【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 発行者名:社団法人 高分子学会、刊行物名:第19回ポリマー材料フォーラム 講演予稿集、発行年月日:平成22年11月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアニオン交換膜は、2つのメチル基と、1つの炭素数3〜8のアルキル基とが、窒素原子に結合する四級アンモニウム塩基を有している。
【0013】
炭素数3〜8のアルキル基としては、例えば、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの直鎖状アルキル基、例えば、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、sec−ペンチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどの分岐状アルキル基などが挙げられる。
【0014】
このようなアルキル基のなかでは、好ましくは、炭素数4〜6の直鎖状アルキル基が挙げられる。
【0015】
四級アンモニウム塩基としては、例えば、ジメチルn−プロピルアンモニウム基、ジメチルn−ブチルアンモニウム基、ジメチルn−ペンチルアンモニウム基、ジメチルn−ヘキシルアンモニウム基、ジメチルn−ヘプチルアンモニウム基、ジメチルn−オクチルアンモニウム基などの2つのメチル基と、1つの炭素数3〜8の直鎖状アルキル基とが、窒素原子に結合する四級アンモニウム塩基、例えば、ジメチルイソプロピルアンモニウム基、ジメチルイソブチルアンモニウム基、ジメチルsec−ブチルアンモニウム基、ジメチルtert−ブチルアンモニウム基、ジメチルイソペンチルアンモニウム基、ジメチルsec−ペンチルアンモニウム基、ジメチルイソオクチルアンモニウム基、ジメチル2−エチルヘキシルアンモニウム基などの2つのメチル基と、1つの炭素数3〜8の分岐状アルキル基とが、窒素原子に結合する四級アンモニウム塩基などが挙げられる。
【0016】
このような四級アンモニウム塩基のなかでは、好ましくは、ジメチルn−ブチルアンモニウム基、ジメチルn−ヘキシルアンモニウム基が挙げられる。
【0017】
このようなアニオン交換膜は、アニオン交換膜の原材料となる高分子膜と、三級アミンとを反応させることにより製造される。
【0018】
このようなアニオン交換膜を製造するには、まず、アニオン交換膜の原材料となる高分子膜を作製する。
【0019】
アニオン交換膜の原材料となる高分子膜は、四級アンモニウム塩基を導入することができる重合体を膜状に形成したものであって、四級アンモニウム塩基を導入するための官能基として、ハロゲン化アルキル基を有する。
【0020】
ハロゲン化アルキル基としては、例えば、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基などの炭素数1〜6の塩化アルキル基、例えば、ブロモメチル基、ブロモエチル基、ブロモプロピル基などの炭素数1〜6の臭化アルキル基、例えば、ヨードメチル基、ヨードエチル基、ヨードブチル基などの炭素数1〜6のヨウ化アルキル基などが挙げられる。
【0021】
このようなハロゲン化アルキル基のなかでは、好ましくは、炭素数1〜6の塩化アルキル基が挙げられ、さらに好ましくは、クロロメチル基が挙げられる。
【0022】
このような高分子膜としては、ハロゲン化アルキル基を有していれば、特に制限されず、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体などの線状共重合体、幹となる高分子鎖に、分枝鎖が結合したグラフト共重合体などが挙げられる。
【0023】
このような高分子膜のなかでは、好ましくは、分枝鎖にハロゲン化アルキル基を有するグラフト共重合体が挙げられる。
【0024】
このようなグラフト共重合体を作製するには、例えば、電子線などの電離放射線の照射により、幹となる高分子鎖にラジカルを発生させて、そのラジカル発生点を重合開始点として、ハロゲン化アルキル基を有するモノマーを重合させる方法が挙げられる。
【0025】
このような方法により、分枝鎖にハロゲン化アルキル基を有するグラフト共重合体を作製するには、まず、幹となる高分子鎖を膜状に形成した基材を用意する。
【0026】
基材としては、例えば、エチレン・四フッ化エチレン共重合体膜(ETFE膜)、ポリフッ化ビニリデン膜(PVDF膜)、ポリテトラフルオロエチレン膜(PTFE膜)などのフッ素化共重合体膜が挙げられる。
【0027】
このような基材のなかでは、好ましくは、エチレン・四フッ化エチレン共重合体膜(ETFE膜)が挙げられる。
【0028】
また、このような基材の膜厚としては、例えば、10〜150μm、好ましくは、30〜60μmである。
【0029】
このような基材は、例えば、市販品のETFE膜(旭硝子社製:膜厚50μm)を用いることもできる。
【0030】
次いで、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下において、基材に、電離放射線としてγ線を照射し、重合開始点を生じさせる。
【0031】
γ線の吸収線量は、例えば、10〜50kGy、好ましくは、10〜40kGyである。
【0032】
照射条件としては、照射温度が、例えば、5〜50℃、好ましくは、10〜30℃、照射時間が、例えば、60〜120分、好ましくは、80〜100分である。
【0033】
次いで、ハロゲン化アルキル基を有するモノマーを、有機溶媒により希釈し、モノマー溶液を調製する。そして、そのモノマー溶液に、重合開始点が生じた基材を、浸漬して、モノマーを基材の重合開始点を分岐点として重合させることにより、分枝鎖にハロゲン化アルキル基を有するグラフト共重合体を作製する。
【0034】
ハロゲン化アルキル基を有するモノマーは、上記のハロゲン化アルキル基を有するモノマーであればよく、例えば、クロロメチルスチレン、クロロエチルスチレン、クロロプロピルスチレン、ブロモメチルスチレン、ブロモエチルスチレン、ブロモプロピルスチレン、塩化アリル、臭化アリルなどのハロゲン化アルキル基を有するビニルモノマーが挙げられる。
【0035】
このようなハロゲン化アルキル基を有するビニルモノマーのなかでは、好ましくは、クロロメチルスチレンが挙げられる。
【0036】
このようなハロゲン化アルキル基を有するビニルモノマーは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0037】
有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
【0038】
このような有機溶媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0039】
また、このような有機溶媒のなかでは、好ましくは、芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0040】
また、モノマー溶液の配合比率(有機溶媒:ハロゲン化アルキル基を有するモノマー)は、例えば、2:1〜1:2、好ましくは、1.5:1〜1:1.5である。
【0041】
浸漬条件としては、浸漬温度が、例えば、20〜100℃、好ましくは、40〜80℃、浸漬時間が、例えば、1〜10時間、好ましくは、2〜5時間である。
【0042】
このようにして得られたグラフト共重合体は、ハロゲン化アルキル基を有するモノマーが、ハロゲン化アルキル基を保持したまま、基材の分岐点から重合するために、幹となる高分子鎖から、枝分かれした分枝鎖に、ハロゲン化アルキル基を有している。
【0043】
このようなグラフト共重合体のグラフト率は、例えば、25〜100%、好ましくは、30〜80%である。
【0044】
グラフト率は、基材、例えば、ETFE膜の質量に対する、幹となる高分子鎖に重合したハロゲン化アルキル基を有するモノマーの質量の百分率である。
【0045】
次いで、アニオン交換膜の原材料となる高分子膜と、三級アミンとを反応させることにより、四級アンモニウム塩基を有するアニオン交換膜が製造される。
【0046】
より具体的には、まず、三級アミンを溶媒に溶解し、三級アミン溶液を調製し、アニオン交換膜の原材料となる高分子膜を浸漬する。これによって、高分子膜の有するハロゲン化アルキル基と、三級アミンとが反応し、ハロゲン化アルキル基のハロゲン原子と三級アミンとが置換されることで、四級アンモニウム塩基が導入され、アニオン交換膜が製造される。
【0047】
このようなアニオン交換膜のなかでは、好ましくは、幹となる高分子鎖から、枝分かれした分枝鎖に、四級アンモニウム塩基が結合しているアニオン交換膜が挙げられる。
【0048】
三級アミンは、2つのメチル基と、1つの炭素数3〜8のアルキル基とが窒素原子に結合したアミンであって、例えば、ジメチルn−プロピルアミン、ジメチルn−ブチルアミン、ジメチルn−ペンチルアミン、ジメチルn−ヘキシルアミン、ジメチルn−ヘプチルアミン、ジメチルn−オクチルアミンなどの2つのメチル基と、1つの炭素数3〜8の直鎖状アルキル基とが、窒素原子に結合する三級アミン、例えば、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルイソブチルアミン、ジメチルsec−ブチルアミン、ジメチルtert−ブチルアミン、ジメチルイソペンチルアミン、ジメチルsec−ペンチルアミン、ジメチルイソオクチルアミン、ジメチル2−エチルヘキシルアミンなどの2つのメチル基と、1つの炭素数3〜8の分岐状アルキル基とが、窒素原子に結合する三級アミンなどが挙げられる。
【0049】
このような三級アミンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0050】
このような三級アミンのなかでは、好ましくは、2つのメチル基と、炭素数4〜6の直鎖状アルキル基が窒素原子に結合する三級アミンが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルn−ブチルアミン、ジメチルn−ヘキシルアミンが挙げられる。
【0051】
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類などが挙げられる。
【0052】
このような溶媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0053】
このような溶媒のなかでは、好ましくは、エタノールが挙げられる。
【0054】
三級アミン溶液の濃度は、例えば、10〜50質量%、好ましくは、20〜40質量%である。
【0055】
浸漬条件としては、時間が、例えば、2〜48時間、好ましくは、24〜48時間、温度が、例えば、5〜80℃、好ましくは、10〜40℃である。
【0056】
次いで、必要により、製造されたアニオン交換膜を、純水で洗浄した後、酸性溶液もしくは三級アミンを溶解することができる溶媒に浸漬し、過剰の三級アミンを除去する。その後、再度水で洗浄し、真空乾燥させる。
【0057】
酸性溶液としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸などの無機酸水溶液、ギ酸、酢酸などの有機酸水溶液が挙げられる。
【0058】
このような酸性溶液は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0059】
また、このような酸性溶液のなかでは、好ましくは、無機酸水溶液が挙げられる。
【0060】
酸性溶液の濃度としては、例えば、0.1〜5mol/L、好ましくは、0.5〜2mol/Lである。
【0061】
三級アミンを溶解することができる溶媒としては、例えば、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0062】
このような溶媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0063】
また、このような溶媒のなかでは、好ましくは、エタノール、THFなどの極性が高い溶媒が挙げられる。
【0064】
浸漬時間としては、例えば、0.2〜48時間、好ましくは、10〜30時間である。
【0065】
このように製造されたアニオン交換膜の四級化率は、例えば、70〜100%、好ましくは、80〜100%である。
【0066】
四級化率は、高分子鎖に重合したハロゲン化アルキル基を有するモノマーのモル数に対する、四級アンモニウム塩基として導入された三級アミンのモル数の百分率である。
【0067】
また、このように製造されたアニオン交換膜の膜厚は、例えば、20〜130μm、好ましくは、30〜90μmである。
【0068】
このように製造されたアニオン交換膜は、四級アンモニウム塩基の対イオンとして、ハロゲンイオンを有している。
【0069】
ハロゲンイオンは、アニオン交換膜の用途に応じて、例えば、水酸化物イオン、重炭酸イオンなどと適宜置換することができる。例えば、アニオン交換膜を固体高分子形燃料電池などに用いる場合には、対イオンを、ハロゲンイオンから水酸化物イオンに置換する。
【0070】
ハロゲンイオンを水酸化物イオンと置換するには、例えば、ハロゲンイオンを対イオンとするアニオン交換膜を、塩基性溶液に浸漬して、対イオンを、ハロゲンイオンから水酸化物イオンに置換する。
【0071】
塩基性溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液などが挙げられる。
【0072】
このような塩基性溶液のなかでは、好ましくは、水酸化カリウム水溶液が挙げられる。
【0073】
塩基性溶液の濃度としては、例えば、0.1〜5mol/L、好ましくは、0.5〜3mol/Lである。
【0074】
このような
塩基性溶液は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0075】
浸漬条件としては、浸漬時間が、例えば、5〜24時間、好ましくは、10〜15時間、浸漬温度が、例えば、5〜50℃、好ましくは、10〜30℃である。
【0076】
このような水酸化物イオンを対イオンとする、アニオン交換膜の含水率は、例えば、10〜70%、好ましくは、30〜60%である。
【0077】
重炭酸イオンを対イオンとする、アニオン交換膜を調製するには、水酸化物イオンを対イオンとする、アニオン交換膜を大気中で、乾燥させる。
【0078】
乾燥時間としては、例えば、0.1〜20時間、好ましくは、2時間〜20時間である。
【0079】
このような重炭酸イオンを対イオンとする、アニオン交換膜のイオン伝導度は、例えば、10〜40mS/cm、好ましくは、20〜40mS/cmである。
【0080】
このようなアニオン交換膜が、使用される固体高分子形燃料電池などでは、長期間使用に供すると、燃料電池内部にOHラジカルが生じ、OHラジカルと、アニオン交換膜とが反応することで、固体高分子形燃料電池の性能が低下するという不具合が生じる場合がある。
【0081】
しかしながら、本発明のアニオン交換膜は、2つのメチル基と、1つの炭素数3〜8のアルキル基とが、窒素原子に結合する四級アンモニウム塩基を有している。そのため、OHラジカルと、アニオン交換膜との反応を抑制し、固体高分子形燃料電池の性能の低下を抑制することができる。
【実施例】
【0082】
次に、実施例
、比較例
および参考例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例
、比較例
および参考例により限定されるものではない。
参考例1
膜厚50μmのETFE膜(旭硝子社製)を、アルゴン雰囲気下、室温において、30kGyのγ線を照射した後、60℃において、クロロメチルスチレン(CMS)/キシレン溶液中(クロロメチルスチレン:キシレン=1:1)に、2.5時間浸漬させ、幹となるエチレン・四フッ化エチレン共重合体から、枝分かれした分枝鎖に、クロロメチル基を有するグラフト共重合体を得た(グラフト率45%)。
【0083】
次いで、得られたグラフト共重合体と、30質量%のジメチルn−ブチルアミン(DMBuA)エタノール溶液とを、スクリュー管に入れ、震とう器を用いて、震とうさせながら、室温において、48時間浸漬させた(四級化率90%)。
【0084】
次いで、超純水で洗浄した後、1Mの塩酸
溶液に24時間浸漬して洗浄し、その後、超純水に浸漬して2時間洗浄することにより、ハロゲンイオンを対イオンとするアニオン交換膜を作製した。
【0085】
次いで、真空乾燥した後、1Mの水酸化カリウム溶液に10時間浸漬し、対イオンを置換することにより、水酸化物イオンを対イオンとするアニオン交換膜を得た。そして、得られたアニオン交換膜を、大気中で12時間、乾燥させることにより、重炭酸イオンを対イオンとするアニオン交換膜を得た。
実施例2
30質量%のジメチルn−ブチルアミン(DMBuA)エタノール溶液に代えて、30質量%のジメチルn−ヘキシルアミン(DMHeA)エタノール溶液を用いた以外は、
参考例1と同様にして、重炭酸イオンを対イオンとするアニオン交換膜を得た。グラフト共重合体のグラフト率は、45%であり、アニオン交換膜の四級化率は、85%であった。
比較例1
30質量%のジメチルn−ブチルアミン(DMBuA)エタノール溶液に代えて、30質量%のトリメチルアミン(TMA)水溶液を用い、2時間浸漬した以外は、
参考例1と同様にして、重炭酸イオンを対イオンとするアニオン交換膜を得た。グラフト共重合体のグラフト率は、45%であり、アニオン交換膜の四級化率は、95%であった。
【0086】
評価試験
以下の方法により、各種測定を実施した。
【0087】
なお、以下の測定においては、水酸化物イオンを対イオンとする、アニオン交換膜を用いて、評価することが好ましい。しかしながら、水酸化物イオンは、大気中の二酸化炭素と速やかに反応して、重炭酸イオンへと変化してしまうので、安定した測定値を得るために、重炭酸イオンを対イオンとする、アニオン交換膜を用いて、イオン伝導度の測定およびフェントン試験を実施した。
1.イオン伝導度の測定
上記
参考例1、
実施例2および比較例1により得られた、重炭酸イオンを対イオンとする各アニオン交換膜を、白金電極を取り付けたガラス板ではさみ、トルクを一定にするために、クリップで留めた後、60℃に調整した純水中に浸漬した。次いで、インピーダンスメータ(HIOKI社製 3522−50 CHEMICAL IMPEDANCE METER)を使用して、インピーダンス測定した。なお、インピーダンスの値が下がるため5分経過後の値、もしくは5分経過前の極小値を採用した。上記の測定結果をフェントン試験前のイオン伝導度とした。
2.フェントン試験
過酸化水素水H
2O
28.57mLに、イオン交換水を加え、硫酸鉄FeSO
40.0011gを添加した後、全量が100mLの試験溶液を調製した。
【0088】
次いで、
参考例1、
実施例2および比較例1で得られた、重炭酸イオンを対イオンとするアニオン交換膜を2×2cmの大きさに切り出し、それらアニオン膜を、それぞれ試験溶液に浸漬した。
【0089】
次いで、アニオン膜を浸漬した試験溶液を、80℃に設定した恒温水槽に入れることで、下記化学式(1)のフェントン反応により、OHラジカルを発生させた。
化学式(1)
H
2O
2+Fe
2+→Fe
3++OH
―+・OH
次いで、8時間後、アニオン交換膜を取り出し、水洗し乾燥させた。
【0090】
低塵室で1日乾燥させた後、上記イオン伝導度の測定と同様にして、フェントン試験後のイオン伝導度を測定した。
【0091】
結果を表1に示す。
【0092】
【表1】