特許第5737115号(P5737115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737115
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】非常通報システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20150528BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20150528BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   H04M11/04
   G08B25/08 C
   G08B25/04 E
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-219149(P2011-219149)
(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公開番号】特開2013-81019(P2013-81019A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2014年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 峰雄
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 修一
(72)【発明者】
【氏名】木谷 信哉
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−265088(JP,A)
【文献】 特開2010−176457(JP,A)
【文献】 特開2009−163419(JP,A)
【文献】 特開平06−284200(JP,A)
【文献】 特開2006−270289(JP,A)
【文献】 特開2009−080694(JP,A)
【文献】 特開2010−033458(JP,A)
【文献】 特開2012−073947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00−15/02
17/02−31/00
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種センサが接続されたセキュリティセンサ機器と、前記セキュリティセンサ機器からの発報を受けて通報を行う非常通報用端末と、非常通報用端末からの通報を受信する警備センタとからなる非常通報システムであって、前記警備センタは、緊急通報先である警察等へ通報する際、まず中継転送情報である緊急通報先の電話番号を非常通報用端末へ送信する送信手段を備え、
前記非常通報用端末は、複数の異なる回線を接続する回線接続手段を備え、
前記回線接続手段は、前記警備センタから受信した発信元番号が中継転送用番号であると判断した場合に前記警備センタとの接続回線を保持したまま、前記中継転送情報である緊急通報先の電話番号に対して緊急通報の発信を行うことにより、前記警備センタと緊急通報先との接続を確立することを特徴とする非常通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークを利用した緊急通報装置に係り、特に、異常発生等の非常時に異常発生元の通報用端末を管轄している警察等の機関へ通報可能になる非常通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、異常を検知したセンサから発報を受けた通報用端末が、警備センタへ通報を行い。警備センタから警察等の機関へ通報する非常通報システムが知られている(図6)。しかしながら、従来の非常通報システムでは、警備センタから通報を受けた警察は、まず警備センタのコールセンターと通信を行い、状況把握することになる。これでは緊急を要する非常時には間に合わないという虞があった。
【0003】
また、特許文献1に示されているように、WANのような無線ネットワークを構築することにより、通報者の端末からマルチホップ接続することによって緊急連絡先へ通報し、通報者と直接連絡を取るシステムが提案されている。
【特許文献1】特開2005−79687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の公知技術では、事前にネットワークを構築する必要があり、多大な費用が掛かってしまう。また、マルチホップ接続を連続で行ったとしても、緊急連絡先まで接続できるかどうかも分からず、時間が掛かってしまう虞がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、通報の発信元である通報用端末を管轄している警察等あるいは最寄の警察等へ確実に通報可能な非常通報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、各種センサが接続されたセキュリティセンサ機器と、前記セキュリティセンサ機器からの発報を受けて通報を行う非常通報用端末と、非常通報用端末からの通報を受信する警備センタとからなる非常通報システムであって、前記警備センタは、緊急通報先である警察等へ通報する際、まず中継転送情報である緊急通報先の電話番号を非常通報用端末へ送信する送信手段を備え、
前記非常通報用端末は、複数の異なる回線を接続する回線接続手段を備え、
前記回線接続手段は、前記警備センタから受信した発信元番号が中継転送用番号であると判断した場合に前記警備センタとの接続回線を保持したまま、前記中継転送情報である緊急通報先の電話番号に対して緊急通報の発信を行うことにより、前記警備センタと緊急通報先との接続を確立することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように本発明によれば、既設のシステムにも活用でき、かつ低コストで非常通報システムを実現することができる。
さらに、通報元端末を管轄している通報先機関へ確実に通信することにより、緊急の異常発生等にも迅速に対応可能な非常通報システムを実現することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1に、実施の形態に係る非常通報システムの全体構成を示す。
図1に示すように、非常通報システム100は、各種異常を検知するセキュリティ機器101と、セキュリティ機器101からの発報を受信することにより、非常通報を警備センタへ通報する非常通報用端末201と、非常通報用端末201からの非常通報を受信することにより、警察へ通信を行う警備センタ301とからなる非常通報システムである。
非常通報用端末201と警備センタ301は、ルータを介してIP網で接続されており、警備センタ301と警察はアナログ回線で接続されている。
【0010】
図2に、セキュリティ機器101の構成例を示す。セキュリティ機器101は、各種異常を検知するセンサ部111と、センサ部111の検知結果によって発報を行う発報部112と、図示しないCPUから構成されている。
センサ部111は、異常を検知するセンサであれば種類を限定しない。例えば、侵入者検知用のマグネットセンサであってもよいし、赤外線センサであってもよい。また、火災センサであってもよいし、煙センサであってもよい。さらに、一つのセンサに限られることはなく、複数のセンサが複合してもよい。
また、センサ自体はセキュリティ機器101に内蔵されていてもよく、外付けで接続されていてもよい。
発報部112は、センサ部111の検知結果を非常通報用端末201に発報する。
発報の際、どの種類のセンサが検知したのか分かるようにセンサごとにIDを付与し、センサIDも発報する。
また、場所も特定できるように、セキュリティ機器101自身のID情報も発報する。この際、場所を特定する情報としてIDだけではなく、セキュリティ機器101のGPS情報を発報してもよい。
【0011】
図3に、非常通報用端末201の構成例を示す。非常通報用端末201は、セキュリティ機器101からの発報を受信するとともに、警備センタシステム301へ通報する送受信211と、音声変換処理部212と、通報先選定部213およびCPUから構成されている。
送受信部211は、セキュリティ機器101からの発報を受信し、後述する通報先選定部213が選定した通報先へ通報を行う。この際、通報先選定部213で選定した通報先情報と、セキュリティ機器情報と、センサ情報と、非常通報用端末情報を警備センタシステムへ通報する。
通報先情報は、通報先をIDとして通知してもよいし、電話番号をそのまま通知してもよい。セキュリティ機器情報は、セキュリティ機器101から受信した、位置(場所)情報であり、センサ情報はセキュリティ機器101から受信したセンサ情報であり、非常通報用端末情報は、非常通報用端末の場所を特定できるID情報もしくはGPS情報である。
さらに、送受信部211はIP回線とアナログ回線との接続インターフェイスを備えている。
通報先選定部213は、受信したセンサ情報を基にどこへ通報すべきか決定する。
具体的には、火災センサからの発報であった場合には、消防署を通報先として選定し、マグネットセンサからの発報であった場合には、警察を通報先として選定する。
音声変換処理部212は、後述するIP回線とアナログ回線が接続する際、音声変換を行う。
送受信部211と音声変換処理部212、および通報先選定部213とCPUは図示しないCPU内の制御部によって制御されている。
【0012】
図4に、警備センタ301の構成例を示す。警備センタ301は、非常通報用端末201からの通報、情報を受信するとともに非常通報用端末201からの通報を受けて非常通報用端末201経由で警察401へ通報する送受信部311と、警察署や消防署等の通報先を選定する通報先選定部312から構成されている。
送受信部311は、非常通報用端末201からの通報を受信し、後述する通報先選定部312が選定した通報先へ通報を行う。
通報先選定部312は、受信したセンサ情報を基にどこへ通報すべきか決定する。
具体的には、火災センサからの発報であった場合には、消防署を通報先として選定し、マグネットセンサからの発報であった場合には、警察を通報先として選定する。
ただし、非常通報用端末201の通報先選定部213において、既に通報先が決定している場合は処理しない。
さらに、送受信部311は、通報先選定部312で選定もしくは非常通報用端末201から受信した通報先情報から割出した通報先へ通報を行い、通報と同時に送信する情報として、非常通報用端末情報とセキュリティ機器情報と、センサ情報を警備センタシステムへ通報する。
セキュリティ機器情報は、セキュリティ機器101から受信した、位置(場所)情報であり、センサ情報はセキュリティ機器101から受信したセンサ情報であり、非常通報用端末情報は、非常通報用端末情報201から受信した、位置(場所)情報である。
また、送受信部311と通報先選定部312とCPUは図示しないCPU内の制御部によって制御されている。
【0013】
次に本システムの動作について説明する。
図5は、本例の非常通報システム100における非常通報時における非常通報処理の例を示すフローチャートである。今回はセキュリティ機器を設置した部屋において、侵入者を検知したものとして説明する。
【0014】
セキュリティ機器101に接続されているセンサ(ここではマグネットセンサとする)が侵入者を検知したとする。
侵入者を検知したマグネットセンサは、セキュリティ機器101から非常通報用端末201へ発報する(S501)。
この際、セキュリティ機器101に複数のセンサが接続されている場合は、どのセンサが検知したのか分かるようにセンサID情報を送信する。また、センサID情報を送信することにより、センサが設置されている場所を把握できるようになる。
場所の把握に関しては、センサにGPS受信機を備え付け、GPS情報を付加してもよい。
セキュリティ機器101からの発報を受けた非常通報用端末201は、送受信部211によって受信したセンサIDからセンサが設置してあった場所、検知したセンサの種類を特定する。
【0015】
ここで、非常通報用端末201の通報先選定部213において、通報先の選定を行う。
例えば、送受信部211によって特定されたセンサの種類が火災報知器の場合は、消防署を通報先とし、特定されたセンサの種類がマグネットセンサの場合は、警察署を通報先とする。
その後、送受信部211によって警備センタ301へ通報を行う(S502)。
通報を行う際、検知したセンサID情報、通報元である非常通報用端末ID情報あるいは電話番号、通報先情報を付加する。通報先情報はID情報であってもよいし、電話番号であってもよい。
【0016】
通報を受けた警備センタ301は、送受信部311で受信したセンサID情報、非常通報用端末ID情報から、それぞれ検知センサの種類と位置、非常通報用端末の位置、電話番号ならびに通報先を特定する。ここでは通報先を警察とする。
なお、ここまでの通信においてID情報を送受信する方法を採用したが、ID情報ではなく実際のセンサ種類、位置情報、電話番号を情報としてそのまま送受信してもよい。
次に警備センタ301から通報先へ通報を行うために、まず非常通報用端末201へ通報を行う(S503)。
ここで、警備センタ301から非常通報用端末201を介して、警察401へ通報を行う方法(S503→S504)として以下の方法が考えられる。
【0017】
第1の実施例は、警備センタ301は非常通報用端末201を通報先とし非常通報用端末201の電話番号を発信するとともに、転送用ID情報(ここでは警察のID)を付加して通報を行う。
通報を受けた非常通報用端末201は、転送用ID情報が付加されていることを確認するとともに、転送用ID情報から転送先電話番号を割出し、転送先である警察へ転送を行う。
この場合、非常通報用端末201は警備センタ301からの通信(通報)を回線を保持したまま警察へ転送を行い、アナログ回線である警察とIP回線である警備センタとの通信接続を確立する(S505)。
通話に関しては回線が異なることから、非常通報用端末201の音声変換処理部212において、アナログ回線とIP回線の音声変換を行うことで通話を可能とする。
転送用ID情報から転送先電話番号を割出す場合は、図示しない転送先テーブルを参照する。
【0018】
第2の実施例は、中継用電話番号を使用する方法であり、非常通報用端末201は受信する発信元電話番号が中継用電話番号の場合は回線を保持したまま転送する方法である。
警備センタ301は中継用電話番号を使用し、非常通報用端末201へ通報を行う。通報を受けた非常通報用端末201は、受信した電話番号が中継用電話番号であった場合、IP回線を保持したまま送信された中継用電話番号を用いて警察へ発信を行い、アナログ回線である警察とIP回線である警備センタとの通信接続を確立する(S505)。受信した電話番号が中継用電話番号かどうかの判断は図示しない中継用電話番号テーブルを参照すればよい。
通話に関しては回線が異なることから、非常通報用端末201の音声変換処理部212において、アナログ回線とIP回線の音声変換を行うことで通話を可能とする。
【0019】
第3の実施例は、中継転送コマンドを使用する方法であり、非常通報用端末201は警備センタから中継転送コマンドを受信したと判断した場合、通報先の警察へ回線を保持したまま中継転送する方法である。
警備センタ301は中継転送コマンドとして、指定した通報先へ通報するコマンドを非常通報用端末201へ送信する。コマンドを受けた非常通報用端末201は、受信したコマンドが中継転送コマンドであった場合、IP回線を保持したまま、コマンドで指定された中継転送先である警察へ発信を行い、アナログ回線である警察とIP回線である警備センタとの通信接続を確立する(S505)。
通話に関しては回線が異なることから、非常通報用端末201の音声変換処理部212において、アナログ回線とIP回線の音声変換を行うことで通話を可能とする。
【0020】
上記複数の方法によって警備センタから非常通報用端末201を介して警察401へ通報が行われる。
本システムによれば、実際に異常が発生した非常通報用端末を管轄している警察等へ確実に通報可能となり、より迅速な対応が可能になる。さらに、異常状態の把握も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る非常通報システムのシステム構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るセキュリティ機器のブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る非常通報用端末のブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る警備センタのブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係る非常通報時におけるフローチャートの例を示す説明図である。
図6】本発明の従来技術を示したシステム構成図である。
【符号の説明】
【0022】
101・・・セキュリティセンサ機器、201・・・非常通報用端末、301・・・警備センタ、401・・・警察等、112・・・センサ部、112・・・発報部、211・・・送受信部、212・・・音声変換処理部、213・・・通報先選定部、311・・・送受信部、312・・・通報先選定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6