前記主加熱領域の導電層を周方向に沿って切断する隣接する二つの切断線の間の領域を径方向に延在する切断線により周方向に区画して、当該領域での発熱を抑制した請求項1又は2に記載の誘導加熱発熱体。
前記中央部領域の導電層を径方向に延在する切断線により周方向に複数に区画して、当該領域での発熱を抑制した請求項1乃至3のいずれか一項に記載の誘導加熱発熱体。
前記周縁部領域の導電層を径方向に延在する切断線により周方向に複数に区画して、当該領域での発熱を抑制した請求項1乃至4のいずれか一項に記載の誘導加熱発熱体。
前記容器本体の内底面から突出する複数の支持部を、前記内底面の中央から外周側に向かって順に低くなるように設けて、前記支持部に前記誘導加熱発熱体をヒートシールした請求項9に記載の誘導加熱容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、電磁調理器から生じる渦電流により、0.10〜100μmのアルミニウム箔を発熱させる電磁調理器を用いる加熱方法が提案されており、非磁性の容器の内容物を電磁調理器によって加熱することが開示されている。
しかしながら、このような加熱方法においては、誤って空焚きした場合などに、アルミニウム箔が急激に昇温して容易に燃えて飛散する危険や、アルミニウム箔が急激に昇温したときの熱により容器が損傷する虞がある。
【0007】
これに対して、特許文献2には、非導電体製の容器本体の内底面に、導電体製の薄膜状の発熱体を積層してなる電磁調理用容器において、発熱体の中央部を所定形状に打ち抜いて、外周からの径方向の幅を狭くした幅狭部を発熱体に設けた安全機構付きの電磁調理用容器が提案されている。このような特許文献2の電磁調理容器は、発熱体に設けた幅狭部が空焚きなどの誤操作時に選択的に溶断され、空焚きなどによる容器の発熱や発火などを防止するものである。
【0008】
しかしながら、特許文献2では、発熱体に設けられた幅狭部が局所的に高温となることで、この幅狭部が選択的に溶断されることから、発熱体の出力は、最も高温になる幅狭部で規定されてしまう。このため、発熱体の他の部分は有効に発熱せず、加熱効率が悪いという問題があった。
また、特許文献2では、幅狭部下面と容器本体内底面とを離間する非接触部を設けた例を挙げているものの、幅狭部における発熱が過剰となりすぎる傾向が強く、このような非接触部を設けたところで、依然として容器本体を損傷する虞があった。
【0009】
さらに、この種の容器にあっては、加熱ムラなどの影響により、水などの液状の被加熱物が局所的に急激に加熱されて突沸が生じると、被加熱物が飛散して使用者が火傷を負ってしまったり、周辺を汚してしまったりする虞もあるため、突沸を抑止することも求められる。
【0010】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、非磁性(又は非導電性)の容器本体に誘導加熱発熱体を取り付けて、収容された被加熱物を電磁調理器などにより加熱する誘導加熱容器として使用することができ、そのような使用態様において、通常の使用時に加熱効率が損なわれず、空焚きなどの発熱体の昇温時の熱による容器本体の損傷を有効に回避するとともに、液状の被加熱物の突沸を抑止して、その安全性を高めた誘導加熱容器、及びそのための誘導加熱発熱体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る誘導加熱発熱体は、高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電層と、ヒートシール層とを備える誘導加熱発熱体であって、平板状の主部と、前記主部から径方向に沿って立ち上がるヒューズ機能部とを有し、前記主部が、前記導電層を周方向に沿って切断する複数の切断線によって、中央部領域と、主加熱領域と、周縁部領域とに区画され、前記ヒューズ機能部には、前記主加熱領域を区画する前記切断線の延長上にスリットを形成した構成としてある。
【0012】
また、本発明に係る誘導加熱容器は、前記誘導加熱発熱体を、非導電性材料からなる容器本体に取り付けた構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被加熱物への熱移動がなされない空焚き状態となった場合にヒューズ機能部が破断し、電磁調理器が備える安全機構に異常を検知させて電磁調理器を自動的に停止させて、空焚きを防止することができることに加え、通常の使用時には加熱効率が損なわれないようにすると共に、液状の被加熱物の突沸を抑止して、その安全性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態における誘導加熱容器1は、非導電性材料からなる容器本体2と、容器本体2に取り付けて電磁調理器による誘導加熱を可能とする誘導加熱発熱体3とを備えている。容器本体2は、水などの液状の被加熱物を収容できるように内底面21の周りを囲むように立設された側壁を有しており、誘導加熱発熱体3は、このような容器本体2の内底面21側に取り付けられる。
【0017】
誘導加熱容器1は、通常、市販の電磁調理器の上に置いて使用される。このことから、容器本体2の内底面21や、容器本体2の内底面21側に取り付けられる誘導加熱発熱体3の大きさは特に限定されず、使用する電磁調理器が備える電磁誘導加熱コイルの大きさに応じて設定することができる。例えば、市販の家庭用電磁調理器が備える一般的な電磁誘導加熱コイルは、内径5cm程度、外径20cm程度であり、業務用のものであれば、これよりも大きいものもあるが、使用が想定される電磁調理器に応じて大きさを適宜定めることができる。
【0018】
容器本体2内底面21の形状も、図示するような正方形状に限定されない。例えば、矩形状、円形状とするほか、三角形、五角形、六角形などの多角形状としても良い。容器本体2の全体的な形状も、使い勝手などを考慮して種々の形状とすることができる。
【0019】
容器本体2に取り付ける誘導加熱発熱体3は、電磁調理器などが備える電磁誘導加熱コイルが発する高周波磁界により渦電流が誘起され、その電気抵抗によりジュール熱が生じて発熱する導電性材料からなる導電層30と、容器本体2に対してヒートシール性を有するヒートシール層31とを含む積層体から構成されている(
図5、
図6及び
図7参照)。
【0020】
導電層30を形成する導電性材料としては、例えば、アルミニウム,ニッケル,金,銀,銅,白金,鉄,コバルト,錫,亜鉛などの金属、又はこれらの合金など、高周波磁界による誘導加熱によって発熱する種々の導電性材料を用いて形成することができる。より具体的には、例えば、導電性材料としてアルミニウムを用いる場合、好ましくは0.10〜100μm程度、より好ましくは1〜40μm程度の厚みのアルミニウム箔を用いて導電層30を形成することができる。アルミニウム箔などの金属箔を用いて導電層30を形成すれば、誘導加熱発熱体3を容器本体2に取り付ける際に、容器本体2の内底面21や、その周囲に立設された側壁に沿って折り曲げるなどの立体加工を誘導加熱発熱体3に施して、容器本体2の形状に適合させるのが容易となる。
【0021】
ヒートシール層31は、容器本体2に対してヒートシール性を有するものであれば特に限定されず、容器本体2を形成する非導電性材料に応じて適宜選択することができる。成形加工し易く、ヒートシール性が良好で、適度な耐熱性を有する樹脂が好ましく、特に、後述する容器本体2と同種の樹脂が好ましい。導電層30とヒートシール層31とは、直接、又は適宜の接着剤を介して、公知のラミネート技術により積層することができる。誘導加熱発熱体3を積層体として構成することにより、従来公知の多層フィルム、多層シートの製造技術が応用できるため、その製造が容易になる。
【0022】
容器本体2を形成する非導電性材料としては、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などの合成樹脂材料を好適に使用できる。容器本体2は、単層、又はこれらの樹脂同士或いは他の機能性樹脂と組み合わせた多層構成であっても良い。非導電性材料としては、紙、ガラスなども使用できるが、誘導加熱発熱体3のヒートシール層31とのヒートシール性を考慮して、内面に前記の合成樹脂がラミネート或いはコートされているのが好ましい。これらの材料にて容器本体2を形成することにより、電磁調理器を用いた加熱調理が可能な誘導加熱容器1を安価に提供することが可能となる。
【0023】
本実施形態において、誘導加熱発熱体3は、ほぼ円形の平板状の主部を有しており、かかる主部から径方向に沿って立ち上がるヒューズ機能部32が設けられている(
図4及び
図8参照)。誘導加熱発熱体3の形状は、誘起される渦電流の特性から円形が最も効率が良いが、容器本体2の形状に対応させて、正方形状、矩形状などでも良い。
【0024】
誘導加熱発熱体3の主部は、導電層30を周方向に沿って同心円状に切断する切断線33a、33eによって、中央部領域CFと、主加熱領域HFと、周縁部領域OFとに区画されている。さらに、主加熱領域HFは、同様の切断線33b、33c、33dによって、複数の領域に区画されている(
図1及び
図6参照)。
このような切断線33a、33b、33c、33d、33eを形成することによって、導電層30に誘起された渦電流は、切断線33a、33b、33c、33d、33eを横切る方向には流れなくなる。このため、切断線33a、33b、33c、33d、33eによって区画された、それぞれの領域ごとに渦電流が誘起される。
【0025】
渦電流は、電磁調理器の電磁誘導加熱コイルの形状に則して誘起されるため、通常、中央部領域CFに誘起される渦電流はそれほど強くはならないが、電流密度の分布がやや不安定で、より外側を流れる渦電流を乱す場合がある。このため、切断線33aによって中央部領域CFと主加熱領域HFとに区画することで、主加熱領域HFへの影響を低減することができる。
【0026】
また、誘起される渦電流の電流密度分布は、半径方向に対して均一ではなく、半径方向中央よりもやや外周寄りに電流密度のピークを有し、導電層30の対応する位置が強く加熱される。このため、主加熱領域HFを複数の領域に区画する切断線33b、33c、33dは、半径方向に均等に配置するよりも、渦電流が外周寄りに集中しないように外周寄りに密に設けるのが好ましい。このようにすることで、誘起される渦電流を整えて加熱の均等化を図ることができる。
【0027】
このようにして、導電層30を周方向に沿って同心円状に切断する切断線33a、33b、33c、33d、33eを形成して、導電層30に誘起される渦電流を整え、均等に加熱されるようにすることで、加熱ムラを抑制して水などの液状の被加熱物が局所的に急激に加熱されないようにし、これによって突沸の発生を抑止することができる。さらに、切断線33a、33b、33c、33d、33eの端縁は、水などの液状の被加熱物が沸騰して気泡が発生する際の起点となる。このため、加熱時には沸騰石を入れた時のように小さな気泡が継続的に多数生成されて、突発的に大きな気泡が発生するのを防止する効果もあり、これによっても突沸の発生が抑止される。
これにより、突沸によって飛散した被加熱物により使用者が火傷を負ってしまったり、電磁調理器周辺を汚したりするような事態を避けることができる。
【0028】
また、切断線33aよりも内側の中央部領域CFは、径方向に延在する切断線34aにより周方向に複数に区画されている。同様に、切断線33eよりも外側の周縁部領域OFは、径方向に延在する切断線34cにより周方向に複数に区画されている。これらの領域を周方向に複数に区画することで、電磁調理器が備える電磁誘導加熱コイルの中心回りの強い渦電流は誘起されなくなり、複数の小さな領域に区画されたそれぞれの領域は、それほど高温にならない。したがって、これらの領域CF、OFにおけるヒートシール層32でヒートシールして、誘導加熱発熱体3を容器本体2に取り付ければ、容器本体2への伝熱を抑制でき、容器本体2の損傷を防止することができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、主加熱領域HFに形成した切断線33b、33cとの間の領域にあっても、径方向に延在する切断線34bにより周方向に複数に区画し、当該領域での発熱を抑制し、当該領域におけるヒートシール層32で容器本体2とヒートシールしている。
このように、誘導加熱発熱体3の中央部領域CFと周縁部領域OFだけでなく、主加熱領域HFの切断線33b、33cとの間の領域に発熱が抑制された領域を形成し、当該領域におけるヒートシール層32でも容器本体2とヒートシールすることで、被加熱対象物の対流や流動、又は電磁誘導加熱コイルとの斥力による誘導加熱発熱体3の浮き上がり、又は波打ちを有効に抑止することができ、より安定した加熱が可能になる。
【0030】
これら切断線の形成に際しては、刃物により導電層30側からハーフカットを施したり、YAGレーザー、半導体レーザーなどを用いて導電層4を選択的に切断したりすることができる。誘導加熱発熱体3を一体のものとして取り扱うのに支障がない範囲で、ヒートシール層31の一部まで切断が及んでも良いが、ヒートシール層31を切断せず繋がった状態とすることにより、誘導加熱発熱体3を一体のものとして取り扱うことができるため、製造時の取り扱いがきわめて容易になる。
【0031】
また、誘導加熱発熱体3の主部から径方向に沿って立ち上がるヒューズ機能部32は、加熱調理をするに際して、液状の被加熱物が沸騰して減少していく過程で、容器内の被加熱物が所定量よりも少なくなったときや、容器内に被加熱物が収容されておらず、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、選択的に過剰に発熱して破断する部位として設けられている。このようなヒューズ機能部32を設けることで、空焚きを防止したり、加熱時間を制御したりすることができる。
【0032】
本実施形態において、ヒューズ機能部32は、径方向に沿って立ち上るように導電層30が谷折りされ、その先端側が分断された一対のヒューズ機能部形成片32a,32bを形成し、
図5に示すように、一方のヒューズ機能部形成片32aと他方のヒューズ機能部形成片32bとを、それぞれの端縁を揃えて重ね合わせるとともに溶着することによって形成される。
このとき、ヒューズ機能部32が破断する際の熱によるヒートシール層31の損傷を防ぐために、ヒューズ機能部形成片32a,32bの端縁側のヒートシール層31を除去し、ヒートシール層31の残部を利用してヒューズ機能部形成片32a,32b同士の基部320をヒートシールすることで、ヒューズ機能部32の形状を保持することができる。
【0033】
この際、より確実にヒューズ機能部32が破断する際の熱によるヒートシール層31の損傷を防ぐために、ヒューズ機能部32の主加熱領域HF上に位置する部分では、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士の基部320側に残るヒートシール層31でのヒートシールを行わず、ヒューズ機能部32の中央部領域CFと周縁部領域OF上に位置する部分において、ヒートシール層31の残部を利用して、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士の基部320をヒートシールするのが好ましい。
【0034】
そして、ヒューズ機能部32の形状を保持し、導電層30同士を確実に接触させて渦電流の導通を確保するために、ヒューズ機能部32の端縁部側には、例えば、超音波溶着などによって、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士を部分的に溶着した溶着部323を形成するのが好ましい(
図6及び
図8参照)。このような溶着部323は、例えば、超音波ホーンとアンビルとの間にヒューズ機能部形成片32a,32bを挟み、超音波振動によって導電層30同士を部分的に溶融、圧着することによって形成することができる。
【0035】
また、ヒューズ機能部32は、次のように変形実施することも可能である。
例えば、導電層30の主加熱領域HFを複数の領域に区画する切断線33b、33c、33dを、ヒューズ機能部32のヒューズ機能部形成片32a、32bの一方に、例えば、ヒューズ機能部形成片32aに、その端縁に向かって延び、0.5〜1mm程度の残部を残して延長して形成する(
図9及び
図11参照)。
このようにヒューズ機能部32のヒューズ機能部形成片32aを形成することにより、複数の領域に区画されたそれぞれの領域ごとに渦電流が誘起され、前述したヒューズ機能部32の溶着部323に効率良く導通させることができる。
【0036】
一方、他方のヒューズ機能部形成片32bに、中央部領域CF上に位置する部位と周縁部領域OF上に位置する部分を、前述したヒートシール層31の残部の高さに対応するヒートシール層31と、前記ヒートシール層の高さと同等又は若干高い導電層30で形成する。さらに、主加熱領域HF上に位置する部分に、前記中央部領域CF上、周縁部領域OF上に位置する部位の構成に加えて、主加熱領域HFの切断線33a、33bで区画される領域と、切断線33c、33dで区画される領域と、切断線33d、33eで区画される領域のそれぞれの延長上に、両側辺が弧状又はテーパ状、上辺が直線状で、ヒューズ機能部形成片32aよりも0.5〜1mm程度低い導電層30から成る突片38を形成する。
このようにヒューズ機能部32の導電層30を部分的に除去してヒューズ機能部形成片32bを形成することにより、前記ヒューズ機能部形成片32bの突片38に誘起されるとともに増加する渦電流よって、前述したヒューズ機能部32の溶着部323に効率良く、安定して確実に導通させることができる。
【0037】
この結果、ヒューズ機能部32において、ヒューズ機能部形成片32a、32b同士を部分的に溶着させた溶着部323以外への渦電流の導通の抑制が確実に行われ、溶着部323の導通の確保をより一層確実にすることができる。そして、渦電流の導通時の加熱によるヒューズ機能部32の主加熱領域HF上に位置する部位以外の部位、特に、ヒューズ機能部32の周縁部領域OF上に位置する部位における損傷等を防止することができる。
【0038】
また、ヒューズ機能部32のヒューズ機能部形成片32a,32b同士の部分的に溶着する溶着部323は、ヒューズ機能部形成片32bの突片38の上辺側に形成するのが好ましい(
図10及び
図11参照)。
尚、
図9は、本変形例をヒューズ機能部形成片32a側から見た斜視図であり、
図10は、本変形例をヒューズ機能部形成片32b側から見た斜視図である。また、
図11は、
図1のC−C断面に相当する本変形例の断面図である。
【0039】
また、前述したヒューズ機能部32のヒューズ機能部形成片32bにおいて、中央部領域CF上、周縁部領域OF上に位置する部分の導電層30の高さを、ヒートシール層31の高さよりも若干高く形成することにより、ヒューズ機能部32のヒートシール部からの樹脂の飛び出しを防止することができる。
尚、ヒューズ機能部32は、そのヒューズ機能部形成片32a、32bのいずれも
図10に示した形状としても良いが、誘導加熱発熱体3におけるヒューズ機能部32の強度等を保ち、製造時の安定性、高速生産性の点から、それぞれ
図9、
図10に示す形状とするのが好ましい。また、ヒューズ機能部32の形状保持を優先する場合には、ヒューズ機能部形成片32a、32bの一方を
図10に示すように形成するにあたり、中央部領域CF上に位置する部位と周縁部領域OF上に位置する部分とでは、ヒューズ機能部形成片32a、32bの高さを同じに揃えることもできる。
【0040】
このようにして形成されたヒューズ機能部32にあっては、液状の被加熱物が沸騰して減少していく過程で、容器内の被加熱物が所定量よりも少なくなったときや、容器内に被加熱物が収容されておらず、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、被加熱物の液面上にヒューズ機能部32が露出した状態になるとヒューズ機能部32の溶着部323のインピーダンスによる温度が著しく上昇し、前記溶着323が溶断して渦電流の導通が遮断され、ヒューズ機能部32が破断する。そして、このようにヒューズ機能部32が破断すると、電磁調理器の安全装置がその異常を検知して加熱が終了するので、容器本体2の損傷が防止される。誘導加熱容器1を使い捨て容器として蒸し調理に利用する場合などには、ヒューズ機能部32をクッキングタイマー的に応用することもできる。
【0041】
前述したように、誘導加熱発熱体3の主部は、中央部領域CFと、主加熱領域HFと、周縁部領域OFとに区画されているが、中央部領域CFと周縁部領域OFでは渦電流の誘起が抑制されている。このため、ヒューズ機能部32のうち中央部領域CF上に位置する部分と周縁部領域OF上に位置する部分に、主加熱領域HFで誘起された渦電流が導通してしまうと、ヒューズ機能部32が選択的に過剰に発熱するという機能が阻害されてしまう虞がある。このような不具合を避けるために、本実施形態では、ヒューズ機能部32の機能が有効に発現されるように、ヒューズ機能部32には、誘導加熱発熱体3の主部において主加熱領域HFを区画する切断線33a、33eの延長上に、スリット321、322を形成し、ヒューズ機能部32のうち主加熱領域HF上に位置する部分に、主加熱領域HFで誘起された渦電流が集中するようにして、当該部分においてヒューズ機能部32としての機能が効率よく発現するようにしている。
【0042】
また、本実施形態において、容器本体2に誘導加熱発熱体3を取り付けるにあたり、誘導加熱発熱体3は、容器本体2の内底面21から離間させて取り付けるのが好ましい。
このように、誘導加熱発熱体3を容器本体2の内底面21から離間させて取り付けることで、容器本体2に収容された水などの液状の被加熱物が、誘導加熱発熱体3と容器本体2の内底面21との間にも行き渡るようになる。これによって、被加熱物に対する加熱効率を高めるとともに、誘導加熱発熱体3からの熱によって容器本体2が損傷するのを有効に回避することができる。さらに、容器本体2の損傷を防止するため、誘導加熱発熱体3の裏面側に被加熱物が停滞せずに対流を促すように、誘導加熱発熱体3には、対流孔としての抜き孔を穿設したり、誘導加熱発熱体3を貫通するスリット35を形成したりすることができる。この場合、製造工程で抜き屑が生じると、その処理に手間を要するため、抜き屑が発生しない前述した貫通するスリット35を誘導加熱発熱体3に形成するのが好ましい。
【0043】
本実施形態にあっては、容器本体2の内底面21の中央付近に突出して設けた第一支持部22aと、その外周側に突出して設けた第二支持部22bと、さらにその外周側に突出して設けた第三支持部22cに、誘導加熱発熱体3をヒートシールすることによって、誘導加熱発熱体3を容器本体2の内底面21から離間させて取り付けている。これらの支持部22a、22b、22cと誘導加熱発熱体3とのヒートシール部を
図3に斜線で示す。
このようにすることで、電磁調理器による加熱の際に、電磁調理器に載置された容器1の存在の判別がしづらい場合、電磁調理器による容器1の有無の判別が長時間に亘って行われるが、その際に、誘導加熱発熱体3が徐々に加熱されることによる容器本体2の損傷を防止する。
【0044】
また、誘導加熱発熱体3を容器本体2の内底面21から離間させて取り付ける際に、支持部22a、22b、22cの高さを、第一支持部22a、第二支持部22b、第三支持部22cの順に、外周側に向かって順に低くし、容器本体2に取り付けられた誘導加熱発熱体3の内底面21に対する高さが、中央側が高く、周縁に向かって低くなるように傾斜した状態としている。
この結果、容器本体2に収容された液状の被加熱物食材が食油等の場合、容器内の被加熱物が所定量よりも少なくなったときに、食油等が誘導加熱発熱体3の中央からその周囲に流動して、誘導加熱発熱体3の周縁部領域OFの容器本体2との未ヒートシール部分から、容器本体2の内底面と誘導加熱発熱体3のヒートシール層31の間隙に滞留し、誘導加熱発熱体3の過加熱による食油等の被加熱物食材を介しての容器1の損傷等を防止することができる。
【0045】
さらに、本実施形態にあっては、例えば、
図4に示すように、容器本体2の開口部周縁に段部23を設けて、食材が載置されるトレイ4を支持又は嵌合できるようにすることができる。
また、
図12に示すように、かかる段部23に支持可能な凸部24を容器本体2の側壁の外周面に形成し、誘導加熱発熱体3に設けられたヒューズ機能部32が押しつぶされないようにしつつ、複数の誘導加熱容器1を積み重ねことができるようすることもできる。
【0046】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。