【実施例1】
【0021】
以下、実施例1の電球について、
図1〜
図10を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1及び
図2中符号1は電球を示しており、この電球1は、本体2と、光源11と、絶縁ケース15と、点灯回路21と、口金25と、グローブ31等を具備している。
【0023】
本体2は、金属例えばアルミニウムのダイカスト製品からなり、
図4及び
図6等に示すように略椀形状に形成されていて、その縮径された中央部分には通孔3が形成されている。本体2は、その円形をなす開口を区画する平面視円環形(
図4及び
図5参照)の接合筒部4を有している。
図6及び
図7等に示すように本体2に、その開口に連続する円形の溝5が、接合筒部4をその内周側から抉って設けられている。
【0024】
図3及び
図7に示すように接合筒部4の先端面4aと接合筒部4の外周4bとがなす角部4cは、例えば鋭角となっている。先端面4aは、後述する開口側部位32bの外面に沿うような斜状面、例えば角部4cから前記開口に近付くほど次第に溝5に近付く斜面で形成されている。この先端面4aの傾斜角度を
図7に符号θ1で示す。この傾斜角度θ1は、角部4cを通る水平面と先端面4aとで挟まれた角度である。
図4及び
図5に示すように接合筒部4の複数個所例えば三箇所に、本体2の開口に開放する切欠部4dが等間隔毎に設けられている。
【0025】
図4及び
図5等に示すように本体2はその開口に対向する環形の段部2aを有している。段部2aは接合筒部4の内周よりも本体2の中心側に迫り出している。段部2aの内周に複数のねじ受け部6が等間隔毎に形成されていて、これらねじ受け部6には本体2の開口に向けて開放するねじ穴6aが夫々形成されている。本体2の開口に臨んだ段部2aの面及び本体2の開口に臨んだ各ねじ受け部6の面と、接合筒部4の根元に連続した溝5の側面とは、面一、つまり、同一高さで連続されている。尚、接合筒部4の先端面4a、溝5、段部2a並びにねじ受け部6の前記本体2の開口に臨んだ面、及び切欠部4dは、いずれもダイカスト製品に対して切削加工を施すことで設けられたものである。
【0026】
図1及び
図2に示すように本体2は光源取付け部7を有している。実施例1の光源取付け部7は、本体2とは別体でかつ本体2と同じ金属製で円形をなした放熱板からなる。この光源取付け部7の直径は、本体2の開口の径より小さい。
【0027】
光源取付け部7は、その周部を段部2a及びねじ受け部6に接触させた状態で、この周部を通って各ねじ受け部6のねじ穴6aにねじ込まれた図示しないねじで本体2に固定されている。このため、光源取付け部7は、その周部と段部2aとの密接部を経由して本体2に熱伝導可能に接続されている。光源取付け部7はその中央部から外れた位置に孔7aを有している。
【0028】
光源11には例えばLED発光モジュールが用いられている。このため、電球1はLED電球として構成されている。
【0029】
この電球1のLED発光モジュールは、
図1に示すように配線基板12に半導体発光部例えばSMD型のLED13を複数実装して形成されている。配線基板12は、そのLED実装面とは反対の裏面に設けた熱拡散層を光源取付け部7に面接触させるとともにLED実装面を本体2の開口に対向させて、ねじ止め等により光源取付け部7の中央部分に固定されている。このため、LED13が発する熱を、配線基板12を経由して光源取付け部7に直接的に伝導(放出)させることができる。更に、光源取付け部7の熱は、本体2に伝導されて、本体2の外面から大気中に放出される。
【0030】
SMD型のLED13は、電極が設けられたベース上に円錐台状の孔を有した反射器を接着し、この反射器の底面をなすベース上に半導体発光素子であるLEDチップを実装するとともに、このLEDチップをワイヤボンディング等で前記電極に接続し、更に、蛍光体が混ぜられた透光性封止部材を反射器の孔に充填しLEDチップを封止して形成されている。このSMD型のLED13は、そのベースの裏面に引き回されている電極を配線基板12のパターン層に接続して所定位置に配設されている。
【0031】
LEDチップは例えば青色を発光するベアチップからなり、このチップはその発光時に発熱をする。封止部材に混ぜられた蛍光体には、LED13から例えば白色系の光が発光されるようにするために、LEDチップが発する青色の光で励起されて黄色系の光を放射する黄色蛍光体が用いられている。LEDチップは電気エネルギーを直接光に変換する半導体であり、その発光は半導体のp−n接合に順方向電流を流すことで実現される。こうした発光原理で発光する半導体発光素子は、通電によりフィラメントを高温に白熱させて、その熱放射により可視光を放射させる白熱電球と比較して、省エネルギー効果を有するものである。
【0032】
絶縁ケース15は電気絶縁材料例えば合成樹脂の成形体からなる。
図1及び
図2に示すように絶縁ケース15は、本体2の内面を覆って設けられているとともに、本体2外に突出する円筒状の突出部15aと、本体2内に位置された受け部15bを有している。突出部15aは本体2の通孔3に通されている。突出部15aの外周に図示しない環状の係止溝が形成されていて、この係止溝に合成樹脂製の結合リング19を嵌合して取付けられている。この結合リング19と受け部15bとは通孔3を区画した本体2の筒状端部2bを挟んでいる。これにより、本体2と絶縁ケース15が連結されている。
【0033】
絶縁ケース15は、光源取付け部7の裏面に向けて突出された基板カバー部16を有しており、この基板カバー部16に通線開口16aが設けられている。更に、絶縁ケース15は線カバー部17を有している。線カバー部17は相対向する一対の壁部と、これらの壁部にわたる他の壁部(図示しない)とから平面視略コの字形をなしていて、前記一対の壁部のうちの一方に通線溝17a(
図2参照)が設けられている。この線カバー部17は、光源取付け部7の孔7aに挿入されている。
【0034】
図1及び
図2に示す点灯回路21は、回路基板21aに図示しない回路部品を複数実装して形成されている。点灯回路21は、突出部15aと基板カバー部16とにわたって支持されて、絶縁ケース15に内蔵されている。
【0035】
この点灯回路21は光源11に電気的に接続されている。具体的には、点灯回路21に接続された図示しない絶縁被覆電線が、通線開口16a及び通線溝17aを経由して配線されるとともに、線カバー部17に通されて光源取付け部7の表面(
図1及び
図2では下面)側に引出されている。この電線の先端に接続されている電線側電気コネクタを、光源11に取付けられた図示しない光源側電気コネクタに接続させることによって、前記電気的接続が行われている。
【0036】
点灯回路21に電源を供給する口金25(
図1及び
図2参照)は、例えば金属製の周面部に螺旋溝を有したE型のもので、絶縁ケース15の突出部15aの外側に装着されている。口金25は点灯回路21に図示しない絶縁被覆電線を介して接続されている。この口金25は図示しないランプソケットに着脱可能にねじ込んで取付けられる。
【0037】
グローブ31は、例えば透光性の合成樹脂、具体的には拡散透光性の白色ポリカーボネイト樹脂をブロー成形してなるブロー成形品製である。グローブ31は、その表面積、言い換えれば、拡散透過する光の出射面積をより多く確保するために、
図1及び
図8等に示すようにグローブ主部32及び開口縁部33を有して略ボール形状に成形されている。
【0038】
詳しくは、グローブ主部32は、その最大径部を境にこれから先端に向けて次第に縮径した半球状部位(
図1では最大径部より下側部位)に、前記先端と反対側に向けて次第に縮径した縮径部位(
図1では最大径部より上側部位)を連続して形成されている。グローブ主部32の最大径を
図1及び
図8中符号Dで示す。
【0039】
開口縁部33は円形の開口32aを区画してグローブ主部32の前記縮径部位に一体に連続されている。したがって、開口32aはグローブ主部32の最大径より小径である。
図3及び
図10に示すように開口縁部33は、短い円筒部33aと、この円筒部33aの先端部外周に周方向に等間隔毎に一体に突設された複数の突起33bを有している。
【0040】
円筒部33aの直径は前記接合筒部4の内径より若干小さい。各突起33bは前記切欠部4dを通過できるとともに、それらの突起33bの先端を通って描かれる円の直径は、接合筒部4の内径、つまり、開口32aの径より大きい。
【0041】
図10に示すようにグローブ主部32の開口側部位32bは、開口縁部33の円筒部33aにこれから折れ曲がるように連続されている。開口側部位32bの傾斜角度θ2は、開口側部位32bと円筒部33aとがなす角を通る水平面と開口側部位32bとで挟まれる角度である。この傾斜角度θ2は前記接合筒部4の先端面4aの傾斜角度θ1に近似し、かつ、この傾斜角度θ1より小さい。逆に言えば、開口側部位32bの外面に沿うように斜状に形成された接合筒部4の先端面4aの傾斜角度θ1は、開口側部位32bの外面の傾斜角度θ2より大きい。
【0042】
更に、円筒部33aと開口側部位32bが挟む角度θ3は鈍角である。これは、グローブ31がブロー成形されることで、開口側部位32bを円筒部33aに対して厳密に水平に成形することが困難で、ブロー成形後に開口側部位32bがグローブ主部32の内側から外側に向けて膨らむことに起因して形成された構成である。
【0043】
次に、グローブ31以外の全ての部品が取付けられた本体2にグローブ31を取付ける手順を説明する。
【0044】
まず、本体2の開口が上を向くように本体2を保持して、溝5内全体又は数箇所に例えば耐熱性の接着剤37(
図3参照)を塗布する。この場合、光源取付け部7の周面と溝5の内周との間に接着剤溜まりとして環状の隙間が形成されており、この隙間に未硬化の接着剤37が塗布される。
【0045】
次に、グローブ31の各突起33bを、接合筒部4の各切欠部4dに合わせて、これら切欠部4dに上方から通すとともに開口縁部33を接合筒部4の内側に挿入する。即ち、相対的には、接合筒部4が開口縁部33の外側に嵌合される。こうした嵌合により、開口縁部33の先端部分が、未硬化の接着剤37に埋まる。これとともに、光源取付け部7がグローブ31の開口32aに臨んだ状態、例えば、光源取付け部7の一部が開口32aに入り込んだ状態となる。
【0046】
引き続いて、グローブ31を所定角度回転させる。それにより、各突起33bが溝5に臨んだ接合筒部4の裏面に引っ掛かり得る位置に配置される。したがって、仮に、接着不良があった場合に、電球1の組立て後にグローブを下向き31にしても、グローブ31が不用意に本体2から脱落することを抑制可能である。
【0047】
この後、図示しない冶具でグローブ31を下方に押す。これにより、グローブ31の開口側部位32bの外面が、本体2が有した接合筒部4の先端面4aに接する。具体的には、
図3に示すように接合筒部4の最も外周側に位置された角部4cに開口側部位32bの外面が接触する。これと同時に、この開口側部位32bの外面が接合筒部4の先端面4aに近接し、かつ、これらの間に僅かな間隙が形成される。言い換えれば、開口側部位32bの外面が先端面4aに沿うように設けられる。
【0048】
最後に、既述の冶具でグローブ31が押された状態のまま加熱炉に通して接着剤37を硬化させる。それにより、本体2にグローブ31が接着して取付けられ、
図1に示すようにグローブ31により光源11が覆われる。
【0049】
前記構成の電球1では、グローブ31を支持する本体2の接合筒部4の先端面4aをグローブ主部32の開口側部位32bの外面に接触して、この先端面4aが開口側部位32bの外面に沿うように設けられている。このため、グローブ主部32の開口側部位32bと、グローブ31の開口縁部33の外側に嵌合された本体2の接合筒部4との接合精度を向上させることが可能である。
【0050】
更に、接合筒部4の先端面4aの傾斜角度θ1が、グローブ主部32の開口側部位32bの外面の傾斜角度θ2より大きいことにより、既述のように接合筒部4の先端面4aと接合筒部4の外周4bとがなす角部4cが、開口側部位32bの外面に接触された状態で、グローブ31を本体2に支持できる。このため、グローブ31の開口縁部33と本体2の接合筒部4との接合部に、外部から視認可能な楔状の隙間が周方向に沿って環状に形成されることを確実に抑制可能である。したがって、電球1の外観品質を向上させることが可能である。
【0051】
しかも、接合精度の向上により、前記接合部に形成される隙間が形成される場合にも、この隙間を極めて狭くできるので、LED電球の点灯状態で本体2の熱が前記接合部を経由してグローブ31に伝導され易い。このため、本体2の外面から大気中での放熱に加えて、グローブ31からも放熱することを期待できる。したがって、LEDモジュールからなる光源11に対する放熱性能を十分確保することが可能で、それに伴い、光源11の温度過昇による発光効率の低下や発光色の変化などを抑制することが可能である。
【0052】
又、本体2及びこれから熱伝導されるグローブ31の温度上昇に伴う熱膨張により、前記極めて狭い隙間が消失されて、接合筒部4の先端面4aと開口側部位32bの外面とが略面接触した状態に接合することを期待できる。こうした状況に至った場合には、更に、本体2からグローブ31への放熱性を向上することが可能となる。