(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セキュリティ印刷データに変換された印刷データを印刷する画像形成装置が判明すれば、当該画像形成装置を前記クライアント装置に通知する通知部を、さらに備えている請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
非セキュリティ印刷データからセキュリティ印刷データに変換された印刷データが送信された複数の画像形成装置の中から1つの画像形成装置が指定された画像形成装置情報、前記認証情報、及び前記セキュリティ印刷データの印刷開始時刻情報の入力を受け付ける受付部と、
前記認証情報の正否を判断する認証情報判断部と、
前記認証情報が正しいと判断されれば、前記1つの画像形成装置に対して、前記受付部が受け付けた情報を送信する情報送信部と、をさらに備えている、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(1)画像形成システム
図1を用いて、本発明の一実施形態が採用された画像形成システム1を説明する。
図1は、本発明の一実施時形態に係る画像形成装置が採用された画像形成システムにおいて、登録処理を説明するための模式図である。
画像形成システム1は、LAN4を介して接続された複数のMFP(Multifunction Peripheral)を有している。
図1に示されたMFPは、第1MFP3A、第2MFP3B、第3MFP3Cの3台である。
【0024】
(2)クライアント装置
クライアント装置5の機能を説明する。クライアント装置5は、パーソナル・コンピュータである。クライアント装置5を用いてユーザが文書を印刷する場合は、ユーザはその文書を各種アプリケーションで開いて、次に印刷操作を行う。すると、クライアント装置5にインストールされているプリンタドライバが起動される。プリンタドライバは、アプリケーションで作成された描画指示データを、ページ記述言語を用いてPDLデータに変換する。PDLデータは、プリントジョブとして、LAN4を介して例えば第1MFP3Aに送信される。
【0025】
プリントジョブ(印刷データ)の先頭には、PJLで記述されたジョブ制御情報(印刷設定)が記述されている。ジョブ制御情報は、用紙サイズ、用紙の種類などのプリンタ10の動作を制御する情報である。また、ジョブ制御情報には、セキュリティの有無が記述されている。ユーザは、クライアント装置5において印刷データを送信する際に、ジョブ制御情報を設定する。
【0026】
プリントジョブには、ジョブ制御情報に続いて、ページ記述言語で記述されたPDLデータが記述されている。PDLデータは、複数のコマンドデータと、テキストデータ及び/又はイメージデータとを有している。コマンドデータは、ラスタライズに関する各種条件、及び各テキストデータ及び/各イメージデータなどを配置する領域を示す情報などである。テキストデータは、文字情報に対応するデータである。イメージデータは、画像情報に対応するデータである。なお、PDLの種類としては、例えば、PCL(Printer Control Language(登録商標))、PS(Post Script(登録商標))、XPS(XML Paper Specification)がある。
【0027】
(3)MFPの機能
図2を用いて、第1MFP3Aの機能を説明する。
図2は、画像形成装置が搭載されたMFPの構成を示すブロック図である。なお、以下に説明する機能は、第1MFP3A、第2MFP3B、第3MFP3Cにおいて共通である。
第1MFP3Aは、プリント機能、コピー機能、FAX(ファクシミリ)機能、及びIFAX(インターネットFAX)機能を備えたネットワーク複合機である。具体的には、第1MFP3Aは、プリンタ10、スキャナ11、FAX制御部12、及びIFAX制御部13を有している。第1MFP3Aは、さらに、操作部14、表示部15、NCU(Network Control Unit)16、モデム17、及びネットワークI/F18を有している。また、第1MFP3Aは、バス19を備えており、第1MFP3A内の各部はバス19によって互いに接続されている。
【0028】
プリンタ10は、FAX制御部12及びIFAX制御部13が受信したファクシミリデータ、コピーの指示に基づいてスキャナ11が作成した画像データ、並びにクライアント装置5から送られてきた印刷データを印刷する。つまり、プリンタ10は、ネットワーク複合機のファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能の出力部として機能する。プリンタ10は、例えば、電子写真方式を採用している。
【0029】
スキャナ11は、原稿から画像を読み取るスキャナ機能を実現する。スキャナ11は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを有している。
【0030】
FAX制御部12は、NCU16及びモデム17によって行われるPSTN(Public Switched Telephone Network)91を介したFAXの送受信を制御する。IFAX制御部13は、ネットワークI/F18を介して行われるIFAXの送受信を制御する。
【0031】
ネットワークI/F18は、LAN4を介して、他の装置とデータの送受信を行う通信部として機能する。例えば、ネットワークI/F18は、クライアント装置5からPDLデータを受信する。
【0032】
操作部14は、タッチパネル並びにハードキー等を備えており、ユーザからの操作を受け付けることができる。すなわち、ユーザは、操作部14を用いてコピー、スキャン、又はファクシミリ送信等の指示を入力することができる。表示部15は、操作部14で入力された操作の内容を含む各種情報を表示する。表示部15は、例えば、液晶パネルである。
【0033】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータである。制御部20は、第1MFP3Aの各部を制御する制御部であり、ROMに格納される各種プログラムを読み出して実行することによって、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びネットワーク機能等を実現する。ROMは、制御プログラム又は予め設定されているパラメータ等を格納する。RAMは、プログラムを実行するための作業領域として機能する。
なお、制御部20は、特に構成部としては説明していないが、入力された認証情報の正否を判断する機能と、PDLデータをイメージデータに変換するラスタライズ機能とを有している。
【0034】
(4)制御部
次に、
図3を参照して、制御部20が備える機能的な構成要素について説明する。
図3は、転送元のMFPが有する制御部と、転送先のMFPが有する制御部とを説明するためのブロック図である。
【0035】
図3では、第1MFP3Aが、印刷データの転送元として機能する場合の制御部20を、便宜上、第1制御部20Aとする。そして、転送先として機能する場合の第2MFP3Bの制御部20を、便宜上、第2制御部20Bとする。なお、実際のMFP3は、転送元として機能するための第1制御部20Aと、転送先として機能するための第2制御部20Bとの双方の機能を有している。また、
図3では、MFP3の構成について、一部が省略されている。
【0036】
(4−1)第1制御部
最初に、転送元となる第1MFP3Aが備える第1制御部20Aについて説明する。第1制御部20Aは、登録部21、情報取得部22、生成部23、転送制御部24、管理部25、及び記憶部28を有している。
【0037】
登録部21は、印刷データの転送先の候補となる1以上のプリンタを登録する。転送先の候補となるプリンタは、第1MFP3Aと情報の送受信が可能に接続され、セキュリティプリント機能を有する装置である。本実施形態では、第2MFP3B及び第3MFP3Cが、転送先の候補となるプリンタであり、登録部21によって登録される。
【0038】
登録部21は、各MFPについて、サポートされている印刷機能及びPDLを登録する。印刷機能として、例えば、両面印刷機能、フィニッシャ機能等が登録される。PDLとして、例えば、PCL、PS等が登録される。また、登録部21は、GDI(Graphic Device Interface)形式をサポートしている場合に、その旨を登録する。すなわち、GDI形式で記述された印刷データ(GDIデータ)をデコードして印刷処理を実行可能なプリンタについては、GDI形式をサポートしている旨が登録される。その他、登録部21は、プリンタの名称、IPアドレス、設置場所等を登録する。
【0039】
転送制御部24は、クライアント装置5から送信された印刷データが受信された際、登録部21に登録された1以上のプリンタへ、印刷データを転送するための制御を行う。
【0040】
転送制御部24は、セキュリティ印刷データを受信した際、このセキュリティ印刷データを識別するためのJobIDを発行し、次にJobIDを付加してセキュリティ印刷データを転送する。なお、後述するように、非セキュリティ印刷データを受信してそれを転送する場合には、転送前にセキュリティ印刷データに変換している。
【0041】
セキュリティ印刷データが転送された後、ユーザのために、第1MFP3A、及び、セキュリティ印刷データが転送されたプリンタの一覧情報が、生成部23によって生成される。生成部23によって生成された一覧情報は、ネットワークI/F18によってクライアント装置5へ送信される。また、生成部23は、セキュリティプリントについて、印刷待ちのプリントジョブの一覧情報を生成する。この一覧情報についても、ネットワークI/F18によってクライアント装置5へ送信される。
【0042】
管理部25は、印刷データが重複して印刷されないように管理する。管理部25は、自機のプリンタ10が印刷を開始した場合、セキュリティ印刷データが転送された第2MFP3B及び第3MFP3Cに、セキュリティ印刷データの削除を指示する削除指示をネットワークI/F18を介して送信する。また、管理部25は、削除指示と共に、印刷データの印刷が完了した旨の印刷完了通知をネットワークI/F18を介して送信する。
【0043】
また、管理部25は、転送先の第2MFP3B及び第3MFP3Cから印刷データの印刷を行うことの許否について問合せが受信された際には、状況に応じてプリント開始OK応答又はプリント開始NG応答を返信する。具体的には、管理部25は、問合せが最初の間合せであり、かつ、第1MFP3Aで印刷が実行されていない場合に、プリント開始OK応答を返信する。一方、管理部25は、問合せが最初の問合せでない場合、又は、第1MFP3Aで印刷が実行されている場合に、プリント開始NG応答を返信する。
【0044】
また、管理部25は、転送先の第2MFP3B及び第3MFP3Cからセキュリティプリントの印刷完了通知が受信された場合、第1制御部20Aが備える記憶部28に記憶されたセキュリティ印刷データを削除する。これにより、不要なデータを削除することができ、また、第1MFP3Aにおいて同じセキュリティプリントが再び実行されることを防止できる。
【0045】
第1制御部20Aは、さらに、セキュリティ判断部35、処理可能性判断部36、セキュリティ変換部37、及び送信先判断部38を有している。セキュリティ判断部35は、印刷データがセキュリティ印刷データか又は非セキュリティデータかを判断する。具体的には、PJLのセキュリティのON/OFFが判断される。処理可能性判断部36は、印刷データを処理可能であるか(例えば、PDLの種類がラスタライズ可能であるか)を判断する。具体的には、PJLのPDLの種類が判断される。セキュリティ変換部37は、非セキュリティデータをセキュリティデータに変換する。具体的には、PJLのセキュリティデータがOFFからONに変更される。送信先判断部38は、他のMFP3が送信先条件を満たすか否かを判断し、次に、判断結果に基づいて送信先のMFPを決定する。
【0046】
(4−2)第2制御部
次に、転送先となる第2MFP3B及び第3MFP3Cが備える第2制御部20Bについて説明する。第2制御部20Bは、記憶部31及び管理部32を備える。
【0047】
記憶部31は、第1MFP3Aから転送されたセキュリティ印刷データをJobIDと関連付けて記憶する。管理部32は、第1MFP3Aから削除指示及び印刷完了通知が受信された場合、記憶部31に記憶されたセキュリティ印刷データを削除する。
【0048】
また、管理部32は、認証情報が第2MFP3Bの操作部14によって受け付けられた場合、認証情報の正否を判断し、正しい場合は、印刷データの印刷を行うことの許否について、問合せを転送元の第1MFP3AへネットワークI/F18を介して送信する。そして、管理部32は、問合せに対して、プリント開始OK応答が返信された場合、該当する印刷データをプリンタ10によって印刷させる。一方、管理部32は、プリント開始NG応答が返信された場合、プリンタ10に印刷を実行させない。
【0049】
(5)グルーピング設定
次に、画像形成システム1における転送元となる第1MFP3A及び転送先となる第2MFP3B及び第3MFP3Cの動作について説明する。最初に、転送元となる第1MFP3Aによる登録処理(複数のMFPを1つのグループとして設定するグルーピング設定)について説明する。登録処理の要求は、ユーザがクライアント装置5を操作して行う場合と、ユーザが第1MFP3Aが備える操作部14を操作して行う場合がある。
【0050】
(5−1)クライアント装置操作によるグルーピング設定
最初に、
図1、
図4及び
図5を参照して、クライアント装置5から送信される要求に応じて行われるグルーピング設定処理について説明する。
図4は、Webグルーピング表示処理を示すフローチャートである。
図5は、Webグルーピング設定処理を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、第1MFP3Aの第1制御部20Aによって実行される。
【0051】
ステップS1では、第1制御部20Aは、ユーザの操作によって、登録可能なプリンタの一覧を要求するHTTP要求が受信されるのを待つ。HTTP要求送信は、ユーザがクライアント装置5を操作することで行われる(
図1のP11A)。
【0052】
ステップS2では、第1制御部20Aは、SRVLOC Attribute Requestを、マルチキャストで複数のプリンタへ送信する(
図1のP12)。SRVLOC Attribute Requestによって、各種の情報を要求することができる。第2MFP3B及び第3MFP3Cは、SRVLOC Attribute Requestを受信し、SRVLOC Attribute Replyを第1MFP3Aへ返信する(
図1のP13)。SRVLOC Attribute Replyには、第2MFP3B及び第3MPF3Cがサポートしている印刷機能及びPDL、加えて、GDI形式をサポートしている場合にその旨、その他、IPアドレス、設置場所等が含まれている。
【0053】
ステップS3では、第1制御部20Aの情報取得部22がSRVLOC Attribute Replyを受信したか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS4に移行し、「No」であればプロセスはステップS5に移行する。
【0054】
ステップS4では、登録部21は、情報取得部22がSRVLOC Attribute Replyを受信した後、SRVLOC Attribute Replyの送信元をプリンタ一覧に追加登録する。例えば、第2MFP3BからSRVLOC Attribute Replyが受信された場合は、第2MFP3Bが登録される。また、生成部23が、SRVLOC Attribute Replyに含まれている情報を用いて、登録可能なプリンタの一覧情報を生成する。その後プロセスはステップS3に戻る。
【0055】
ステップS5では、第1制御部20Aは、受信タイムがアップしたか否かを判断する。すなわち、ステップS2でSRVLOC Attribute Requestが送信されてから所定の時間が経過したか否かが判断される。「Yes」であればプロセスはステップS6に移行し、「No」であればプロセスはステップS3に移行する。
ステップS6では、第1制御部20Aは、ステップS2でSRVLOC Attribute Requestが送信されてから、1以上のSRVLOC Attribute Replyが受信されたか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS7に移行し、「No」であればプロセスはステップS8に移行する。
【0056】
ステップS7では、第1制御部20Aの生成部23は、プリンタ一覧リスト応答データを作成する。プリンタ一覧リスト応答データには、取得した複数のMFPに関する下記のデータが格納されている。
・機器IPアドレス情報
・機器設置場所情報
・機器ユニット情報
・機器対応PDL、GDI情報
【0057】
ステップS8では、第1制御部20Aの生成部23は、エラー応答データを作成する。
ステップS9では、ステップS7から移行してきた場合は、第1制御部20Aは、生成されたプリンタの一覧情報を、上記のプリンタ一覧のHTTP要求に対するHTTP応答として、クライアント装置5へ返信する。これにより、ユーザは、クライアント装置5のディスプレイで、
図6に示す、登録可能なプリンタの一覧が表示された登録画面81(
図6)を見て、登録指示を行うことができる。
図6は、登録時に表示される登録画面の一例を示す図である。登録画面81には、登録可能なプリンタの一覧情報と共に、登録を指示するための設定ボタン82が表示されている。プリンタの一覧情報として、プリンタ名、設置場所、プリンタの詳細情報が表示されている。プリンタの詳細情報として、サポートしている印刷機能及びPDL、GDI形式をサポートしている場合にその旨が表示されている。
また、ステップS9では、ステップS8から移行してきた場合は、第1制御部20Aは、エラーを示すHTTP応答をクライアント装置5へ送信する。この場合は、登録可能なプリンタの情報が得られなかったので、登録は行われない。
【0058】
図5では、Webプリンタグルーピング設定処理が実行される。
ステップS11では、第1制御部20Aは、プリンタの登録を要求するHTTP要求が送信されてくるのを待つ。上記のHTTP要求送信は、ユーザが、クライアント装置5のディスプレイに表示された登録画面81を見て、設定ボタン82をクリックすることにより、行われる。
【0059】
ステップS12では、第1制御部20Aの登録部21が、プリンタ毎に上述した登録内容を登録する。具体的には、SRVLOC Attribute Replyを返信した各プリンタについて、IPアドレス、設置場所、サポートしているPDL及び印刷機能、加えて、GDI形式をサポートしている場合はその旨が、登録部21によって登録される。以上の処理により、クライアント装置5から送信される要求に応じて、本実施形態では第2MFP3B及び第3MFP3Cについて登録が行われる。
【0060】
(5−2)MFP操作によるグルーピング設定
図7を用いて、プリンタグルーピング設定が第1MFP3Aの操作部14によって受け付けられた要求に応じて行われる場合を説明する。
図7は、MFPパネルでのプリンタグルーピング設定を示すフローチャートである。
この実施例では、ユーザが第1MFP3Aを操作してプリンタグルーピング設定を行う。
【0061】
ステップS21では、第1制御部20Aは、登録可能なプリンタの一覧表示の要求をユーザが操作部14から入力する(
図1のP11B)のを待つ。
【0062】
ステップS22〜S28は、先に説明したステップS2〜8と実質的に同じなので、ここでは説明を省略する。
【0063】
ステップS29では、表示部15がプリンタの一覧情報を表示する。これにより、ユーザは、登録可能なプリンタの一覧が表示された登録画面81を見てプリンタグルーピング設定要求を入力できる。
【0064】
ステップS30では、第1制御部20Aは、ユーザが操作部14を操作することでプリンタグルーピング設定要求を入力するのを待つ。
【0065】
ステップS31では、登録部21は、SRVLOC Attribute Replyを返信した各プリンタについて、IPアドレス、設置場所、サポートしているPDL及び印刷機能、加えて、GDI形式をサポートしている場合はその旨を登録する。
【0066】
(6)印刷データの転送
続いて、
図8、
図9、
図10、
図11A及び
図11Bを用いて、第1MFP3Aによる印刷データの転送処理について説明する。
図8は、非セキュリティ印刷データの印刷状況を説明するための模式図である。
図9は、プリントジョブ一覧画面の一例を示す図である。
図10は、プリント機器一覧画面の一例を示す図である。
図11A及び
図11Bは、印刷データ受信転送処理を示すフローチャートである。
【0067】
図11AのステップS41では、第1制御部20Aの転送制御部24は、クライアント装置5から印刷データが送信されてくるのを待つ。印刷データが送信されれば、プロセスはステップS42に移行する。
【0068】
印刷データの送信は、ユーザがクライアント装置5のディスプレイに表示された情報を見ながら、実行される。以下、
図9及び
図10を用いて、クライアント装置5における表示情報を説明する。
図9は、プリントジョブ一覧画面の一例を示す図である。
図10は、プリント機器一覧画面の一例を示す図である。
【0069】
図9において、プリントジョブ一覧の一覧画面83が示されている。一覧画面83は、クライアント装置5によって表示される画面の一例である。一覧画面83には、プリントジョブの一覧情報が含まれている。
図9の例では、印刷データのファイル名が「TestPrint」のプリントジョブが表示されている。このプリントジョブを、ユーザがダブルクリック等で指定することにより、
図10に示す画面がクライアント装置5に表示される。
【0070】
図10においては、プリント機器一覧画面84の一例が示されている。プリント機器一覧画面84には、第1MFP3A、及び、セキュリティ印刷データが転送されたMFP(第2MFP3B、第3MFP3C)の一覧情報が含まれている。この一覧情報は、ファイル名が「TestPrint」の印刷データについて、セキュリティプリントを行うことが可能なMFPを示している。
図10の例では、プリンタ名「V−1111」,「V−1112」,「V−1113」の3台のMFPが、転送元の第1MFP3A及び転送先の第2MFP3B及び第3MFP3Cに相当する。ユーザは、このプリント機器一覧画面84を見て、セキュリティプリントを実行するMFPを選択できる。
【0071】
ステップS42では、転送制御部24の処理可能性判断部36は、第1MFP3Aが受信印刷データをサポートしているか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS43に移行し、「No」であればプロセスはステップS45に移行する。
【0072】
ステップS43では、転送制御部24のセキュリティ判断部35は、受信印刷データがセキュリティ印刷データであるか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS44に移行し、「No」であればプロセスはステップS53に移行する。
【0073】
ステップS44では、受信印刷データは「サポート・非セキュリティ」印刷データであるので、第1制御部20Aのラスタデータ生成部(図示せず)がPJLデータ及びPDLデータが解析し、さらにPDLデータをイメージデータに変換する。その結果、第1MFP3Aにおいて印刷が実行される。
以上のステップS42〜ステップS44の処理により、「サポート・非セキュリティ」印刷データが、第1MFP3Aにおいて印刷される。
【0074】
以下、ステップS45〜ステップS52における、「非サポート」データの転送処理を説明する。
ステップS45では、第1制御部20Aは、登録部21によって登録されたMFPがあるか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS46に移行し、「No」であればプロセスは終了する。この場合、印刷データの転送は行われない。
ステップS46では、は、第1制御部20Aは、JobIDを生成する。
【0075】
ステップS47では、転送制御部24の送信先判断部38は、受信した印刷データのPDLをサポートしている転送先の候補のプリンタが1台でもあるか否かを判断する。すなわち、転送先の候補のプリンタについて、受信した印刷データのPDLが登録部21によって登録されているか否かが判断される。「Yes」であればプロセスはステップS43に移行し、「No」であればプロセスは終了する。
【0076】
以上に述べたように、送信先判断部38は、機能情報に基づいて1又は複数の他の画像形成装置が送信先条件を満たすか否かを判断し、次に、判断結果に基づいて送信先の画像形成装置を決定する。なお、この実施形態では、送信先条件が満たされる全ての画像形成装置が送信先に決定される。
【0077】
ステップS48では、転送制御部24のセキュリティ判断部35は、受信印刷データがセキュリティデータであるか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS51に移行し、「No」であればプロセスはステップS49に移行する。ステップS48で「Yes」となるのは、受信印刷データが「非サポート・セキュリティ」印刷データの場合である。したがって、ステップS49とステップS50はスキップされる。
【0078】
ところで、ステップS48で「No」の場合は、クライアント装置5が「非サポート・非セキュリティ」印刷データを第1MFP3Aにした場合である(
図8のP21)。したがって、その場合に、ステップS49及びステップS50では、「非サポート・非セキュリティ」データのセキュリティ変換がセキュリティ変換部37によって行われる(
図8のP22)。つまり、ステップS49において、非セキュリティ印刷データのセキュリティプリントに関する属性情報が書き換えられる(PJLにおけるセキュリティプリントがOFFからONに変更される)。さらにステップS50において、第1MFP3Aの記憶部28に保存されているシステム認証情報(システムユーザ情報とシステムパスワード情報)が印刷データに付加記載される。
【0079】
ここで付加されるシステム認証情報は、第1MFP3Aに予め登録されているシステムユーザ情報とシステムパスワード情報である。つまり、複数のユーザが共通に使用する共通認証情報であるので、ユーザに対して認証情報の入力を新たに要求する必要がない。その結果、ユーザにとって画像形成システム1の利便性が向上している。
【0080】
ステップS51では、転送制御部24は、セキュリティ印刷データ(JobID、PJLデータ及びPDLデータ)を、ネットワークI/F18を介して、該当するMFPに送信する。この実施例では、第2MFP3B及び第3MFP3Cにセキュリティ印刷データが転送される(
図8のP23)。なお、ここで扱うセキュリティ印刷データは、「非サポート・セキュリティ」印刷データとして受信した印刷データと、「非サポート・非セキュリティ」印刷データとして受信された後にセキュリティ変換された印刷データとを含んでいる。
【0081】
ステップS52では、転送制御部24は、全転送先MFPにデータを送信したか否かを判断する。「Yes」であればプロセスは終了し、「No」であればプロセスはステップS48に戻る。
【0082】
以上のステップS49〜ステップS52の処理により、「非サポート・非セキュリティ」印刷データはセキュリティ印刷データに変換されてから、セキュリティ印刷データとして他のMFPに転送される。
図8を用いておいて、ユーザがクライアント装置5から印刷指示を第1MFP3Aに送信した(
図8のP21)後の動作を説明する。第1MFP3Aは、セキュリティ印刷データを第2MFP3B及び第3MFP3Cに送信した後に、クライアント装置5に対してデータ転送先のMFPをブラウザによって表示させる。また、第1MFP3Aは、表示部15にデータが転送されたMFPを表してもよい。これにより、ユーザは、第1MFP3Aに行った場合でも、その後すぐに第2MFP3Bに向かうことができる。ユーザMは、上記情報に基づいてクライアント装置5から例えば第2MFP3Bに移動して(
図8のM1)、認証情報及び印刷指示を入力する(
図8のP24)。すると、第2MFP3Bが第1MFP3Aに対してプリント開始要求を送信する(
図8のP25)。そして、第1MFP3Aが第2MFP3Bに対してプリント開始OKを送信する(
図8のP26)。すると、第2MFP3Bが印刷処理を実行する(
図8のP27)。さらに、第2MFP3Bは、データ削除要求を第1MFP3Aに送信する(
図8のP28)。第1MFP3Aは、データの削除指令を第3MFP3Cに送信する(
図8のP29)。
【0083】
さらに、以上に述べたように、送信先判断部38は、送信先条件を満たす複数の他の画像形成装置があると判断すれば、送信先条件を満たす複数の他の画像形成装置に印刷データを送信する。そのため、ユーザが印刷物を取り出す際の利便性が向上している。
【0084】
以上より、非セキュリティ印刷データが最初に指定された画像形成装置で処理不可能な場合は、非セキュリティ印刷データは、セキュリティ印刷データに変換された上で、他の画像形成装置に転送される。したがって、最初に指定した画像形成装置以外の画像形成装置では非セキュリティで印刷されることが好ましくない非セキュリティ印刷データが、機密を保ったまま印刷される。例えば、第1MFP3Aが
図10に示すプリンタV−1111であって、第2MFP3BがプリンタV−1112であって、第3MFP3CがプリンタV−1113であった場合、4階のソフトウェア部署で働いているユーザは、通常は、第
1MFP3Aを用いて印刷を行っている。そして、同じ部署の人にとっては機密ではない文書は、非セキュリティ印刷データとして送信される。しかし、その印刷データが第1MFP3Aにおいて処理不可能である場合は、その印刷データは4階の技術管理部署にある第2MFP3B及び5階の総務部署に送信される。したがって、ユーザはいずれかのMFPに行って、認証情報等を入力することで印刷できる。つまり、本実施形態では印刷物はセキュリティ文書として送信されているので、4階の技術管理部署又は5階の総務部署のメンバーが当該文書を見ることはできない。
【0085】
以下、
図11BのステップS53〜ステップS58における、「サポート・セキュリティ」データの転送処理を説明する。
ステップS53では、第1制御部20AがJobIDを生成する。また、セキュリティ印刷データに含まれる印刷データ及び認証情報が、記憶部28に記憶される。
【0086】
ステップS54では、「サポート・セキュリティ」印刷データであるので、第1制御部20Aは、PJLデータ及びPDLデータを解析し、その結果PDLデータをイメージデータに変換する。さらに、第1制御部20Aは、イメージデータをFAX符号で圧縮し、記憶部28に保存する。
【0087】
ステップS55では、第1制御部20Aは、登録部21によって登録されたMFPがあるか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS56に移行し、「No」であればプロセスは終了する。この場合、印刷データの転送は行われない。
【0088】
ステップS56では、転送制御部24の送信先判断部38は、受信した印刷データのPDLをサポートしている転送先の候補のMFPが1台でもあるか否かを判断する。すなわち、転送先の候補のプリンタについて、受信した印刷データのPDLが登録部21によって登録されているか否かが判断される。「Yes」であればプロセスはステップS57に移行し、「No」であればプロセスは終了する。
【0089】
ステップS57では、転送制御部24は、セキュリティ印刷データ(JobID、PJLデータ及びPDLデータ)を、ネットワークI/F18を介して該当するMFPプリンタに送信する。
ステップS58では、第1制御部20Aは、全転送先MFPにデータを送信したか否かを判断する。「Yes」であればプロセスは終了し、「No」であればプロセスはステップS57に戻る。
【0090】
以上のステップS53〜ステップS58の処理により、「サポート・セキュリティ」印刷データが他のMFPに転送される。
【0091】
(7)転送先プリンタにおけるセキュリティプリント
図12を用いて、転送先の第2MFP3
Bがセキュリティプリントを実行する際の処理について説明する。
図12は、セキュリティ印刷データ転送先のプリント処理を示すフローチャートである。本処理は、第2MFP3Bの第2制御部20Bによって実行される。
【0092】
ステップS61では、第2制御部20Bは、選択されたJobIDと、正しい認証情報(ユーザID、パスワード)が、ユーザによって入力される(
図8のP24)のを待つ。
【0093】
ステップS62では、第2制御部20Bの管理部32は、セキュリティプリントを行うことの許否についての問合せを、転送元の第1MFP3Aに送信する(
図8のP25)。
【0094】
ステップS63では、第2制御部20Bの管理部32は、プリント開始OK応答が受信されたか否か(プリント開始NG応答が受信されたか)を判断する。「Yes」であれば(
図8のP26)プロセスはステップS64に移行し、「No」であればプロセスはステップS70に移行する。
ステップS70では、第2制御部20Bは、他のMFPによりセキュリティプリントが既に実行されている旨を表示部15に表示する。
【0095】
ステップS64では、第2制御部20Bは、印刷対象である印刷データがPDLデータか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS65に移行し、「No」であればプロセスはステップS71に移行する。
【0096】
ステップS65では、第2制御部20Bは、PDLデータ1頁分をラスタライズ処理(解析・展開)し、イメージデータを生成する。
ステップS66では、プリンタ10は、イメージデータ1頁分を印刷する(
図8のP27)。
ステップS67では、第2制御部20Bは、受信印刷データについて、全てのページが印刷されたか否かを確認する。「No」であればプロセスはステップS65に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS68に移行する。
【0097】
ステップS71では、第2制御部20Bは、GDIデータ1頁分をデコード処理して、イメージデータを生成する。
ステップS72では、プリンタ10が、イメージデータ1頁分を印刷する(
図8のP27)。
ステップS73では、第2制御部20Bは、受信印刷データについて、全てのページが印刷されたか否かを確認する。「No」であればプロセスはステップS71に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS68に移行する。
【0098】
ステップS68では、第2制御部20Bの管理部32は、記憶部31に記憶されたセキュリティ印刷データがJobID、ユーザ情報、ユーザパスワードとともに削除する。
ステップS69では、第2制御部20Bの管理部32は、印刷完了通知及びデータ削除要求を、ネットワークI/F18を介して転送元の第1MFP3Aへ送信する(
図8のP28)。
以上の処理により、転送先の第2MFP3Bにおいてセキュリティプリントが行われる。
【0099】
(8)セキュリティ印刷データの転送元管理処理
図13を用いて、セキュリティ印刷データの転送元管理処理を説明する。
図13は、セキュリティ印刷データ転送元管理処理を示すフローチャートである。
ステップS81では、第1制御部20Aの管理部25は、転送先の第2MFP3Bから、セキュリティプリントを行うことの許否について問合せが受信されたか否かを判断する。「Yes」であれば(
図8のP25)、プロセスはステップS83に移行し、「No」であればプロセスはステップS82に移行する。
ステップS82では、第1制御部20Aの管理部25は、転送先の第2MFP3Bから削除指示を受信したか否かを判断する。「Yes」であれば(
図8のP28)、プロセスはステップS86に移行し、「No」であればプロセスはステップS81に戻る。
【0100】
ステップS83では、第1制御部20Aの管理部25は、画像形成システム1において印刷が開始済みか否かを判断する。自機で印刷が行われた場合、及び、既に別の問合せに対して許可応答が返信されている場合は、印刷が開始済みであると判断される。「Yes」であればプロセスはステップS85に移行し、「No」であればプロセスはステップS84に移行する。
【0101】
ステップS84では、第1制御部20Aの管理部25は、問合せが最初の問合せであり、かつ、自機で印刷が実行されていない場合に、プリント開始要求を送信してきたMFPに対してプリント開始OK応答を返信する(
図8のP26)。
【0102】
ステップS85では、第1制御部20Aの管理部25は、問合せが最初の問合せでない場合、又は、自機で印刷が実行されている場合に、プリント開始要求を送信してきたMFPに対してプリント開始NG応答を返信する。
ステップS86では、第1制御部20Aの管理部25は、印刷完了通知及び削除指示を、通知元の第2MFP3B以外のMFPである第3MFP3Cへ送信する。(
図8のP29)。また、第1制御部20Aの管理部25は、記憶部28から、該当するセキュリティ印刷データを削除する。
【0103】
ステップS87では、第1制御部20Aの管理部25は、印刷完了通知及び削除指示が、該当する全てのMFPへ送信されたか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS81に戻り、「No」であればプロセスはステップS86に戻る。
以上のステップS81〜ステップS87の処理により、画像形成システム1内でセキュリティプリントが重複して行われることを防止できる。
【0104】
(9)転送元MFPにおけるセキュリティプリント
次に、
図14を参照して、転送元の第1MFP3Aがセキュリティプリントを実行する際の処理について説明する。
図14は、セキュリティ印刷データ転送元プリント処理を示すフローチャートである。本処理は、第1MFP3Aの第1制御部20Aによって実行される。
ステップS91では、第1制御部20Aは、選択されたJobIDと、正しい認証情報(ユーザID、パスワード)が、ユーザによって入力されるのを待つ。
【0105】
ステップS92では、第1制御部20Aは。セキュリティプリントが他のMFPで印刷されているか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS99に移行し、「No」であればプロセスはステップS93に移行する。
【0106】
ステップS99では、第1制御部20Aは、他のMFPによりセキュリティプリントが既に実行されている旨を表示部15に表示する。
ステップS93では、第1制御部20Aは、印刷対象である印刷データがPDLデータか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS94に移行し、「No」であればプロセスはステップS100に移行する。
【0107】
ステップS94では、第1制御部20Aは、PDLデータ1頁分をラスタライズ処理(解析・展開)し、それによりイメージデータを生成する。
ステップS95では、プリンタ10は、イメージデータ1頁分を印刷する。
ステップS96ででは、第1制御部20Aは、受信印刷データについて、全てのページが印刷されたか否かを確認する。「No」であればプロセスはステップS94に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS97に移行する。
【0108】
ステップS100では、第1制御部20Aは、GDIデータ1頁分のデコード処理を行う。
ステップS101では、プリンタ10は、イメージデータ1頁分を印刷する。
ステップS102では、第1制御部20Aは、受信印刷データについて、全てのページが印刷されたか否かを確認する。「No」であればプロセスはステップS100に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS97に移行する。
【0109】
ステップS97では、第1制御部20Aの管理部25は、セキュリティ印刷データをJobID、ユーザ情報、ユーザパスワードとともに削除する。
ステップS98では、第1制御部20Aの管理部25は、JobIDとともに、印刷完了通知及びデータ削除要求を、ネットワークI/F18を介して転送先の第2MFP3B及び第3MFP3Cへ送信する。
以上の処理により、転送元の第1MFP3Aにおいてセキュリティプリントが行われる。
【0110】
(10)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)第1MFP3Aは、LAN4を介してクライアント装置5及び第
1MFP3A及び第2MFP3Bに接続されている。第1MFP3Aは、ネットワークI/F18(送信部・受信部)と、処理可能性判断部36と、プリンタ10(プリント部)と、セキュリティ判断部35と、セキュリティ変換部37と、を備えている。ネットワークI/F18は、クライアント装置5から送信されてきた印刷データを受信可能である。処理可能性判断部36は、印刷データを処理可能であるか否かを判断する。プリンタ10は、印刷データが処理可能であると判断されれば、印刷データを印刷する。セキュリティ判断部35は、印刷データがセキュリティ印刷データであるか又は非セキュリティ印刷データであるかを判断する。セキュリティ変換部37は、印刷データが非セキュリティ印刷データであると判断され、さらに印刷データが処理不可能であると判断されれば、印刷データを非セキュリティ印刷データからセキュリティ印刷データに変換する。ネットワークI/F18は、セキュリティ印刷データに変換された印刷データを、第2MFP3B及び第3MFP3Cに送信する。
【0111】
この場合、非セキュリティ印刷データであってしかも処理不可能な印刷データが送信されてくると、処理可能性判断部36が印刷データを処理不可能であると判断し、さらにセキュリティ判断部35が印刷データを非セキュリティ印刷データであると判断する。その結果、セキュリティ変換部37は、印刷データを非セキュリティ印刷データからセキュリティ印刷変換データに変換する。そして、ネットワークI/F18は、セキュリティ印刷データに変換された印刷データを、第2MFP3B及び第3MFP3Cに送信する。
【0112】
以上より、非セキュリティ印刷データが最初に指定された画像形成装置で処理不可能な場合は、非セキュリティ印刷データは、セキュリティ印刷データに変換された上で、他の画像形成装置に転送される。したがって、最初に指定した画像形成装置以外の画像形成装置では非セキュリティで印刷されることが好ましくない非セキュリティ印刷データが、機密を保ったまま印刷される。
【0113】
(B)画像形成方法は、ネットワークを介してクライアント装置5及び第2MFP3B及び第3MFP3Cに接続された第1MFP3Aが実行する。画像形成方法は以下のステップを備えている。
◎クライアント装置5から送信されてきた印刷データを受信するステップ(
図11AのステップS41)
◎クライアント装置5から送信されてきた印刷データを処理可能であるか否かを判断するステップ(
図11AのステップS42)
◎印刷デー
タが処理可能であると判断されれば、印刷データを印刷するステップ(
図11AのステップS44)
◎印刷デー
タがセキュリティ印刷データであるか又は非セキュリティ印刷データであるかを判断するステップ(
図11AのステップS48)
◎印刷データが非セキュリティ印刷データであると判断され、さらに印刷データが処理不可能であると判断されれば、印刷データを非セキュリティ印刷データからセキュリティ印刷データに変換するステップ(
図11AのステップS49,S50)
◎セキュリティ印刷データに変換された印刷データを、第2MFP3B及び第3MFP3Cに送信するステップ(
図11AのステップS51)
【0114】
この方法では、非セキュリティ印刷データであって処理不可能な印刷データが送信されてくると、印刷データが処理不可能であると判断され、さらに印刷データが非セキュリティ印刷データであると判断される。その結果、印刷データは非セキュリティ印刷データからセキュリティ印刷変換データに変換される。そして、セキュリティ印刷データに変換された印刷データは、他の画像形成装置に送信される。
【0115】
以上より、非セキュリティ印刷データが最初に指定された画像形成装置で処理不可能な場合はセキュリティ印刷データに変換された上で、他の画像形成装置に転送される。したがって、最初に指定した画像形成装置以外の画像形成装置では非セキュリティで印刷されることが好ましくない非セキュリティ印刷データが、機密を保ったまま印刷される。
【0116】
(11)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0117】
(A)
図15〜
図18を用いて、ユーザが第1MFP3Aにおいて印刷日時を指定して、それによりユーザが第2MFP3Bにおいて印刷物を取得する実施形態を説明する。
図15は、他の実施形態における非セキュリティ印刷データの印刷状況を説明するための模式図である。
図16は、他の実施形態における、セキュリティ印刷データ転送元プリント指示処理を示すフローチャートである。
図17A及び
図17Bは、他の実施形態における、セキュリティ印刷データ転送先プリント指示処理を示すフローチャートである。
最初に、前記実施形態で説明された
図11A及び
図11BのステップS41〜S58が実行される。これにより、第1MFP3Aから第2MFP3Bに「非サポート・非セキュリティ」印刷データが送信され(
図15のP31)、次に第2MFP3Bにおいて非セキュリティ印刷データがセキュリティ印刷データに変換される(
図15のP32)。そして、「非サポート・セキュリティ」印刷データは、第2MFP3B及び第3MFP3Cに転送される(
図15のP33)。また、この実施例では、前記実施形態における
図13に示す処理も実行される。
【0118】
図16を用いて、セキュリティ印刷データについて転送元プリント指示処理を説明する。
【0119】
ステップS111では、第1制御部20Aは、選択されたJobIDと、正しい認証情報(ユーザID、パスワード)が、ユーザによって入力される(
図15のP34)のを待つ。
【0120】
ステップS112では、第1制御部20Aは、印刷実行指示及び印刷を実行するMFP指示が、ユーザによって入力される(
図15のP34)のを待つ。この実施例では、第2MFP3Bが選択されたとする。
ステップS113では、第1制御部20Aは、セキュリティ印刷データの印刷実行日時が、ユーザによって操作部14から入力される(
図15のP34)のを待つ。
【0121】
ステップS114では、第1制御部20Aは、JobID、ユーザ情報、ユーザパスワード情報、プリント日時情報を、ネットワークI/F18を介して第2MFP3Bに送信する(
図15のP35)。
ステップS115では、第1制御部20Aは、第2MFP3Bからエラー通知を受信したか否かを判断する。「No」であればプロセスは終了し、「Yes」であればプロセスはステップS116に移行する。
ステップS116では、第1制御部20Aは、表示部15にプリント指示エラーを表示する。
【0122】
図17A及び
図17Bを用いて、転送先の第2MFP3
Bがセキュリティプリントを実行する際の処理について説明する。
図17A及び
図17Bは、セキュリティ印刷データ転送先のプリント処理を示すフローチャートである。本処理は、第2MFP3Bの第2制御部20Bによって実行される。
【0123】
ステップS121では、第2制御部20Bは、JobID、ユーザ情報、ユーザパスワード情報が送信されてくる(
図15のP35)のを待つ。
【0124】
ステップS122では、第2制御部20Bの管理部32は、セキュリティプリントを行うことの許否についての問合せを、転送元の第1MFP3Aに送信する(
図15のP36)。
【0125】
ステップS123では、第2制御部20Bの管理部32は、プリント開始OK応答が受信されたか否か(プリント開始NG応答が受信されたか)を判断する。「Yes」であれば(
図8のP37)プロセスはステップS124に移行し、「No」であればプロセスはステップS132に移行する。
ステップS132では、第2制御部20Bの管理部32は、第1MFP3Aに対して、他のMFPによりセキュリティプリントが既に実行されている旨を通知する。
【0126】
ステップS124では、第2制御部20Bの管理部32は、第1MFP3Aに対してプリント指示OK通知を送信する(
図15のP38)。
ステップS125では、第2制御部20Bは、指定された印刷日時になるのを待つ。
【0127】
ステップS126では、第2制御部20Bは、印刷対象である印刷データがPDLデータか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS127に移行し、「No」であればプロセスはステップS133に移行する。
【0128】
ステップS127では、第2制御部20Bは、PDLデータ1頁分をラスタライズ処理(解析・展開)し、それによりイメージデータを生成する。
ステップS128では、プリンタ10は、イメージデータ1頁分を印刷する(
図15のP39)。
ステップS129ででは、第2制御部20Bは、受信印刷データについて、全てのページが印刷されたか否かを確認する。「No」であればプロセスはステップS127に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS130に移行する。
【0129】
ステップS133では、第2制御部20Bは、GDIデータ1頁分のデコード処理を行い、それによりイメージデータを生成する。
ステップS134では、プリンタ10は、イメージデータを印刷する(
図15のP39)。
ステップS135では、受信印刷データについて、全てのページが印刷されたか否かの確認が行われる。「No」であればプロセスはステップS133に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS130に移行する。
【0130】
ステップS130では、第2制御部20Bの管理部32は、記憶部31に記憶されたセキュリティ印刷データをJobID、ユーザ情報、ユーザパスワードとともに削除する。
ステップS131では、第2制御部20Bは、印刷完了通知及びデータ削除要求を、ネットワークI/F18を介して転送元の第1MFP3Aに送信する(
図15のP40)。
以上の処理手順により、転送先の第2MFP3Bにおいてセキュリティプリントが行われる。
【0131】
以上の処理により、「非サポート・非セキュリティ」印刷データは、セキュリティ印刷データに変換されてから、他のMFPに転送される。
図15を用いて、ユーザがクライアント装置5から印刷指示を第1MFP3Aに送信した後の動作を説明する。第1MFP3Aは、セキュリティ印刷データを第2MFP3B及び第3MFP3Cに送信した後に、クライアント装置5に対してデータ転送先のMFPをブラウザによって表示させる。また、第1MFP3Aは、表示部15にデータが転送されたMFPを表してもよい。これにより、ユーザは、第1MFP3Aに行った場合でも、その後すぐに第2MFP3Bに向かうことができる。ユーザMは、上記情報に基づいて、
図15に示すように、クライアント装置5から第1MFP3
Aに移動して(
図15のM2)、転送先のMFPを確認した後に、認証情報及び印刷指示の入力を行う(
図15のP34)。すると、それら情報が第2MFP3Bに送信される(
図15のP35)。続いて、第2MFP3Bが第1MFP3Aに対してプリント開始要求を送信する(
図15のP36)。そして、
第1MFP3Aが第2MFP3Bに対してプリント開始OKを送信し(
図15のP37)、次に第2MFP3Bが第
1MFP3Aに対してプリント指示OKを送信する(
図15のP38)。最後に、第2MFP3Bが指定時刻に印刷処理を実行する(
図8のP27)。ユーザMは、指定印刷時刻より前に第1MFP3Aから第2MFP3Bに移動し(
図15のM3)、第2MFP3Bで印刷物を取得する。
この装置では、ユーザは、新たな画像形成装置(この実施形態では、第2MFP3B)を指定して、さらに印刷開始時刻も設定する。そして、ユーザは、新たに指定された画像形成装置の場所に行って、そこで印刷物を取得する。新たに指定した画像形成装置では印刷開始時刻より前に印刷が行われることはないので、ユーザは指定時刻前に新たに指定された画像形成装置に到着することで、他人に印刷物を見られることを防止できる。
【0132】
(B)第1MFP3Aは、セキュリティ変換部37によるセキュリティ変換の有無を設定する変換設定部(図示せず)をさらに備えていてもよい。これにより、ユーザは非セキュリティ印刷データをセキュリティ印刷データに変換することなく他の画像形成装置に送るように設定を変更できる。
【0133】
(C)前記実施形態では認証情報は複数のユーザが共通に使用する共通認証情報であったが、認証情報は各ユーザに個別に与えられるユニークなものでもよい。
【0134】
(D)前記実施形態では、転送先の第2MFP3Bがセキュリティプリントを実行する際に問合せを転送元の第1MFP3Aへ送信した。しかし、この問合せ送信は行われなくてもよい。
【0135】
(E)また、上記では、本発明の画像形成装置の実施形態として、画像形成装置が搭載されたMFP3について説明したが、本発明の画像形成装置の実施形態としては、プリンタ機能を備えていればよく、その他のスキャナ、FAX等の機能を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態では、認証情報の入力は、操作部14を構成する操作パネルを介して行われることとしたが、認証情報の入力は、ICカード等で行うことができるように構成されていてもよい。