(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜
図11に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Eから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。
【0029】
本件の実施例では、基本的に機体の進行方向に対して左側を「機体左右一側」、右側を「機体左右他側」と定義する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
まず、走行部Aの構成について説明する。
【0030】
図1、
図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0031】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1、
図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0032】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0033】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1〜
図3で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0034】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを設ける。
【0035】
そして、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を取り付けて、収穫部Cを構成する。
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0036】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0037】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0038】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
【0039】
図1〜
図8(a),(b),(c)で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0040】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0041】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を張圧して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ50,50を取り付ける。該張圧バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0042】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は張圧バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0043】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0044】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0045】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0046】
なお、
図6、
図8で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0047】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0048】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0049】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0050】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0051】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、
図6で示すように、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0052】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記張圧バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0053】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0054】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0055】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0056】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0057】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0058】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0059】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を張圧する左右の張圧バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0060】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで張圧バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0061】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ50,50に張圧された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0062】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0063】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0064】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0065】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0066】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0067】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0068】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0069】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0070】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0071】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0072】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0073】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
図2で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該前後残葉処理フレーム72,72の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ73,73を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ73,73にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成する。
【0074】
また、該残葉処理コンベア76の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置61よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台77を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台77よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ78を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ79を設ける。そして、前記残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア76に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ78と汲上搬送従動ローラ79とに汲上搬送ベルト80を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア76と受け台77とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア81が構成される。
【0075】
前記残葉処理コンベア76と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア81とから、汲上搬送部Eが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア81に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0076】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0077】
そして、残葉処理コンベア76の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台77を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置61よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア81に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置61よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0078】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2及び
図9で示すように、操縦部Bの後部に左右の選別搬送フレーム82,82を取り付け、該左右の選別搬送フレーム82,82の機体後側の左右間に選別搬送駆動スプロケット83,83を回転自在に設け、該選別搬送駆動スプロケット83,83よりも機体前側に、選別搬送従動スプロケット84,84を取り付けた自動テンション機構84a,84aを設ける。
【0079】
また、前記選別搬送駆動スプロケット83,83と選別搬送従動スプロケット84,84に亘って左右の伝動チェーン85,85を無端状に巻回し、該伝動チェーン85,85の左右間に複数の搬送バー86…を等間隔に配置する。さらに、前記選別搬送駆動スプロケット83,83の回転軸を回転させる選別搬送モータ87mを設けることにより、選別搬送コンベア87が構成される。
【0080】
該選別搬送コンベア87は、搬送始端部よりも搬送終端部が僅かに上方に位置する後上り傾斜姿勢とし、搬送始端部を汲上搬送部Eの汲上搬送コンベア81の搬送終端部の下方に配置する。このとき、汲上搬送コンベア81の搬送終端部は、機体左右一側の自動テンション機構84aを跨いだ位置に配置する。
【0081】
また、前記選別搬送駆動スプロケット83,83の回転軸にシュータ88を上下回動自在に取り付け、該シュータ88の機体左右外側にシュータ88を上下回動させる操作レバー89を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0082】
上記構成のように、選別搬送従動スプロケット84,84を回転自在に取り付けた自動テンション機構84a,84aを設けたことにより、汲上搬送コンベア81から人参が落下してきたときなどに伝動チェーン85,85を撓ませることができるので、人参は落下の衝撃を吸収されて傷付くことを防止され、人参の商品価値が向上する。
【0083】
また、選別搬送駆動スプロケット83,83を搬送終端部側に設けたことにより、自動テンション機構84a,84aがはたらいて伝動チェーン85,85が撓んでも、選別搬送コンベア87の搬送終端位置が変化しないので、選別搬送コンベア87と収容容器93との距離が変わることが防止され、人参の落下距離が一定に保たれ、落下の衝撃で傷付くことが防止される。
【0084】
そして、汲上搬送コンベア81の搬送終端部を、機体左右一側の自動テンション装置84aを跨いだ位置に配置したことにより、汲上搬送コンベア81から排出される人参が自動テンション装置84aや伝動チェーン85の上に落下しないので、人参が落下してくると自動テンション装置84aが作用して伝動チェーン85がしっかりと撓むため、落下の衝撃が吸収されて人参が傷付くことが防止される。
【0085】
さらに、選別搬送コンベア87を、複数の搬送バー86…を左右の伝動チェーン85,85の左右間に等間隔に設けて構成したことにより、搬送バー86同士の間から人参に付着していた泥土や葉屑等の夾雑物を下方に落下させることができるので、夾雑物が選別対象の人参の形状や傷を隠すことが防止され、人参の選別精度が向上する。
【0086】
また、シュータ88を上下回動自在に設けたことによって、シュータ88を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器93に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0087】
そして、シュータ88を上方に回動させると、選別搬送コンベア87の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア87を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア87の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0088】
さらに、シュータ88を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア87を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア87の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア81の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア87の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0089】
また、シュータ88の機体左右外側にシュータ88を上下回動させる操作レバー89を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席117に座ったままシュータ88を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0090】
次に、収容部Gについて説明する。
図1、
図2、
図10、
図11で示すように、前記左右選別搬送フレーム82,82の下部に前後回動自在に枠形状の載置支持フレーム90を設け、該載置支持フレーム90の空間部に前後方向の回転軸91…を複数並べて配置する。本実施例では三本の回転軸91a,91b,91cを、左右方向に間隔を空けて配置している。
【0091】
該回転軸91a,91b,91cのうち、機体左右一側、即ち選別搬送コンベア87の搬送終端部の下方に位置する載置支持フレーム90に回転軸91aを配置し、収容容器93の左右幅より短い間隔を空けて、機体左右他側、後述する収容容器載置台97側に回転軸91b,91cを回転軸91aよりも上方に配置する。
【0092】
そして、前記回転軸91a,91b,91cにそれぞれ搬送ローラ92を、コンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器93の搬送方向にのみ回転可能に装着する。回転方向を一方向に回転させるためには、搬送ローラ92にワンウェイクラッチ(図示省略)等の回転規制部材を用いるとよい。
【0093】
なお、この搬送ローラ92は、
図1、
図2、
図10で示すように、前後方向に複数(本実施例では分割搬送ローラ92x,92y,92z)に分割し、該分割搬送ローラ92x,92y,92z同士の間隔、及び載置支持フレーム90との間隔ができるだけ生じないように配置する。
【0094】
さらに、機体左右一側に設ける前記回転軸91aの後部で且つ回転軸91aと載置支持フレーム90との間に皿バネ等のブレーキ体94を軸着し、回転軸91aの後端部に該ブレーキ体94の抵抗力を調節する調節ノブ95を調節自在に取り付ける。該ブレーキ体94は、調節ノブ95の調節操作に応じて加圧力を回転軸91aに加え、回転軸91aの回転を規制するものである。
【0095】
また、前記載置支持フレーム90に収容容器93の重量に応じて伸縮するダンパ96の一側端部を設け、該ダンパ96の他側端部を回動フレーム20に取り付ける。該ダンパ96は、収容容器93に投入された人参が少なく、重量が軽い場合は短く縮んで載置支持フレーム90を上方に回動させると共に、人参が投入されて重くなるにつれて長く伸び、載置支持フレーム90を下方に回動させる構成とする。
【0096】
上記構成により、収容容器載置台97が構成される。
そして、該収容容器載置台97を構成する収容支持フレーム90の後部に空の収容容器93等を載置する予備収容容器載置台98を前後回動自在に、且つ収容容器載置台97が圃場面に対して略水平姿勢であるときには後上り傾斜姿勢となるように取り付ける。該予備収容容器載置台98は、収容容器載置台97から収容容器93を取り除くと、積載している空の収容容器93を収容容器載置台97に滑り降ろす角度で配置する。このとき、人参を収容中の収容容器93の上部が、空の収容容器93のストッパの役割を果たしている。
【0097】
また、前記選別搬送コンベア87の機体左右他側方に補助作業者が足を置くステップ99を設け、該ステップ99の下部に前後一対の取付アーム100,100を設け、該取付アーム100,100の機体左右他側端部に平面視H字形状の回動ステー101,101を取り付ける。さらに、該回動ステー101,101に中空の支持フレーム102,102を上下回動自在に設け、該支持フレーム102,102の上部に人参を収容した収容容器93を複数載置する貯留台103を、機体前後方向に長辺を向けて配置する。この貯留台103は、非作業時等には機体フレーム1側に回動させることができる構成とし、倉庫等に収容する際のスペースを少なくできる構成としている。
【0098】
なお、ステップ99の機体左右他側端部は載置支持フレーム90の機体左右他側端部と略同じ位相とし、貯留台103の後端部は載置支持フレーム90の後端部と略同じ位相とする。
【0099】
また、ステップ99の取付アーム100,100を回動ステー101,101を回動支点として、貯留台103を機体フレーム1側に回動させるとステップ99がこの貯留台103側に回動する構成としてもよい。
【0100】
上記構成によれば、貯留台103を上方回動させるとステップ99も上方回動して傾斜姿勢となることにより、選別搬送コンベア87や作業者の靴から落ちた泥土や葉屑等の夾雑物を下方に落とすことができるので、夾雑物の除去作業が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0101】
このとき、ステップ99の表面を凹凸のない平坦な構成としたり、泥土の付着しにくい素材で覆ったりすると、ステップ99を傾斜させた際にいっそう泥土が残りにくく、メンテナンス性がさらに向上する。
【0102】
そして、該貯留台103の前部に左右一対の駆動プーリ104,104を設け、貯留台103の後部に左右一対の従動プーリ105,105を設け、該駆動プーリ104,104と従動プーリ105,105の前後間に複数の搬送ローラ106,106…を回転自在に設ける。また、前記駆動プーリ104,104と従動プーリ105,105に2本の搬送ベルト107,107:107,107を左右間隔を空けて無端状に巻回する。該左右の搬送ベルト107,107:107,107の左右間には、前記搬送ローラ106,106…が搬送ベルト107,107:107,107と接触しない位置に設けられる。
【0103】
なお、搬送ローラ106,106…と搬送ベルト107,107:107,107の上面は、貯留台103の上端面よりも上方に位置すると、収容容器93が貯留台103の上面に接触して搬送されなくなることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0104】
さらに、前記貯留台103の前端部に駆動プーリ104,104を駆動回転させる駆動モータ108を設けることにより、収容容器搬送装置109が構成される。
なお、
図2で示すように、貯留台103の機体左右他側の壁面のうち、収容容器載置台97から収容容器93を受ける位置に収容容器93が接触すると駆動モータ108を所定時間駆動させる載置検出スイッチ110を設けると、自動的に人参を収容した収容容器93を移動させることができるので、作業者が収容容器93を移動させる作業が省略され、作業能率が向上する。
【0105】
駆動モータ108の駆動時間は、収容容器93一つ分が機体前方に移動する時間とする。
また、操縦者は機体の操縦に集中することができ、補助作業者は選別作業に集中することができるので、人参の引き残しが防止されると共に、人参の選別精度が向上する。
【0106】
そして、貯留台103の前端部の壁面に収容容器搬送装置109によって搬送されて来た収容容器93が接触すると駆動モータ108を停止させ、ブザーやランプなどの報知手段(図示せず)を検出する終端検出スイッチ111を設けることにより、貯留台103に収容容器93が満載されてこれ以上積めないことが自動的にわかるようになり、作業能率が向上する。
【0107】
また、貯留台103の後端部の左右両端部に、平面視L字形状の取付ステー112,112を固着し、該取付ステー112,112の後方に突出させた端部に帯鋼で平面視コの字型に形成した支持フレーム113を固定ピン113aで固定する。そして、該支持フレーム113の左右間に複数の支持パイプ114…を設けて、商品として不適格な人参(生育不良、形状異常、傷物など)を回収する廃物回収用の廃物容器93tを配置する廃物容器支持台115を構成する。
【0108】
上記の固定ピン113aは、最下段の廃物容器93tの下部に接触し、廃物容器93tが貯留台103に移動することを防止する。
該廃物容器支持台115の支持フレーム113は機体後方に向かう後上り傾斜姿勢とし、その傾斜角度は廃物容器93tを複数段、例えば二段積みまでは積載を許容するものに設定する。廃物容器支持台115を圃場面に対して略水平となる角度(≒0度)とすると、廃物容器93tを何個も上下方向に積み上げることが出来てしまい、重量で廃物容器支持台115が壊れてしまうおそれがある。また、機体後端に位置する廃物容器支持台115に多くの廃物容器93tを積載すると、重量バランスが機体後部に集中してしまい、機体の走行姿勢や旋回姿勢が乱されて、人参の引抜収穫位置がずれてしまうことがある。こうした問題を発生させないため、過剰に多くの廃物容器93tを積載できないよう、廃物容器支持台115を後上り傾斜姿勢としている。
【0109】
なお、廃物容器支持台115には、空の、あるいは人参を収容し終えた収容容器93を載置してもよい。
そして、前記前後の回動ステー101,101の前後どちらか一方に背面視コの字型の座席支持フレーム116を挿し込んで設け、該座席支持フレーム116に選別搬送コンベア87上の人参を選別する作業者が座る補助作業座席117を取り付けることにより、収容部Gが構成される。
【0110】
なお、補助作業座席117は、左右方向に回転自在に取り付けてもよい。
上記構成のように、収容容器載置台97に搬送ローラ92を取り付ける複数の回転軸91a,91b,91cを設け、左右一側端部の回転軸91aを他の回転軸91b,91cよりも下方に設けたことにより、収容容器載置台97に収容容器93を設けたとき、収容容器93の左右一側端部が左右他側端部よりも下方に位置した傾斜姿勢となるので、収容容器93が搬送ローラ92によって勝手に貯留台103に移動することが防止され、人参を可能な限り収容してから貯留台103に移動させられるため、作業効率が向上する。
【0111】
また、選別搬送コンベア87から排出される人参を受ける収容容器93が勝手に移動し、人参が圃場や機体上に落下することを防止できるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて商品価値が維持されると共に、落下した人参を拾い集める作業が必要なく、作業者の労力が軽減される。
【0112】
そして、回転軸91b,91cを略同じ高さに配置したことにより、収容容器93を貯留台103に引き出す際、回転軸91bに設けた搬送ローラ92に収容容器93が載ると、回転軸91cに設けた搬送ローラ92に高低差なく移動するので、収容容器93を作業者が引き出す際の荷重が軽減されて軽い力で人参の満載された収容容器93を移動させられる。
【0113】
さらに、搬送ローラ92を分割した分割搬送ローラ92x,92y,92zを、回転軸91a,91b,91cにそれぞれ軸着したことにより、収容容器93の底部と接触する部分のみが回転するので、分割搬送ローラ92x,92y,92zの一つ当たりの慣性を小さくすることができ、作業者は少ない力で収容容器93を引き出せるため、作業者の労力が軽減される。
【0114】
また、分割搬送ローラ92x,92y,92z同士の前後間隔、及び前後端部に位置する分割搬送ローラ92x,92zと載置支持フレーム90の前後間隔が殆ど生じない構成としたことにより、収容容器93の底部が間隔に入り込んで引っ掛かることを防止できるので、収容容器93の貯留台103への移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0115】
そして、回転軸91aに回転速度を調節するブレーキ体94と調節ノブ95を設けたことにより、圃場が安定しており収容容器載置台97から貯留台103に向かって収容容器93が勝手に移動することが殆どないときは、回転軸91aの規制力を弱めて回転しやすくすることができるので、作業者はより小さい力で収容容器93を引き出せるため、作業者の労力が軽減される。
【0116】
一方、圃場に凹凸が多く、頻繁に機体が傾斜する場合等、収容容器載置台97から貯留台103に向かって収容容器93が勝手に移動しがちな場合は、回転軸91aの規制力を強めて回転しにくくすることができるので、機体が傾斜しても収容容器93は回転軸91aに軸着した搬送ローラ92に移動を規制され、勝手に貯留台103に移動することを防止されるため、人参が機体や圃場に落下して傷付くことが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0117】
なお、調節ノブ95を締めて回転軸91aが全く回転しなくなるようにしてもよい。また、調節ノブ95をモータで回転する構成とし、補助作業座席117の近くにこのモータを駆動させるスイッチを設け、作業者が移動することなく調節ノブ95を回せる構成としてもよい。
【0118】
さらに、収容載置フレーム90に収容容器93の重量に応じて伸縮するダンパ96の一側端部を取り付けたことにより、人参の収容量がゼロ、あるいは少量の場合は収容容器93が傾斜姿勢で選別搬送コンベア87から排出される人参を受け、収容量が増えるにつれて水平に近い姿勢に変化していくので、選別搬送コンベア87から収容容器93までの人参の落下距離が短くなり、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、商品価値が維持される。
【0119】
また、収容容器93の角度を自動で変更することができるので、作業能率が向上する。
そして、貯留台103に搬送ベルト107,107:107,107と複数の搬送ローラ106,106…を設けたことにより、引き出されてきた収容容器93を自動的に機体前方に送ることができるので、作業能率が向上すると共に、作業者が収容容器93を手作業で移動させる必要が無く、作業能率が向上する。
【0120】
さらに、廃物収容支持台115を構成する平面視コの字形上の支持フレーム113を、貯留台103の後端部の左右両側に取り付ける取付ステー112,112に設けたことにより、取付ステー112,112の位相が略変化しないので捻れが生じることが防止され、支持フレーム113の強度が向上する。
【0121】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図12、
図13で示すように、載置支持フレーム90に第1回転軸91aと、該第1回転軸91aよりも上方且つ機体左右他側に位置する第2回転軸91bを設け、該第1回転軸91a及び第2回転軸91bにそれぞれ搬送ローラ92を装着する。そして、前記第1回転軸91a及び第2回転軸91bの回転を止めるブレーキフレーム118を第1回転軸91a及び第2回転軸91bに接触させて設ける。
【0122】
また、該ブレーキフレーム118の機体左右他側端部側にトルク・スプリング119を備えた回動軸120を取り付け、該回動軸120を支点として上下方向に回動するブレーキアーム121を設ける。該ブレーキアーム121の機体左右一側端部には、ブレーキフレーム118の機体左右他側端部のロック孔118aに引っ掛かるロック爪121aを形成し、機体左右他側部には、貯留台103の機体左右一側の後部上面と接触する接触部121bを形成する。
【0123】
前記トルク・スプリング119はブレーキアーム121の機体左右一側が上方に持ち上がる力を常にかけているが、トルク・スプリング119の力はブレーキアーム119の機体左右他側端部が貯留台103に接触して押し上げられると負けて下がる程度とする。
【0124】
なお、搬送ローラ92は、分割搬送ローラ92x,92y,92zとしてもよい。
上記構成により、収容容器載置台97に空の収容容器93を載置した際、及び人参の収容中には、ブレーキアーム121のロック爪121aがブレーキフレーム118のロック孔118aに入り込んでブレーキアーム118を押し上げ、第1回転軸91a及び第2回転軸91bが回転することを防止しているので、人参を収容中の収容容器93が貯留台103に向かって移動することが防止され、人参が圃場や機体に落下して傷付くことが防止されると共に、落下した人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減される。
【0125】
また、収容容器93に人参が大量に収容されて下がってくると、ブレーキアーム121の機体左右他側が貯留台103に接触して機体左右一側が下方回動してロック爪121aがロック孔118aから抜ける構成としたことにより、収容容器93を収容容器載置台97から貯留台103に移動させるときには第1回転軸91a及び第2回転軸91bが回転するので、収容容器93の底部に接触して搬送ローラ92,92が回転し、作業者は小さい力で収容容器93を移動させることができ、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0126】
なお、収容容器93を収容容器載置台97から貯留台103に移動させると、ダンパ96縮んで載置支持フレーム90が上方に移動し、ブレーキアーム121が貯留台103から離れるとトルク・スプリング119の力によってブレーキアーム121の機体左右一側が上方回動し、ロック爪121aがロック孔118aに入り込み、再びブレーキフレーム118を作用常態にするので、作業者は余分な操作を行う必要が無く、作業能率が向上する。
【0127】
加えて、ブレーキアーム121の回動を貯留台103との接触で行なうことにより、部品点数の増加が抑えられる。
なお、ブレーキアーム121は収容容器93を収容容器載置台97から貯留台103に移動させる橋となるので、収容容器93の移動はスムーズに行なわれるが、ブレーキアーム121に第3回動軸91cを前後方向に向けて配置し、この第3回動軸91cに搬送ローラ92を装着すると、いっそう小さな力で収容容器93の移動を行なえるようになり、作業者の労力がいっそう軽減される。第2回動軸91bと第3回動軸91cは略同じ高さに位置させると、さらに収容容器93を移動させる力を小さくできる。
【0128】
図14、
図15で示すように、載置支持フレーム90の左右方向に亘って収容容器93の底部を支持する支持レール122,122を前後方向に間隔を空けて設け、該前後の支持レール122,122の前後間に第1〜第3回転軸91a,91b,91cに装着した搬送ローラ92,92,92を設ける。そして、前記支持レール122,122の下部で且つ載置支持フレーム90の左右方向中央位置よりも機体左右一側寄りに、載置支持フレーム90を左右方向に回動させる回動軸123を取り付ける。
【0129】
また、ステップ99のうち、補助作業座席117に座った作業者が足で踏みやすい位置に操作ペダル124を設け、該操作ペダル124の下部に操作ペダル124を踏むと下降し、離すとスプリング125の力で自動的に上昇する連動アーム126を機体後方に向けて配置する。さらに、該連動アーム126の後端部に、前記載置支持フレーム90の機体左右他側端部を支持する支持プレート127を取り付ける。
【0130】
該支持プレート127は、操作ペダル124を踏むと連動アーム126と共に下降して回動軸123の機体左右他側端部を下方移動させ、操作ペダル124が踏まれていないと回動軸123の機体左右他側端部を下方から押し上げるものである。
【0131】
なお、操作ペダル124は、ステップ99が上方回動して載置台103に接近しても、接触しない程度の上下高さとする。また、搬送ローラ92は、分割搬送ローラ92x,92y,92zとしてもよい。
【0132】
上記構成により、作業者が操作ペダル124を踏んで回動軸123を回動させると収容容器93は収容容器載置台97から貯留台103に移動するので、作業者は収容容器93を貯留台103側に引き出す作業が必要なく、作業者の労力が軽減されるとともに、作業能率が向上する。