特許第5737458号(P5737458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737458
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】四路切換弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/065 20060101AFI20150528BHJP
   F16K 31/122 20060101ALI20150528BHJP
   F25B 41/04 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   F16K11/065 Z
   F16K31/122
   F25B41/04 C
【請求項の数】16
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-97952(P2014-97952)
(22)【出願日】2014年5月9日
(65)【公開番号】特開2015-45406(P2015-45406A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-161553(P2013-161553)
(32)【優先日】2013年8月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】大沼 洋一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】原口 優
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−281024(JP,A)
【文献】 特開平09−229214(JP,A)
【文献】 特開平03−092682(JP,A)
【文献】 特開2008−144819(JP,A)
【文献】 特開2003−126736(JP,A)
【文献】 特開平11−108217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/065
F16K 31/122
F25B 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部(1a)を有する四路切換弁本体(1)と、
上記筒状部(1a)内に配置された第1ピストン(21,221,321,521)と、
上記筒状部(1a)内に配置され、上記第1ピストン(21,221,321,521)に軸方向で対向する第2ピストン(22,332,522,622,722)と、
上記第1ピストン(21,221,321,521)と上記第2ピストン(22,332,522,622,722)を連結するための連結部(23,223,323,324,523,623,723,823)と
を備え、
上記第1,第2ピストン(21,221,321,521,22,332,522,622,722)の少なくとも一方は、上記連結部(23,223,323,324,523,623,723,823)側の端面に、軸方向に非貫通の孔(61,261,361,561,661,761)を有し、
上記連結部(23,223,323,324,523,623,723,823)は、上記第1,第2ピストン(21,221,321,521,22,332,522,622,722)の少なくとも一方に対して軸方向に相対移動することにより、上記第1,第2ピストン(21,221,321,521,22,332,522,622,722)の少なくとも一方の上記孔(61,261,361,561,661,761)に挿入されて、上記孔(61,261,361,561,661,761)に係止するように形成されていることを特徴とする四路切換弁。
【請求項2】
請求項1に記載の四路切換弁において、
上記第1ピストン(21,221,321,521)は上記第2ピストン(22,332,522)と略同一形状であることを特徴とする四路切換弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の四路切換弁において、
上記第1,第2ピストン(21,221,321,521,22,332,522,622,722)の少なくとも一方に対する上記連結部(23,223,323,324,523,623,723,823)の係止は解除不可能であることを特徴とする四路切換弁。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の四路切換弁において、
上記第1ピストン(21,521)は上記連結部(23,523)と一体に形成されることを特徴とする四路切換弁。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の四路切換弁において、
上記第1ピストン(221)、第2ピストン(22)および連結部(223)は互いに別体に形成されることを特徴とする四路切換弁。
【請求項6】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の四路切換弁において、
上記連結部(323,324)は、上記第1ピストン(321)と一体に形成された第1連結部(323)と、上記第2ピストン(322)と一体に形成された第2連結部(324)とを有し、
上記第1連結部(323)と上記第1ピストン(321)が呈する形状は、上記第2連結部(324)と上記第2ピストン(322)が呈する形状と略同一形状であることを特徴とする四路切換弁。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の四路切換弁において、
上記第1,第2ピストン(21,221,321,22,332)の周面に設けられた環状の溝(31,32,231,331,332,431,431)と、
上記溝(31,32,231,331,332,431,431)に嵌合するシール部材(41,42)と
を備えることを特徴とする四路切換弁。
【請求項8】
請求項3に記載の四路切換弁において、
上記連結部(623)の係止側の端部(623a)は、一部(623a−1)が上記連結部(623)の一表面側から突出し、かつ、他の一部(623a−2)が上記連結部(623)の他表面側から突出するように形成されていることを特徴とする四路切換弁。
【請求項9】
請求項3に記載の四路切換弁において、
上記連結部(723)の係止側の端部(723a)は、一部(723a−1)が上記連結部(723)の一表面側から突出し、かつ、他の一部(723a−2)も上記連結部(723)の一表面側から突出するように形成されていることを特徴とする四路切換弁。
【請求項10】
請求項3に記載の四路切換弁において、
上記連結部(823)の係止側の端部(823a)は、一部(823a−1)が上記連結部(823)の一側面側から突出し、かつ、他の一部(823a−2)が上記連結部(823)の他側面側から突出するように形成されていることを特徴とする四路切換弁。
【請求項11】
請求項8から10までのいずれか一項に記載の四路切換弁において、
上記連結部(623)の係止側の端部(623a)は、上記第1ピストンまたは第2ピストン(722)に埋め込まれた金属部材(799)に係止することを特徴とする四路切換弁。
【請求項12】
請求項4に記載の四路切換弁において、
上記連結部(523)の上記第1ピストン(522)側の端部(523b−1,523b−2)は上記第1ピストン(522)内に埋め込まれていることを特徴とする四路切換弁。
【請求項13】
請求項12に記載の四路切換弁において、
上記連結部(523)の上記第1ピストン(522)側の端部(523b−1,523b−2)は軸方向に略垂直な方向に延びていることを特徴とする四路切換弁。
【請求項14】
筒状部(1a)を有する四路切換弁本体(1)と、
上記筒状部(1a)内に配置された第1ピストン(421)と、
上記筒状部(1a)内に配置され、上記第1ピストン(421)に軸方向で対向する第2ピストン(422)と、
上記第1ピストン(421)と一体に形成され、上記第1ピストン(421)と上記第2ピストン(422)を連結するための第1連結部(423)と、
上記第2ピストン(422)と一体に形成され、上記第1ピストン(421)と上記第2ピストン(422)を連結するための第2連結部(424)と
を備え、
上記第1連結部(423)は、上記第2ピストン(422)に対して軸方向に相対移動することにより、上記第2連結部(424)に係止するように形成されていることを特徴とする四路切換弁。
【請求項15】
請求項14に記載の四路切換弁において、
上記第1連結部(423)と上記第1ピストン(421)が呈する形状は、上記第2連結部(424)と上記第2ピストン(422)が呈する形状と略同一形状であることを特徴とする四路切換弁。
【請求項16】
請求項14または15に記載の四路切換弁において、
上記第1,第2連結部(424)の少なくとも一方は、上記四路切換弁本体(1)の一端側からの流体を上記四路切換弁本体(1)の他端側へ案内する流路(471,472)を有することを特徴とする四路切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気調和機等に使用される四路切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、四路切換弁としては、図7に示すように、ピストン101を備えたものがある。このピストン101は、第1補強板102と第2補強板103とでピストンシール104を挟む構造を有している。このピストンシール104と第1補強板102の間には、板ばね108が入っている。また、第1補強板102および第2補強板103は、リベット107により、ピストンシール104側に押し付けられている。
【0003】
また、上記ピストン101はコンロッド105の一端部にネジ106で固定されている。このため、ネジ106が、第1,第2補強板102,103、ピストンシール104および板ばね108を貫通する。その結果、ピストン101のシール性能が低下してしまう。
【0004】
このようなシール性能の低下を防ぐ四路切換弁(以下、「他の従来の四路切換弁」と言う。)が、特開平9−229214号公報(特許文献1)に開示されている。この四路切換弁は、図8に示すように、第1ピストン111と、第2ピストン112と、第1ピストン111と第2ピストン112を連結するための連結板113とを有している。
【0005】
上記第1,第2ピストン111,112の外周面の環状溝111a,112aには、シールリング114,115が嵌合する。また、第1,第2ピストン111,112は、リベット116,117で連結板113に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−229214号公報(図1図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記第1,第2ピストン111,112および連結板113は、四路切換弁本体の一部となる筒状部(図示せず)内に挿入される。この筒状部内に第1,第2ピストン111,112および連結板113を挿入した後では、第1,第2ピストン111,112はリベット116,117で連結板113に固定することができない。
【0008】
したがって、上記筒状部外において、連結板113に第1,第2ピストン111,112をリベット116,117で固定した後、上記筒状部内に第1,第2ピストン111,112および連結板113を挿入する必要がある。
【0009】
しかしながら、上記第1,第2ピストン111,112と連結板113を互いに連結したアセンブリユニットは、筒状部内の例えば弁座を避けて、上記筒状部内に挿入するのは困難である。
【0010】
すなわち、上記他の従来の四路切換弁には、四路切換弁本体内への第1,第2ピストン111,112および連結板113の挿入が困難になるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、第1,第2ピストンの少なくとも一方のシール性能の低下を防ぐことができて、筒状部内への第1,第2ピストンおよび連結部の挿入が容易な四路切換弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の四路切換弁は、
筒状部を有する四路切換弁本体と、
上記筒状部内に配置された第1ピストンと、
上記筒状部内に配置され、上記第1ピストンに軸方向で対向する第2ピストンと、
上記第1ピストンと上記第2ピストンを連結するための連結部と
を備え、
上記第1,第2ピストンの少なくとも一方は、上記連結部側の端面に、軸方向に非貫通の孔を有し、
上記連結部は、上記第1,第2ピストンの少なくとも一方に対して軸方向に相対移動することにより、上記第1,第2ピストンの少なくとも一方の上記孔に挿入されて、上記孔に係止するように形成されていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、上記連結部は、第1,第2ピストンの少なくとも一方に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストンの少なくとも一方に係止するように形成されている。これにより、上記第1,第2ピストンの少なくとも一方に連結部を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストンの少なくとも一方を貫通しないので、第1,第2ピストンの少なくとも一方のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0014】
また、上記連結部は、第1,第2ピストンの少なくとも一方に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストンの少なくとも一方に係止するように形成されている。これにより、上記第1,第2ピストンおよび連結部を筒状部内に挿入した後、第1,第2ピストンの少なくとも一方に連結部を係止させることができる。すなわち、上記第1,第2ピストンの少なくとも一方に連結部を係止させる前に、第1,第2ピストンおよび連結部を筒状部内に挿入することができる。したがって、上記筒状部内への第1,第2ピストンおよび連結部の挿入は容易である。
【0015】
一実施形態の四路切換弁では、
上記第1ピストンは上記第2ピストンと略同一形状である。
【0016】
上記実施形態によれば、上記第1ピストンは第2ピストンと略同一形状であるので、第1,第2ピストンを作動させるときに第1,第2ピストンに加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0017】
一実施形態の四路切換弁では、
上記第1,第2ピストンの少なくとも一方に対する上記連結部の係止は解除不可能である。
【0018】
上記実施形態によれば、上記第1,第2ピストンの少なくとも一方に対する連結部の係止は解除不可能であるので、第1,第2ピストンの少なくとも一方と連結部の分離を防ぐことができる。
【0019】
一実施形態の四路切換弁では、
上記第1ピストンは上記連結部と一体に形成される。
【0020】
上記実施形態によれば、上記連結部は第1ピストンと一体に形成されるので、第1ピストンに連結部を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1ピストンを貫通することがないので、第1,第2ピストンのシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0021】
また、上記第1ピストンは連結部と一体に形成されるので、第1ピストンに連結部を係止させるための作業を無くすことができる。したがって、上記四路切換弁の製造効率を向上させることができる。
【0022】
一実施形態の四路切換弁では、
上記第1ピストン、第2ピストンおよび連結部は互いに別体に形成される。
【0023】
上記実施形態によれば、上記第1,第2ピストンおよび連結部は互いに別体に形成されるので、第1,第2ピストンおよび連結部のうちの例えば1つが不良品であった場合、その1つだけを交換すればよい。
【0024】
一実施形態の四路切換弁では、
上記連結部は、上記第1ピストンと一体に形成された第1連結部と、上記第2ピストンと一体に形成された第2連結部とを有し、
上記第1連結部と上記第1ピストンが呈する形状は、上記第2連結部と上記第2ピストンが呈する形状と略同一形状である。
【0025】
上記実施形態によれば、上記第1,第2連結部は第1,第2ピストンと一体に形成されるので、第1,第2ピストンに第1,第2連結部を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストンを貫通することがないので、第1,第2ピストンのシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0026】
また、上記第1連結部と第1ピストンが呈する形状は、第2連結部と第2ピストンが呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストンを作動させるときに第1,第2ピストンに加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0027】
また、上記第1連結部と第1ピストンが呈する形状は、第2連結部と第2ピストンが呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部の製造コストを下げることができる。
【0028】
一実施形態の四路切換弁は、
上記第1,第2ピストンの周面に設けられた環状の溝と、
上記溝に嵌合するシール部材と
を備える。
【0029】
上記実施形態によれば、上記第1,第2ピストンの周面に設けられた環状の溝にシール部材が嵌合するので、第1,第2ピストンのシール性能を高めることができる。
【0030】
一実施形態の四路切換弁では、
上記連結部の係止側の端部は、一部が上記連結部の一表面側から突出し、かつ、他の一部が上記連結部の他表面側から突出するように形成されている。
【0031】
上記実施形態によれば、上記連結部の係止側の端部は、一部が連結部の一表面側から突出し、かつ、他の一部が連結部の他表面側から突出するように形成する。これにより、上記連結部の係止側の端部による係止を強固にすることができる。
【0032】
一実施形態の四路切換弁では、
上記連結部の係止側の端部は、一部が上記連結部の一表面側から突出し、かつ、他の一部も上記連結部の一表面側から突出するように形成されている。
【0033】
上記実施形態によれば、上記連結部の係止側の端部は、一部が上記連結部の一表面側から突出し、かつ、他の一部も上記連結部の一表面側から突出するように形成される。これにより、上記連結部の係止側の端部による係止を強固にすることができる。
【0034】
また、上記連結部の係止側の端部を、一部が上記連結部の一表面側から突出し、かつ、他の一部も上記連結部の一表面側から突出するように形成する場合、連結部の形成を比較的簡単にすることができる。
【0035】
一実施形態の四路切換弁では、
上記連結部の係止側の端部は、一部が上記連結部の一側面側から突出し、かつ、他の一部が上記連結部の他側面側から突出するように形成されている。
【0036】
上記実施形態によれば、上記連結部の係止側の端部は、一部が連結部の一側面側から突出し、かつ、他の一部が連結部の他側面側から突出するように形成される。これにより、上記連結部の係止側の端部による係止を強固にすることができる。
【0037】
一実施形態の四路切換弁では、
上記連結部の係止側の端部は、上記第1ピストンまたは第2ピストンに埋め込まれた金属部材に係止することを特徴とする四路切換弁。
【0038】
上記実施形態によれば、上記連結部の係止側の端部は、第1ピストンまたは第2ピストンに埋め込まれた金属部材に係止するので、連結部の係止側の端部が係止する箇所の損傷を防ぐことができる。
【0039】
また、上記第1ピストンまたは第2ピストンに金属部材を埋め込むので、第1ピストンまたは第2ピストンの強度を高めることができる。したがって、上記第1ピストンまたは第2ピストンを薄型化することができる。
【0040】
一実施形態の四路切換弁では、
上記連結部の上記第1ピストン側の端部は上記第1ピストン内に埋め込まれている。
【0041】
上記実施形態によれば、上記連結部の第1ピストン側の端部は第1ピストン内に埋め込まれているので、第1ピストンから連結部が分離する可能性を低減できる。
【0042】
一実施形態の四路切換弁では、
上記連結部の上記第1ピストン側の端部は軸方向に略垂直な方向に延びている。
【0043】
上記実施形態によれば、上記連結部の上記第1ピストン側の端部は軸方向に略垂直な方向に延びているので、第1ピストンから連結部が分離する可能性をさらに低減できる。
【0044】
本発明の四路切換弁は、
筒状部を有する四路切換弁本体と、
上記筒状部内に配置された第1ピストンと、
上記筒状部内に配置され、上記第1ピストンに軸方向で対向する第2ピストンと、
上記第1ピストンと一体に形成され、上記第1ピストンと上記第2ピストンを連結するための第1連結部と、
上記第2ピストンと一体に形成され、上記第1ピストンと上記第2ピストンを連結するための第2連結部と
を備え、
上記第1連結部は、上記第2ピストンに対して軸方向に相対移動することにより、上記第2連結部に係止するように形成されていることを特徴としている。
【0045】
上記構成によれば、上記第1,第2連結部は第1,第2ピストンと一体に形成されるので、第1,第2ピストンに第1,第2連結部を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストンを貫通することがないので、第1,第2ピストンのシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0046】
また、上記第1連結部は、第2ピストンに対して軸方向に相対移動することにより、第2連結部に係止するように形成されている。これにより、上記第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部を筒状部内に挿入した後、第2連結部に第1連結部を係止させることができる。すなわち、第2連結部に第1連結部を係止させる前に、第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部を筒状部内に挿入することができる。したがって、上記筒状部内への第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部の挿入は容易である。
【0047】
一実施形態の四路切換弁では、
上記第1連結部と上記第1ピストンが呈する形状は、上記第2連結部と上記第2ピストンが呈する形状と略同一形状である。
【0048】
上記実施形態によれば、上記第1連結部と第1ピストンが呈する形状は、第2連結部と第2ピストンが呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストンを作動させるときに第1,第2ピストンに加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0049】
また、上記第1連結部と第1ピストンが呈する形状は、第2連結部と第2ピストンが呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部の製造コストを下げることができる。
【0050】
一実施形態の四路切換弁では、
上記第1,第2連結部の少なくとも一方は、上記四路切換弁本体の一端側からの流体を上記四路切換弁本体の他端側へ案内する流路を有する。
【0051】
上記実施形態によれば、上記第1,第2連結部の少なくとも一方は、四路切換弁本体の一端側からの流体を四路切換弁本体の他端側へ案内する流路を有するので、四路切換弁本体内の乱流を低減できる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の四路切換弁によれば、上記連結部は、第1,第2ピストンの少なくとも一方に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストンの少なくとも一方に係止するように形成されているので、第1,第2ピストンの少なくとも一方に連結部を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストンの少なくとも一方を貫通しないので、第1,第2ピストンの少なくとも一方のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0053】
また、上記連結部は、第1,第2ピストンの少なくとも一方に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストンの少なくとも一方に係止するように形成されているので、第1,第2ピストンの少なくとも一方に連結部を係止させる前に、第1,第2ピストンおよび連結部を筒状部内に挿入することができる。したがって、上記筒状部内への第1,第2ピストンおよび連結部の挿入は容易である。
【0054】
本発明の四路切換弁によれば、第1,第2連結部は第1,第2ピストンと一体に形成されるので、第1,第2ピストンに第1,第2連結部を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストンを貫通することがないので、第1,第2ピストンのシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0055】
また、上記第1連結部は、第2ピストンに対して軸方向に相対移動することにより、第2連結部に係止するように形成されているので、第2連結部に第1連結部を係止させる前に、第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部を筒状部内に挿入することができる。したがって、上記筒状部内への第1,第2ピストンおよび連結部の挿入は容易である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は本発明の第1実施形態の四路切換弁の概略断面図である。
図2図2は上記第1実施形態の四路切換弁の第1,第2ピストンおよび連結部の模式分解斜視図である。
図3図3は上記第2ピストンおよび連結部の模式断面図である。
図4図4は本発明の第2実施形態の四路切換弁の第1,第2ピストンおよび連結部の模式分解斜視図である。
図5図5は本発明の第3実施形態の四路切換弁の第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部の模式分解斜視図である。
図6図6は本発明の第4実施形態の四路切換弁の第1,第2ピストンおよび第1,第2連結部の模式斜視図である。
図7図7は従来の四路切換弁の要部の断面図である。
図8図8は他の従来の四路切換弁の第1,第2ピストンおよび連結部の分解斜視図である。
図9図9は本発明の第5実施形態の四路切換弁の第1,第2ピストンおよび連結部の模式斜視図である。
図10図10は上記連結部の模式斜視図である。
図11図11は上記第2ピストンおよび連結部の模式斜視図である。
図12図12は上記第1ピストンおよび連結部の模式斜視図である。
図13図13は本発明の一実施形態の連結部の模式斜視図である。
図14図14は本発明の一実施形態の第2ピストンの模式斜視図である。
図15図15は上記第2ピストンおよび連結部の模式断面図である。
図16図16は本発明の一実施形態の第2ピストンおよび連結部の模式断面図である。
図17図17は本発明の一実施形態の連結部の模式斜視図である。
図18図18は本発明の一実施形態の連結部の模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の四路切換弁を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0058】
〔第1実施形態〕
図1は、空気調和機に設けられた本発明の第1実施形態の四路切換弁の概略断面図である。
【0059】
上記四路切換弁は、四路切換弁本体1と、この四路切換弁本体1内に設けられた弁座2と、四路切換弁本体1内に設けられた弁体3とを備えている。
【0060】
上記四路切換弁本体1は、円筒状部1aと、この円筒状部1aの軸方向の一端部を閉鎖する第1閉鎖部1bと、円筒状部1aの軸方向の他端部を閉鎖する第2閉鎖部1cとを有する。この第1,第2閉鎖部1b,1cは円筒状部1aに溶接されている。なお、円筒状部1aは筒状部の一例である。
【0061】
上記円筒状部1aの図中上側(軸方向に直交する方向の一端側)の部分には、第1ポート11が設けられている。一方、円筒状部1aの図中下側(軸方向に直交する方向の他端側)の部分には、第2,第3,第4ポート12,13,14が設けられている。この第1ポート11は、第3ポート13と対向する。また、第2,第3,第4ポート12,13,14は軸方向に沿って並び、第3ポート13が第2ポート12と第4ポート14との間に位置している。
【0062】
上記第1ポート11は、配管4を介して、圧縮機(図示せず)の吐出口に接続されている。これにより、配管4内では、上記圧縮機からの高温高圧の冷媒が四路切換弁本体1へ向かって流れるようになっている。
【0063】
上記第2ポート12は、配管5を介して、室外熱交換器(図示せず)に接続されている。これにより、暖房運転時、上記室外熱交換器からの低温低圧の冷媒が配管5内を四路切換弁本体1へ向かって流れる。また、冷房運転時、上記圧縮機からの高温高圧の冷媒が配管5内を上記室外熱交換器へ向かって流れる。
【0064】
上記第3ポート13は、配管6を介して、上記圧縮機の吸入口に接続されている。暖房運転時、配管5から四路切換弁本体1内に流入した低温低圧の冷媒が、弁体3により、配管6へ案内される。一方、冷房運転時、配管7から四路切換弁本体1内に流入した低温低圧の冷媒が、弁体3により、配管6へ案内される。
【0065】
上記第4ポート14は、配管7を介して、室内熱交換器(図示せず)に接続されている。これにより、冷房運転時、上記室内熱交換器からの低温低圧の冷媒が配管7内を四路切換弁本体1へ向かって流れる。また、暖房運転時、上記圧縮機からの高温高圧の冷媒が配管7内を上記室内熱交換器へ向かって流れる。
【0066】
上記弁座2は、円筒状部1aの図中下側の部分と弁体3との間に設けられ、例えばステンレスから成っている。
【0067】
上記弁体3は、第2ポート12と第3ポート13の連通と、第3ポート13と第4ポート14の連通とを切り換えるための弁体であり、例えば樹脂からなっている。この弁体3は、弁座2の弁体3側の表面上を軸方向に摺動可能に設けられている。
また、上記四路切換弁は、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置された樹脂製の第1ピストン21と、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置され、第1ピストン21に軸方向で対向する樹脂製の第2ピストン22と、第1ピストン21と第2ピストン22を連結するための樹脂製の連結部23とを備えている。なお、第1,第2ピストン21,22および連結部23のうちの少なくとも1つの材料として、例えばポリフェニレンスルファイドを用いてもよい。
【0068】
上記第1ピストン21と第1閉鎖部1bの間の空間は、パイロット管8、パイロット電磁弁(図示せず)およびパイロット管9を介して、配管6内の空間と連通可能になっている。
【0069】
上記第2ピストン22と第2閉鎖部1cの間の空間は、パイロット管10、上記パイロット電磁弁およびパイロット管9を介して、配管6内の空間と連通可能になっている。
【0070】
上記パイロット電磁弁が操作されて、第1ピストン21と第1閉鎖部1bの間の空間が、第2ピストン22と第2閉鎖部1cの間の空間よりも、高圧になったり、低圧になったりする。これにより、第1,第2ピストン21,22、連結部23および弁体3が図中左右方向(軸方向)に移動する。
【0071】
図2は上記第1,第2ピストン21,22および連結部23の模式分解斜視図である。
【0072】
上記第1ピストン21は連結部23と一体に形成されている。また、第1ピストン21は第2ピストン22と略同一形状である。また、第1,第2ピストン21,22の周面には環状の溝31,32が設けられている。この溝31,32にはシール部材41,42(図1に示す)が嵌合する。
【0073】
上記連結部23の軸方向の中央部には、弁体3が嵌合する大貫通孔51が設けられている。この大貫通孔51の第1ピストン21側の側方には、第2ポート12に対向可能な第1小貫通孔52が設けられている。一方、大貫通孔51の第2ピストン22側の側方には、第4ポート14に対向可能な第2小貫通孔53が設けられている。この第1,第2小貫通孔52,53の軸方向の長さは、大貫通孔51の軸方向の長さよりも短くなっている。
【0074】
また、上記連結部23の先端部23aには、軸方向に延びる切り欠き54が設けられている。これにより、先端部23aは軸方向に垂直な方向に弾性変形し易くなっている。
【0075】
図3は上記第2ピストン22および連結部23の模式断面図である。
【0076】
上記第2ピストン22の連結部23側の端面には、連結部23の先端部23aが挿通される挿通孔61が設けられている。この挿通孔61は、第2ピストン22内の収容室62に連通している。
【0077】
上記連結部23の先端部23aが第2ピストン22の挿通孔61に挿通されると、先端部23aの一部が収容室62に収容される。このとき、先端部23aにおいて軸方向に垂直な方向に突出する平面視三角形状の部分が、挿通孔61の周縁部の内面に係止する。これにより、先端部23aは第2ピストン22から離脱不可能となる。すなわち、第2ピストン22に対する連結部23の係止は解除不可能となる。
【0078】
以下、上記四路切換弁本体1内への第1,第2ピストン21,22および連結部223の挿入について説明する。
【0079】
まず、上記円筒状部1aに第1,第2閉鎖部1b,1cを溶接する前に、円筒状部1aの軸方向の一端側から、円筒状部1a内に、第2ピストン22を挿入する。
【0080】
次に、上記円筒状部1aの軸方向の他端側から、円筒状部1a内に、第1ピストン21および連結部23を挿入する。このとき、連結部23の大貫通孔51には弁体3を嵌合させて、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に、連結部23と一緒に弁体3も挿入する。
【0081】
次に、上記第2ピストン22に対して連結部23を軸方向に相対移動させて、挿通孔61に連結部23の先端部23aを挿通する。そうすると、先端部23aにおいて軸方向に垂直な方向に突出する部分が、挿通孔61の周縁部の内面に係止する。
【0082】
このように、上記連結部23は、第2ピストン22に対して軸方向に相対移動することにより、第2ピストン22に係止するように形成されているので、第2ピストン22に連結部23を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第2ピストン22を貫通しないので、第2ピストン22のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0083】
また、上記連結部23は、第2ピストン22に対して軸方向に相対移動することにより、第2ピストン22に係止するように形成されているので、第1,第2ピストン21,22および連結部23を円筒状部1a内に挿入した後、第2ピストン22に連結部23を係止させることができる。すなわち、第2ピストン22に連結部23を係止させる前に、第1,第2ピストン21,22および連結部23を円筒状部1a内に挿入することができる。したがって、円筒状部1a内への第1,第2ピストン21,22および連結部23の挿入は容易である。
【0084】
また、上記第1ピストン21は第2ピストン22と略同一形状であるので、第1,第2ピストン21,22を作動させるときに第1,第2ピストン21,22に加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0085】
また、上記第2ピストン22に対する連結部23の係止は解除不可能なので、第2ピストン22から連結部23が分離するのを防ぐことができる。
【0086】
また、上記連結部23は第1ピストン21と一体に形成されるので、第1ピストン21に連結部23を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1ピストン21を貫通することがないので、第1ピストン21のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0087】
また、上記第1ピストン21は連結部23と一体に形成されるので、第1ピストン21に連結部23を係止させるための作業を無くすことができる。したがって、上記四路切換弁の製造効率を向上させることができる。
【0088】
上記第1実施形態では、上記四路切換弁は、空気調和機に用いていたが、気体または液体の流れを制御する必要がある機器であれば、空気調和機以外の機器に用いてもよい。
【0089】
上記第1実施形態では、第1,第2ピストン21,22および連結部23は、樹脂から成っていたが、金属(例えばアルミニウム)から成るようにしてもよい。
【0090】
上記第1実施形態では、円筒状部1aの軸方向の一端側から、円筒状部1a内に、第2ピストン22を挿入した後、円筒状部1aの軸方向の他端側から、円筒状部1a内に、第1ピストン21および連結部23を挿入していたが、円筒状部1aの軸方向の一端側から、円筒状部1a内に、第1ピストン21および連結部23を挿入していた後、円筒状部1aの軸方向の他端側から、円筒状部1a内に、第2ピストン22を挿入するようにしてもよい。
【0091】
上記第1実施形態では、連結部23の先端部23aに、軸方向に垂直な方向に突出する平面視三角形状の部分と、切り欠き54とを設けていたが、上記部分および切り欠き54を設けないようにしてもよい。この場合、例えば、第2ピストン22に連結部23の先端部23aを接着剤で接着するようにしてもよい。すなわち、第2ピストン22に対する連結部23の係止は、接着剤、圧入等で行ってもよい。
【0092】
上記第1実施形態では、四路切換弁本体1は、円筒状部1aを有していたが、角筒状部または楕円筒状部を有するようにしてもよい。
【0093】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態の四路切換弁が備える第1,第2ピストン221,22および連結部223の模式分解斜視図である。なお、図4において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部には、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。また、以下の説明においても、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
【0094】
上記四路切換弁は、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置され、第2ピストン22に軸方向に対向する第1ピストン221と、第1ピストン221と第2ピストン22を連結するための連結部223とを備えている点のみが、上記第1実施形態と異なっている。
【0095】
上記第1,第2ピストン221,22および連結部223は、例えば樹脂で、互いに別体に形成される。なお、第1,第2ピストン221,22および連結部223のうちの少なくとも1つの材料として、例えばポリフェニレンスルファイドを用いてもよい。
【0096】
上記連結部223の軸方向の中央部には、弁体3が嵌合する大貫通孔251が設けられている。この大貫通孔251の第1ピストン221側の側方には、第2ポート12に対向可能な第1小貫通孔252が設けられている。一方、大貫通孔251の第2ピストン22側の側方には、第4ポート14に対向可能な第2小貫通孔253が設けられている。この第1,第2小貫通孔252,253の軸方向の長さは、大貫通孔251の軸方向の長さよりも短くなっている。
【0097】
また、上記連結部223の一端部223aには、軸方向に延びる切り欠き254が設けられている。一方、連結部223の他端部223bにも、軸方向に延びる切り欠き255が設けられている。すなわち、連結部223の一端部223aは、連結部223の他端部223bと略同一形状になっている。これにより、連結部223の一端部223aおよび他端部223aは、それぞれ、軸方向に垂直な方向に弾性変形し易くなっている。
【0098】
上記連結部223の一端部223aが第2ピストン22の挿通孔61に挿通されると、一端部223aの一部が収容室62に収容される。このとき、一端部223aにおいて軸方向に垂直な方向に突出する平面視三角形状の部分が、挿通孔61の周縁部の内面に係止する。これにより、一端部223aは第2ピストン22から離脱不可能となる。すなわち、連結部223は、軸方向に移動させることにより、第2ピストン22に対して係止可能であり、また、第2ピストン22に対する連結部223の係止は解除不可能となる。
【0099】
また、上記第1ピストン221の連結部223側の端面には、連結部223の他端部223aが挿通される挿通孔261が設けられている。この挿通孔261は、第1ピストン221内の収容室(図示せず)に連通している。
【0100】
上記連結部223の他端部223bが第1ピストン221の挿通孔261に挿通されると、他端部223bの一部が上記収容室に収容される。このとき、他端部223bにおいて軸方向に垂直な方向に突出する平面視三角形状の部分が、挿通孔261の周縁部の内面に係止する。これにより、他端部223bは第1ピストン221から離脱不可能となる。すなわち、第1ピストン221に対する連結部223の係止は解除不可能となる。
【0101】
また、上記第1ピストン221の周面には環状の溝231が設けられている。この溝231にはシール部材41が嵌合する。
【0102】
上記構成の四路切換弁によれば、上記第1実施形態と同様に、連結部223は、第1,第2ピストン221,22に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストン221,22に係止するように形成されているので、第1,第2ピストン221,22に連結部223を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストン221,22を貫通しないので、第1,第2ピストン221,22のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0103】
また、上記連結部223は、第1,第2ピストン221,22に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストン221,22に係止するように形成されているので、第1,第2ピストン221,22および連結部223を円筒状部1a内に挿入した後、第1,第2ピストン221,22に連結部223を係止させることができる。すなわち、第1,第2ピストン221,22に連結部223を係止させる前に、第1,第2ピストン221,22および連結部223を円筒状部1a内に挿入することができる。したがって、円筒状部1a内への第1,第2ピストン221,22および連結部223の挿入は容易である。
【0104】
また、上記第1ピストン221は第2ピストン22と略同一形状であるので、第1,第2ピストン221,22を作動させるときに第1,第2ピストン221,22に加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0105】
また、上記第1ピストン221は第2ピストン22と略同一形状であるので、第1,第2ピストン221,22の製造コストを下げることができる。
【0106】
また、上記第1,第2ピストン221,22に対する連結部223の係止は解除不可能であるので、第1,第2ピストン221,22と連結部223の分離を防ぐことができる。
【0107】
また、上記第1,第2ピストン221,22および連結部223は互いに別体に形成されるので、第1,第2ピストン221,22および連結部223のうちの例えば1つが不良品であった場合、その1つだけを交換するだけで済む。
【0108】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態の四路切換弁が備える第1,第2ピストン321,322および第1,第2連結部323,324の模式分解斜視図である。なお、以下の説明において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
【0109】
上記四路切換弁は、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置された第1ピストン321と、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置され、第1ピストン321に軸方向で対向する第2ピストン322と、第1ピストン321と第2ピストン322を連結するための第1,第2連結部323,324とを備えている点のみが、上記第1実施形態と異なっている。
【0110】
上記第1,第2ピストン321,322は第1,第2連結部323,324と一体に形成されている。この第1,第2ピストン321,322の周面には環状の溝331,332が設けられている。この溝331,332にはシール部材41,42(図1に示す)が嵌合する。また、第1ピストン321は第2ピストン322と略同一形状である。また、第1連結部323と第1ピストン321が呈する形状は、第2連結部324と第2ピストン322が呈する形状と略同一形状である。
【0111】
上記第1,第2連結部323,324の軸方向の中央部には、弁体3が嵌合する大貫通孔351,356が設けられている。この大貫通孔351,356の基端側の側方には、第1小貫通孔352,357が設けられている。一方、大貫通孔351,356の先端側の側方には、第2小貫通孔353,358が設けられている。第1,第2小貫通孔352,358は第2ポート12に対向可能である。また、第1,第2小貫通孔357,353は第4ポート14に対向可能である。第1,第2小貫通孔352,353の軸方向の長さは、大貫通孔351の軸方向の長さよりも短くなっている。また、第1,第2小貫通孔357,358の軸方向の長さは、大貫通孔356の軸方向の長さよりも短くなっている。
【0112】
また、上記第1,第2連結部323,324の先端部323a,324aには、軸方向に延びる切り欠き354,359が設けられている。これにより、先端部323a,324aは軸方向に垂直な方向に弾性変形し易くなっている。
【0113】
上記第1ピストン321の第1連結部323側の端面には、第2連結部324の先端部324aが挿通される挿通孔361が設けられている。この挿通孔361は、第1ピストン321内の収容室(図示せず)に連通している。
【0114】
上記第2連結部324の先端部324aが第1ピストン321の挿通孔361に挿通されると、先端部324aの一部が上記収容室に収容される。このとき、先端部324aにおいて軸方向に垂直な方向に突出する平面視三角形状の部分が、挿通孔361の周縁部の内面に係止する。これにより、先端部324aは第1ピストン321から離脱不可能となる。すなわち、第1ピストン321に対する第2連結部324の係止は解除不可能となる。
【0115】
また、図示しないが、第2ピストン322の第1連結部323側の端面にも、第1連結部323の先端部323aが挿通される挿通孔が設けられている。この挿通孔は、第2ピストン322内の収容室(図示せず)に連通している。
【0116】
上記第1連結部323の先端部323aが第2ピストン322の上記挿通孔に挿通されると、先端部323aの一部が上記収容室に収容される。このとき、先端部323aにおいて軸方向に垂直な方向に突出する平面視三角形状の部分が、上記挿通孔の周縁部の内面に係止する。これにより、先端部323aは第2ピストン322から離脱不可能となる。すなわち、第2ピストン322に対する第1連結部323の係止は解除不可能となる。
【0117】
上記構成の四路切換弁によれば、上記第1実施形態と同様に、第1,第2連結部323,324は、第1,第2ピストン321,322に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストン321,322に係止するように形成されているので、第1ピストン321に第2連結部324を例えばネジで固定しなくてもよく、かつ、第2ピストン322に第1連結部323を例えばネジで固定しなくてもよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストン321,322を貫通しないので、第1,第2ピストン321,322のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0118】
また、上記第1,第2連結部323,324は、第1,第2ピストン321,322に対して軸方向に相対移動することにより、第1,第2ピストン321,322に係止するように形成されているので、第1,第2ピストン321,322および第1,第2連結部323,324を円筒状部1a内に挿入した後、第1,第2ピストン321,322に第1,第2連結部323,324を係止させることができる。すなわち、第1,第2ピストン321,322に第1,第2連結部323,324を係止させる前に、第1,第2ピストン321,322および第1,第2連結部323,324を円筒状部1a内に挿入することができる。したがって、円筒状部1a内への第1,第2ピストン321,322および第1,第2連結部323,324の挿入は容易である。
【0119】
また、上記第1ピストン221は第2ピストン22と略同一形状であるので、第1,第2ピストン321,322を作動させるときに第1,第2ピストン321,322に加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0120】
また、上記第1ピストン321に対する第2連結部324の係止は解除不可能であるので、第1ピストン321から第2連結部324が分離するのを防ぐことができる。
【0121】
また、上記第2ピストン322に対する第1連結部323の係止は解除不可能であるので、第2ピストン322から第1連結部323が分離するのを防ぐことができる。
【0122】
また、上記第1連結部323は第1ピストン321と一体に形成されるので、第1ピストン321に第1連結部323を固定するための例えばネジは不要である。したがって、第1ピストン321のシール性能が上記ネジで低下するのを防ぐことができる。
【0123】
また、上記第2連結部32は第2ピストン322と一体に形成されるので、第2ピストン322に第2連結部324を固定するための例えばネジは不要である。したがって、第2ピストン322のシール性能が上記ネジで低下するのを防ぐことができる。
【0124】
また、第1連結部323と第1ピストン321が呈する形状は、第2連結部324と第2ピストン322が呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストン321,322を作動させるときに第1,第2ピストン321,322に加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0125】
また、上記第1連結部323と第1ピストン321が呈する形状は、第2連結部324と第2ピストン322が呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストン321,322および第1,第2連結部323,324の製造コストを下げることができる。
【0126】
上記第3実施形態において、第1ピストン321は、例えばポリフェニレンスルファイドで第1連結部323と一体に形成してもよい。すなわち、第1ピストン321および第1連結部323の材料として、樹脂の一例としてのポリフェニレンスルファイドを用いてもよい。
【0127】
また、上記第1ピストン321および第1連結部323と同様に、第2ピストン322および第2連結部324の材料として、樹脂の一例としてのポリフェニレンスルファイドを用いてもよい。
【0128】
〔第4実施形態〕
図6は、本発明の第4実施形態の四路切換弁が備える第1,第2ピストン421,422および第1,第2連結部423,424の模式斜視図である。なお、以下の説明において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
【0129】
上記四路切換弁は、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置された第1ピストン421と、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置され、第1ピストン421に軸方向で対向する第2ピストン422と、第1ピストン421と第2ピストン422を連結するための第1,第2連結部423,424とを備える点のみが、上記第1実施形態と異なっている。
【0130】
上記第1,第2ピストン421,422は第1,第2連結部423,424と一体に形成されている。この第1,第2ピストン421,422の周面には環状の溝431,432が設けられている。この溝431,432にはシール部材41,42(図1に示す)が嵌合する。また、第1ピストン421は第2ピストン422と略同一形状である。また、第1連結部423と第1ピストン421が呈する形状は、第2連結部424と第2ピストン422が呈する形状と略同一形状である。
【0131】
上記第1連結部423には、配管4側からの高温高圧の冷媒を配管5側へ案内する流路471と、弁体3の一部が嵌合する略1/4楕円球形状の凹部481とが設けられている。また、第2連結部424には、配管4側からの高温高圧の冷媒を配管側へ案内する流路472と、弁体3の残りの部分が嵌合する略1/4楕円球形状の凹部482とが設けられている。流路471の入口471aは、流路472の入口472aと軸方向において連なっている。また、流路471の出口471bと、流路472の出口472bとの間には、凹部481,482が位置している。
【0132】
また、上記第1連結部423の先端面は、第2連結部424の先端面と接着剤で固定されている。この第1連結部423の先端面は、第2連結部424の先端面に接着剤で固定できるように形成されている。すなわち、第1連結部423は、第2ピストン422に対して軸方向に相対移動することにより、第2連結部424に係止するように形成されている。
【0133】
上記構成の四路切換弁によれば、第1,第2連結部423,424は第1,第2ピストン421,422と一体に形成されるので、第1,第2ピストン421,422に第1,第2連結部423,424を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第1,第2ピストン421,422を貫通することがないので、第1,第2ピストン421,422のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0134】
上記第2連結部424に第1連結部423を係止させる場合、まず、第1ピストン421および第1連結部423を、円筒状部1aの一端側から円筒状部1a内に挿入する。そして、弁体3を円筒状部1aの他端側から円筒状部1a内に挿入して、凹部481に弁体3の一部を嵌合させる。引き続いて、接着剤が先端面に塗布された第2ピストン422と、第2連結部424とを、円筒状部1aの他端側から円筒状部1a内に挿入する。これにより、凹部482に弁体3の残りの部分を嵌合させると共に、第2連結部424に第1連結部423を係止させる。
【0135】
このように、上記第1連結部423は、第2ピストン422に対して軸方向に相対移動することにより、第2連結部424に係止するように形成されているので、第1,第2ピストン421,422および第1,第2連結部423,424を円筒状部1a内に挿入した後、第2連結部424に第1連結部423を係止させることができる。すなわち、第2連結部424に第1連結部423を係止させる前に、第1,第2ピストン421,422および第1,第2連結部423,424を円筒状部1a内に挿入することができる。したがって、円筒状部1a内への第1,第2ピストン421,422および第1,第2連結部423,424の挿入は容易である。
【0136】
また、上記第1,第2ピストン421,422および第1,第2連結部423,424を円筒状部1a内に挿入する前に、凹部481,482に弁体3を嵌合させなくてもよいので、上記四路切換弁は、第1〜第3実施形態の四路切換弁に比べて、組み立て易い。
【0137】
また、上記第1連結部423と第1ピストン421が呈する形状は、第2連結部424と第2ピストン422が呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストン421,422を作動させるときに第1,第2ピストン421,422に加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0138】
また、上記第1連結部423と第1ピストン421が呈する形状は、第2連結部と第2ピストンが呈する形状と略同一形状であるので、第1,第2ピストン421,422および第1,第2連結部423,424の製造コストを下げることができる。
【0139】
また、上記第1,第2連結部423,424は、四路切換弁本体1の一端側からの高温高圧の冷媒を四路切換弁本体1の他端側へ案内する流路471,472を有するので、四路切換弁本体1内の乱流を低減できる。
【0140】
上記第4実施形態では、第2連結部424の先端面に対する第1連結部423の先端面の係止は、接着剤で行っていたが、圧入等で行ってもよい。
【0141】
上記第4実施形態では、第2連結部424の先端面に対する第1連結部423の先端面の係止は、接着剤で行っていたが、上記第1〜第3実施形態のように、棒状部材の先端部を挿通孔に挿通することで行ってもよい。
【0142】
上記第4実施形態では、第1連結部423は、円筒状部1aの一端側からの高温高圧の冷媒を四路切換弁本体1の他端側へ案内する流路471を有していたが、流路471を有さないようにしてもよい。
【0143】
上記第4実施形態では、第2連結部424は、円筒状部1aの一端側からの高温高圧の冷媒を四路切換弁本体1の他端側へ案内する流路472を有していたが、流路472を有さないようにしてもよい。
【0144】
上記第4実施形態において、第1ピストン421は、例えばポリフェニレンスルファイドで第1連結部423と一体に形成してもよい。すなわち、第1ピストン421および第1連結部423の材料として、樹脂の一例としてのポリフェニレンスルファイドを用いてもよい。
【0145】
また、上記第1ピストン421および第1連結部423と同様に、第2ピストン422および第2連結部424の材料として、樹脂の一例としてのポリフェニレンスルファイドを用いてもよい。
【0146】
〔第5実施形態〕
図9は、本発明の第5実施形態の四路切換弁が備える第1,第2ピストン521,522および連結部523の模式斜視図である。また、図10は連結部523の模式斜視図である。なお、以下の説明において、上記第1実施形態の構成部と同一構成部は、上記第1実施形態の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
【0147】
上記四路切換弁は、図9図10に示すように、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置された第1ピストン521と、四路切換弁本体1の円筒状部1a内に配置され、第1ピストン521に軸方向で対向する第2ピストン522と、第1ピストン521と第2ピストン522を連結するための連結部523とを備えている点のみが、上記第1実施形態と異なっている。
【0148】
上記第1,第2ピストン521,522は、例えば樹脂で、互いに別体に形成される。また、第1ピストン521は第2ピストン522と略同一形状である。なお、第1,第2ピストン521,522のうちの少なくとも一方の材料として、例えばポリフェニレンスルファイドを用いてもよい。
【0149】
上記連結部523の軸方向の中央部には、弁体3が嵌合する大貫通孔551が設けられている。この大貫通孔551の第1ピストン521側の側方には、第2ポート12に対向可能な第1小貫通孔552が設けられている。一方、大貫通孔551の第2ピストン522側の側方には、軸方向に延びて一部が第4ポート14に対向可能な切り欠き554が設けられている。この第1小貫通孔552および切り欠き554の軸方向の長さは、大貫通孔551の軸方向の長さよりも短くなっている。
【0150】
上記切り欠き554は連結部523の一端部523aに設けられている。これにより、連結部523の一端部523aは、軸方向に垂直な方向に弾性変形し易くなっている。
【0151】
また、上記第2ピストン522の連結部523側の端面には、図11に示すように、連結部523の一端部523aが挿通される挿通孔561が設けられている。この挿通孔561は、第2ピストン522内の収容室562に連通している。
【0152】
上記連結部523の一端部523aが第2ピストン522の挿通孔561に挿通されると、一端部523aの一部が収容室562に収容される。このとき、一端部523aにおいて軸方向に垂直な方向に突出する平面視台形状の部分が、挿通孔561の周縁部の内面に係止する。これにより、一端部523aは第2ピストン522から離脱不可能となる。すなわち、連結部523は、軸方向に移動させることにより、第2ピストン522に対して係止可能であり、また、第2ピストン522に対する連結部523の係止は解除不可能となる。
【0153】
また、上記第1ピストン521および連結部523は、図12に示すように、インサート成形で一体化されている。より詳しくは、連結部523の他端部(第1ピストン521側の端部)523b−1,523b−2は、第1ピストン521内に埋め込まれ、軸方向に略垂直な方向に延びている。また、他端部523b−1は下側(弁座2側となる側)に向かって延在する一方、他端部523b−2は上側(弁座2側とは反対側となる側)に向かって延在する。
【0154】
また、上記連結部523は金属板(例えばアルミ板)を加工して形成されている。より詳しくは、連結部523の右側部523c,左側部523dは、上記金属板の一部を下側に折り曲げられて形成されている。これにより、連結部523に大貫通孔551などを設けても、連結部523の強度の防げるようになっている。
【0155】
また、図示しないが、上記第1ピストン521,522の各周面には環状の溝が設けられ、シール部材が上記溝に嵌合している。
【0156】
上記構成の四路切換弁によれば、連結部523は、第2ピストン522に対して軸方向に相対移動することにより、第2ピストン522に係止するように形成されているので、第2ピストン522に連結部523を例えばネジで固定しなくてよい。したがって、上記ネジが第2ピストン522を貫通しないので、第2ピストン522のシール性能が低下するのを防ぐことができる。
【0157】
また、上記連結部523は、第2ピストン522に対して軸方向に相対移動することにより、第2ピストン522に係止するように形成されているので、第2ピストン522および連結部523を円筒状部1a内に挿入した後、第2ピストン522に連結部523を係止させることができる。すなわち、第2ピストン522に連結部523を係止させる前に、第2ピストン522および連結部523を円筒状部1a内に挿入することができる。したがって、円筒状部1a内への第2ピストン522および連結部523の挿入は容易である。
【0158】
また、上記第1ピストン521は第2ピストン522と略同一形状であるので、第1,第2ピストン521,522を作動させるときに第1,第2ピストン521,522に加わる圧力を略同一に設定することができる。
【0159】
また、上記第2ピストン522に対する連結部523の係止は解除不可能であるので、第1,第2ピストン521,522と連結部523の分離を防ぐことができる。
【0160】
また、上記第1ピストン521および連結部523はインサート成形で一体化されるので、樹脂からなる第1ピストン521と、金属からなる連結部523とを、部品点数を増やさずに、容易に一体化することができる。
【0161】
また、上記連結部523の他端部523b−1,523b−2は第1ピストン521内に埋め込まれているので、第1ピストン521から連結部523が分離する可能性を低減できる。
【0162】
また、上記連結部523の他端部523b−1,523b−2は第1ピストン521内に埋め込まれているので、第1ピストン521の強度を高めることができる。したがって、第1ピストン521の軸方向の長さを短くすることができる。すなわち、第1ピストン521を薄型化することができる。
【0163】
また、上記連結部523の他端部523b−1,523b−2は軸方向に略垂直な方向に延びているので、第1ピストン521から連結部523が分離する可能性をさらに低減できる。
【0164】
上記第5実施形態では、連結部523の一端部523aは、一部が連結部523の一表面側(図10中の上側)から突出し、かつ、他の一部が連結部523の他表面側(図10中の下側)から突出していなかったが、突出するようにしてもよい。このようにする連結部の一例としては、図13に示す連結部623がある。
【0165】
上記連結部623は金属板(アルミ板)を加工して形成される。より詳しくは、連結部623の一端部623aに切れ込みを入れた後、一端部623aの一側面側の部分623a−1を矢印A1側に押圧すると共に、一端部623aの他側面側の部分623a−2を矢印A2側に押圧する。これにより、部分623a−1が連結部623の一表面側(図10中の上側)から突出し、かつ、部分623a−2が連結部623の他表面側(図10中の下側)から突出する。なお、一端部623aは係止側の端部の一例である。
【0166】
図14は、上記連結部623の一端部623aに取り付けられる第2ピストン622の模式斜視図である。また、図15は、第2ピストン622および連結部623の模式断面図である。
【0167】
上記第2ピストン622は、図14図15に示すように、樹脂(例えばポリフェニレンスルファイド)からなって、第2ピストン622の連結部623側とは反対側の端面に、略円柱形状の凹部660A,660Bを有している。一方、第2ピストン622の連結部623側の端面には、連結部623の一端部623aが挿通される挿通孔661が設けられている。この挿通孔661は第2ピストン622内の収容室662に連通している。
【0168】
また、上記第2ピストン622の周面には環状の溝632A,632Bが設けられている。溝632Aにはシール部材642Aが嵌合している。このシール部材642Aは、連結部623側で二股に分かれる断面形状を有する。一方、溝632Bには断面円形状のシール部材642Bが嵌合している。
【0169】
上記連結部623の一端部623aが第2ピストン622の挿通孔661に挿通されると、一端部623aの一部が収容室662に収容される。このとき、一端部623aの一側面側の部分623a−1と、一端部623aの他側面側の部分623a−2とが、挿通孔661の周縁部の内面に係止する。これにより、一端部623aは第2ピストン622から離脱不可能となる。すなわち、連結部623は、軸方向に移動させることにより、第2ピストン622に対して係止可能であり、また、第2ピストン622に対する連結部623の係止は解除不可能となる。
【0170】
また、上記連結部623の一端部623aは、連結部623の一方の表面側と連結部623の他方の表面側とで段差が生じる。
【0171】
また、上記連結部623の一端部623aは、部分623a−1が連結部623の一表面側から突出し、かつ、部分623a−2が連結部623の他表面側から突出するように形成される。したがって、連結部623の一端部623aの係止を強固にすることができる。
【0172】
また、図示しないが、上記連結部623の他端部は、一端部623aと同様の形状にしてもよいし、あるいは、図10の他端部523b−1,523b−2と同様の形状にしてもよい。
【0173】
また、図16に示す第2ピストン722に連結部623の一端部623aを取り付けてもよい。
【0174】
より詳しくは、上記第2ピストン722は、樹脂(例えばポリフェニレンスルファイド)からなって、第2ピストン722の連結部623側とは反対側の端面に、略円柱形状の凹部760A,760Bが設けられている。一方、第2ピストン722の連結部623側の端面には、連結部623の一端部623aが挿通される挿通孔761が設けられている。この挿通孔661は、第2ピストン722内に埋め込まれた略円板形状の金属部材790の貫通孔791に連通すると共に、第2ピストン722内の収容室762にも連通している。なお、金属部材790の形状は略円板形状以外の形状(例えば四角板形状)にしてもよい。また、第2ピストン722は、2つの樹脂部材の間に金属部材790を挟んだ後、その2つの樹脂部材を融着して形成してもよい。
【0175】
また、上記第2ピストン722の周面には環状の溝732A,732Bが設けられている。この溝732A,732Bには、図15のシール部材642A,642Bと同形状のシール材(図示せず)が嵌合する。
【0176】
上記連結部623の一端部623aが第2ピストン722の挿通孔761に挿通されると、一端部623aの一部が収容室762に収容される。このとき、一端部623aの一側面側の部分623a−1と、一端部623aの他側面側の部分623a−2とが、貫通孔791の周縁部の内面に係止する。これにより、一端部623aは第2ピストン722から離脱不可能となる。すなわち、連結部623は、軸方向に移動させることにより、第2ピストン722に対して係止可能であり、また、第2ピストン722に対する連結部623の係止は解除不可能となる。
【0177】
このような第2ピストン722を用いても、第2ピストン622を用いたときと同様の作用効果が得られる。
【0178】
また、上記連結部623の一端部623は、第2ピストン622に埋め込まれた金属部材790に係止する。これにより、連結部623の一端部623aが係止する箇所の損傷を防ぐことができる。
【0179】
また、上記第2ピストン722に金属部材790を埋め込むので、第2ピストン722の強度を高めることができる。したがって、第2ピストン722は軸方向の長さを短くすることができる。すなわち、第2ピストン722を薄型化することができる。
【0180】
また、上記連結部623に換えて、図17に示す連結部723を用いてもよい。この連結部723は金属板(例えばアルミ板)を加工して形成される。より詳しくは、連結部723の一端部723aに切れ込みを入れた後、一端部723aの一側面側の部分723a−1を矢印A1側に押圧すると共に、一端部723aの他側面側の部分723a−2も矢印A1側に押圧する。これにより、部分723a−1,723a−2が連結部723の一表面側(図17中の上側)から突出する。なお、一端部723aは係止側の端部の一例である。
【0181】
このように、上記連結部723の一端部723aは、部分723a−1,723a−2が連結部723の一表面側から突出するように形成される。したがって、連結部723の一端部723aの係止を強固にすることができる。
【0182】
また、上記連結部723の一端部723aは、連結部623の一端部623aに比べて容易に形成することができる。
【0183】
また、図示しないが、上記連結部723の他端部は、一端部723aと同様の形状にしてもよいし、あるいは、図10の他端部523b−1,523b−2と同様の形状にしてもよい。
【0184】
また、上記連結部723の一端部723aは、例えば、図15の第2ピストン522に取り付けてもよいし、あるいは、図16の第2ピストン722に取り付けてもよい。
【0185】
また、上記連結部623に換えて、図18に示す連結部823を用いてもよい。この連結部823は金属板(例えばアルミ板)を加工して形成される。より詳しくは、連結部823の一端部823aに切れ込みを入れた後、一端部823aの一側面側の部分823a−1を矢印A3側に引っ張ると共に、一端部823aの他側面側の部分823a−2を矢印A4側に引っ張る。これにより、部分823a−1が連結部823の一側面側(図10中の上側の側面側)から突出し、かつ、部分823a−2が連結部823の他側面側(図10中の下側)から突出する。なお、一端部823aは係止側の端部の一例である。
【0186】
このように、上記連結部823の一端部823aは、部分823a−1が連結部823の一側面側から突出し、かつ、部分823a−2が連結部823の他側面側から突出するように形成される。したがって、連結部823の一端部823aの係止を強固にすることができる。
【0187】
また、図示しないが、上記連結部823の他端部は、一端部823aと同様の形状にしてもよいし、あるいは、図10の他端部523b−1,523b−2と同様の形状にしてもよい。
【0188】
また、上記連結部823の一端部823aは、例えば、図15の第2ピストン522に取り付けてもよいし、あるいは、図16の第2ピストン722に取り付けてもよい。
【0189】
本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1〜第5実施形態および変形例の記載内容を適宜組み合わせたものを本発明の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0190】
1 四路切換弁本体
1a 円筒状部
2 弁座
3 弁体
21,221,321,421,521 第1ピストン
22,322,422,522,622,722 第2ピストン
23,223,523,623,723,823 連結部
323 第1連結部
324 第2連結部
31,32,231,331,332,431,431 溝
41,42 シール部材
471,472 流路
790 金属部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18