特許第5737463号(P5737463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5737463
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】接触部材、像保持体、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20150528BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20150528BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   G03G15/00 651
   F16C13/00 Z
   B29C45/26
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-127337(P2014-127337)
(22)【出願日】2014年6月20日
【審査請求日】2014年7月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯倉 和昭
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−025134(JP,A)
【文献】 米国特許第05722016(US,A)
【文献】 特開2000−315036(JP,A)
【文献】 米国特許第05960236(US,A)
【文献】 特開平08−044249(JP,A)
【文献】 特開平08−062878(JP,A)
【文献】 特開2004−287360(JP,A)
【文献】 特開2012−098538(JP,A)
【文献】 特開2014−102374(JP,A)
【文献】 特開2012−098539(JP,A)
【文献】 特開平03−142215(JP,A)
【文献】 実開平06−017382(JP,U)
【文献】 特開平11−208766(JP,A)
【文献】 特開平11−309755(JP,A)
【文献】 特開2000−045968(JP,A)
【文献】 特開2006−280039(JP,A)
【文献】 特開2007−098698(JP,A)
【文献】 特開平05−296358(JP,A)
【文献】 特開平09−277318(JP,A)
【文献】 特開2003−112332(JP,A)
【文献】 特開平09−214225(JP,A)
【文献】 特開平07−056440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/045
G03G 21/00
G03G 21/06 − 21/08
G03G 21/16
F16C 13/00 − 15/00
B29C 33/00 − 33/76
B29C 39/26 − 39/36
B29C 41/38 − 41/44
B29C 43/36 − 43/42
B29C 43/50
B29C 45/26 − 45/44
B29C 45/64 − 45/68
B29C 45/73
B29C 49/48 − 49/56
B29C 49/70
B29C 51/30 − 51/40
B29C 51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する筒体の内部に接触して配置される接触部材であって、
円筒の周方向における一部に軸方向と平行に形成された離間空間を有し、前記離間空間の離間距離を狭めて撓んだ状態で前記筒体の内部に配置され、
前記軸方向から見て、前記離間空間の中央と前記筒体の中心とを通る直線を対称線として、互いに対称な位置に一対の凹部が設けられ、前記凹部は平面部を有し、夫々の前記平面部には、樹脂材料の注入口とされた跡が有る接触部材。
【請求項2】
2個の前記跡は、前記軸方向において同様の位置にある請求項1に記載の接触部材。
【請求項3】
成形金型の合わせ目であるパーティングラインは、前記凹部に形成されている請求項1又は2に記載の接触部材。
【請求項4】
回転し、表面が帯電する筒体と、
前記筒体の内部に嵌め込まれる請求項1〜3の何れか1項に記載の接触部材と、
を備える像保持体。
【請求項5】
請求項4に記載の像保持体と、
直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧が印加されることで前記像保持体の表面を帯電する帯電部材と、
帯電した前記像保持体の表面に画像を形成する画像形成部材と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触部材、像保持体、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置の感光体ドラム(像保持体)の内部には、感光体ドラムが帯電する際に生じる帯電音を低減するために、その感光体ドラムの内壁面と摺動自在に接してその内壁面を所定の摩擦力で押圧する摺接部材(接触部材)が備えられている。この摺接部材は、例えばアクリル、ABS、ガラス入りポリカーボネート等の樹脂で形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−54804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、接触部材は、押出成形により形成されていた。しかし、コストの低減を図るため、射出成形によって接触部材を形成することがある。この場合に接触部材の外周面の精度を高めるために、接触部材を成形する際に、樹脂材料を接触部材の外周面側から金型に注入することがある。
【0005】
しかし、樹脂材料の注入口とされたゲート跡の突出量はばらついてしまう。このため、内部に接触部材が配置されている像保持体の振動特性がばらついてしまうことがある。
【0006】
本発明の課題は、樹脂材料の注入口とされたゲート跡の突出量の変化に起因して、像保持体の振動特性が、部品間でばらつくのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る接触部材は、回転する筒体の内部に接触して配置される接触部材であって、円筒の周方向における一部に軸方向と平行に形成された離間空間を有し、前記離間空間の離間距離を狭めて撓んだ状態で前記筒体の内部に配置され、前記軸方向から見て、前記離間空間の中央と前記筒体の中心とを通る直線を対称線として、互いに対称な位置に一対の凹部が設けられ、前記凹部は平面部を有し、夫々の前記平面部には、樹脂材料の注入口とされた跡が有ることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る接触部材は、請求項1に記載の接触部材において、2個の前記跡は、前記軸方向において同様の位置にあることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る接触部材は、請求項1又は2に記載の接触部材において、成形金型の合わせ目であるパーティングラインは、前記凹部に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る像保持体は、回転し、表面が帯電する筒体と、前記筒体の内部に嵌め込まれる請求項1〜3の何れか1項に記載の接触部材と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る画像形成装置は、請求項4に記載の像保持体と、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧が印加されることで前記像保持体の表面を帯電する帯電部材と、帯電した前記像保持体の表面に画像を形成する画像形成部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の接触部材によれば、ゲート跡が外周面に形成されている場合と比して、樹脂材料の注入口とされたゲート跡の突出量の変化に起因して、像保持体の振動特性が部品間でばらつくのを抑制することができる。
さらに、筒体に支持された状態で、2個のゲート跡が、対向した両端部の間に形成された離間空間の中央と筒体の中心とを通る直線に対して対称に位置していない場合と比して、軸方向から見て、対向した両端部の間の離間空間の中央と筒体の中心とを通る直線に対して、一方側の部分と、他方側の部分とで形状が1個の部品でばらつくのを抑制することができる。
【0015】
請求項2の接触部材によれば、2個のゲート跡が、軸方向において同様の位置に位置していない場合と比して、軸方向から見て、対向した両端部の間の離間空間の中央と筒体の中心とを通る直線に対して、一方側の部分と、他方側の部分とで形状が1個の部品でばらつくのを抑制することができる。
【0016】
請求項3の接触部材によれば、成形金型の合わせ目である合せ線が外周面に形成されている場合と比して、成形金型の合わせ目がずれることで生じる段差の変化に起因して、像保持体の振動特性が部品間でばらつくのを抑制することができる。
【0017】
請求項4の像保持体によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の接触部材を備えていない場合と比して、像保持体の振動特性が部品間でばらつくことに起因して生じる像保持体の帯電ムラを抑制することができる。
【0018】
請求項5の画像形成装置によれば、請求項4に記載の像保持体を備えていない場合と比して、像保持体の帯電ムラに起因する画像の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)(B)本発明の実施形態に係る接触部材が筒体の内部に支持されている状態を示した断面図である。
図2】(A)(B)本発明の実施形態に係る接触部材を示した断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る接触部材を示した斜視図である。
図4】(A)(B)本発明の実施形態に係る接触部材を成形するのに用いられる金型構造を示した断面図である。
図5】(A)(B)本発明の実施形態に係る接触部材を成形するのに用いられる金型構造を示した断面図である。
図6】(A)(B)本発明の実施形態に係る接触部材を成形するのに用いられる金型構造を示した断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る像保持体を示した断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る像保持体等を示した構成図である。
図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
図10】(A)(B)本発明の実施形態に係る像保持体に対する比較形態に係る像保持体を示した斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る接触部材、像保持体、画像形成装置の一例を図1図11に従って説明する。なお図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。
【0021】
(全体構成)
図9に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置10には、上下方向(矢印H方向)の下方から上方へ向けて、記録媒体としてのシート部材Pが収容される収容部14と、収容部14に収容されたシート部材Pを搬送する搬送部16と、収容部14から搬送部16によって搬送されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部20と、読取原稿Gを読み取る原稿読取部22とが、この順で備えられている。さらに、画像形成装置10は、シート部材Pを手差しで供給する手差給紙部90を備えている。
【0022】
〔収容部〕
収容部14には、画像形成装置10の装置本体10Aから装置奥行方向の手前側に引き出し可能な収容部材26が備えられており、この収容部材26にシート部材Pが積載されている。さらに、収容部14には、積載されたシート部材Pを、搬送部16を構成する搬送経路28に送り出す送出ロール32が備えられている。
【0023】
〔搬送部〕
搬送部16には、送出ロール32に対してシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に「搬送方向下流側」と記載する)に配置され、シート部材Pを一枚ずつ分離して搬送する分離ロール34が備えられている。
【0024】
また、搬送経路28において、分離ロール34に対して搬送方向の下流側には、シート部材Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングでシート部材Pを後述する転写位置Tへ送り出す位置合せロール36が配置されている。
【0025】
また、搬送経路28の終端側には、画像形成部20によって画像が形成されたシート部材Pを、画像形成部20の上方に形成された排出部74に排出させる排出ロール76が配置されている。
【0026】
一方、シート部材Pの両面に画像を形成させるために、シート部材Pの表裏を反転させる両面用搬送ユニット78が装置本体10Aの側方に備えられている。この両面用搬送ユニット78は、排出ロール76を逆転させることで搬送されるシート部材Pが送り込まれる反転経路82を備えている。さらに、反転経路82に沿って複数の搬送ロール84が配置され、これらの搬送ロール84によって搬送されるシート部材Pは表裏が反転された状態で、位置合せロール36に再度搬送されるようになっている。
【0027】
〔手差給紙部〕
さらに、両面用搬送ユニット78の隣なりには、折り畳み式の手差給紙部90が備えられている。手差給紙部90には、開閉可能な手差給紙部材92が備えられている。また、開放された手差給紙部材92から給紙されるシート部材Pを搬送する給紙ロール94及び複数の搬送ロール96が手差給紙部90に備えられており、搬送ロール96によって搬送されたシート部材Pは、位置合せロール36に搬送されるようになっている。
【0028】
〔原稿読取部〕
一方、画像形成装置10の上側に設けられた原稿読取部22には、読取原稿Gを搬送する自動原稿搬送装置40によって搬送された読取原稿Gに、又はプラテンガラス42に載せられた読取原稿Gに光を照射する光源44が備えられている。
【0029】
さらに、原稿読取部22には、光源44によって照射されて読取原稿Gから反射された反射光をプラテンガラス42と平行な方向に反射させるフルレートミラー46と、フルレートミラー46によって反射した反射光を下方へ反射させるハーフレートミラー48と、ハーフレートミラー48によって反射した反射光をプラテンガラス42と平行な方向に反射させて折り返すハーフレートミラー50と、ハーフレートミラー50によって折り返された反射光が入射される結像レンズ52と、から構成される光学系が備えられている。
【0030】
また、原稿読取部22には、結像レンズ52によって結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子54が備えられ、さらに、光電変換素子54によって変換された電気信号を画像処理する画像処理部24が備えられている。
【0031】
そして、光源44、フルレートミラー46、ハーフレートミラー48及びハーフレートミラー50は、プラテンガラス42に沿って移動可能となっている。プラテンガラス42に載せられた読取原稿Gを読み取る場合には、光源44、フルレートミラー46、ハーフレートミラー48及びハーフレートミラー50を移動させながら、光源44がプラテンガラス42に載せられた読取原稿Gに光を照射し、読取原稿Gから反射された反射光が光電変換素子54へ結像するようになっている。
【0032】
また、自動原稿搬送装置40によって搬送された読取原稿Gを読み取る場合には、光源44、フルレートミラー46、ハーフレートミラー48及びハーフレートミラー50を停止させ、自動原稿搬送装置40によって搬送された読取原稿Gに光源44が光を照射し、読取原稿Gから反射された反射光が光電変換素子54へ結像するようになっている。
【0033】
〔画像形成部〕
図8に示されるように、画像形成部20は、像保持体56と、像保持体56の表面を帯電させる帯電ロール58(帯電部材の一例)と、画像データに基づいて帯電した像保持体56の表面に露光光を照射して静電潜像を形成させる露光装置60(画像形成部材の一例:図9参照)と、この静電潜像を現像してトナー画像として可視化する現像装置62(画像形成部材の一例)とを備えている。
【0034】
さらに、画像形成部20は、搬送経路28に沿って搬送されるシート部材Pに像保持体56の表面に形成されたトナー画像を転写する転写ロール64と、加熱ロール66Hと加圧ロール66Nとから構成され、シート部材P上のトナー画像を加熱・加圧してシート部材Pに定着させる定着装置66(図9参照)と、トナー画像が転写された後の像保持体56に残留するトナーを像保持体56から掻き落として像保持体56を清掃するクリーニングブレード68と、を備えている。
【0035】
また、図9に示されるように、露光装置60の斜め上方には、現像装置62と図示せぬ供給管で接続されたトナーカートリッジ72が配置されている。このトナーカートリッジ72には、供給管を介して現像装置62へ供給されるトナーが収納されている。
【0036】
この構成において、位置合せロール36から送り出されたシート部材Pは、像保持体56と転写ロール64とで構成される転写位置Tへ搬送され、像保持体56と転写ロール64との間を挟持搬送される。これにより、像保持体56に形成されたトナー画像がシート部材Pに転写されるようになっている。
【0037】
ここで、像保持体56、帯電ロール58、現像装置62及びクリーニングブレード68は、画像形成ユニット70を構成しており、この画像形成ユニット70は、装置本体10Aに対して着脱可能とされている。
【0038】
なお、像保持体56、帯電ロール58等については、詳細を後述する。
【0039】
(全体構成の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0040】
先ず、電圧が印加された帯電ロール58は、像保持体56の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、原稿読取部22によって読み取られた画像データ又は外部から入力されたデータに基づいて露光装置60が帯電された像保持体56の表面に露光光を照射して静電潜像を形成させる。
【0041】
これにより、画像データに対応した静電潜像が像保持体56の表面に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置62によって現像され、トナー画像として可視化される。
【0042】
そこで、収容部材26から送出ロール32によって搬送経路28へ送り出され、又は手差給紙部材92から給紙ロール94によって搬送経路28へ給紙されたシート部材Pが、位置合せロール36によって決められたタイミングで転写位置Tへ送り出される。転写位置Tでは、シート部材Pが像保持体56と転写ロール64とに挟持搬送されることで、像保持体56の表面に形成されたトナー画像がシート部材Pの表面に転写される。
【0043】
シート部材Pに転写されたトナー画像は、シート部材Pが定着装置66に備えられた加熱ロール66Hと加圧ロール66Nとの間を通過することでシート部材Pに定着される。そして、表面にトナー画像が定着されたシート部材Pは、排出ロール76によって排出部74へ排出される。
【0044】
一方、シート部材Pの裏面にも画像を形成させる場合には、シート部材Pを排出部74へ排出させずに排出ロール76を逆転させて、表面にトナー画像が形成されたシート部材Pを反転経路82へ送り出す。これにより、シート部材Pの表裏を反転させ、搬送ロール84がシート部材Pを再度位置合せロール36へ搬送する。
【0045】
今度は、転写位置Tでシート部材Pの裏面にトナー画像が転写され、裏面にトナー画像が転写されたシート部材Pは、前述した手順で排出部74へ排出される。
【0046】
(要部構成)
次に、像保持体56、帯電ロール58等について説明する。
【0047】
〔帯電ロール〕
帯電ロール58は、図7に示されるように、装置奥行方向に延び、金属材料(例えば、ステンレス)で形成された軸部58Aと、内部に軸部58Aが貫通する円筒状で、ゴム材料で形成されたロール部58Bと、を備えている。
【0048】
さらに、軸部58Aの両端側の部分は、ロール部58Bから外部に露出しており、一対の軸受部材102に回転可能に支持されている。また、夫々の軸受部材102を像保持体56側に向けて付勢する付勢部材104が、軸部58Aを挟んで像保持体56の反対側に配置されている。
【0049】
この構成より、帯電ロール58のロール部58Bが像保持体56に押し付けられ、像保持体56が回転すると、帯電ロール58が従動して回転するようになっている。そして、図示せぬ電源から直流電圧に交流電圧(1kHz〜2kHz)を重畳した重畳電圧が軸部58Aに印加されることで、電流が帯電ロール58から像保持体56へ流れ、像保持体56の表面が帯電するようになっている。
【0050】
〔像保持体〕
像保持体56は、図7に示されるように、装置奥行方向に延びる円筒状の筒体108と、筒体108において装置奥行方向(筒体108の軸方向と同様の方向)の一端側(図中上側)の部分に固定される伝達部材110とを備えている。さらに、像保持体56は、筒体108において装置奥行方向の他端側(図中下側)の部分に固定される支持部材112を備えている。また、像保持体56は、筒体108の内部に配置され、筒体108の断面が変形するのを抑制する接触部材116を備えている。
【0051】
筒体108は、金属材料(例えば、アルミニウム)によって円筒状に形成された基材の外周面に感光層を形成したものである。一例として、筒体108の厚さは、0.8〔mm〕とされ、筒体108の装置奥行方向の長さは、250〔mm〕とされている。
【0052】
伝達部材110は、樹脂材料で円盤形状に形成され、筒体108の内部に一部が嵌め込まれることで筒体108の一端側の部分に固定されている。そして、伝達部材110は、開放された筒体108の一端側を閉止している。さらに、伝達部材110には、筒体108の軸中心F上に円柱状の貫通孔110Aが形成されている。また、伝達部材110において装置奥行方向の外側を向いた外周面には、貫通孔110Aを挟むように複数の凹部110Bが形成されている。
【0053】
そして、伝達部材110(像保持体56)に伝達される回転力を発生するモータ122のモータ軸部122Bが、伝達部材110の貫通孔110Aを貫通している。また、モータ軸部122Bに取り付けられたブラケット128の先端部128Aが、屈曲して伝達部材110の凹部110Bに挿入されている。
【0054】
一方、支持部材112は、樹脂材料で円盤形状に形成され、筒体108の内部に一部が嵌め込まれることで筒体108の他端側の部分に固定されている。そして、支持部材112は、開放された筒体108の他端側を閉止している。さらに、支持部材112には、筒体108の軸中心F上に円柱状の貫通孔112Aが形成されている。
【0055】
そして、支持部材112(像保持体56)を回転可能に支持する軸部材130の軸部130Aが、貫通孔112Aを貫通し、この軸部130Aに対して支持部材112が所謂滑り軸受として機能している。
【0056】
この構成において、モータ122が発生する回転力が、ブラケット128を介して伝達部材110(像保持体56)に伝達され、像保持体56が軸中心F周りに回転するようになっている。
【0057】
[接触部材]
次に、筒体108の内部に配置され、筒体108の断面が変形するのを抑制する接触部材116について説明する。
【0058】
接触部材116は、図7に示されるように、筒体108の内部に嵌め込まれて筒体108の装置奥行方向の中央側に配置されている。そして、図1(A)に示されるように、接触部材116の円弧状の外周面118が筒体108の内周面108Aに接触して、接触部材116が筒体108に支持されている。
【0059】
具体的には、接触部材116は、樹脂材料(例えば、ABS樹脂)を用いて射出成形により形成され、装置奥行方向から見て、筒体108の内周面108Aに沿って、両端部が対向した円弧状(C字状)とされている。そして、対向した両端部の間は、周方向において一部が離間した離間空間116Aとされている。また、接触部材116は、図3に示されるように、装置奥行方向に延びている。一例として、接触部材116の一般部の厚さは、4〔mm〕とされ、接触部材116の装置奥行方向の長さは、100〔mm〕とされている。
【0060】
さらに、図1(A)に示されるように、接触部材116が筒体108の内部に配置された状態で、筒体108の軸中心Fを挟んで離間空間116Aの反対側における接触部材116の外周面118には、装置奥行方向に延びる溝部116Bが形成されている。
【0061】
また、接触部材116が筒体108の内部に配置されていない状態(図2(A)参照)での離間空間116Aにおける離間距離(図中距離K)は、接触部材116が筒体108の内部に配置された場合の離間距離(図1(A)参照)と比して、長くなっている。
【0062】
この構成において、接触部材116を筒体108の内部に配置する際には、接触部材116を把持して離間空間116Aの離間距離Kが短くなるように溝部116Bを変形させて接触部材116を撓ませる。この状態で、接触部材116を筒体108の内部に挿入し、把持力を解放して筒体108の中央側に押し込む。これにより、接触部材116の外周面118が筒体108の内周面108Aに接触し、接触部材116が筒体108に支持されて筒体108の内部に配置されるようになっている。
【0063】
次に、接触部材116の射出成形時に樹脂材料の注入口とされたゲート跡150と、射出成形用の成形金型の合わせ目であるパーティングライン152と、について説明する。図2(A)には、図3のG―G線断面図が示され、図2(B)には、図3のH―H線断面図が示されている。G―G線断面図は、接触部材116における装置奥行方向の中央側の断面であって、H―H線断面図は、接触部材116における装置奥行方向の端側の断面である。
【0064】
図2(A)に示されるように、接触部材116には、外周面118に対して例えば0.8〔mm〕程度凹んだ平面部154が、2個形成されている。この2個の平面部154は、装置奥行方向から見て、離間空間116Aの中央と溝部116Bの中央とを通る直線Jに対して対称に位置している。そして、夫々の平面部154にゲート跡150が形成されている。また、ゲート跡150が形成された平面部154は、図3に示されるように、外周面118の装置奥行方向の中央側に位置している。なお、平面部154は、図2(A)に示されるように、装置奥行方向から見て、直線Jと平行な直線状とされている。
【0065】
さらに、夫々の平面部154に対して装置奥行方向の両側には、図2(B)、図3に示されるように、外周面118に対して例えば0.6〔mm〕程度凹んだ平面部158が装置奥行方向に延びて夫々形成されている。そして、外周面118に対する平面部158の凹み量は、平面部154の凹み量に対して小さくされている(図2(A)(B)参照)。また、夫々の平面部158の基端部は、段差部160を介して平面部154に連結され、平面部158の先端部は、接触部材116の端部まで延びている。なお、平面部158は、図2(B)に示されるように、装置奥行方向から見て、直線Jと平行な直線状とされている。
【0066】
一方、パーティングライン152は、図3に示されるように、ゲート跡150に端部が接触し、ゲート跡150から装置奥行方向の両側に延びて平面部154、段差部160、及び平面部158に形成されている。
【0067】
この構成において、図1(A)に示されるように、接触部材116が筒体108の内部に支持されている状態で、ゲート跡150は、筒体108の内周面108Aと離間している。
【0068】
同様に、図1(B)に示されるように、接触部材116が筒体108の内部に支持されている状態で、パーティングライン152は、筒体108の内周面108Aと離間している。
【0069】
また、図2(A)に示されるように、装置奥行方向から見て、2個のゲート跡150は、直線Jに対して対称に位置している。換言すると、図1(A)に示されるように、接触部材116が筒体108の内部に支持されている状態で、装置奥行方向から見て、2個のゲート跡150は、離間空間116Aの中央と、軸中心Fとを通る直線Lに対して対称に位置している。さらに、2個のゲート跡150は、装置奥行方向において同様の位置に位置している。なお、一のゲート跡150と他のゲート跡150とが、装置奥行方向で一部でも重なっている場合には、同様と見なされる。
【0070】
[金型構造]
次に、接触部材116を射出成形により形成する際に用いられる金型機構200について図4図6を用いて説明する。
【0071】
なお、金型機構200の説明において、接触部材116の長手方向を部材長手方向(図中矢印Z)とし、部材長手方向から見て、前述した直線Jが延びる方向を部材上下方向(図中矢印Y)とする。また、部材長手方向から見て、部材上下方向に対して直交する方向を部材幅方向(図中矢印X)とする。
【0072】
金型機構200は、図4(A)(B)に示されるように、接触部材116において外側を向いた面の部材上下方向の上側と接するキャビ型202(成形金型の一例)と、部材上下方向の下側と接するコア型204(成形金型の一例)とを備えている。さらに、金型機構100は、図6(A)に示されるように、接触部材116において内側を向いた面と接する一対のスライド型206A、206Bを備えている。
【0073】
一対のスライド型206A、206Bは、図示せぬ移動手段により、図6(A)(B)に示されるように、金型がセットされた状態から、互いに離間するように部材長手方向に移動するようになっている。また、キャビ型202は、図示せぬ移動手段により、図5(A)(B)に示されるように、金型がセットされた状態から、コア型204から離間するように部材上下方向の上方へ移動するようになっている。
【0074】
さらに、図4(A)、図6(A)に示されるように、金型機構200において部材長手方向の中央側には、溶融された樹脂材料が流れるゲート部210が、直線J(図4(A)参照)に対して対称に2個形成されている。
【0075】
この構成において、夫々の金型がセットされた状態で、ゲート部210から溶融した樹脂材料を金型機構200内に流し込んだ後、冷却することで樹脂材料が凝固(硬化)する。そして、図6(A)(B)に示されるように、スライド型206A、206Bが互いに離間するように部材長手方向に移動する。さらに、図5(A)(B)に示されるように、キャビ型202が、部材上下方向の上方へ移動する。そして、樹脂部材を脱型させ、ゲートカットすることで、接触部材116が形成されるようになっている。
【0076】
ここで、ゲートカットすることで残ったゲート跡150の突出量が、部品間でばらついてしまう。ゲート跡150は、平面部154から最大で0.4〔mm〕程度突出してしまうことがある。また、キャビ型202とコア型204との合わせ目がずれることで、パーティンライン52の段差の量が、部品間でばらついてしまう。パーティンライン52の段差量は、最大で0.4〔mm〕程度となることがある。
【0077】
(要部構成の作用)
次に、像保持体56、帯電ロール58等の作用について説明する。
【0078】
モータ122を稼働させると像保持体56が回転する(図7参照)。像保持体56が回転すると、帯電ロール58が従動して回転する。像保持体56の図示せぬ感光層を帯電させるため、帯電ロール58の軸部58Aには、電源から直流電圧に交流電圧(1kHz〜2kHz)を重畳した重畳電圧が印加される。
【0079】
重畳電圧を形成する交流電圧により、帯電ロール58と像保持体56との間には交番電界が発生する。これにより、像保持体56と帯電ロール58との間には、周期的(2kHz〜4kHz)な静電吸引力が生じる。
【0080】
ここで、本実施形態の像保持体56に対して比較形態としての像保持体250について図10図11を用いて説明する。
【0081】
先ず、像保持体250について説明する。像保持体250については、接触部材116を備えていない以外は、像保持体56と同様の構成とされている。
【0082】
図10(A)(B)には、像保持体250と帯電ロール58との間で周期的な静電吸引力が生じた場合の像保持体250の筒体108における変形状態の一例が誇張して示されている。筒体108の装置奥行方向の両側には、伝達部材110又は支持部材112が固定されているため(図7参照)、筒体108の装置奥行方向の両端部における筒体108の断面の変形は抑制される。これに対して、筒体108の装置奥行方向の中央側では、図10(B)に示されるように、筒体108の断面が周期的に楕円形状と円形状とに変形する。
【0083】
しかし、本実施形態に係る像保持体56には、比較例に係る像保持体250と異なり、接触部材116が備えられ、図1(A)(B)に示されるように、外周面118が筒体108の内周面108Aに接触して、接触部材116が筒体108に支持されている。
【0084】
このため、筒体108の断面が楕円形状に変形して筒体108が振動しようとしても、筒体108の振動が抑制される。
【0085】
また、筒体108が振動するのが抑制されるため、筒体108の断面が周期的に変形することによる音の発生が抑制される。
【0086】
また、前述したように、外周面118が筒体108の内周面108Aに接触して接触部材116が筒体108に支持されている状態で、ゲート跡150は、筒体108の内周面108Aと離間している。このため、ゲート跡150の突出量の変化に起因して、像保持体56の振動特性が部品間でばらつくのが抑制される。
【0087】
また、前述したように、外周面118が筒体108の内周面108Aに接触して接触部材116が筒体108に支持されている状態で、パーティングライン152は、筒体108の内周面108Aと離間している。このため、パーティンライン52の段差量の変化に起因して、筒体108の振動特性が部品間でばらつくのが抑制される。
【0088】
また、装置奥行方向から見て、2個のゲート跡150は、図1(A)に示されるように、直線Lに対して対称に位置している。これにより、2個のゲート跡が、直線Lに対して対称に位置していない場合と比して、装置奥行方向から見て、直線L(直線J)に対して一方側の部分と、直線Lに対して他方側の部分とで成形時の周方向の樹脂流れが同様となる。このため、1個の部品において、直線Lに対して一方側の部分と、直線Lに対して他方側の部分とで形状のばらつきが抑制される。
【0089】
また、2個のゲート跡150は、装置奥行方向において同様の位置(本実施形態では、装置奥行方向の中央側)に位置している。このため、2個のゲート跡が、装置奥行方向において同様の位置に位置していない場合と比して、装置奥行方向から見て、直線Lに対して一方側の部分と、直線Lに対して他方側の部分とで成形時の長手方向の樹脂流れが同様となる。このため、1個の部品において、直線Lに対して一方側の部分と、直線Lに対して他方側の部分とで形状のばらつきが抑制される。
【0090】
また、像保持体56においては、部品間における筒体108の振動特性のばらつきが抑制されるため、像保持体56に生じる帯電ムラが抑制される。
【0091】
また、画像形成装置10においては、像保持体56に生じる帯電ムラが抑制されることで、出力画像の品質低下が抑制される。
【0092】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、溝部116Bを形成することで、接触部材116を筒体108の内部に配置する際に、溝部116Bを変形させて接触部材116を撓ませたが、特に溝部116Bを形成しなくてもよく、接触部材116を筒体108の内部に配置する際に、接触部材の全体を撓ませてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、ゲート跡150は、2箇所に形成されたが、1箇所でもよく、3箇所以上であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、2個のゲート跡150は、装置奥行方向の中央側に位置したが、2個のゲート跡150が装置奥行方向において同様の位置に位置していればよい。
【0095】
また、上記実施形態では、接触部材116には、段差部160が形成されたが、段差部160が形成されなくてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 画像形成装置
56 像保持体
58 帯電ロール(帯電部材の一例)
60 露光装置(画像形成部材の一例)
62 現像装置(画像形成部材の一例)
108 筒体
108A 内周面
116 接触部材
116A 離間空間
118 外周面
150 ゲート跡
152 パーティングライン
202 キャビ型(成形金型の一例)
204 コア型(成形金型の一例)
【要約】
【課題】樹脂材料の注入口とされたゲート跡の突出量の変化に起因して、像保持体の振動特性が、部品間でばらつくのを抑制することができる接触部材、像保持体、画像形成装置を得る。
【解決手段】外周面118が筒体108の内周面108Aに接触して接触部材116が筒体108に支持されている状態で、ゲート跡150は、筒体108の内周面108Aと離間している。このため、ゲート跡150の突出量の変化に起因して、像保持体56の振動特性が部品間でばらつくのが抑制される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10