(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
後端側は太径で先端側へ徐変縮径する芯線先端部を内側コイルと外側コイルへ貫挿し、前記内側コイルは、ステンレス鋼の線材を巻回し、先端と後端を前記芯線先端部に接合して成り、
前記外側コイルは、先端側が放射線不透過の線材、後端側が放射線透過のステンレス鋼の線材を巻回し、前記内側コイルの外側で、前記内側コイルよりも長手方向の長さが長く、同心状に配され、先端を前記内側コイルの先端と前記芯線先端部の先端とに接合し、後端を前記芯線先端部に接合して成る医療用ガイドワイヤにおいて、
前記内側コイルと前記外側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小等径部から成り、
前記内側コイルの後端径大等径部の外径をA1、先端径小等径部の外径をA2とし、前記外側コイルの後端径大等径部の外径をB1、先端径小等径部の外径をB2とした場合に、前記内側コイルの外径比(A1/A2)は、前記外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きく{(A1/A2)>(B1/B2)}、かつ、
前記芯線先端部は、少なくとも2個以上の載頭円錐体を長手方向に連接した連接載頭円錐体とし、1個の載頭円錐体は、長手方向の長さが後端側の前記載頭円錐体から先端側の前記載頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の前記載頭円錐体から先端側の前記載頭円錐体へ向かって徐変増大し、
前記連接載頭円錐体の最大外径をD0、最少外径をD1、全長をL、最大外径D0の横断面の中心位置から先端へ、L>X>0を満たす任意の位置Xにおける前記連接載頭円錐体の外径をDmとした場合に、前記連接載頭円錐体の外径Dmは、Dm>{D0−(D0−D1)X/L}の関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
【背景技術】
【0002】
従来血管狭窄部、及び、閉塞部等の血管病変部治療に際して、先端部に単一のコイルスプリング等を設けた医療用ガイドワイヤ(以下ガイドワイヤという)を用い、又は、芯線を貫挿した内側コイルの外側に、内側コイルと同心状の外側コイルの二層構造から成るコイルスプリングを設けたガイドワイヤを用いて、先端部を病変部まで到達させて血管の狭窄部、及び、完全閉塞部等の血管病変部の拡径治療を行っている。
【0003】
かかる場合において、ガイドワイヤを血管病変部内へ貫通させる為、手元側(後端側)から先端側への高度の、回転伝達性能と穿孔性能と繰り返し耐疲労特性を必要とする。
【0004】
特許文献1には、先端部のコイルスプリングが同心状の内側コイルと外側コイルの二層構造から成るガイドワイヤが記載されている。
【0005】
特許文献2には、先端部のコイルスプリングよりも後端側の芯線の曲げ剛性等の特性に関するガイドワイヤが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のガイドワイヤは、放射線不透過の線材から成る内側コイルと、ステンレス、形状記憶合金等から成る外側コイルとの二層構造から成り、主にばね用弾性材料から成る芯線を用いて先端側への回転伝達性能を向上させる技術内容である。
【0008】
特許文献2に記載のガイドワイヤは、芯線がステンレス鋼、又は、ニッケルチタンの超弾性金属から成り、先端部のコイルスプリングよりも後端側の芯線が長手方向に曲げ剛性が線形に変化して急激な抵抗感をなくして術者の操作性を向上させる技術内容である。
【0009】
そして、特許文献1、2いずれもコイル内の細径の芯線に対して、内側コイルの先端と後端の外径比を外側コイルの先端と後端の外径比よりも大きくし、かつ、細径の芯線先端部の形状を特定することにより、後端側の回転角度を減少させ、先端側へのねじり力を増大させて先端側への高度の回転伝達性能と閉塞病変部での穿孔性能を向上させた技術内容については、何ら記載されていない。これらの性能は、血管病変部でガイドワイヤを通過させる為の重要な技術課題である。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、血管病変部での通過性を飛躍的に向上させるガイドワイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する為、本発明のガイドワイヤは、後端側は太径で、先端側へ徐変縮径する芯線先端部を内側コイルと外側コイルへ貫挿する。内側コイルは、ステンレス鋼の線材を巻回し、先端と後端を芯線先端部と接合する。外側コイルは、内側コイルの外側に、内側コイルよりも長手方向の長さが長く、同心状で、先端側が放射線不透過の線材で、後端側が放射線透過のステンレス鋼の線材を巻回し、先端を内側コイルの先端と芯線先端部の先端と接合し、後端を芯線先端部と接合する。内側コイルと外側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小等径部から成り、内側コイルの後端径大等径部の外径をA1(mm)、先端径小等径部の外径をA2(mm)、外側コイルの後端径大等径部の外径をB1(mm)、先端径小等径部の外径をB2(mm)とした場合に、内側コイルの外径比(A1/A2)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(A1/A2)>(B1/B2)}。
【0012】
又、芯線先端部は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体を有し、1個の截頭円錐体は長手方向の長さが後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変増大する。
【0013】
そして、連接載頭円錐体の最大外径がD0(mm)で、最小外径がD1(mm)で、全長がL(mm)で、最大外径D0(mm)の横断面の中心位置から先端へ、
L>X>0を満たす任意の位置Xの位置における連接載頭円錐体の外径をDm(mm)とした場合に、連接載頭円錐体の外径Dm(mm)は、Dm>{D0−(D0−D1)X/L}の関係式を満たすことを特徴とする。
【0014】
芯線先端部の連接載頭円錐体は、後端側から先端側へ第1載頭円錐体と第2載頭円錐体から成り、第2載頭円錐体の外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)は、第1載頭円錐体の外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)よりも大き
いことを特徴とする。
【0015】
第2截頭円錐体は、後端側の径大部で内側コイルの後端と接合し、接合部の外径をd(mm)とし、先端の最小外径がD1(mm)の場合に、内側コイル内の第2截頭円錐体の外径比d/D1と、内側コイルの外径比A1/A2と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、(d/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たすことを特徴とする。
【0016】
内側コイル内の第2截頭円錐体の外径比(d/D1)が1.50以上4.20以下で、内側コイルの外径比(A1/A2)が、1.15以上2.80以下で、外側コイルの外径比(B1/B2)が1.10以上1.80以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガイドワイヤは、内側コイルの外径比A1/A2を外側コイルの外径比B1/B2よりも大きくすることにより、内側コイル内の芯線の細径に伴うねじり力の低下分を補完し、先端側への回転伝達性能を向上させることができる。又、内側コイルと外側コイルに貫挿する芯線先端部が、截頭円錐体の形状を連接した連接截頭円錐体とし、截頭円錐体の長手方向の長さが先端側へ向かって徐変減少し、かつ、截頭円錐体の先端と後端の外径比が先端側へ向かって徐変増大する構成により、後端側の回転角度を減少させ、先端のねじり力を増大させて先端側への高度の回転伝達性能と閉塞病変部での穿孔性能を向上させることができる。
【0018】
内側コイルと外側コイルは、共に後端側から先端側へ向かって後端径大等径部、中間テーパ部、先端径小等径部から成り、内側コイルの外径比A1/A2が外側コイルの外径比B1/B2よりも大きいことを特徴とする。この理由は以下の通りである。内側コイルと外側コイルと接合する芯線は、後端側から先端側へ細径化し、細径化に伴ってねじりモーメントは低下する。この細径の芯線と接合した内側コイルの外径比A1/A2を外側コイルの外径比B1/B2よりも大きくすることにより、細径の芯線であってもねじりモーメントの低下分を補完する為である。そして、内側コイルと外側コイルを共に先細り同一形状とすることの併用により、先端側への回転伝達性能を向上させることができるからである。
【0019】
又、内側コイルと外側コイルへ貫挿する芯線先端部は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向へ連接した連接截頭円錐体の構成とし、1個の截頭円錐体は長手方向の長さが後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が後端の截頭円錐体から先端の截頭円錐体へ向かって徐変増大する。この理由は、後端側から先端側へ向かって手元側の回転操作による回転角度を低減させて、先端側へのねじりモーメントを増大させる芯線先端部の構造を得る為である。
【0020】
そして又、連接截頭円錐体の外径は、一定の関係式を満たすことを特徴とする。この理由は、芯線先端部が細径の先細りの形状でありながら最先端の截頭円錐体の外径比を最も高い値とする為である。これにより、手元側の回転操作による回転角度を減少させて、先端側へのねじりモーメントを増大させることができ、閉塞病変部の穿孔性能を飛躍的に向上させることができる。
【0021】
芯線先端部の連接載頭円錐体は、後端側から先端側へ第1載頭円錐体と第2載頭円錐体から成り、第2載頭円錐体の外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)は、第1載頭円錐体の外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)よりも大き
いことを特徴とする。この理由は、手元側の回転角度を減少させ、先端の曲げ剛性と耐座屈強度を向上させ、先端側へのねじりモーメントを増大させ、完全閉塞病変部の穿孔性能を飛躍的に向上させる為である。
【0022】
芯線先端部の内側コイル内の第2截頭円錐体の外径比(内側コイルと接合部の径大外径/先端の径小外径)は、内側コイルの外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)よりも大きく、内側コイルの外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)は、外側コイルの外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)よりも大きいことを特徴とする。この理由は、内側コイルの外径比を外側コイルの外径比よりも大きくすることによる細線のねじりモーメント低下分の補完作用と併用して、第2截頭円錐体の外径比を最も高くすることにより、細線でありながら先端側へのねじりモーメントをより増大させ、閉塞病変部の穿孔性能を飛躍的の向上させることができるからである。
【0023】
芯線先端部の連接截頭円錐体は、2個の截頭円錐体から成り、内側コイルと接合する内側コイル内の第2截頭円錐体の外径比d/D1が1.50以上4.20以下で、内側コイルの外径比A1/A2が、1.15以上2.80以下で、外側コイルの外径比B1/B2が1.10以上1.80以下で、内側コイル内の第2截頭円錐体の外径比d/D1は、内側コイルの外径比A1/A2よりも大きく、内側コイルの外径比A1/A2は、外側コイルの外径比B1/B2よりも大きいことを特徴とする。この理由は以下の通りである。前記範囲を下回れば、後端側から先端側へ向かって手元側の回転操作による回転角度は増大し、先端側へのねじりモーメントは低下して狭窄部、及び、完全閉塞病変部を通過させることは困難となる。又、前記範囲を上回れば、手元側の回転角度は減少するが高いねじりモーメントの発生により、特に、内側コイルと接合する細径の芯線、及び、内側コイルのコイル線自体のねじり強度が不足して、この高いねじりモーメントに耐えきれずにコイルが蛇行し始めて、先端側への回転伝達性能の低下を招くからである。そして又、治療する部位(心臓血管治療用、又は、下肢血管治療用等)と、血管内径と、拡径治療に用いる各医療用具(ガイディングカテーテル、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル等)の実用寸法を併せ考慮したからである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明のガイドワイヤ(医療用ガイドワイヤ)の実施形態について説明する。
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態のガイドワイヤ1を示し、
図1は全体を示し、
図2は先端部の要部を示している。ガイドワイヤ1は、芯線2と、外側コイル3と、内側コイル4と、ふっ素樹脂被膜6と、親水性樹脂被膜7を有する。芯線2は、芯線後端部2Aと芯線先端部2Bとを有し、後端側から先端側へ徐変縮径している。内側コイル4は、芯線先端部2Bが貫挿し、後端接合部5Cと先丸形状の先端接合部5Aで、芯線先端部2Bに接合されている。外側コイル3は、内側コイル4の外側で、内側コイル4よりも長手方向の長さが長く、かつ、同心状に配され、後端接合部5Bと先端接合部5Aで、芯線先端部2Bに接合されている。ふっ素樹脂被膜6は、後端側の太径の芯線2の外周に形成されている。親水性樹脂被膜7は、外側コイル3の外周に形成されている。尚、本発明のガイドワイヤ1は、長さに比べて直径が極めて小さな値となっている。この為、本発明のガイドワイヤ1は、縦横の縮尺率を同じにすると所定のエリアに図示することが困難となる為、一部を誇張したり、省略したりして図示している。
【0026】
芯線2は、後端側から先端側へ向かって、第1等径部21、第1テーパ部22、第2等径部23、第2テーパ部24、第3等径部25、第1截頭円錐体26Aと第2截頭円錐体26Bとを連接させた連接截頭円錐体26、第4等径部27の順に、外径が0.3556mm(0.014インチで心臓血管治療用)から0.060mmへ徐変縮径する。連接截頭円錐体26は、径大側の外径が0.180mmから径小側の外径0.060mmへ徐変縮径する。外側コイル3の後端接合部5Bは、第1截頭円錐体26Aの径大側の外径0.180mmと、ろう材等の手段を用いて接合され、内側コイル4の後端接合部5Cは、第2截頭円錐体26Bの径大側の外径0.125mmと、ろう材等の手段を用いて接合されている。
【0027】
芯線2は、ステンレス鋼線、Ni−Ti合金線等が用いられる。例えば、特開2002−69586に示すように伸線加工と焼きなまし処理を繰り返して製造される高強度のステンレス鋼線が用いられる。又は、特開2002−69555に示すように所定条件下で熱処理を施して製造されるNi−Ti合金線が用いられる。好ましくは、引張強さが2200MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線が用いられる。この理由は、縮径伸線加工により引張強さを容易に向上できるとともに、後述する連接截頭円錐体26の形状のセンターレス研削加工が容易になるからである。尚、ここでいう連接截頭円錐体26とは、1本の線材を用いて研削加工等を行い、截頭円錐体を複数個長手方向へ設けた構造体のことをいう。又、芯線先端部2Bと芯線後端部2Aとは、異なる線材を溶接接合した芯線2としてもよく、例えば前記芯線の材質等の組合せである。
【0028】
外側コイル3は、後端径大等径部311の外径B1が0.330mmで、長手方向の長さが125mm、中間テーパ部312の外径が0.330mmから0.260mmへ徐変縮径し、長手方向の長さが20mm、先端径小等径部313の外径B2が0.260mmで、長手方向の長さが15mm、コイル線の線直径t1が0.060mmで、1本又は複数本の線材を巻回成形したコイルである。先端側の外側第1コイル31は、白金、又は白金とニッケルの放射線不透過の線材から成り、長手方向の長さが40mmである。後端側の外側第2コイル32は、ステンレス鋼線の放射線透過の線材から成り、長手方向の長さが120mmである。
【0029】
外側第1コイル31と外側第2コイル32とは、コイル線をねじ込み、中間接合部5Dにて、ろう材等の手段を用いて接合している。又、ねじ込み接合の代わりに、コイル線どうしを溶接等の手段を用いて接合させてもよい。尚、外側第1コイル31のコイル線の材質は、ステンレス鋼線のうち、引張強さが2200MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を用いることが好ましい。この理由は、高強度の引張強さを有するコイル線を得て密巻き状に巻回成形することにより、高いねじり応力と高い初張力により耐疲労特性を向上させることができるからである。
【0030】
内側コイル4は、後端径大等径部411の外径A1が0.185mmで、長手方向の長さが20mm、中間テーパ部412の外径が0.185mmから0.130mmへ徐変縮径し、長手方向の長さが20mm、先端径小等径部413の外径A2が0.130mmで、長手方向の長さが15mm、コイル線の線直径t2が0.030mmで、1本又は複数本の線材を巻回成形したコイルである。
【0031】
外側コイル3の後端径大等径部311の外径B1と、先端径小等径部313の外径B2との外径比B1/B2は、心臓血管治療用の外径0.3556mmを考慮した場合、1.10以上1.50以下で(第1実施形態では約1.27)、又、下肢血管治療用に用いられているガイドワイヤの最大外径0.4572mm(0.018インチ)の場合を考慮すると、外径比B1/B2は1.10以上1.80以下である。そして、心臓血管治療用と下肢血管治療用との双方を併せ考慮すると、外径比B1/B2は1.10以上1.80以下で、好ましくは1.15以上1.80以下である。
【0032】
内側コイル4の後端径大等径部411の外径A1と、先端径小等径部413の外径A2との外径比A1/A2は、心臓血管治療用の外径0.3556mmを考慮した場合、1.15以上1.70以下で(第1実施形態では約1.42)、下肢血管治療用に用いられているガイドワイヤの最大外径0.4572mm(0.018インチ)の場合を考慮すると、外径比A1/A2は1.15以上2.80以下である。そして、心臓血管治療用と下肢血管治療用との双方を併せ考慮すると、外径比A1/A2は1.15以上2.80以下で、好ましくは1.15以上2.75以下で、より好ましくは1.25以上2.75以下である。
【0033】
外側コイル3の後端径大等径部311の外径B1と先端径小等径部313の外径B2との外径比B1/B2は、1.10以上1.80以下で、内側コイル4の後端径大等径部411の外径A1と先端径小等径部413の外径A2との外径比A1/A2は、1.15以上2.80以下で、第1実施形態では外側コイル3の外径比B1/B2は約1.27で、内側コイル4の外径比A1/A2は約1.42であり、内側コイル4の外径比A1/A2は、外側コイル3の外径比B1/B2よりも大きいことを特徴とする。
【0034】
外側コイル3の外径比B1/B2と内側コイル4の外径比A1/A2を前記範囲としたのは、ねじりモーメントは後端径大等径部311、411と先端径小等径部313、413の外径比B1/B2、A1/A2に比例する為、前記下限値を下回れば、後端側から先端側へのねじりモーメントは低くなって、狭窄部及び完全閉塞病変部の病変組織にガイドワイヤが拘束されて通過させることは困難となるからである。又、前記上限値を上回れば、高いねじりモーメントの発生により、特に内側コイル4の細径のコイル線自体のねじり強度が不足して、高いねじり力に耐えきれずにコイルが蛇行し始めて、先端側への回転伝達性能の低下を招くからである。そして、治療する部位と血管内径と拡径治療に用いる各医療用具の実用寸法を併せ考慮したからである。
【0035】
内側コイル4の外径比A1/A2が外側コイル3の外径比B1/B2よりも大きいこととする理由を以下に説明する。
【0036】
内側コイル4の後端接合部5Cは、芯線2の連接截頭円錐体26のうち第1実施形態では先端側の第2截頭円錐体26Bの径大側で接合され、接合部の芯線2の外径は0.125mmである。又、外側コイル3の後端接合部5Bは、芯線2の連接截頭円錐体26のうち第1実施形態では後端側の第1截頭円錐体26Aの径大側で接合され、接合部の芯線2の外径は0.180mmであり、後端接合部5Cが接合する芯線2の外径は、内側コイル4のほうが外側コイル3よりも明らかに小さい寸法である。このことは、後端側の太径の芯線2を回転させた時、内側コイル4のねじりモーメントは後端接合部5Cが接合する芯線2の外径が細いのに比例して外側コイル3のねじりモーメントよりも低くなる。そして、内側コイル4の外径比A1/A2を外側コイル3の外径比B1/B2よりも高めることにより、内側コイル4のねじりモーメントの低下分を補完し、先端側へ回転伝達性能を高めることができるからである。
【0037】
図3及び
図4は、形状の異なる芯線先端部2B,2Cを示し、
図3は截頭円錐体が2個の連接截頭円錐体26を有する第1実施形態の芯線先端部2Bを示し、
図4は截頭円錐体が3個の場合の第2実施形態の芯線先端部2Cを示している。尚、芯線先端部2B,2Cを除き、他の仕様は第1実施形態と同様であり、同一構成部材には同一符号が付してある。
図3において、芯線先端部2Bは、後端側から先端側へ連接截頭円錐体26と第4等径部27から成る。連接截頭円錐体26は、長手方向の長さL1が100mmで、径大外径D0が0.180mmで、径小外径D2が0.125mmの第1截頭円錐体26Aと、長手方向の長さL2が50mmで、第2截頭円錐体26Bからみて径大外径D2が0.125mmで、径小外径D1が0.060mmの第2截頭円錐体26Bの2個の截頭円錐体から成る。第4等径部27は、長手方向の長さL0が10mmで、外径が0.060mmである。尚、芯線先端部2Bに第4等径部27は設けても設けなくてもいずれでもよく、最先端部の柔軟性、屈曲変形性等を重視する場合には設け、最先端の穿孔能力を重視する場合には設けないほうが好ましい。いずれを選択するかは病変部の症状による。
【0038】
第1截頭円錐体26Aの長手方向の長さL1は100mmで、第2截頭円錐体26Bの長手方向の長さL2は50mmで、後端側から先端側へ減少し(L1>L2)、かつ、第1截頭円錐体26Aの外径比D0/D2は1.44で、第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1は約2.08で、後端側から先端側へ増大する({D0/D2}<{D2/D1})。
【0039】
図4において、芯線先端部2Cは、第1〜第3截頭円錐体26A,26B,26Cを連接した連接截頭円錐体30から成る。第1截頭円錐体26Aは、後端側から先端側へ長手方向の長さがL1(mm)で、径大外径がD0(mm)で、径小外径がD2(mm)である。第2截頭円錐体26Bは、長手方向の長さがL2(mm)で、径大外径がD2(mm)で、径小外径がD3(mm)である。第3截頭円錐体26Cは、長手方向の長さがL3(mm)で、径大外径がD3(mm)で、径小外径がD1(mm)である。尚、
図3に示す第4等径部27は設けていない。
【0040】
連接截頭円錐体30の各截頭円錐体26A,26B,26Cの長手方向の長さL1,L2,L3は、後端側から先端側へ徐変減少し(L1>L2>L3)、かつ、各截頭円錐体26A,26B,26Cの外径比(D0/D2),(D2/D3),(D3/D1)は後端側から先端側へ徐変増大する{(D0/D2)<(D2/D3)<(D3/D1)}。
【0041】
このように、本発明の芯線先端部2B,2Cは、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体26,30であり、1個の截頭円錐体の長手方向の長さは、後端側の第1截頭円錐体26Aから第2截頭円錐体26B、第3截頭円錐体26Cの先端側の截頭円錐体へ徐変減少し、かつ、1個の截頭円錐体の後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)は、後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変増大することを特徴とする。この理由は、後端側の回転角度を減少させて先端側へのねじりモーメントの増大を図り、先端側への高度の回転伝達性能により、狭窄部、及び、完全閉塞病変部での穿孔性能を向上させる為である。
【0042】
より詳しくは、先端の回転角度が同一のとき、後端側の回転角度を低減させることができる。この理由は、後端側の回転角度、つまり、ねじり角はねじり剛性が高い程減少し、ねじり剛性は横弾性係数と断面二次モーメントの積で表すことができ、連接截頭円錐体26,30の構造のほうが、
図3及び
図4において二点鎖線で示した仮想の単一截頭円錐体260の構造よりも断面二次モーメントが高いからである。
【0043】
また、後端側を押し引き操作する際に、先端の曲げ剛性と耐座屈強度向上させることができる。この理由は、曲げ剛性は、縦弾性係数と断面二次モーメントの積で表すことができ、連接截頭円錐体26,30の構造のほうが単一截頭円錐体260の構造よりも断面二次モーメントが高いからである。又、圧縮応力は横断面の面積に反比例し、横断面の面積が増大すれば圧縮応力は低下する。連接截頭円錐体26,30の、特に節部28(芯線外径が他に比較して大きく変化する位置)の横断面積は単一截頭円錐体260の節部28と同一位置における横断面積よりも大きく、圧縮応力は低い値となる。従って、長手方向に押し引き操作した場合に、特に横断面積が増大した節部28の存在により、連接截頭円錐体26,30の構造のほうが単一截頭円錐体260の構造よりも耐座屈強度を向上させることができるからである。
【0044】
図5は、本発明の芯線先端部2Bの連接載頭円錐体26の外径と、仮想の単一載頭円錐体260の外径の関係式を示す説明図である。実線は、本発明の第1実施形態の載頭円錐体が2個の場合の連接載頭円錐体26を示し、二点鎖線は、関係式を説明する為の仮想の単一載頭円錐体260を示す。連接載頭円錐体26の最大外径がD0(mm)で、最小外径がD1(mm)で、全長がL(mm)である。
又、連接載頭円錐体26の最大外径D0(mm)の横断面の中心位置から長手方向へ、任意の位置Xにおける連接載頭円錐体26の外径をDm(mm)とし、仮想の単一載頭円錐体260の外径をDxとした場合に、外径Dxは、
Dx=D0−(D0−D1)X/L ・・・(1)
の関係式(1)で表すことができる。そして、
L>X>0を満たす任意の位置Xにおける連接載頭円錐体26の外径Dmは、外径Dよりも大きいことから(Dm>Dx)、
Dm>{D0−(D0−D1)X/L} ・・・(2)
の関係式で表すことができる。
【0045】
本発明は、芯線先端部2B,2Cが前記関係式(2)を満たすことを特徴とする。この理由は、後端側の回転角度を低減させ、先端の曲げ剛性と耐座屈強度を向上させ、先端のねじりモーメントを増大させて病変部での穿孔性能と耐疲労特性をより向上させる芯線先端部2B,2Cの構造を得ることができるからである。
【0046】
次に、
図3と
図5を用いて芯線先端部2Bの連接截頭円錐体26が2個の場合の截頭円錐体の外径比について説明する。本発明は、截頭円錐体の外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)は、後端側の第1截頭円錐体26Aから先端側の第2截頭円錐体26Bへ向かって徐変増大し、第1実施形態において第1截頭円錐体26Aの外径比D0/D2は1.44で、第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1は約2.08で、第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1は第1截頭円錐体の外径比D0/D2よりも大きい{(D2/D1)>(D0/D2)}。
【0050】
次に、第1実施形態で内側コイル4内の第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1は約2.08であり、又、内側コイル4の外径比A1/A2は約1.42で、外側コイル3の外径比B1/B2は約1.27である。そして本発明は、内側コイル4内の第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1と、内側コイル4の外径比A1/A2と、外側コイル3の外径比B1/B2とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2) ・・・(7)
の関係式(7)を満たすことを特徴とする。この理由は、内側コイル4の外径比A1/A2を外側コイル3の外径比B1/B2よりも大きくすることによる細線のねじりモーメント低下分の補完作用と併用して、第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1を最も大きくすることにより、細線でありながら先端側へのねじりモーメントをより増大させて、閉塞病変部の穿孔性能を飛躍的に向上させることができるからである。尚、前記関係式(7)は、第2截頭円錐体26Bの内側コイル4の後端と接合する後端接合部5Cの芯線先端部2Bの外径が、第2截頭円錐体26Bの径大部の外径D2と完全一致する場合の関係式で、製造工程上は径大部の外径D2の近傍に接合される場合がある。かかる場合を考慮して、内側コイル4の後端接合部5Cで接合する第2截頭円錐体26Bの外径をdとして一般式に直すと、
(d/D1)>(A1/A2)>(B1/B2) ・・・(8)
の関係式(8)となる。
【0051】
次に、本発明は、内側コイル4内の第2截頭円錐体26Bの外径比d/D1が1.50以上4.20以下で、内側コイル4の外径比A1/A2が1.15以上2.80以下で、外側コイル3の外径比B1/B2が1.10以上1.80以下で、内側コイル4内の第2截頭円錐体26Bの外径比d/D1が最も高く、次に内側コイル4の外径比A1/A2となり、次に外側コイル3の外径比B1/B2の順に低くなることを特徴とする。この理由は、前記範囲を下回れば、後端側から先端側へのねじりモーメントは低くなり、特に、第2截頭円錐体26Bの細径化によるねじり強度が不足し、狭窄部及び完全閉塞部を通過させることは困難となり易くなる。又、前記範囲を上回れば、高いねじりモーメントの発生により、特に内側コイル4の細径のコイル線自体のねじり強度が不足して、この高いねじりモーメントに耐えきれずにコイルが蛇行し始めて、先端側への回転伝達性能の低下を招くからである。又、治療する部位(心臓血管治療用又は下肢血管治療用等)と、血管内径と、拡径治療に用いる各医療用具(ガイディングカテーテル、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル等)の実用寸法を併せ考慮したからである。
【0052】
尚、上記各実施形態では、後端径大等径部311、411、及び、中間テーパ部312、412を密巻き状に巻回成形し、先端径小等径部313、413を疎巻き状に巻回成形したが、密巻き状に巻回成形する箇所や疎巻き状に巻回成形する箇所については適宜変更してもよい。
【課題】芯線の先端部に外側と内側の二層構造のコイルを配した医療用ガイドワイヤにおいて、二層構造による芯線の細径化に伴い、先端側への回転伝達性能と、病変部の穿孔性能を向上させる。
【解決手段】芯線先端部2Bは、第1,第2截頭円錐体26A,26Bを連接した連接截頭円錐体26を有している。内側コイル4と接合する連接截頭円錐体26の径大部と径小部の外径比を、内側コイル4の後端側と先端側の外径比、及び外側コイル3の後端側と先端側の外径比よりも高くする。回転操作時に手元側の回転角度を減少させ、かつ先端側へのねじりモーメントを増大させて、閉塞病変部の穿孔性能を向上させることができる。