特許第5737174号(P5737174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737174
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】重合体及び感放射線性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/16 20060101AFI20150528BHJP
   C08F 212/04 20060101ALI20150528BHJP
   C08F 220/16 20060101ALI20150528BHJP
   C08F 220/54 20060101ALI20150528BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20150528BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   C08F20/16
   C08F212/04
   C08F220/16
   C08F220/54
   G03F7/039 601
   G03F7/004 503A
【請求項の数】7
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2011-500651(P2011-500651)
(86)(22)【出願日】2010年2月18日
(86)【国際出願番号】JP2010052477
(87)【国際公開番号】WO2010095698
(87)【国際公開日】20100826
【審査請求日】2012年8月16日
(31)【優先権主張番号】特願2009-37114(P2009-37114)
(32)【優先日】2009年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-233808(P2009-233808)
(32)【優先日】2009年10月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】丸山 研
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 敏之
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−538618(JP,A)
【文献】 特開2005−037668(JP,A)
【文献】 特開2007−225657(JP,A)
【文献】 特開2002−540444(JP,A)
【文献】 特開2002−107551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00−19/44
C08F 6/00−246/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種と、を含む重合体であって、
前記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位の含有量の合計は、前記重合体における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜95モル%であることを特徴とする重合体。
【化1】
〔一般式(1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリール基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団である。〕
【化2】
〔一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、iは0〜3の整数を表し、jは0〜3の整数を表す。但し、0≦i+j≦5を満たす。〕
【化3】
〔一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、kは0〜3の整数を表し、lは0〜3の整数を表す。但し、0≦k+l≦5を満たす。〕
【化4】
〔一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、mは0〜3の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。但し、0≦m+n≦5を満たす。〕
【化5】
〔一般式(5)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、rは0〜3の整数を表し、sは0〜3の整数を表す。〕
【請求項2】
前記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である請求項1に記載の重合体。
【化6】
〔一般式(1−1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団であり、hは0〜3の整数である。〕
【請求項3】
酸解離性基含有重合体(A)と、感放射線性酸発生剤(B)と、を含有する感放射線性組成物であって、
前記酸解離性基含有重合体(A)が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体であることを特徴とする感放射線性組成物。
【化7】
〔一般式(1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリール基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団である。〕
【請求項4】
前記感放射線性酸発生剤(B)が、下記一般式(b1)で表されるオニウム塩である請求項3に記載の感放射線性組成物。
(b1)
〔一般式(b1)において、Mは1価のオニウムカチオンを示し、Zは下記一般式(b1−Z−1)又は(b1−Z−2)で表される1価のアニオンを示す。〕
【化8】
〔一般式(b1−Z−1)において、R41及びR42は、相互に独立に、フッ素原子であるか、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基であるか、或いは、R41及びR42が相互に結合して、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20の環状構造を形成している。〕
〔一般式(b1−Z−2)において、R43、R44、及びR45は、相互に独立に、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基であるか、或いは、R43、R44、及びR45のいずれか2つが相互に結合して、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20の環状構造を形成しており、残りの1つが、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基である。〕
【請求項5】
前記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である請求項3又は4に記載の感放射線性組成物。
【化9】
〔一般式(1−1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団であり、hは0〜3の整数である。〕
【請求項6】
前記酸解離性基含有重合体(A)が、更に、下記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含む請求項3乃至5のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化10】
〔一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、iは0〜3の整数を表し、jは0〜3の整数を表す。但し、0≦i+j≦5を満たす。〕
【化11】
〔一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、kは0〜3の整数を表し、lは0〜3の整数を表す。但し、0≦k+l≦5を満たす。〕
【化12】
〔一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、mは0〜3の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。但し、0≦m+n≦5を満たす。〕
【化13】
〔一般式(5)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、rは0〜3の整数を表し、sは0〜3の整数を表す。〕
【請求項7】
前記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位の含有量の合計が、前記酸解離性基含有重合体(A)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜95モル%である請求項に記載の感放射線性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体及びこの重合体を酸解離性基含有重合体として用いる感放射線性組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV等の(極)遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線による微細加工に適した化学増幅型レジストとして使用される感放射線性組成物及び重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSI等の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線から、i線、KrFエキシマレーザー光、更にはArFエキシマレーザー光というように短波長化の傾向が見られる。更に、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、或いはEUV光を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。
【0003】
電子線やEUV光を用いたリソグラフィーは、次世代若しくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられ、高感度、高解像性のポジ型レジストが望まれている。特に、ウェハー処理時間の短縮化のために高感度化は非常に重要な課題である。しかし、電子線やEUV用のポジ型レジストにおいては、高感度化を追求しようとすると、解像力の低下のみならず、ナノエッジラフネスの悪化が起こるため、これらの特性を同時に満足するレジストの開発が強く望まれている。尚、ナノエッジラフネスとは、レジストのパターンと基板界面のエッジがレジストの特性に起因して、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動するために、パターンを真上から見たときに設計寸法と実際のパターン寸法に生じるずれのことを言う。この設計寸法からのずれがレジストをマスクとするエッチング工程により転写され、電気特性を劣化させるため、歩留りを低下させることになる。特に、0.25μm以下の超微細領域では、ナノエッジラフネスは極めて重要な改良課題となっている。高感度と、高解像性、良好なパターン形状及び良好なナノエッジラフネスと、はトレードオフの関係にあり、これを如何にして同時に満足させるかが非常に重要である。
【0004】
更に、KrFエキシマレーザー光を用いるリソグラフィーにおいても同様に、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なナノエッジラフネスを同時に満足させることが重要な課題となっており、これらの解決が必要である。
KrFエキシマレーザー光、電子線、或いはEUV光を用いたリソグラフィープロセスに適したレジストとしては、高感度化の観点から主に酸触媒反応を利用した化学増幅型レジストが用いられており、ポジ型レジストにおいては主成分として、アルカリ水溶液には不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる性質を有するフェノール性ポリマー(以下、「フェノール性酸分解性重合体」という)、及び酸発生剤からなる化学増幅型レジスト組成物が有効に使用されている。
【0005】
これらのポジ型レジストに関して、これまで酸分解性アクリレートモノマーを共重合したフェノール性酸分解性重合体を用い、活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸を発生する化合物(以下、「スルホン酸発生剤」という)を含むレジスト組成物がいくつか知られている。それらについては、例えば、特許文献1〜5に開示されたポジ型レジスト組成物等を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5561194号明細書
【特許文献2】特開2001−166474号公報
【特許文献3】特開2001−166478号公報
【特許文献4】特開2003−107708号公報
【特許文献5】特開2001−194792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記ポジ型レジスト組成物等のいかなる組合せにおいても、超微細領域での、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なナノエッジラフネス(低ラフネス)は同時に満足できていないのが現状である。
【0008】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV等の(極)遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線に有効に感応し、ナノエッジラフネス、感度及び解像度に優れ、微細パターンを高精度に且つ安定して形成可能な化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜することができる感放射線性組成物及び重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の通りである。
[1]下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種と、を含む重合体であって、
前記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位の含有量の合計は、前記重合体における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜95モル%であることを特徴とする重合体。
【化1】
〔一般式(1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリール基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団である。〕
【化3】
〔一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、iは0〜3の整数を表し、jは0〜3の整数を表す。但し、0≦i+j≦5を満たす。〕
【化4】
〔一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、kは0〜3の整数を表し、lは0〜3の整数を表す。但し、0≦k+l≦5を満たす。〕
【化5】
〔一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、mは0〜3の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。但し、0≦m+n≦5を満たす。〕
【化6】
〔一般式(5)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、rは0〜3の整数を表し、sは0〜3の整数を表す。〕
[2]前記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である前記[1]に記載の重合体。
【化2】
〔一般式(1−1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団であり、hは0〜3の整数である。〕
[3]酸解離性基含有重合体(A)と、感放射線性酸発生剤(B)と、を含有する感放射線性組成物であって、
前記酸解離性基含有重合体(A)が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体であることを特徴とする感放射線性組成物。
【化56】
〔一般式(1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリール基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団である。〕
[4]前記感放射線性酸発生剤(B)が、下記一般式(b1)で表されるオニウム塩である前記[3]に記載の感放射線性組成物。
(b1)
〔一般式(b1)において、Mは1価のオニウムカチオンを示し、Zは下記一般式(b1−Z−1)又は(b1−Z−2)で表される1価のアニオンを示す。〕
【化7】
〔一般式(b1−Z−1)において、R41及びR42は、相互に独立に、フッ素原子であるか、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基であるか、或いは、R41及びR42が相互に結合して、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20の環状構造を形成している。〕
〔一般式(b1−Z−2)において、R43、R44、及びR45は、相互に独立に、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基であるか、或いは、R43、R44、及びR45のいずれか2つが相互に結合して、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20の環状構造を形成しており、残りの1つが、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基である。〕
[5]前記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である前記[3]又は[4]に記載の感放射線性組成物。
【化57】
〔一般式(1−1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団であり、hは0〜3の整数である。〕
[6]前記酸解離性基含有重合体(A)が、更に、下記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含む前記[3]乃至[5]のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【化58】
〔一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、iは0〜3の整数を表し、jは0〜3の整数を表す。但し、0≦i+j≦5を満たす。〕
【化59】
〔一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、kは0〜3の整数を表し、lは0〜3の整数を表す。但し、0≦k+l≦5を満たす。〕
【化60】
〔一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、mは0〜3の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。但し、0≦m+n≦5を満たす。〕
【化61】
〔一般式(5)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、rは0〜3の整数を表し、sは0〜3の整数を表す。〕
[7]前記一般式(2)〜(5)で表される繰り返し単位の含有量の合計が、前記酸解離性基含有重合体(A)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜95モル%である前記[6]に記載の感放射線性組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の感放射線性組成物によれば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV等の(極)遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線に有効に感応し、ナノエッジラフネス、感度及び解像度に優れ、微細パターンを高精度に且つ安定して形成可能な化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜することができる。
また、本発明の重合体は、酸解離性基含有重合体として用いることにより、前記感放射線性組成物を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ラインパターンを上方から見た際の模式的な平面図である。
図2】ラインパターン形状の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]重合体
本発明における重合体〔以下、「重合体(I)」という〕は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(1)」という〕を含むことを特徴とする。
この重合体(I)は、アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の重合体であって、酸の作用によりアルカリ易溶性となる重合体である。そのため、感放射線性組成物における酸解離性基含有重合体として好適に使用することができる。
【0013】
【化10】
〔一般式(1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリール基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団である。〕
【0014】
前記一般式(1)において、XがYとともに形成する脂環式炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、5〜25であることが好ましく、より好ましくは5〜20、更に好ましくは5〜15である。
【0015】
また、この脂環式炭化水素基は、単環式のものであってもよいし、多環式のものであってもよい。脂環式部分の具体的な構造としては、例えば、下記の(a−1)〜(a−50)等の構造を挙げることができる。
【0016】
【化11】
【0017】
【化12】
【0018】
【化13】
【0019】
【化14】
【0020】
【化15】
【0021】
【化16】
【0022】
特に、前記一般式(1)におけるXがYとともに形成する脂環式炭化水素基は、モノシクロ、ビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造等を有する基であることが好ましい。
【0023】
前記脂環式炭化水素基の具体的な例としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、及びシクロドデカニル基等のシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基(デカリニル基)、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基等を挙げることができる。
これらのなかでも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、及びシクロドデカニル基等のシクロアルキル基;アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基等が好ましい。特に、炭素数5〜15のシクロアルキル基であることが好ましい。
【0024】
また、前記脂環式炭化水素基は、置換されたものであってもよいし、非置換のものであってもよい。置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0025】
前記Rの炭素数6〜22のアリール基としては、下記の(x−1)〜(x−3)等の構造に由来する基を挙げることができる。尚、Rが下記の(x−2)に由来する基(即ち、ナフチル基)である場合、前記一般式(1)におけるYに結合する結合位置は、1位及び2位のいずれであってもよい。また、Rが下記の(x−3)に由来する基(即ち、アントリル基)である場合、前記一般式(1)におけるYに結合する結合位は、1位、2位及び9位のいずれであってもよい。
また、このアリール基は、置換されていてもよい。置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0026】
【化17】
【0027】
また、重合体(I)においては、前記繰り返し単位(1)が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(1−1)」という。〕であるものとすることができる。
【0028】
【化18】
〔一般式(1−1)において、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団であり、hは0〜3の整数である。〕
【0029】
一般式(1−1)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、一般式(1−1)におけるhは、0〜3の整数であり、0又は1であることがより好ましい。
【0030】
一般式(1−1)における「XがYとともに形成する脂環式炭化水素基」については、前述の一般式(1)における「XがYとともに形成する脂環式炭化水素基」の説明をそのまま適用することができる。
【0031】
また、前記繰り返し単位(1)は、例えば、下記一般式(M−1)で表される化合物を単量体として用いることにより得ることができる。
【0032】
【化19】
〔一般式(M−1)において、R10は水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、R11は置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリール基であり、Yは炭素原子であり、XはYとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団である。〕
【0033】
一般式(M−1)における「R11のアリール基」及び「XがYとともに形成する脂環式炭化水素基」については、それぞれ、前述の一般式(1)における「Rのアリール基」及び「XがYとともに形成する脂環式炭化水素基」の説明をそのまま適用することができる。
【0034】
前記一般式(M−1)で表される化合物(単量体)は、CH=C(R)C(=O)X(式中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Xはハロゲン原子である。)で表される化合物と、該化合物におけるXと置換反応に供することが可能な化合物と、を反応させることにより製造することができる。
以下は、上記一般式(1−1)で表した繰り返し単位を形成可能な化合物(1−1a)の製造例であり、この化合物(1−1a)は、下記一般式(1−r1)で表される化合物(1−フェニルシクロヘキサノール)と、下記一般式(1−r2)で表される化合物(メタクリル酸クロライド)との反応により製造することができる。
【0035】
【化20】
【0036】
また、本発明の重合体(I)は、前記繰り返し単位(1)のみにより構成されていてもよいが、この繰り返し単位(1)以外に、下記一般式(2)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(2)」という。〕、下記一般式(3)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(3)」という。〕、下記一般式(4)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(4)」という。〕及び下記一般式(5)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(5)」という。〕のうちの少なくとも1種を更に含むものとすることができる。
【0037】
【化21】
〔一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、iは0〜3の整数を表し、jは0〜3の整数を表す。但し、0≦i+j≦5を満たす。〕
【0038】
【化22】
〔一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、kは0〜3の整数を表し、lは0〜3の整数を表す。但し、0≦k+l≦5を満たす。〕
【0039】
【化23】
〔一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、mは0〜3の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。但し、0≦m+n≦5を満たす。〕
【0040】
【化24】
〔一般式(5)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは1価の有機基であり、rは0〜3の整数を表し、sは0〜3の整数を表す。〕
【0041】
前記一般式(2)におけるRの1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、及びシクロドデカニル基等のシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、(デカリニル基)トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。
また、一般式(2)におけるiは、0〜3の整数であり、1又は2であることがより好ましい。
更に、一般式(2)におけるjは、0〜3の整数であり、0〜2であることがより好ましい。
【0042】
また、前記一般式(2)で表される繰り返し単位(2)の具体例としては、下式(2−1)〜(2−4)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
尚、繰り返し単位(2)が重合体(I)に含まれている場合、この繰り返し単位(2)は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0043】
【化25】
【0044】
前記一般式(3)におけるRの1価の有機基については、前記一般式(2)におけるRの1価の有機基に関する説明をそのまま適用することができる。
また、一般式(3)におけるkは、0〜3の整数であり、1又は2であることがより好ましい。
更に、一般式(3)におけるlは、0〜3の整数であり、0又は1であることがより好ましい。
【0045】
また、前記一般式(3)で表される繰り返し単位(3)の具体例としては、下式(3−1)及び(3−2)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
尚、繰り返し単位(3)が重合体(I)に含まれている場合、この繰り返し単位(3)は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0046】
【化26】
【0047】
前記一般式(4)におけるRの1価の有機基については、前記一般式(2)におけるRの1価の有機基に関する説明をそのまま適用することができる。
また、一般式(4)におけるmは、0〜3の整数であり、1又は2であることがより好ましい。
更に、一般式(4)におけるnは、0〜3の整数であり、0又は1であることがより好ましい。
【0048】
また、前記一般式(4)で表される繰り返し単位(4)の具体例としては、下式(4−1)及び(4−2)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
尚、繰り返し単位(4)が重合体(I)に含まれている場合、この繰り返し単位(4)は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0049】
【化27】
【0050】
前記一般式(5)におけるRの1価の有機基については、前記一般式(2)におけるRの1価の有機基に関する説明をそのまま適用することができる。
また、一般式(5)におけるrは、0〜3の整数であり、1又は2であることがより好ましい。
更に、一般式(5)におけるsは、0〜3の整数であり、0又は1であることがより好ましい。
【0051】
また、前記一般式(5)で表される繰り返し単位(5)の具体例としては、下式(5−1)及び(5−2)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
尚、繰り返し単位(5)が重合体(I)に含まれている場合、この繰り返し単位(5)は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0052】
【化28】
【0053】
前記式(2−1)〜(2−3)で表される各繰り返し単位は、対応するヒドロキシスチレン誘導体を単量体として用いることにより得ることができる。更には、加水分解することにより、ヒドロキシスチレン誘導体が得られる化合物を単量体として用いることにより得ることもできる。
前記式(2−1)〜(2−3)で表される各繰り返し単位を生成するために用いられる単量体としては、p−アセトキシスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン等が好ましい。これらの単量体を用いた場合には、重合体とした後、側鎖の加水分解反応により、式(2−1)〜(2−3)で表される各繰り返し単位を生成することができる。
【0054】
また、前記式(2−4)、(3−1)、(3−2)、(4−1)、(4−2)、(5−1)及び(5−2)で表される各繰り返し単位は、対応する単量体を用いることにより得ることができる。
前記式(2−4)、(3−1)、(3−2)、(4−1)、(4−2)、(5−1)及び(5−2)で表される各繰り返し単位を生成するために用いられる単量体としては、p−イソプロペニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルアクリレート、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、5−ヒドロキシナフタレン−1−イルメタクリレート、5−ヒドロキシナフタレン−1−イルアクリレート等が好ましい。
【0055】
また、本発明の重合体(I)は、前記繰り返し単位(1)〜(5)以外に、非酸解離性化合物に由来する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(6)」ともいう。)、酸解離性化合物に由来する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(7)」ともいう。)を更に含んでいてもよい。
前記非酸解離性化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、イソボロニルアクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデセニル(メタ)アクリレート、下記式(b−1)〜(b−4)で表される化合物等が挙げられる。これらのなかでも、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、トリシクロデカニルアクリレート、下記式(b−1)〜(b−4)で表される化合物が好ましい。
尚、前記繰り返し単位(6)が重合体(I)に含まれている場合、この繰り返し単位(6)は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0056】
【化29】
【0057】
また、前記酸解離性化合物としては、例えば、下記一般式(c−1)、(c−2)で表される化合物等が挙げられる。
【0058】
【化30】
【0059】
前記一般式(c−1)及び(c−2)において、各R12は、相互に独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
また、各R13は、相互に独立に、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示すか、或いは、いずれか2つのR13が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を形成し、残りの1つのR13が、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を示す。
【0060】
一般式(c−1)及び(c−2)のR13における、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0061】
また、前記R13における、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタンや、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類等に由来する脂環族環からなる基等を挙げることができる。
また、この脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上述の1価の脂環式炭化水素基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等を挙げることができる。
これらのなかでも、R13の脂環式炭化水素基は、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサンに由来する脂環族環からなる基や、これらの脂環族環からなる基を前記アルキル基で置換した基等が好ましい。
【0062】
また、いずれか2つのR13が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子(酸素原子に結合している炭素原子)とともに形成する炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等を挙げることができる。
更に、R13が相互に結合して形成された2価の脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上述の2価の脂環式炭化水素基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等を挙げることができる。
これらのなかでも、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基や、この2価の脂環式炭化水素基を前記アルキル基で置換した基等が好ましい。
【0063】
また、前記繰り返し単位(7)の好ましい具体例としては、下記一般式(7−1)〜(7−8)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
【0064】
【化31】
〔一般式(7−1)〜(7−8)において、R14は互いに独立に水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表し、R15は相互に独立に炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表す。〕
【0065】
尚、前記繰り返し単位(7)が重合体(I)に含まれている場合、この繰り返し単位(7)は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0066】
合体(I)における前記繰り返し単位(1)の含有量は、重合体(I)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは5〜70モル%、更に好ましくは5〜50モル%である。この含有量が1モル%以上である場合には、重合体(I)を感放射線性組成物における酸解離性基含有重合体として用いた際に、ナノエッジラフネスに優れるものとすることができる。
また、前記繰り返し単位(2)〜(5)の含有量の合計は、重合体(I)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは5〜95モル%、更に好ましくは5〜80モル%である。この含有量の合計が95モル%を超える場合には、重合体(I)を感放射線性組成物における酸解離性基含有重合体として用いた際に、ナノエッジラフネスが悪化することがある。
更に、前記繰り返し単位(1)〜(5)の含有量の合計は、重合体(I)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは40〜100モル%、更に好ましくは50〜100モル%である。この含有量の合計が10モル%以上である場合には、重合体(I)を感放射線性組成物における酸解離性基含有重合体として用いた際に、ナノエッジラフネスに優れるものとすることができる。
【0067】
また、前記繰り返し単位(6)の含有量は、重合体(I)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、通常80モル%以下であり、好ましくは0〜60モル%である。この含有量が80モル%以下である場合には、この重合体(I)を感放射線性組成物における酸解離性基含有重合体として用いた際に、解像性能とナノエッジラフネスとの性能バランスに優れるものとすることができる。
更に、前記繰り返し単位(7)の含有量は、重合体(I)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、通常60モル%以下であり、好ましくは0〜50モル%である。この含有量が60モル%以下である場合には、この重合体(I)を感放射線性組成物における酸解離性基含有重合体として用いた際に、解像性能とナノエッジラフネスとの性能バランスに優れるものとすることができる。
また、前記繰り返し単位(6)及び(7)の含有量の合計は、重合体(I)における全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、90モル%以下であり、好ましくは0〜80モル%である。この含有量が90モル%以下である場合には、この重合体(I)を感放射線性組成物における酸解離性基含有重合体として用いた際に、解像性能とナノエッジラフネスとの性能バランスに優れるものとすることができる。
【0068】
本発明における重合体(I)の合成方法は特に限定されないが、例えば、公知のラジカル重合又はアニオン重合により得ることができる。また、前記繰り返し単位(2)〜(4)における側鎖のヒドロキシスチレン単位は、得られた重合体(I)を有機溶媒中で塩基又は酸の存在下でアセトキシ基等の加水分解を行うことにより得ることができる。
【0069】
前記ラジカル重合は、例えば、窒素雰囲気下、適当な有機溶媒中で、ラジカル重合開始剤の存在下において、前記化合物(M−1)等の必要な単量体を攪拌し、加熱することにより実施することができる。
【0070】
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)2,2’−アゾビスメチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、シアノメチルエチルアゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルプロピオン酸メチル)、2,2’−アゾビスシアノバレリック酸等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、ラウロイルペルオキシド、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物、及び過酸化水素等が挙げられる。
尚、この重合の際には、必要に応じて、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、沃素、メルカプタン、スチレンダイマー等の重合助剤を添加することもできる。
【0071】
前記ラジカル重合における反応温度は特に限定されず、開始剤の種類等により適宜選定される(例えば、50〜200℃)。特に、アゾ系開始剤やパーオキサイド系開始剤を用いる場合には、開始剤の半減期が10分から30時間程度になる温度が好ましく、より好ましくは開始剤の半減期が30分から10時間程度になる温度である。
また、反応時間は、開始剤の種類や反応温度により異なるが、開始剤が50%以上消費される反応時間が望ましく、多くの場合0.5〜24時間程度である。
【0072】
また、前記アニオン重合は、例えば、窒素雰囲気下、適当な有機溶媒中で、アニオン重合開始剤の存在下において、前記化合物(M−1)等の必要な単量体を攪拌し、所定の温度で維持することにより実施することができる。
【0073】
前記アニオン重合開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルリチウム、エチルナトリウム、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等の有機アルカリ金属が挙げられる。
【0074】
前記アニオン重合における反応温度は特に限定されず、開始剤の種類等により適宜選定される。特に、アルキルリチウムを開始剤として用いる場合には、−100〜50℃であることが好ましく、より好ましくは−78〜30℃である。
また、反応時間は、開始剤の種類や反応温度により異なるが、開始剤が50%以上消費される反応時間が望ましく、多くの場合0.5〜24時間程度である。
【0075】
尚、前記重合体(I)の合成においては、重合開始剤を用いずに、加熱により重合反応を行うこと、並びに、カチオン重合を行うことも可能である。
【0076】
また、重合体(I)の側鎖を加水分解することでヒドロキシスチレン単位を導入する場合において、加水分解の反応に用いられる酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸及びその水和物、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、マロン酸、蓚酸、1,1,1−フルオロ酢酸などの有機酸;硫酸、塩酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸;或いはピリジニウムp−トルエンスルホネート、アンモニウムp−トルエンスルホネート、4−メチルピリジニウムp−トルエンスルホネートの如き塩等が挙げられる。
更に、塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、N−メチル−2−ピロリドン、ピペリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩基等が挙げられる。
【0077】
また、前記重合や前記加水分解に用いられる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、臭化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化アルキル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブ類等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロアミド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。
これらのなかでも、アセトン、メチルアミルケトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
【0078】
前記重合体(I)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、1500〜100000であることが好ましく、より好ましくは1500〜40000、更に好ましくは2000〜25000である。
また、重合体(I)のMwと、GPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)との比(Mw/Mn)は、通常1〜5であり、より好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3である。
【0079】
[2]感放射線性組成物
本発明の感放射線性組成物は、酸解離性基含有重合体(A)と、感放射線性酸発生剤(B)と、を含有することを特徴とする。
【0080】
[2−1]酸解離性基含有重合体
前記酸解離性基含有重合体は、アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性であって、且つ酸の作用によりアルカリ易溶性となる重合体(以下、「重合体(A)」ともいう。)である。尚、ここでいう「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、重合体(A)を含有する感放射線性組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、当該レジスト被膜の代わりに重合体(A)のみを用いた膜厚100nmの被膜を現像した場合に、当該被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
また、この重合体(A)については、前述の重合体(I)の説明をそのまま適用することができる。
【0081】
本発明の感放射線性組成物は、酸解離性基を有する化合物〔前記重合体(A)〕を含んでいるため、感度に優れる。このような観点から、この感放射線性組成物は、リソグラフィープロセスにおいて、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV等の(極)遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線に有効に感応し、低ラフネスであり、感度及び解像度に優れ、微細パターンを高精度に且つ安定して形成することができる化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜可能なものである。
【0082】
[2−2]感放射線性酸発生剤
前記酸発生剤(B)は、リソグラフィープロセスにおいて、本発明の感放射線性組成物に電子線や放射線等を照射したときに、感放射線性組成物内で酸を発生する物質である。そして、酸発生剤(B)から発生した酸の作用によって、既に上述した重合体中の酸解離性基が解離することになる。
【0083】
前記酸発生剤(B)としては、酸発生効率、耐熱性等が良好であるという観点から、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン化合物、及びスルホンイミド化合物よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。尚、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
前記オニウム塩としては、下記一般式(b1)で表されるものが好ましい。
(b1)
〔一般式(b1)において、Mは1価のオニウムカチオンであり、Zは1価のアニオンである。〕
【0085】
このようなオニウム塩としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。これらのなかでも、より良好な感度が得られるという観点から、Sのオニウムカチオン又はIのオニウムカチオン、即ち、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであることが好ましい。
【0086】
一般式(b1)におけるMの1価のオニウムカチオンとしては、例えば、下記一般式(b1−M−1)や下記一般式(b1−M−2)で表されるもの等が挙げられる。
【0087】
【化32】
【0088】
【化33】
【0089】
一般式(b1−M−1)において、R31、R32、及びR33は、相互に独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基であるか、或いは、R31、R32、及びR33のいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子とともに環状構造を形成しており、残りの1つが置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基である。
【0090】
一般式(b1−M−2)において、R34及びR35は、相互に独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基であるか、或いは、R34及びR35が相互に結合して式中のヨウ素原子とともに環状構造を形成している。
【0091】
一般式(b1−M−1)及び(b1−M−2)における非置換の炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、このアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0092】
また、一般式(b1−M−1)及び(b1−M−2)における非置換の炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、このアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、アルキル基、及び、ヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等)を含む有機基等の置換基により置換されていてもよい。
【0093】
一般式(b1)におけるMで表される1価のオニウムカチオン部位は、例えば、Advances in Polymer Sciences,Vol.62,p.1−48(1984)に記載されている公知の方法に準じて製造することができる。
【0094】
また、一般式(b1)におけるZで表される1価のアニオンとしては、下記一般式(b1−Z−1)〜(b1−Z−4)で表されるアニオン等が挙げられる。これらのなかでも、下記一般式(b1−Z−1)又は(b1−Z−2)で表されるアニオンが好ましい。
【0095】
【化34】
【0096】
46CnF2nSO (b1−Z−3)
47SO (b1−Z−4)
【0097】
一般式(b1−Z−1)において、R41及びR42は、相互に独立に、フッ素原子であるか、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基であるか、或いは、R41及びR42が相互に結合して、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20の環状構造を形成している。
また、一般式(b1−Z−2)において、R43、R44、及びR45は、相互に独立に、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基であるか、或いは、R43、R44、及びR45のいずれか2つが相互に結合して、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20の環状構造を形成しており、残りの1つが、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基である。
更に、一般式(b1−Z−3)及び(b1−Z−4)において、R46及びR47は、相互に独立に、フッ素原子、又は置換されていても良い炭素数1〜12の炭化水素基を示す。nは、1〜10の整数を示す。
【0098】
一般式(b1−Z−1)及び(b1−Z−2)における少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基における少なくとも1つの水素原子が、フッ素原子で置換された基を挙げることができる。
【0099】
具体的なオニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−イル)エタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)エタンスルホネート;
【0100】
(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、
【0101】
トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート;トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム10―カンファーフルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;
【0102】
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート;ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート、
【0103】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、
【0104】
(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム10−カンファースルホネート;ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート;
【0105】
ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート;
【0106】
ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート;
【0107】
下記式(2x−1)〜(2x−43)で表される化合物等を挙げることができる。
【0108】
【化35】
【0109】
【化36】
【0110】
【化37】
【0111】
【化38】
【0112】
【化39】
【0113】
【化40】
【0114】
【化41】
【0115】
【化42】
【0116】
【化43】
【0117】
【化44】
【0118】
【化45】
【0119】
これらのオニウム塩のなかでも、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、
【0120】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−イル)エタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)エタンスルホネート;前記式(2x−13)、(2x−16)、(2x−17)、(2x−18)、(2x−19)、(2x−20)、(2x−27)、(2x−28)、(2x−29)、(2x−31)、(2x−36)、(2x−43)で表される化合物が好ましい。
【0121】
前記ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
これらのジアゾメタン化合物のなかでも、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタンが好ましい。
【0122】
前記スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミド;
【0123】
N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;
【0124】
N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。
【0125】
これらのスルホンイミド化合物のなかでも、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミドが好ましい。
【0126】
また、酸発生剤(B)の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50質量部である。この酸発生剤(B)の配合量が0.1質量部未満であると、感度及び現像性が低下するおそれがある。一方、この配合量が50質量部を超えると、放射線に対する透明性、パターン形状、耐熱性等が低下するおそれがある。
【0127】
[2−3]酸拡散制御剤
本発明の感放射線性組成物は、前記重合体(A)及び酸発生剤(B)以外に、酸拡散制御剤(以下、「酸拡散制御剤(C)」ともいう)を更に含有することが好ましい。
酸拡散制御剤(C)は、露光により酸発生剤(B)から生じる酸の、レジスト膜(レジスト被膜)中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
本発明の感放射線性組成物においては、この酸拡散制御剤(C)が配合されることにより、得られる感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、形成されるレジスト膜の解像度を十分に向上させることができる。更には、露光後から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動に起因するレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた感放射線性組成物が得られる。
【0128】
前記酸拡散制御剤(C)としては、例えば、含窒素有機化合物や感光性塩基性化合物を用いることが好ましい。
前記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(i)」という)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(ii)」という)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、これらをまとめて「含窒素化合物(iii)」という)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0129】
【化46】
〔一般式(7)において、各R16は、相互に独立に、水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアラルキル基を表す。〕
【0130】
前記含窒素化合物(i)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;トリエタノールアミン等の置換アルキルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類が好ましい。
【0131】
前記含窒素化合物(ii)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が好ましい。
【0132】
前記含窒素化合物(iii)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等が好ましい。
【0133】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が好ましい。
【0134】
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が好ましい。
【0135】
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチル−1H−イミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、2,2’:6’,2’’−ターピリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が好ましい。
【0136】
また、前記感光性塩基性化合物は、露光領域では分解して塩基性を失い、未露光部では分解せずにそのまま残る成分である。このような感光性塩基性化合物は、非感光性の塩基性化合物に比べて、露光部(即ち、露光領域)に発生する酸を有効活用することができるため、感度をより向上させることができる。
【0137】
前記感光性塩基性化合物の種類は、前記性質を有する限り特に限定されない。具体的には、例えば、下記一般式(8−1)や(8−2)で表される化合物等を好適に用いることができる。
【0138】
【化47】
〔一般式(8−1)及び(8−2)において、R17〜R21は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい脂環式炭化水素基、−OSO−R基、又は−SO−R基であり、R及びRは、それぞれ、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい脂環式炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Zは、OH、R22、又はR22COOであり、R22は1価の有機基である。〕
【0139】
前記一般式(8−1)及び(8−2)におけるR17〜R21の置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。尚、このアルキル基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等)等の置換基により置換されていてもよい。
また、前記R17〜R21における置換基を有してもよい脂環式炭化水素基としては、前記一般式(a−1)〜(a−50)の構造等が挙げられる。尚、この脂環式炭化水素基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等)等の置換基により置換されていてもよい。
更に、前記R17〜R21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0140】
また、前記R17〜R21における−OSO−R基及び−SO−RのR及びRの置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。尚、このアルキル基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等)等の置換基により置換されていてもよい。
また、R及びRにおける置換基を有してもよい脂環式炭化水素基としては、前記一般式(a−1)〜(a−50)の構造等が挙げられる。尚、この脂環式炭化水素基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等)等の置換基により置換されていてもよい。
更に、R及びRにおける置換基を有してもよいアリール基としては、前記一般式(x−1)〜(x−3)の構造等が挙げられる。尚、このアリール基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等)等の置換基により置換されていてもよい。
特に、R及びRは、それぞれ、シクロヘキシル基、フェニル基、メチル基、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0141】
これらのなかでも、前記R17〜R21は、水素原子、tert−ブチル基であることが好ましい。尚、前記式(8−1)において、R17〜R19は、全て同一であってもよいし、一部又は全てが異なっていてもよい。また、前記式(8−2)において、R20及びR21は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0142】
前記一般式(8−1)及び(8−2)における各Zは、それぞれ、OH、R22、又はR22COOである。
前記R22の1価の有機基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を挙げることができる。
特に、前記Zとしては、OH、CHCOO、及び下記式で表される化合物(Z−1)〜(Z−5)であることが好ましい。
【0143】
【化48】
【0144】
また、前記感光性塩基性化合物の具体例としては、トリフェニルスルホニウム化合物〔前記一般式(8−1)で表される化合物〕であって、そのアニオン部(Z)がOH、CHCOO、前記化合物(Z−2)又は(Z−3)であるもの等が挙げられる。
【0145】
尚、前記酸拡散制御剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0146】
また、酸拡散制御剤(C)の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.001〜30質量部、更に好ましくは0.005〜15質量部である。この酸拡散制御剤(C)の配合量が15質量部を超えると、形成したレジスト膜の感度や露光部の現像性が低下するおそれがある。一方、この配合量が0.001質量部未満であると、プロセス条件によっては、形成したレジスト膜のパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0147】
[2−4]その他の成分
本発明の感放射線性組成物は、前記重合体(A)、酸発生剤(B)及び酸拡散制御剤(C)を、溶剤に溶解させたものであることが好ましい。即ち、その他の成分として溶剤を更に含有することが好ましい。
また、本発明の感放射線性組成物には、その他の成分として、必要に応じて、界面活性剤、増感剤、脂肪族添加剤等の各種の添加剤を更に配合することができる。
【0148】
前記溶剤としては、直鎖状若しくは分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、及びγ−ブチロラクトン等よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0149】
本発明の感放射線性組成物における溶剤の配合量は、組成物中の全固形分濃度が、1〜70質量%となる量であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%となる量、更に好ましくは1〜10質量%となる量である。
【0150】
そして、本発明の感放射線性組成物は、重合体(A)、酸発生剤(B)、酸拡散制御剤(C)、及び必要によりその他の成分(溶剤を除く)を、全固形分濃度が前記範囲となるように、溶剤に均一に溶解して調製することができる。尚、このように調製した後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することが好ましい。
【0151】
前記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、界面活性剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、0.001〜2質量部であることが好ましい。
【0152】
前記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(B)に伝達し、それにより酸の生成量を増加させる作用を示すもので、感放射線性組成物のみかけの感度を向上させる効果を有する。
このような増感剤としては、例えば、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。尚、これらの増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、増感剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0153】
また、染料又は顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和することができる。また、接着助剤を配合することにより、レジスト膜と基板との接着性を改善することができる。
【0154】
前記脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を有する成分である。
このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類や、3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン等を挙げることができる。これらの脂環族添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0155】
また、脂環族添加剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましい。この脂環族添加剤の配合量が20質量部を超えると、形成したレジスト膜の耐熱性が低下するおそれがある。
【0156】
更に、前記以外の添加剤としては、アルカリ可溶性重合体、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0157】
[3]レジストパターンの形成方法
本発明の感放射線性組成物は、化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜可能な材料として有用である。
前記化学増幅型ポジ型レジスト膜においては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、重合体中の酸解離性基が脱離し、重合体がアルカリ可溶性となる。即ち、レジスト膜に、アルカリ可溶性部位が生じる。このアルカリ可溶性部位は、レジストの露光部であり、この露光部はアルカリ現像液によって溶解、除去することができる。このようにして所望の形状のポジ型のレジストパターンを形成することができる。以下、具体的に説明する。
【0158】
本発明の感放射線性組成物を用いてレジストパターンを形成するには、まず、本発明の感放射線性組成物によってレジスト膜を形成する。感放射線性組成物としては、例えば、上述したように、全固形分濃度を調整した後、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過したものを用いることができる。この感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウェハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成する。その後、場合により、予め70〜160℃程度の温度で加熱処理(以下、「PB」という)を行ってもよい。次いで、所定のレジストパターンが形成されるように、このレジスト被膜を露光する。
この露光に使用することができる放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、EUV(極紫外線、波長13.5nm等)等の(極)遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等を挙げることができる。また、露光量等の露光条件は、感放射線性組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。尚、この露光は、液浸露光とすることもできる。
【0159】
尚、露光後には、加熱処理(以下、「PEB」という)を行うことが好ましい。このPEBにより、重合体の酸解離性基の脱離を円滑に進行させることが可能となる。PEBの加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成によって適宜選定することができるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜170℃である。
【0160】
本発明においては、感放射線性組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成することもできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。尚、これらの技術は併用することもできる。
【0161】
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも一種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0162】
前記アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下であることが好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。
また、現像液は、pH8〜14であることが好ましく、より好ましくはpH9〜14である。
【0163】
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば、有機溶媒を添加することもできる。前記有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0164】
有機溶媒の配合量は、アルカリ性水溶液100体積部に対して、100体積部以下が好ましい。有機溶媒の配合量が100体積部を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。また、アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後は、水で洗浄して乾燥することもできる。
【実施例】
【0165】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、本実施例においては、レジスト被膜の露光にEB(電子線)を使用しているが、EUV等の短波長放射線を使用した場合でも、基本的なレジスト特性は類似しており、それらの間に相関性があることも知られている。ここで、「部」は、特記しない限り質量基準である。
【0166】
[1]単量体の合成
合成例1>
1−フェニルシクロヘキサノール15.9g、メタクリル酸クロライド12.2g、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン13.12gを塩化メチレン200gに溶解させた後、塩化メチレン還流下、6時間反応させた。反応終了後、反応母液に酢酸エチルを加え、有機層を水で洗浄した。その後、展開溶媒に酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1(体積比)の混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことにより、目的とする化合物を得た(収率60%)。
【0167】
尚、得られた化合物の構造確認を、H−NMR(日本電子社製、型番「JNM−ECA−400型」)で行った。この結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=1.11〜1.82(8.0H)、1.85〜1.90(3.0H)、2.30〜2.45(2.0H)、5.58〜6.10(2.0H)、7.15〜7.23(1H)、7.23〜7.35(4.0H)
【0168】
前記H−NMRの結果より、得られた化合物の構造は、下記式で表されるものであることが分かった。以下、この化合物を化合物(M−1−1)とする。
【0169】
【化49】
【0170】
合成例2>
1−p−トルイルシクロヘキサノール17.2g、メタクリル酸クロライド12.2g、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン13.12gを塩化メチレン200gに溶解させた後、塩化メチレン還流下、6時間反応させた。反応終了後、反応母液に酢酸エチルを加え、有機層を水で洗浄した。その後、展開溶媒に酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1(体積比)の混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことにより、目的とする化合物を得た(収率62%)。
【0171】
尚、得られた化合物の構造確認を、合成例1と同様にして行った。この結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=1.16〜1.82(8.0H)、1.82〜1.95(3.0H)、2.31〜2.31(3.0H)、2.19〜2.45(2.0H)、5.58〜6.15(2.0H)、7.01〜7.30(4H)
【0172】
前記H−NMRの結果より、得られた化合物の構造は、下記式で表されるものであることが分かった。以下、この化合物を化合物(M−1−2)とする。
【0173】
【化50】
【0174】
合成例3>
1−(ナフタレン−1−イル)シクロヘキサノール20.4g、メタクリル酸クロライド12.2g、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン13.12gを塩化メチレン200gに溶解させた後、塩化メチレン還流下、6時間反応させた。反応終了後、反応母液に酢酸エチルを加え、有機層を水で洗浄した。その後、展開溶媒に酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1(体積比)の混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことにより、目的とする化合物を得た(収率55%)。
【0175】
尚、得られた化合物の構造確認を、H−NMR(日本電子社製、型番「JNM−ECA−400型」)で行った。この結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、溶媒CDCl、内部標準TMS):δ(ppm)=1.11〜2.2(11.0H)、2.90〜3.20(2.0H)、5.50〜6.30(2.0H)、7.30〜7.95(6.0H)、8.43〜8.65(1.0H)
【0176】
前記H−NMRの結果より、得られた化合物の構造は、下記式で表されるものであることが分かった。以下、この化合物を化合物(M−1−3)とする。
【0177】
【化51】
【0178】
合成例4>
1−p−トルイルシクロペンタノール15.9g、メタクリル酸クロライド12.2g、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン13.12gを塩化メチレン200gに溶解させた後、塩化メチレン還流下、6時間反応させた。反応終了後、反応母液に酢酸エチルを加え、有機層を水で洗浄した。その後、展開溶媒に酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1(体積比)の混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことにより、目的とする化合物を得た(収率54%)。
【0179】
尚、得られた化合物の構造確認を、H−NMR(日本電子社製、型番「JNM−ECA−400型」)で行った。この結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=1.52〜1.90(7.0H)、1.90〜2.10(2.0H)、2.15〜2.26(3.0H)、2.26〜2.40(2.0H)、5.50〜6.10(2.0H)、7.00〜7.31(4.0H)
【0180】
前記H−NMRの結果より、得られた化合物の構造は、下記式で表されるものであることが分かった。以下、この化合物を化合物(M−1−4)とする。
【0181】
【化52】
【0182】
[2]重合体の合成
合成例5(実施例)
p−アセトキシスチレン5.5g、合成例1で得られた化合物(M−1−1)4.5g、アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」という)0.4g、及びt−ドデシルメルカプタン0.1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル10gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を500gのn−ヘキサン中に滴下して、生成共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル7.5gを加えたのち、更に、メタノール15g、トリエチルアミン4.0g及び水1.0gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン10gに溶解したのち、100gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが11000、Mw/Mnが2.3、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び化合物(M−1−1)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が65:35の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−1)とする。
【0183】
合成例6(実施例)
p−アセトキシスチレン5.4g、合成例2で得られた化合物(M−1−2)4.6g、AIBN0.4g、及びt−ドデシルメルカプタン0.1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル10gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を500gのn−ヘキサン中に滴下して、生成共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル7.5gを加えたのち、更に、メタノール15g、トリエチルアミン4.0g及び水1.0gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン10gに溶解したのち、100gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが10000、Mw/Mnが2.3、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び化合物(M−1−2)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が64:36の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−2)とする。
【0184】
合成例7(実施例)
p−アセトキシスチレン5.5g、合成例1で得られた化合物(M−1−1)4.5g、及びAIBN1.0gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル15gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を500gのn−ヘキサン中に滴下して、生成共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル7.5gを加えたのち、更に、メタノール15g、トリエチルアミン4.0g及び水1.0gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン10gに溶解したのち、100gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが4000、Mw/Mnが2.4、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び化合物(M−1−1)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が65:35の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−3)とする。
【0185】
合成例8(実施例)
p−アセトキシスチレン5.1g、合成例3で得られた化合物(M−1−3)4.9g、AIBN0.3g、及びt−ドデシルメルカプタン0.1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル10gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を500gのn−ヘキサン中に滴下して、生成共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル7.5gを加えたのち、更に、メタノール15g、トリエチルアミン4.0g及び水1.0gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン10gに溶解したのち、100gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが10000、Mw/Mnが2.3、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び化合物(M−1−3)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が65:35の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−4)とする。
【0186】
合成例9(実施例)
p−アセトキシスチレン5.5g、合成例4で得られた化合物(M−1−4)4.5g、AIBN0.3g、及びt−ドデシルメルカプタン0.1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル10gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を500gのn−ヘキサン中に滴下して、生成共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル7.5gを加えたのち、更に、メタノール15g、トリエチルアミン4.0g及び水1.0gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン10gに溶解したのち、100gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが11000、Mw/Mnが2.3、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び化合物(M−1−4)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が66:34の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−5)とする。
【0187】
合成例10>
下記一般式(b−1)で表される化合物4.8g、合成例1で得られた化合物(M−1−1)5.2g、AIBN0.4g、を、メチルエチルケトン30gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、反応溶液を500gのメタノール中に滴下して、生成共重合体を凝固精製し、得られた固体を減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが8000、Mw/Mnが2.1、13C−NMR分析の結果、一般式(b−1)で表される化合物及び化合物(M−1−1)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が50:50の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−6)とする。
【0188】
【化53】
【0189】
尚、各合成例における下記の各測定及び評価は、下記の要領で行った。
(1)Mw及びMn
東ソー(株)社製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量:1.0ミリリットル/分、溶出溶剤:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。また、分散度Mw/Mnは測定結果より算出した。
(2)13C−NMR分析
各樹脂の13C−NMR分析は、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用い、測定した。
【0190】
[3]感放射線性組成物の調製
<実施例16
表1に示す仕込み量にて、(A)重合体、(B)酸発生剤、(C)酸拡散制御剤、(D)溶剤を混合し、得られた混合液を孔径200nmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例16の各組成物溶液(感放射線性組成物)を調製した。
【0191】
尚、前記(A)重合体、(B)酸発生剤、(C)酸拡散制御剤及び(D)溶剤の詳細を以下に示す。
(A)重合体
(A−1):合成例5で得られた前記重合体(A−1)
(A−2):合成例6で得られた前記重合体(A−2)
(A−3):合成例7で得られた前記重合体(A−3)
(A−4):合成例8で得られた前記重合体(A−4)
(A−5):合成例9で得られた前記重合体(A−5)
(A−6):合成例10で得られた前記重合体(A−6)
(B)酸発生剤
(B−1):トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
(B−2):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(B−3):トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−イル)エタンスルホネート
(B−4):トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)エタンスルホネート
(B−5):下記式(2x−16)で表される化合物
(B−6):下記式(2x−43)で表される化合物
(B−7):下記式(2x−19)で表される化合物
(B−8):下記式(2x−31)で表される化合物
(B−9):下記式(2x−21)で表される化合物
【0192】
【化54】
【0193】
(C)酸拡散制御剤
(C−1):トリ−n−オクチルアミン
(C−2):トリフェニルスルホニウムサリチレート
(C−3):N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール
(D)溶剤
(D−1):乳酸エチル
(D−2):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(D−3):シクロヘキサノン
【0194】
【表1】
【0195】
<比較例1〜2>
(1)重合体(A−7)の合成
p−アセトキシスチレン109.6g、下記式(M−2)で表される化合物(単量体)90.4g、AIBN6.8g及びt−ドデシルメルカプタン2.6gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を10000gのn−ヘキサン中に滴下して、生成共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、更に、メタノール300g、トリエチルアミン80g及び水15gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン200gに溶解したのち、2000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた共重合体は、Mwが11000、Mw/Mnが2.1、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンと化合物(M−2)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が65:35の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−7)とする。
【0196】
【化55】
【0197】
(2)感放射線性組成物の調製
表1に示す仕込み量にて、(A)重合体、(B)酸発生剤、(C)酸拡散制御剤、(D)溶剤を混合し、得られた混合液を孔径200nmのメンブランフィルターでろ過することにより、比較例1〜2の各組成物溶液(感放射線性組成物)を調製した。
【0198】
尚、前記(A)重合体、(B)酸発生剤、(C)酸拡散制御剤及び(D)溶剤の詳細を以下に示す。
(A)重合体
(A−7):前記重合体(A−7)
(B)酸発生剤
(B−1):トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
(B−7):前記式(2x−19)で表される化合物
(C)酸拡散制御剤
(C−1):トリ−n−オクチルアミン
(C−2):トリフェニルスルホニウムサリチレート
(D)溶剤
(D−1):乳酸エチル
(D−2):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0199】
[4]感放射線性組成物の評価
東京エレクトロン社製のクリーントラックACT−8内で、シリコンウエハー上に各組成物溶液(実施例16及び比較例1〜2の各感放射線性組成物)をスピンコートした後、表2に示す条件でPB(加熱処理)を行い、膜厚60nmのレジスト(感放射線性組成物)被膜を形成した。その後、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社製、型式「HL800D」、出力;50KeV、電流密度;5.0アンペア/cm)を用いてレジスト被膜に電子線を照射した。電子線の照射後、表2に示す条件でPEBを行った。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像した後、純水で水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。このようにして形成したレジストについて下記の要領で評価を行った。実施例16及び比較例1〜2の各感放射線性組成物の評価結果を表2に示す。
【0200】
(1)感度(L/S)
線幅150nmのライン部と、隣り合うライン部によって形成される間隔が150nmのスペース部(即ち、溝)と、からなるパターン〔いわゆる、ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)〕を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量により感度を評価した。
図1は、ライン・アンド・スペースパターンの形状を模式的に示す平面図である。また、図2は、ライン・アンド・スペースパターンの形状を模式的に示す断面図である。但し、図1及び図2で示す凹凸は、実際より誇張している。
【0201】
(2)ナノエッジラフネス
設計線幅150nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)のラインパターンを、半導体用走査電子顕微鏡(高分解能FEB測長装置、商品名「S−9220」、日立製作所社製)にて観察した。観察された形状について、図1及び図2に示すように、シリコンウエハー1上に形成したレジスト膜のライン部2の横側面2aに沿って生じた凹凸の最も著しい箇所における線幅と、設計線幅150nmとの差「ΔCD」を、CD−SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−9220」)にて測定することにより、ナノエッジラフネスを評価した。
【0202】
(3)解像度(L/S):
ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)について、最適露光量により解像されるラインパターンの最小線幅(nm)を解像度とした。
【0203】
【表2】
【0204】
表2によれば、重合体(A−1)〜(A−6)を含有する実施例16の感放射線性組成物は、重合体(A−7)を含有する比較例1及び2の感放射線性組成物に比べて、電子線又は極紫外線に有効に感応し、低ラフネスであると共に感度及び解像度にも優れており、微細パターンを高精度に且つ安定して形成することが可能な化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明の感放射線性組成物は、パターン形成時におけるライン・アンド・スペースパターンの解像度に優れるだけでなく、ナノエッジラフネスにも優れるので、EB、EUVやX線による微細パターン形成に有用である。従って、本発明の感放射線性組成物は、今後更に微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用の化学増幅型レジストを形成可能なものとして極めて有用である。
【符号の説明】
【0206】
1;基材、2;レジストパターン、2a;レジストパターンの横側面。
図1
図2