(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
食器を洗浄する食洗機から前記検出装置を経て、前記搬送手段による食器取得位置まで、食器搬入手段が、食器を搬送する食器搬入ステップをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の収納方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたような技術によって食器を洗浄し、整理したとしても、収納棚に収納された洗浄後の食器を取り出す作業は、従業員などの手作業で行われていることから、その取り出す作業が煩雑であるという問題があり、献立に合わせた食器を自動で取り出すことができれば、さらに省力化できることから、そのようなシステムの開発が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、献立に応じた食器を自動で収納棚から取り出し可能とし、利便性を向上させ、省力化を図ることのできる収納システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、多数の食器を収納する収納システムであって、多数の食器を積み重ねて収納する収納棚と、各食器の種類と、各食器の収納棚における収納位置とを関連づけて記憶する収納管理データベース装置と、料理の種類に関する情報が含まれる献立情報と、
食器の種類とを関連づけて記憶する献立情報データベース装置と、献立情報の入力を受け付ける入力インターフェースと、入力インターフェースにより入力された献立情報に基づいて、献立情報データベース装置を参照し、必要な食器の種類及び数量を決定する食器選定手段と、食器選定手段による決定に基づいて、収納管理データベース装置を参照し、収納棚から取り出すべき食器の収納位置を特定する動作制御手段と、動作制御手段による制御に基づいて、収納棚に収納されている食器を取り出す搬送手段とを備える。
【0008】
また、他の発明は、多数の食器を収納する収納方法であって、
(1)多数の食器を積み重ねて収納棚に収納する収納ステップと、
(2)各食器の種類と、各食器の収納棚における収納位置とを関連づけて収納管理データベース装置に記憶するとともに、料理の種類に関する情報が含まれる献立情報と、
食器の種類とを関連づけて献立情報データベース装置に記憶する記憶ステップと、
(3)食器選定手段が、献立情報の入力を入力インターフェースで受け付け、入力された献立情報に基づいて、献立情報データベース装置を参照し、必要な食器の種類及び数量を決定する食器選定ステップと、
(4)動作制御手段が、食器選定手段による決定に基づいて、収納管理データベース装置を参照し、収納棚から取り出すべき食器の収納位置を特定する動作制御ステップと、
(5)搬送手段が、動作制御手段による制御に基づいて、収納棚に収納されている食器を取り出す搬送ステップと
を備える。
【0009】
これらの本発明によれば、
食器の種類とを関連づけて記憶しておき、その後、入力された献立情報に基づいて、必要な食器の種類及び数量を決定して、搬送手段が収納棚に収納されている食器を自動で取り出すので、食器の取り出す作業の手間を軽減でき、利便性を向上させることができる。
【0010】
上記発明において、収納棚に収納される前の食器の種類を検出する検出装置と、検出装置が検出した各食器の種類に基づいて、収納位置を決定する収納位置決定手段とをさらに備え、搬送手段は、収納位置決定手段による決定に従って、食器を所定の収納位置に収納し、収納管理データベース
装置は、搬送手段が食器を搬送した収納位置と、収納された食器の種類とを関連づけて記憶することが好ましい。
【0011】
この場合には、検出装置によって検出された食器の種類に基づいて収納位置を決定し、搬送手段で食器を所定の収納位置に収納しているので、洗浄済みの食器を収納する工程についても自動で行うことができ、より利便性を向上させることができる。
【0012】
この際、収納管理データベース
装置は、搬送手段が食器を搬送した収納位置と、収納された食器の種類とを関連づけて記憶しているので、自動で収納された食器の収納位置が特定できる。そのため、その後に搬送手段によって自動で食器を取出する処理が実行可能となり、収納工程及び取出工程を連続して実行することができる。
【0013】
上記発明において、食器を洗浄する食洗機と、食洗機から検出装置を経て、搬送手段による食器取得位置まで、食器を搬送する食器搬入手段とをさらに備えることが好ましい。
【0014】
この場合には、食器を洗浄する食洗機を備え、その食洗機から搬送手段による食器取得位置まで食器を搬送できることから、使用済みの食器を洗浄する工程、洗浄済みの食器を収納する工程、次の料理に使用される食器を取り出す工程の全てを全自動で行うことができ、より利便性を向上させることができる。
【0015】
上記発明において、収納棚において食器は複数枚積み重ねられて収納可能となっており、搬送手段は、積み重ねられた食器のうち、任意の高さに位置された食器を選択的に取り出せることが好ましい。
【0016】
この場合、搬送手段は積み重ねられた食器のうち、任意の高さに位置された食器を選択的に取り出せるので、異なる種類の食器を積み重ねて収納することができる。その結果、食器の種類毎に収納する手間を軽減することができるとともに、収納棚の省スペース化を図ることができる。
【0017】
上記発明において、搬送手段は、任意の高さより上方に積載された食器を垂直に持ち上げる上方リフト手段と、上方リフト手段が上方の食器を持ち上げた状態において、任意の高さ位置の食器を側方より挿入されて、側方から把持する下方リフト手段とを備えることが好ましい。
【0018】
この場合、上方リフト手段によって、上方に積載された食器を垂直に持ち上げ、その後、下方リフト手段を食器に対して側方より挿入させて食器を側方から把持するので、積み重ねられた食器のうち、任意の高さに位置された食器を選択的に取り出せることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、この発明によれば、料理に応じた食器を自動で収納棚から取り出すことができ、利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る収納システムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る収納システムの全体構成を示す概略図であり、
図2(a)〜(c)は、検出装置17の構成を示す説明図である。また、
図3は、収納棚の内部構成を示す側部断面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の収納システム100は、多数の食器5を収納するシステムであって、食器5を洗浄する食洗機2と、多数の食器5を積み重ねて収納する収納装置1と、食洗機2で洗浄した食器5を収納装置1に搬送する食器搬入装置3とから構成されている。
【0023】
食洗機2は、使用済みの食器を洗浄する装置であり、公知の食洗機を適用可能である。この食洗機2としては、食器5を浸漬する浸漬機や、浸漬機から搬出した食器5を洗浄する洗浄機、食器5を乾燥させる乾燥機等を備えた常務用の食洗機2であってもよく、家庭用の食洗機などであってもよい。本実施形態の食洗機2には、収納装置1側の側面に、食器5を積載した食器かご4を取り出す取出口2aが形成されており、その取出口2aに食器搬入装置3が設けられている。
【0024】
本実施形態では、洗浄後の食器5が収納された食器かご4が、図示しない連結手段によって、食器搬入装置3上に搬入されるようになっている。なお、食器かご4は、線材で構成され、所定数の食器を直立姿勢で水平方向に積段状態で収納するものである。
【0025】
食器搬入装置3は、食器かご4に収納された食器5を収納装置1に搬送する手段であって、例えば、一対のローラに無端状に巻き掛けられたベルトから構成されるコンベア等を用いることができる。食器搬入装置3は、食洗機2の取出口2aから、後述する収納装置1の側部取込口12に亘って形成されている。
【0026】
収納装置1は、食器搬入装置3によって搬送された食器5を受け取り、食器5を収納棚16に収納するとともに、使用時には任意の食器5を収納棚16から取り出す装置である。本実施形態において収納装置1は、多数の食器5を積み重ねて収納する収納棚16と、食洗機2から搬送された食器5を収納棚16に収納するとともに、収納棚16に収納された食器5を取り出す搬送装置10とから構成される。本実施形態において、収納棚16と搬送装置10とが前後方向に隣接されて設置されている。
【0027】
収納棚16は、
図3に示すように、搬送装置10と対向する面が開口し、食器5が複数枚積み重ねられて積載される棚板161が形成されたラックである。収納棚16における棚板161の数及び大きさ(幅、奥行き等)は収納する食器5に応じて選択可能である。
【0028】
搬送装置10は、食洗機2から延びた食器搬入装置3の延長線上に配置された筐体であり、筐体には、検出装置17と、搬送部15と、操作パネル14と、制御部20とを備えている。
【0029】
筐体には、食洗機2と対向する側面に形成され、食器搬入装置3によって搬送された食器かご4を取り込む側部取込口12と、側部取込口12から搬送された食器5を収納棚16に移動させる内部空間10aと、筐体前面に形成され、収納棚16から搬送された食器5を外部に取り出すための取出口11とが形成されている。
【0030】
また、この側部取込口12及び取出口11によって形成される空間部分には食器5が一時的に置かれる食器置き台13が設けられている。この食器置き台13は、食器5を把持する搬送部15が、洗浄後の食器5を持ち上げることを開始する食器取得位置となっている。本実施形態において、食器搬入装置3は、食洗機2から検出装置17を経て、この食器置き台13まで食器5を搬送する。
【0031】
なお、食器搬入装置3は、図示しない駆動機能によって、食器かご4内に収納された直立状態の食器5を一枚ずつ、食器置き台13に横置きとなるように配置させる機構も備えている。また、食器置き台13は、収納棚16に収納された食器5が搬送部15によって取り出された際、一時的に置かれる食器供給位置ともなっている。
【0032】
検出装置17は、収納棚16に収納される前の食器5の種類を検出する装置であり、搬送装置10の側部取込口12に設置されている。本実施形態において、検出装置17は、レーザーなどを用いた非接触式の形状測定装置によって食器5の形状が測定可能となっている。なお、検出装置17としては、例えば、
図2(a)及び(b)に示すように、搬送方向に並んだ各種センサ171,172が配置され、前後の各センサは、相互に直交するように配置された構成のものを使用してもよい。そして、食器は、各センサを順次通過するようになっている。
【0033】
また、検出装置17としては、例えば、
図2(c)に示すように、斜め方向に延び、各センサが垂直方向に配列された各センサ171aと、センサ171aと直交するように配置され、垂直方向に配列された各センサ172aとを配置させた構成とし、この各センサ171a,172aの間を食器が通過するものであってもよい。なお、検出装置17の構成は上記の構成に限定するものではなく、食器5の形状が特定されればよく、種々選択可能である。
【0034】
検出装置17によって測定された検出信号は、制御部20に送信され、制御部20では当該形状に関する検出信号に基づいて食器5の種類が特定される。なお、本実施形態において、検出装置17は、食器5の形状を測定する装置を用いたが、例えば、食器5にICタグなどを貼り付け、そのICタグから食器5を識別する識別情報を読み取るリーダ装置であってもよい。
【0035】
操作パネル14は、種々の画像や情報等を表示するとともに、ユーザーが情報や指示等を入力するためのものである。操作パネル14は、搬送装置10の筐体全面に設けられている。この操作パネル14は、ユーザー操作を受け付ける入力インターフェース14aと、表示画面やスピーカー等の出力インターフェース14bとから構成され、入力インターフェース14aによって、献立情報の入力が可能となるとともに、出力インターフェースの表示画面によって献立情報やその献立に用いられる食器5の情報が出力される。
【0036】
制御部20は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、各部の動作を制御する。具体的には、食器搬入装置3の駆動、搬送部15の移動などを制御する。
【0037】
搬送部15は、制御部20による制御に基づいて、食洗機2から搬送された食器5を収納棚16に収納するとともに、収納棚16に収納されている食器5を取り出す手段である。
【0038】
(搬送部の構成)
搬送部15の具体的な構成について説明する。
図4は、搬送部15の構成を示す斜視図であり、
図5及び
図6は、本実施形態に係る搬送部15の動作を示す説明図である。搬送部15は、
図3に示すように、搬送装置10の上部に配置された駆動機構159から吊下手段158を介して吊下されており、駆動機構159によって搬送装置内部10aを上下左右に移動可能となっているとともに、回転可能となっている。
【0039】
このような搬送部15は、
図4に示すように、任意の高さより上方に積載された食器5を垂直に持ち上げる上方リフト部151と、上方リフト部151が上方の食器5を持ち上げた状態において、任意の高さ位置の食器5を側方より挿入されて、側方から把持する下方リフト部152と、上方リフト部151と、下方リフト部152とを水平方向にスライド移動可能に保持する保持部153とから構成される。
【0040】
保持部153は、水平方向に延設された棒状部材であって、この保持部153の上部には、上方リフト部151が取り付けられるとともに、保持部153の下面には軌条が形成され、この軌条に下方リフト部152がスライド移動可能に取り付けられている。また、保持部153は、後端に吊下手段158が連結されており、吊下手段158を介して上下左右に移動可能となっているとともに、吊下手段158を軸として回動可能となっている。
【0041】
上方リフト部151は、保持部153の前端に固定されるレール部材151aと、レール部材151aに連結され、レール部材151aの長手方向(上下方向)に沿ってスライド移動可能な上下方向移動部151bと、上下方向移動部151bの両端に固定され、水平方向に突出した一対の把持部151d,151dとから構成される。
【0042】
レール部材151aは、下端が保持部153に取り付けられ、垂直方向に立設されたレール部材である。このレール部材151aには、前方側の側面に軌条が形成され、上下方向移動部151bが取り付けられている。
【0043】
上下方向移動部151bは、略中央部分がレール部材151aに取り付けられ、水平方向に延設された棒状の部材であり、レール部材151aのレール上をレール部材151aの長手方向(上下方向)に沿ってスライド移動可能となっている。この上下方向移動部151bの両端には、上下方向移動部151bの長手方向に沿って伸縮可能な一対の伸縮部151c,151cが設けられており、その伸縮部151c,151cに、それぞれ把持部151d,151dが固定されている。
【0044】
一対の把持部151d、151dは、断面略円形をなした棒状部材であり、後端が伸縮部151cに固定され、前方に向けて突出している。そして、一対の把持部151d、151d間の距離は、各伸縮部151cが上下方向移動部151bに対して伸縮することで、変更可能となっている。
【0045】
一方、下方リフト部152は、保持部153の下面に連結され、保持部153のレール上を、保持部153の長手方向(前後方向)に沿ってスライド移動可能な前後方向移動部152aと、前後方向移動部152aに連結され、前後方向移動部152aの長手方向(上下方向)に沿ってスライド移動可能な上下方向移動部152bと、上下方向移動部152bの両端に固定され、水平方向に延設された一対の把持部152d、152dとから構成される。
【0046】
前後方向移動部152aは、上端が保持部153に取り付けられ、垂直方向に立設されたレール部材であり、保持部153のレール上を、保持部153の長手方向(前後方向)に沿ってスライド移動可能となっている。
【0047】
上下方向移動部152bは、略中央部分が前後方向移動部152aに取り付けられ、水平方向に延設された棒状の部材であり、前後方向移動部152aのレール上を、前後方向移動部152aの長手方向(上下方向)に沿ってスライド移動可能となっている。この上下方向移動部152bの両端には、上下方向移動部152bの長手方向に沿って伸縮可能な一対の伸縮部152c,152cが設けられており、その伸縮部152c,152cに、それぞれ把持部152d,152dが固定されている。
【0048】
一対の把持部152d、152dは、断面略円形をなした棒状部材であり、後端が伸縮部152cに固定され、前方に向けて突出している。そして、一対の把持部152d、152d間の距離は、伸縮部152cが上下方向移動部152bに対して伸縮することで変更可能となっている。
【0049】
このような搬送部15を用いることで、積み重なった食器5の中から任意の食器5を取り出すことや、積み重なった食器5の任意の位置に食器5を収納することができるようになっている。
【0050】
積み重なった食器5の中から任意の食器5を取り出す場合の動作について説明する。先ず、
図5(a)に示すように、搬送部15全体を積み重なった食器5の付近まで移動させる。そして、上下方向移動部152bを移動させて、取り出したい食器5aの高さに一対の把持部152d、152dを配置させる。また、上下方向移動部151bを移動させて、取り出したい食器5aの上に配置された食器5bの高さに一対の把持部151d,151dを配置させる。また、一対の伸縮部151c,151cを最大限伸して、一対の把持部151d,151d間を最大限にしておく。
【0051】
次に
図5(b)に示すように、前後方向移動部152aを保持部153の後端側にスライド移動させるとともに、一対の伸縮部152c,152cを最大限伸して一対の把持部152d,152d間を最大限にしておく。次いで、搬送部15全体を水平方向に移動させ、一対の把持部151d,151dを食器5bの横に配置させ、一対の伸縮部151c,151cを縮ませて、食器5bの胴又は腰の外側に当接させる。この状態で、
図5(c)に示すように、上下方向移動部151bをレール部材151aに沿って上部に移動させて、積み重なった食器5bを持ち上げる。
【0052】
その後、
図6(a)に示すように、前後方向移動部152aを保持部153の前端側にスライド移動させ、一対の把持部152d,152dを食器5aの横に配置させる。そして、食器5aの胴又は腰の外側に接するように一対の伸縮部152c,152cを縮ませる。そして、上下方向移動部152bを前後方向移動部152aに沿って上部に移動させて食器5aを持ち上げ、食器5aと、食器5aの下に位置する食器とが垂直方向で重ならない位置まで移動させる。
【0053】
その状態で、
図6(b)に示すように、前後方向移動部152aを保持部153の後端側にスライド移動させて、食器5aを取り出す。食器5aを取り出したら、上下方向移動部151bをレール部材151aに沿って下部に移動させて、持ち上げた食器5bを食器の上に積み重ねる。その後、一対の伸縮部151c,151cを最大限伸して食器5bの把持状態を解除させ、
図6(c)に示すように、搬送部15全体を水平方向にスライド移動させて、一対の把持部152d,152dで食器5aを把持した状態で食器置き台13まで搬送させる。
【0054】
次いで、積み重なった食器5の任意の位置に食器5を収納する動作について説明する。最初に、食器置き台13に配置された洗浄後の食器5を一対の把持部152d,152dで把持する。この際、把持部151dと把持部152dとの間は、持ち上げる食器5の高さ以上となるように距離をあけておく。その後、搬送部15全体を移動させて、所定の収納棚16まで搬送させる。
【0055】
収納位置まで搬送部15を搬送させたら、前後方向移動部152aを保持部153の後端側にスライド移動させるとともに、上下方向移動部151bを移動させて、持ち上げる食器5の高さに一対の把持部151d、151dを配置させる。さらに、一対の伸縮部151c,151cを最大限伸して、一対の把持部151d,151d間を最大限にしておく。
【0056】
この状態で搬送部15全体を水平方向に移動させ、一対の把持部151d,151dを食器5の横に配置させ、一対の伸縮部151c,151cを縮ませて、食器5の胴又は腰の外側に当接させる。その状態で、上下方向移動部151bをレール部材151aに沿って上部に移動させて、積み重なった食器5を持ち上げる。
【0057】
次いで、上下方向移動部152bを前後方向移動部152aに沿って上部に移動させるとともに、前後方向移動部152aを保持部153の前端側にスライド移動させて、把持した食器を積み重なった食器の間に挿入する。挿入後、上下方向移動部152bを前後方向移動部152aに沿って下部に移動させて、把持した食器を下方に位置する食器の上に積み重ねる。その後、一対の伸縮部152c,152cを最大限伸して、食器5の把持状態を解除する。
【0058】
洗浄後の食器5を収納した後には、上下方向移動部151bをレール部材151aに沿って下部に移動させ、持ち上げた食器5を積み重なった食器の上に配置させ、その後、一対の伸縮部151c,151cを最大限伸して食器5bの把持状態を解除させる。
【0059】
(制御部20の内部構造)
上述したような搬送部15による食器の搬送動作は、上述した制御部20の制御によって行われる。
図7は、本実施形態に係る制御部20の搬送機構に係るモジュール及び周囲のモジュールとを示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0060】
図7に示すように、制御部20には、各種データベース群と、食器選定部21と、動作制御部22と、収納位置決定部23とを備えている。データベース群には、収納管理データベース28と、献立情報データベース29と、食器情報データベース27とを備えている。
【0061】
食器情報データベース27は、食器5の種類に、食器5の形状に関する情報(高さ、幅、奥行き、又は外周径など)等を記憶する記憶装置である。収納管理データベース28は、各食器5の種類と、各食器5の収納棚16における収納位置とを関連づけて記憶する記憶装置である。本実施形態において、収納管理データベース28は、搬送部15が食器5を収納棚16に搬送した収納位置と、収納された食器5の種類とを関連づけて記憶する。
【0062】
献立情報データベース29は、料理の種類に関する情報が含まれる献立情報と、料理の種類と食器5の種類とを関連づけて記憶する記憶装置である。この献立情報と、食器5の種類との関連づけは、操作パネル14の入力インターフェース14aを通じて受け付け可能となっている。
【0063】
収納位置決定部23は、検出装置17が検出した各食器5の種類に基づいて、収納位置を決定するモジュールである。具体的に、収納位置決定部23は、検出装置17が検出した食器5の形状に関する検出結果を取得すると、食器情報データベース27を参照して、その食器5の種類を特定する。その後、収納位置決定部23は、収納管理データベース28を参照し、食器の種類に関連づけられた食器の収納位置を決定する。
【0064】
食器選定部21は、入力インターフェース14aにより入力された献立情報に基づいて、献立情報データベース29を参照し、必要な食器5の種類及び数量を決定するモジュールである。
【0065】
動作制御部22は、搬送部15及び食器搬入装置3の駆動全体を制御するモジュールである。特に動作制御部22は、搬送部15を制御して、食洗機2から搬入された食器5を収納棚16に収納する動作を実行するとともに、収納棚16に収納された食器5を食器置き台13に取り出す動作を実行する。
【0066】
ここで、食器5を収納棚16に収納する場合、動作制御部22は、収納位置決定部23による決定に従って、食器5を所定の収納位置に収納させる。ここで、動作制御部22は、必ずしも種類が同一の食器5のみを積み重ねる必要がなく、所定のカテゴリーに属する食器5については、積み重ねるように既に収納棚16に収納された食器5の上から積載させるようになっている。
【0067】
また、食器5を取り出す場合、動作制御部22は、食器選定部21による決定に基づいて、収納管理データベース28を参照し、収納棚16から取り出すべき食器5の収納位置を特定し、収納棚16に収納されている食器5を取り出す。この際、搬送部15は、積み重ねられた食器5のうち、任意の高さに位置された食器5を選択的に取り出すようになっている。
【0068】
(収納方法)
以上の構成を有する収納システムを動作させることによって、収納方法を実施することができる。
図8は、本実施形態に係る食器5の収納方法を示すフローチャートであり、
図9は、本実施形態に係る収納された食器5の取出方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態においては、予め、食器5の形状に関する情報が食器情報データベース27に記憶されるとともに、献立情報である料理の種類と食器5の種類とを関連づけて献立情報データベース29に記憶されているものとする。
【0069】
(1)収納処理
先ず、収納処理の動作について説明する。
図8に示すように、先ず、使用済みである複数の食器5が食器かご4に収納された状態で食洗機2部に配置されて洗浄処理が行われる(S101)。洗浄処理が終了した後、食器搬入装置3は、食器5を収納する食器かご4を搬送装置10へ搬送する(S102)。この際、食器搬入装置3は、食洗機2から検出装置17を経て、搬送部15による食器取得位置となる食器置き台13まで、食器5を搬送する。
【0070】
この際、検出装置17は、側部取込口12に搬入した食器5を検知すると(S103)、その食器5の形状を検出結果として制御部20に送信する。制御部20の収納位置決定部23では、この検出結果に基づいて、食器情報データベース27を参照して、収納棚16に収納される前の食器5の種類を検出する(S104)。なお、食器かご4には、複数の食器5が収納されているため、検出装置17は、各食器5の形状を検出し、収納位置決定部23は、各食器5の種類を配置順に特定していくものとする。また、食器かご4の枠体の形状については、予め登録しておき、検出結果からその枠体の形状を削除することで、食器5の形状を特定するものとする。
【0071】
収納位置決定部23は、食器5の種類の情報を取得すると、検出された各食器5の種類に基づいて、収納管理データベース28を参照して収納位置を決定する(S105)。この際、収納位置決定部23は、全ての食器5の収納位置を決定する。
【0072】
その後、動作制御部22では、搬送部15を制御して収納位置決定部23による決定に従って、食器5を所定の収納位置に収納する(S106)。この際、搬送部15は、食器置き台13に置かれた食器5に対して、下方リフト部152を側方より挿入して、側方から把持して食器を持ち上げる。そして、食器5を把持した搬送部15を移動させて、多数の食器5を積み重ねて所定の収納位置に収納する。収納した後、動作制御部22は、収納管理データベース28に、搬送部15が食器5を搬送した収納位置と、収納された食器5の種類とを関連づけて記憶する(S107)。
【0073】
制御部20は、搬入された全ての食器5を収納棚16に収納したか否かを判断し(S108)、収納されていない食器5がある場合には(S108における“NO”)、ステップS106〜ステップS107までの処理を繰り返し実行する。全ての食器5を収納棚16に収納した場合には(S108における“YES”)、処理を終了する。
【0074】
(2)取出処理
次いで、食器5の取出処理ついて説明する。
図9に示すように、先ず、ユーザーが献立情報の入力を入力インターフェース14aに入力する(S201)。入力インターフェース14aが、献立情報の入力を受け付けると、その献立情報は制御部20の食器選定部21に入力される。
【0075】
食器選定部21は、入力された献立情報に基づいて、献立情報データベース29を参照し、必要な食器5の種類及び数量を決定する(S202)。その決定された食器5の種類及び数量の情報は動作制御部22に入力される。
【0076】
動作制御部22は、食器選定部21による決定に基づいて、収納管理データベース28を参照し、収納棚16から取り出すべき食器5の収納位置を特定する(S203)。そして、動作制御部22は、搬送部15を駆動制御して、収納棚16に収納されている食器5を搬送して取り出す(S204)。
【0077】
ここで、搬送部15は、積み重ねられた食器5を持ち上げる際、上方リフト部151によって、任意の高さより上方に積載された食器5を垂直に持ち上げるとともに、上方リフト部151が上方の食器5を持ち上げた状態において、下方リフト部152を任意の高さ位置の食器5を側方より挿入して、側方から把持する。このようにして、把持された食器5は、食器置き台13に順次搬送されていく。
【0078】
動作制御部22では、1つの食器5に対する取出し操作が終了すると、全ての食器5を取り出したか否かを判断し(S205)、取り出されていない食器5がある場合には(S205における“NO”)、全ての食器5を取り出すまでステップS203及びステップS204の搬送処理を繰り返す。全ての食器5を取り出した場合には(S205における“YES”)、取出処理を終了する。
【0079】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、献立情報データベース29に、料理の種類と食器5の種類とを関連づけて記憶しておき、その後、入力された献立情報に基づいて、必要な食器5の種類及び数量を決定して、搬送部15が収納棚16に収納されている食器5を自動で取り出すので、食器5の取り出す作業の手間を軽減でき、利便性を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、検出装置17によって検出された食器5の種類に基づいて収納位置を決定し、搬送部15で食器5を所定の収納位置に収納しているので、洗浄済みの食器5を収納する工程についても自動で行うことができ、より利便性を向上させることができる。
【0081】
この際、収納管理データベース28は、搬送部15が食器5を搬送した収納位置と、収納された食器5の種類とを関連づけて記憶しているので、自動で収納された食器5の収納位置が特定できる。その結果、その後に搬送部15によって自動で食器5を取出する処理が実行可能となり、収納工程及び取出工程を連続して実行することができる。
【0082】
本実施形態において、収納システム100では、食器5を洗浄する食洗機2を備え、食器搬入装置3により、食洗機2から搬送部15による食器取得位置である食器置き台13まで食器5を搬送できることから、使用済みの食器5を洗浄する工程、洗浄済みの食器5を収納する工程、次の料理に使用される食器5を取り出す工程の全てを全自動で行うことができ、より利便性を向上させることができる。
【0083】
本実施形態において、収納棚16において食器5は複数枚積み重ねられて収納可能となっており、搬送部15は積み重ねられた食器5のうち、任意の高さに位置された食器5を選択的に取り出せるので、異なる種類の食器5を積み重ねて収納することができる。その結果、食器5の種類毎に収納する手間を軽減することができるとともに、収納棚16の省スペース化を図ることができる。
【0084】
本実施形態において、搬送部15は、上方リフト部151によって、上方に積載された食器5を垂直に持ち上げ、その後、下方リフト部152を食器5に対して側方より挿入させて食器5を側方から把持するので、積み重ねられた食器5のうち、任意の高さに位置された食器5を選択的に取り出せることができる。
【解決手段】多数の食器5を収納する収納システム100であって、各食器5の種類と、各食器5の収納棚16における収納位置とを関連づけて記憶する収納管理データベース28と、料理の種類に関する情報が含まれる献立情報と、料理の種類と食器5の種類とを関連づけて記憶する献立情報データベース29と、入力インターフェース14aにより入力された献立情報に基づいて、献立情報データベース29を参照し、必要な食器5の種類及び数量を決定する食器選定部21と、食器選定部21による決定に基づいて、収納管理データベース28を参照し、収納棚16から取り出すべき食器5の収納位置を特定する動作制御部22と、動作制御部22による制御に基づいて、収納棚16に収納されている食器5を取り出す搬送部15とを備える。