特許第5736453号(P5736453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5736453粒子撮像デバイスにおける測定精度を上げるための装置、システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736453
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】粒子撮像デバイスにおける測定精度を上げるための装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/00 20060101AFI20150528BHJP
   G01N 15/14 20060101ALI20150528BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   G01N15/00 A
   G01N15/14 B
   G01N15/14 D
   G01N21/64 F
【請求項の数】17
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-518628(P2013-518628)
(86)(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公表番号】特表2013-533975(P2013-533975A)
(43)【公表日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】US2011042317
(87)【国際公開番号】WO2012012163
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】12/827,800
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500174502
【氏名又は名称】ルミネックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ウェイン,デニス
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,マシュー,エス
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−317261(JP,A)
【文献】 特開2007−114130(JP,A)
【文献】 特開2006−189258(JP,A)
【文献】 特開平03−255365(JP,A)
【文献】 特開2007−140322(JP,A)
【文献】 特開2001−211896(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/061710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00−15/14
G01N 21/00−21/958
G01N 33/48−33/98
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子測定デバイスにおける測定精度を上げるための方法であって、この方法は、
光源を用いて第1粒子および第2粒子に照明するステップと、
前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップであって、測定した前記第2粒子からの光は、測定した前記第1粒子からの光と、重複領域において少なくとも部分的に重複する、ステップと、
測定された前記光に基づいて、前記第1粒子および前記第2粒子の輝度の各ピークを特定するステップと、
既知のパラメータ及び測定したパラメータに基づいて前記第2粒子から放出された光の予測分布を算出するステップであって、前記既知のパラメータは前記第2粒子の半径であり、前記測定したパラメータは、前記第2粒子のピーク輝度である、ステップと、
前記測定された光の輝度から前記予測分布の輝度を差し引き、前記第1粒子より放出された光の輝度を特定するステップ、
とから構成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップは、CCD検出器によって行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップは、CMOS検出器によって行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップは、量子ドット検出器によって行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予測分布はガウス分布である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1粒子の測定を捨てるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
特定のコンピュータによって実行される際、前記コンピュータが以下の動作を行ようにするコンピュータ読取り可能コードを備えた有形のコンピュータ読取り可能媒体あって、前記動作が、
光源を用いて第1粒子および第2粒子に照明するステップと、
前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップであって、測定した前記第2粒子からの光は、測定した前記第1粒子からの光と、重複領域において少なくとも部分的に重複する、ステップと、
測定された前記光に基づいて、前記第1粒子および前記第2粒子の輝度の各ピークを特定するステップと、
既知のパラメータ及び測定したパラメータに基づいて前記第2粒子から放出された光の予測分布を算出するステップであって、前記既知のパラメータは前記第2粒子の半径であり、前記測定したパラメータは、前記第2粒子のピーク輝度である、ステップと、
前記測定された光の輝度から、前記予測分布の輝度を差し引き、前記第1粒子より放出された光の輝度を特定するステップを含む、有形のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項8】
特定のコンピュータによって実行される際、前記コンピュータが動作を行なうようにする読取り可能コードをさらに備え、前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップは、CCD検出器を使用して行なわれる、請求項に記載の有形のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項9】
特定のコンピュータによって実行される際、前記コンピュータが動作を行なうようにする読取り可能コードをさらに備え、前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップはCMOS検出器を使用して行なわれる、請求項に記載の有形のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項10】
特定のコンピュータによって実行される際、前記コンピュータが動作を行なうようにする読取り可能コードをさらに備え、前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するステップは量子ドット検出器を使用して行なわれる、請求項に記載の有形のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項11】
特定のコンピュータによって実行される際、前記コンピュータが動作を行なうようにする読取り可能コードをさらに備え、前記予測分布はガウス分布である、請求項に記載の有形のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項12】
特定のコンピュータによって実行される際、前記コンピュータが動作を行なうようにする読取り可能コードをさらに備え、前記第1粒子の測定を捨てるステップを含む、請求項に記載の有形のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項13】
光学分析システムであって、
第1粒子および第2粒子を照明するように構成された光源と、
前記第1粒子および前記第2粒子によって放出された光を測定するように構成された光検出器であって、測定した前記第2粒子からの光は、測定した前記第1粒子からの光と、重複領域において少なくとも部分的に重複する、光検出器と、
前記光検出器に結合されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
測定された前記光に基づいて、前記第1粒子および前記第2粒子の輝度の各ピークを特定し、
既知のパラメータ及び測定したパラメータに基づいて前記第2粒子から放出された光の予測分布を算出し、前記既知のパラメータは前記第2粒子の半径であり、前記測定したパラメータは、前記第2粒子のピーク輝度であり、
前記測定された前記光の輝度から前記予測分布の輝度を差し引き、前記第1粒子より放出された光の輝度を特定する
うに構成されることを特徴とする光学分析システム。
【請求項14】
前記光検出器はCCD検出器である、請求項13に記載の光学分析システム。
【請求項15】
前記光検出器はCMOS検出器である、請求項13に記載の光学分析システム。
【請求項16】
前記光検出器は量子ドット検出器である、請求項13に記載の光学分析システム。
【請求項17】
前記プロセッサがさらに、前記第1粒子の測定を捨てるように構成される、請求項13に記載の光学分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ処理のための方法およびシステムに関する。一部の実施形態は、粒子の画像を処理するために1つまたは複数のステップを実施するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電荷結合素子(CCD)検出器などの検出器を使用する撮像作業が、生物工学用途で使用されている。一部の用途では、CCDは、特定の光源に応答して粒子が発した蛍光性の光を測定するように構成されている。粒子は特定の蛍光物質がどのくらい存在するかによって、異なる輝度の蛍光発光を有することができる。蛍光物質の量は、複数の条件を示す可能性がある。例えば蛍光発光の大きさは、特定の物質の有無、あるいは粒子による特定の物質の吸収を示す場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
粒子撮像デバイスにおける測定精度を上げるための方法が提示されている。一実施形態において方法は、第1粒子が発した光を測定するステップと、第2粒子が発した光を測定するステップを含むことができ、この場合第2粒子から測定した光は、重複領域において第1粒子から測定した光の少なくとも一部に重なる。いくつかの実施形態において方法は、重複領域における第1粒子からの光の寄与率を特定するステップと、重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定するステップを含むことができる。これに加えて方法は、第1粒子からの光の寄与率から第2粒子からの光の寄与率を引くステップと、第1粒子が発した光の輝度を特定するステップを含むことができる。
【0004】
いくつかの実施形態において、第1粒子および第2粒子が発した光を測定するステップは、二次元CCD検出器を使用して行なうことができる。いくつかの実施形態において、光検出器は、CMOS検出器または量子ドット検出器であってよい。またいくつかの実施形態において、重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定するステップは、第2粒子からの光のガウス分布を計算するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、第2粒子から測定した光の少なくとも一部は、第1粒子から反射されている。重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定するステップは、第1粒子から反射された第2粒子からの光を計算するステップを含むことができる。これに加えて、第2粒子からの光の寄与率を特定するステップは、第1粒子と第2粒子の間の距離を測定するステップを含むことができる。第2粒子から測定された光の量を特定するステップは、第2粒子の輝度を測定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、第1粒子の測定を捨てるステップを含むことができる。
【0005】
また粒子測定デバイスにおける測定精度を上げるための方法も提示されている。いくつかの実施形態において、方法は、第1粒子が発した光を測定するステップと、第2粒子によって放出された光を測定するステップを含むことができ、この場合第2粒子が発した光の少なくとも一部は、第1粒子から反射される。方法はまた、第1粒子から反射された第2粒子からの光の寄与率を特定するステップと、および/または第1粒子の測定を捨てるステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1粒子から反射された第2粒子からの光の寄与率が、所定の値を超えた場合、第1粒子の測定を捨てることができる。いくつかの実施形態において、第1粒子から反射された第2粒子からの光の寄与率を特定するステップは、第1粒子と第2粒子の間の距離を測定するステップを含んでいる。これに加えて、方法は、2つの粒子間の相対的な輝度を特定するステップを含むことができる。
【0006】
特定のコンピュータによって実行される際、このコンピュータが動作を行うようにするコンピュータ読取り可能コードを備えた有形のコンピュータ読取り可能媒体も提示されている。いくつかの実施形態において、この動作は、第1粒子が発した光を測定するステップと、第2粒子が発した光を測定するステップを含むことができ、この場合第2粒子から測定した光は、重複領域において第1粒子から測定した光の少なくとも一部に重なる。またこの動作は、重複領域における第1粒子からの光の寄与率を特定するステップおよび/または重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、動作は、第1粒子からの光の寄与率から第2粒子からの光の寄与率を引くステップと、第1粒子が発した光の輝度を特定するステップを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1粒子および第2粒子が発した光を測定する動作は、CCD検出器、CMOS検出器および/または量子ドット検出器を使用して行なうことができる。またこの動作は、重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定するステップを含むことができ、このステップは、第2粒子からの光のガウス分布を計算するステップを含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、第2粒子から測定した光の少なくとも一部は、第1粒子から反射される。いくつかの実施形態において、重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定する動作は、第1粒子から反射される第2粒子からの光を計算するステップを含むことができる。第2粒子からの光の寄与率を特定する動作は、第1粒子と第2粒子の間の距離を測定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、第2粒子から測定した光の量を特定する動作はさらに、第2粒子の輝度を測定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、この動作は、第1粒子の測定を捨てるステップを含むことができる。
【0009】
また光学的な分析システムも提示されている。いくつかの実施形態において、システムは、第1粒子が発した光と、第2粒子が発した光を測定するように構成された光検出器を含むことができ、この場合、第2粒子から測定した光は、重複領域において第1粒子から測定した光の少なくとも一部に重なる。これに加えて、システムは、光検出器に結合されたプロセッサを含むことができ、この場合プロセッサは、重複領域における第1粒子からの光の寄与率を特定し、重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定するように構成されている。プロセッサはまた、第1粒子からの光の寄与率から第2粒子からの光の寄与率を引き、第1粒子が発した光の輝度を特定するように構成されてよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、光検出器は、CCD検出器、CMOS検出器および/または量子ドット検出器であってよい。またプロセッサは、第2粒子からの光のガウス分布を計算することで、重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定するように構成することができる。これに加えてプロセッサは、第1粒子から反射された第2粒子からの光を計算するように構成することができ、重複領域における第2粒子からの光の寄与率を特定することができる。いくつかの実施形態において、プロセッサはさらに第1粒子と第2粒子の距離を測定することで、第2粒子からの光の寄与率を特定するように構成することができる。またプロセッサは、第2粒子の輝度を測定することで、第2粒子から測定した光の量を特定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、第1粒子の測定を捨てるように構成される場合もある。
【0011】
また粒子撮像デバイスにおける測定精度を上げるための方法も提示されている。いくつかの実施形態において、方法は、第1光源を使用して粒子に光を当てるステップと、光検出器を使用して、第1光源に応答して粒子が発した光の第1測定を取得することによって第1画像を形成するステップを含むことができる。方法はまた、この第1画像を補間することによって第2画像を形成するステップを含むことができ、この場合第2画像は、第1画像より高い解像度を有する。これに加えて、方法は、第2画像において粒子の中心を特定するステップを含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、方法は、第2画像を統合することによって、粒子の輝度を特定するステップを含むことができる。これに加えて方法は、光の第1測定の解析的な表示を形成するステップと、この解析的な表示を統合することによって粒子の輝度を特定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、第2画像のピクセルと、予測分布との間の差を特定するステップと、この差が所定の閾値を超えた場合、光の第1測定を捨てるステップを含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、予測分布は、ガウス分布であってよい。方法はまた、第2光源によって粒子に光を当てるステップと、光検出器を使用して、第2光源に応答して粒子が発した光の第2測定を取得することによって、第3画像を形成するステップを含むことができる。これに加えて方法は、第3画像において粒子の中心を特定するステップと、第2画像における粒子の中心と、第3画像における粒子の中心の間に位置する差を特定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、この差に応答する第2画像と第3画像の偏差を計算するステップを含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、方法は、第1画像と第3画像の位置を合わせるステップを含むことができる。方法はまた、複数の粒子を使用して第2画像と第3画像の間の偏差を計算するステップを含むことができる。
【0015】
特定のコンピュータによって実行される際、このコンピュータが動作を行なうようにするコンピュータ読取り可能コードを備える有形のコンピュータ読取り可能媒体も提示されている。いくつかの実施形態において、この動作は、第1光源を使用して粒子に光を当てるステップと、光検出器を使用して第1光源に応答して粒子が発した光の第1測定を取得することによって、第1画像を形成するステップを含むことができる。これに加えて、動作は、第1画像を補間することによって第2画像を形成するステップであって、この場合第2画像は、第1画像より高い解像度を有するステップと、第2画像において粒子の中心を特定するステップを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、動作は、第2画像を統合することによって粒子の輝度を特定するステップを含むことができる。また動作は、光の第1測定の解析的な表示を形成するステップと、この解析的な表示を統合することによって粒子の輝度を特定するステップを含むこともできる。また動作は、第2画像のピクセルと、予測分布の間の差を特定するステップと、この差が所定の閾値を超えた場合、光の第1測定を捨てるステップを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、予測分布はガウス分布である。また動作は、第2光源によって粒子に光を当てるステップと、光検出器を使用して、第2光源に応答して粒子が発した光の第2測定を取得することによって第3画像を形成するステップ、および/または第3画像において粒子の中心を特定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、動作は、第2画像における粒子の中心と、第3画像における粒子の中心の間に位置する差を特定するステップ、および/またはこの差に応答する第2画像と第3画像の偏差を計算するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、動作は、第1画像と第3画像の位置を合わせるステップを含むことができる。また動作は、複数の粒子を使用して第2画像と第3画像の間の偏差を計算するステップを含むことができる。
【0018】
また光学的な分析システムも提示されている。いくつかの実施形態においてシステムは、第1光源に応答して粒子が発した光を測定するように構成された光検出器と、この光検出器に結合されたプロセッサを含むことができる。プロセッサは、光の第1測定を取得することによって第1画像を形成し、この第1画像を補間することによって第2画像を形成するように構成することができ、この場合第2画像は、第1画像より高い解像度を有する。プロセッサはまた、第2画像における粒子の中心を特定するように構成することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、第2画像を統合することによって粒子の輝度を特定するように構成することができる。これに加えてプロセッサは、光の第1測定の解析的な表示を形成するステップと、この解析的な表示を統合することによって粒子の輝度を特定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、プロセッサはさらに、第2画像のピクセルと、予測分布との間の差を特定し、この差が所定の閾値を超えた場合、光の第1測定を捨てるように構成される。いくつかの実施形態において、予測分布はガウス分布である。
【0020】
いくつかの実施形態において、プロセッサはさらに、第2光源によって粒子に光を当てるおよび/または光検出器を使用して、第2光源に応答して粒子が発した光の第2測定を取得することによって第3画像を形成するように構成することができる。これに加えてプロセッサは、第3画像において粒子の中心を特定し、第2画像における粒子の中心と、第3画像における粒子の中心の間に位置する差を特定する、および/またはこの差に応答する第2画像と第3画像の間の偏差を計算するように構成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、プロセッサはさらに、第1画像と第3画像の位置を合わせるように構成することができる。これに加えてプロセッサはさらに、複数の粒子を使用して第2画像と第3画像の間の偏差を計算するように構成することができる。いくつかの実施形態においてプロセッサは、第1画像と第3画像の間の偏差を計算するように構成することができる。
【0022】
用語「結合された(coupled)」は、接続された状態と定義されているが、必ずしも直接的である必要はなく、また機械的である必要もない。
【0023】
用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本開示がはっきりとそうでないことを要求しない限り、1つまたは複数と定義される。
【0024】
用語「実質的に(substantially)」およびその変形は、大部分という意味で定義されているが、これは当業者によって理解されるように特定されるものの全体である必要はなく、1つの非制限的な実施形態では「実質的に」とは、特定されるものの10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内、より好ましくは1%の範囲内、最も好ましくは0.5%の範囲内を指している。
【0025】
用語「備える(comprise)」(および「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」などのいずれの形態の備えるも)、「有する(have)」(および「有する」(has)および「有している」(having)などのいずれの形態の有するも)、「含む(include)」(「含む」(includes)および「含んでいる(including)」などのいずれの形態の含むも)および「包含する(contain)」(および「包含する(contains)」および「包含している(containing)」などのいずれの形態の包含するもの)は、開放型の連結動詞である。結果として、1つまたは複数のステップまたは要素を「備える」、「有する」、「含む」または「包含する」方法またはデバイスは、1つまたは複数のステップまたは要素を所有するが、但しこれらの1つまたは複数の要素のみを所有するように限定されない。同様に1つまたは複数の特徴を「備える」、「有する」、「含む」または「包含する」方法のステップまたはデバイスの要素は、1つまたは複数の特徴を所有するが、これらの1つまたは複数の特徴のみを所有するように限定されない。さらに特定の方法で構成されたデバイスまたは構造体は、少なくともその方法において構成されるが、列挙されない方法で構成される場合もある。
【0026】
他の特徴および関連する利点は、添付の図面に関連する以下の特定の実施形態の詳細な記載を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の図面は、本明細書の一部を形成しており、本発明の特定の態様をさらに例示する目的で含まれている。本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な記載に関連してこのような図面の1つまたは複数を参照することによって、本発明をより適切に理解することができる。
【0028】
図1】撮像サイトメトリー用のシステムの一実施形態を示す概略ブロック図である。
図2A】2つの近くにある粒子の光の分布を示すグラフである。
図2B】2つの近くにある粒子の光の分布を示すグラフである。
図3】CCD検出器によって取得した複数の粒子の測定である。
図4A】CCD検出器によって取得した1つの粒子の測定である。
図4B図4Aに示される測定を三次元グラフィックアートによって表示したものである。
図5A図4Aに示される粒子の補間後の画像である。
図5B図5Aに示される粒子を三次元グラフィックアートによって表示したものである。
図6A】いくつかの粒子が共に接近した場合の複数の粒子の測定である。
図6B図6Aに示される測定した粒子に基づいた補間後の画像を三次元グラフィックアートによって表示したものである。
図7】2つの近くにある粒子の光の分布を示すグラフである。
図8】一方の粒子の光の寄与率を別の光の寄与率から引くための方法を表すフローチャートである。
図9】画像サイトメトリー測定の精度を上げるための方法を表すフローチャートである。
図10】サイトメトリー画像においてバックグラウンド信号の輝度を特定するための方法を表すフローチャートである。
図11A】CCD検出器の出力を表す行列である。
図11B】データ操作で使用されるステップを示す行列である。
図11C】データ操作で使用されるステップを示す行列である。
図11D】データ操作で使用されるステップを示す行列である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
様々な特徴および有利な詳細が、非限定的な実施形態を参照してより完全に説明されており、これらの実施形態は添付の図面に示されており、以下の記載において詳細が記載されている。よく知られた出発原料、処理技術、構成要素および装備の記載は、本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないために省略されている。しかしながらこの詳細な記載および特定の例は、本発明の実施形態を示しており、これは例示する目的であって、限定する目的では提示されていないことを理解されたい。根底を成す進歩的な概念の精神および/または範囲内にある多様な代替形態、修正形態、追加部分および/または再構成が、本開示から当業者に明らかになるであろう。
【0030】
粒子に関して複数の実施形態が本明細書に記載されているが、本明細書に記載されるシステムおよび方法はまた、マイクロスフェア、ポリスチレンビーズ、微小粒子、金ナノ粒子、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、ナノシェル、ビーズ、マイクロビーズ、ラテックス粒子、ラテックスビーズ、蛍光ビーズ、蛍光粒子、カラー粒子、カラービーズ、組織、細胞、微生物、有機物、無機物または当分野で知られた任意の他の別個の物質と共に使用することもできることを理解されたい。粒子は、分子反応のための伝達手段として機能することができる。適切な粒子の例は、Fultonに対する米国特許第5,736,330号、Chandler等に対する米国特許第5,981,180号、Fultonに対する米国特許第6,057,107号、Chandler等に対する米国特許第6,268,222号、Chandler等に対する米国特許第6,449,562号、Chandler等に対する米国特許第6,514,295号、Chandler等に対する米国特許第6,524,793号、Chandlerに対する米国特許第6,528,165号に示され記載されており、これらはあたかも本明細書に完全に記載されるように参照によって組み込まれている。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、これらの特許に記載されるいずれかの粒子と共に使用することができる。加えて、本明細書に記載される方法およびシステムの実施形態で使用する粒子は、テキサス州、オースティン、Luminex社などの製造元より入手することができる。用語「粒子」、「ビーズ」および「マイクロスフェア」は本明細書において相互に入れ替えて使用することができる。
【0031】
加えて、本明細書に記載されるシステムおよび方法に適合可能な粒子の種類には、粒子の表面にくっついた、または粒子の表面に結合した蛍光物質を有する粒子が含まれる。このような種類の粒子は、蛍光染料または蛍光粒子が粒子の表面に直接結合することで蛍光(すなわち測定した、特定の粒子の同一性を特定する、または特定の粒子が属する部分集合の同一性を特定するために使用した蛍光発光)の分類を供給し、このような粒子は、Chandler等に対する米国特許第6,268,222号およびChandler等に対する米国特許第6,649,414号に示され記載されており、これらはあたかも本明細書に完全に記載されるように参照によって組み込まれている。また本明細書に記載される方法およびシステムで使用することができるこのような種類の粒子には、粒子の中核に1つまたは複数の蛍光色素または蛍光染料が組み込まれた粒子が含まれる。
【0032】
本明細書に記載される方法およびシステムで使用することができる粒子にはさらに、1つまたは複数の適切な光源に曝されると、それ自体が1つまたは複数の蛍光信号を呈する粒子が含まれる。さらに粒子は、励起されると粒子が、多様な蛍光信号を呈するように作製される場合もあり、この信号をそれぞれ個別にまたは組み合わせて使用して粒子の同一性を特定することができる。以下に記載するように画像データ処理作業は、とりわけ複合検体流体のための粒子の分類、ならびに粒子に結合した検体の量の特定を含むことができる。特定のレポ−タ信号が粒子に結合した検体の量を表しており、この信号は、典型的には動作中は認識されないため、分類された波長または波長帯だけではなく、レポ−タ波長または波長帯にも蛍光を発する特別に染色された粒子が本明細書に記載される工程で使用される場合もある。
【0033】
本明細書で記載される方法は一般に、粒子の1つまたは複数の画像を分析するステップと、この画像から測定したデータを処理することで粒子の1つまたは複数の特徴、これに限定するものではないが、多様な検出波長における粒子の蛍光発光の大きさを表す数値などを特定するステップを含んでいる。例えば1つまたは複数のこの数値を使用して粒子が属する多重の部分集合を表すトークンIDおよび/または存在を表すレポータ値および/または粒子の表面に結合した検体の量などの粒子の1つまたは複数の特徴のその後の処理作業は、Fultonに対する米国特許第5,736,330号、Chandler等に対する米国特許第5,981,180号、Chandler等に対する米国特許第6,449,562号、Chandler等に対する米国特許第6,524,793号、Chandlerに対する米国特許第6,592,822号、Chandler等に対する米国特許6,939,720号、米国特許公開第2007/0064990号に記載される方法によって行なうことができ、これらはあたかも本明細書に完全に記載されるように参照により組み込まれている。一例において、Chandler等に対する米国特許第5,981,180号に記載される技法を、本明細書に記載される蛍光測定と共に粒子が、単一サンプルにおける多様な検体を分析するための部分集合に分類されるマルチプレックス式スキームにおいて使用することができる。一実施形態において本明細書に記載される方法は、MagPix分子診断機器で使用することができる。MagPixは、数千個の不規則に分散した磁気ビーズの蛍光輝度を測定する自動画像処理ソフトウェアを備えた蛍光マイクロスコープである。
【0034】
ここで図面に戻ると、図1は、撮像サイトメトリーのためのシステム100を示している。図1は、現在、縮尺通りに描かれているが、このシステムの詳細を不明瞭にしないために、システムの一部の要素は示されていないことに留意されたい。
【0035】
システムは、1つまたは複数の粒子110を有することができる撮像チャンバ102を有する。図1に見られるように、粒子110は、撮像チャンバ102に沿って均一に分散される訳ではないため、粒子の集合112などいくつかの粒子が共に接近している。いくつかの実施形態において、粒子は不規則に分散される。したがってより多くの粒子が撮像チャンバ102上に存在する程、2つの粒子がより接近する可能性が高くなる。図1はまた、第1光源104と第2光源106を示しており、この場合光源は、撮像チャンバ116上にある粒子110に光を当てるように構成されている。いくつかの実施形態において、このような光源は発光ダイオード(LED)であってよい。第1光源104は、第2光源106とは異なる色(または発せられる光の波長)を有することができる。光線114は、第1光源104が発する光を表している。光線114はこのとき、粒子110に光を当てることができ、この粒子は蛍光発光することができる。粒子110によって形成された蛍光性の光はその後、光検出器108に向けて発することができる。図1の光線116は、粒子110が発した蛍光性の光を表している。
【0036】
光検出器108は、粒子110が発した蛍光性の光を検出するように構成されている。光検出器は、CCD検出器、CMOS検出器、量子ドット検出器、あるいは他の検出器であってよい。いくつかの実施形態では、ノイズが少なく高い解像度を有する光検出器108が有益である。CCD検出器は、二次元画像を形成するピクセルの二次元アレイであってよい。例えばこの用途で使用することができるCCD検出器は、KodakのKAI−4021である。
【0037】
一部のケースでは、2つ以上の粒子が共に接近している場合もある。このような場合、光検出器108で測定した光が共に接近する場合があり、さらには重なり合う場合もある。したがって2つ以上の粒子が共に接近するような場合では、2つの異なる粒子から光を測定するピクセルが存在する場合がある。システムの測定精度を上げるための取り組みにおいて、各々の粒子からの光の寄与率を特定するため、2つの異なる粒子からの光の重複を引くことができる。あるいは重複が検出された後、重なり合う粒子の測定を捨てる場合もある。
【0038】
光検出器108は、プロセッサ118に結合される。プロセッサは、CCD検出器から生データを取得し、このデータを処理することで粒子110に関して有益なデータを取得するように構成されている。いくつかの実施形態において、プロセッサは、必要なメモリ、データ記憶装置および入力/出力デバイスを備えた専用プロセッサであってよい、あるいはそれは、本明細書に記載される機能を果たすようにプログラムされたパーソナルコンピュータであってよい。このプロセッサによって使用されるデータ記憶装置は、ハードドライブ、光学ドライブまたはフラッシュメモリデバイスなどの有形の記憶媒体である。入力/出力デバイスは、ユーザの情報を出力するモニタであってよい、あるいはイーサネット(登録商標)制御装置などの通信装置であってよく、この装置によって、粒子110に関して集めた情報を離れた場所に送信することが可能になる。加えてプリンタを使用してデータを有形の形態で出力することもできる。
【0039】
図2Aに戻ると、2つの粒子が発した光が一次元で示されている。粒子202からの光のピークと、粒子204からの光のピークが存在する。この例において、粒子202からの光の輝度は、粒子204からの光の輝度よりも有意に高い。しかしながら2つの粒子はわずかに重なり合い、粒子202からの光は、粒子204から測定された光に寄与している。いくつかの実施形態において、粒子204に属する光を、粒子202に属する光から引くことができる。したがって粒子202に関する測定を、粒子204がない場合の粒子の測定により近づけることができる。この方法の1つの利点は、複数の粒子を正確に測定することができることにより、システム全体の精度が上がることである。
【0040】
図2Bに戻ると、このグラフもまた、共に接近する2つの粒子が発した光を示している。しかしながら粒子206の輝度は、粒子208からの光の輝度と相対的に同様である。この図から見られるように、このような2つの粒子の間には有意により多くの重複があり、粒子208から粒子206への光の寄与率の特定が、より難しくなりうる。このような状況では、これらの粒子に関する2つの測定を捨てることができる。あるいは他の粒子による影響を最も受けない粒子の測定されたピークと勾配に基づく標準的なガウス分布を使用して、粒子の分布を概算することもできる。例えば粒子206のピークおよび/または粒子206の左勾配を使用して、粒子206の予測される分布を概算することができる。その後この予測分布を使用することで、粒子206のピークの両側にある測定された光(これは粒子208からの光を含む)を測定するのではなく、粒子206が発した光の輝度を特定することができる。粒子208でも同様の(但し鏡像)過程を使用することで、粒子206が寄与しない粒子208の輝度を特定することができる。隣接する粒子の寄与率を引くことによって複数の粒子を測定することができ、それによってシステムの精度を上げることができる。
【0041】
図3に戻ると、CCD検出器を使用したいくつかの粒子の測定が示されている。例えば粒子302と粒子304があり、これらの粒子は重複領域306において重複している。本明細書に記載される方法を使用することで、粒子302と304が共に接近しているにも関わらず、これらの粒子を正確に測定することができる。
【0042】
図3はまた別の状況も示しており、この場合一方の粒子がピクセルに対して光を与え、別の粒子からの光を測定することができる。粒子308および310は、その中心付近の白点から分かるように比較的明るい粒子である。粒子308と310の間に別の粒子312があるが、粒子312はこれらの粒子に比べてはるかに薄暗い。粒子312の一態様は、周辺部より中心の方が薄暗いことである。典型的には粒子がほぼ円形である場合、測定した光は、中心が最も明るくなる。しかしながら粒子312では、粒子308および310に最も近い縁部が、粒子312の中心よりも明るくなる。粒子312の縁部で測定されたこの光は、粒子308および310からの反射または屈折によって生じている。粒子312によって実際に生成された光の正確な測定を得るには、粒子308および310からの寄与率を引かなければならない。反射からの光の寄与率を引く1つの方法は、近くの粒子の表面から反射することが予測される光の量を計算することである。いくつかの実施形態において、予想される光の計算方法は、近くの粒子の距離を測定するステップを含んでいる。図3では、粒子308が粒子312に近づく程、粒子312の表面からより多くの光が反射されると予測される。また粒子308が明るくなる程、粒子312の表面からより多くの光が反射されると予測される。懸濁媒体または粒子の材料およびサイズなどの他のパラメータが、どのくらいの光が反射されるかということに影響を与える場合があるため、これらのパラメータを使用することで、粒子の表面から反射されると予測される光の量を計算することができる。
【0043】
粒子の表面から反射される光の他に、光が粒子を通り抜けて、あるいは粒子の表面を通り抜けて屈折する場合もある。粒子と懸濁媒体で屈折率が異なる場合があるため、光は特定の角度で粒子に進入し、別の角度で出ていく可能性がある。したがって粒子308からの光は、実質的に粒子312に向かって進み、粒子312を通り抜けて屈折し、光検出器108で終わることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、さらに高い輝度を有する粒子に近接することが理由で粒子が捨てられる場合がある。粒子308と312の間が近接しており、その輝度に比較的大きな差があることから、粒子312は測定から捨てられる場合がある。誤差があると分かっている測定を捨てることによって、システム全体の精度を改善することができる。いくつかの実施形態において、特定の表を使用して、測定を捨てる必要がある場合を特定することができる。隣接する粒子から離れる程、特定の粒子の測定が捨てられないうちは、より強力になる。全方向性の放熱器が発する輝度は、この距離の2乗のペースで降下するため、隣接する粒子が許容できる輝度は、距離の2乗だけ増大し得る。表1は、距離と輝度の間の関係の一例を示しており、これを使用して、特定の粒子を捨てる必要がある場合を特定することができる。輝度の段階は、単に相対語で示されるだけであり、光の輝度の実際の単位を表している。表1の値の関係は、光の予測される放散と、距離の1/r^2に従っている。例えば20ピクセル離れた粒子を捨てるための閾値は、10ピクセル離れた粒子を捨てるための閾値の4倍である。この表は、一例であって限定するものではない。
【0045】
【表1】
【0046】
いくつかの実施形態において、輝度と距離の他の関係を利用して、粒子の測定を捨てる必要があるかどうかが特定される場合もある。例えば表2は、測定を捨てるのに使用することができる相対的な輝度を示している。この例において、輝度(相対語でも示される)は、経験的に導き出すことができ、個々のピクセルの差の生データを表すことができる。例えば6ピクセル離れた特定の粒子の個々のピクセル値が、対象の粒子のピークピクセルより7000「単位」大きい場合、隣接する粒子の輝度が、測定にマイナスの影響を与える恐れがあるため、対象の粒子は捨てることができる。またこの例において、対象の粒子のピークピクセルから4ピクセルの距離内にあるいずれの隣接するピクセルも、そのような近くのピクセルは、対象の粒子それ自体の大きさの範囲内にあると仮定されるために無視される。また例えばピクセル距離に対するピークが20ピクセル離れている場合、それぞれの輝度の間の差に関わらず、いずれも捨てる必要はない。
【0047】
【表2】
【0048】
いくつかの実施形態では、個々の粒子を測定することができ、この測定を処理することで、測定の精度を上げることができる。図4Aは、CCD検出器を使用した粒子の測定からの生データを示す図である。この図は、11ピクセル×11ピクセルであり、1つの粒子を示している。粒子の中心はおおまかに見分けることができるが、この中心の精度は、せいぜい1ピクセルか1/2ピクセルであり得る。この画像は、光源104によって粒子に光を当てることによって形成されている。粒子110は、粒子の内部または粒子の表面のいずれかに蛍光物質を有することができる。光源104からの光114によって、蛍光物質が蛍光し、光116を発することができる。光116はその後、光検出器108によって検出することができる。光検出器は、CCD検出器であってよく、この光検出器はその後、プロセッサ118に情報を伝送することができる。図4Aに示される情報は生データであり、光検出器108によって形成された、何らかの処理が行なわれる前の情報を指している。プロセッサ118がこの生データを取得し、このデータを操作することで有益な出力、粒子に含まれる物質に関連する情報などを形成する。いくつかの実施形態において、プロセッサは、2つ以上のプロセッサであってよい。例えば図1に示されるように、光検出器108は、一部の処理作業と、プロセッサ118への情報の伝達を行なう1つのプロセッサを有することができる。プロセッサ118はその後、この情報を取得し、さらに加工することによって有効な出力を形成することができる。
【0049】
図4Bは、図4Aで測定した粒子を三次元グラフィックアートによって表現したものを示している。図4Bに見ることができるように粒子の輝度は、粒子の中心において明らかに高くなっているが、粒子の実際の位置は、容易に測定されない。
【0050】
一実施形態において粒子の位置の精度は、図4Aの測定を補間することで図5Aの画像を形成することによって改善される。図5Aは、110ピクセル×110ピクセルの画像を示している。図5Aに含まれる情報は、補間を使用して図4Aの情報から計算される。いくつかの実施形態において、使用される補間はスプライン補間である。いくつかの実施形態において、使用される補間は多項式補間である。またいくつかの実施形態では、粒子の中心に近い領域のみが補間され、これによりシステムに要求されるリソースを抑えることができる。
【0051】
補間を利用する1つの利点は、粒子の中心の位置をより精密に特定することができる点である。例えば図5Aでは、最も高い輝度を有するピクセルを使用して、粒子の中心を特定することができる。図4Aと比較して、粒子の中心を10倍の精度で特定することができる。システムの1つの利点は、検出器単独よりも粒子の中心をより精密に特定することができる点である。したがって解像度が制限されたCCD検出器でも、高い解像度の出力を提供することができる。これによりシステムがより解像度の低いCCD検出器を有することが可能になり、これにより安価になる、またはよりノイズが少なくなる、あるいはシステムが、利用可能な最も解像度の高いCCD検出器よりも高い解像度を達成することが可能になる。加えて補間方法は、光学機器による解像度のロスを補償するのを助けることができる。いくつかの実施形態において、レンズがシステムをよりコンパクトにするのに役立つ場合があるが、これは測定された粒子の解像度に悪影響を与える場合がある。補間は、解像度のロスを相殺することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、粒子のピーク値から粒子の輝度を計算することができるが、これは予測分布が分かっているためである。いくつかの実施形態において、粒子の輝度は、補間後の画像を統合することによって測定することができ、これにより測定した輝度の解像度がより高くなる可能性がある。粒子の測定した輝度は、粒子から光を受信する全てのピクセルの合計を含んでいる。したがって輝度を見つける1つの方法は、全てのピクセル輝度を併せて足すことである。粒子の中心を検出する際の高い解像度と同様に、補間後の画像を統合することによって粒子の輝度をより高い解像度で特定することができる。具体的には図4Bに示される粒子の輝度は、図4Bの全てのピクセルの高さを足すことによって特定することができる。同様に図5Bの全てのピクセルの高さを足す(および図4Bよりも100倍の点が図5Bにあるため100で割る)ことによって、高い解像度で粒子の輝度を見つけることができる。測定された粒子の輝度を高い精度で特定することができるため、システム全体の精度が改善する。異なる粒子における異なる輝度レベルを見分けることができ、これにより異なる粒子における異なる吸収レベルを見分けることが可能になる。システムの目的は、蛍光物質の量を測定することであるため、蛍光物質の輝度の測定精度は、システムの性能に直接つながっている。
【0053】
いくつかの実施形態において、粒子の解析的な表示は、生データ画像または補間後の画像のいずれかを使用して計算することができる。この実施形態では、ガウス曲線などの特定の曲線を測定地点に適合させることができる。曲線の分布は、レンズの点広がり関数からガウス分布であってよい。予測される曲線は、特定の計算式または行列として表すことができ、その後これを使用して粒子の中心または粒子の輝度を特定することができる。例えば粒子の中心は、この曲線の導関数がゼロに等しい場所である。導関数がゼロに等しい地点が2つ以上ある場合、この画像は2つ以上の粒子を含んでいる可能性がある。またこの計算式をこの中心の特定の半径の辺りで統合することによって、粒子の輝度を特定することができる。
【0054】
粒子の中心から距離rを有する地点pにおける輝度は、数1によって概算することが可能である。
【0055】
【数1】
【0056】
この場合aおよびbは定数である。具体的にはaは中心におけるピーク輝度値であり、bは減衰速度である。値bは、数2に示される少なくとも2乗の手法を利用して、1セットのNデータ地点P1・・・PNからの較正時間において概算することができる。
【0057】
【数2】
【0058】
この場合cは、粒子の中心である。対数の性質により、より大きな値よりもより小さい値の方が誤差に大きく寄与することに留意されたい。これには、粒子の中心から離れた値よりも粒子の中心に近い値を重み付けする作用がある。この重み付けは適切であり、その理由は、中心から離れた地点がより多くなるためであり、半径r1がr2まで増大する際、この円の範囲内で低下するピクセルの数が、r1/r2の比の二乗だけ増加するためである。したがって粒子の中心により近い地点は、粒子の中心から離れた地点よりも対象となり得る。
【0059】
I(p)をこの画像における地点pの輝度とする。E(p)は、予測される輝度f(p)からの誤差を指すものとする。
【0060】
【数3】
【0061】
この場合、N(r)は、中心から離れたピクセルよりも中心により近いピクセルに重み付けをするように作用する正常化機能である。N(r)の1つの特定の選択は以下の通り。
【0062】
【数4】
【0063】
粒子の分類を容認するには、以下が要求される。
【0064】
【数5】
【0065】
【数6】
【0066】
何らかの定数値ε1およびε2に関して、この場合地点P1・・・PNは粒子の中心を囲む特定の半径の範囲内にある。
【0067】
いくつかの実施形態において、粒子選別器を、好ましくはサブピクセルの正確なピーク位置の周辺で機能させることで、粒子が、推定されるガウス形状の輝度に似たものを呈するかどうかを数量化することができる。粒子のピーク位置qの任意の特定された半径の範囲内に1セットのピクセルPがあるものと仮定すると、理想の撮像粒子は、数1の形態を有するガウス形状に合わせたモデルの特定の輝度形状を呈することが推定され、この場合rは、Pの要素pからqまでのユークリッド距離であり、aは、qにおける輝度値であり、bは、マイナスの兆候を持つ輝度の減衰パラメータである。粒子を区別するためのアルゴリズムが、何らかの測定基準の下に輝度(p)対f(||p−q||)の誤差を測定し、Pにある全てのピクセルに渡るこの誤差の蓄積は、進行するのに十分小さいものである。そうでなければ、粒子は、さらなる処理作業から捨てることができる。区別する作業は、より大きな精度を実現するためにサブピクセル画像の座標空間において行なわれるのが好ましい。
【0068】
図6Aは、複数の粒子を含む1つの画像の生データを示している。図6Bは、三次元レンダリングにおける補間後の情報を示している。粒子602を正確に測定することができ、この粒子の輝度に関する信頼できる情報を与えることができる。しかしながら他の粒子は、信頼できる情報を提供するには余りにも共に接近しすぎている。一実施形態において、開示される方法は、粒子が考慮され、特定の出力を生成するのに使用すべき場合と、この粒子を捨てる必要がある場合を特定する。一実施形態において、予測分布は、特定の粒子のピーク輝度および既知の粒子のサイズに基づいて計算される。例えば全ての粒子が特定のサイズである場合、測定した光のガウス分布を予想することができる。したがって粒子のピーク輝度を測定することによって、粒子の残りの形状を推定することができる。その後この推定された形状を使用して、測定が2つ以上の粒子からの光を含むかどうかを特定することができる。例えば予測分布は、粒子の中心から2ピクセル離れた特定のピクセルが、中心においてこのピクセルの輝度の50%を有するべきであると予想することができる。したがって任意の方向に2ピクセル離れた特定のピクセルが、中心ピクセルの輝度の80%を有する場合、近くに別の粒子があると推測することができる。このような状況において、この粒子を統合するよりもこの測定を捨てることで、輝度を特定することが好ましいと特定することができる。近くに光に寄与する粒子がある場合、測定した輝度が人為的に増長され、これにより不正確な測定になる場合もある。
【0069】
図7は、2つの粒子702と704のグラフを示しており、これらの粒子は光検出器108によって互いに近くで測定される。実線は、粒子702と704の測定された輝度を示している。点線は、粒子702の予測分布を示しており、これは粒子702のピークおよび/または粒子702の左勾配によって計算することができる。この点線を使用して、粒子704の測定に対する粒子702の寄与率を引くことができる。あるいはこの点線を使用して、粒子702および/または704の測定を捨てる必要がある場合を特定することができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、1セットの粒子の2つ以上の画像が取得される。例えば第2光源106を使用して第3画像を取得することができ、この場合第2光源106は、第1光源104からの光114とは異なる波長で光115を発する。第2光源106が異なる波長で光116を発することから、これを利用して、粒子110において提示され得る第2のタイプの蛍光物質を検出することができる。したがって粒子110が、第1光源104の光の下ではなく、第2光源106の光の下で蛍光する物質を有する場合、第3画像は、第1画像にはない特定の場所に粒子を有する場合がある。しかしながら一部のケースでは、第1画像と第3画像の両方で単一の粒子が測定される場合もあり、この粒子を使用して第1画像と第3画像を位置合わせすることができる。例えば第1画像と第3画像が、数ピクセルだけずれている場合、第1画像における粒子の中心が、第3画像における同一粒子の中心からずれている場合、これらの2つの画像の位置を合わせることができる。いくつかの実施形態において、2つ以上の粒子を使用して異なる画像の位置を合わせることができる。いくつかの実施形態において、多くの粒子を使用して画像の位置を合わせる場合もあり、この場合多くの粒子から測定された偏差は平均される。いくつかの実施形態において、一部の偏差が捨てられる場合もあり、その理由は、それらが誤った測定を表しており、残りの偏差は平均することができるためである。
【0071】
以下に続く概略的なフローチャートは、概ね論理的なフローチャートとして記載されている。そういうものとして、記載される順番および名前が付けられたステップは、提示される方法の一実施形態を示すものである。例示の方法の機能、論理または1つまたは複数のステップに対する作用、またはその一部において等価な他のステップおよび方法を考えることができる。加えて、採用される形式および記号は、方法の論理ステップを説明するために提供されるものであり、方法の範囲を限定しないものと理解される。このフローチャート図では様々な矢印の種類と線の種類が利用されているが、それらは、これに対応する方法の範囲を限定しないものと理解される。当然のことながら、一部の矢印または他の接続記号を使用することで方法の論理フローのみを表す場合もある。例として、特定の矢印は、記載される方法の列挙されるステップにおける、明示されない継続期間の待機またはモニタリング時間を示す場合もある。加えて、特定の方法が行なわれる順番は、示される対応するステップの順番に厳密に忠実な場合と、忠実でない場合がある。
【0072】
図8は、撮像サイトメトリーにおける測定の精度を上げるための方法800の一実施形態を示している。一実施形態において方法800は、ステップ802で始まる。ステップ802において、光源104を使用して粒子110に光を当て、その後この粒子は蛍光し、光を発し、この光は検出器108において測定される。ステップ804において、同一の光検出器108を使用して第2粒子からの光が測定される。いくつかの実施形態において、802および804の測定は同時に行なわれる。ステップ806において各々の粒子からの光の寄与率が特定される。いくつかの実施形態において、粒子からの光の寄与率を特定するこのステップは、既知のパラメータと測定したパラメータに基づいて光の予測分布を計算するステップを含む。例えば既知のパラメータは、粒子の半径であってよい。測定したパラメータは、粒子のピーク輝度であってよい。既知のパラメータと測定されたパラメータを使用して、粒子の予測分布を計算することができる。例えば予測分布は、数1で表されるようにガウス分布であってよい。いくつかの実施形態において、予測分布は、粒子の解析的な表示を計算することによって特定することができる。いくつかの実施形態では、予測分布を概算するヒューリスティックな方法が使用される場合もある。例えば特定のピクセルの輝度は、ピクセルが粒子の中心からどのくらい離れているかによって特定のパーセンテージだけ低下すると概算することができる。ステップ808において、予測分布を使用して、一方の粒子の寄与率を他方の粒子の測定から引くことができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、画像同士の位置を合わせるステップが行なわれることで、各々の粒子を、全ての画像チャネルにおいて確実に正確な位置に対応付けることができこの場合位置合わせの誤差は、xおよび/またはy方向の画像座標の平行移動Tであると推測される。画像チャネルにおいてピークサーチを行うことが可能な場合、画像同士の位置合わせのアルゴリズムは、画像チャネルにわたって検出されたピークの位置合わせをする。ピークサーチが全ての画像チャネルではなく、一部の画像チャネルで行なわれる場合、画像同士の位置合わせアルゴリズムの代わりに、全てのチャネルにわたるピーク値の中間位置qを使用し、この場合ピークは、ピークサーチを行なうことができないチャネルcにおける粒子の位置に関する最初の値として見つけられている。その後この位置qは、1/sサブピクセルステップにおいて両方の軸に沿って+/−rピクセルまでqを摂動させることが可能になり、かつ最大の光学パラメータを生むこの摂動後の値qを取得することによってcにおいて改良される。全ての粒子に関して画像間の粒子の移動は、ベクトルq−pとして計算され、このベクトルは記録される。したがって各々の粒子は、その好ましい位置合わせのために移動することを投票する。全ての粒子がそのそれぞれの好ましい位置合わせのための移動を投票した後、このベクトル投票空間における最も多数を占める集団として、平行移動Tを果たす統計的に有意な包括的な移動を見ることができる。最も多数を占める集団の位置が特定され、この集団の集まりの中心が、Tを果たす画像同士の位置合わせベクトルとして算出される。
【0074】
いくつかの実施形態において、画像同士の位置合わせステップは、境界を示す正方形または円形を使用して多数の粒子の中心を見つけるステップを含むことができる。1つの方法によると、特定のサイズ(例えば5ピクセルx5ピクセル)の全ての可能な境界を示す正方形を合計し、所定の値より高い合計を有する正方形が、粒子の中心を包含するとみなされる。この技法は、表面染料の分布が、粒子のこの領域にわたって均一でない場合に、単に最大のピクセルの大きさを見つけるステップよりもより正確であり得る。例えば蛍光染料分子が、粒子の表面に不均一に分散された場合、この染料が発する最大の光は、粒子の中心から来るのではなく、測定された光がガウス分布を有することはない。
【0075】
図11A−11Eは、領域の境界を示す方法のいくつかの実施形態を示している。記載される第1の実施形態は、長さが変化する境界を示す正方形を使用する方法である。選択された光学パラメータが、特定の制約Zによってピクセル値の合計を利用するステップに関連する場合、この場合Zは、一部の固定値rが全てのwに関する上限であるpに中心が置かれた長さ2*w+1の境界を示す正方形の中にこのようなピクセル値を特定しており、その合計は、以下のように合計の行列を事前に算出することによって効率的に算出する必要がある。
【0076】
L=s*k+rとする。pに中心を置く長さN=2*L+1の境界を示す正方形の範囲内にある全てのピクセルが、仮の行列Mにコピーされ、この仮の行列Mは、左の境界(最小x)と上(最小y)の境界の両方が0の状態でバッファに入れられる(ステップA)。
【0077】
行列Mの長さN+1の横列Rを考えると、この場合R[−1]が左側における0エントリであるように表している。Mにおける各々のRに関しては以下の通りである。
【0078】
合計を0に初期設定する。
【0079】
各々の整数iは、0からN−1である(ステップB0)。
【0080】
合計=合計+R[i]に更新する。
【0081】
R[i]=合計を割り当てる。
【0082】
任意の所与のkに関して、R[k]は、左方向への全ての値の合計を表しており、行列Mの横列Rにおいてkを含んでいる。
【0083】
今度は行列Mの長さN+1の縦列Cを考えると、この場合、C[−1]が最上位における0エントリであるように表している。Mにおける各々のCに関しては以下の通りである。
【0084】
合計を0に初期設定する。
【0085】
各々の整数iは、0からN−1である(ステップC0)。
【0086】
合計=合計+C[i]に更新する。
【0087】
C[i]=合計を割り当てる。
【0088】
ここでp=<x,y>に中心を置く長さ2*w+1の境界を示すボックスの周りの画像における全てのピクセルの合計は、以下のように算出することができる。
【0089】
合計=M[u1,v1]+M[u0,v0]−M[u1,v0]−M[u0,v1](ステップD0)
【0090】
この場合u0=(p−q).x+L−w−1,v0=(p−q).y+L−w−1である。
【0091】
u1=(p−q).x+L+w,v1=(p−q).y+L+wである。
【0092】
最大の合計を獲得する位置pをここで効果的に特定することができる。
【0093】
一例として、ステップAにおいてピクセル値をコピーした後の図11Aに示される行列1102を考えると、この場合、その目的は、境界を示す正方形1104の中にあるピクセルの合計を見つけることである。ステップB0およびC0に記載されるように各々の横列と縦列を合計した後、図11Bに示されるような行列1106が得られ、この場合各々のセルは、図11Aのピクセルに対応しており、それ自身と、それより上およびその左側にある全てのピクセルの合計が含まれている。例えば図11Bの正方形1108は、図11Aにおける正方形1105にある全てのピクセルの合計である。ひとたび行列1106が算出されると、さらに迅速に境界を示す正方形の合計が算出されるようになる。例えば図11Aの境界を示す正方形1104の合計を見つけるには、単純に正方形1108から正方形1112を引き、正方形1116を引き、正方形1114を足すだけでよい。この例では、10224−5310−4472+2295=2737であり、これは図11Aにおける境界を示す正方形1104の中にある全てのピクセルの合計である。境界を示す正方形を使用する方法の1つの利点は、より迅速に全ての可能な境界を示す正方形の合計を見つけることができ、その一方で単に最大値を使用する場合に対してなお、境界が示された正方形を利用する利点を提供することである。
【0094】
別の実施形態では、長さが固定された境界を示す正方形が使用される。境界が示された正方形の合計は、特定の行列において算出され記憶することができる。例えば光学パラメータに対する入力としてピクセルに課された制約Zが、rは、固定された整数>=1であるpに中心を置く長さ2*r+1の境界を示す正方形の中にあるピクセルを特定する場合、このときステップBは、以下のように修正することができる。
【0095】
行列Mの長さN+1の横列Rを考えると、R[−1]が左側における0エントリであるように表している。R’をMの新たな横列Rにする。Mにおける各々のRは、以下の通りである。
【0096】
w=2*rとする。
【0097】
合計を0に初期設定する。
【0098】
各々の整数iは、0からw−1である
【0099】
合計=合計+R[i]に更新する。
【0100】
R’[i]=合計を割り当てる。
【0101】
(ステップB1)
【0102】
各々の値iは、wからN−1である。
【0103】
合計=合計+R[i]に更新する。
【0104】
R’[i]=合計を割り当てる
【0105】
合計=合計+R[i−w]に更新する。
【0106】
ステップCは以下のように修正することができる。
【0107】
行列Mの長さN+1の横列を考えると、C[−1]が最上位における0エントリであるように表している。C’をMの新たな縦列Cにする。Mの各々のCは以下の通りである。
【0108】
w=2*rとする。
【0109】
合計を0に初期設定する。
【0110】
各々の整数iは、0からw−1である
【0111】
合計=合計+C[i]に更新する。
【0112】
C’[i]=合計を割り当てる。
【0113】
(ステップC1)
【0114】
各々の整数iはwからN−1である
【0115】
合計=合計+C[i]に更新する。
【0116】
C’[i]=合計を割り当てる。
【0117】
合計=合計+C[i−w]に更新する。
【0118】
ここでp=<x,y>に中心を置く長さ2*r+1の境界を示すボックスの周りの画像における全てのピクセルの合計は、以下のように特定することができる。
【0119】
合計=M[u1,v1](ステップD1)
【0120】
この場合、u1=(p−q).x+L+r,およびv1=(p−q).y+L+rである。
【0121】
例えばステップB1およびC1が行列1102に対して算出された後、図11Dの行列1120が得られる。境界を示す正方形1122に対応するピクセルの合計を見つけるには、単に正方形1124を見るだけでよい。この方法を利用することの1つの利点は、行列1120を算出した後、極めて少ないリソースまたは時間で境界が示された正方形の合計を見つけることができる点である。
【0122】
第3の実施形態では、直径が変わる境界が示された円が使用される場合もある。この実施形態において、光学パラメータに対する入力としてピクセルに課された制約Zが、2*r+1(この場合整数r>=1である)の直径を有するPに中心を置く閉鎖した円の中のピクセルを特定する場合、このとき記載したステップAおよびB0からC0を行ない、図11Bの行列1106を獲得することができる。次に、以下のステップを行なうことによって、2*r+1の直径を有するp=x,yに中心を置く閉鎖した円内におおよそある画像の中にある全てのピクセルの合計を特定することができる。
【0123】
u=(p−q).x+Lとする。
【0124】
v=(p−q).y+Lとする。
【0125】
合計=0に初期設定する。
【0126】
/*中心を通るピクセルの水平線の寄与率を算出する*/
【0127】
合計=合計M[u+r,v]−M[u−r−1,v]に更新する。
【0128】
(ステップD2)
【0129】
各々のyに関して1からrとする。
【0130】
//円と水平線の交点を特定する。
【0131】
s=下限(二乗(r^2−y^2))とする。
【0132】
//中心より下の水平線の寄与率を算出する。
【0133】
合計=合計+M[u+s,v+y]−M[u−s−1,v+y]に更新する。
【0134】
//中心より上の水平線の寄与率を算出する。
【0135】
合計=合計M[u+s,v−y]−M[u−s−1,v−y]に更新する。
【0136】
別の実施形態では、直径が固定された境界を示す円が使用される場合もある。いくつかの実施形態において、円の方が、粒子の形状により適合する場合もある。この実施形態を使用して、上記の制約Zに関して直径2*r+1の値rが固定される場合、そのとき各々の水平線と円との交点を事前に算出し、表に記録することができる。したがってステップDは、以下のように書き換えることができる。
【0137】
u=(p−q).x+Lとする。
【0138】
v=(p−q).y+Lとする。
【0139】
合計=0に初期設定する。
【0140】
/*中心を通るピクセルの水平線の寄与率を算出する*/
【0141】
s=表[0]とする。
【0142】
合計=合計+M[u+s,v]−M[u−s−1,v]に更新する。
【0143】
各々のyに関して、1から表の長さ−1とする。(ステップD3)
【0144】
//照合によって線と円との接点を得る。
【0145】
s=表[y]とする。
【0146】
//中心より下の水平線の寄与率を算出する。
【0147】
合計=合計+M[u+s,v+y]−M[u−s−1,v+y]に更新する。
【0148】
//中心より上の水平線の寄与率を算出する。
【0149】
合計=合計+M[u+s,v−y]−M[u−s−1,v−y]に更新する。
【0150】
この場合表は、初期設定中に以下のステップによって一度形成される。
【0151】
表の長さ=r+1に設定する。
【0152】
各々のyは0からrである。
【0153】
表[i]=下限(二乗(r^2−y^2))である。
【0154】
図9は、測定された粒子を使用するかどうか、および2つの画像をどのように位置合わせするかを判断するための方法900の概略ブロック図を示している。ステップ902において、光源104からの照明に応答して粒子110が発する光を測定することによって第1画像が形成される。ステップ904において、第1画像が補間されて第2画像が形成される。いくつかの実施形態において、使用される補間はスプライン補間である。ステップ906において粒子の中心が特定される。粒子の中心は、第2画像における最も高い値を有するピクセルを見つけることによって特定することができる。粒子の中心はまた、粒子の解析的な表示を形成することによって特定することもできる。導関数がゼロに設定され、この計算式を解いて中心の位置を求める。ステップ908において、粒子の予想分布を特定することができる。いくつかの実施形態において、予想分布はガウス分布であってよい。ステップ908において粒子の測定を予想分布と比較することができる。粒子の測定が予想分布と一致しない場合、この測定を捨てることができる。
【0155】
ステップ912において、第3画像を形成することができる。第3画像は、粒子に対して第2光源106を照らすことによって形成することができ、この場合第2光源106は、第1光源104とは異なる波長で光115を発する。ステップ914において、第3画像における粒子の中心を特定することができる。いくつかの実施形態において、このステップはさらに、第3画像を補間することによって、解像度が上がった画像を形成するステップを含むことができる。この方法は、第1画像から第2画像を形成するのに使用される方法と同様であってよい。ステップ916において第2画像と第3画像の偏差が計算される。いくつかの実施形態において、このステップは、2つの画像に存在する少なくとも1つの粒子を見つけるステップと、その偏差を特定するステップを含む。最後に第2画像と第3画像の間で計算された偏差に基づいて、2つの画像が位置合わせされる。
【0156】
図10において、方法1000は、バックグラウンド信号を正確に測定することによって撮像サイトメトリーの精度を上げることを目的として記載されている。ステップ1002において、CCD検出器などの光検出器108を使用して、光源104からの光に応答する粒子110からの光が測定される。CCD検出器を使用する測定は、粒子の測定とバックグラウンド信号の測定の両方を含むことができる。バックグラウンド信号は背景光を含むことができ、またノイズを含む場合もある。
【0157】
任意選択のステップ1002において、測定した粒子の所定の半径の中にあるピクセルが捨てられる。粒子の中心を上記に記載するように特定することができ、その半径を固定することができる。いくつかの実施形態において、除外されたピクセルの半径は、粒子からの光の輝度と共に拡大する場合もある。したがっていくつかの実施形態において、粒子が明るい程、より多くのピクセルが捨てられる。バックグラウンド信号を測定することが目的であるため、粒子の測定が有効でない場合もある。
【0158】
ステップ1006において、第25百分位数にあるピクセルの測定した輝度としてバックグラウンドの測定が割り当てられる。一実施形態において特定の画像における全てのピクセル(測定した粒子を含めた)が分類され、順番に配置される。いくつかの実施形態において、ステップ1004に記載されるように粒子の中心の所定の半径の範囲内にあるピクセルが捨てられ、残りのピクセルの輝度は、順番に配置される。ピクセルを順番に配置することによって、より暗いピクセルがリストの片端に配置され、より明るいピクセルは他方の端に配置される。各々のピクセルにおける測定がノイズ成分を有することから、リスト上にある最も暗いピクセルは、バックグラウンド信号とマイナスのノイズ信号を足したものである。リストのより上の方にあるピクセルは正に、ほとんどないか皆無のノイズを有するバックグラウンド信号である。リストのさらに上にあるピクセルは、バックグラウンド信号にプラスのノイズ成分を足したピクセルである。最後にリストの最上位にあるピクセルは、粒子など、光源から光を受信するピクセルであってよい(但しこのようなピクセルは、ステップ1004によって最小化することができる)。このとき第25百分位数にあるピクセルの輝度が、バックグラウンド信号として割り当てられる。例えば画像が100ピクセルで構成されている場合、100個のピクセルの全てが分類され、リストに入れられる。最下位(25番目の最も暗いピクセル)から25番目のピクセルが、背景レベルとして割り当てられる。第25百分位数を利用することの1つの利点は、それが下端により近づくことであり、これは、例えば粒子など、光源からの光を含まない傾向にある。しかしながら、まさしく最下位ではないことによって、この測定は、ほとんどないか皆無のノイズしか含んでいない。これに加えて、ステップ1006は、ピクセルを分類し特定のピクセルを選択することのみを要求するため、このステップは比較的小さな処理能力やリソースしか必要としない。いくつかの実施形態において、異なる百分位数が使用される場合もある。例えば低ノイズのシステムでは、第10百分位数によって正確なバックグラウンド信号が提供される場合もある。他のシステムでは、第30百分位数が使用される場合もある。いくつかの実施形態において、この数字は、リストには実際に載せられていない。その代わりに方法は、順序付けられた統計学的方法を使用することによって、所望の百分位数にある値を見つけることができる。いくつかの実施形態において、バックグラウンドノイズを計算する方法は、検出器全体と比べてより小さい領域に関して算出することができる。例えば検出器の領域は、6つの異なる部分に区切ることができ、バックグラウンド信号は、記載される方法に従って各々の部分から独立して算出することができる。
【0159】
ステップ1008において、ステップ1006において特定されたバックグラウンド信号を全てのピクセルから引くことができる。バックグラウンド信号を引くことによって、残った信号のみが粒子の測定された信号である。
【0160】
本明細書に開示され主張される全ての方法は、不必要な実験をすることなく本開示に照らして作製され実行することができる。本発明の装置および方法を、好ましい実施形態の観点から見て記載してきたが、当業者には、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法、ならびにこの方法の複数のステップおよびステップのシーケンスに変形形態を適用することができることは明らかである。これに加えて、開示される装置に対して修正を行なうこともでき、構成要素をなくす、あるいは本明細書に記載される構成要素の代わりをすることもでき、この場合同一または同様の結果が得られる。当業者に明らかな全てのこのような同様の代替形態、および修正形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように本発明の精神、範囲および概念の範囲内にあると考えられている。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D