(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736503
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】座席エレメントの形状を最適化する方法
(51)【国際特許分類】
A47C 31/12 20060101AFI20150528BHJP
A47C 7/02 20060101ALI20150528BHJP
B60N 2/44 20060101ALI20150528BHJP
G06F 17/50 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
A47C31/12
A47C7/02 Z
B60N2/44
G06F17/50 680Z
G06F17/50 604A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-502904(P2014-502904)
(86)(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公表番号】特表2014-514655(P2014-514655A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2012031851
(87)【国際公開番号】WO2012135827
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年11月22日
(31)【優先権主張番号】61/470,176
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ブラウアー,アール.,クラウス
【審査官】
早川 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−253392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 31/12
A47C 7/02
B60N 2/00−2/72
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席メンブレンの形状を最適化する方法であって、
(a)所定の姿勢で着座している被験者の接触身体部位の3次元マップを、1つ以上の定義された第1の参照平面で分割することにより複数の横断帯を形成するステップと、
(b)前記帯のそれぞれを複数のセルに分割し、前記各セルの、1つ以上の第2の参照平面からの変位の平均を計算するステップと、
(c)前記座席メンブレンの各端部を支持する枠部材の位置を、前記帯のそれぞれに対して定義するステップと、
(d)前記枠部材の位置から前記帯にかけて接触セルを識別し、前記枠部材の各位置から前記接触セルまでの支持帯の距離を計算するステップと、
(e)前記帯ごとに、前記被験者の身体表面の凹状領域を橋渡しする領域の最端部における前記座席メンブレンの位置を特定し、凹状領域の端から端までの支持帯の橋渡し距離を計算するステップと、
(f)前記身体と接触している支持帯の長さを計算するステップと、
(g)前記各支持帯のうちの有負荷部分の全長を計算するステップと、
(h)前記支持帯ごとに平均圧力乗数を計算するステップと、
(i)前記支持帯ごとに、望ましい、平面に垂直な総負荷を計算するステップと、
(j)前記各支持帯の、前記枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さを計算するステップと、
(k)前記各支持帯の、前記枠部材に取り付けられていない弛緩時の最適な長さを、前記枠位置及び座席メンブレン弾性に基づいて計算して、前記座席メンブレンの、前記枠部材に取り付けられていない弛緩時の形状を定義するステップと、
(l)前記各支持帯の、前記枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さのばらつきを利用して、座席メンブレン弾性を、複数の被験者に対応するように最適化するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
枠部材形状を最適化することに用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
新たな着座姿勢及び被験者に関してステップ(a)−(l)を繰り返すステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記横断帯は、前記被験者の左から右、又は右から左にかけて分割される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の第2の参照平面は、横断背面及び横断底面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記横断帯の識別は、前記横断帯が背面を向いているか底面を向いているかによって、並びに、前記横断帯の、前記背面と前記底面との交差箇所からの距離によって行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接触セルの識別は、隣接する枠部材の位置と各セルとをつなぐ線の傾斜を計算することによって行われ、左側枠部材の位置に対する傾斜が最小であるセルが、前記左側枠部材に対する接触セルであり、前記右側枠部材の位置に対する傾斜が最大であるセルが、前記右側枠部材の位置に対する接触セルであるように、識別が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記横断帯ごとの、前記被験者の身体表面の凹状領域を橋渡しする領域の最端部における前記座席メンブレンの位置は、前記横断帯の左側及び右側において変位が最大のセルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記枠部材の各位置から前記枠部材に対応する接触セルまでの距離を計算する前記ステップは、ピタゴラスの定理を用いて、枠部材の位置から、枠部材に対応する接触セルまでの水平距離の2乗と、前記接触セルの、前記枠部材の対応する位置に対する垂直変位の2乗との和の平方根として計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記身体と接触している前記各支持帯の長さは、前記左側接触セル(同セルを含む)から、左側において変位が最大であるセル(同セルを含む)にかけての隣接する各セルの中心間の距離の総和、並びに、前記右側接触セル(同セルを含む)から、右側において変位が最大であるセル(同セルを含む)にかけての各セルの中心間の距離の総和であり、隣接するセルの中心間の距離は、隣接セル間の水平距離の2乗と、前記隣接セル間の変位差の2乗との和の平方根として計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記各支持帯のうちの、有負荷部分の全長は、左右の前記枠部材位置から前記接触セルまでの距離と、前記橋渡し距離と、前記身体と接触している、左右の前記支持帯の長さと、の総和である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記支持帯ごとの前記平均圧力乗数は、前記左側枠部材の位置から前記左側接触セルまでの距離と、前記右側枠部材の位置から前記右側接触セルまでの距離との和を、前記左側枠部材の位置からの、前記左側接触セルの変位と、前記右側枠部材の位置からの、前記右側接触セルの変位との和で割ったものである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記支持帯ごとの、平面に垂直な総負荷は、圧力測定マット及び被験者が自由吸収パッドによって支持されている場合の、前記支持帯に沿って前記圧力測定マットで測定された圧力の総和として計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記各支持帯の、前記枠部材に取り付けられていない弛緩時の形状は、前記各帯のそれぞれの弛緩時の最適な長さに対応する、前記各帯の、背面と底面との交差箇所からの横断幅によって定義される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初は平坦なメンブレンを座席底面部材又は座席背面部材として使用して着座乗客を支持する一般的なタイプの座席に関する。このメンブレンは、織布又は編布、或いは他の生地であってよく、弾性はあってもなくてもよい。
【背景技術】
【0002】
航空機の乗客座席は、乗客の安全及び快適さを損なわない範囲で可能な限り軽量であることが求められる。乗客の快適さは、ある程度までは着座時間に依存し、着座時間自体は、搭乗及び降機、滑走、及び飛行の各時間の関数である。輸送距離が比較的短く、座席クラスが1つしかない通勤用航空機の座席は、一般に、クッション材が少ない軽量の座席である。多くの場合、座席の底面及び背もたれの支持具は、管状枠部材に張られた布メンブレンで形成され、最初は平坦である。即ち、無負荷時は、スパン幅にまたがる単一の2次元平面を形成している。このメンブレンは、座席クッションで覆われている場合がある。有負荷時は、上に重なる座席クッションとメンブレンとの複合変形により、着座乗客の臀部(即ち、尻)、大腿部、及び背中と接する表面積が大きくなって、これらの部位にかかる圧力が低減される。
【0003】
要求されている重量、重力負荷、材料、快適さ、及び摩耗寿命の各条件の範囲内で、座席底面又は座席背面のメンブレンの、「弛緩」状態での最適な特性を決定することが、メンブレンが、張力がかかった状態で取り付けられ、重量に起因する負荷をかけられるときに座席が快適であるようにする為のベースとして望ましい。
【0004】
航空機の座席設計の要求されているパラメータの範囲で、座席の最適なサイズ及び形状を決定することは、特に困難である。椅子を購入する人が、個人又は少数の既知の体格の要件に応じた椅子を選択して購入することが可能であるのとは異なり、多種多様な体形に対応しなければならない。会議室の座席、劇場の座席、及び他の集団用座席も、重量はともかく快適さに関しては、航空機の乗客座席の場合と同様の困難な課題となりうる。これは各個人が各人専用の座席を選択する機会を持たない為である。こうしたことから、本出願における本発明の説明及び記載は、特に、航空機の座席の形状を最適化することに関するが、本出願において提示される方法は、様々な場所で使用される他のタイプの座席にも適用可能である。
【0005】
既知のメンブレン懸架座席の設計は、人口集団中に存在する多種多様な体形に対して、或いは複数の姿勢に対して、座席を最適化するメカニズムを提供していない。そこで、必要とされているのは、一般的に遭遇する範囲の乗客及び着座姿勢に対して座席メンブレンを最適化する為の、軽量座席メンブレンに適用可能なメカニズム、並びに方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/112219(A1)号パンフレット
【特許文献2】米国特許第3,081,129号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、単一の姿勢又は様々な姿勢の、ある範囲の個人体形に対して最適化された座席コンポーネントの形状を定義する方法が、本明細書において提供される。
【0008】
別の態様では、本方法は、所与の姿勢、又は複数の姿勢の、ある定義された(又は全ての)人口集団を支持することに最適化された変形特性又は弾性特性が与えられたメンブレンの2次元形状を定義するステップを含む。
【0009】
更に別の態様では、本方法は、身体表面の3次元マップを、着座している個人を支持することに使用される2次元メンブレン及び関連する構造物についての最適値に変換することを含む。
【0010】
更に別の態様では、本方法は、所与の姿勢の複数の体形を支持する2次元メンブレン及び関連する構造物についての最適値を決定することを含む。
【0011】
更に別の態様では、本方法は、複数の姿勢の複数の体形を支持する2次元メンブレンについての最適値を決定することを含む。
【0012】
更に別の態様では、本方法は、所与の姿勢の複数の体形を支持する2次元メンブレンをつり下げることに使用される枠部材の最適形状を決定することを含む。
【0013】
更に別の態様では、本方法は、複数の姿勢の複数の体形を支持する2次元メンブレンをつり下げることに使用される枠部材の最適形状を決定することを含む。
【0014】
更に別の態様では、本方法は、所与の姿勢の複数の体形を支持する2次元メンブレンにおける局所的な弾性についての最適値を決定することを含む。
【0015】
更に別の態様では、本方法は、複数の姿勢の複数の体形を支持する2次元メンブレンにおける局所的な弾性についての最適値を決定することを含む。
【0016】
上述及び他の態様及び利点を達成する為に、一実施形態では、座席メンブレンの形状を最適化する方法が提供され、本方法は、(a)所定の姿勢で着座している被験者の接触身体部位の3次元マップを、1つ以上の定義された参照平面を複数の横断帯に分割することにより形成するステップと、(b)各帯を複数のセルに分割し、それらのセルの、上記1つ以上の参照平面からの変位の平均を計算するステップと、(c)座席メンブレンの各端部を支持する枠部材の位置を、各帯に対して定義するステップと、(d)枠部材の位置から帯にかけて接触セルを識別し、枠部材の各位置から接触セルまでの距離を計算するステップと、(e)帯ごとに、被験者の身体表面の凹状領域を橋渡しする領域の最端部における座席メンブレンの位置を特定し、凹状領域の端から端までの支持帯の橋渡し距離を計算するステップと、(f)身体と接触している支持帯の長さを計算するステップと、(g)各支持帯のうちの有負荷部分の全長を計算するステップと、(h)前記支持帯ごとに平均圧力乗数を計算するステップと、(i)支持帯ごとに、望ましい、平面に垂直な総負荷を計算するステップと、(j)各支持帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さを計算するステップと、(k)各支持帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の最適な長さを、枠位置及び座席メンブレン弾性に基づいて計算して、座席メンブレンの、枠部材に取り付けられていない弛緩時の形状を定義するステップと、(l)各支持帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さのばらつきを利用して、座席メンブレン弾性を、複数の被験者に対応するように最適化するステップと、を含む。
【0017】
本方法は更に、座席メンブレンを支持する枠部材形状を最適化することに使用されてよい。
【0018】
本方法は更に、新たな着座姿勢及び複数の被験者に関してステップ(a)−(l)を繰り返すステップを含んでよい。
【0019】
参照平面は、被験者の背中と平行な横断背面と、被験者の臀部及び大腿部の底面と平行な横断底面と、を含んでよい。横断帯の識別は、それらが背面を向いているか底面を向いているかによって、及び、それらの、背面と底面との交差箇所からの距離によって行われる。
【0020】
接触セルの識別は、隣接する枠部材の位置と各セルとをつなぐ線の傾斜を計算することによって行われてよく、左側枠部材の位置に対する傾斜が最小であるセルが、左側枠部材に対する接触セルであり、右側枠部材の位置に対する傾斜が最大であるセルが、右側枠部材の位置に対する接触セルであるように、識別が行われてよい。
【0021】
各支持帯のうちの、有負荷部分の全長は、左右の枠部材位置から接触セルまでの距離と、橋渡し距離と、身体と接触している、左右の支持帯の長さと、の総和であってよい。
【0022】
別の実施形態では、様々な姿勢の、ある範囲の個人体形に対して座席コンポーネントの形状を最適化する方法が、本明細書において提供され、本方法は、(a)乗客の負荷により変形した座席メンブレンの3次元マップを、座席メンブレンの中心線を横切り、参照平面を基準とする、複数の帯に分割するステップと、(b)各帯を複数の均等なセルに分割し、それらのセルの、参照平面からの変位の平均を計算するステップと、(c)座席メンブレンの端部を支持する枠部材の位置を、各帯に対して定義するステップと、(d)枠部材から帯にかけて接触セルを識別するステップと、(e)枠部材から接触セルまでの距離を計算するステップと、(f)帯ごとに、乗客の身体表面の凹状領域を橋渡しする領域の端部における座席メンブレンの位置を特定し、凹状領域の端から端までの帯の橋渡し距離を計算するステップと、(g)身体と接触している帯の長さを計算するステップと、(h)各帯のうちの有負荷部分の全長を計算するステップと、(i)帯ごとに平均圧力乗数を計算するステップと、(j)帯ごとに、望ましい、平面に垂直な総負荷を計算するステップと、(k)各帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さを計算するステップと、(l)各帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の最適な長さを、枠位置及び座席メンブレン弾性に基づいて計算して、座席メンブレンの、枠部材に取り付けられていない弛緩時の形状を定義するステップと、(m)複数の被験者についての、各帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さのばらつきを利用して、座席メンブレン弾性を最適化するステップと、を含む。
【0023】
本発明の更なる特徴、態様、及び利点が、以下の詳細説明において記載され、一部は、その説明から当業者にとって自明であるか、本明細書に記載のように本発明を実施することによって認識されるであろう。上述の概要説明及び以下の詳細説明は、本発明の各種実施形態を紹介するものであり、特許請求される本発明の性質及び特性を理解する為の概要又は枠組を提供することを意図したものであることを理解されたい。添付図面は、本発明の更なる理解を提供する為に含まれており、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を成している。
【0024】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、本発明の以下の詳細説明を、添付図面を参照しながら読むことにより、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】選択された姿勢で着座している被験者のメンブレン変位を表す3次元マップである。
【
図2】
図1から取られた、単一の所定の参照平面における被験者の左から右、又は右から左の単一横断帯の3次元マップである。
【
図3】従来の2次元数学平面上に表された、
図2の単一横断帯を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の例示的実施形態が示されている添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多様な形態で実施可能であり、本明細書に記載の代表的な実施形態に限定されると解釈されてはならない。例示的実施形態は、本開示が、綿密であり、完結したものとなるように、且つ、本発明の範囲を完全に伝達して、当業者が本発明を作成、使用、及び実施することを可能にするように、提供される。各図面を通して、同様の参照番号は、同様の要素を指している。
【0027】
3次元マップを取得し、所望の圧力分布を定義するプロセス自体は、当該技術分野において既知である。例えば、国際公開第2010/112219(A1)号パンフレット及び米国特許第3,081,129号明細書を参照されたい(これらの開示は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれている)。本発明の方法は更に、メンブレンを支持することに使用される枠部材の形状の最適化、並びに、支持メンブレンの局所的な変形及び/又は弾性の最適化を提供する。そのような3次元マップの作成、及び圧力分布の定義は、本発明の一部を成すものではない。
【0028】
本明細書において、メンブレンに関して用いられる用語「平坦な」及び「2次元の」は、メンブレンの平たい無負荷形状を指す。メンブレンは、厚さがある為、厳密な意味では2次元ではない。本明細書に記載の本発明の方法を実施する目的に関しては、第3の次元(即ち、メンブレンの厚さ)は、有意ではない。
【0029】
本発明の一実施形態は、まず、(例えば、
図1に示されるような)3次元マップを作成するステップを含む。所定の身体部位をメンブレンに接触させて、所定の姿勢で着座している被験者ごとの1つ以上のマップは、定義された1つ以上の参照平面において、
図2及び
図3に示されるように、複数の横断帯に(即ち、被験者の左から右に、又は右から左にかけての帯に)分割される。
【0030】
図2及び
図3に示された各帯は、例えば1センチメートル幅であり、被験者の背中とほぼ平行な横断面、又は、被験者の臀部及び大腿部の底面とほぼ平行な横断面のいずれかを向いている。帯の識別は、それらが背面を向いているか底面を向いているかによって、及び、それらの、背面と底面との交差箇所からの距離によって行われる。
【0031】
図3に示されるように、各横断帯20は、複数のセルに分割され、各セルの、参照平面からの平均変位D2が計算される。各セルは、1センチメートル幅になるように選択されているが、他の値も想定される。一実施形態によれば、
図3では、各帯は、従来の直角2次元数学的平面の第1象限の原点の右方及び上方において、ほぼ水平(x)軸方向に広げられて示されており、変位D2は、垂直(y)軸方向に示されている。メンブレンの各端部を支持する枠部材30及び31の位置は、各帯に対して定義されている。
【0032】
本方法は次に、枠部材30、31の位置から帯20への線における接点(又は接触「セル」)40、41を識別して引き出すステップに進む。接触セル40、41の識別は、枠部材の位置と各セルとをつなぐ線の傾斜を計算することにより、行われる。左側枠部材の位置30に対する傾斜が最小であるセルが、左側枠部材の位置に対する接触セル40である。右側枠部材の位置31に対する傾斜が最大であるセルが、右側枠部材の位置に対する接触セル41である。
【0033】
本方法は、枠部材の各位置から、これらに対応する接触セルまでの距離D5、D6を計算するステップに進む。これらの距離は、ピタゴラスの定理を用いて、枠部材30、31の位置から、これらに対応する接触セル40、41までの水平距離の2乗と、接触セル40、41の、枠部材30、31の対応する位置に対する垂直変位の2乗との和の平方根を計算することにより、計算することが可能である。30、31において枠部材に取り付けられた無負荷(即ち、乗客不在時)のメンブレンの位置は、枠部材30、31の位置間に描かれた直線35で近似可能であり、変位を測定する際の代替参照として使用可能である。
【0034】
本方法は、横断帯ごとに、背骨に沿う身体表面、並びに臀部と大腿部との間の身体表面の凹状領域を支持メンブレンが橋渡しする領域の最端部における支持メンブレンの位置50、51を特定するステップに進む。
【0035】
これらの位置は、帯の左側において変位が最大であるセル50、並びに帯の右側において変位が最大であるセル51で近似される。次に、支持帯の、凹状領域の端から端までの橋渡し距離D7を計算する。本発明の好ましい一実施形態では、橋渡し距離は、ピタゴラスの定理を用いて、帯の左側において変位が最大であるセル50と、帯の右側において変位が最大であるセル51との間の水平距離の2乗と、帯の左側において変位が最大であるセル50と、帯の右側において変位が最大であるセル51との間の変位差の2乗との和の平方根を計算することにより、近似される。
【0036】
次に、身体と接触している支持帯の長さL8、L9を計算する。
【0037】
身体と接触している左側及び右側の支持帯の長さL8及びL9は、左側接触セル40(同セルを含む)から、左側において変位が最大であるセル50(同セルを含む)にかけての隣接する各セルの中心間の距離の総和、並びに、右側接触セル41(同セルを含む)から、右側において変位が最大であるセル51(同セルを含む)にかけての各セルの中心間の距離の総和で近似される。隣接するセルの中心間の距離は、隣接セル間の水平距離の2乗と、隣接セル間の変位差の2乗との和の平方根として計算される。
【0038】
本方法は、各支持帯のうちの、有負荷部分の全長を計算するステップに進む。
【0039】
各支持帯のうちの、有負荷部分の全長は、(左右の)枠部材位置から接触セルまでの距離(ステップ5からのD5+D6)と、橋渡し距離(ステップ7からのD7)と、身体と接触している(左右の)支持帯の長さ(ステップ8からのL8+L9)と、の総和で近似される。
【0040】
本方法は、帯ごとに平均圧力乗数を計算するステップに進む。圧力乗数は、左側枠部材の位置30から左側接触セル40までの距離と、右側枠部材の位置31から右側接触セル41までの距離との和を、左側枠部材の位置30からの、左側接触セル40の変位と、右側枠部材の位置31からの、右側接触セル41の変位との和で割ったものとして計算される。
【0041】
本方法は、支持帯ごとに、望ましい、平面に垂直な総負荷を計算するステップに進む。支持帯ごとの、平面に垂直な負荷は、従来型の圧力測定マット及び乗員が自由吸収パッドによって支持されている場合の、当該帯に沿って圧力測定マットで測定された圧力の総和として計算される。
【0042】
支持帯ごとに、望ましい、平面に垂直な総負荷を計算した後、各帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さを計算する。メンブレン材料の弾性は、次式で定義される。
LL=LR+f(T)
但し、LLは、有負荷時の長さであり、LRは、弛緩時の長さであり、Tは、材料にかかる張力である。
【0043】
支持帯にかかる張力は、次式で計算される。
T=L×MP
但し、Lは、望ましい、平面に垂直な負荷であり、MPは、上述のように既に計算されている平均圧力乗数である。
【0044】
支持帯の弛緩時の長さは、次式で計算される。
LR=LL−f(L×MP)
但し、LLは、上述のように計算された、有負荷時の長さである。
【0045】
各帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さは、枠部材の位置30、31の間の距離より短いことが常に予期されうる。
【0046】
本方法は、既述の枠部材位置及びメンブレン弾性の場合の、所与の姿勢における、帯ごとの、枠部材に取り付けられていない弛緩時の最適な長さを計算するステップに進む。
【0047】
対応する支持帯の弛緩時の長さ、即ち、サンプリングされた全ての個人についての、背面と底面との交差箇所から等距離にある、同一平面上の長さは、個人の身長の、一般成人人口における出現度数によって重み付けされる。姿勢ごとの支持帯の、つい先ほど説明されたように計算され、重み付けされる算術平均を計算して最適値とする。最頻値、中央値、又は他の要約統計量を算出し、代替の最適値として選択してもよい。
【0048】
本方法は、支持メンブレンの、枠部材に取り付けられていない弛緩時の形状を定義するステップに進む。最適な支持メンブレンの、枠部材に取り付けられていない弛緩時の形状は、対応する帯の弛緩時の最適な長さに対応する、背面と底面との交差箇所からの1センチメートル刻みの横断幅(即ち、各帯に対して選択される幅)によって定義される。
【0049】
本方法は次に、複数の乗客について計算された、対応する帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さのばらつきを用いて、最適な枠部材形状を導くステップに進む。まず、対応する帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さの、全ての乗客についての標準偏差を計算する。ばらつき(即ち、標準偏差)が例外的に高いことがわかった場合は、枠部材の位置を外向きに、且つ/又は、(背面において)前向きに、又は(底面において)上向きに動かし、ここまでの方法ステップに従って、弛緩時のメンブレン形状を再最適化する。
【0050】
次に、複数の乗客の、対応する帯の、枠部材に取り付けられていない弛緩時の長さのばらつきを用いて、最適なメンブレン弾性を導く。上述のように、全ての乗客について、対応する帯の弛緩時の長さの標準偏差を計算する。ばらつき(即ち、標準偏差)が例外的に高いことがわかった場合は、局所的な弾性がより高いメンブレンをその帯の領域で用い、ここまでの方法ステップに従って、弛緩時のメンブレン形状を再最適化する。
【0051】
複数の姿勢に関して座席を最適化する為に、上述の方法ステップを、新たな姿勢に対して繰り返すことが可能である。
【0052】
ここまで、2次元の座席エレメントの形状を最適化する方法について述べてきた。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の様々な細部を変更してよい。更に、前述の、本発明の実施形態、並びに本発明を実施する最良の形態の説明は、限定ではなく例示のみを目的としたものであり、本発明は、特許請求の範囲により定義される。