特許第5736658号(P5736658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧

特許5736658内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置
<>
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000002
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000003
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000004
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000005
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000006
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000007
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000008
  • 特許5736658-内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736658
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】内部が放射性物質により汚染された装置又は設備の解体方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20150528BHJP
   G21F 7/04 20060101ALI20150528BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20150528BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   G21F9/30 531M
   G21F9/30 531J
   G21F7/04
   G21F9/30 Z
   G21F9/36 511Z
   B09B5/00 T
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-78302(P2010-78302)
(22)【出願日】2010年3月30日
(65)【公開番号】特開2011-209157(P2011-209157A)
(43)【公開日】2011年10月20日
【審査請求日】2013年2月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 立
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−042599(JP,U)
【文献】 特開2003−200148(JP,A)
【文献】 特開平09−011182(JP,A)
【文献】 特開平02−130500(JP,A)
【文献】 特開平11−316298(JP,A)
【文献】 特開平08−152497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
B09B 5/00
G21F 7/04
G21F 9/36
B25J 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が放射性物質で汚染された装置又は設備を、放射性物質の漏洩を防ぐ収容体に収容した状態で解体する解体方法であって、
前記収容体として水平な所定方向に縮小可能なものを用い、
前記収容体の底部を構成する収容体底部の上に前記装置又は設備を載置する工程と、
前記収容体を前記所定方向への縮小を案内するように支持できる支持体を設置する工程と、
前記収容体の上部を構成し前記収容体内での作業を前記収容体外からするためのグローブが設けられた収容体上部を、前記収容体底部の上に設置すると共に、前記収容体上部を前記支持体に前記所定方向への縮小が案内されるように取り付ける工程と、
前記収容体上部と前記収容体底部とを接合して前記収容体を形成する工程と、
前記装置又は設備と前記支持体との間に、前記装置又は設備を支えるダンパーを設置する工程と、
廃棄物収納容器を前記収容体の内部に気密状態で連通するように接続する工程と、
前記装置又は設備を、前記グローブを用いて解体し、前記廃棄物収納容器に収納する工程と、
前記収容体を前記所定方向に縮小させる工程と、
前記所定方向に縮小した前記収容体を前記廃棄物収納容器に収納する工程と、
を備える解体方法。
【請求項2】
前記収容体として前記所定方向に縮小可能な蛇腹を用いる請求項1に記載の解体方法。
【請求項3】
前記収容体底部を、防振機能を有する床の上に設置する工程を備える請求項1又は請求項2に記載の解体方法。
【請求項4】
内部が放射性物質で汚染された装置又は設備を放射性物質の漏洩を防いだ状態で収容する収容体を備える解体装置であって、
前記収容体は、水平な所定方向に縮小可能に形成され、前記収容体の底部を構成し、上面に前記装置又は設備が載置される収容体底部と、前記収容体の上部を構成し前記収容体内での作業を前記収容体外からするためのグローブが設けられ廃棄物収容容器が気密状態で連通するように接続された収容体上部とが接合されており、
前記収容体を、前記所定方向への縮小を案内するように支持する支持体と、
前記装置又は設備と前記支持体との間に設置され、前記装置又は設備を支えるダンパーと、を更に備える解体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部が放射性物質により汚染された装置又は設備を解体する方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有害有機物収納容器を包み込こんで密閉することができ、外部からの手作業用のグローブが設けられたグローブバッグが知られている(例えば、特許文献1参照)。当該グローブバッグは、柔軟性シートにより形成されており、外部からの押圧力により変形するので、かかるグローブバッグを用いることで、有害有機物を外部に露出させることなく、当該有害有機物を手作業で処理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003―200148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、放射性汚染物を処理する場合に用いられるグローブボックスが知られている。このような放射性汚染物の処理用のグローブボックスは内部が放射性物質で汚染されているため、当該グローブボックスを解体する際には放射性物質の漏洩を防ぐ収容体に収容する必要がある。ここで、収容体として特許文献1に記載されるようなグローブバッグを用いることで、作業者は、収容体の外部からグローブボックスを解体できる。
【0005】
この場合、収容体であるグローブバッグの内部は、グローブボックスの解体時に放射性物質により汚染されるため、グローブボックスの解体後にはグローブバック自体を放射性廃棄物、即ち二次廃棄物として処理することが必要となり、二次廃棄物の容量が増大する。しかしながら、特許文献1では、グローブバッグ自体を処理することついては何ら考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、例えば放射性汚染物質処理用のグローブボックスのように、内部が放射性物質により汚染された装置又は設備を、放射性物質の漏洩を防ぐ収容体に収容した状態で解体する際に、収容体の外部から作業をすることができると共に、二次廃棄物を減容できる解体方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る解体方法は、内部が放射性物質で汚染された装置又は設備を、放射性物質の漏洩を防ぐ収容体に収容した状態で解体する解体方法であって、前記収容体として水平な所定方向に縮小可能なものを用い、前記収容体の底部を構成する収容体底部の上に前記装置又は設備を載置する工程と、前記収容体を前記所定方向への縮小を案内するように支持できる支持体を設置する工程と、前記収容体の上部を構成し前記収容体内での作業を前記収容体外からするためのグローブが設けられた収容体上部を、前記収容体底部の上に設置すると共に、前記収容体上部を前記支持体に前記所定方向への縮小が案内されるように取り付ける工程と、前記収容体上部と前記収容体底部とを接合して前記収容体を形成する工程と、前記装置又は設備と前記支持体との間に、前記装置又は設備を支えるダンパーを設置する工程と、廃棄物収納容器を前記収容体の内部に気密状態で連通するように接続する工程と、前記装置又は設備を、前記グローブを用いて解体し、前記廃棄物収納容器に収納する工程と、前記収容体を前記所定方向に縮小させる工程と、前記所定方向に縮小した前記収容体を前記廃棄物収納容器に収納する工程と、を備える。
【0008】
上記解体方法において、前記収容体として前記所定方向に縮小可能な蛇腹を用いてもよい。また、上記解体方法は、前記収容体底部を、防振機能を有する床の上に設置する工程を備えてもよい
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る解体装置は、内部が放射性物質で汚染された装置又は設備を放射性物質の漏洩を防いだ状態で収容する収容体を備える解体装置であって、前記収容体は、水平な所定方向に縮小可能に形成され、前記収容体の底部を構成し、上面に前記装置又は設備が載置される収容体底部と、前記収容体の上部を構成し前記収容体内での作業を前記収容体外からするためのグローブが設けられ廃棄物収容容器が気密状態で連通するように接続された収容体上部とが接合されており、前記収容体を、前記所定方向への縮小を案内するように支持する支持体と、前記装置又は設備と前記支持体との間に設置され、前記装置又は設備を支えるダンパーと、を更に備える
【発明の効果】
【0011】
上記解体方法、及び装置によれば、内部が放射性物質で汚染された装置又は設備を、放射性物質の漏洩を防ぐ収容体に収容した状態で解体する際に、収容体の外部から作業をすることができると共に、二次廃棄物を減容できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】グローブボックス解体装置を示す斜視図である。
図2】テントを横方向に縮小させた状態を示す斜視図である。
図3】畳んだテントをドラム缶に収納した状態を示す斜視図である。
図4】グローブボックス解体方法を説明するための正面図である。
図5】グローブボックス解体方法を説明するための正面図である。
図6】グローブボックス解体方法を説明するための正面図である。
図7】グローブボックス解体方法を説明するための正面図である。
図8】グローブボックス解体方法を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るグローブボックス解体装置10を示す斜視図である。この図に示すように、グローブボックス解体装置10は、防振床20と、防振床20上に設置される支持体としての支持フレーム30と、支持フレーム30に支持されると共に解体対象のグローブボックス12を収容する収容体としてのテント40と、テント40に収容された、内部が放射性物質により汚染された装置又は設備としてのグローブボックス12の解体に用いられる解体装置50とを備えている。
【0014】
なお、グローブボックス12は、水平な所定方向としての図中Xで示す横方向(以下、X方向という)の寸法が、図中Yで示す奥行き方向(以下、Y方向という)の寸法、及び図中Zで示す高さ方向(以下、Z方向という)の寸法より大きく、Z方向の寸法が、Y方向の寸法より大きい。また、グローブボックス12は、不図示の柱により結合された床板16と天板18とを備える箱体14(図5図6参照)内に設置されている。
【0015】
防振床20は、鋼製で矩形状の床部22と、床部22を支持する4個の防振ゴム24とを備えている。床部22の長手方向は、X方向と一致する。また、各防振ゴム22は、床部22の4箇所の角部の各々に対応して設けられており、地面から床部22に伝わる振動を低減する。
【0016】
支持フレーム30は、4本の支柱部32と、防振床20の長手方向に延びる2本の梁部34と、2本の梁部34の長手方向中央部を連結する連結梁部36とを備えている。各支柱部32は、床部22の4箇所の角部の各々に対応して配されており、床部22にボルトで締結されている。また、2本の梁部34は、Y方向に並べて配されており、各梁部34は、防振床20の長手方向に並んだ2本の支柱部32の上端部を連結している。梁部34の長手方向端部と支柱部32の上端部とはボルトで締結されている。また、梁部34の長手方向中央部と連結梁部36の長手方向端部とはボルトで締結されている。
【0017】
テント40は、略直方体状の中空体であり、防振床20の長手方向(X方向)に伸縮可能な蛇腹構造を有している。テント40は、X方向の寸法が、Y方向の寸法、及びZ方向の寸法より大きい。また、テント40は、Z方向の寸法が、Y方向の寸法より大きい。即ち、テント40の長手方向とグローブボックス12の長手方向とが一致している。
【0018】
ここで、テント40は、床部22上に敷設される収容体底部としてのテント底部42と、グローブボックス12の前後左右の側面及び上面を覆う収容体上部としてのテント上部44とを接合して形成されている。テント上部44は、底面が開口した矩形体状に形成されており、テント上部44の底側の開口縁部とテント底部42の周縁部とが溶着されている。
【0019】
また、テント上部44は、それぞれが上面、前後左右の側面を構成する矩形状のシートを接合することにより構成されている。このため、テント上部44の角部には接合しろが設けられている。
【0020】
テント上部44の上端且つX方向両端に存する接合しろには、X方向に所定間隔で複数の貫通穴44Aが形成されている。この貫通穴44Aには、S字状のハンガー46の一端側が引っ掛けられている。このハンガー46の他端側は支持フレーム30の梁部34に引っ掛けられている。これにより、テント上部44は、ハンガー46により梁部34に吊下げた状態で支持されている。
【0021】
また、テント上部44の側部には、複数のグローブ48が、テント上部44のZ方向及びX方向に所定間隔おきに配されている。各グローブ48は、テント上部44の側部と一体に形成されテント40内部に延びる筒状部材であり、該筒状部材の先端は手を模した形状をしている。作業者は、グローブ48に腕を挿入してテント40内での作業を行うことができる。なお、グローブ48を配置する上記所定間隔は、テント40内に作業者が作業できない空間が存在しないように設定されている。
【0022】
解体装置50は、ニブラーやソー等のグローブボックス12を解体するための工具52と、工具52を支持する工具支持部54とを備えている。工具支持部54は床板16上に設置されている。
【0023】
ここで、図示するように、一対の解体装置50が、X方向に並べて設置されている。これにより、グローブボックス12の解体を、グローブボックス12のX方向両側から同時に行うことができる。
【0024】
また、グローブボックス解体装置10は、連結梁部36と天板18(図5参照)との間に設置された2個のダンパー60と、テント40の内圧を調整する気圧調整装置62と、テント40の内部と、廃棄物収納容器としてのドラム缶19とを気密状態で接続する解体物排出用の配管64とを備えている。
【0025】
各ダンパー60の一端部は、連結梁部36の長手方向一端部と他端部とにそれぞれ取り付けられており、各ダンパー60の他端部は、テント上部44を挟んだ状態で天板18の上面に当接している。ここで、各ダンパー60は、天板18を下方へ付勢している。これにより、箱体14及びグローブボックス12は、2個のダンパー60の付勢力により防振床20に押圧される。即ち、箱体16及びグローブボックス12は、ダンパー60により上方から支えられ、転倒を防止される。
【0026】
気圧調整装置62は、テント上部44の図中Y方向手前側の面におけるX方向中央部に配されている。この気圧調整装置62は、配管63によりテント40に気密状態で接続された排気ファン及び給気ファンを備えており、テント40の内圧を負圧に調整している。
【0027】
配管64の一端部は、テント上部44の図中Y方向手前側の面におけるX方向中央部に気密状態で接続されている。また、配管64の他端部は、ドラム缶19に気密状態で接続されている。この配管64の内径は、グローブボックス12の解体物を通すために十分な大きさに設定されている。なお、配管64は、管の中間部で切断すると共に切断部を溶着することにより、管の中間部で分割すると共に切断部を密封することができる素材で形成されている。
【0028】
図2は、テント40をX方向に縮小させた状態を示す斜視図である。この図に示すように、グローブボックス12を解体してテント40から排出した後には、蛇腹構造のテント40は、支持フレーム30の梁部34に沿ってグローブボックス12が解体された分だけX方向に縮小することが可能となる。従って、図示するように、テント40をX方向に縮小させて畳むことができる。
【0029】
図3は、畳んだテント40をドラム缶19に収納した状態を示す斜視図である。この図に示すように、テント40は、ドラム缶19に収納できる程度にまで小さく畳むことができる。
【0030】
図4から図8までは、グローブボックス12の解体方法を説明するための正面図である。図4に示すように、まず、本解体方法では、防振床20を製作する工程を実施する。該工程では、床部22の4箇所の角部に防振ゴム24を取り付けることにより防振床20を製作する。
【0031】
次に、テント底部42の上に、グローブボックス12を載置する工程を実施する。該工程では、テント底部42を床部22の上に敷設する。次に、図5に示すように、グローブボックス12を収容した箱体14を懸架装置により吊り上げる。また、箱体14を吊り上げる前又は後に、箱体14の床板16に取り付けられているアンカーを撤去する。次に、箱体14を吊り上げた状態で、テント底部42が敷設された防振床20を箱体14の下に挿入する。そして、箱体14がテント底部42が敷設された範囲内に収まるように箱体14を防振床20上に降下させる。
【0032】
次に、図6に示すように、支持フレーム30を設置する工程を実施する。該工程では、支柱32を防振床20の床部22にボルトで締結し、支柱32と梁部34と連結梁部36とをボルトで締結する。
【0033】
次に、テント上部44をテント底部42の上に設置すると共に、一対の解体装置50をテント40内に設置し、且つ、テント40を支持フレーム30に取り付ける工程を実施する。該工程では、まず、一対の解体装置50をテント底部42のX方向両端部に設置する。次に、テント上部44を、箱体14及びグローブボックス12の上面及び前後左右の側面を覆うように、テント底部42の上に設置する。そして、複数のハンガー46を用いてテント40を支持フレーム30の梁部34から吊り下げる。この際、ハンガー46の一端側をテント上部44の貫通穴44Aに引っ掛け、ハンガー46の他端側を梁部34に引っ掛ける。
【0034】
次に、テント上部44とテント底部42とを接合してテント40を形成する工程を実施する。該工程では、テント上部44の底側の開口縁部とテント底部42の周縁部とを、熱圧着等により溶着させる。
【0035】
なお、該工程を実施する前に、気圧調整装置62をテント40に接続する配管63と、ドラム缶64をテント40に接続する配管64とを、テント40上部44に溶着することにより気密状態で接合しておく。
【0036】
次に、一対のダンパー60を、連結梁部36と天板18との間に設置する工程を実施する。該工程では、各ダンパー60の一端部を、連結梁部36の長手方向一端部と他端部とにそれぞれ取り付け、各ダンパー60の他端部を、テント上部44を挟んだ状態で天板18の上面に当てる。
【0037】
次に、ドラム缶19をテント40に接続する工程を実施する。該工程では、テント上部44に接合された配管64をドラム缶19に気密状態で接合することにより、ドラム缶19をテント40に気密状態で接続する。
【0038】
次に、図7に示すように、グローブボックス12を解体し、ドラム缶19に収納する工程を実施する。該工程では、グローブボックス12の解体作業を、グローブボックス12のX方向の両側から開始して中央側へ進行させる。該解体作業では、作業者が、グローブ48に腕を入れた状態で工具52を操作して、グローブボックス12を切断又は圧搾すること等により解体する。そして、解体物は、配管64を通してドラム缶19に排出する。
【0039】
そして、テント40をグローブボックス12のX方向に縮小させる工程を実施する。該工程では、グローブボックス12の解体作業が進行してグローブボックス12のX方向長さが縮小するのに合わせて、蛇腹構造のテント40をグローブボックス12のX方向に縮小させる。なお、該工程は、グローブボックス12の解体作業が進行してグローブボックス12のX方向長さが所定長さ縮小する毎に繰り返し実施してもよく、あるいは、グローブボックス12の解体作業が終了してから実施してもよい。また、解体装置50もグローブボックス12の解体作業が終了した後に解体する。
【0040】
そして、図8に示すように、グローブボックス12の解体終了後、テント40をドラム缶19に収納する工程を実施する。該工程では、テント40をX方向に最大限縮小させて畳んだ状態で、該テント40をドラム缶19に収納する。ここで、畳んだ状態のテント40の高さが、ドラム缶19の高さよりも高い場合には、テント40を上下に折り畳んでテント40の全体をドラム缶19に収納する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10によれば、作業者は、テント40に設けられたグローブ48を介した状態で工具52を操作してグローブボックス12を解体できる。即ち、作業者は、テント40の外側からテント40に収容されたグローブボックス12を解体できる。従って、作業者は、被爆防護服を着用することなくテント40に収容されたグローブボックス12の解体作業を実施できる。
【0042】
ここで、被爆防護服の重量が大きいこと、また、放射性物質で汚染される室内での作業は短時間に抑えるべきであること等を理由として、作業者がテント40内で作業する場合には、作業時間を短時間に抑える必要がある。これに対して、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10によれば、作業者は、テント40の外側で作業できるため、作業時間の制約を緩和できる。
【0043】
また、テント40内に作業員が入り作業する場合には、作業者が被爆防護服を着脱する入退室用の放射性物質漏洩防止用の設備を、テント40の外に別途設置する必要があり、設備が大型化する。しかし、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10によれば、作業者は、テント40の外側で作業できるため、入退室用の放射性物質漏洩防止用の設備を不要にでき、設備の大型化を抑制できる。
【0044】
また、解体されるグローブボックス12を収容する収容体は、放射性物質に汚染されることから、二次廃棄物として処理することが必要となる。テント40内で作業する場合には、作業者が入るスペースを確保すること等を理由として、テント40が大型化する。これにより、二次廃棄物が増容する。しかし、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10によれば、作業者は、テント40の外側で作業できるため、テント40内における作業者が入るスペースを不要にでき、設備の大型化を抑制できる。これにより、二次廃棄物を減容できる。
【0045】
また、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10によれば、テント40をX方向に縮小させて畳むことができる。これにより、二次廃棄物をより一層減容できる。
【0046】
また、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10では、テント40をX方向に縮小可能な蛇腹構造体としたことにより、テント40をX方向に容易に縮小させることができる。従って、テント40の取り扱いを容易化できる。
【0047】
また、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10では、テント40のX方向への移動及び伸縮が、支持フレーム30により案内される。これにより、テント40をX方向により一層容易に縮小させることができる。従って、テント40の取り扱いをより一層容易化できる。
【0048】
また、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10では、グローブボックス12を、防振機能を有する防振床20上に設置している。これにより、グローブボックス12の解体作業を実施している際の耐震性を向上できる。
【0049】
また、本実施形態に係るグローブボックス12の解体方法及び装置10では、グローブボックス12と支持フレーム30との間に、グローブボックス12を支えるダンパー60を設置している。これにより、グローブボックス12の解体作業を実施している際の耐震性をより一層向上できる。また、グローブボックス12の姿勢の安定性を向上できる。
【0050】
ここで、ダンパー60をグローブボックス12の長手方向の中央部に配し、グローブボックス12に対する下方への荷重の作用点を、グローブボックス12の長手方向中央部に設定している。これにより、少ないダンパー60により、荷重分布を偏らせることなく、グローブボックス12を支えることができる。従って、グローブボックス12の解体作業を実施している際の耐震性をより一層向上できる。また、グローブボックス12の姿勢の安定性をより一層向上できる。
【0051】
なお、本実施形態では、グローブボックス12の解体作業を、グローブボックス12のX方向両側から開始して中央側へ進行させた。これにより、グローブボックス12のX方向中央部に配されたダンパー60を、解体作業が終了する直前まで残存させることができ、解体作業が終了する直前までグローブボックス12の転倒の抑制を図ることができる。また、ダンパー60によるグローブボックス12に対する下方への荷重作用点を、解体作業中継続して、グローブボックス12の長手方向中央部に配置できる。ただし、該作業は、グローブボックス12のX方向一端側から開始して他端側まで進行させてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、テント40を、水平な一方向にのみ縮小するように構成した。しかし、テント40を、水平な一方向のみならず、高さ方向にも縮小できるように構成してもよい。これにより、テント40をより一層小さく畳むことができ、二次廃棄物をより一層減容できる。
【0053】
さらに、本実施形態では、グローブボックスを解体する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、グローブボックス以外の、内部が放射性物質により汚染された他の装置又は設備を解体する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0054】
10 グローブボックス解体装置、12 グローブボックス、14 箱体、16 床板、18 天板、19 ドラム缶、20 防振床、22 床部、24 防振ゴム、30 支持フレーム、32 支柱部、34 梁部、36 連結梁部、40 テント、42 テント底部、44 テント上部、44A 貫通穴、46 ハンガー、48 グローブ、50 解体装置、52 工具、54 工具支持部、60 ダンパー、62 気圧調整装置、63 配管、64 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8