
プレートのコーティングおよびブロッキング:PBSに希釈した100μL/ウェルの0.5μg/ml抗EGFR抗体(Perkin Elmer、AF231)を96ウェルDELFIAプレート(Perkin Elmer、AAAND−0001)に加え、緩やかに振盪しながら25℃で終夜インキュベートする。溶液を廃棄する。プレートを200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファー(0.05%Tween−20含有PBSバッファー)で3回洗浄する。200μL/ウェルのブロッキングバッファー(0.137MのNaCl、0.0027MのKCl、0.01MのNaPO・12HO、0.0015MのKHPO、pH7.4、および1%BSAを含有するPBS)を各ウェルに加え、プレートを緩やかに振盪しながら25℃で2hインキュベートする。
【0075】
結合:ブロッキングバッファーを廃棄し、プレートを200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファーで3回洗浄する。80μL/ウェルの試料希釈物(20mM Tris−Cl/pH7.3、150mM NaCl、0.1%のBSA、および0.05%Tween−20)および20μL/ウェルの細胞溶解物を次に各ウェルに加える。プレートを25℃で緩やかに振盪しながらさらに1hインキュベートする。
【0076】
検出:プレートを再度200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファーで3回洗浄する。DELFIAアッセイバッファー(Perkin Elmer、1244−106)中に希釈した100μL/ウェルの0.5μg/ml Eu−PT66抗体(Perkin Elmer、AD0040)を加え、プレートを緩やかに振盪しながら25℃で1hインキュベートする。200μL/ウェルのDELFIA洗浄バッファーで3回洗浄した後、100μL/ウェルのDELFIA強化バッファー(enhancement buffer)(Perkin Elmer、4001−0010)を加える。プレートを緩やかに振盪しながら25℃で30minインキュベートする。
【0077】
読み出し:Victor(PerkinElmer)で蛍光シグナルを340nm励起および620nm発光において測定する。
【0078】
阻害率を以下の通りに計算する:
【数1】
ここで、
[蛍光読み出し値]処理は、EGF刺激後に試験化合物で処理したウェルの読み出し値である。
[蛍光読み出し値]未処理は、細胞バックグラウンド信号として使用する、化合物処理もEGF刺激も行なっていないウェルの読み出し値である。
[蛍光読み出し値]EGFは、最大シグナルとして使用する、EGF刺激を行なったが、化合物処理を行なっていないウェルの読み出し値である。
【0079】
IC50は、XL−Fit2.0ソフトウェアを用いて計算する。
【0080】
化合物1〜7のIC50値は、それぞれ、0.185、0.439、0.006、0.016、0.044、0.210、および0.241μMである。
【0081】
ヒト異種移植モデルのin vivo抗腫瘍試験
1.材料および方法:
ヒト腫瘍細胞系:Fadu(ヒト頭頸部、咽頭癌、HTB−43)、HCC827(ヒト非小細胞肺癌、NSCLC;CRL−2868)、A431(ヒト類表皮癌、CRL−2592)細胞系をATCCから購入した;Fadu、HCC827およびA431細胞をそれぞれEMEM、RPMI 1640およびDMEM培地+10%FBS中で増殖させた。これらの細胞を、加湿インキュベーター中37℃、5%CO下でインキュベートした。
【0082】
動物:無胸腺マウス(6〜8週)をShanghai SLAC laboratory animal CO.LTDから購入した。動物は、標準条件(12:12h明/暗、20〜25℃で40〜50%相対湿度)下でSPF環境、4動物/ケージで飼育し、Co60放射−無菌飼料および無菌水を自由に摂取させた。
【0083】
薬剤:試験化合物を異なる濃度(0.05〜1.0mg/mL)で無菌の0.5%CMC−Na中で配合し、次いで4℃で保存した。
【0084】
腫瘍細胞の皮下移植および抗腫瘍有効性試験:約80%コンフルエントに達するまで、腫瘍細胞を5%COインキュベーター中37℃でインキュベートした。細胞を0.05%トリプシン−EDTAによってはがし、800rpmで遠心分離し、細胞を無血清培地中に懸濁した。ヌードマウス移植のために濃度を調整した。ヌードマウスを移植前に数日間隔離し、培地0.1mL中の3×10FaDuもしくはA431細胞、または培地0.2mL中の5×10HCC827細胞を、ヌードマウスの右側腹部に皮下注射した。
【0085】
接種後1〜3週間の平均腫瘍体積が100〜300mmに達した時、動物を無作為化し、ビヒクルおよび化合物処置グループに分けた。マウスに、ビヒクル、0.5%CMC−Na、または試験化合物のいずれかを1日1回異なる用量レベルで経口投与した。投与容積は10mL/kg体重であった(投与レジメンを表1および表2に示した)。腫瘍体積は、長さおよび幅についてキャリパーで1週間当たり2〜3回測定し、式を用いて計算した:腫瘍体積(TV、mm)=幅×長さ/2。動物の体重および挙動を実験中に観察した。腫瘍増殖阻害を以下のようにして計算した:TGI(%)=100−(T−T)/(C−C)×100%、ここで、Tは、実験中の特定の日の処置グループの平均腫瘍体積を表し、Tは、処置1日目の同じ処置グループの平均腫瘍体積を表し、Cは、実験中の特定の日の対照グループの平均腫瘍体積を表し、Cは、処置1日目の同じ対照グループの平均腫瘍体積を表す。
【表1】
【表2】
【0086】
2.統計的分析:
腫瘍体積データを平均±SDとして表した。多重比較のために一元ANOVAを使用し、ビヒクル対照と比較するためにスチューデントt検定を使用した。差がP<0.05で統計的に有意であることが認められた。
【0087】
3.結果:
試験化合物は、投与量依存的に3つの腫瘍モデルで著しい腫瘍増殖阻害を示した。さらに、試験化合物で処置したどのマウスも実験中に著しい体重減少を示さなかった。
【0088】
実施例3において代表的な試験化合物によってもたらされたTGI(%)を、以下の表に示す。
【表3】
【0089】
hERGアッセイ
1.細胞培養
hERG cDNAで安定にトランスフェクトさせ、hERGチャンネルを発現しているCHO細胞系を研究に使用した。細胞を:
・ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM/F12)
・10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)
・1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシン
・500μg/ml Geneticin(登録商標)試薬(G418)
を含有する培地で培養した。試験前に、Accumax(Innovative Cell Technologies)を用いて細胞を回収した。
【0090】
2.溶液
電気生理学的記録のために、以下の溶液を使用した。
【表4】
【0091】
3.記録システム
EPC10 USB(HEKA)を用いて全細胞記録を行なった。細胞を−80mVの保持電位で電圧を固定した。hERG電流は、+20mVで2秒脱分極することによって活性化させ、その後電流を−50mVに2秒戻して、不活性化を除去し、非活性化された末尾電流を観察する。−50mVにおける第1ステップを、末尾電流ピーク振幅を測定するためのベースラインとして使用した。
【0092】
4.化合物ハンディング(handing)および希釈
化合物を、10mM DMSOストックとしてガラス製バイアル中に調製した。保存溶液を室温で10分間激しく混合した。試験のために化合物を、溶液を用いてガラス製バイアル中に希釈し;希釈液は使用前30分以内に調製した。最終希釈液で等量のDMSO(0.1%)が存在した。
【0093】
5.電気生理学手順
全細胞構造(whole-cell configuration)を達成した後、細胞を90秒モニターして安定性を評価し、外液(external solution)で66秒洗浄した。次いで上記の電圧プロトコルを、全手順の間中20秒毎に細胞に適用した。閾値より大きいパラメーターを記録した安定な細胞だけを、薬物添加手順に入ることを認めた。
【0094】
0.1%DMSO(ビヒクル)を含有する外液を細胞に適用して、ベースラインを確立した。電流を3分間安定化させた後、化合物を適用した。化合物溶液を4ステップで加え、化合物の効果が定常状態に達するまで、または最大6min、細胞を試験溶液中に保持した。続いて、陽性対照(100nMシサプリド)を加えた。電流の回復が定常状態に達するまで外液でウォッシュアウトを行なった。
【0095】
6.データ分析
PulsefitおよびOrigin 7(Originlab Corporation)を用いてデータを分析した。
【0096】
7.結果
化合物3は、マニュアル全細胞パッチクランプアッセイを用いてIC50 9.3±1.2μM(5つの濃度、5×2)でhERG末尾電流を阻害した。

本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
[2]
少なくとも1種の医薬的に許容可能な担体ならびに
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩
を含む医薬組成物。
[3]
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療する方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の、
(3aR,6aR)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(1−(3−フルオロベンジル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−エチニルフェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチル−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−7−メトキシキナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;
(3aS,6aS)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド;および
(3aR,6aR)−N−(4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル)−1−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキサミド
から選択される少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩を投与する工程を含む、方法。
[4]
前記癌が、肺癌、特に非小細胞肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、上記[3]に記載の方法。
[5]
前記その被験体に有効量の抗癌剤を投与する工程をさらに含み、該抗癌剤が、上記[1]に記載の前記少なくとも1種の化合物、および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と異なる、上記[3]に記載の方法。
[6]
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害する方法であって、上皮成長因子受容体を有効量の上記[1]に記載の少なくとも1種の化合物、および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩と接触させる工程を含む、方法。
[7]
癌を治療するための医薬品の調製における上記[1]に記載の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩の使用。
[8]
前記癌が、肺癌、特に非小細胞肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、上記[7]に記載の使用。
[9]
上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性を阻害するため、または上皮成長因子受容体の過剰発現および/または過剰活性の阻害に応答する癌を治療するための、上記[1]に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。
[10]
前記癌が、肺癌、特に非小細胞肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、咽頭癌、類表皮癌、および膵癌から選択される、上記[9]に記載の少なくとも1種の化合物および/または少なくとも1種のその医薬的に許容可能な塩。