【実施例】
【0029】
以下において例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。使用した原材料と各種評価方法を次に示す。
【0030】
(使用原料)
[ポリアミド樹脂(A)]
・ポリアミド樹脂(a−1):ポリアミド6(宇部興産株式会社製P1011F、12メッシュのスクリーンメッシュを通過する平均粒径1mm以下の粉末、相対粘度2.22、水抽出量0.3質量%、比重1.14)
【0031】
[金属酸化物粒子(B)]
・酸化マグネシウム(b−1):酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ株式会社製、RF−70C−SC、平均粒子径7μm、純度99%)
・酸化マグネシウム(b−2):酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ株式会社製、RF−50−SC、平均粒子径53μm、純度98%)
・酸化マグネシウム(b−3):酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ株式会社製、RF−10C−SC、平均粒子径72μm、純度99%)
【0032】
[多価アルコール(C)]
・ペンタエリスリトール(c−1)(日本合成化学工業株式会社製、融点:260℃、比重1.4)
【0033】
(評価方法)
(1)混練性
混練性は、日本製鋼株式会社製の同方向二軸混練機である径44mmΦ、L/Dが35のTEX44を用いて、設定温度290℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrの滞留時間約3分の混練条件でポリアミド樹脂組成物を製造する際の良否を以下の×と○で判定した。
×:混練機から吐出されたストランドがもろく、ストランド切れをおこし、1時間以上連続してペレット化ができないもの。又は、混練負荷が大きく、混練機の許容電流負荷の上限である150Aを超えるもの。
○:連続して1時間以上、ペレット化でき、かつ混練負荷が150Aを超えないもの。
【0034】
(2)熱伝導性
熱伝導性は、JIS R−2616に準拠して測定した。(非定常熱線プローブ法)
テストピースは150mm×150mm×3mmtを使用し、3箇所測定した。
図1に示すゲート付近を測定部Aとし、中央部をB、末端部をCとした。
熱伝導率の差は、3箇所測定した熱伝導率の最大値と最小値の差とした。
【0035】
実施例1
ポリアミド樹脂(a−1)宇部興産株式会社製P1011Fを23.2質量%、酸化マグネシウム(b−1)宇部マテリアルズ株式会社製RF−70C−SCを7.6質量%、酸化マグネシウム(b−2)宇部マテリアルズ株式会社製RF−50−SCを37.9質量%、酸化マグネシウム(b−3)宇部マテリアルズ株式会社製RF−10C−SCを30.3質量%、ペンタエリスリトール(c−1)を1.0質量%になるよう配合した。
酸化マグネシウムの粒子径はJIS R 1629に準じ、レーザー回折散乱法で酸化マグネシウム(b−1)、酸化マグネシウム(b−2)、酸化マグネシウム(b−2)の粒度分布を測定し、その粒度分布の結果とそれぞれの配合比より、酸化マグネシウム全量に対する粒子径20μm以下及び70μm以上の酸化マグネシウムの配合割合を算出した。
配合した酸化マグネシウムの平均粒子径は37μmであり、粒子径70μm以上の酸化マグネシウムの配合割合は、15質量%、20μm以下の酸化マグネシウムの配合割合は41質量%であった。
(粒子径が平均粒子径の2倍以上の酸化マグネシウムの配合割合は11質量%であり、平均粒子径の半分以下の酸化マグネシウムの配合割合は41質量%であった。)
これらを円筒型混合機に投入、混合し、その混合物を日本製鋼株式会社製混練機であるTEX44に導入し、設定温度290℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20Kg/hrで溶融混練し、その溶融混練時に混練性について、評価した。また、得られたポリアミド樹脂組成物のペレットをシリンダー温度290℃、金型温度80℃、冷却時間20秒の条件で射出成形により、熱伝導率用に150mm×150mm×3mmの試験片を作成した。作成した試験片を用いて測定箇所A、B、Cの熱伝導性を評価した。この結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
実施例1において、酸化マグネシウム(b−1)宇部マテリアルズ株式会社製RF−70C−SCを30.3質量%、酸化マグネシウム(b−2)宇部マテリアルズ株式会社製RF−50−SCを37.9質量%、酸化マグネシウム(b−3)宇部マテリアルズ株式会社製RF−10C−SCを7.6質量%に変えた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物のペレットを製造し、これらを評価した。結果を表1に示す。
なお配合した酸化マグネシウムの平均粒子径は52μmであり、配合した酸化マグネシウム全量に対し、粒子径70μm以上の酸化マグネシウムの配合割合が30質量%、20μm以下の酸化マグネシウムの配合割合が21質量%となる。
(粒子径が平均粒子径の2倍以上の酸化マグネシウムの配合割合は15質量%であり、平均粒子径の半分以下の酸化マグネシウムの配合割合は24質量%である。)
【0037】
実施例3
実施例1において、酸化マグネシウム(b−1)宇部マテリアルズ株式会社製RF−70C−SCを15.2質量%、酸化マグネシウム(b−2)宇部マテリアルズ株式会社製RF−50−SCを45.5質量%、酸化マグネシウム(b−3)宇部マテリアルズ株式会社製RF−10C−SCを15.2質量%に変えた以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物のペレットを製造し、これらを評価した。結果を表1に示す。
なお配合した酸化マグネシウムの平均粒子径は48μmであり、混合した酸化マグネシウム全量に対し、粒子径70μm以上の酸化マグネシウムが22質量%、粒子径20μm以下の酸化マグネシウムが25質量%となる。
(粒子径が平均粒子径の2倍以上の酸化マグネシウムの配合割合は10質量%であり、平均粒子径の半分以下の酸化マグネシウムの配合割合は26質量%である。)
【0038】
比較例1
ポリアミド樹脂(a−1)宇部興産株式会社製P1011Fを23.2%、酸化マグネシウム(b−2)宇部マテリアルズ株式会社製RF−50−SCを75.9質量%、ペンタエリスリトール(c−1)を1.0質量%になるよう配合した以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物のペレットを製造し、これらを評価した。結果を表1に示す。
なお混合した酸化マグネシウムの平均粒子径は52μmであり、混合した酸化マグネシウム全量に対し、粒子径70μm以上の酸化マグネシウムの配合割合が20質量%、20μm以下の酸化マグネシウムの配合割合が0.0質量%となる。
(粒子径が平均粒子径の2倍以上の酸化マグネシウムの配合割合は2質量%であり、平均粒子径の半分以下の酸化マグネシウムの配合割合は1質量%である。)
【0039】
比較例2
ポリアミド樹脂(a−1)宇部興産株式会社製P1011Fを23.2%、酸化マグネシウム(b−2)宇部マテリアルズ株式会社製RF−50−SCを30.3質量%、酸化マグネシウム(b−3)宇部マテリアルズ株式会社製RF−10C−SCを45.5質量%、ペンタエリスリトール(c−1)を1.0質量%になるよう配合した以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物のペレットを製造し、これらを評価した。結果を表1に示す。
なお混合した酸化マグネシウムの平均粒子径は11μmであり、混合した酸化マグネシウム全量に対し、粒子径70μm以上の酸化マグネシウムの配合割合が8質量%、20μm以下の酸化マグネシウムの配合割合が56質量%となる。
(粒子径が平均粒子径の2倍以上の酸化マグネシウムの配合割合は42質量%であり、平均粒子径の半分以下の酸化マグネシウムの配合割合は25質量%である。)
【0040】
比較例3
ポリアミド樹脂(a−1)宇部興産株式会社製P1011Fを24.2%、酸化マグネシウム(b−1)宇部マテリアルズ株式会社製RF−70−SCを30.3質量%、酸化マグネシウム(b−2)宇部マテリアルズ株式会社製RF−50−SCを37.9質量%、酸化マグネシウム(b−3)宇部マテリアルズ株式会社製RF−10C−SCを7.6質量%とした以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物のペレットを製造し、これらを評価した。結果を表1に示す。
なお混合した酸化マグネシウムの平均粒子径は52μmであり、混合された酸化マグネシウム全量に対し、粒子径が70μm以上の酸化マグネシウムの配合割合が30.0質量%、20μm以下の酸化マグネシウムの配合割合が21.0質量%となる。
(粒子径が平均粒子径の2倍以上の酸化マグネシウムの配合割合は15質量%であり、平均粒子径の半分以下の酸化マグネシウムの配合割合は24質量%である。)
【0041】
比較例4
酸化マグネシウム(b−1)宇部マテリアルズ株式会社製RF−70−SCを75.9質量%、酸化マグネシウム(b−2)宇部マテリアルズ株式会社製RF−50−SCと酸化マグネシウム(b−3)宇部マテリアルズ株式会社製を0質量%とした以外は実施例と同様にして製造したが、混練状態が悪くポリアミド樹脂組成物のペレットを取得できなかった。
なお混合した酸化マグネシウムの平均粒子径は74μmであり、混合した酸化マグネシウム全量に対し、粒子径が70μm以上の酸化マグネシウムの配合割合は52.0質量%、20μm以下の酸化マグネシウムの配合割合は30.0質量%となる。(粒子径が平均粒子径の2倍以上の酸化マグネシウムの配合割合は16質量%であり、平均粒子径の半分以下の酸化マグネシウムの配合割合は37質量%である。)
【0042】
表1