特許第5736480号(P5736480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736480
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】家具脚用キャップ
(51)【国際特許分類】
   A47B 91/12 20060101AFI20150528BHJP
   A47B 91/04 20060101ALI20150528BHJP
   A47C 7/00 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   A47B91/12
   A47B91/04
   A47C7/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-57960(P2014-57960)
(22)【出願日】2014年3月20日
(62)【分割の表示】特願2009-193072(P2009-193072)の分割
【原出願日】2009年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-147797(P2014-147797A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】508044357
【氏名又は名称】有限会社 横浜化成
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】成田 義隆
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−164547(JP,U)
【文献】 特開平10−192076(JP,A)
【文献】 特開2008−212411(JP,A)
【文献】 特開平9−108054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/00−91/16
A47C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具類の脚先端に嵌着可能な有底筒状のキャップ基体と、前記キャップ基体の先端側に支持手段を介して着脱可能に取付けられる接地体とを有して成り、
前記キャップ基体と前記接地体とが、前記キャップ基体の底面に交差する方向にて嵌り合う凹凸嵌合部を有し、
前記接地体が、
前記キャップ基体を受止める頂面と、
前記頂面に囲まれ、かつ、前記頂面との間で段差を形成する載置面とを有し、
前記支持手段が、前記キャップ基体の底面に沿う状態で前記キャップ基体と前記接地体の前記載置面とに跨って配備される面ファスナである家具用脚キャップ。
【請求項2】
前記キャップ基体が弾性材から成り、かつ、前記キャップ基体における家具類の脚を挿入させるための開口部が窄められている請求項1に記載の家具用脚キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルや椅子等の家具類の脚の下端部に嵌めて使用されるキャップ、即ち、家具脚用キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子の脚や食卓用テーブルの脚といった家具類の脚の先端に被せて使用されるキャップが知られている。このキャップは、椅子等の引き摺りによって床や脚先に傷が付かないようにするためや、容易に移動しないように滑り止めするためにより、脚下端部に装着される。脚のある家具類としては、勉強机や会議用机といった机、ベッド等、種々のものが考えられる。
【0003】
前記前者の従来例としては、特許文献1において開示される「家具用脚カバー」が知られている。この家具用脚カバーは、シリコンゴム等の超軟質性樹脂製で脚先に嵌る外挿部(1)と、その外挿部の底面に一体的に設けられるポリアミド等の硬質樹脂製の摺動底部(2)とから構成されている。
【0004】
前記後者の従来例としては、特許文献2において開示される「家具用脚体の滑り止め」が知られている。これは、ゴム材から成る袋体(A)の底壁の中央部を下方突出させてその底面をフッ素樹脂等の底μ材で成る滑り面とし、底壁の外周部はゴム材のままで成る滑り止め面として構成してある。例えば、椅子単品の場合には、軽いので脚下端に装備されている袋体(A)の下方突出する滑り面(4)が床に接しており、場所を変える等の移動がし易い状態になっている、そして、椅子に人体等が着座して重くなると滑り面(4)が弾性潰れ変形して滑り止め面(5)が床に強く接し、簡単には動かなくなって安定する、という2種類の機能を発揮できると記載されている。
【0005】
前記前者の従来技術では、家具用脚カバーの底面が滑りの良い硬質樹脂製であり、椅子等の家具の移動がスムーズにできると記載されているが、しっかりと係止させる等の滑らしたくない使い方には不適である。従って、使い方が限定されてしまう不便さがある。前記後者の従来技術では、脚下端に被せる袋体の底構造工夫により、軽荷重時には滑り易い状態になり、重荷重時には滑り止めされる状態になるという2種の機能が自動的に切り換えられるようになっている。
【0006】
しかしながら、前記後者の従来技術では、底壁が荷重増減に伴って頻繁に弾性潰れ変形するから、早期に破れ易いといった耐久性の問題がある。加えて、軽荷重で滑り止めさせたいときや、重荷重でも軽快に移動させたいときには適さないものであり、使用状況に制限が出易い面もある。このように、前記いずれの従来技術による家具用脚キャップでも、家具の使用状況や使用者の意図によって滑り易くさせたいとか滑り難くさせたいという種々の要求に柔軟に対応できるものではなく、改善の余地が残されているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−268244号公報
【特許文献2】特開2000−079028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、軽重の重量条件や耐久性の問題が生じないようにしながら、家具類を主に移動させる使い方の場合には滑り易い状態にでき、位置や姿勢を安定保持させるといった主に移動させない使い方の場合には滑り止め状態にできて、使い勝手に優れるように改善された家具用脚キャップを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、家具用脚キャップにおいて、家具類の脚先端に嵌着可能な有底筒状のキャップ基体1と、前記キャップ基体1の先端側に支持手段3を介して着脱可能に取付けられる接地体2とを有して成る。
【0010】
請求項1に係る発明の家具用脚キャップにおいて、前記キャップ基体1と前記接地体2とが、前記キャップ基体1の底面4aに交差する方向にて嵌り合う凹凸嵌合部9を有している。請求項1に係る発明の家具用脚キャップにおいて、前記接地体2が、前記キャップ基体1を受止める頂面8cと、載置面8bとを有する。載置面8bは、前記頂面8cに囲まれ、かつ、前記頂面8cとの間で段差を形成する。請求項1に係る発明は、家具用脚キャップにおいて、前記支持手段3が、前記キャップ基体1の底面4aに沿う状態で前記キャップ基体1と前記接地体2の前記載置面8bとに跨って配備される面ファスナであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の家具用脚キャップにおいて、前記キャップ基体1が弾性材から成り、かつ、前記キャップ基体1における家具類の脚を挿入させるための開口部5Bが窄められていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、接地体がキャップ基体に対して着脱可能に装備される構造としてあるから、詳しくは実施形態の項にて説明するが、例えば、接地体をゴム等の摩擦係数の高い材料で形成すれば滑り止め仕様の家具用脚キャップにでき、接地体を硬質樹脂等の摩擦係数の低い材料で形成すれば滑らせ仕様の家具用脚キャップにすることができる。そして、キャップ基体は共通で接地体のみの付け換えで済むから、構造簡単で簡単便利に、しかも家具の重さには無関係に滑らせ仕様と滑り止め仕様との変更が行える。その結果、軽重の重量条件や耐久性の問題が生じないようにしながら、家具類を主に移動させる使い方の場合には滑り易い状態にでき、位置や姿勢を安定保持させるといった主に移動させない使い方の場合には滑り止め状態にできて、使い勝手に優れるように改善された家具用脚キャップを提供することができる。
【0013】
また、請求項1の発明によれば、支持手段が、キャップ基体の底面に沿う状態の面ファスナであるから、構造簡単かつ廉価に構成できるとともに、せん断方向に強い耐力を持つから、家具の引き摺り方向に対して強く外れ難いものとなる利点がある。
【0014】
また、請求項1の発明によれば、凹凸嵌合部は、キャップ基体と接地体とを着脱可能に連結させる支持手段の補助的な機能を有して、接地体がキャップ基体から外れ難くするとともに、すっきりとした外観として見栄の向上にも寄与している。
【0015】
請求項2の発明によれば、キャップ基体の内側空間部が先拡がりしているから、脚の太さの大小に柔軟に対応できるものとしながら、開口部での家具類の脚の挟持力が増すようになっている。従って、脚サイズに広い範囲で適応しながら強力な保持力も発揮できる優れた家具用脚キャップが実現できている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】家具用脚キャップの正面図(実施例1)
図2図1の平面図
図3】キャップ基体の内部底面を示す図1のB−B線断面図
図4】内部構造を示す図2のA−A線断面図
図5】キャップ基体から接地体を外した状態の見下ろし斜視図
図6】キャップ基体から接地体を外した状態の断面図
図7】家具用脚キャップの使用例を示す斜視図
図8】実施例2による接地体の断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明による家具用脚キャップの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
〔実施例1〕
実施例1による家具用脚キャップ(以下、単に「脚キャップ」と略称する)Cは、図1図4図5に示すように、家具類の脚先端に嵌着可能な有底筒状でゴム(弾性材の一例)製のキャップ基体1と、キャップ基体1の下端側(先端側)に支持手段3を介して着脱可能に取付けられる硬質合成樹脂製の接地体2とを備えるとともに、軸心Pを有する平面視で円形のものに構成されている。
【0019】
キャップ基体1は、図1図6に示すように、家具類の脚底を載せ付け可能な底壁4、底壁4の外周に続いて上方に立ち上がる上窄まり円筒状の側周壁5、及び底壁4から下方に突出するボス筒壁6を有する略回転体に形成されている。側周壁5は、上窄まり円筒状の下部筒部5Aと、内周面及び外周面の双方が鋸刃状のギザギザ面に形成されて下部筒部5Aの上端に続く縮径された上部筒部(開口部の一例)5Bとを有している。上部筒部5Bがギザギザ面であるから、家具の太い脚を入れる場合に大径に伸ばし易いとともに、脚の断面形状が丸でも四角でも歪な形状でも適合して強固に弾性挟持させることができる。
【0020】
底壁4は、四角平面が軸心P周りに45度ずれて形成されたような平面視で星形(図3参照)を呈する下側の第1底面4Aと、その第1底面4Aを内側の打抜き孔として有するとともに側周壁5下端内側の円形外周を有する上側の第2底面4Bとを備える段差壁に形成されている。そして、底壁4の底面4aには、後述する面ファスナ3の構成要素であるパイル状ファスナ部分3Aが一体的に装備されている。
【0021】
接地体2は、ボス筒壁6に外嵌可能なカバー側壁7と、凸曲面状の底面8aを持つ接地壁8とから成る略有底筒状の部材であり、接地壁8の上面は、一段下がった環状の載置面8bと、ボス筒壁6のリング底面6aを受止める頂面8cとを備えている。載置面8bには、後述する面ファスナ3の構成要素である鉤状ファスナ部分3Bが一体的に装備されている。底面8aは、もっと小なる曲率で湾曲する面や平らな面でも良い。
【0022】
支持手段3は、キャップ基体1の底面4aに熱融着等によって一体化されるパイル状ファスナ部分3Aと、接地体2の載置面8bに接着等によって一体化される鉤状ファスナ部分3Bとで成る面ファスナである。つまり、支持手段3が、キャップ基体1の底面4aに沿う状態でキャップ基体1と接地体2とに跨って配備される面ファスナである。カバー側壁7をボス筒壁6に外嵌させて、頂面8cがリング底面6aに当接するまで接地体2をキャップ基体1に嵌め込み装着すると、鉤状ファスナ部分3Bとパイル状ファスナ部分3Aとが押付けられて面ファスナ3として機能する状態になるように設定されている。
【0023】
キャップ基体1は、家具類、例えば図7に示すように、椅子(図示省略)の脚11の下端部を強制挿入して係止させるためのものである。図7に示す脚11は、断面形状が正方形等の四角であって底部側壁4bに丁度内嵌して、脚底11aが第1底面4Aに当接している。従って、上部筒部5Bは元の丸形状からその丸が内接する程度の四角形状に弾性拡径され、脚11を強く締付けてしっかりと保持できるようになっている。尚、第1底面4Aより大きな径の脚の場合には、上部筒部5Bがさらに弾性拡径されて強固に挟持するとともに、脚底を第2底面4Bに載せ付けて安定保持させることが可能である。
【0024】
さて、家具類の脚下端に装着される脚キャップCは、窄められている上部筒部5Bの弾性嵌合によってしっかりと装着保持されており、その下部には低摩擦係数の硬質合成樹脂製接地体2が装備されているので滑りが良く、椅子を引き摺っても床に傷が付き難いとともに軽快に椅子を引き摺り移動することができる。面ファスナ3はせん断方向には引き剥がしに対して強い耐力があるものであるから、引き摺り等によってキャップ基体1と接地体2とを互いに横方向に引き離そうとする強い力が作用しても、接地体2がキャップ基体1から外れることはまず生じない。
【0025】
そして、カバー側壁7とボス筒壁6とにより、キャップ基体1と接地体2とが、キャップ基体1の底面4aに交差する方向(実施例1では直交)にて嵌り合う凹凸嵌合部9を有している。凹凸嵌合部9は、キャップ基体1と接地体2とを着脱可能に連結させる支持手段3の補助的な機能を有して、接地体2がキャップ基体1から外れ難くするとともに、すっきりとした外観として見栄の向上にも寄与している。
【0026】
接地体2がキャップ基体1に対して着脱可能であるから、例えば、ゴム等の摩擦係数の高い材料で形成され、かつ、鉤状ファスナ部分3Bが一体的に装備される接地体2に交換すれば、滑らせ仕様の脚キャップから滑り止め仕様の脚キャップに切り換えることができる。この場合、キャップ基体は共通であって接地体2のみ付け換えできるようになっているから、構造簡単で簡単便利に、しかも椅子等の家具の重さには無関係に滑らせ仕様と滑り止め仕様との変更が行えるという良さがある。
【0027】
また、図2等示すように、上部筒部5Bは外面12及び内面13共にギザギザ面であり、かつ、外面12の径外側に突出する凸ギザ12aと内面13の径外側に凹入する凹ギザ13aとが軸心Pに関する互いに同一な放射線上に位置するように構成されている。これにより、上部筒部5Bは一種の折り畳まれた襞のような壁になっており、材質がゴムであることによる伸びに加えて、構造上の伸び易さも加わり、かなりの範囲の脚11の径にも対応して挿入でき、かつ、しっかりと弾性挟持できるものとなっている。
【0028】
〔実施例2〕
接地体2としては、図8に示すように、接地壁8の底面にフェルトfを一体的に設けた滑らせ仕様のものも可能である。例えば、平面状の底面8aの中央部を凹ませて段差の付いた取付用面10を形成し、その取付用面10にフェルトfを一体的に設ける構成が考えられる。つまり、フェルト付接地体2を有する脚キャップCである。
【0029】
〔別実施例〕
凹凸嵌合部9としては、例えばカバー側壁7とボス筒壁6とを螺合させるといった具合に、螺着させる構成も可能である。面ファスナ3は、キャップ基体1に鉤状ファスナ部分3Bが固定され、かつ、接地体2にパイル状ファスナ部分3Aが固定される構造でも良い。
【符号の説明】
【0030】
1 キャップ基体
2 接地体
3 支持手段、面ファスナ
4a キャップ基体の底面
5B 開口部
9 凹凸嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8