【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
ただし、実施例AおよびBは、参考例に該当する。なお、特に断りがない限り、「部」は、「質量部」を意味する。
【0092】
<ポリアルファオレフィン>
本実施例では、表1で示す市販のポリアルファオレフィンを用いた。表1に、市販のポリアルファオレフィンの商品名と共に、その組成(単量体(オレフィン系炭化水素)の重合比、重量平均分子量Mw)を示す。
【0093】
【表1】
【0094】
<<実施例A>>
<実施例A1>
[芯体]
ロール部材の芯体は、引き抜き加工にて直径8mmの円筒状棒を長さ330mmに切断後に、厚み8μmの無電解ニッケルメッキを施したものを用いた。
【0095】
[弾性層ゴム組成]
・ゴム材料 ・・・・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、商品名「CG102」、ダイソー社製)
・ポリアルファオレフィン ・・・・・・15質量部
(商品名「RT2585」:REXtac社製)
・酸化亜鉛 ・・・・・5質量部
(商品名「酸化亜鉛2種」:正同化学工業社製)
・ステアリン酸 ・・・・・1質量部
(商品名「ステアリン酸S」:花王社製)
・カーボンブラック ・・・・5質量部
(商品名「Printex35」、デグサ社製、DBP吸油量42ml/100g)
・シリカ ・・・・40質量部
(商品名「NipsilRS−150」、東ソー・シリカ社製)
・イオン導電剤 ・・・・1質量部
(アルキルトリメチルアンモニウムパークロレート、商品名「LXN−30」ダイソー社製)
・加硫剤 ・・・・1質量部
(商品名「金華印微粉硫黄200メッシュ」、鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤 ・・2質量部
(商品名「ノクセラーDM」、大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤 ・・0.5質量部
(商品名「ノクセラーTET」、大内新興化学工業社製)
【0096】
[ゴム組成物の調製]
上記ゴム組成の混合物を、接線式加圧ニーダー((株)モリヤマ製:実容量75L)を用いて混練して、未加硫のゴム組成物を調製した。
詳細には、加圧ニーダーのジャケット、加圧蓋、ローターを循環水により20℃にし、加圧蓋の圧力を0.6MPaでゴム材料を素練りし、酸化亜鉛を混練後、ステアリン酸及びカーボンブラックを投入混練し、イオン導電剤及びシリカを投入して混練した。さらに、22インチオープンロールでシート状に切り出し冷却後、再び加圧ニーダーで、加硫剤及び加硫促進剤を加えて混練し、22インチオープンロールでシート状に切り出し、未加硫のゴム組成物を得た。
【0097】
[ロール部材の作製]
シリンダー内径60mm、L/D20の1軸ゴム押出し機を用いてスクリュー回転25rpmで未加硫のゴム組成物を押出すとともに、同時に芯体を連続的にクロスヘッドを通過させることにより、芯体上に未加硫のゴム組成物を被覆した。押出し機の温度条件設定は、シリンダー部、スクリュー部、ヘッド部、ダイ部のいずれとも90℃とした。
押出成形後、未加硫状態で、層状に被覆したゴム組成物を芯体端部から15mmをカットし、オーブンにて160℃で90分間加硫し、弾性層を形成し、ロール部材を得た。
【0098】
[ブリード性評価用試料の作製]
別途、シート状の試料を作製した。詳細には、未加硫のゴム組成物を2mm×150mm×230mmの金型に注入し、この金型を160℃で40分間加熱してゴム組成物を加硫し、シート状の試料を作製した。これを、ブリード性評価用試料とした。
【0099】
<実施例A2>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を1質量部配合する以外は、実施例A1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0100】
<実施例A3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を40質量部配合する以外は、実施例A1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0101】
<実施例A4>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2115」)に変更する以外は、実施例A2と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0102】
<実施例A5>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2115」)に変更する以外は、実施例A3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0103】
<実施例A6>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(商品名「RT2780」)に変更する以外は、実施例A2と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0104】
<実施例A7>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2780」)に変更する以外は、実施例A3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0105】
<実施例A8>
ゴム材料をNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム、商品名「DN3355」日本ゼオン社製)に変え、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部にした以外は、実施例A1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0106】
<実施例A9>
ゴム材料をEPDM(エチレンプロピレンターポリマー、商品名「EPT4021」三井化学社製)に変え、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部にした以外は、実施例A1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
<比較例A1>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を配合しないこと以外は、実施例A1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
<比較例A2>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を軟化剤(パラフィン系プロセスオイル、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」、出光興産社製)に置き換えたこと以外は、実施例A1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
<比較例A3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を可塑剤(アジピン酸エーテルエステル系可塑剤、商品名「RS107」、旭電化工業社製)に置き換えたこと以外は、実施例A1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料も得た。
【0107】
<評価>
各例について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0108】
[ダイスウェルの測定]
ゴム押出機を用いて、芯体を通さず、スラブゴムを押出し、ダイの口径に対する膨張する割合を測定した。
・ダイスウェルの測定方法
スラブゴムを約1m切り取り、試験室環境下で1日静置後、スラブゴムの長さ及び質量を測定し、下式より断面積の変化率を測定した。
式:DS(%)=(W/(lρS
0)−1)×100
(式中、DSはダイスウェル、Wはスラブゴムの質量(単位g)、lはスラブゴムの長さ(単位cm)、ρはスラブの比重、S
0はダイの断面積(単位cm
2)
−評価基準−
◎:30%以下
○:30%超え40%以下
△:40%超え50%未満
×:50%以上
【0109】
[弾性層の端部はね量の測定]
レーザー外径測定器により、ロール部材の軸方向に外径を測定し、弾性層の端部(ロール部材軸方向端部)が収縮により反り上がる大きさを、ロール部材の軸方向端部外径と軸方向中央部の外径との差とにより評価した。
−評価基準−
◎:500μm以下
○:500μmを超え700μm以下
△:700μmを超え900μm未満
×:900μm以上
【0110】
[ブリード性の評価]
室温45℃湿度90%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料を宙吊りにし、7日間放置したのち、室温23℃湿度50%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料表面にけい砂(6号)をふりかけ、刷毛で軽く払いのけた後、ブリード性評価用試料表面に付着したけい砂の面積(けい砂の付着率)で、表面へのブリード性を評価した。
−評価基準−
◎:0%以上15%未満
○:15%以上30%未満
△:30%以上45%未満
×:45%以上
【0111】
[弾性層の表面粗さの測定]
ロール部材表面(弾性層表面)について、粗さ測定装置(SURFCOM1500DX−12:東京精密計測社)を用いて表面粗さRzを周方向測定しその平均値とした。
なお、表面の粗さRzは、上記測定装置を用い、JISB0601−1994に従って、ロール部材の軸方向について、測定長4.0mm、カットオフ値0.8、測定速度0.30mm/secの条件で、ロール部材の軸方向両端部から5mmの位置、および、軸方向両端部5mmの位置を基準に3等分した軸方向中央部分の3箇所について測定し、その平均値とした。
−評価基準−
◎:粗さRzが10μm未満、
○:粗さRzが10μm以上15μm未満、
△:粗さRzが15μm以上20μm未満、
×:粗さRzが20μm以上。
【0112】
【表2】
【0113】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、ダイスウェル、弾性層のゴム収縮によるは端部はね量、ブリード性に優れていることがわかる。
【0114】
<<実施例B>>
<実施例B1>
[芯体]
ロール部材の芯体は、引き抜き加工にて直径8mmの円筒状棒を長さ330mmに切断後に、厚み8μmの無電解ニッケルメッキを施したものを用いた。
[弾性層ゴム組成]
・ゴム材料 ・・・・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、商品名「CG102」、ダイソー社製)
・ポリアルファオレフィン ・・・・・・15質量部
(商品名「RT2585」:REXtac社製)
・酸化亜鉛 ・・・・・5質量部
(商品名「酸化亜鉛2種」:正同化学工業社製)
・ステアリン酸 ・・・・・1質量部
(商品名「ステアリン酸S」:花王社製)
・カーボンブラック ・・・・5質量部
(商品名「Printex35」、デグサ社製、DBP吸油量42ml/100g)
・シリカ ・・・・40質量部
(商品名「NipsilRS−150」、東ソー・シリカ社製)
・イオン導電剤 ・・・・1質量部
(アルキルトリメチルアンモニウムパークロレート、商品名「LXN−30」ダイソー社製)
・加硫剤 ・・・・1質量部
(商品名「金華印微粉硫黄200メッシュ」、鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤 ・・2質量部
(商品名「ノクセラーDM」、大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤 ・・0.5質量部
(商品名「ノクセラーTET」、大内新興化学工業社製)
【0115】
[ゴム組成物の調製]
上記ゴム組成の混合物を、接線式加圧ニーダー((株)モリヤマ製:実容量75L)を用いて混練して、未加硫のゴム組成物を調製した。
詳細には、加圧ニーダーのジャケット、加圧蓋、ローターを循環水により20℃にし、加圧蓋の圧力を0.6MPaでゴム材料を素練りし、酸化亜鉛を混練後、ステアリン酸及びカーボンブラックを投入混練し、イオン導電剤及びシリカを投入して混練した。さらに、22インチオープンロールでシート状に切り出し冷却後、再び加圧ニーダーで、加硫剤及び加硫促進剤を加えて混練し、22インチオープンロールでシート状に切り出し、未加硫のゴム組成物を得た。
【0116】
[ロール部材の作製]
シリンダー内径60mm、L/D20の1軸ゴム押出し機を用いてスクリュー回転25rpmで未加硫のゴム組成物を押出すとともに、同時に芯体を連続的にクロスヘッドを通過させることにより、芯体上に未加硫のゴム組成物を被覆した。押出し機の温度条件設定は、シリンダー部、スクリュー部、ヘッド部、ダイ部のいずれとも90℃とした。
押出成形後、未加硫状態で、層状に被覆したゴム組成物を芯体端部から15mmをカットし、オーブンにて160℃で90分間加硫し、弾性層を形成し、ロール部材を得た。
【0117】
[ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料の作製]
別途、シート状の試料を作製した。詳細には、上記組成の混練したゴム組成物を2mm×150mm×230mmの金型に注入し、この金型を160℃で40分間加熱してゴム組成物を加硫し、シート状の試料を作製した。これを、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料とした。
【0118】
<実施例B2>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を1質量部配合する以外は、実施例B1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0119】
<実施例B3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を40質量部配合する以外は、実施例B1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0120】
<実施例B4>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2115」)に変更する以外は、実施例B2と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0121】
<実施例B5>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2115」)に変更する以外は、実施例B3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0122】
<実施例B6>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2780」)に変更する以外は、実施例B2と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0123】
<実施例B7>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2780」)に変更する以外は、実施例B3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0124】
<実施例B8>
ゴム材料をNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム、商品名「DN3355」日本ゼオン社製)に変え、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部にした以外は、実施例B1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0125】
<実施例B9>
ゴム材料をEPDM(エチレンプロピレンターポリマー、商品名「EPT4021」三井化学社製)に変え、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部にした以外は、実施例B1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0126】
<実施例B10>
カーボンブラックのDBP吸油量を175ml/100g(商品名「#3050B」、三菱化学社製)に変更した以外は実施例B1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0127】
<実施例B11>
カーボンブラックのDBP吸油量を130ml/100g(商品名「#3030B」、三菱化学社製)に変更した以外は実施例B1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0128】
<実施例B12>
カーボンブラックのDBP吸油量を87ml/100g(商品名「旭#55」、旭カーボン社製に変更した以外は実施例B1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0129】
<実施例B13>
カーボンブラックのDBP吸油量を45ml/100g(商品名「旭#35」、旭カーボン社製に変更した以外は実施例B1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
<実施例B14>
カーボンブラックの配合量を50質量部にした以外は実施例B12と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0130】
<実施例B15>
カーボンブラックの配合量を40質量部にした以外は実施例B12と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0131】
<実施例B16>
カーボンブラックの配合量を30質量部にした以外は実施例B12と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0132】
<実施例B17>
カーボンブラックの配合量を15質量部にした以外は実施例B12と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0133】
<実施例B18>
カーボンブラックの配合量を10質量部にした以外は実施例B12と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0134】
<実施例B19>
実施例B11で用いたDBP吸油量130ml/gのカーボンブラックを15質量部、実施例B12で用いたDBP吸油量を87ml/100gのカーボンブラックを10質量部の2種類のカーボンブラックを配合した以外は実施例B1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0135】
<実施例B20>
実施例B11で用いたDBP吸油量130ml/100gのカーボンブラックを10質量部、実施例B12で用いたDBP吸油量を87ml/100gのカーボンブラックを10質量部、実施例B13で用いたDBP吸油量45ml/100gのカーボンブラックを10質量部の3種類のカーボンブラックを配合した以外は実施例B1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0136】
<比較例B1>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を配合しないこと以外は、実施例B1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0137】
<比較例B2>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を軟化剤(パラフィン系プロセスオイル、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」、出光興産社製)に置き換えたこと以外は、実施例B1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0138】
<比較例B3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を可塑剤(アジピン酸エーテルエステル系可塑剤、商品名「RS107」、旭電化工業社製)に置き換えたこと以外は、実施例B1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0139】
<実施例B21>
カーボンブラックのDBP吸油量を180ml/100g(商品名「旭#15」、旭カーボン社製に変更した以外は実施例B14と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0140】
<実施例B22>
カーボンブラックのDBP吸油量を41ml/100g(商品名「旭F−200」、旭カーボン社製に変更した以外は実施例B1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0141】
<実施例B23>
カーボンブラックの配合量を55質量部にした以外は実施例B12と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0142】
<評価>
各例について、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
【0143】
[ダイスウェルの測定]
ゴム押出機を用いて、芯体を通さず、スラブゴムを押出し、ダイの口径に対する膨張する割合を測定した。
・ダイスウェルの測定方法
スラブゴムを約1m切り取り、試験室環境下で1日静置後、スラブゴムの長さ及び質量を測定し、下式より断面積の変化率を測定した。
式:DS(%)=(W/(lρS
0)−1)×100
(式中、DSはダイスウェル、Wはスラブゴムの質量(単位g)、lはスラブゴムの長さ(cm単位)、ρはスラブの比重、S
0はダイの断面積(cm
2単位)
−評価基準−
◎:20%以下
○:20%超え30%以下
△:30%超え40%以下
×:40%超え50%未満
××:50%以上
【0144】
[弾性層の端部はね量の測定]
レーザー外径測定器により、ロール部材の軸方向に外径を測定し、弾性層の端部(ロール部材軸方向端部)が収縮により反り上がる大きさを、ロール部材の軸方向端部外径と軸方向中央部の外径との差とにより評価した。
−評価基準−
◎:200μm以下
○:200μmを超え300μm以下
△:300μmを超え500μm以下
×:500μmを超える
【0145】
[ブリード性の評価]
室温45℃湿度90%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料を宙吊りにし、7日間放置したのち、室温23℃湿度50%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料表面にけい砂(6号)をふりかけ、刷毛で軽く払いのけた後、ブリード性評価用試料表面に付着したけい砂の面積(けい砂の付着率)で、表面へのブリード性を評価した。
−評価基準−
◎:0%以上15%未満
○:15%以上30%未満
△:30%以上45%未満
×:45%以上
【0146】
[弾性層の表面粗さの測定]
ロール部材表面(弾性層表面)について、粗さ測定装置(SURFCOM1500DX−12:東京精密計測社)を用いて表面粗さRzを周方向測定しその平均値とした。
なお、表面の粗さRzは、上記測定装置を用い、JISB0601−1994に従って、ロール部材の軸方向について、測定長4.0mm、カットオフ値0.8、測定速度0.30mm/secの条件で、ロール部材の軸方向両端部から5mmの位置、および、軸方向両端部5mmの位置を基準に3等分した軸方向中央部分の3箇所について測定し、その平均値とした。
−評価基準−
◎:粗さRzが10μm未満、
○:粗さRzが10μm以上15μm未満、
△:粗さRzが15μm以上20μm未満、
×:粗さRzが20μmを超える。
【0147】
[電気抵抗電場依存性の測定]
電気抵抗電場依存性評価用試料を、22℃、55%の条件下で24時間以上シーズニングした後、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流系(エーディーシー社製)、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12、及びレジテーブルUFL MCP−ST03(いずれもダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911に準拠して行った。
測定条件はチャージタイムを2sec、ディスチャージタイムを1secの条件で電圧10V印可R10と500V印可R500を測定し、常用対数換算した後、R10−R500を計算し、次の基準で判定した。
◎:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.3以下
○:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.3を超え0.4以下
△:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.4を超え0.5以下
×:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.5を超える
【0148】
【表3】
【0149】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、ダイスウェル、弾性層のゴム収縮によるは端部はね量、ブリード性に優れていることがわかる。
また、本実施例のうち、実施例B1〜B20は、他の実施例に比べ、電気抵抗電界依存性に優れることもわかる。
【0150】
<<実施例C>>
<実施例C1>
[芯体]
ロール部材の芯体は、引き抜き加工にて直径8mmの円筒状棒を長さ330mmに切断後に、厚み8μmの無電解ニッケルメッキを施したものを用いた。
[弾性層ゴム組成]
・ゴム材料 ・・・・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、商品名「CG102」、ダイソー社製)
・ポリアルファオレフィン ・・・・・・15質量部
(商品名「RT2585」:REXtac社製)
・酸化亜鉛 ・・・・・5質量部
(商品名「酸化亜鉛2種」:正同化学工業社製)
・ステアリン酸 ・・・・・1質量部
(商品名「ステアリン酸S」:花王社製)
・カーボンブラック ・・・・5質量部
(商品名「Printex35」、デグサ社製、DBP吸油量42ml/100g)
・シリカ ・・・・40質量部
(商品名「NipsilRS−150」、東ソー・シリカ社製)
・酸化マグネシウム ・・・・3質量部
(商品名「キョーワマグ150」、協和化学工業社製)
・ハイドロタルサイト ・・・・5質量部
(商品名「DHT−4A」、協和化学工業社製)
・イオン導電剤 ・・・・1質量部
(アルキルトリメチルアンモニウムパークロレート、商品名「LXN−30」ダイソー社製)
・加硫剤(キノキサリン化合物) ・・・・ 1.5 質量部
(6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート:商品名「ダイソネットXL−21S」ダイソー社製)
・促進剤 ・・・・1質量部
(フェノールDBU塩:商品名「P−152」、ダイソー社製)
【0151】
[ゴム組成物の調製]
上記ゴム組成の混合物を、接線式加圧ニーダー((株)モリヤマ製:実容量75L)を用いて混練して、未加硫のゴム組成物を調製した。
詳細には、加圧ニーダーのジャケット、加圧蓋、ローターを循環水により20℃にし、加圧蓋の圧力を0.6MPaでゴム材料を素練りし、酸化亜鉛を混練後、ステアリン酸及びカーボンブラックを投入混練し、イオン導電剤及びシリカを投入して混練した。さらに、22インチオープンロールでシート状に切り出し冷却後、再び加圧ニーダーで、加硫剤及び加硫促進剤を加えて混練し、22インチオープンロールでシート状に切り出し、未加硫のゴム組成物を得た。
【0152】
[ロール部材の作製]
シリンダー内径60mm、L/D20の1軸ゴム押出し機を用いてスクリュー回転25rpmで未加硫のゴム組成物を押出すとともに、同時に芯体を連続的にクロスヘッドを通過させることにより、芯体上に未加硫のゴム組成物を被覆した。押出し機の温度条件設定は、シリンダー部、スクリュー部、ヘッド部、ダイ部のいずれとも90℃とした。
押出成形後、未加硫状態で、層状に被覆したゴム組成物を芯体端部から15mmをカットし、オーブンにて160℃で90分間加硫し、弾性層を形成し、ロール部材を得た。
【0153】
[ブリード性評価用試料の作製]
別途、シート状の試料を作製した。詳細には、未加硫のゴム組成物を2mm×150mm×230mmの金型に注入し、この金型を160℃で40分間加熱してゴム組成物を加硫し、シート状の試料を作製した。
【0154】
[圧縮永久歪評価用セット玉の作製]
未加硫のゴム組成物をJIS K−6262の大型試験片(直径29mm、厚さ12.5mm)の金型に仕込み、160℃に加熱した熱プレスにて20分間加硫してゴム組成物を加硫し、円柱状の試料を作製した。これを、圧縮永久歪評価用セット玉とした。
【0155】
<実施例C2>
キノキサリン化合物をトリアジン化合物(2,4,6−トリメルカプト‐1,5,7‐トリアジン商品名「OF−100」ダイソー社製)に変更する以外は、実施例C1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0156】
<実施例C3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を1質量部配合する以外は、実施例C1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0157】
<実施例C4>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を40質量部配合する以外は、実施例C1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0158】
<実施例C5>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2115」)に変更する以外は、実施例C3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0159】
<実施例C6>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2115」)に変更する以外は、実施例C4と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0160】
<実施例C7>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2780」)に変更する以外は、実施例C3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0161】
<実施例C8>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2780」)に変更する以外は、実施例C4と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0162】
<実施例C9>
ゴム材料をNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム、商品名「DN3355」日本ゼオン社製)に変更し、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部に変更し、酸化マグネシウム及びハイドロタルサイトを除いた以外は、実施例C3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0163】
<実施例C10>
ゴム材料をEPDM(エチレンプロピレンターポリマー、商品名「EPT4021」三井化学社製)に変更し、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部に変更し、酸化マグネシウム及びハイドロタルサイトを除いた以外は、実施例C3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0164】
<実施例C11>
キノキサリン化合物を加硫剤(商品名「金華印微粉硫黄200メッシュ」、鶴見化学工業社製)を1質量部、加硫促進剤(商品名「ノクセラーDM」、大内新興化学工業社製)を2質量部及び加硫促進剤(商品名「ノクセラーTET」、大内新興化学工業社製)を0.5質量部に変更する以外は、実施例C1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0165】
<比較例C1>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を配合しないこと以外は、実施例C1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0166】
<比較例C2>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を軟化剤(パラフィン系プロセスオイル、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」、出光興産社製)に置き換えたこと以外は、実施例C1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0167】
<比較例C3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を可塑剤(アジピン酸エーテルエステル系可塑剤、商品名「RS107」、旭電化工業社製)に置き換えたこと以外は、実施例C1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用試料、及び圧縮永久歪評価用セット玉も得た。
【0168】
<評価>
各例について、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
【0169】
[ダイスウェルの測定]
ゴム押出機を用いて、芯体を通さず、スラブゴムを押出し、ダイの口径に対する膨張する割合を測定した。
・ダイスウェルの測定方法
スラブゴムを約1m切り取り、試験室環境下で1日静置後、スラブゴムの長さ及び質量を測定し、下式より断面積の変化率を測定した。
式:DS(%)=(W/(lρS
0)−1)×100
(式中、DSはダイスウェル、Wはスラブゴムの質量(単位g)、lはスラブゴムの長さ(単位cm)、ρはスラブの比重、S
0はダイの断面積(単位cm)
−評価基準−
◎:30%以下
○:30%超え40%以下
△:40%超え50%未満
×:50%以上
【0170】
[弾性層の端部はね量の測定]
レーザー外径測定器により、ロール部材の軸方向に外径を測定し、弾性層の端部(ロール部材軸方向端部)が収縮により反り上がる大きさを、ロール部材の軸方向端部外径と軸方向中央部の外径との差とにより評価した。
−評価基準−
◎:500μm以下
○:500μmを超え700μm以下
△:700μmを超え900μm未満
×:900μm以上
【0171】
[ブリード性の評価]
室温45℃湿度90%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料を宙吊りにし、7日間放置したのち、室温23℃湿度50%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料表面にけい砂(6号)をふりかけ、刷毛で軽く払いのけた後、ブリード性評価用試料表面に付着したけい砂の面積(けい砂の付着率)で、表面へのブリード性を評価した。
−評価基準−
◎:0%以上15%未満
○:15%以上30%未満
△:30%以上45%未満
×:45%以上
【0172】
[弾性層の表面粗さの測定]
ロール部材表面(弾性層表面)について、粗さ測定装置(SURFCOM1500DX−12:東京精密計測社)を用いて表面粗さRzを周方向測定しその平均値とした。
なお、表面の粗さRzは、上記測定装置を用い、JISB0601−1994に従って、ロール部材の軸方向について、測定長4.0mm、カットオフ値0.8、測定速度0.30mm/secの条件で、ロール部材の軸方向両端部から5mmの位置、および、軸方向両端部5mmの位置を基準に3等分した軸方向中央部分の3箇所について測定し、その平均値とした。
−評価基準−
◎:粗さRzが10μm未満、
○:粗さRzが10μm以上15μm未満、
△:粗さRzが15μm以上20μm未満、
×:粗さRzが20μmを超える。
【0173】
[圧縮永久歪]
2枚の圧縮板の間に、圧縮永久歪評価用セット玉を挟み込み、25%圧縮し、100℃の恒温槽で24時間放置後、圧縮永久歪み率を測定した。これにより、圧縮永久歪について評価した。
圧縮永久歪率(%)=(t
0−t
2)/(t
0−t
1)*100
t
0:試験片(圧縮永久歪評価用セット玉)の元の厚さ(mm)
t
1:スペーサの厚さ(mm)
t
2:圧縮装置から取り外し、30分後の試験片(圧縮永久歪評価用セット玉)の厚さ(mm)
−評価基準−
◎:0%以上20%未満
○:20%以上50%未満
△:50%以上80%未満
×:80%以上
【0174】
【表4】
【0175】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、ダイスウェル、弾性層のゴム収縮によるは端部はね量、ブリード性に優れていることがわかる。
また、本実施例のうち、実施例C1〜C11では、比較例に比べ、圧縮永久歪に優れていることがわかる。
【0176】
<<実施例D>>
<実施例D1>
[芯体]
ロール部材の芯体は、引き抜き加工にて直径8mmの円筒状棒を長さ330mmに切断後に、厚み8μmの無電解ニッケルメッキを施したものを用いた。
[弾性層ゴム組成]
・ゴム材料 ・・・・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、商品名「CG102」、ダイソー社製)
・ポリアルファオレフィン ・・・・・・15質量部
(商品名「RT2585」:REXtac社製)
・酸化亜鉛 ・・・・・5質量部
(商品名「酸化亜鉛2種」:正同化学工業社製)
・ステアリン酸 ・・・・・1質量部
(商品名「ステアリン酸S」:花王社製)
・カーボンブラック ・・・・5質量部
(商品名「Printex35」、デグサ社製、DBP吸油量42ml/100g)
・シリカ ・・・・40質量部
(商品名「NipsilRS−150」、東ソー・シリカ社製)
・イオン導電剤 ・・・・1質量部
(アルキルトリメチルアンモニウムパークロレート、商品名「LXN−30」ダイソー社製)
・加硫剤 ・・・・1質量部
(商品名「金華印微粉硫黄200メッシュ」、鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤 ・・2質量部
(商品名「ノクセラーDM」、大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤 ・・0.5質量部
(商品名「ノクセラーTET」、大内新興化学工業社製)
【0177】
[ゴム組成物の調製]
上記ゴム組成の混合物を、接線式加圧ニーダー((株)モリヤマ製:実容量75L)を用いて混練して、未加硫のゴム組成物を調製した。
詳細には、加圧ニーダーのジャケット、加圧蓋、ローターを循環水により20℃にし、加圧蓋の圧力を0.6MPaでゴム材料を素練りし、酸化亜鉛を混練後、ステアリン酸及びカーボンブラックを投入混練し、イオン導電剤及びシリカを投入して混練した。さらに、22インチオープンロールでシート状に切り出し冷却後、再び加圧ニーダーで、加硫剤及び加硫促進剤を加えて混練し、22インチオープンロールでシート状に切り出し、未加硫のゴム組成物を得た。
【0178】
[ロール部材の作製]
シリンダー内径60mm、L/D20の1軸ゴム押出し機を用いてスクリュー回転25rpmで未加硫のゴム組成物を押出すとともに、同時に芯体を連続的にクロスヘッドを通過させることにより、芯体上に未加硫のゴム組成物を被覆した。押出し機の温度条件設定は、シリンダー部、スクリュー部、ヘッド部、ダイ部のいずれとも90℃とした。
押出成形後、未加硫状態で、層状に被覆したゴム組成物を芯体端部から15mmをカットし、オーブンにて160℃で90分間加硫し、弾性層を形成し、ロール部材を得た。
【0179】
[ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料の作製]
別途、シート状の試料を作製した。詳細には、上記組成の混練したゴム組成物を2mm×150mm×230mmの金型に注入し、この金型を160℃で40分間加熱してゴム組成物を加硫し、シート状の試料を作製した。これを、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料とした。
【0180】
<実施例D2>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を1質量部配合する以外は、実施例D1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0181】
<実施例D3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を40質量部配合する以外は、実施例D1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0182】
<実施例D4>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2115」)に変更する以外は、実施例D2と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0183】
<実施例D5>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(RT2115)に変更する以外は、実施例D3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0184】
<実施例D6>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(「RT2780」)に変更する以外は、実施例D2と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0185】
<実施例D7>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)をポリアルファオレフィン(RT2780)に変更する以外は、実施例D3と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0186】
<実施例D8>
ゴム材料をNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム、商品名「DN3355」日本ゼオン社製)に変え、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部にした以外は、実施例D1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0187】
<実施例D9>
ゴム材料をEPDM(エチレンプロピレンターポリマー、商品名「EPT4021」三井化学社製)に変え、イオン導電剤(LXN−30)を2.0質量部にした以外は、実施例D1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0188】
<実施例D10>
シリカを脂肪酸で表面処理したBET比表面積11m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「Vigot−15」白石工業製)に変更した以外は実施例D1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0189】
<実施例D11>
BET比表面積13m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「Vigot−10」白石工業製)に変更した以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0190】
<実施例D12>
BET比表面積18m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「白艶華CCR」白石工業製)に変更した以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0191】
<実施例D13>
BET比表面積26m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「白艶華CC」白石工業製)に変更した以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0192】
<実施例D14>
BET比表面積30m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「Viscoexcel−30」白石工業製)に変更した以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0193】
<実施例D15>
BET比表面積34m
2/gのロジン酸で処理された炭酸カルシウム(商品名「白艶華AA」白石工業製)に変更した以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0194】
<実施例D16>
BET比表面積70m
2/gのアミノシランで表面処理された炭酸カルシウム(商品名「ACTIFORT 700」白石工業製)に変更した以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0195】
<実施例D17>
炭酸カルシウムを20質量部にした以外は実施例D14と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0196】
<実施例D18>
炭酸カルシウムを30質量部にした以外は実施例D14と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0197】
<実施例D19>
炭酸カルシウムを60質量部にした以外は実施例D14と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0198】
<実施例D20>
炭酸カルシウムを80質量部にした以外は実施例D14と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0199】
<実施例D21>
炭酸カルシウムを100質量部にした以外は実施例D14と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0200】
<実施例D22>
表面処理されていないBET比表面積12m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「Brilliant−15」白石工業製)に変更した以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0201】
<実施例D23>
BET比表面積2m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「ホワイトンP−50」東洋ファインケミカル製)20質量部を実施例D17に加え、炭酸カルシウムを2種類で40質量部とした以外は実施例D17と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0202】
<比較例D1>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を配合しないこと以外は、実施例D1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0203】
<比較例D2>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を軟化剤(パラフィン系プロセスオイル、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」、出光興産社製)に置き換えたこと以外は、実施例D1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0204】
<比較例D3>
ポリアルファオレフィン(「RT2585」)を可塑剤(アジピン酸エーテルエステル系可塑剤、商品名「RS107」、旭電化工業社製)に置き換えたこと以外は、実施例D1と同様にして未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0205】
<実施例D24>
シリカをBET比表面積6m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「「ホワイトンP−10」東洋ファインケミカル製)に変更した以外は実施例D1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0206】
<実施例D25>
シリカをBET比表面積90m
2/gの炭酸カルシウム(商品名「ポロネックス」丸尾カルシウム製)に変更した以外は実施例D1と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0207】
<実施例D26>
炭酸カルシウムを15質量部にした以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0208】
<実施例D27>
炭酸カルシウムを120質量部にした以外は実施例D10と同様に未加硫のゴム組成物を調製し、これを用いてロール部材を得た。また、ブリード性評価用及び電気抵抗電場依存性評価用試料も得た。
【0209】
<評価>
各例について、以下の評価を行った。結果を表5に示す。
【0210】
[ダイスウェルの測定]
ゴム押出機を用いて、芯体を通さず、スラブゴムを押出し、ダイの口径に対する膨張する割合を測定した。
・ダイスウェルの測定方法
スラブゴムを約1m切り取り、試験室環境下で1日静置後、スラブゴムの長さ及び質量を測定し、下式より断面積の変化率を測定した。
式:DS(%)=(W/(lρS
0)−1)×100
(式中、DSはダイスウェル、Wはスラブゴムの質量(単位g)、lはスラブゴムの長さ(単位cm)、ρはスラブの比重、S
0はダイの断面積(単位cm
2)
−評価基準−
◎:20%以下
○:20%超え30%以下
△:30%超え40%以下
×:40%超え50%以下
××:50%を超える
【0211】
[弾性層の端部はね量の測定]
レーザー外径測定器により、ロール部材の軸方向に外径を測定し、弾性層の端部(ロール部材軸方向端部)が収縮により反り上がる大きさを、ロール部材の軸方向端部外径と軸方向中央部の外径との差とにより評価した。
−評価基準−
◎:200μm以下
○:200μmを超え300μm以下
△:300μmを超え500μm以下
×:500μmを超える
【0212】
[ブリード性の評価]
室温45℃湿度90%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料を宙吊りにし、7日間放置したのち、室温23℃湿度50%の環境試験室にて、ブリード性評価用試料表面にけい砂(6号)をふりかけ、刷毛で軽く払いのけた後、ブリード性評価用試料表面に付着したけい砂の面積(けい砂の付着率)で、表面へのブリード性を評価した。
−評価基準−
◎:0%以上15%未満
○:15%以上30%未満
△:30%以上45%未満
×:45%以上
【0213】
[弾性層の表面粗さの測定]
ロール部材表面(弾性層表面)について、粗さ測定装置(SURFCOM1500DX−12:東京精密計測社)を用いて表面粗さRzを周方向測定しその平均値とした。
なお、表面の粗さRzは、上記測定装置を用い、JISB0601−1994に従って、ロール部材の軸方向について、測定長4.0mm、カットオフ値0.8、測定速度0.30mm/secの条件で、ロール部材の軸方向両端部から5mmの位置、および、軸方向両端部5mmの位置を基準に3等分した軸方向中央部分の3箇所について測定し、その平均値とした。
−評価基準−
◎:粗さRzが10μm未満、
○:粗さRzが10μm以上15μm未満、
△:粗さRzが15μm以上20μm未満、
×:粗さRzが20μm以上。
【0214】
[電気抵抗電場依存性の測定]
電気抵抗電場依存性評価用試料を、22℃、55%の条件下で24時間以上シーズニングした後、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流系(エーディーシー社製)、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12、及びレジテーブルUFL MCP−ST03(いずれもダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911に準拠して行った。
測定条件はチャージタイムを2sec、ディスチャージタイムを1secの条件で電圧10V印可R10と500V印可R500を測定し、常用対数換算した後、R10−R500を計算し、次の基準で判定した。
◎:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.3以下
○:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.3を超え0.4以下
△:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.4を超え0.5以下
×:常用対数換算(logΩcm)で、R10−R500が0.5を超える
【0215】
【表5】
【0216】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、ダイスウェル、弾性層のゴム収縮によるは端部はね量、ブリード性に優れていることがわかる。