【実施例】
【0022】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0023】
実施例1
内径0.5mm、外径0.7mmの内側ノズル、内径2mmの外側ノズルおよびこれらに挟まれている内径1mm、外径1.125mmの中側ノズルよりなる
三重環状ノズルの中側ノズルより、内側ノズルから芯液としての水を流出させながら、補強繊維としてのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(糸繊度110デシテックス/24フィラメント;破断強度6N)2本および紡糸原液を、紡糸原液の供給速度に対してポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントの供給速度が同程度となるような供給割合で、中間ノズルの円周上対称位置となる2箇所に供給し、また外側ノズルからは紡糸原液のみを吐出させ、空走空間を経て、これを水温50℃の水(凝固液)中で凝固させ、乾湿式紡糸により補強繊維埋没中空糸膜状物を得た。
【0024】
ここで、紡糸原液としては、ポリフェニルスルホン20重量%、ジメチルホルムアミド65重量%、ポリビニルピロリドン15重量%からなるものが用いられ、また補強繊維の中側ノズルへの導入は、三重管状ノズルに、中側ノズル内に補強繊維を導入し得る状態で補強繊維導入パイプを
装備したものを用いて行われた。
【0025】
補強繊維埋没中空糸
膜状物は121℃、1時間の高圧滅菌処理を行った後、庫内温度40℃の恒温槽内に入れて乾燥処理を行うことにより、補強繊維埋没多孔質ポリフェニルスルホン中空糸膜を得た。得られた補強繊維埋没多孔質中空糸膜の
拡大断面写真(×175)は
図1に示され、補強繊維が完全に中空糸膜膜厚内に埋没していることが確認された。
【0026】
得られた多孔質ポリフェニルスルホン中空糸膜は、外径1000μm、内径500μmであり、25℃における水蒸気透過速度は0.28g/cm
2/分/MPa、純水透過速度は0ml/cm
2/時間/MPa、空気透過速度は0ml/cm
2/分/MPaであった。また、標線間距離50mm、試験速度毎分20mmで引張試験を行い
、破断応力を算出したところ58MPaであった。
【0027】
実施例2
実施例1において、紡糸原液としてポリフェニルスルホンの代わりにポリスルホンを同量(20重量%)用いて
調製されたものが用いられた。得られた多孔質ポリスルホン中空糸膜は、外径1000μm、内径500μmであり、25℃における水蒸気透過速度は0.23g/cm
2/分/MPa、純水透過速度は0ml/cm
2/時間/MPa、空気透過速度は0ml/cm
2/分/MPaであった。また、標線間距離50mm、試験速度毎分20mmで引張試験を行い
、破断応力を算出したところ57MPaであった。
【0028】
実施例3
実施例1において、紡糸原液としてポリエーテルイミド20重量%、ジメチルアセトアミド80重量%からなるものが用いられた。得られた多孔質ポリエーテルイミド中空糸膜は、外径1000μm、内径500μmであり、25℃における水蒸気透過速度は0.36g/cm
2/分/MPa、純水透過速度は0ml/cm
2/時間/MPa、空気透過速度は0ml/cm
2/分/MPaであった。また、標線間距離50mm、試験速度毎分20mmで引張試験を行い
、破断応力を算出したところ57MPaであった。
【0029】
比較例1
実施例1において、内径0.4mm、外径0.6mmの内側ノズルおよび内径1.15mmの外側ノズルよりなる二重管状ノズルの内側ノズルから芯液としての水を流出させながら、補強繊維を用いることなく紡糸原液を外側ノズルからを吐出させ、空走空間を経て、これを水温50℃の水(凝固液)中で凝固させ、乾湿式紡糸により補強繊維埋没中空糸
膜状物を得た。これを乾燥処理して得られた多孔質ポリフェニルスルホン中空糸膜は、外径1000μm、内径700μmであり、25℃における水蒸気透過速度は0.28g/cm
2/分/MPa、純水透過速度は0ml/cm
2/時間/MPa、空気透過速度は0ml/cm
2/分/MPaであった。また、標線間距離50mm、試験速度毎分20mmで引張試験を行い
、破断応力を算出したところ8.5MPaであった。
【0030】
比較例2
比較例1において、紡糸原液として実施例2で用いられた紡糸原液を用いたところ、得られた多孔質ポリスルホン中空糸膜は、外径1000μm、内径700μmであり、25℃における水蒸気透過速度は0.23g/cm
2/分/MPa、純水透過速度は0ml/cm
2/時間/MPa、空気透過速度は0ml/cm
2/分/MPaであった。また、標線間距離50mm、試験速度毎分20mmで引張試験を行い
、破断応力を算出したところ8.1MPaであった。
【0031】
比較例3
比較例1において、紡糸原液として実施例3で用いられた紡糸原液を用いたところ、得られた多孔質ポリエーテルイミド中空糸膜は、外径1000μm、内径700μmであり、25℃における水蒸気透過速度は0.36g/cm
2/分/MPa、純水透過速度は0ml/cm
2/時間/MPa、空気透過速度は0ml/cm
2/分/MPaであった。また、標線間距離50mm、試験速度毎分20mmで引張試験を行い
、破断応力を算出したところ8.0MPaであった。
【0032】
比較例4
実施例3において、内側ノズルおよび外側ノズルよりなる
二重環状ノズルの内側ノズルから芯液としての水を流出させながら、補強繊維としてのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(糸繊度110デシテックス/24フィラメント)および紡糸原液を外側ノズルからを吐出させ、これを水温50℃の水(凝固液)中で凝固させ、乾湿式紡糸により補強繊維埋没中空糸膜状物を得た。これを乾燥して得られた補強繊維埋没多孔質ポリエーテルイミド中空糸膜の拡大断面写真(×175)は
図2に示され、補強繊維の一部が中空糸の外側に露出してしまっていることが確認された。
【0033】
この多孔質ポリエーテルイミド中空糸膜は、外径1000μm、内径700μmであり、25℃における水蒸気透過速度は0.36g/cm
2/分/MPa、純水透過速度は0ml/cm
2/時間/MPa、空気透過速度は0ml/cm
2/分/MPaであった。また、標線間距離50mm、試験速度毎分20mmで引張試験を行い
、破断応力を算出したところ、8.0〜27.0MPaというように補強なし程度の強度から完全補強時の強度
の半分程度まで箇所によりムラがみられた。