【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、特に断りのない限り、%は質量%を表す。
【0023】
〔ツバキ葉抽出物の調製〕
ツバキ葉を純水で洗浄し、70℃で24時間乾燥させて得られた葉50gに、500gの50%エタノール水溶液を加え1週間浸漬して抽出した後、ろ過して得られたろ液をツバキ葉抽出物とした。乾燥残留物は1.4%であった。
【0024】
〔実施例1、比較例1:表皮角化細胞賦活試験〕
上記のツバキ葉抽出物は50%エタノール水溶液で10mg/mLになるように、(-)-エピガロカテキン-3-ガレート(和光純薬工業社製)は80%エタノール水溶液で10mg/mLになるようにそれぞれ溶解し、試験に供した。
【0025】
マウス表皮角化細胞Pam212を96ウェル培養プレートに2.0×10
4cells/ウェルになるように播種した。播種培地は、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、和光純薬工業社製)に牛胎児血清(FBS、Biowest社製)を終濃度10%になるように添加し、さらに終濃度100U/mLのペニシリン・ストレプトマイシン(GIBCO社製)を添加したものを使用した。37℃、5%CO
2下で24時間培養後、培地を除去し各濃度の試料を含む低血清培地(1%FBS/DMEM)に置換し、72時間培養した。培養後、MTTアッセイにてミトコンドリア活性を測定し、表皮角化細胞賦活作用とした。MTTアッセイにより生成したホルマザンの量を570nmと630nmの吸光度の差として算出し、細胞賦活率は以下の式を用いて算出した。結果を表1に示す。細胞賦活率が120%以上で有効と判定した。
細胞賦活率(%)=(A570−A630)sample/ (A570−A630)control× 100
【0026】
【表1】
【0027】
表1の結果から、ツバキ葉抽出物は、従来の表皮角化細胞賦活剤として用いられている化合物である(-)-エピガロカテキン-3-ガレートよりも優れた表皮角化細胞賦活作用を示し、また高濃度においても賦活活性を示すことが分かる。
【0028】
〔実施例2,3、比較例2,3,4:官能評価〕
上記のツバキ葉抽出物および(-)-エピガロカテキン-3-ガレートを使用して、表2に示す化粧水(皮膚外用剤)を調製し、下記の5項目について下記評価基準により評価を行なった。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
(評価項目及び評価基準)
(1)肌のくすみ改善効果
20名の女性(38才〜63才)をパネラーとし、皮膚外用剤を1日2回、4週間使用後の肌の状態について下記のように官能評価を行った。
2点:肌のくすみが明らかに改善してきたと感じた場合。
1点:肌のくすみがやや改善してきたと感じた場合。
0点:肌に変化を感じなかった、また肌のくすみが悪化したと感じた場合。
【0031】
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上(非常に優れた肌のくすみ改善作用を有する皮膚外用剤)
○:30点以上35点未満(優れた肌のくすみ改善作用を有する皮膚外用剤)
△:15点以上30点未満(わずかに肌のくすみ改善作用を有する皮膚外用剤)
×:15点未満(肌のくすみ改善作用を有しない皮膚外用剤)
【0032】
(2)美白効果
20名の女性(38才〜63才)をパネラーとし、皮膚外用剤を1日2回、4週間使用した後の肌の状態について下記のように官能評価を行った。
2点:肌のシミ・そばかすが明らかに薄くなったと感じた場合。
1点:肌のシミ・そばかすがやや薄くなったと感じた場合。
0点:肌に変化を感じなかった、またはシミ・そばかすが増えたと感じた場合。
【0033】
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上(非常に優れた美白作用を有する皮膚外用剤)
○:30点以上35点未満(優れた美白作用を有する皮膚外用剤)
△:15点以上30点未満(わずかに美白作用を有する皮膚外用剤)
×:15点未満(美白作用を有しない皮膚外用剤)
【0034】
(3)肌のキメ改善効果
20名の女性(38才〜63才)をパネラーとし、皮膚外用剤を1日2回、4週間使用した後の肌の状態について下記のように官能評価を行った。
2点:肌のキメが明らかに改善されたと感じた場合。
1点:肌のキメがやや改善されたと感じた場合。
0点:肌のキメに変化を感じない、またはキメが悪化したと感じた場合。
【0035】
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上(非常に優れた肌のキメ改善作用を有する皮膚外用剤)
○:30点以上35点未満(優れた肌のキメ改善作用を有する皮膚外用剤)
△:15点以上30点未満(わずかに肌のキメ改善作用を有する皮膚外用剤)
×:15点未満(肌のキメ改善作用を有しない皮膚外用剤)
【0036】
(4)ニキビ・吹き出物改善効果
ニキビや吹き出物に悩む20名の男女(18〜32才)をパネラーとし、皮膚外用剤を1日2回、4週間使用後の肌の状態について下記のように官能評価を行った。
2点:ニキビ・吹き出物が明らかに改善してきたと感じた場合。
1点:ニキビ・吹き出物がやや改善してきたと感じた場合。
0点:肌に変化を感じなかった、またはニキビ・吹き出物が悪化したと感じた場合。
【0037】
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上(非常に優れたニキビ・吹き出物改善作用を有する皮膚外用剤)
○:30点以上35点未満(優れたニキビ・吹き出物改善作用を有する皮膚外用剤)
△:15点以上30点未満(わずかにニキビ・吹き出物改善作用を有する皮膚外用剤)
×:15点未満(ニキビ・吹き出物改善作用を有しない皮膚外用剤)
【0038】
(5)経時安定性
化粧料を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃、40℃でそれぞれ3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す2段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がない。)
×:安定性不良(いずれかの温度において澱(おり)、沈殿を生じるまたは分離する。もしくは変色が著しい。)
【0039】
実施例2,3の結果から、本発明によるツバキ葉抽出物を含有する化粧水は、肌のくすみ改善効果、美白効果、肌のキメ改善効果、ニキビ・吹き出物改善効果に優れ、製剤の安定性も良好であることが理解できる。
【0040】
一方、本発明によるツバキ葉抽出物を含有していない比較例2,3では、肌のくすみ改善効果、美白効果、肌のキメ改善効果、ニキビ・吹き出物改善効果とも、十分な効果が得られなかった。また、公知の表皮角化細胞賦活剤である(-)-エピガロカテキン-3- ガレートを配合した比較例4においては、肌のキメ改善効果が若干得られるものの、肌のくすみ改善効果、美白効果、ニキビ・吹き出物改善効果はいずれも得られず、製剤の安定性も不良であった。
【0041】
〔実施例4,5、比較例5,6:官能評価〕
上記のツバキ葉抽出物および(-)-エピガロカテキン-3- ガレートを使用して、表3に示す乳液(皮膚外用剤)を調製し、実施例2,3と同様の方法により評価を行なった。結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
実施例4,5の結果から、本発明によるツバキ葉抽出物を含有する乳液は、肌のくすみ改善効果、美白効果、肌のキメ改善効果、ニキビ・吹き出物改善効果に優れ、製剤の安定性も良好であった。特に、本発明によるツバキ葉抽出物とアスコルビン酸誘導体を併用した実施例5の乳液は、ツバキ葉抽出物の含有量が実施例4の乳液よりも少ないにもかかわらず、美白効果、ニキビ・吹き出物改善効果が実施例4よりも優れることが理解できる。
【0044】
一方、本発明によるツバキ葉抽出物を含有していない比較例5,6では、肌のくすみ改善効果、美白効果、肌のキメ改善効果、ニキビ・吹き出物改善効果とも、十分な効果が得られなかった。
【0045】
〔実施例6、7、比較例7:官能評価〕
上記のツバキ葉抽出物を使用して、表4に示すクリーム(皮膚外用剤)を調製し、実施例2,3と同様の方法により評価を行なった。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
実施例6,7の結果から、本発明によるツバキ葉抽出物を含有するクリームは、肌のくすみ改善効果、美白効果、肌のキメ改善効果、ニキビ・吹き出物改善効果に優れており、製剤の安定性も良好であった。
【0048】
一方、本発明によるツバキ葉抽出物を含有していない比較例7では、肌のくすみ改善効果、美白効果、肌のキメ改善効果、ニキビ・吹き出物改善効果とも、十分な効果が得られなかった。
【0049】
以上詳述の通り、本発明の表皮角化細胞賦活剤は、従来のものよりも高活性な表皮角化細胞賦活作用を有しており、また高濃度においても賦活活性を示すことが明らかとなった。そのため、本発明の表皮角化細胞賦活剤の有効成分であるツバキ葉抽出物を含有する皮膚外用剤は、従来の表皮角化細胞賦活剤を含有する皮膚外用剤で認められる肌のくすみ改善効果、美白効果、肌のキメ改善効果よりも単に優れるだけでなく、かかる従来の皮膚外用剤では得られなかったニキビ・吹き出物改善効果をも優位に有しており、製剤の安定性も良好であった。