(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.第1実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての無線ネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。無線ネットワークシステムNSは、ホームゲートウェイ20と、可搬型アクセスポイント10とを備えている。無線ネットワークシステムNSは、クライアントCL1をインターネットINTに接続するためのシステムである。クライアントCL1は、無線ネットワークシステムNS及びインターネットINTを介して、サーバ50に蓄積されているファイルをダウンロードすることができる。
【0024】
無線ネットワークシステムNSは、ホームゲートウェイ20及び可搬型アクセスポイント10の接続態様として複数の接続態様を許容しており、
図1に示す接続態様(第1接続態様)では、ホームゲートウェイ20は、固定(有線)通信網(例えば、光ファイバーを用いた光回線や、メタリックケーブルを用いたADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線など)PNを介してインターネットINTに接続されている。第1実施例において、可搬型アクセスポイント10は、ホームゲートウェイ20に物理的に接続(接触)されている。可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に物理的に接続されるのは、後述するように可搬型アクセスポイント10はバッテリーで駆動するため、このバッテリーにホームゲートウェイ20を介して充電するためである。なお、第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10の無線LAN通信機能は停止している。
【0025】
第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20は、いずれも同一のロケーション(ロケーションA)に配置されている。「同一のロケーションに配置されている」とは、互いに物理的に近接して配置されていることを意味し、例えば、本実施例の第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20は、ユーザの自宅や外出先において、互いに物理的に接触して配置されている。また、第1接続態様では、クライアントCL1が、可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20と物理的に近接して配置されている(すなわち、ロケーションAに配置されている)。具体的には、例えば、クライアントCL1は、ユーザの自宅や外出先において、クライアントCL1から出力される無線信号が可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20により受信できる範囲内に配置されている。第1接続態様では、ロケーションAにおいて、ホームゲートウェイ20とクライアントCL1とで無線LAN31が形成されている。具体的には、ホームゲートウェイ20は、無線LANアクセスポイントとして動作し、クライアントCL1は、無線LANクライアントとして動作している。また、第1接続態様において、ホームゲートウェイ20は、ルータとしても動作し、クライアントCL1から受信するレイヤ3パケットを、固定通信網PNに出力し、また、固定通信網PNから受信するレイヤ3パケットを、クライアントCL1に中継する。本実施例において、クライアントCL1は、無線LANクライアントの機能を有する一般的なパーソナルコンピュータであるので、説明を省略する。なお、クライアントCL1として、パーソナルコンピュータに代えて、ゲーム機や携帯電話端末などを採用することもできる。
【0026】
図2は、無線ネットワークシステムの第2接続態様を示す説明図である。第2接続態様では、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20とは、それぞれ異なる2つのロケーションに分かれて配置されている。具体的には、
図2上段に示すように、ロケーションAには、ホームゲートウェイ20が配置され、
図2下段に示すように、ロケーションBには、可搬型アクセスポイント10及びクライアントCL1が配置されている。なお、第2接続態様では、ロケーションAとロケーションBとは互いに物理的に大きく離れており、例えば、自宅と外出先などクライアントCL1とホームゲートウェイ20とは、互いに相手が出力する無線信号を受信できない程度に離れて配置されている。
【0027】
第2の接続態様では、ロケーションBにおいて、可搬型アクセスポイント10とクライアントCL1とで無線LAN32が形成されている。具体的には、第2接続態様において、可搬型アクセスポイント10は、無線LANアクセスポイントとして動作し、クライアントCL1は、無線LANクライアントとして動作する。可搬型アクセスポイント10は、無線LANアクセスポイントとしての機能に加えて、ルータ機能と、移動体通信網CNの移動体基地局CBと無線通信を行う機能とを有する。移動体通信網CNとしては、例えば、3G/HSPA(High Speed Packet Access)回線を採用することができる。第2接続態様において、クライアントCL1は、可搬型アクセスポイント10及び移動体通信網CNを介してインターネットINTに接続することができる。一般に、移動体通信網CNの通信帯域は、固定通信網PNの通信帯域よりも狭いので、第2接続態様におけるサーバ50からのファイルのダウンロード速度は、
図1に示す第1接続態様におけるサーバ50からのファイルのダウンロード速度よりも遅い。
【0028】
第2接続態様は、例えば、
図1に示す第1接続態様から、ユーザが、可搬型アクセスポイント10をホームゲートウェイ20から取り外し、クライアントCL1と可搬型アクセスポイント10とをロケーションBに移動させた場合に形成され得る。また、第1接続態様は、例えば、
図2に示す第2接続態様から、クライアントCL1と可搬型アクセスポイント10とがロケーションAに戻され、可搬型アクセスポイント10をホームゲートウェイ20に接続した場合に形成され得る。
【0029】
図3は、第1実施例の可搬型アクセスポイントの詳細構成を示すブロック図である。可搬型アクセスポイント10は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)130と、メモリカードドライブ135と、RAM(Random Access Memory)140と、WPS(Wi-Fi Protected Setup)ボタン145と、無線LAN制御回路152と、移動体通信制御回路154と、USB(Universal Serial Bus)制御回路160と、USB接続インターフェイス162と、バッテリー170と、受電部172と、電源接続インターフェイス174とを備えている。可搬型アクセスポイント10は、小型かつ軽量であり、携帯性に優れている。
【0030】
CPU110は、ROM130に格納されているパケット中継用のアプリケーションプログラムを実行することにより、転送処理部112及び転送制御部113として機能する。転送処理部112は、ルータ機能部112r及びブリッジ機能部112bを有しており、各通信インターフェイス(無線LAN制御回路152、移動体通信制御回路154、USB接続インターフェイス162)を介して入力されるパケット(レイヤ3パケット及びレイヤ2フレーム)を、宛先アドレスに従って転送する。転送制御部113は、転送処理部112を制御する。
【0031】
また、CPU110は、ROM130に格納されているファイルのダウンロード要求を受け付けるためのプログラムを実行することにより、接続監視部114と、ダウンロード要求受付部115と、ダウンロード要求送信部116と、ユーザインターフェイス(U/I)提供部117として機能する。接続監視部114は、可搬型アクセスポイント10のホームゲートウェイ20への接続を監視する。ダウンロード要求受付部115は、クライアントCL1から送信されるファイルのダウンロード要求を受け付ける。ダウンロード要求送信部116は、後述のダウンロード処理において、クライアントCL1より受け付けたダウンロード要求をホームゲートウェイ20に送信する。ユーザインターフェイス提供部117は、ダウンロード要求を受け付けるための操作画面をクライアントCL1に表示させる。
【0032】
また、CPU110は、ROM130に格納されているファイル共有のためのプログラムを実行することにより、ファイル共有制御部118として機能する。ファイル共有のためのプログラムとして、例えば、CIFS(Common Internet File System)等のファイル共有のためのプロトコルを実現するためのプログラムを採用し得る。なお、CIFSを実現するためのプログラムを採用した場合に、ファイル共有制御部118は、CIFSサーバとして動作する。
【0033】
ROM130には、上述した各アプリケーションプログラムに加えて、指定URL(Uniform Resource Locator)格納部131が格納されている。指定URL格納部131は、後述するダウンロード要求受付処理において、クライアントCL1から送信されるファイルのダウンロード要求に含まれるURLを格納する。
【0034】
メモリカードドライブ135は、図示しないスロットに挿入されたメモリカード136からデータを読み出し、また、メモリカード136へのデータの書き込みを行う。メモリカード136としては、例えば、SDメモリカードや、コンパクトフラッシュ(登録商標)や、スマートメディア等の、可搬型アクセスポイント10に着脱自在に装着される任意の記憶媒体を採用することができる。
【0035】
WPSボタン145は、Wi−Fiアライアンスにより規定された仕様に則り、クライアントCL1に対して、無線通信に用いる各種設定情報(SSID(Service Set Identifier)や、セキュリティ種別や、セキュリティキーなど)を通知して設定させるためのボタンである。
【0036】
無線LAN制御回路152は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えばIEEE802.11a/b/gに準拠した無線LANのアクセスポイントとして動作し、無線LANクライアントと無線通信を行う。移動体通信制御回路154は、変調器やアンプ、アンテナを含み、3G/HSPA等に準拠した移動体通信の端末として、移動体通信網の基地局と無線通信を行う。
【0037】
USB制御回路160は、USB規格に従ったデータのやりとりを制御する。USB接続インターフェイス162は、制御回路160に接続されており、USB規格に従った物理的な接続インターフェイス群からなる。USB接続インターフェイス162は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、ホームゲートウェイ20において対向する後述のUSB接続インターフェイスと接続(接触)される。受電部172は、ホームゲートウェイ20から電源接続インターフェイス174を介して供給される電力を受けて、バッテリー170に電力を供給する。電源接続インターフェイス174は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、ホームゲートウェイ20において対向する後述の電源接続インターフェイスと接続(接触)される。電源接続インターフェイス174は、後述するホームゲートウェイ20の電源接続インターフェイスから供給される電力を、受電部172に送る。
【0038】
図4は、第1実施例のホームゲートウェイの詳細構成を示す説明図である。ホームゲートウェイ20は、CPU210と、ROM230と、RAM240と、WPSボタン245と、無線LAN制御回路252と、USB制御回路260と、USB接続インターフェイス262と、Ethernet(登録商標)インターフェイス268と、Ethernetスイッチ部266と、USB/Ethernet変換部264と、受電部272と、給電部273と、電源接続インターフェイス274とを備えている。ホームゲートウェイ20は、可搬型アクセスポイント10に比べて大型かつ重く、固定通信網PNと接続されていることから、ロケーションAに据え置かれて用いられる。
【0039】
CPU210は、ROM230に格納されているパケット中継用のアプリケーションプログラムを実行することにより、転送処理部212及び転送制御部213として機能する。転送処理部212は、ルータ機能部212rを備えている。転送処理部212は、
図3に示す可搬型アクセスポイント10の転送処理部112と同様であるので、説明を省略する。同様に、ルータ機能部212rは
図3に示す可搬型アクセスポイント10のルータ機能部112rと、転送制御部213は
図3に示す可搬型アクセスポイント10の転送制御部113と、それぞれ同様であるので、説明を省略する。
【0040】
また、CPU210は、ROM230に格納されているファイルのダウンロード用のプログラムを実行することにより、ダウンロード要求受付部214及びダウンロード実行部215として機能する。ダウンロード要求受付部214は、後述するダウンロード処理において、可搬型アクセスポイント10から送信されるダウンロード要求を受け付ける。ダウンロード実行部215は、後述するダウンロード処理において、指定されたURLに従ってサーバ50からのファイルのダウンロードを実行する。
【0041】
また、CPU210は、ROM230に格納されているファイル共有のためのプログラムを実行することにより、ファイル共有制御部218として機能する。ファイル共有のためのプログラムとして、例えば、CIFS(Common Internet File System)等のファイル共有のためのプロトコルを実現するためのプログラムを採用し得る。なお、CIFSを実現するためのプログラムを採用した場合に、ファイル共有制御部118は、CIFSクライアントとして動作する。
【0042】
ROM230には、上述した各プログラムに加えて、指定URL格納部231が格納されている。指定URL格納部231は、後述するダウンロード処理において、可搬型アクセスポイント10から送信されるダウンロード要求に含まれるURLを格納する。
【0043】
なお、ホームゲートウェイ20が有する各リソース(CPU210やROM230)は、可搬型アクセスポイント10が有する各リソース(CPU110やROM110)よりも、処理性能が高い。これは、ホームゲートウェイ20は、実装スペースの制限が可搬型アクセスポイント10に比べて緩いので、より多くのROMを搭載できたり、大型のヒートシンクを搭載できるので処理速度が高く高温になり易いCPUを搭載できる等の理由による。
【0044】
ROM230には、上述した各アプリケーションプログラムに加えて、指定URL格納部を有する。指定URL格納部231には、後述するダウンロード処理において、可搬型アクセスポイント10から送信されるダウンロード要求に含まれるURLを格納する。
【0045】
WPSボタン245は、
図3に示す可搬型アクセスポイント10のWPSボタン145と同じであるので、説明を省略する。同様に、無線LAN制御回路252は
図3に示す可搬型アクセスポイント10の無線LAN制御回路152と、USB制御回路260は
図3に示す可搬型アクセスポイント10のUSB制御回路160と、それぞれ同様であるので、説明を省略する。
【0046】
USB接続インターフェイス262は、USB規格に従った物理的な接続インターフェイス群からなり、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、可搬型アクセスポイント10において対向するUSB接続インターフェイス160と接続(接触)される。
【0047】
Ethernetインターフェイス268は、Ethernetにおけるレイヤ1,2のプロトコルを処理する機能部であり、固定通信網PNにおける図示しないアクセス回線と接続するためのネットワークケーブルが接続されている。Ethernetスイッチ部266は、Ethernetインターフェイス268及びUSB/Ethernet変換部264に接続されており、Ethernetインターフェイス268及びUSB/Ethernet変換部264から入力されるEthernetフレームを、宛先MAC(Media Access Control)アドレスに従って中継する。
【0048】
USB/Ethernet変換部264は、USB制御回路260及びUSB/Ethernet変換部264に接続されている。USB/Ethernet変換部264は、USB制御回路260から受信したUSBパケットをEthernetフレームに変換してEthernetスイッチ部266に出力し、また、Ethernetスイッチ部266から受信したEthernetフレームを、USBパケットに変換してUSB制御回路260に出力する。
【0049】
受電部272は、外部電源より供給される電力を受けて、給電部273に供給する。給電部273は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続される際に、受電部272から供給される電力を、電源接続インターフェイス274を介してホームゲートウェイ20に供給する。
【0050】
以上の構成を有する無線ネットワークシステムNSでは、後述するダウンロード要求受付処理及びダウンロード処理を実行することにより、第2接続態様においてクライアントCL1からファイルのダウンロード要求があった場合に、可搬型アクセスポイント10の負荷の増大を抑制しつつ、ダウンロードを実現することができる。
【0051】
前述の可搬型アクセスポイント10は、請求項における可搬型無線ネットワーク中継装置に相当する。また、ホームゲートウェイ20は請求項における据え置き型無線ネットワーク中継装置に、移動体通信網CNは請求項における第1の通信ネットワークに、移動体通信制御回路154は請求項における第1の通信インターフェイスに、ダウンロード要求受付部115は請求項における第1の要求受付部に、メモリカード136は記憶媒体に、ファイル共有制御部118は請求項におけるファイル格納制御部に、固定通信網PNは請求項における第2の通信ネットワークに、Ethernetインターフェイス268は請求項における第2の通信インターフェイスに、ダウンロード要求受付部214は請求項におけるダウンロード要求受信部に、ダウンロード実行部215は請求項における第1のファイル取得部に、ファイル共有制御部216は請求項におけるファイル送信部に、受電部172は請求項における受電部及び第1の給電部に、給電部273は請求項における第2の給電部に、接続監視部114は請求項における接続判定部に、それぞれ相当する。
【0052】
A2.ダウンロード要求受付処理:
図5は、第1実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行されるダウンロード要求受付処理の手順を示すフローチャートである。可搬型アクセスポイント10では、電源がオンされると、ダウンロード要求受付処理が実行される。
【0053】
可搬型アクセスポイント10において、接続監視部114は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されたか否かを監視している(ステップS105)。この監視は、例えば、電源接続インターフェイス174への給電の有無により実現することができる。また、例えば、USB規格における装置間の接続検出シーケンスによって実現することができる。
【0054】
可搬型アクセスポイント10において、ダウンロード要求受付部115は、ホームゲートウェイ20との接続が検出されないと(ステップS105:NO)、クライアントCL1からダウンロード要求を受信するか否かを監視する(ステップS110)。第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10の無線LAN通信機能は停止しているので、クライアントCL1からのファイルのダウンロード要求は受信しない。これに対して、第2接続態様では、可搬型アクセスポイント10の無線LAN通信機能(無線LANアクセスポイント機能)は動作しているので、クライアントCL1からのファイルのダウンロード要求を受信することができる。なお、クライアントCL1からのファイルのダウンロード要求は、例えば、サーバ50におけるファイルを特定するURLと、ダウンロード実行指示とがクライアントCL1のWEBブラウザに入力された場合に、クライアントCL1から可搬型アクセスポイント10に送信される。
【0055】
可搬型アクセスポイント10において、ダウンロード要求受付部115は、クライアントCL1からのファイルのダウンロード要求を受信すると(ステップS110:YES)、ダウンロード要求に含まれるURLを、指定URL格納部131に格納する(ステップS115)。
【0056】
前述のステップS105においてホームゲートウェイ20との接続が検出された場合(ステップS105:YES)には、接続が検出されなくなるまで待機する。また、前述のステップS110においてダウンロード要求の受信が検出されない場合(ステップS110:NO)は、ダウンロード要求の受信が検出されるまで待機する。
【0057】
このように、可搬型アクセスポイント10では、第2接続態様においてクライアントCL1からファイルのダウンロード要求を受信すると、ダウンロード要求に含まれる指定されたURLが指定URL格納部131に格納される。しかしながら、指定されたURLで特定されるファイルのダウンロードは即時に実行されず、後述するダウンロード処理において実行される。
【0058】
A3.ダウンロード処理:
図6は、第1実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行されるダウンロード処理の手順を示す第1のシーケンス図である。
図7は、第1実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行されるダウンロード処理の手順を示す第2のシーケンス図である。
図6及び
図7において、左側は可搬型アクセスポイント10において実行される手順を示すフローチャートを、右側はホームゲートウェイ20において実行される手順を示すフローチャートを、それぞれ示す。
図7に示すシーケンスは、
図6に示すシーケンスに引き続き実行される。可搬型アクセスポイント10及びホームゲートウェイ20では、それぞれ電源がオンされると、ダウンロード処理が実行される。
【0059】
図6に示すように、可搬型アクセスポイント10において、接続監視部114は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されたか否かを監視している(ステップ205)。この処理は、前述のダウンロード要求受付処理のステップS105と同じであるので、説明を省略する。
【0060】
可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との接続が検出されると(ステップS205:YES)、可搬型アクセスポイント10において、転送制御部113は、無線LAN制御回路152の動作を停止させる(ステップS210)。例えば、
図2に示す第2接続態様から、可搬型アクセスポイント10及びクライアントCL1がロケーションAに戻されて
図1に示す第1接続態様となった場合には、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されたと判定され、可搬型アクセスポイント10の無線通信機能(無線LANアクセスポイントとしての機能)は停止する。このように、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20とが接続されたと判定された場合に可搬型アクセスポイント10の無線通信機能を停止させるのは、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20との間におけるノイズ干渉や、電波干渉の発生を抑制するためである。
【0061】
可搬型アクセスポイント10において、ダウンロード要求送信部116は、USB制御回路160を制御して、ホームゲートウェイ検索パケットを、USB接続インターフェイス162を介して出力(ブロードキャスト)する(ステップS215)。このホームゲートウェイ検索パケットには、可搬型アクセスポイント10のMACアドレスが含まれている。
【0062】
ホームゲートウェイ20において、ダウンロード要求受付部214は、電源オンの後、USB接続インターフェイス262を介したホームゲートウェイ検索パケットの受信を監視している(ステップS305)。ダウンロード要求受付部214は、ホームゲートウェイ検索パケットの受信を検出すると(ステップS305:YES)、かかるパケットに含まれるMACアドレスを宛先アドレスとして、応答パケットを送信(返信)する(ステップS310)。この応答パケットには、ホームゲートウェイ20のMACアドレスが含まれている。
【0063】
可搬型アクセスポイント10において、ダウンロード要求送信部116は、ホームゲートウェイ検索パケットを送信した後(前述のステップS215の後)、応答パケットを受信するまで待機している(ステップS220)。ダウンロード要求送信部116は、応答パケットの受信を検出すると(ステップS220:YES)、指定URL格納部131にURLが格納されているか否かを判定する(ステップS225)。指定URL格納部131にURLが格納されていると判定されると(ステップS225:YES)、ダウンロード要求送信部116は、指定URL格納部131に格納されているURLを含むファイルのダウンロード要求パケットを、USB接続インターフェイス162を介してホームゲートウェイ20に送信する(ステップS230)。
【0064】
ホームゲートウェイ20において、ダウンロード要求受付部214は、応答パケットを送信した後(前述のステップS310の後)、所定期間内におけるダウンロード要求パケットの受信を監視している(ステップS315)。所定期間内にダウンロード要求パケットを受信しない場合(ステップS315:NO)、
図7に示すように、前述のステップS305に戻る。これに対し、所定期間内にダウンロード要求パケットを受信した場合(ステップS315:YES)、ダウンロード要求受付部214は、応答パケットを可搬型アクセスポイント10に送信する(ステップS320)。
【0065】
可搬型アクセスポイント10において、ダウンロード要求送信部116は、前述のステップS230の後、所定期間内にホームゲートウェイ20から応答パケットを受信するか否かを判定し(ステップS235)、応答パケットを受信しない場合(ステップS235:NO)、前述のステップS230に戻り、再度ダウンロード要求パケットをホームゲートウェイ20に送信する。これに対して、所定期間内に応答パケットを受信した場合(ステップS235:YES)、ファイル共有制御部118は、指定URL格納部131に格納されているURLを削除する(ステップS240)。
【0066】
ホームゲートウェイ20において、ダウンロード要求受付部214は、応答パケットを送信した後(前述のステップS320の後)、可搬型アクセスポイント10から受信した指定URLを指定URL格納部231に格納する(ステップS325)。
図7に示すように、ホームゲートウェイ20において、ダウンロード実行部215は、指定URL格納部231に格納されている指定URLに従って、ファイルのダウンロード要求をサーバ50に向けて送信する(ステップS330)。
【0067】
サーバ50へのダウンロード要求は、Ethernetインターフェイス268を介して固定通信網PNに出力され、固定通信網PN及びインターネットINTを介してサーバ50に到達する。サーバ50からのファイルの送信(ダウンロード)は、インターネットINT及び固定通信網PNを介してホームゲートウェイ20に届く。このように、無線ネットワークシステムNSでは、サーバ50へのファイルのダウンロード要求の送信、及びサーバ50からのファイルのダウンロードは、いずれも固定通信網PNを介して実行される。これは、移動体通信網CNに比べて通信帯域のより広い通信ネットワークを介してファイルのダウンロードを行うことで、高速ダウンロードを実現するためである。加えて、サーバ50へのファイルのダウンロード要求の送信、及びサーバ50からのファイルのダウンロードは、いずれもホームゲートウェイ20において行われる。これは、より高い性能のリソース(CPUやROM)を有する装置においてファイルのダウンロードを行うことで、高速ダウンロードを実現するためである。
【0068】
ホームゲートウェイ20において、ファイル共有制御部216は、サーバ50からダウンロードされたファイルを、USB接続インターフェイス262を介して可搬型アクセスポイント10に送信し(ステップS335)、再び前述のステップS305に戻る。
【0069】
図7に示すように、可搬型アクセスポイント10において、ファイル共有制御部118は、前述のステップS240の後、又は、前述のステップS225において指定URL格納部131にURLが格納されていないと判定された場合(ステップS225:NO)、所定期間内にダウンロードされたファイルを受信するか否かを判定する(ステップS245)。所定期間内にダウンロードファイルを受信した場合(ステップS245:YES)、ファイル共有制御部118は、受信したファイルをメモリカード136に格納する(ステップS250)。このように、メモリカード136に格納するのは、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20から取り外され、第2接続態様から第1接続態様に変わった後に、クライアントCL1に対して、メモリカード136に格納されているファイルを供給できるからである。前述のステップS245において、所定期間内にダウンロードファイルを受信しないと判定されると(ステップS245:NO)、前述のステップS205に戻る。
【0070】
以上説明した第1実施例の無線ネットワークシステムNSでは、第2接続態様において、クライアントCL1からのダウンロード要求を可搬型アクセスポイント10において受信し、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20と物理的に接続された場合に、ダウンロード要求で指定されたURLを含むダウンロード要求を、ホームゲートウェイ20に送信する。ホームゲートウェイ20は、可搬型アクセスポイント10から受信した指定URLにより特定されるファイルをサーバ50からダウンロードする。したがって、ファイルのダウンロードは、ホームゲートウェイ20において実行されるので、可搬型アクセスポイント10の処理負荷の増大を抑制しつつ、ファイルのダウンロードを実現させることができる。それゆえ、バッテリー170の残容量の大幅な低減を抑制することができると共に、可搬型アクセスポイント10が他の通信を処理している場合に、この他の通信への影響を抑制できる。
【0071】
加えて、ホームゲートウェイ20におけるファイルのダウンロードは、通信帯域が比較的広い固定通信網PNを介して実行されるので、高速ダウンロードを実現できる。また、ホームゲートウェイ20は、可搬型アクセスポイント10に比べてより高い性能のリソース(CPUやROM)を有するので、高速ダウンロードを実現できる。したがって、第1実施例の無線ネットワークシステムNSによると、第2接続態様において、可搬型アクセスポイント10に接続されたクライアントCL1からファイルのダウンロード要求があった場合に、ダウンロードの処理に要する期間を短くすることができる。
【0072】
また、ダウンロードされたファイルは、可搬型アクセスポイント10が有するメモリカード136に格納されるので、第1接続態様から再び第2接続態様となった場合などにおいて、可搬型アクセスポイント10からクライアントCL1にダウンロードされたファイルを提供することができる。したがって、第1実施例の無線ネットワークシステムNSによれば、例えば、以下のような利用形態が実現できる。可搬型アクセスポイント10が移動体通信網CNと接続できない場所(例えば、地下など)において第2接続態様が実現されており、クライアントCL1からファイルのダウンロード要求があった場合には、可搬型アクセスポイント10のバッテリー170を充電するためにホームゲートウェイ20に可搬型アクセスポイント10が接続された際にファイルがダウンロードされる。その後、再び第2接続態様となった場合に、可搬型アクセスポイント10からクライアントCL1にファイルを供給する。このような利用形態によると、再び第2接続態様となった場所が地下等であっても、ユーザは、ファイルの閲覧等を行うことができる。
【0073】
また、ダウンロードされたファイルの格納先はメモリカード136なので、メモリカード136として、大容量の記憶領域を有するメモリカードを用いることにより、ファイルサイズの大きなファイルをダウンロードして格納させることができる。
【0074】
また、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20とが互いに接続された場合に、可搬型アクセスポイント10の無線通信機能が停止されるので、クライアントCL1が、いずれの装置と通信したらよいか分からず、ダウンロード要求を送信できなくなることを抑制できる。
【0075】
B.第2実施例:
図8は、第2実施例の可搬型アクセスポイントの詳細構成を示すブロック図である。
図9は、第2実施例のホームゲートウェイの詳細構成を示すブロック図である。
図8に示す可搬型アクセスポイント10aは、CPU110が接続監視部として機能しない点において、
図3に示す第1実施例の可搬型アクセスポイント10と異なり、他の構成は、第1実施例の可搬型アクセスポイント10と同じである。
図9に示すホームゲートウェイ20aは、CPU210が接続監視部217として機能する点において、
図4に示す第1実施例のホームゲートウェイ20と異なり、他の構成は、第1実施例のホームゲートウェイ20と同じである。なお、接続監視部217は、請求項における接続判定部に相当する。
【0076】
図10は、第2実施例の無線ネットワークシステムにおいて実行されるダウンロード処理の手順を示すシーケンス図である。
図10において左側及び右側は、
図6に示す第1実施例のシーケンス図の左側及び右側と同じであるので、説明を省略する。なお、
図10に示すシーケンスに引き続き、前述の
図7に示すシーケンスが実行される。第2実施例の無線ネットワークシステムでは、可搬型アクセスポイント10aがホームゲートウェイ20aに接続されると、ホームゲートウェイ20aから可搬型アクセスポイント10aにダウンロード要求の送信が要求され、この要求に応じて、可搬型アクセスポイント10aがダウンロード要求をホームゲートウェイ20aに送信する。
【0077】
具体的には、ホームゲートウェイ20aにおいて、接続監視部217は、可搬型アクセスポイント10がホームゲートウェイ20に接続されたか否かを監視する(ステップS505)。この処理は、
図6に示す第1実施例のステップS205と同様である。
【0078】
ステップS505において、可搬型アクセスポイント10aとホームゲートウェイ20aとの接続が検出されると(ステップS505:YES)、ホームゲートウェイ20aにおいて、ダウンロード要求受付部214は、可搬型アクセスポイント検索パケットを、USB接続インターフェイス262を介して送信(ブロードキャスト)する(ステップS510)。この処理は、
図6に示すステップS215と同様である。なお、第2実施例において、ダウンロード要求受付部214は、請求項における送信要求送信部に相当する。
【0079】
可搬型アクセスポイント10aにおいて、ダウンロード要求送信部116は、電源オンの後、USB接続インターフェイス162を介した可搬型アクセスポイント検索パケットの受信を監視している(ステップS405)。ダウンロード要求送信部116は、可搬型アクセスポイント検索パケットの受信を検出すると(ステップS405:YES)、前述のステップS210(無線LAN機能停止)を行い、応答パケットをホームゲートウェイ20aに送信する(ステップS415)。
【0080】
ホームゲートウェイ20aにおいて、ダウンロード要求受付部214は、前述のステップS510の後、応答パケットを受信するまで待機している(ステップS515)。ダウンロード要求受付部214は、応答パケットを受信すると(ステップS515:YES)、ダウンロード要求の送信要求パケットを、USB接続インターフェイス262を介して可搬型アクセスポイント10aに送信する(ステップS520)。ステップS520が実行された後、ホームゲートウェイ20aでは、ステップS315以降の処理が実行される。
【0081】
可搬型アクセスポイント10aにおいて、ダウンロード要求送信部116は、前述のステップS415の後、ダウンロード要求の送信要求パケットを受信するまで待機している(ステップS420)。ダウンロード要求送信部116は、ダウンロード要求の送信要求パケットを受信すると(ステップS420:YES)、前述のステップS225を実行し、以下、可搬型アクセスポイント10aにおいて、ステップS230以降の処理が実行される。
【0082】
以上の構成を有する第2実施例の無線ネットワークシステムは、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと同じ効果を有する。加えて、可搬型アクセスポイント10aは、ホームゲートウェイ20aとの接続監視や、無線通信設定情報群の能動的な送信を行わないので、可搬型アクセスポイント10aにおける負荷を軽減できる。
【0083】
C.第3実施例:
図11は、第3実施例におけるダウンロード要求受付処理の手順を示すフローチャートである。第3実施例の無線ネットワークシステムは、第2接続態様において、所定の条件を満たす場合に、可搬型アクセスポイント10において、ファイルのダウンロードが実行される点において、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと異なり、他の構成は、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと同じである。
【0084】
図11に示すように、第3実施例のダウンロード要求受付処理は、ステップS120〜S145を追加して実行する点において、
図5に示す第1実施例のダウンロード要求受付処理と異なり、他の手順は、第1実施例と同じである。
【0085】
可搬型アクセスポイント10において、ダウンロード要求に含まれるURLが指定URL格納部131に格納されると(ステップS115)、ユーザインターフェイス提供部117は、ダウンロードのタイミングを指定するための操作画面を生成してクライアントCL1に送ることにより、かかる操作画面をクライアントCL1に表示させる(ステップS120)。
【0086】
図12は、ステップS120において、クライアントに表示される操作画面を示す説明図である。この操作画面W10は、ダウンロードのタイミングを指定するための領域A1と、決定ボタンB3と、キャンセルボタンB4とを備えている。
図12に示すように、領域A1には、ダウンロードのタイミングを指定するための2つのラジオボタンB1,B2が配置されている。ラジオボタンB1は、ダウンロードのタイミングとして「即時」を指定するためのボタンである。ラジオボタンB2は、ダウンロードのタイミングとして「後ほど」を指定するためのボタンである。タイミング「即時」とは、決定ボタンB3が押下された場合に、即座にファイルのダウンロードを実行することを意味する。これに対して、タイミング「後ほど」とは、第1実施例と同様に、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20とが互いに物理的に接続されて第1接続態様となった際に、ファイルのダウンロードを実行することを意味する。
図12の例では、ラジオボタンB1が選択されている。なお、第3実施例において、操作画面W10は、請求項におけるユーザインターフェイスに相当する。
【0087】
図12に示す操作画面W10において、ダウンロードのタイミングが選択されて、決定ボタンB3が押されると、選択されたダウンロードのタイミングを示す情報が、クライアントCL1から可搬型アクセスポイント10に送信される。
【0088】
前述のステップS120の後、
図11に示すように、可搬型アクセスポイント10において、ダウンロード要求受付部115は、ダウンロードのタイミングを示す情報を受信するまで待機しており(ステップS125)、かかる情報を受信すると、指定されたダウンロードのタイミングが「即時」であるか否かを判定する(ステップS130)。
【0089】
前述のステップS130において、指定されたダウンロードのタイミングが「即時」でない、すなわち、「後ほど」の場合には、前述のステップS105に戻る。したがって、この場合には、第1実施例と同様にしてダウンロード処理が実行され、第1接続態様となった際に、ファイルのダウンロードが実行される。
【0090】
前述のステップS130において、指定されたダウンロードのタイミングが「即時」の場合(ステップS130:YES)、ダウンロード要求送信部116は、移動体通信制御回路154を制御して、移動体通信網CNに発信する(ステップS135)。
【0091】
ダウンロード要求送信部116は、指定URL格納部131に格納されている指定URLに従って、ファイルのダウンロード要求をサーバ50に向けて送信する(ステップS140)。ダウンロード要求送信部116は、サーバ50からダウンロードされたファイルを、ファイル共有制御部118を制御して、メモリカード136に格納する(ステップS145)。このように、第3実施例では、ユーザにより指定されたダウンロードタイミングが「即時」の場合には、サーバ50へのダウンロード要求の送信、及びサーバ50からのファイルのダウンロードは、可搬型アクセスポイント10によって移動体通信網CNを介して実行される。なお、第3実施例において、ダウンロード要求送信部116は、請求項における第2のファイル取得部にも相当する。
【0092】
以上の構成を有する第3実施例の無線ネットワークシステムは、指定されたダウンロードタイミングが「即時」でない場合には、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと同様の効果を有する。加えて、ダウンロードのタイミングを指定するための操作画面W10をクライアントCL1に表示させ、かかる操作画面W10において指定(選択)されたタイミングに従ってファイルのダウンロードを行うので、ユーザは、ファイルのダウンロードの実行タイミングを制御することができる。したがって、例えば、クライアントCL1が移動体通信網CNを介した他の通信を行っていない場合などには、他の通信に影響を与えることなく、かつ、ファイルの取得に要する期間を短くすることができる。また、例えば、ファイルサイズの小さいファイルをダウンロードしようとする場合には、可搬型アクセスポイント10を介してファイルをダウンロードしても、バッテリー170の残容量の大幅な低減は発生しない。したがって、このような場合には、可搬型アクセスポイント10を介してファイルをダウンロードすることにより、ファイルの取得に要する期間を短くすることができる。
【0093】
D.第4実施例:
図13は、第4実施例の無線ネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。
図13では、第4実施例の無線ネットワークシステムNSaの第1接続態様を示している。第4実施例の無線ネットワークシステムNSaは、可搬型アクセスポイント10がクレードル40を介してホームゲートウェイ20bと接続される点において、
図1に示す第1実施例の無線ネットワークシステムNSと異なり、他の構成は、第1実施例の無線ネットワークシステムNSと同じである。クレードル40は、ネットワークケーブルCa1によりホームゲートウェイ20bに接続されている。クレードル40は、接触により可搬型アクセスポイント10に物理的に接続されると、可搬型アクセスポイント10に給電すると共に、可搬型アクセスポイント10とホームゲートウェイ20bとの間のデータのやりとりを仲介する。
【0094】
図14は、
図13に示すクレードルの詳細構成を示すブロック図である。クレードル40は、USB制御回路460と、USB接続インターフェイス462と、USB/Ethernet変換部464と、Ethernetスイッチ部466と、Ethernetインターフェイス468と、受電部472と、給電部473と、電源接続インターフェイス474とを備えている。
【0095】
USB制御回路460は、
図4に示す第1実施例のUSB制御回路260と同じ機能を有するので、説明を省略する。同様に、USB接続インターフェイス462は
図4に示すUSB接続インターフェイス262と、USB/Ethernet変換部464は
図4に示すUSB/Ethernet変換部264と、Ethernetスイッチ部466は
図4に示すEthernetスイッチ部266と、受電部472は
図4に示す受電部272と、給電部473は
図4に示す給電部273と、電源接続インターフェイス474は
図4に示す電源接続インターフェイス274と、それぞれ同じ機能を有するので、説明を省略する。
【0096】
図15は、第4実施例のホームゲートウェイの詳細構成を示すブロック図である。第4実施例のホームゲートウェイ20bは、USB制御回路260と、USB接続インターフェイス262と、USB/Ethernet変換部264と、電源接続インターフェイス274とを備えていない点において、
図4に示す第1実施例のホームゲートウェイ20と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。すなわち、第4実施例では、第1実施例のホームゲートウェイ20の一部の機能部が、クレードル40によって実現されている。換言すると、第4実施例のホームゲートウェイ20b及びクレードル40は、第1実施例のホームゲートウェイ20に相当する。
【0097】
第4実施例におけるダウンロード受付処理は、第1実施例のダウンロード受付処理と同じである。また、第4実施例におけるダウンロード処理は、ホームゲートウェイ20bと可搬型アクセスポイント10との間の情報のやりとりを、クレードル40が中継する点において、
図5に示す第1実施例の設定更新処理と異なり、他の手順は第1実施例と同じである。
【0098】
以上の構成を有する第4実施例の無線ネットワークシステムNSaは、第1実施例と同じ効果を有する。加えて、第3実施例では、USB/Ethernetの変換は、クレードル40が実行するので、USB/Ethernet変換を行う機能部を有していないホームゲートウェイを用いて無線ネットワークシステムNSaを実現することができる。
【0099】
E.変形例:
この発明は、上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0100】
E1.変形例1:
第3実施例では、操作画面W10により指定可能なファイルのダウンロードのタイミングは、「即座」又は「後ほど」であったが、本発明は、これらのタイミングに限定されるものではない。例えば、「10分以内」又は「10分よりも後」など、所定期間内又は所定期間経過した後といったタイミングを指定可能とすることができる。この構成では、「所定期間内」が選択された場合には、所定期間の任意のタイミングで、可搬型アクセスポイント10を介してサーバ50にダウンロード要求を送信し、「所定期間経過した後」が選択された場合には、所定期間経過した後において、第1接続態様となった場合に、第1実施例と同様にして、可搬型アクセスポイント10を介してサーバ50にダウンロード要求を送信することができる。
【0101】
また、第3実施例では、ファイルをダウンロードするタイミングの指定を許容するユーザインターフェイスは、クライアントCL1に表示される操作画面W10であったが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、可搬型アクセスポイント10にダウンロードのタイミングを指定するためのボタン(例えば、「即座」を指定するためのボタンと、「後ほど」を指定するためのボタン)を配置することもできる。すなわち、一般には、ファイルをダウンロードするタイミングの指定を許容する任意のユーザインターフェイスを、本発明の無線ネットワークシステムに採用することができる。
【0102】
E2.変形例2:
第1,2,4実施例では、ファイルのダウンロードのタイミングは、第1接続態様となって、可搬型アクセスポイント10,10aとホームゲートウェイ20,20a,20bとが、互いに物理的に接触されたタイミングであった。また、第3実施例では、操作画面W10により指定されたタイミングであった。しかしながら、本発明は、これらのタイミングに限定されるものではない。例えば、ダウンロード受付処理において、ダウンロード要求に含まれるURLが指定URL格納部131に格納された後(ステップS115の後)に、移動体基地局CBから出力される信号の受信信号強度を検出し、受信信号強度が所定の強度よりも強い場合には、可搬型アクセスポイント10を介して即座にダウンロードを実行し、受信信号強度が所定の強度よりも弱い場合には、第1実施例と同様に、第1接続態様となった場合にダウンロードを実行する構成を採用することもできる。
【0103】
E3.変形例3:
各実施例では、クライアントCL1からのダウンロード要求は可搬型アクセスポイント10,10aが受け付けていたが、可搬型アクセスポイント10,10aに代えて、ホームゲートウェイ20,20a,20bが受け付ける構成を採用することができる。例えば、第1接続態様では、可搬型アクセスポイント10,10aの無線LAN通信機能(無線LANアクセスポイント機能)は停止しているため、第1接続態様においてクライアントCL1からダウンロード要求があった場合には、ホームゲートウェイ20,20a,20bがかかる要求を受け付ける構成を採用することが好ましい。この構成では、ホームゲートウェイ20,20a,20bにおいて、ステップS325以降の処理を実行することにより、ダウンロードしたファイルを可搬型アクセスポイント10,10aのメモリカード136に格納することができる。なお、ホームゲートウェイ20,20a,20bにおいて、ダウンロード要求受付部214がダウンロード要求を受け付ける構成では、ダウンロード要求受付部214は、請求項における第2の要求受付部に相当する。
【0104】
E4.変形例4:
各実施例では、ダウンロードしたファイルの格納先は、可搬型アクセスポイント10,10aに装着されたメモリカード136であったが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ホームゲートウェイ20,20a,20bがハードディスクを備える構成であれば、かかるハードディスクをダウンロードファイルの格納先とすることもできる。このような構成により、第1接続態様においてサーバ50にダウンロード要求を送信したにも関わらず、ネットワーク障害やサーバ50の故障等によりファイルをダウンロードできないまま、可搬型アクセスポイント10,10aがホームゲートウェイ20,20a,20bから取り外された場合においても、その後ダウンロードが成功した場合に、ファイルを格納しておくことができる。また、この構成では、その後再び第1接続態様となった際に、ダウンロードしたおいたファイルを可搬型アクセスポイント10,10aに送信することができる。その際、可搬型アクセスポイント10,10aに送信したファイルはハードディスクから削除することが好ましい。また、ホームゲートウェイ20,20a,20bにネットワークを介して記憶装置を有する装置(例えば、NAS(Network Attached Storage))が接続されている構成では、かかる装置にダウンロードしたファイルを格納することもできる。
【0105】
E5.変形例5:
各実施例では、サーバ50は、インターネットINTを介してホームゲートウェイ20と接続されていたが、インターネットINTに代えて、電気通信事業者等が提供する広域イーサネット(イーサネットは登録商標)網や、IP−VPN網を介して接続される構成を採用することができる。また、ホームゲートウェイ20,20a,20bが、無線LAN31とは異なるLANと接続された構成では、かかるLANを介してサーバ50と接続される構成を採用することができる。
【0106】
E6.変形例6:
各実施例では、ダウンロード対象となるファイルを特定する情報は、URLであったが、URLに代えて、URN(Uniform Resource Name)など、ファイルを特定可能な任意の情報(URI:Uniform Resource Identifier)を採用することができる。
【0107】
E7.変形例7:
各実施例では、クライアントCL1をインターネットINTに接続させるための無線ネットワーク中継装置として、可搬型アクセスポイント及びホームゲートウェイを用いていたが、本発明は、これらの装置に限定されるものではない。可搬型アクセスポイント10,10aに代えて、無線LANアクセスポイントの機能や、移動体通信網の移動体基地局と無線通信を行う機能や、ルータ機能を有する任意の装置(例えば、携帯電話端末)を採用することができる。また、ホームゲートウェイ20,20a,20bに代えて、レイヤ3スイッチなど、無線LANアクセスポイント及びルータとして動作し、固定通信網PNに接続可能な任意の無線ネットワーク中継装置を採用することができる。
【0108】
E8.変形例8:
各実施例では、固定通信網PNの通信帯域は、移動体通信網CNの通信帯域よりも広い構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。固定通信網PNと移動体通信網CNとで通信帯域が同じ構成や、固定通信網PNの通信帯域が移動体通信網CNの通信帯域よりも狭い構成を採用することもできる。これらの構成においても、ファイルのダウンロードは、ホームゲートウェイ20,20a,20bにおいて実行されるので、可搬型アクセスポイント10、10aの処理負荷の増大を抑制できる。
【0109】
E9.変形例9:
各実施例における可搬型アクセスポイント10,10aや、ホームゲートウェイ20,20a,20bの構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、各実施例において、無線LAN制御回路152,252は、IEEE802.11a/b/gに準拠した無線LANに限らず、将来的に利用可能となる無線LAN一般により無線通信を行う無線通信インターフェイスであるとしてもよい。また、移動体通信制御回路154は、3G/HSPAに準拠した移動体通信に限らず、例えばLTEや次世代モバイルWiMAX(IEEE802.16m)、次世代PHS(XGP:eXtended Global Platform)といった将来的に利用可能となる移動体通信一般により無線通信を行う無線通信インターフェイスであるとしてもよい。
【0110】
また、各実施例では、可搬型アクセスポイントとホームゲートウェイとの間におけるデータのやりとりのための接続インターフェイスは、USBであったが、USBに代えて、他の任意の通信インターフェイスを採用することができる。また、本発明は、無線LANや移動体通信に限らず、所定の無線ネットワークにおける無線通信一般に適用することができる。
【0111】
また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。