(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機体フレーム(1)の左右方向の一側に作物を収穫して搬送する引抜搬送装置(24)と、引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで搬送し、搬送終端側を上下動自在に構成した選別搬送装置(87)と、選別搬送装置(87)の搬送終端側に下端部を回動支点として取り付けた吊下げ支持部材(95,95)を備えた根菜類収穫機において、
吊下げ支持部材(95,95)の下端部に設けた回動支点を中心に吊下げ支持部材(95,95)を回動操作する操作部材(120)を、該操作部材(120)の基部を吊下げ支持部材(95,95)の基部に固着させて設け、
収容部材(97)を吊り下げる吊下げ部材(98,98)を収容部材(97)の左右両側部に引っ掛けて保持する構成として、収容部材(97)の左右一側が左右他側よりも下方に位置する傾斜姿勢で吊下げ支持部材(95,95)に回動自在に支持させ、
選別搬送装置(87)の下部に入り込む収容部材(97)の機体内側の前後中間部を吊り下げて弛みを防止する補助フック(105)を選別搬送装置(87)の搬送終端側に設け、
吊下げ部材(98,98)の傾斜姿勢に沿って収容部材(97)を傾斜姿勢で配置し、
選別搬送装置(87)の搬送終端側が上昇すると吊下げ支持部材(95,95)が下方回動して吊下げ部材(98,98)の傾斜角度を小さくし、収容部材(97)の開口部を左右他側方向に上方傾斜した姿勢から左右両側の高さが略同じとなる略水平姿勢まで移動する選別搬送装置(87)に対する吊下げ支持部材(95,95)の回動機構(A)を設けた
ことを特徴とする根菜類収穫機。
機体フレーム(1)の前後方向に設けられた一対の吊下げ部材(98,98)の機体フレーム(1)の左右方向の両側に収容部材(97)の開口端部を係止する係止部材(99f,99f)と、該係止部材(99f,99f)を取り付ける取付孔部(99a,99b)をそれぞれ設け、
左右一側の取付孔部(99a)を上下方向下向きに形成すると共に、左右他側の取付孔部(99b)を上下方向上向きに形成した
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
図1の全体側面図と
図2の全体平面図に示すように、本実施例の根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。
なお、本実施例においては、
図2に示す平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0027】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1、
図2に示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0028】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1、
図2に示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り替える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0029】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1、
図2で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路を構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0030】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引き起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを設ける。
そして、前記引抜搬送経路の下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を取り付けて、収穫部Cを構成する。
【0031】
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が従来より向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が従来より向上する。
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が従来より向上する。
そして、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによってゲージ輪31を圃場面に接地させると、それ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0032】
さらに、機体フレーム1と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節するとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上す従来よりる。
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が従来より向上する。
【0033】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1及び
図13〜
図17で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝達する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0034】
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
【0035】
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を張圧して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ50,50を取り付ける。該張圧バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0036】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は張圧バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく作業能率が従来より向上する。
【0037】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行われる。
【0038】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が従来より向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことがなく、商品価値が従来より向上する。
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0039】
なお、
図16(a)〜(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0040】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことがなく位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が従来より向上する。
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が従来より向上する。
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
【0041】
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47(
図15)との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置54Rの前側にテンションプレート53Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置54Lのテンションプレート53Lは位置揃え装置54Rのテンションプレート53Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rのない側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0042】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記張圧バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0043】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
【0044】
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0045】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端側の下方に構成される。
【0046】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0047】
図1に示すように排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が従来より向上する。
【0048】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0049】
そして、
図15に示すように、位置揃え従動スプロケット45,45を張圧する左右の張圧バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0050】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで張圧バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が従来より向上する。
【0051】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ50,50に張圧された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が従来より向上する。
【0052】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0053】
なお、人参の茎葉部が大径であることが収穫作業前に分かっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が従来より向上する。
【0054】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が従来より向上する。
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行えるので、交換作業を容易に行うことができる。
【0055】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が従来より向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が従来より向上する。
【0056】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が従来より向上する。
【0057】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が従来より向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が従来より向上する。
【0058】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることがなく、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0059】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要がなく作業能率が従来より向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷付けることが防止され、人参の商品価値が従来より向上する。
【0060】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト18,18や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が従来より向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0061】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
図1、
図13で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該残葉処理フレーム72,72の機体左右一側の前後間に第1残葉処理ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72,72の機体左右他側の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理ローラ73b(
図2)を回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理ローラ73aと第2残葉処理ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。さらに、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
なお、該残葉処理コンベア76は、機体左右一側から左右他側に向けて2〜5度程度傾斜している。
【0062】
これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜による移動により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が従来より向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2〜5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア76は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動することがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0063】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が従来より向上する。
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が従来より向上する。
【0064】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2〜
図5に示すように、前記残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ下方位置に前後の第1搬送フレーム77,77(
図3)を前後方向に所定間隔を開けて配置し、該第1搬送フレーム77,77の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム78,78を前後方向に所定間隔を空けて且つ搬送終端部側が上下回動自在に配置する。そして、該第1搬送フレーム77,77の機体左右一側端部に前後の駆動スプロケット79,79(
図2)をそれぞれ回転自在に取り付け、第1搬送フレーム77,77の機体左右他側端部に前後の中継スプロケット80,80をそれぞれ回転自在に且つ駆動スプロケット79,79よりも下方位置に取り付けると共に、第2搬送フレーム78,78の機体左右他側端部に前後の従動スプロケット81,81をそれぞれ回転自在に取り付ける。
【0065】
また、該駆動スプロケット79,79と中継スプロケット80,80と従動スプロケット81,81とに前後の伝動チェーン82,82をそれぞれ無端状に巻回し、前記中継スプロケット80,80の上部に伝動チェーン82,82を張圧する前後のテンションスプロケット(図示省略)を前記第1搬送フレーム77,77で且つ伝動チェーン82,82に接触する位置に回転自在に取り付ける。
さらに、該伝動チェーン82,82に人参を載せて搬送するプラスチック等合成樹脂またはゴムで構成する複数の搬送バー84…を回転自在に取り付ける。
【0066】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の左右間に支持プレート86を取り付け、該支持プレート86と機体フレーム1との間に選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88(
図3)を伸縮自在に取り付けて、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア87を構成する。さらに、該選別搬送コンベア87の搬送終端部の下部に、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
なお、昇降シリンダ88は電動式でも油圧式でも空圧式でもよく、手動で伸縮操作するものでもよい。
【0067】
そして、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア87よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別作業や選別搬送コンベア87の操作を行う補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90(
図2)を配置し、該搭乗ステップ90上で且つ選別搬送コンベア87の中継スプロケット80,80を配置した近傍位置に補助作業座席91を取り付ける。
さらに、前記昇降シリンダ88を伸縮操作して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bとを選別搬送コンベア87の搬送経路の下方に配置する。
そして、該搭乗ステップ90上で且つ補助作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に配置することによって、選別搬送部Fが構成される。
【0068】
上記構成によれば、駆動スプロケット79,79よりも中継スプロケット80,80を下方に配置したことにより、選別搬送コンベア87のうち駆動スプロケット79,79から中継スプロケット80,80を配置した区間は、機体内側方向(機体左右他側方向)に約2〜5度傾斜して、残葉処理コンベア76と略平行姿勢とすることにより、人参が残葉処理コンベア76の何処から落下しても残葉処理コンベア76と選別搬送コンベア87の搬送始端部との落差が略同じなので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止でき、商品価値が従来より向上する。
【0069】
また、昇降シリンダ88を操作する上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bを補助作業座席91に着座した補助作業者の足が届く位置に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席91に着座したまま選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させることができ、作業能率が従来より向上するとともに作業者の労力が軽減される。
さらに、上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bを設けたことにより、補助作業者は選別搬送コンベア87の上下動を足だけで操作することができ、手を搬送中の人参の選別作業に集中させられるので選別精度が従来より向上すると共に、手を選別搬送コンベア87の構成部材で挟んだり切ったりすることが防止でき、作業の安全性が従来より向上する。
【0070】
次に、収容部Gの構成について説明する。
図2〜
図5、及び
図18、
図19で示すように、前記選別搬送コンベア87の前後の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右他側部)に回動シャフト93(
図3)を機体前後方向に貫通させて取り付け、該回動シャフト93の前後両端側で且つ第2搬送フレーム78,78の外側にそれぞれ摩擦抵抗体94,94(
図4)を軸着する。
該摩擦抵抗体94,94は皿バネやスプリングワッシャ、ゴムリング等、強い摩擦抵抗を有する部材であればどのようなものを用いてもよい。
【0071】
また、ハンガーアーム95,95を操作する操作レバー120をハンガーアーム95,95の基部近傍に設けた回動シャフト93とハンガーアーム95,95の下端部に固着しており、前記回動シャフト93の前後両端部に前後のハンガーアーム95,95の基部側を摩擦抵抗体94,94よりも前後方向外側に設け、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に挟み込んだ摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗によりハンガーアーム95,95が上方または下方に抵抗力以上の移動力がかかったときのみ上方または下方に移動可能に構成する。従って操作レバー120の操作でハンガーアーム95,95が回動する。
【0072】
図3〜
図5で示す選別搬送コンベア87に対するハンガーアーム95,95の回動機構(A)は回動軸93、抵抗体94、操作レバー120などからなる。
そして、前記ハンガーアーム95,95の端部側に前後方向に亘って選別搬送コンベア87の機体前後端部よりも前後方向に突出するハンガーフレーム96を取り付け、該ハンガーフレーム96の前後両端部に人参を収容する収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97を前後左右の4点を引っ掛けて吊り下げ支持する前後一対の吊下げハンガー98,98を左右方向に回動自在に取り付ける。さらに、該吊下げハンガー98,98の機体外側端部に上方向きの逆U字型の外側吊下げ体99a,99aをそれぞれ溶着すると共に、機体内側端部を下方向きのU字型の内側吊下げ体99b,99bを溶着し、該外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに収容袋97を吊り下げる吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下移動自在に取り付ける。
【0073】
なお、外側吊下げ体99a,99a及び内側吊下げ体99b,99bを溶着する代わりに、吊下げハンガー98,98の機体外側端部を逆U字型に折り曲げ、機体内側端部をU字型に折り曲げて、吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下方向に移動自在に取付可能な構成としてもよい。
該吊下げハンガー98,98は、吊り下げる収容袋97の上側開口部が平面視で略四角形となるように、収容袋97の4箇所の角部を前後の外側吊下げ体99a,99a及び前後の内側吊下げ体99b,99bで吊り下げる。
【0074】
このように、左右一側の内側吊下げ体99bを上下方向下向きに形成すると共に、左右他側の内側吊下げ体99aを上下方向上向きに形成し、左右一側の吊下げフック99fが左右他側の吊下げフック99fよりも下方に位置するため、左右両側の吊下げフック99f,99fに収容部材97を引っ掛けると左右一側から左右他側への傾斜角度が大きくなるので、収容部材97の上端部から収容した作物が落下しにくく、落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、商品価値の低下が防止される。また、落下した作物を拾い集める必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0075】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の搬送終端部の前後外側で且つ回動シャフト93の取付位置よりも機体外側方向に前後のハンガーアーム95,95を受け止めて下方回動を規制する下限規制突起100,100を取り付ける。さらに、機体前側の第2搬送フレーム78の外側で機体前側の下限規制突起100よりも上方且つ回動シャフト93寄りの位置に、機体前側のハンガーアーム95,95を受け止めて上方回動を規制する上限規制突起101を取り付ける。
【0076】
また、前記回動シャフト93の機体後側もしくは前後両側に雌ネジを刻んだ孔部(図示せず)を形成し、該孔部にねじ込む雄ネジ(図示せず)を刻んだ調節ノブ102(
図4,
図5)を挿し込み、該調節ノブ102を回転させて摩擦抵抗体94,94を間に挟んだ第2選別フレーム78,78とハンガーアーム95,95との前後間隔を変更することにより、摩擦抵抗力が変化する構成とする。
上記調節ノブ102を回動シャフト93の機体後側端部に設けると補助作業座席91に搭乗した補助作業者が操作しやすく、回動シャフト93の機体前側端部に設けると操縦座席11に搭乗した作業者が操作しやすくなり、摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力の調節が容易となる。
【0077】
さらに、前記回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送終端側で且つ機体後側の第2搬送フレーム78の下側に前後方向に摺動自在なスライド軸103(
図4)を設け、該スライド軸103に機体前側方向に張圧力をかけるスプリング104を軸着する。そして、該スプリング104の機体前側端部に選別搬送コンベア87の下部に入り込む収容袋97の機体内側の前後中間部を吊り下げて弛みを防止する補助フック105を設け、前記スライド軸103の後側端部で且つ第2フレーム78の外側に補助作業者が手で掴んでスライド軸103を前後摺動させるスライドノブ106を取り付ける。
なお、前記スライド軸103は非操作時に選別搬送コンベア87の機体後端部から前後中間部と同じか若干機体前側まで亘って設けると、補助フック105の位置を合わせやすくなる。また、スライド軸103を機体前側から後側に向かって設けてもよく、この場合操縦座席11に搭乗する作業者がスライド軸103の操作を行うことができる。
【0078】
また、
図18、
図19で示すように、前記機体フレーム1の機体左右他側後部に前後支持プレート109,109を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート109,109の機体外側端部に載置部フレーム110を、左右回動軸110aを回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム110の後下部に上下回動軸111aを設け、該上下回動軸111aの上部に前後の吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の底部を載置支持する載置台112を上下回動自在に取り付ける。
【0079】
また、前記載置部フレーム110の後側の左右他側端部に後側支持プレート113を設け、前記上下回動軸111aの左右他側端部に回動プレート114の下端部を機体前後方向に回動自在に軸着するとともに、該回動プレート114の上部と後側支持プレート113の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド115を取り付ける。
さらに、該伸縮ロッド115の機体後側の端部に伸縮ロッド115を伸縮させる操作ハンドル116を取り付けるとともに、前記載置台112の左右両側及び後側に収容袋97の落下を防止する落下防止板117を取り付けることにより、回収台118が構成される。
【0080】
収容袋吊下げ装置85と回収台118とにより、収容部Gが構成される。
なお、伸縮ロッド115は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル116で回転させて伸縮する構成としているが、電動シリンダや油圧シリンダに置き換えてもよく、その場合は操作ハンドル116をスイッチやレバーに置き換えてもよい。
【0081】
次いで、上記収容部Gの動作について主に
図2〜
図5により説明する。なお収容部Gの異なる実施例を
図6〜
図8と
図9〜
図11にそれぞれ示す。
人参の収穫作業開始時には、前記選別搬送コンベア87の搬送終端部から収容袋97までの人参の落下距離を最小限にするため、選別搬送コンベア87を最下位置まで下降させる。また、前後の吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに設けた吊下げフック99f,99f,99f,99fに収容袋97の四隅を引っ掛けて、上側開口部を平面視で略四角形状とする。
【0082】
そして、前後のハンガーアーム95,95を上限規制突起101(
図5)に接触するまで上方回動させ、前後の吊下げハンガー98,98を機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する姿勢とする。吊下げハンガー98,98が機体外側方向に向かって上方に傾斜する姿勢となることにより、吊り下げられている収容袋97も機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する上り傾斜姿勢となる。
このとき、吊り下げられた収容袋97のうち、選別搬送コンベア87の搬送終端部側から人参が排出される機体内側は弛むため上下長さが短くなり、機体外側は殆ど弛みが生じないため上下長さが長くなる。なお、収容袋97は、布材や合成繊維等で柔軟に構成したものとする。
また、
図3に示すように前記収容袋97の機体内側端部に排出シュータ(図示せず)の機体外側端部を入り込ませ、収容袋97の機体内側端部を選別搬送コンベア87の搬送終端側の下方に入り込ませ、収容袋97の前後方向略中心部に形成した吊り孔(図示せず)に補助フック105を引っ掛ける構成としている。
【0083】
上記したように収容袋97を吊り下げる左右一対の吊下げハンガー98,98を吊下げ支持部材95,95に回動自在に配置し、収容袋97を吊り下げる吊下げハンガー98,98を左右内側が左右外側よりも下方に位置する傾斜姿勢で配置したことにより、収容袋97を吊下げハンガー98,98に取り付けると収容袋97も左右内側が左右外側よりも下方に位置する傾斜姿勢となり、収容袋97の左右外側に弛み部分が生じにくいため、選別搬送コンベア87から収容袋97に投入された作物が弛んだ部分に入り込んで収容袋97の総収容量を減らしてしまうことが防止されるので、収容袋97を交換する頻度が減少し、作業能率が従来より向上する。
【0084】
また、作物が収容袋97の弛み部分に進入することによる総収容量の減少を防止するために、収容袋97に作物が一定量以上収容された際に、ハンガーフレーム96,96を操作レバー120で操作する。なお、昇降シリンダ88の作動は、上昇踏みペダル92a及び下降踏みペダル92b、もしくはその上方位置で機体後側の第2搬送フレーム78に設ける昇降スイッチ(図示せず)で操作する。吊下げハンガー98,98は収容袋97内に2〜30kg程度の人参が収容されてから上昇踏みペダル92aを踏んで昇降シリンダ88を伸ばし、選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させると、上昇中に限って下降し続ける。選別搬送コンベア87の搬送終端側を余分に上方回動させて収容袋97の弛みを解消し、その後、選別搬送コンベア87の搬送終端側を若干下降させる操作が必要なくなるので、作物の収穫作業中に停止することがなく作業能率が従来より向上すると共に、後方を振り返って操縦者が選別搬送コンベア87の操作を行う必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0085】
さらに、操作レバー120を操作することにより、収容袋97の弛み部分を手動で取り除くことができるので、選別搬送コンベア87から収容部材97に投入された作物が弛んだ部分に入り込んで収容袋97の総収容量を減らしてしまうことが防止されるので、収容袋97を交換する頻度が減少し、作業能率が従来より向上する。
【0086】
そして、収容袋97の左右外側の上下長さが収穫作業開始時から左右内側の上下長さよりも長いことにより、作物が選別搬送コンベア87上を転がり、勢いがついた状態で選別搬送コンベア87から飛び出しても、収容袋97に入り込み、その左右外側部分で作物と受け止めることができるので、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止されて作物の商品価値が低下することが防止されると共に、圃場に落下した作物を作業者が回収する必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0087】
操作レバー120の基部がハンガーアーム95,95の一端部の回動支点付近に固着されているが、ハンガーアーム95,95が「下げ」位置にあるときには、ハンガーアーム95,95と操作レバー120の長手方向は共に略水平位置になる構成としている。また、操作レバー120は補助作業座席91の側に引くことで収納袋97の弛みが取れる方向にハンガーアーム95,95が動くようになっているので補助作業座席91の作業者がレバー操作をしやすくなる。
【0088】
図6〜
図8は別実施例の選別搬送コンベア87の昇降時の収納部Gのモータ式の作動機構の説明図である。
図6は収納部Gの側面図、
図7は収納部Gの平面図、
図8は収納部Gの一部側面図を示す。
【0089】
第2搬送フレーム78,78に掛け渡された回転軸93に回動自在にハンガーアーム95の下端部が設けられ、該ハンガーアーム95の端部に上端部を固着させた連結アーム135
が設けられている。
該連結アーム135の下端部にはラック121が第2搬送フレーム78,78の前後一対の底部壁面に設けられ、該ラック121はモータ122の回転軸に設けられたピニオン122aによ
り第2搬送フレーム78の底面に沿って摺動自在となる。なお、ラック121とピニオン122aの組合せに限らず、ローラとレールの組合せでもよい。ただしラック・ピニオンの組合せのほうが停止時に噛み合うので慣性の影響を受けにくく、止めたい位置で確実に止めやすい。
従って、モータ122の正転駆動によりラック121が摺動すると、該ラック121に係止した連結アーム135が回転軸93を中心に回転し、該連結アーム135の回転により、該連結アーム135と一体のハンガーアーム95,95の下端部が回動軸93の周りを揺動し、ハンガーアーム95,95の上端部が上下方向に移動する。またモータ122の逆転でラック121が逆方向に摺動するとハンガーアーム95,95の上端部は逆に下方向に移動する。モータ122の正転、逆転は第2搬送フレーム78に設けた切替スイッチ124で行う。
【0090】
こうしてモータ122の駆動によるラック121が摺動することで、ハンガーアーム95,95と収納袋97の上下動を行うことができる。
駆動モータ122の回転によりラック121が左右方向に摺動するとハンガーアーム95,95が上昇または下降する構成としたことにより、作業者は収容袋97の弛みを取る際に手作業(人力)でハンガーアーム95,95を動かす必要がなくなるので、作業者の労力が軽減される。
【0091】
図6〜
図8に示す実施例によれば、ハンガーアーム95,95は収納袋97の内部に人参などの作物が入っていて、荷重がかかっても連結アーム135とラック121により駆動可能となる。
ハンガーアーム95,95を駆動するモータ122とラック121は、補助作業者の邪魔にならないように補助作業座席91のある第2搬送フレーム78の反対側の第2搬送フレーム78の下部に設けているので、補助作業者の作業には障害とならないし、安全である。
【0092】
また、補助作業座席91の側の第2搬送フレーム78に切替スイッチ124が設けられているので、モータ122の駆動操作性がよい。また切替スイッチ124の操作を選別搬送コンベア87の上昇に連動してのハンガーフレーム96,96の下降動作よりも優先して受け付けられる構成にしているので、ハンガーアーム95,95の駆動操作性が優れている。すなわち、選別搬送コンベア87の搬送終端側が上昇している間はハンガーフレーム96,96が下降するが、切替スイッチ124を操作してモータ122を駆動させるとハンガーフレーム96,96はモータ122の駆動力により上昇または下降する。
さらに切替スイッチ124の他にオートスイッチ150(
図D)を設けておき、オートスイッチ150が「入」のときは切替スイッチ124を離すと自動で元の位置へハンガーアーム95,95が戻るようにした。
【0093】
また、選別搬送コンベア87の昇降中にハンガーアーム95,95が連動中でも切替スイッチ124が操作されると切替スイッチ124によるハンガーアーム95,95の作動が優先となるようにしている。これは作業者がハンガーアーム95,95の動きを監視しながら行う切替スイッチ124のオンオフ操作であることから、その操作を優先して安全性を図る。
さらに、選別搬送コンベア87の昇降中に切替スイッチ124が有効となるのは、選別搬送コンベア87の平面が上昇位置と水平位置付近との間にある場合とし、選別搬送コンベア87が下降して水平位置に来ると、切替スイッチ124は無効となるようにした。これは選別搬送コンベア87が水平位置まで下がると、収納袋97の弛み取りの必要性はなく、人参などを入れると収容袋97の荷重も大きくなるので、ハンガーフレーム96,96や吊下げハンガー98,98の破損防止のためである。
【0094】
また切替スイッチ124の操作を受け付けなくなったことを作業者が即座に把握できるようにするために、切替スイッチ124の操作を無効とする場合にはシグナルランプ(図示せず)を点灯もしくは消灯し、切替スイッチ124の操作無効を作業者が容易に分かるようにして操作の安全性を図る。
また、選別搬送コンベア87を最下げ位置もしくはほぼ水平配置にすると、図示しないポテンショメータがハンガーアーム95,95を自動で上昇させるようにモータ122を駆動させるようにしてもよい。
図示していないが、駆動モータ122を下動させることにより、モータ122をハンガーアーム95,95の駆動系から切り離し可能とし、手動でハンガーアーム95,95の上下動を行えるようにできる。
【0095】
図6〜
図8で示す選別搬送コンベア87に対するハンガーアーム95,95の回動機構(A)は回動軸93、抵抗体94、ラック121,モータ122、回動軸連結135等からなる。
【0096】
また、
図9の側面図と
図10の平面図と
図11の一部拡大側面図に収容部Gの他の実施例を示すように操作レバー120に代えて前後一対のハンガーアーム95,95をワイヤ126で引くことで上昇させる構成としてもよい。
ワイヤ126は選別搬送コンベア87の一対の第2搬送フレーム78,78にそれぞれ支持される支持部127に支持されて選別搬送コンベア87の上に立設されるアーム128に設けられたローラ(滑車)130である。また該ワイヤ126の一端はハンガアーム95,95の回動軸96に接続し、他端は取っ手131に接続している。
補助作業座席91から取っ手131を引くことでワイヤ126も引かれ、
図9の2点鎖線で示すようにハンガーアーム95,95を上昇させることができる。こうして選別搬送コンベア87の終端側を上下動させることなく、収納袋97の弛みを取ることができる。またワイヤ126を引かないで支持部127に固定させた状態でも選別搬送コンベア87の終端側を上下動させることでも収納袋97をスムーズに引き上げることができる。
図9〜
図11で示す選別搬送コンベア87に対するハンガーアーム95,95の回動機構(A)は回動軸93、抵抗体94、ワイヤ126、支持部127、ローラ130、取っ手131等からなる。
【0097】
選別搬送コンベア87と一対のハンガーアーム95,95との間に設けたハンガーアーム95,95の姿勢を保持用の一対の抵抗体94,94は設けているが、該抵抗体94,94は選別搬送コンベア87を上方回動させた際に抵抗体94の抵抗力よりも一対の吊下げハンガー98,98に吊るした収容袋97の重量が大きいと、一対のハンガーアーム95,95が下方回動する構成とした。
【0098】
上記抵抗体94,94を設けたことにより、各ハンガーアーム95,95は各抵抗体94,94により作業者が設定した位置に固定されるため、収穫作業開始時に収容袋97を確実に傾斜姿勢にすることができるので、作物が選別搬送コンベア87上を転がって勢いのついたまま排出されても収容袋97の左右他側で受け止められるため、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止されて作物の商品価値が低下することが防止されると共に、圃場に落下した作物を作業者が回収する必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0099】
また、選別搬送コンベア87を上昇させ、抵抗体94,94の抵抗力よりも収容袋97に収容された作物の重量が大きい場合、一対のハンガーアーム95,95が下方回動する構成としたことにより、収容袋97の収容量を増やすために選別搬送コンベア87の搬送終端側を上昇させるとハンガーアーム95,95が下降して吊下げハンガー98,98の傾斜角度が小さくなり、収容袋97の収容量が増加する。
また、前記左右のハンガーアーム95,95は摩擦抵抗体94,94(
図5)の摩擦抵抗力により、作業者が設定した傾斜姿勢で保持されるが、放置すると勝手に下方回動し始める場合には調節ノブ102を回転させて、第2搬送フレーム78とハンガーアーム95,95との間に配置された摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力を調節する構成にしてもよい。
【0100】
調節ノブ102を締め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が増加して摩擦抵抗力が強くなり、ハンガーアーム95,95が勝手に移動することが防止される。なお、緩め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が減少して、摩擦抵抗力が弱くなる。
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超えると、補助作業者が上昇踏みペダル92a(
図2)を足踏み操作し、昇降シリンダ88を伸ばして選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させる。
【0101】
選別搬送コンベア87が上昇している間は、前記ハンガーアーム95,95が下降しようとする力が摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力を上回るため、ハンガーアーム95,95が下降する。ハンガーアーム95,95の下降は、収容袋97に人参の収容スペースを確保すべく選別搬送コンベア87を上昇させている間のみ発生する。
【0102】
ハンガーアーム95,95が下方回動することにより、吊下げハンガー98,98がハンガーフレーム96を支点として回動し、吊下げハンガー98,98の機体外側が下方に回動すると共に、機体内側が上方に回動する。収容袋97の機体外側は設置の段階で上方に位置しているので殆ど位置の変化はないが、機体内側は吊下げハンガー98,98の移動により、上方に引き上げられる。これにより、収容袋97の機体内側に生じていた弛みが上昇量に応じて解消される。
なお、この動作による選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どなく、また排出シュータ89の端部は、収容袋97の内部に垂れ下がって入り込んでいるため、収容袋97からはみ出すことがない。
【0103】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超える度に選別搬送コンベア87の搬送終端部を上昇させ、ハンガーアーム95,95の先端を下方回動させると共に、吊下げハンガー98,98の傾斜角度を小さくし、収容袋97の開口部を左右外側方向に上方傾斜した姿勢から左右両側の高さが略同じとなる略水平姿勢まで移動させる。この間に収容袋97の機体内側が上方に引き上げられて、収容袋97内の人参の収容スペースを確保すると共に、機体内側に偏る人参の山を崩していく。
ハンガーアーム95,95の先端部が下方回動して吊下げハンガー98,98の傾斜角度を小さくなると収容袋97の開口部を左右他側方向に上方傾斜した姿勢から左右両側の高さが略同じとなる略水平姿勢まで移動する。
【0104】
このように選別搬送コンベア87を上方に回動させ、吊下げハンガー98,98が略水平姿勢になると、収容袋97の機体内側の弛みが解消され、機体内側と外側の上下高さが略同じになる。この状態となると、収容袋97には約200kgの人参が収容されているため、作業者は機体の走行を停止して収容袋97を機外に下ろす。このとき、ハンガーアーム95,95が下限規制突起100,100(
図5)に接触する構成とする。
【0105】
しかしながら、あと数メートルで圃場内の人参を全て収穫できる場合等、収容袋97を交換すると手間が多くなる場合には、収容袋97の上部開口部を閉じる蓋部を吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aに引っ掛け、収容袋97の機体外側から左右方向中央部の近傍までの上下高さを長くすると、数メートル(数kg)分の人参であれば収容可能となり、収容袋97の交換の手間が省け、作業能率が従来より向上する。
なお、この状態でも選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どない。
【0106】
そして、収容袋97の収容量が一杯になると、機体や引抜搬送装置24、選別搬送コンベア87等を停止させ、吊下げフック99f,99f,99f,99fから収容袋97を取り外すと共に、スライドノブ106を機体後方に引っ張り、補助フック105を収容袋97から取り外す。補助フック105はスプリング104の張圧力によって、スライドノブ106から手を離すと選別搬送コンベア87、及び装着時の収容袋97の前後方向略中央部に自動的に復帰する。
【0107】
上記したように、選別搬送コンベア87の搬送終端側を上昇させるとハンガーアーム95,95の先端が下方回動して吊下げハンガー98,98の傾斜角度を小さくし、収容袋97の開口部を左右外側方向に上方傾斜した姿勢から左右両側の高さが略同じとなる略水平姿勢まで移動させる構成としたことにより、選別搬送コンベア87の搬送終端側を上昇させると弛んだ状態の収容袋97の左右内側が上方に引き上げられるため、収容袋97の左右内側の上下長さが長くなり、作物の収容量が増加する。
【0108】
また、収容袋97の機体内側に生じた弛み部分に作物が進入していても、吊下げ部材98,98の左右内側が大きく持ち上げられることにより、弛みの解消に伴い作物は収容部材97に収容された作物の存在する側に移動するので、収容袋97の収容量が低下することが防止され、収容袋97の交換頻度が下がり、作業能率が従来より向上する。
また、操作ハンドル116(
図2)を操作して、載置台112を前方または後方に下降させることにより、人参が収容された収容袋97は自重で載置台112を滑り降りるので、収容袋97を機体前側に降ろしたときは機体を後退させ、収容袋97を機体後側に降ろしたときは機体を前進させることにより、約200kgの人参を収容した収容袋97が収容部Gから降ろされて圃場に設置される。
【0109】
そして、収穫作業が終了すると、ハンガーアーム95,95を再び上限規制突起101(
図5)に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで上方回動させる。
上記構成及び動作により、収容袋97の機体外側には作業の開始から交換時まで殆ど弛みが生じないため、弛みに人参が入り込んで収容袋97の収容量を減らしてしまうことが防止され、収容袋97の交換の頻度が減り、作業能率が交換すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0110】
従来の収容袋の取り付け方では、機体内外両側に弛みが生じるため、この弛みに人参が入り込み、収容袋が持ち上げられても弛みが取れなくなり、一回の収容量が減少し、収容袋の交換頻度が高くなっていた。
また、従来は、収容袋97に生じた弛みを選別搬送コンベア87を上下動させて解消し、収容スペースを確保することはできたが、弛みを取る度に作業者は選別搬送コンベア87を操作せねばならず、作業能率を低下させていた。特に選別を行う補助作業者の場合、操作中の選別精度が低下していた。
そして、本発明の上記実施例では選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が常に略一定であるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が従来より向上する。
【0111】
さらに、通常はハンガーアーム95,95の回動を摩擦抵抗体94,94によって規制し、選別搬送コンベア87を上昇させている間だけ、ハンガーアーム95,95が下方回動する構成としたことにより、収容袋97の人参の収容量の変化に合わせて選別搬送コンベア87を操作すると連動して吊下げハンガー98,98の機体内側を上方に移動させることができるので、収容袋97の収容量を自動的に増大させられると共に、収容袋97の機体内側の弛みが自動的に解消されるので、弛みを取るために選別搬送コンベア87を上下動させる必要がなく、作業能率が格段に向上する。
【0112】
また、ハンガーアーム95,95の上方傾斜姿勢の限度を決める上限規制突起101を機体前側の第2搬送フレーム78に設けたことにより、作業者はハンガーアーム95,95をセットする位置が分かりやすく、収容袋97が満杯になるようにハンガーアーム95,95の位置を決めることができる。
加えて、上限規制突起101が機体前側の第2搬送フレーム78にのみ設けられたことにより、上限規制突起101は選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別を行う補助作業者の作業範囲内に存在しないため、補助作業者が動作する際にぶつかったり衣服に引っ掛かったりすることが防止され、作業者の負担が軽減される。
【0113】
下限規制部材100,100は機体後側の第2搬送フレーム78にも設けられるが、設けられる位置は吊下げハンガー98,98の機体内側端部が位置しており、しかも通常選別作業を終えている領域であるため、補助作業者の動作に干渉することはないので、問題はない。
なお、作業者がハンガーアーム95,95を上段規制突起101に接触させ忘れることを防止するために、後側の第2搬送フレーム78に注意書きを記しておくと、設定忘れが防止できる。
【0114】
そして、吊下げハンガー98,98の機体外側端部に外側吊下げ体99a,99aを上方に向けて設け、機体内側端部に内側吊下げ体99b,99bを設けたことにより、機体内側の吊下げフック99f,99fが機体外側の吊下げフック99f,99fよりも下方に位置するので、収容袋97を設置した際に収容袋97の機体外側と機体内側の上下高さの差が大きくなるので、収容袋97の機体外側からいっそう人参がこぼれにくくなる。
また、吊下げハンガー98,98の左右両端部を折り曲げて外側吊下げ体99a及び内側吊下げ体99bを形成すると、1本の棒材で構成することができるので、コストダウンを図ることができる。
【0115】
さらに、収容袋97の前後方向略中央部の孔部に補助フック105を引っ掛けることにより、収容袋97の機体内側の前後方向略中央部に生じる弛みを小さくすることができるので、人参が機体内側の弛みに入り込みにくく、収容スペースが十分に確保できる。
そして、スライドノブ106(
図5)を機体後方に引っ張ると、スライド軸103が機体後方に摺動して補助フック105が収容袋97から外れるので、人参で満杯になった収容袋97と選別搬送コンベア87の搬送終端部の下方との間に生じる狭いスペースに手を進入させなくても補助フック105を外すことができるので、作業能率が従来より向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0116】
また、ハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで回動させると、吊下げハンガーが98,98が回動して吊下げハンガー98,98の機体外側端部が機体フレーム1の端部よりも内側に位置するので、機体フレーム1からはみ出した吊下げハンガー98,98が壁等にぶつかることがなく、機体の破損が防止される。
【0117】
また、排出シュータ89の端部を収容袋97の内側に垂れ下がらせたことにより、排出シュータ89と収容袋97との間の人参が落下し得る空間部がなくなるので、選別搬送コンベア87から排出される人参が落下することを防止でき、人参の商品価値が従来より向上する。
なお、この排出シュータ89の機体前後方向の幅は、選別搬送コンベア87の機体前後方向の幅と略同じにすると、上記の人参の落下防止効果がいっそう向上する。
【0118】
そして、収穫作業中は載置台112を機体左右他側に回動して収容袋97の底部を支持できるとともに、作業終了後は機体左右一側に載置台112を回動させて折り畳むことができるので、機体の左右幅がコンパクトになり、機体を軽トラック等の搬送手段に載置しやすくできると共に、倉庫等の収容場所にスペースを取り過ぎることなく収容することができる。
【0119】
また、操作ハンドル116を操作して伸縮ロッド115を伸縮させ、載置台112を上下に回動させられるため、載置台112を下方に傾斜させて人参を満載した収容袋97を下方に移動させた後、機体を後進させることによって収容袋97を圃場に移動させることができるので、操縦者や補助作業者の労力が軽減されると共に作業能率が従来より向上する。
【0120】
なお、収容部Gの載置部フレーム110を前後逆方向に取り付け、他の構成部品を上記構成例とは前後方向反対向きに設けることによって、載置台112を機体後側に下方傾斜させ、人参を満載した収容袋97を下方に移動させた後、機体を前進させることによって収容袋97を圃場に移動させることができるので、操縦者や補助作業者の労力が軽減されると共に、機体を後進させる必要がなくなるのでいっそう作業能率が従来より向上する。
【0121】
ハンガーアーム95,95は選別搬送コンベア87の昇降シリンダ88の上昇動作に連動して
図3、
図6、
図9に示すように段階的に傾斜姿勢から水平姿勢に変化するようにしているので人参の収穫を開始した時点では収容袋97の機体外側が機体内側よりも上下方向に長くなるため、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参が搬送時の勢いで機体外側方向に飛ばされても、機体外側側の収容袋97に当たって収容袋97内に収容されるため、人参が機外に落下することが防止され、拾い集める手間がかからず作業者の労力が軽減される。
【0122】
また、人参の収容量が増え、選別搬送コンベア87の搬送終端側を上昇させるとハンガーフレーム96,96が水平姿勢に近付くことにより、収容袋97の機体内側と機体外側の上下高さの差が小さくなっていくので、収容袋97内に積み上がった人参が収容袋97の開口部から溢れ出ることが防止され、拾い集める手間がかからず作業者の労力が軽減される。
さらに、機体を軽トラック等に積み込む際に、選別搬送コンベア87の終端部を上方に回動させると吊下げハンガー98,98が水平姿勢となると共に、ハンガーフレーム96,96は機体内側方向(選別搬送コンベア87の搬送始端側)まで回動するため、ハンガーフレーム96,96や吊下げハンガー98,98は機体フレーム1の左右幅内に位置するため、機体外側にはみ出す部材がなく、機体の積載作業が容易になるとともに、機体搬送中の安全性が従来より向上する(移動中、他の車両等に接触しないため)。
【0123】
図12(a)と
図12(b)に吊下げハンガー98,98の別実施例の構成を示す。
図12(a)に選別搬送コンベア87と吊下げハンガー98,98の周辺の平面図を示し、
図12(b)のその側面図を示すように選別搬送コンベア87と吊下げハンガー98,98を固定側ハンガー98a,98aと回動側ハンガー98b,98bから構成し、固定側ハンガー98a,98aと回動側ハンガー98b,98bの一側端部の接合部を合わせてハンガーアーム95,95に装着し、吊下げハンガー98,98の取付部に抵抗体(皿バネなどからなる)140,140を設け、上方回動させた回動側ハンガー98b,98bが収容袋97に収容される作物の量に応じて下方回動する構成とすることもできる。
【0124】
回動側吊下げハンガー98b,98bが上下回動自在であることにより、回動側吊下げハンガー98b,98bを上方回動させると収容袋97に生じた弛みをなくすることができるので、選別搬送コンベア87から収容部材97に投入された作物が弛んだ部分に入り込んで収容袋97の総収容量を減らしてしまうことが防止されるので、収容袋97を交換する頻度が減少し、作業能率が従来より向上する。
【0125】
このとき、固定側ハンガー98a,98aと回動側ハンガー98b,98bの回動自在の接続部に皿バネ140等を挟むことで、任意の位置で回動側ハンガー98,98bを固定でき一定の荷重が加わると自動で下がってくる。また、固定側ハンガー98a,98aと回動側ハンガー98b,98bの回動自在の接続部に皿バネ140,140を設けたことにより、回動側吊下げハンガー98b,98bを上方回動させると回動した位置で停止するので、回動側吊下げハンガー98b,98bに吊るした収容袋97が壁となり、選別搬送コンベア87の端部から飛び出した作物を収納袋97内に受けることができ、収容袋97の外に落下した作物を拾う作業が不要となり、作業者の労力が軽減されると共に、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が維持される。
そして、収容袋97に作物が収容されて重量が増加すると回動側吊下げハンガー98,98が自動的に下降するので、作業者が回動側吊下げハンガー98b,98bを操作する必要がなく、作業能率が従来より向上する。
【0126】
また、選別搬送コンベア87よりも後方で且つ昇降シリンダ88の伸張操作ペダル92aと収縮操作ペダル92bの近傍に補助作業座席91を配置した。この場合には、
図6〜
図8に示す実施例では選別搬送コンベア87の機体前側で且つ下側にハンガーアーム95,95の上下動を行う摺動部材でありラック121と該ラック121を駆動するモータ122を配置し、補助作業座席91の近傍に昇降操作ペダル92a,92bの切替スイッチ124を配置している。
【0127】
昇降シリンダ88を昇降操作するペダル92a,92bを選別搬送コンベア87の下側近傍に設けたことにより、選別搬送コンベア87で搬送中の作物を選別する補助作業者がそのまま動くことなく昇降操作ペダル92a,92bを操作することができるので、選別搬送コンベア87を昇降させる必要があれば即座に操作することができ、作業能率が従来より向上する。
また、選別搬送コンベア87よりも後方で且つ昇降操作ペダル92a,92bの近傍に補助作業座席91に設けたことにより補助作業者が補助作業座席91に座ったまま昇降操作ペダル92a,92bを操作できるので、長時間の作業を行う場合でも作業者が疲れにくく、同時に作業者の労力が軽減される。
【0128】
そして、選別搬送コンベア87の機体前側で且つ下側にハンガーアーム95,95の上下動を行う摺動部材でありラック121と該ラック121を駆動するモータ122を配置したことにより、補助作業座席91に作業者が座る際に作業者の足がラック121やモータ122に接触しないので、作業者が不快感を覚えることがなく作業能率が従来より向上すると共に、作業の安全性が確保される。
また、選別搬送コンベア87の機体前側で且つ下側にハンガーアーム95,95の上下動を行う摺動部材でありラック121と該ラック121を駆動するモータ122を配置したことにより、補助作業座席91に作業者が座る際に作業者の足がラック121やモータ122に接触しないので、作業者が不快感を覚えることがなく作業能率が従来より向上すると共に、作業の安全性が確保される。
さらに、補助作業座席91の近傍に昇降操作ペダル92a,92bを配置したことにより、作業者はハンガーアーム95,95を上下動させる必要がある場合に切替スイッチ124を操作して収容袋97の弛み部分をなくすことができるので、作業能率が従来より向上する。
【0129】
上記いずれの実施例においても昇降操作ペダル92a,92bを配置する場合には、該昇降操作ペダル92a,92bはシーソー式とし、ペダル92a,92bで「上げ」と「下げ」を同時出力しないようにしたので、矛盾する動作が同時に生じるおそれがなく、昇降シリンダ88の急稼働や急加速することがない。
また、補助作業座席91に対して昇降操作ペダル92a,92bは機体左右方向へオフセット配置されているので、昇降操作ペダル92a,92b上に両足を同時に置けないので安全である。ペダルユニット自体がガタ取り(操作とのタイムラグや無反応をなくす)効果を兼ねることができる。
【0130】
さらに昇降操作ペダル92a,92bのペダルユニットを補助作業座席91のステップに対して任意位置へ動かすことができる構成とすると、補助作業者に都合のよい位置に昇降操作ペダル92a,92bを配置することができる。またいつでも配置換えをすることができる。
また、昇降操作ペダル92a,92bの左右方向の中央部はペダル上面よりも下がった凹部形状とし、いちいち足下を見なくてもペダル92a,92bが分かりやすくして、その操作性をよくしている。
また、通常、使用頻度の高い方のペダル92aまたは92bを大きくて反対のペダル92bまたは92aを小さくすることで優れた操作性が得られる。
【0131】
さらに昇降操作ペダル92a,92bのペダルユニットは機体前方を高く、後方を低くなるように傾斜配置することで、足が載せやすくなるので、長時間の作業を行う場合でも作業者が疲れにくく、また操作の際には足を乗せたままの姿勢で踏み込めばいいので、操作性が従来より向上する効果がある。
また、反対に昇降操作ペダル92a,92bのペダルユニットは機体前方を低く、後方を高くすることで、操作するときだけ足を接触させるため、誤操作をしにくくなる効果がある。
また、シーソー式の昇降操作ペダル92a,92bを前後方向へ配置してもよい。この場合は、ペダル92a,92bを機体左右方向で千鳥配置すると、踏み違いを防止することができる。
【0132】
上記昇降操作ペダル92a,92bのペダルアッセイを機体のステップ上ではなく、選別搬送コンベア87の適切な箇所に移設して手動でもペダル操作可能にすると、ペダル92a,92bの操作性の幅が大幅に増える。
また、昇降操作ペダル92a,92bのペダルアッセイを選別搬送コンベア87の補助作業座席91に着席している補助作業者がひざで押せる箇所に配置することでもペダル92a,92bの操作性の幅が広がる。