(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記肢閉塞圧手段は、前記圧力を選択された動脈拍動に同調して第1レベルから前記動脈拍動のときに前記圧力信号により示された圧力のレベルと増加圧力レベルとの和に等しい第2レベルへ増加させる、請求項2に記載の止血装置。
前記血流変換手段は、前記カフに対して末梢側に位置する前記肢の一部に取り付けられ、前記血流信号は、前記カフを通過して前記肢の一部へ流れた血流の量を示す、請求項1に記載の止血装置。
前記圧力のレベルが零に近いときに前記血流信号の質が、予め決められた最低限の質より低い場合、操作者により知覚される表示をする血流質手段を有する、請求項4に記載の止血装置。
前記圧力のレベルが零に近いときに前記血流の量が、予め決められた最低レベルより少ない場合、操作者により知覚される表示をする血流質手段を有する、請求項4に記載の止血装置。
前記血流変換手段は、前記カフに対して末梢側に位置する前記肢の一部に取り付けられ、前記血流信号は前記肢の一部の中の血流の量を示し、前記肢閉塞圧手段は前記血流の動脈拍動を検出し、
前記圧力のレベルが零に近いときに前記動脈拍動の大きさが、予め決められた最小レベルより大きくない場合、操作者により知覚される表示をする血流質手段を有する、請求項1に記載の止血装置。
前記肢閉塞圧手段は前記血流の動脈拍動を検出し、前記血流質手段は、前記動脈拍動の大きさが前記血流質レベルより大きくない場合、操作者により知覚される表示をする、請求項8に記載の止血装置。
前記血流の量が少なくとも前記血流質レベルと等しい場合に前記操作者が前記肢閉塞圧手段の操作を開始することを可能にするオペレーターキー手段を有する、請求項8に記載の止血装置。
前記オペレーターキー手段は、前記血流の量が前記血流質レベルより少ない場合に前記操作者が前記肢閉塞圧手段の操作を開始することを防止する、請求項10に記載の止血装置。
【背景技術】
【0002】
手術用の止血装置は、一般に、患者の肢の一部への動脈血の流れを止めるために使用され、これにより、手術の実行を容易にし、手術の結果を向上させる明瞭で乾いた手術野をもたらす。従来の止血装置は、所望の位置における前記患者の肢を取り巻く止血用のカフと、止血器具と、該止血器具に前記カフを接続する柔軟な管とを有する。いくつかの止血装置では、前記カフは膨張可能部分を有し、該膨張可能部分は柔軟な合成樹脂製の管により1つ又は2つのカフポートを介して前記止血器具に空気圧的に接続されている。前記止血器具は、前記カフが所望の位置における前記患者の肢に取り付けられているとき、前記カフの前記膨張可能部分の圧力を、手術中に動脈血流が前記カフを通過することを阻止するために必要な最低圧力より大きい基準圧力に近い圧力に維持する圧力調整器を有する。このような空気圧式の止血装置は特許文献1ないし5に記載されている。
【0003】
いくつかの止血装置は、別個の2つの空気圧的なカフポートを備える止血用のカフを有し、各カフポートと前記止血器具とを柔軟な合成樹脂製の管により別個に接続することにより、前記カフの前記膨張可能部分と前記止血器具との間に別個の2つの空気通路が設けられている。このような止血装置はデュアルポート止血装置と呼ばれている。特許文献1に記載された従来のデュアルポート止血装置では、前記止血器具の空気圧調整装置が一方のカフポートを介して前記カフの前記膨張可能部分に空気圧的に接続され、前記止血器具の圧力センサーが他方のカフポートを介して前記カフの前記膨張可能部分に空気圧的に接続されている。この構造は、シングルポート止血装置と比べ、前記肢を取り巻く前記カフの前記膨張可能部分の実際の圧力のより正確な検出、監視及び連続的調整を可能にする。
【0004】
従来のシングルポート止血装置では、前記カフが1つのポートのみを有し、前記カフと前記止血器具との間に1つの空気通路のみが設けられている。実際のカフ圧は、手術中に前記カフの中の圧力の増加、低減及び調整をするために使用される同一の管及びポートを介して間接的に検出されなければならない。このため、前記シングルポート止血装置では、圧力調整の精度及び速度及び検出されたカフ圧の精度が、前記ポートの中及び前記ポート及び前記カフを前記止血器具に空気的に接続する柔軟な合成樹脂製の管の中の空気の流れの抵抗による影響を受ける。このようなシングルポート止血装置の特徴は、デュアルポート止血装置に比べ、肢閉塞圧(LOP、以下に定義する。)の測定の精度及び速度にも影響を与える。
【0005】
医学文献に発表された多くの研究によれば、最も安全な止血圧力は、特定の患者の手術中に、その患者に取り付けられた特定のカフを動脈血の流れが通過することを阻止する最低圧力である。これらの研究によれば、より高い止血圧力は、止血に関連する傷害を前記患者に与えるより高い危険性を有する。このため、止血装置を手術に使用するとき、手術担当者は、安全であると判断した最も低い止血圧力を用いる。
【0006】
定圧止血装置の圧力を設定するための最適な指針が前記肢閉塞圧(LOP)に基づいていることが医学文献に明らかにされている。前記肢閉塞圧は、特定の位置における特定の患者の肢に取り付けられた特定のカフに特定の時間に、前記カフに対して末梢側の位置における前記肢への動脈血の流れを止めるために必要な最低圧力と定義されている。現在確立されている、前記肢閉塞圧に基づく止血圧力の値を設定するための指針では、生理的特徴の変化と手術中に生じることがある他の変化とを考慮して、測定された肢閉塞圧の値に圧力の安全
マージンが加えられる。
【0007】
前記手術担当者は、前記カフを通過し、該カフの末梢側に位置する前記肢へ流れる動脈血流の量の指標として前記肢の動脈拍動を検出することにより、手動で前記肢閉塞圧を測定することができる。前記動脈拍動は、心臓の定期的な収縮により生じる血流による前記カフの末梢側の前記肢の中の動脈の律動的膨張又は拍動と定義される。前記血流の量の検出は、前記動脈拍動を測定する、触診、ドップラー超音波法又は光電脈波法によりなされる。前記動脈血流の量の指標としての前記動脈拍動の監視に基づく肢閉塞圧手動測定の第1の方法は、以下のとおりである。前記動脈拍動が検出されなくなるまで、操作者が前記カフの末梢側における前記肢の前記動脈拍動を監視しつつカフ圧を零から徐々に増加させる。前記動脈拍動が検出されない最も低いカフ圧は上昇肢閉塞圧と定義されている。第2の方法は、前記操作者が前記カフの末梢側における前記動脈拍動の発生を検出するために監視しつつカフ圧を徐々に低減させる。前記動脈拍動が検出される最も高いカフ圧は下降肢閉塞圧と定義されている。このような前記肢閉塞圧の手動測定の精度は、前記動脈拍動を検出し、監視する方法の感度、精度及びノイズ排除性と、前記操作者の技能、技術及び一貫性とに左右される。最良の状況下で、手動で前記肢閉塞圧を正確に測定するため、末梢側の血流量の指標としての拍動を検出し、監視する繊細かつ精確な方法を用いて、熟練の、経験豊かな、一貫性のある操作者に相当の経過時間を要する。
【0008】
いくつかの止血装置は、前記肢閉塞圧を自動的に測定する手段を有する。自動的な肢閉塞圧測定手段を有する止血装置は特許文献3、4及び6に記載されている。これらの止血装置は、末梢側に位置する前記肢の内部の血流量を検出するために光電脈波の原理を利用する血流変換器を有するが、従来、他の原理に基づいて血流量を測定する他の変換器が提案されている。光電脈波の原理を利用する血流変換器は、残存血液量と前記動脈拍動により変化する血液量との組合せからなる、変換領域に存在する血液の量を示すために光を使用する。手術中に前記動脈血流を安全に止める最も低い止血圧力の値を前記手術担当者が選択することを助ける指針として「推奨止血圧力値」(RTP)を提供するため、自動的に測定された肢閉塞圧の値に医学文献による推奨に基づく圧力の安全
マージンが加えられる。前記止血装置は、前記手術担当者が前記患者の止血圧力の値として前記肢閉塞圧の値に基づく前記推奨止血圧力値を選択すること又は手術が行われている施設における医師の判断又は指示に基づく他の圧力の値を選択することを許す。測定された肢閉塞圧の値と、前記推奨止血圧力値でもよい、手術のために選択された止血圧力の値との差は、カフ圧の安全
マージンと定義されている。理想的には、前記安全
マージンは、麻酔に使用された薬により引き起こされる変化、手術に対する前記患者の生理反応及び他の変数による、手術中に通常予想される前記肢閉塞圧の増加の大きさより大きいものとなるように選択される。血圧の変化は、手術中に変化する1つの生理的特徴であり、手術中に前記肢閉塞圧に影響を与え、手術中に前記安全
マージンに影響を与えると見られている。例えば、前記患者の血圧の増加は、前記肢閉塞圧の値の増加を招き、前記安全
マージンの低減を招く。
【0009】
肢閉塞圧自動測定手段を有する従来の止血装置は、個々の患者のための止血圧力の値の最適な設定を推奨できるにも拘らず、前記止血装置の幅広い受入れ及び日常的使用を妨げる性能の限界を有する。前記限界は、主に、安全性、良好な肢閉塞圧測定の可能性、前記肢閉塞圧測定の迅速性及び前記肢閉塞圧測定の正確性という4つの分野にある。
【0010】
安全性について、前記カフ圧を、肢閉塞圧測定中、重要な期間に血流が前記カフを通過することを止めるために必要な圧力より著しく高い圧力まで上昇させないことが望ましい。なぜなら、カフ圧を著しく増加させた場合、止血に関連する傷害の可能性が増すことが知られているからである。このため、高いカフ圧から下降させることにより前記肢閉塞圧を測定する従来の止血装置は、低い圧力から上昇させることにより前記肢閉塞圧を測定する止血装置より望ましくないと考えられている。安全性に関しても、得られた肢閉塞圧の測定値が、測定された肢閉塞圧の値に基づく止血圧力の値の設定を可能にする程度に十分に正確であることを保証しつつ、肢閉塞圧測定を極力迅速に行うことが望ましい。前記肢閉塞圧測定の迅速性は、安全性及び性能に関する以下の3つの理由から望ましい。第1に、より長い止血時間は、止血に関連する傷害の高い可能性を有することが知られている。第2に、肢閉塞圧測定中、仮に、非常に長い時間、加圧されたカフにより前記肢からの血液の静脈流出が制限された場合、動脈流入からの前記肢の血液の滞留が生じ、有害な、残留血液からの前記肢の受動充血を招くことがある。第3に、光電脈波血流変換器が本質的に残留血液量と変換領域の前記動脈拍動から生じる変動血液量との組合せの指標を与えるため、長い測定期間に前記肢の残留血液の増加を継続させることが光電脈波血流変換器に測定誤差を生じさせる。これにより、前記肢閉塞圧測定の良好な終了のための時間を長期化させ又は良好な肢閉塞圧測定を不可能にする。
【0011】
肢閉塞圧測定機能を有する従来の止血装置を用いた、手動の肢閉塞圧測定の経験によれば、全ての患者の前記肢閉塞圧を測定することは実際には可能ではない。これは、解剖学的及び生理学的な要素の変化のため、前記カフの末梢側に位置する血流変換器により測定される動脈血流の質及び量が一部の患者において測定又は分析に十分ではないからである。一部の患者については、医師は、自らの決定に基づく標準的な止血圧力値設定に戻さなければならない。前記肢閉塞圧測定が良好に終了されない可能性のある患者及び状況を迅速に特定するため、前記血流変換器により測定された前記カフの末梢側の血流の質のいくつかの側面を特徴付ける手段が特許文献6に記載されている。従来の止血装置には、前記肢閉塞圧測定の開始前に、測定された血流の質を改善するために前記操作者が前記肢に対する前記血流変換器の位置決め及び調整をすることを助けるため、前記操作者により知覚される、前記血流変換器の位置の血流の質の表示を有するものはない。
【0012】
前記肢閉塞圧測定が可能である患者に対してでさえ、従来の止血装置は、自動肢閉塞圧測定を良好に終了させるために多くの時間を要する。前記した安全性に関する考慮に加え、従来の止血装置により前記肢閉塞圧測定に必要とされる長い時間は、手術室の通常の活動を中断又は遅延させ、手術の効率に悪影響を与えることがある。これは、一部には、前記肢に対する前記血流変換器の動きによるカフ圧の変化の発生とノイズの導入とを避けるため、肢閉塞圧測定中に前記肢が静止状態を維持しなければならないからである。前記肢閉塞圧測定のための従来の止血装置では、前記カフの前記基準圧力は、典型的には、増加する圧力の予め決められた増加量ずつ零から増加される。前記基準圧力の前記増加量又はステップの後、測定値が前記血流変換器から得られ、増加された実際のカフ圧と関係付けられる前に、前記カフ圧を安定させるために時間を要する。従来のシングルポート止血装置では、前記カフ圧を安定させるために必要な時間が重要である。このような従来の止血装置における、実質的に増加する予め決められたステップの大きさは、前記肢閉塞圧測定の迅速性を向上させるかもしれないが、前記肢閉塞圧測定の正確性を低下させることがある。前記止血装置では、正確な肢閉塞圧測定に必要な合計時間は、重要であり、前記肢閉塞圧測定が良好に終了するまで又は前記肢閉塞圧が測定されることなく任意の最高圧力限界に達するまで、前記基準圧力を予め決められたステップずつ零から増加させるために必要な時間と、前記ステップの後に実際のカフ圧を安定させるために必要な時間と、前記ステップにおいて前記血流変換器から測定値を得るために必要な時間とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図示の実施例は、包括的なもの又は開示された形式に本発明を限定するものではない。前記実施例は、本発明の原理及びその実用的用途を説明するために選択され、記載されている。これにより当業者は本発明を利用することができる。
【0018】
ハードウエア
図1に、多導体シールドケーブル8を介して止血器具6に接続され、患者の肢4の指に取り付けられた血流変換器2を示す。血流変換器2は、肢4に取り付けられた加圧用のカフ10に対して末梢側の位置における肢4に取り付けられている。血流変換器2は、肢4の中の血流量と、カフ10の加圧により肢4に生じる血流量の変化とを検出する。血流変換器2は、止血器具6が肢閉塞圧(LOP)の自動測定を行っている間に止血器具6により使用される。前記肢閉塞圧は、特定の位置における特定の患者の肢に取り付けられた特定のカフに特定の時間に、前記カフに対して末梢側の位置における前記肢への動脈血の流れを止めるために必要な最低圧力と定義されている。
【0019】
血流信号質計12が血流変換器2の一部を構成し、血流変換器2の操作者は血流信号質計12を容易に見ることができる。好適な実施例では、血流信号質計12は緑色及び赤色の二色のLEDであるが、前記操作者に見える他の形式の計器が使用されていてもよい。血流信号質計12の緑色LEDは、血流変換器2により検出された血流量を示す信号が、予め決められた最低質基準値を上回り、前記肢閉塞圧の自動測定を開始してもよいときの指標を与えるために点灯される。前記信号が前記最低質基準値を上回らない場合、血流信号質計12の赤色LEDが点灯され、前記操作者が血流変換器2の位置を変更するか又は信号質を改善するために他の調整をするまで前記肢閉塞圧の自動測定は禁止される。血流変換器2の位置における血流信号質の即時のフィードバックは、血流変換器2が肢4の指に正確に取り付けられていること、受入れ可能な質の血流信号が利用可能であること及び前記肢閉塞圧の自動測定が可能であることを保証する便利な手段を前記操作者に提供する。
【0020】
血流変換器2は、押されたときに前記肢閉塞圧の自動測定を開始する肢閉塞圧測定キー14を有する。
【0021】
カフ10は止血器具6に空気圧的に接続可能である。加圧用のカフ10の膨張可能部分は、1つの空気圧的接続部を有し、特許文献7ないし10に記載されたカフとデザイン及び構造において類似している。カフ10は、医療装置を無菌の手術野の中で安全に使用できる消毒レベルまで医療装置を消毒するために通常使用される方法により消毒され、該消毒に耐えることができる材料からなり、手術室環境下の無菌の手術野の中で使用される。カフ10はシングルポートカフであり、カフ10の前記膨張可能部分への空気通路がカフポート16により構成されている。
図1に示したカフポート16は、カフ10への空気圧的な接続が無菌の手術野の外でなされる程度に十分な長さを有する。カフポート16は、雄コネクター18(DSM2202, Colder Products Company, St. Paul, MN)を備え、雌コネクター20(PMC1704, Colder Products Company, St. Paul, MN)に解除可能に空気圧的に接続されている。明確にするため、
図1に示した雄コネクター18及び雌コネクター20は分離されているが、以下の説明において、雄コネクター18及び雌コネクター20は、結合され、止血器具6とカフ10との間の空気通路の一部を構成している。カフ10への止血器具6の空気圧的な接続は、雌コネクター20を備える柔軟な合成樹脂製の管22によりなされている。
【0022】
止血器具6は、
図1に示したように、グラフィックディスプレーパネル24と、キーパッド26と、視覚警報表示器28とを有するオペレーターインターフェースを有する。ディスプレーパネル24は、以下の英数字の情報のいずれかを選択的に表示するために使用される。止血器具6により測定され、更新された肢閉塞圧の値、推奨止血圧力値及びカフ圧の安全
マージン。止血器具6により測定された実際のカフ圧の値。基準の又は「設定された」カフ圧レベル、警報基準「限界」又は値。検出された警報状態及び止血器具6の操作に必要な他の情報を説明する英数字の警報メッセージ。
【0023】
キーパッド26は、操作者が止血器具6の操作を制御する手段を提供する。キーパッド26は、後記するように、押されたときに前記肢閉塞圧の測定を開始する肢閉塞圧測定キー30を有する。キーパッド26は、カフ10の膨張を開始する「膨張」キーと、カフ10の収縮を開始する「収縮」キーと、前記操作者が基準圧力レベルを調整し、膨張時間及び他の警報限界を設定することを可能にする他のキーとを有する。
【0024】
視覚警報表示器28は、検出された警報状態に応じて止血器具6により動作される赤色発光ダイオード(LED)からなる。止血器具6は、警報状態の存在について前記操作者に警告する可聴音を発することにより前記警報状態の存在を示し、該警報状態を説明する警報メッセージをディスプレーパネル24に表示する。前記操作者の注意を求める、検出された警報状態の1つの例には、前記カフ圧の安全
マージンの変化がある。
【0025】
止血器具6のブロック図である
図2を参照すると、制御器32が、マイクロコントローラー(MC68HC16Z1, Freescale Semiconductor, Austin, TX)と、関連するメモリー及び制御ソフトウェアと、周辺のアナログ・デジタルインターフェース回路と、他の必要な支援部品とを有する。
【0026】
図2に示したように、空気ポンプ34(KNF Neuberger, Inc., Trenton, NJ)が管38により容器36に空気圧的に接続されている。制御器32からの制御信号に応じて空気ポンプ34は容器36を加圧する。容器圧力変換器40が管42により容器36に空気圧的に接続されており、容器圧力信号を発する。前記容器圧力信号は制御器32に伝えられる。制御器32は、容器圧力レベルに近いレベルに容器36の中の圧力を維持する。肢閉塞圧測定中、制御器32は、前記操作者により設定され又は制御器32により自動的に設定された前記基準圧力レベルより高いレベルに前記容器圧力レベルを設定する。前記容器圧力レベルは、前記基準圧力レベルより著しく高いレベル、典型的には 100 mmHg(13.3kPa)に設定される。制御器32は、前記容器圧力レベル及び前記容器圧力信号に応じて、前記容器圧力信号のレベルを前記容器圧力レベルに近いレベルに維持するように空気ポンプ34を作動させる。
【0027】
膨張用バルブ44(EVO-3-12V, Clippard Instrument Laboratory, Cincinnati, OH)は、通常閉の二位置バルブである。膨張用バルブ44の一端部は管46を介して容器36に空気圧的に接続され、膨張用バルブ44の他端部は、多岐管48と管22とコネクター20、18とカフポート16とにより形成された空気通路を介してカフ10に接続されている。制御器32により作動されたとき、膨張用バルブ44は、開位置へ動き、加圧された気体が容器36からカフ10へ流れることを許し、これによりカフ10の前記膨張可能部分の中の気体の圧力を増加させる。
【0028】
収縮用バルブ50(EVO-3-12V, Clippard Instrument Laboratory, Cincinnati, OH)は、通常閉の二位置バルブである。収縮用バルブ50の一端部は、多岐管48とチューブ22とコネクター20、18とカフポート16とにより形成された空気通路を介してカフ10に空気圧的に接続され、収縮用バルブ50の他端部は大気中へ開放されている。制御器32により作動されたとき、収縮用バルブ50は、開位置へ動き、加圧された気体がカフ10から大気中へ流れることを許し、これによりカフ10の前記膨張可能部分の中の気体の圧力を低減させる。
【0029】
カフ圧変換器52が、多岐管48と、管22、コネクター20、18及びカフポート16により形成された空気通路とを介してカフ10に空気圧的に接続されており、制御器32に伝えられるカフ圧信号を発する。制御器32は、0.15 mmHg(20.0Pa)程度の小さい前記カフ圧信号の変化を解析することができる。収縮用バルブ50及び膨張用バルブ44の双方が閉じられているとき、カフ圧変換器52をカフ10の前記膨張可能部分に接続する空気通路の中の気体の流れがないため、カフ圧変換器52によるカフ10の中の気体の実際の圧力の正確な測定が可能である。肢閉塞圧測定中の正確なカフ圧測定を可能にするために収縮用バルブ50及び膨張用バルブ44の双方が、選択された時刻に一時的に閉じられ、これにより、後記するように、前記時刻に圧力調整が中断される。前記したように、制御器32は、発せられた警報信号に応じて、視覚警報表示器28を作動させ、可聴音を発することにより、警報状態について前記操作者に警告する。制御器32にスピーカー54が接続されており、異なる警報信号及び警報状態を特定する異なる周波数を有する電気信号が制御器32により発せられ、スピーカー54により可聴音に変換される。
【0030】
手術中、前記患者の生理的状態が患者モニターにより監視される。典型的に監視される生理的特徴には、断続的な非観血式の血圧測定又は連続的な血圧測定から得られる血圧値、心拍数、体温、酸素飽和度及び他のパラメーターが含まれる。
図2に示したように、止血器具6は、外部の患者モニターと通信する生理的特徴取得モジュール56を有する。生理的特徴取得モジュール56は、血圧のような、監視された生理的特徴の値を取得するために前記患者モニターのデータ通信インターフェースと通信する電子回路及びソフトウェアである。後記するように、更新されたカフ圧の安全
マージンが算出され、表示されることを可能にするため、制御器32は、生理的特徴取得モジュール56を介して肢閉塞圧測定の時刻に近い時刻に前記患者の血圧の最新の値を要求し、受け取り、その後、カフ10は、血流を止めるために加圧される。
【0031】
電力供給器58が外部の交流電源に接続され、止血器具6の全ての電子部品の通常操作のための調整された直流電源を提供する。電力供給器58は、外部の交流電源が無い場合、止血器具6が作動し続けることを可能にするバッテリーを有するものとすることができる。
【0032】
圧力調整
止血器具6の操作者は、前記基準圧力レベルを選択するためにキーパッド26を使用する。前記基準圧力レベルは、止血器具6がカフ10の膨張時に該カフの前記膨張可能部分の中に維持しようとする気体の圧力のレベルである。カフ10の中の圧力が、選択された基準圧力レベルに近いレベルに維持されない場合、制御器32は、高圧又は低圧の警報信号を発する。カフ圧レベルが前記基準圧力レベルを15 mmHg(2.0kPa)上回った場合、制御器32により高圧警報信号が発せられる。前記カフ圧レベルが前記基準圧力レベルより15 mmHg下回った場合、制御器32により低圧警報信号が発せられる。
【0033】
キーパッド26の「膨張」キーが前記操作者により押されたことを制御器32が検出したとき、該制御器は、前記基準圧力レベルに近いレベルまでカフ10を膨張させ、その後、キーパッド26の「収縮」キーが前記操作者により押されたことを制御器32が検出するまで該制御器はカフ10の中の圧力を前記基準圧力レベルに近いレベルに調整する。制御器32は、後記するように、肢閉塞圧測定中、自動的にカフ10を膨張させ、前記基準圧力レベルを調整し、カフ10を収縮させる。
【0034】
カフ10を膨張させ、該カフの中の圧力を調整するため、制御器32は圧力調整器を有する。好適な実施例では、前記圧力調整器は、後記する制御アルゴリズムにより実行される。制御器32は、通常の予め決められた40 msの調整間隔で圧力エラー信号を算出する。前記圧力エラー信号は前記基準圧力レベルと前記カフ圧レベルとの差に相当する。制御器32は、膨張用バルブ44及び収縮用バルブ50の作動時間間隔を算出する比例積分制御アルゴリズムの項として前記圧力エラー信号を使用する。前記カフ圧信号のレベルが前記基準圧力レベルより低いとき、カフ10の中の気体の圧力を上昇させるため、収縮用バルブ50の作動時間間隔は零に設定され、膨張用バルブ44の作動時間間隔は前記圧力エラー信号の大きさ及び前記圧力エラー信号の積分に比例する。前記カフ圧信号のレベルが前記基準圧力レベルより高いとき、カフ10の中の気体の圧力を低下させるため、膨張用バルブ44の作動時間間隔は零に設定され、収縮用バルブ50の作動時間間隔は前記圧力エラー信号の大きさ及び前記圧力エラー信号の積分に比例する。制御器32は膨張用バルブ44及び収縮用バルブ50の最大バルブ作動時間間隔を調整間隔時間(40 ms)に制限する。前記カフ圧信号のレベル及び前記基準圧力レベルに応じて膨張用バルブ44及び収縮用バルブ50の動作を制御するために交互の圧力調整のアルゴリズムが使用されてもよいこと又は好適な実施例において使用されたバルブに代え、比例バルブが使用されてもよいことは、当業者には明らかである。前記圧力調整器は、新たな基準圧力レベルが選択された後にカフ10の中の気体の圧力のレベルが前記基準圧力レベルに達するために必要な時間である反応時間を有する。前記反応時間は、前記基準圧力レベルの変化の大きさ、カフ10の体積、止血器具6の空気圧部品の特徴及び使用される制御アルゴリズムの仕様に左右される。このため、カフ10の中の気体の実際の圧力のレベルは前記基準圧力レベルの変化後に該基準圧力レベルと実質的に異なることがある。
【0035】
カフ10の中の気体の圧力を前記基準圧力レベルに近いレベルに正確に調整するため及び高圧及び低圧の警報状態を正確に示すため、制御器32はカフ10の前記膨張可能部分の中の圧力を利用しなければならない。好適な実施例では、カフ10の中の気体の圧力の測定は、カフ圧変換器52と、カフ10の前記膨張可能部分と変換器56との直接の空気的な接続とにより容易になる。膨張用バルブ44及び収縮用バルブ50の開操作により生じる、カフ圧変換器52をカフ10の前記膨張可能部分に接続する空気通路の中の気体の流れは、カフ圧変換器52によりなされるカフ圧測定に誤差を生じさせる。カフ10の中の気体の圧力の正確な測定は、後記するように、前記肢閉塞圧を正確かつ迅速に測定するために止血器具6の能力に不可欠である。肢閉塞圧測定中、血流の動脈拍動の検出時に、制御器32は、予め決められた期間(典型的には30 ms)圧力調整を中断するために膨張用バルブ44及び収縮用バルブ50を閉じる。シングルポート止血装置における圧力調整の一時的な中断は、前記動脈拍動が生じた時刻に近い時刻のカフ圧の正確な測定を可能にする。
【0036】
血流変換器及び信号処理
図2に、血流変換器2の内部部品を詳細に示す。好適な実施例における血流変換器2は、光電脈波の原理を利用し、前記カフに対して末梢側に位置する前記肢に取り付けられているが、他の原理を利用する他の種類の血流変換器が用いられてもよいことは明らかであり、いくつかの種類の血流変換器がカフの中に物理的に組み込まれていてもよいことは明らかである。好適な実施例では、血流変換器2は、前記肢の指に取り付けられるヒンジ式のプラスチックハウジングを有する。血流変換器2は、足の親指又は他の指に取り付けられてもよいし、手の親指又は他の指に取り付けられてもよい。血流変換器2は、赤外線発光ダイオード(IRLED)60と、該赤外線発光ダイオードにより発せられた光の波長を感知するフォトダイオード62とを有する。好適な実施例では、915 nmの波長を有する赤外線発光ダイオードが使用されている。血流変換器2の内部において赤外線発光ダイオード60及びフォトダイオード62は、赤外線発光ダイオード60により発せられた光がフォトダイオード62により容易に検出されるように相対している。指に取り付けられているとき、赤外線発光ダイオード60は組織を照らし、フォトダイオード62は、前記組織を経て送られた光を検出する。
【0037】
赤外線発光ダイオード60は、調整可能な定電流源64に多導体ケーブル8を介して接続されている。赤外線発光ダイオード60により発せられる光の強度は、赤外線発光ダイオード60を経て流れる電流のレベルに比例する。制御器32は、赤外線発光ダイオード60を経て流れる電流のレベルを設定することにより、赤外線発光ダイオード60により発せられる光の強度を設定するため、定電流源64と通信する。好適な実施例では、定電流源64は、0ないし100ミリアンペアの範囲の電流を0.1ミリアンペアずつ供給するために制御器32により調整される。
【0038】
フォトダイオード62は、該フォトダイオードの感光領域に衝突する光の強度に比例する電流を発生させる。フォトダイオード62は多導体ケーブル8により血流信号プロセッサー66に接続されている。血流信号プロセッサー66は、フォトダイオード62に衝突した光の強度を示す血流信号を発するため、フォトダイオード62が発生させた電流を増幅し、フィルターにかけ、デジタル化する。フォトダイオード62及び血流信号プロセッサー66の内部の電子回路の特性が、前記血流信号が示すことができる最小及び最大の光強度を決定する。後記するように、好適な実施例は、血流信号プロセッサー66のダイナミックレンジの範囲内に前記血流信号のレベルを維持する。
【0039】
血流変換器2が前記患者の肢の指に取り付けられているとき、フォトダイオード62に到達する光の強度は多くの要素に左右される。前記要素には、赤外線発光ダイオード60により発せられた光の初期強度と、前記指の皮膚色素、組織及び骨により吸収された光の量と、静脈血、非拍動動脈血及び拍動動脈血により吸収された光の量と、赤外線発光ダイオード60とフォトダイオード62との間の光路長とがある。カフ10が収縮されたとき、皮膚色素、骨、他の組織、静脈血及び動脈血の非拍動部分により比較的一定の量の光が吸収される。
図3に非拍動信号302で示す、前記血流信号の非拍動成分の合計は、非拍動レベル検出器68により検出され、測定される。非拍動レベル検出器68は非拍動信号302のレベルを制御器32に伝える。
【0040】
心周期ごとに動脈及び細動脈の径は、動脈血流の拍動に応じて交互に増加し、減少する。このような、交互に起こる径の増減は、赤外線発光ダイオード60とフォトダイオード62との間の光路長に影響を与え、心周期と同調する、前記指を経て送られる光の強度の律動的な交互の変化を生じさせる。典型的には、この律動的な交互の変化は、組織を経て送られる光の総量の1ないし2パーセントであり、
図3に示したように、血流信号プロセッサー66による、交互に変化する血流信号の発生をもたらす。動脈拍動検出器70が、心周期ごとに生じる、血流信号プロセッサー66からの前記血流信号の交互の変化を検出することにより、前記動脈拍動を検出し、
図3に示したように、前記血流信号の変化ごとの最小値と最大値との差を測定することにより、検出された動脈拍動の相対的な大きさを測定する。
【0041】
図3に、非拍動信号302と、血流信号304と、基準圧力レベル314の上昇に応じてカフ圧312が上昇するにつれて減少する大きさ306、308、310を有する動脈拍動とを示す。
図3に示したように、カフ圧のレベル312は、基準圧力レベル314の変更後、基準圧力レベル314と著しく異なることがある。好適な実施例では、基準圧力レベル314の変更は、後記するように、動脈拍動検出器70により検出された動脈拍動に同調してなされる。基準圧力レベル314の変更を前記動脈拍動に同調させることは、前記基準圧力レベルの上昇が、同調しない任意の時刻になされる従来の装置と比べ、前記肢閉塞圧測定の速度を増加させる重要な特徴である。
【0042】
前記大きさは、赤外線発光ダイオード60により発せられた光の強度による影響を受ける。一般に、赤外線発光ダイオード60により発せられた光の強度が増すにつれて、赤外線発光ダイオード60により照らされた組織の量が増し、赤外線発光ダイオード60とフォトダイオード62との間でより多くの動脈及び細動脈が照らされるほど、交互に生じる、前記血流信号の律動的な変動の大きさが増す。
【0043】
赤外線発光ダイオード60とフォトダイオード62との間の組織を経る光路長は、前記組織の小静脈の径及び静脈血の量の変化により影響を受ける。カフ10が、静脈血が前記肢から流出することを止めるために必要なレベルより高いレベルへ加圧されたものの、動脈血が前記肢へ流入することを許すレベルの圧力の下にあるとき、前記肢の中に存在する静脈血の量が増し、小静脈の径が増す。このような径の増加は、組織を経る光路長を増し、フォトダイオード62により検出される光の量の減少を招く。このような光強度の減少は、徐々に生じるが、相当なものであり、最大で3桁の、組織を経て送られる光の量の低減を招く。好適な実施例では、組織を経て送られる光の強度の変化は、後記するように、赤外線発光ダイオード60の強度の増加により補われる。後記する、いくつかの状況では、赤外線発光ダイオード60が、発生可能な光の強度に上限を有するため、強度の変化を補うことができないことがある。
【0044】
カフ10が、静脈流出を部分的又は完全に止めるが、動脈流入を止めない圧力を受けているときに生じる心臓の周期は、赤外線発光ダイオード60により照らされた組織の中の静脈血の増加をもたらす。前記したように、静脈の滞留が危険であるため、カフ10がこのような圧力を受けている時間を最短化することが重要である。組織を照らす赤外線発光ダイオード60のダイナミックレンジの範囲内にあってフォトダイオード62からの信号を検出及び処理するために使用される電子回路のダイナミックレンジの範囲内にある領域に光電脈波血流信号が留まることを保証するために前記時間が最短化されることも重要である。好適な実施例は、前記肢閉塞圧の測定が成功するか否かを初期に評価することにより、前記肢閉塞圧の測定をしようとするときにカフ10が前記圧力を受けている時間を最短化する。初期に血流信号プロセッサー66が前記血流信号を検出できない場合又は動脈拍動検出器70が、予め決められた最小初期値より大きい動脈拍動を示す血流信号の交互の律動的な変動を検出できない場合、制御器32は、前記血流信号の大きさを分析に適したレベルへ増大させるため、定電流源64により赤外線発光ダイオード60への電流を調整することによって赤外線発光ダイオード60の強度を増す。定電流源64による調整が前記最小初期値より大きい変動を有する血流信号をもたらさない場合、制御器32は、前記肢閉塞圧の測定を迅速に終了させ、前記操作者により知覚される適当な表示をする。このようにして、好適な実施例は、前記肢閉塞圧の測定が良好に終了されない可能性がある場合、手術開始の遅延及び静脈血の滞留を生じさせることがある、前記肢閉塞圧測定の継続期間を最短化し、前記操作者が、前記肢閉塞圧に基づかない止血装置のための他の基準圧力レベルを迅速に選択することを許す。
【0045】
前記肢閉塞圧測定が初期に終了されなかった場合、動脈拍動検出器70は、血流の動脈拍動を特徴付ける最小検出閾値より大きい交互の律動的変動を検出するため及び
図3に大きさ306、308、310で示した前記律動的変動の最大値と最小値との差を制御器32に示すため、血流信号プロセッサー66からの血流信号を分析することを継続する。各大きさは、一心周期中に赤外線発光ダイオード60とフォトダイオード62との間の組織へ流れる動脈血の量を示す。前記動脈拍動として正確に定められるために前記大きさは前記最小検出閾値を上回らなければならない。動脈拍動検出器70の前記最小検出閾値は、まず、予め決められた閾値に設定され、その後、制御器32により他の閾値に設定される。
【0046】
動脈拍動検出器70により前記動脈拍動が検出されたとき、制御器32に発生時刻が伝えられ、動脈拍動検出器70は、発生が検出された直後に非応答期間に入る。非応答期間中、動脈拍動検出器70は血流信号プロセッサー66からの血流信号に応答しない。非応答期間中の前記血流信号に対する動脈拍動検出器70の非応答は、制御器32が、定電流源64により赤外線発光ダイオード60に供給される電流のレベルを調整することを許し、動脈拍動検出器70が、赤外線発光ダイオード60への電流のレベルの調整から生ずる前記血流信号のノイズ又は副作用を誤って分析することを防ぐ。前記肢閉塞圧の測定中、制御器32は、典型的には、連続的に検出された動脈拍動の間隔の75%と等しい動脈拍動検出器70の非応答期間を設定する。連続する拍動の間の時間に応じて、前記非応答期間は、制御器32により、350ミリセカンドの予め決められた初期時間から1200ミリセカンドの予め決められた最長時間へ調整されてもよい。前記したように、前記肢閉塞圧の測定中、制御器32は、前記動脈拍動の検出に応じて圧力調整を中断し、前記動脈拍動の時刻に近い時刻のカフ圧の正確な測定に十分な期間収縮用バルブ50及び膨張用バルブ44を閉じる。
【0047】
止血器具6は、血流変換器2が肢4の指に正確に取り付けられたこと及び後記の予め決められた最低質基準値を上回るレベルの血流信号が得られたことを前記操作者に示す血流信号質計12を有する。
【0048】
図2に示したように、止血器具6は、血流信号質を評価する血流信号質プロセッサー72を有する。明確にするために、血流信号質プロセッサー72は、
図2に別個の機能ブロックとして示されているが、血流信号質プロセッサー72により発揮される機能は、制御器32により行われるソフトウェアアルゴリズムとして実行されてもよい。血流信号質プロセッサー72は、血流信号質計12の動作を制御し、肢閉塞圧測定キー14又は肢閉塞圧測定キー30の動作に応じて前記肢閉塞圧の自動測定を可能にし又は禁止する。
【0049】
血流信号質プロセッサー72は、前記血流信号の質に影響を与える、前記血流信号のいくつかの特徴を連続的に監視することにより、前記血流信号の質を評価する。
図4に、血流信号質プロセッサー72により使用される評価アルゴリズムを詳細に示す。前記評価アルゴリズムは、まず、赤外線発光ダイオード60により発せられる光の強度を予め決められた最小レベルに一時的に調整し(402)、次に、非拍動レベル検出器68からの前記非拍動信号のレベルを監視することにより、血流変換器2が指に取り付けられているか否かを判断する(404)。血流変換器2が指に取り付けられていない場合、前記非拍動信号のレベルは、赤外線発光ダイオード60により発せられた光によるフォトダイオード62の彩度により予め決められた閾値より高く、そうでない場合、前記評価アルゴリズムは、検出された周辺光のレベルが、予め決められた閾値より低いことを確認する(406)。
【0050】
血流変換器2の位置における周辺光のレベルが高過ぎ、血流の測定を妨げる可能性があるか否かを判断するため、血流信号質プロセッサー72は、赤外線発光ダイオード60のスイッチを一時的に切り、その後、非拍動レベル検出器68から前記非拍動信号のレベルを取得し、その後、前記非拍動信号のレベルを予め決められた周辺光閾値と比較する。血流変換器2の位置における過剰な周辺光の検出は、手術ライトからの直接照明、血流変換器2と前記指との接触不良又は双方の組合せによる。周辺光のレベルが前記周辺光閾値より低い場合、前記評価アルゴリズムは、前記指により吸収される光の量が、予め決められた吸収許容範囲の中にあることを確認する(408)。赤外線発光ダイオード60に供給された電流の変化及びこれによる赤外線発光ダイオード60の強度の変化から生ずる前記非拍動信号のレベルの変化を観察することにより、光吸収レベルが判断される。通常の光吸収特性を有する指では、前記非拍動信号のレベルの変化は、赤外線発光ダイオード60に供給された電流のレベルの変化に比例する。指の光吸収特性に影響を与える要素には、皮膚色素、大きさ及び生物学的構造がある。例えば、前記患者の指が太い場合、吸収される光の量は、予め決められた最大吸収レベルを超え、前記肢閉塞圧の測定中の拍動信号の検出に影響を及ぼすことがある。患者に関連しない、最適でない非拍動信号レベルの他の原因には、前記指の表面と赤外線発光ダイオード60との接触不良、前記指の表面とフォトダイオード62との接触不良、赤外線発光ダイオード60又はフォトダイオード62を遮る過剰な調製溶液、血流変換器2の位置決め不良及び使用前の血流変換器2の清掃不良がある。
【0051】
前記評価アルゴリズムは、その後、前記血流信号のノイズレベルが、予め決められたノイズ閾値より低いことを確認する(410)。この確認は、予め決められた期間に前記血流信号に生じる勾配変化及び零交差の数を検出することによりなされるが、信号ノイズを数値化するために他の方法を使用してもよい。手術環境におけるノイズの原因には、低かん流を引き起こす冷たい指を有する患者、震えのような患者の動き、指を準備する手術担当者の動作及び血流変換器2を妨げる、手術室の他の装置からの電気的ノイズがある。
【0052】
その後、前記評価アルゴリズムは、予め決められた最小値を有する動脈拍動を予め決められた検出期間の範囲内に検出することができるか否かを判断する(412)。大きさが小さい動脈拍動は、かん流低下、冷たい指、肢の高さ及び指に対する血流変換器2の不適切な位置決めにより生じる。検出された動脈拍動の大きさが前記最小値より大きい場合及び前記動脈拍動が前記検出期間の範囲内に生じた場合(412)、血流信号質プロセッサー72は、前記血流信号の質を許容可能であると判断し(414)、血流質計12の緑色LEDを点灯させ、前記肢閉塞圧の自動測定を可能にする(416)。前記血流信号が上記の条件に合わない場合、血流信号質プロセッサー72は、前記血流信号の質を許容可能でないと判断し(418)、血流質計12の赤色LEDを点灯させ、前記肢閉塞圧の自動測定を禁止する(420)。前記血流信号の質はディスプレーパネル24に表示される。
【0053】
前記血流信号の質の評価において血流信号質プロセッサー72により追加の基準が使用されてもよい。血流変換器2により、前記患者の指に加えられた力を測定するため、血流変換器2に力センサーが組み込まれていてもよい。前記力センサーからの信号は、血流変換器2が取り付けられた前記指の領域に過剰な力がいつ加えられたかを示すことにより前記血流信号の質の判断を補うために使用されてもよい。血流変換器2により加えられた過剰な力は、圧縮された血管の中の血流による不良の又は不正確な肢閉塞圧測定を招くことがある。
【0054】
肢閉塞圧測定
前記肢閉塞圧を自動的に測定するため、制御器32は、カフ10の位置に対して末梢側の肢4へ動脈血が流れることを阻止するためにカフ10に必要な最低圧力の値を決定しなければならない。以下に詳細に説明するように、制御器32は、カフ10の中の圧力を、最小検出閾値より高い、動脈血流が検出されない圧力レベルへ上昇させつつ、非拍動レベル検出器68により発せられた信号と、動脈拍動検出器70により発せられた信号と、血流信号プロセッサー66により発せられた信号とを分析することにより、前記決定を行う。
【0055】
前記肢閉塞圧の自動的測定中に制御器32によりなされる決定及び操作の順序について更なる理解を可能にするため、
図5、6にフローチャートを示す。
【0056】
図5を参照すると、キーパッド26の肢閉塞圧測定キー30又は血流変換器2の肢閉塞圧測定キー14が押され、前記肢閉塞圧測定が血流信号質プロセッサー72により禁止されていないことを制御器32が検出したとき(502)、該制御器は、前記操作者がキーパッド26の膨張用キーを予め作動させた場合のようにカフ10が既に膨張され、調整されているか否かを判断する(504)。カフ10が収縮され、制御器32がカフ10の中の気体の圧力を調整していないとき、制御器32は、前記肢閉塞圧測定を開始するために肢閉塞圧測定キー30又は肢閉塞圧測定キー14に応答する。このような安全機能は、手術の進行中に前記操作者が前記肢閉塞圧測定を不注意に開始することを防止する。
【0057】
前記肢閉塞圧測定の進行中に血流変換器2の肢閉塞圧測定キー14又はキーパッド26の肢閉塞圧測定キー30又は他のキーが押されたことを制御器32が検出した場合、該制御器は前記肢閉塞圧測定を終了させる(506)。ディスプレーパネル24に警報メッセージが表示され、制御器32は、カフ10から気体を放出させるために収縮用バルブ50を作動させる(508)。これにより、前記操作者は進行中の肢閉塞圧測定を安全に中止することができる。
【0058】
制御器32により行われる前記肢閉塞圧測定は以下の2つの段階を有する。基準パラメーターが設定される初期設定期間における初期設定段階及びカフ10の中の圧力が前記肢閉塞圧に達するまで前記基準圧力レベルが単調に増加される決定段階。
【0059】
前記初期設定段階は、制御器32が、定電流源64と通信することにより赤外線発光ダイオード60の強度を調整すること(510)から始まる。赤外線発光ダイオード60の強度は、予め決められた初期目標レベルに近い、非拍動レベル検出器68により示されたレベルの非拍動光電脈波信号を生じさせるレベルに設定される。
【0060】
血流変換器2が非常に太い指又は他の理由により赤外線発光ダイオード60により発せられた光の大部分を吸収する指に取り付けられている場合のように前記非拍動光電脈波信号を前記初期目標レベルに近いレベルに設定できない場合(512)、制御器32は、前記肢閉塞圧測定が良好に終了されない可能性があると判断し、前記肢閉塞圧測定を終了させ、ディスプレーパネル24に適当なメッセージを表示する(508)。前記初期目標レベルに近いレベルの前記非拍動光電脈波信号を生じさせるために定電流源64から要求された電流のレベルが、予め決められた最大値より多い場合、測定中に生じることがある静脈血量の変化を補うために赤外線発光ダイオード60の強度を強めることに使用できる調整範囲が不十分であるため、制御器32は、前記肢閉塞圧測定が良好に終了されない可能性があると判断する。
【0061】
次に、制御器32は、前記基準圧力レベルを30 mmHg(4.0kPa)の予め決められた初期レベルに設定する(514)。その後、前記圧力調整器は、30 mmHgに近い圧力へのカフ10の膨張を開始する。
【0062】
その後、動脈拍動検出器70が、予め決められた最小初期値より大きい値を有する、連続する3つの拍動を検出する(518)ために制御器32は5秒の予め決められた最長期間待機する(516)。前記最小初期値を上回る、連続する3つの拍動が前記最長期間に検出されない場合、前記肢閉塞圧測定が良好に終了されない可能性があり、前記肢閉塞圧測定は終了され、前記基準圧力レベルは、カフ10の収縮を開始するために零に設定される。前記肢閉塞圧測定が良好に終了されない可能性があることを前記操作者に警告するためにディスプレーパネル24にメッセージが表示され(508)、失敗、手術開始の遅延及び静脈血の過剰な滞留を招くことがある前記肢閉塞圧測定の継続期間が最短化される。
【0063】
動脈拍動検出器70が、前記最小初期値を上回る、連続する3つの拍動を検出した場合、制御器32は、前記肢閉塞圧測定の前記決定段階において使用される基準パラメーターのレベルを算出する。制御器32は、連続的に検出された3つの拍動から最大の大きさを有する拍動を選び(520)、この拍動の大きさは制御器32により基準値として選択される。後記するように、制御器32は、連続する拍動の大きさを前記基準値と比較する。制御器32は、検出された連続する3つの動脈拍動のうちの2つの間の時間間隔である基準拍動間隔時間を算出する(522)。制御器32は動脈拍動検出器70の前記非応答期間を前記基準拍動間隔時間の74%ないし75%に設定する。制御器32は、前記最小検出閾値を算出し、該最小検出閾値を動脈拍動検出器70に伝える。前記したように、前記最小検出閾値は、動脈拍動検出器70により検出される動脈拍動の最小値を決定する。好適な実施例では、制御器32は、前記基準値の5%の大きさを有する、予め決められた最小閾値である最小検出閾値を算定する。
【0064】
制御器32は、次に、前記肢閉塞圧測定の前記決定段階に入る(524)。
図5に示したフローチャート(526)は
図6へ続く(602)。
図6に前記肢閉塞圧測定の前記決定段階を示す。制御器32は、まず、前記基準圧力レベルを95 mmHg(12.6kPa)の予め決められたレベルに設定する(604)。制御器32は、前記肢閉塞圧測定の前記決定段階において起こり得る、赤外線発光ダイオード60とフォトダイオード62との間の組織の静脈血量の変化を補う。動脈拍動検出器70により動脈拍動が検出される(606)度に制御器32は定電流源64及び赤外線発光ダイオード60の強度のための新しいレベルを算出する。制御器32は、非拍動レベル検出器68からの前記非拍動光電脈波信号のレベルを、既に設定された目標レベルに近いレベルに維持する定電流源64のための新しいレベルを算出するために比例制御アルゴリズムを使用する(608)。赤外線発光ダイオード60の強度の変更による影響が動脈拍動検出器70に及ばないようにするため、赤外線発光ダイオード60の強度の変更は動脈拍動検出器70の非応答期間中になされる。前記非拍動信号のレベルの変化に応じて各動脈拍動が検出された後に定電流源64のレベルを継続的に更新することにより、制御器32は、外線発光ダイオード60により照らされた組織の中の静脈血の量の変化による外線発光ダイオード60により発せられた光の吸収の変化を補い、前記非拍動光電脈波信号のレベルを前記目標レベルに近いレベルに維持することができる。
【0065】
肢閉塞圧測定中、非拍動レベル検出器68からの前記非拍動信号のレベルが、予め決められた最小又は最大の限界レベルを超えたことを制御器32が検出した場合(610)、制御器32は、前記肢閉塞圧測定を終了させ、カフ10を収縮させるために収縮用バルブ50を開ける(612)。前記非拍動信号が前記限界レベルを超えることがある条件の例には、測定中の前記指からの血流変換器2の不用意な取外し、前記指への静脈血の過剰な滞留、多導体ケーブル8の故障及び血流変換器2の故障がある。制御器32は、ディスプレーパネル24への適当な警報メッセージの表示及びスピーカー54により発せられる可聴音により前記操作者に通知をする。
【0066】
カフ10の中の圧力を極力迅速に前記肢閉塞圧へ増加させるとともに前記肢閉塞圧の正確な測定を実現するために制御器32は以下のように動作される。動脈拍動検出器70により前記動脈拍動が検出される度に制御器32により新しい基準圧力レベルが算出される。前記動脈拍動が検出された時刻に近い時刻に制御器32は前記カフ圧信号のレベルを記録する(614)。このカフ圧信号のレベルは、前記動脈拍動が生じた時刻に近い時刻のカフ10の中の気体の圧力のレベルを示す。前記カフ圧信号がカフ10の前記膨張可能部分の中の気体の圧力を正確に反映することを保証するため、前記したように、前記動脈拍動が生じた時刻に近い時刻に圧力調整が中止される。前記基準値と比較して、検出された動脈拍動の大きさに基づき、増加圧力レベルが算出される(616)。前記動脈拍動の検出の直後、該動脈拍動に同調して前記基準圧力レベルは、制御器32により、前記増加圧力レベルと記録されたカフ圧レベルとの合計に等しいレベルに設定される(618)。
【0067】
前記肢閉塞圧の測定中、前記動脈拍動の大きさは、該動脈拍動が生じた時刻のカフ10の中の圧力に左右される。カフ10の中の圧力が、動脈血流を完全に止めるために必要な圧力に近付くにつれて、前記動脈拍動の大きさは小さくなる。カフ10の中の圧力を、前記動脈血流を止める最低圧力より高い圧力へ増加させることなくカフ10の中の圧力を前記最低圧力へ迅速に増加させることを可能にするため、各動脈拍動の検出後になされる圧力増加の大きさは、前記動脈拍動の大きさに左右される。好適な実施例は、前記カフ圧が前記肢閉塞圧に近付くにつれてカフ10のための圧力の増加分を漸減させることにより、前記肢閉塞圧の迅速かつ正確な決定をすることができる。
【0068】
好適な実施例では、前記増加圧力レベルは以下のように算出される。前記基準値の66%より大きい大きさを有する拍動については15 mmHg(2.0kPa)。前記基準値の50ないし65%の大きさを有する拍動については10 mmHg(1.3kPa)。前記基準値の33ないし49%の大きさを有する拍動については7 mmHg(0.9kPa)。前記基準値の20ないし32%の大きさを有する拍動については5 mmHg(0.7kPa)。前記基準値の20%より小さい大きさを有する拍動については3 mmHg(0.4kPa)。
【0069】
増加された各基準圧力レベルを、前記動脈拍動の大きさに基づく、算出された増加圧力レベルと、前記動脈拍動の時刻の記録されたカフ圧レベル(614)との合計に等しくすること及び前記動脈拍動に同調して前記基準圧力レベルを増加させることにより、前記肢閉塞圧測定を、好適な実施例の空気圧部品とともに、迅速、正確かつ圧力調整の応答時間特性と無関係に進行させることができる。例えば、拍動が検出されたときの前記カフ圧信号のレベルが133 mmHg(17.7kPa)であり、前記基準値に対する検出された拍動の大きさが66%より高い場合、制御器32は前記拍動の直後に前記基準圧力レベルを148 mmHg (=133+15)(19.7kPa)に設定する。この方法は、前の基準圧力レベルに予め決められた増加量を加えることにより、増加された各基準圧力レベルが決定され、実際のカフ圧が前の基準圧力レベルに達するために十分な時間が経過した後にのみ前記基準圧力レベルが増加される従来の装置と比べて、正確な前記肢閉塞圧に近付くより迅速かつ正確な方法である。
【0070】
図6に示したように、前記肢閉塞圧測定の前記初期設定段階に決定された前記基準拍動間隔時間の2倍の期間に前記動脈拍動が検出されなくなるまで、制御器32は、動脈拍動検出器70により前記動脈拍動が検出される度に前記基準圧力レベルを増加させることを継続する(620)。前記肢閉塞圧測定の前記決定段階において前記期間に前記動脈拍動が検出されなくなったとき、制御器32は、前記カフ圧信号により示されたカフ10の中の気体の圧力のレベルとなる前記肢閉塞圧の値を算出する。
【0071】
その後、制御器32は、前記基準圧力レベルを零に設定し、収縮用バルブ50を作動させることにより、カフ10を収縮させる(622)。その後、制御器32は、後記するように推奨止血圧力値を算出し(624)、前記肢閉塞圧測定の結果をディスプレーパネル24に表示し、前記肢閉塞圧測定を終了させる(626)。
【0072】
前記肢閉塞圧が測定されたとき、制御器32は、前記肢閉塞圧の値に予め決められた補正圧力レベル(安全
マージン)を加えることにより、前記推奨止血圧力値(RTP)を算出する。好適な実施例では、前記推奨止血圧力値を算出するために前記肢閉塞圧の値に加えられる前記補正圧力レベルは、医療文献による推奨と一致し、以下のように算出される。前記肢閉塞圧の値が190 mmHg(25.3kPa)より高い場合、前記推奨止血圧力値は、前記肢閉塞圧の値に100 mmHg(13.3kPa)を加えることにより算出される。前記肢閉塞圧の値が130 mmHg(17.3kPa)より高い場合、前記推奨止血圧力値は、前記肢閉塞圧の値に75 mmHg(10.0kPa)を加えることにより算出される。前記肢閉塞圧の値が131 mmHg(17.4kPa)より低い場合、前記推奨止血圧力値は、前記肢閉塞圧の値に50 mmHg(6.7kPa)を加えることにより算出される。
【0073】
制御器32は、前記肢閉塞圧の値と、前記推奨止血圧力値とをディスプレーパネル24に表示し、測定が終了したことを示す。例えば、止血器具6が145 mmHg(19.3kPa)の肢閉塞圧を測定した場合、220 mmHg(29.3kPa)の推奨止血圧力値が算出され、前記肢閉塞圧の値及び前記推奨止血圧力値の双方がディスプレーパネル24に表示される。前記操作者は、表示された推奨止血圧力値を前記基準圧力レベルに選択してもよいし、前記肢閉塞圧に基づかない異なる基準圧力レベルを手動で選択してもよい。
【0074】
好適な実施例では、前記推奨止血圧力値でもよい、選択された基準圧力レベル(RP)と、測定された肢閉塞圧の値(LOP)との差は、カフ圧安全
マージン(SM){ SM = RP - LOP }と定義される。前記カフ圧安全
マージンは制御器32により自動的に算出され、算出された値はディスプレーパネル24に表示される(628)。
【0075】
前記患者の収縮期血圧は、測定された肢閉塞圧に影響を与えると見られる1つの要因である。麻酔の影響及び他の要因により前記肢閉塞圧の測定後に生じる血圧の変化は、前記カフ圧安全
マージンに影響を及ぼす。前記カフ圧安全
マージンの変化について前記操作者に警告するため、前記肢閉塞圧測定の時刻に近い時刻及びその後にカフ10が加圧されている間に生理的特徴取得モジュール56が前記患者の血圧値を前記患者モニターから取得できるとき、止血器具6は、更新されたカフ圧安全
マージン(SMu)を算出し、表示する。
【0076】
好適な実施例では、肢閉塞圧基準血圧値(BP
LOPREF)を設定するため、前記肢閉塞圧測定の終了の予め決められた最短時間内に前記患者モニターからの非観血式又はリアルタイムの血圧測定の結果が生理的特徴取得モジュール56により取得される(630)。最新の血圧測定の結果が前記患者モニターから取得されない場合、制御器32は、前記肢閉塞圧基準血圧値を設定するため、生理的特徴取得モジュール56を介して、前記患者モニターに血圧測定を行うよう指示し、得られたデータを取得する。
【0077】
前記肢閉塞圧の測定後に血流を止めるためにカフ10が加圧されたときに前記更新されたカフ圧安全
マージンを算出するため、制御器32は生理的特徴取得モジュール56を介して前記患者の収縮期血圧の最新値(BP)を自動的に取得する。好適な実施例では、前記更新されたカフ圧安全
マージンは、式{SMu = RP - LOP + k(BP
LOPREF - BP) }により算出される。ここで、kは1.1の定数である。前記更新されたカフ圧安全
マージン、血圧値及び前記肢閉塞圧の値のこの関係は、現在利用できる実験データに基づいて選択されている。前記更新されたカフ圧安全
マージンを決定するために他の数学的関係が用いられてもよい。
【0078】
好適な実施例は、前記操作者が前記更新されたカフ圧安全
マージンを考慮して前記基準圧力レベルを増加又は低減させるための手段を有する。好適な実施例は、制御器32により前記カフ圧安全
マージンの上下の予め決められたレベルに自動的に設定され又は前記操作者により前記カフ圧安全
マージンの上下の所望のレベルに設定された警報限界レベルを有する。前記更新されたカフ圧安全
マージンが前記警報限界レベルを超えた場合、前記操作者は、スピーカー54により発せられた可聴音及びディスプレーパネル24に表示されたメッセージにより警告される。
【0079】
手術時の典型的な使用
好適な実施例のより良い理解のために手術時の典型的な使用方法を以下に説明する。
【0080】
前記操作者は、まず、前記患者の肢4に取り付けられる適当な大きさのカフ10を選択し、該カフを肢4に巻く。コネクター18、20を連結することにより、止血器具6からカフ10の前記膨張可能部分への空気通路が完成される。体格が異なる患者及び大きさが異なる肢に合わせるため、異なる大きさ及び形状を有するカフ10が止血器具6とともに使用されてもよい。前記カフは、長さ、幅、形状及び取付け方法が異なるものとすることができる。前記カフは、該カフと前記肢との間に配置される柔軟な肢保護スリーブとともに取り付けられてもよい。特定の時間に血流がカフ10を通過することを阻止するためにカフ10に必要な特定の圧力レベルは、カフ10及びその下のスリーブの特徴と、カフ10の取付け方法と、前記患者の生理的特徴と、カフ10が取り付けられた位置における肢4の肉体的特徴とにより影響を受ける。
【0081】
このため、前記基準圧力レベルを最低かつ最も安全なレベルに設定することを支援するため、前記操作者は、前記肢閉塞圧の測定を開始することを選択する。前記肢閉塞圧の迅速かつ正確な測定を行うため、前記操作者は、まず、カフ10の位置の末梢側に位置する肢4の指に血流変換器2を取り付ける。血流変換器2が肢4の指に正確に取り付けられ、前記血流信号を入手可能であるときを示す指標として前記操作者により血流質計12が使用されてもよい。前記血流信号の質が、血流質計12により示された予め決められた質基準値を上回っている場合、前記操作者は、キーパッド26の肢閉塞圧測定キー30又は血流変換器2の肢閉塞圧測定キー14を作動させることにより前記肢閉塞圧測定を開始する。その後、止血器具6は、カフ10の中の圧力を、血流変換器2により前記動脈拍動が検出されない圧力まで自動的に増加させることにより、前記したように、20ないし40秒以内に前記肢閉塞圧測定を終了させる。その後、止血器具6は、得られた肢閉塞圧の値を前記推奨止血圧力値とともにディスプレーパネル24に表示し、カフ10を収縮させる。例えば、120 mmHg(16.0kPa)の肢閉塞圧の値が170 mmHg(22.6kPa)の推奨止血圧力値とともに測定される。このとき、生理的特徴取得モジュール56は前記患者モニターから前記患者の血圧値を取得し又は前記肢閉塞圧測定のときに最新の血圧測定の結果を利用できない場合に血圧測定を開始する。
【0082】
その後、前記操作者は、手術中にカフ10の中に維持される気体の圧力のための前記基準圧力レベルを選択する。前記操作者は、表示された推奨止血圧力値を前記基準圧力レベルとして受け入れることを選択してもよいし、前記操作者の判断、経験又は慣習に基づく他の基準圧力レベルを手動で設定してもよい。その後、前記カフ圧安全
マージンが、測定された肢閉塞圧の値と選択された基準圧力レベルとに基づいて算出され、ディスプレーパネル24に表示される。
【0083】
例えば、120 mmHg(16.0kPa)の肢閉塞圧が測定され、170 mmHg(22.6kPa)の推奨止血圧力値が表示され、前記操作者は60 mmHg(8.0kPa)のカフ圧安全
マージンのために180 mmHg(23.9kPa)の基準圧力レベルを選択する。前記肢閉塞圧測定の時刻に近い時刻の前記患者の血圧値(BP
LOPREF)は90 mmHg(12.0kPa)である。
【0084】
その後、前記操作者がキーパッド26の「膨張」キーを押すことにより、選択された基準圧力レベルに近いレベルの圧力へのカフ10の膨張が開始される。その後、止血器具6の圧力調整器はカフ10の中の気体の圧力を前記基準圧力レベルに近いレベルに維持する。前記基準圧力レベルは前記操作者によりいつ新しいレベルに調整され、設定されてもよい。生理的特徴取得モジュール56は、手術中、監視された生理的特徴の値を取得する。制御器32は、表示のために、前記更新されたカフ圧安全
マージンを算出し、前記更新されたカフ圧安全
マージンが前記警報限界レベルを超えた場合に警報を発する。上記の例によれば、手術中、前記患者の血圧値は、麻酔の変化及び手術に対する生理反応により130 mmHg(17.3kPa)へ増加する。16 mmHg(2.1kPa)の更新されたカフ圧安全
マージン{SMu = 180-120 +1.1(90-130) }が算出及び表示され、前記操作者は、警報によりカフ圧安全
マージンの変更について警告され、前記基準圧力レベルを、56 mm Hg(7.4kPa)のカフ圧安全
マージンをもたらす220 mmHg(29.3kPa)へ調整する。
【0085】
手術の終了時、前記操作者は、キーパッド26の収縮キーを作動させることにより、カフ10の収縮を開始する。収縮後、直ちに、カフ10は前記患者の肢4から取り外される。カフ10は、コネクター18、20の連結を解除することにより、止血器具6への接続を解かれる。