特許第5737495号(P5737495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5737495カラーフィルタの製造方法、及び当該カラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737495
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】カラーフィルタの製造方法、及び当該カラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20150528BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20150528BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20150528BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G02F1/1335 505
   G01B11/00 H
   G03F7/26
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-293741(P2010-293741)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-141430(P2012-141430A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2013年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 靖裕
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−294770(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125825(WO,A1)
【文献】 特開2006−323188(JP,A)
【文献】 特開2005−109305(JP,A)
【文献】 特開2006−292955(JP,A)
【文献】 特開2004−279873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20−5/28
G02F 1/1335−1/13363
G03F 7/20−7/24
G03F 9/00−9/02
G03F 7/00、7/06、7/07
G03F 7/12−7/14、7/26−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタの製造方法であって、
表面に第1層が形成されていないガラス基板の内部に、アライメントマークを、レーザの照射を用いた、パーティクルが一切発生しないインナーマーキングにより形成する形成工程と、
前記形成工程によってアライメントマークが形成されたガラス基板の表面に、感光性を有するレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程によってレジストを塗布されたガラス基板を搬送しつつ、前記ガラス基板の裏面側から前記アライメントマークを読み取ることにより、露光ヘッドの位置を調整しながら、前記ガラス基板の表面を小型マスク連続露光方式により露光する露光工程と、
前記露光工程によって露光されたガラス基板の表面を、現像液を用いて現像して第1層を形成する現像工程とを含むことを特徴とする、カラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記形成工程は、
前記アライメントマークを、画素配置領域外の位置に形成することを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記アライメントマークは、前記形成工程においてレーザの照射により形成される点の集合であり、それぞれの点は、光を乱反射することにより白点として認識され、
前記露光工程は、
前記ガラス基板の搬送路の下方に配置された光学センサにより前記白点を認識して、前記アライメントマークの位置を検出することを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記露光工程は、
ガラス基板の搬送装置に備えられたエンコーダから当該搬送装置の機械的な動作量を示すエンコーダ情報を取得し、前記光学センサから前記アライメントマークの移動量を示す光学センサ情報を取得し、当該エンコーダ情報と当該光学センサ情報とを比較して、搬送軸の歪に起因するヨーイングを含む機械的なズレを検出して、露光ヘッドの位置調整にフィードバックすることを特徴とする、請求項3に記載のカラーフィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタの製造方法に関し、特に、ガラス基板上にマスクパターンを効率よく転写する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ等に用いられるカラーフィルタの製造工程において、パネルの大型化に伴うマスク費用の増大を抑制する目的で、表示画素領域よりも小さな小型マスクを繰り返し用いる小型マスク連続露光方式が採用されている。小型マスク連続露光方式には、例えば、ガラス基板上で露光ヘッドを走査させながら、マスクパターンを複数回ガラス基板上に転写させて、ストライプパターンやドットパターンを形成するEGIS(Exposure System Guided by Image Sensor)露光方式がある。
【0003】
EGIS露光方式は、ガラス基板の表面に形成された第1層(ここでは「ブラックマトリクス層」、以下「BM層」と記す)を随時カメラで認識し、第1層のパターンを基準に第2層以降のマスクパターンを転写する方式であり、第1層を読み取るカメラと、小型マスクを用いる露光ヘッドとが一体化され、カメラで読み込んだ第1層の位置情報を、露光ヘッドの位置調整にフィードバックすることにより、高い位置精度を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−292955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガラス基板の表面に第1層を形成する際には、基準となるパターンが存在しないため、第1層はEGIS露光方式によって形成することができない。よって、第1層は、通常、マスクとワーク(ガラス基板)とをわずかに離して接触しない状態で露光を行うプロキシミティ露光や、マスクの像をレンズなどの光学系を用いて ワーク(ガラス基板)に投影させ、非接触で露光するプロジェクション露光等により形成されている。
【0006】
それ故に、本発明は、第1層が存在しないガラス基板上に小型マスク連続露光方式により露光して第1層を形成することができるカラーフィルタの製造方法、及び、当該カラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カラーフィルタの製造方法に向けられている。そして上記課題を解決するために、本発明のカラーフィルタの製造方法は、形成工程、塗布工程、露光工程、及び現像工程を含む。
形成工程は、表面に第1層が形成されていないガラス基板の内部に、アライメントマークを、レーザの照射を用いた、パーティクルが一切発生しないインナーマーキングにより形成する。塗布工程は、形成工程によってアライメントマークが形成されたガラス基板の表面に、感光性を有するレジストを塗布する。露光工程は、塗布工程によってレジストを塗布されたガラス基板を搬送しつつ、ガラス基板の裏面側からアライメントマークを読み取ることにより、露光ヘッドの位置を調整しながら、ガラス基板の表面を小型マスク連続露光方式により露光する。現像工程は、露光工程によって露光されたガラス基板の表面を、現像液を用いて現像して第1層を形成する。
【0008】
好ましくは、形成工程は、アライメントマークを、画素配置領域外の位置に形成するとよい。
好ましくは、アライメントマークは、形成工程においてレーザの照射により形成される点の集合であり、それぞれの点は、光を乱反射することにより白点として認識され、露光工程は、ガラス基板の搬送路の下方に配置された光学センサにより白点を認識して、アライメントマークの位置を検出するとよい。
【0009】
好ましくは、露光工程は、ガラス基板の搬送装置に備えられたエンコーダから当該搬送装置の機械的な動作量を示すエンコーダ情報を取得し、光学センサからアライメントマークの移動量を示す光学センサ情報を取得し、当該エンコーダ情報と当該光学センサ情報とを比較して、搬送軸の歪に起因するヨーイングを含む機械的なズレを検出して、露光ヘッドの位置調整にフィードバックするとよい
【0010】
また本発明は、カラーフィルタに向けられている。そして上記課題を解決するために、本発明のカラーフィルタは、上記の何れかのカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法を用いれば、ガラス基板にアライメントマークをレーザマーキングにより予め形成するので、アライメントマークを基準に、小型マスク連続露光方式により露光してガラス基板上に第1層を形成することができる。
【0012】
従って、ガラス基板上に第1層を、プロキシミティ露光やプロジェクション露光等により形成する場合と較べて、マスク費用を大幅に削減することができる。
また、本発明の製造方法において、露光中にアライメントマークの移動量を露光ヘッドの位置調整にフィードバックすることができるので、精度よく露光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係るカラーフィルタの製造方法の概略を示す図
図2】形成工程10においてアライメントマークが形成されたガラス基板を示す図
図3】露光工程30において、ガラス基板の表面を露光する様子を示す図
図4図3を横(図3中のXの方向)から見た図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係るカラーフィルタの製造方法は、表面に第1層が形成されていないガラス基板に、露光工程よりも前にアライメントマークをレーザマーキングにより形成しておき、露光工程において、ガラス基板の裏面側からアライメントマークを読み取ることにより、露光ヘッドの位置を調整しながら、ガラス基板の表面を小型マスク連続露光方式により露光して、第1層を形成するものである。
【0015】
<構成>
図1は、第1の実施形態に係るカラーフィルタの製造方法の概略を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るカラーフィルタの製造方法1は、アライメントマークを形成する形成工程10と、レジストを塗布する塗布工程20と、小型マスク連続露光方式により露光する露光工程30と、現像液を用いて現像する現像工程40とを含む。
【0016】
形成工程10は、表面にまだ第1層が形成されていないガラス基板に、ガイド用のアライメントマークをレーザマーキングにより予め形成する工程である。
詳細には、形成工程10は、SHG(Second harmonic generation)レーザヘッド12と、ガラス基板を保持して移動させる機能を有するステージ13とを備えるマーキング装置11を用いて、ガラス基板の原点と相対的に所定の関係にある画素配置領域外の位置に、アライメントマークを形成する。
【0017】
ここで、マーキング装置11に備えられたステージ13は、ガラス基板を確実に保持するためのチャック機構14と、保持されたガラス基板とSHGレーザヘッド12との相対位置を任意に変更可能な移動機構15とを有する。なお、マーキング装置11として、市販の装置(レーザタイトラー)を用いることができる。
またガラス基板の原点とは、ガラス基板の外形を基準にした仮想的な点であり、例えば、ガラス基板の一方の主面における上辺と左辺との交点を原点とすることができる。
【0018】
また、形成工程10により形成されるアライメントマークは、SHGレーザ(532nm)の照射により、素ガラス基板の内部に、パーティクルが一切発生しないクリーンなインナーマーキングにて形成される点の集合であり、それぞれの点が光を乱反射するので、肉眼やセンサによって白点として認識される。
このように、アライメントマークをレーザを用いて形成する方法を採用しているのには、以下のような理由がある。
上述のように通常第1層はBM層であり濃度が高いブラックなので、アライメントマークを一般的な黒色インクや金属により作成すると、第1層のレジストの塗布後には光学的な読み取りが困難になってしまう。そこで、アライメントマークをレーザを用いて白色として認識されるように形成し、第1層のレジストの塗布後であっても、光学的な読み取りが問題なくできるようにしているのである。またアライメントマークを、レーザを用いてガラス基板の内部にインナーマーキングにて形成することにより、ガラス基板上のどちらの主面にレジストを形成したとしても、レジストとアライメントマークで必ず焦点距離が異なることになる。そこで、この焦点距離の差を利用して、より安定してアライメントマークを光学的に読み取ることができるようにしているのである。
図2は、形成工程10においてアライメントマークが形成されたガラス基板を示す図である。
【0019】
図2に示すように、主面が四角形のガラス基板100の中央部分の画素配置領域101に含まれない端の位置にアライメントマーク102が形成されている。ここでアライメントマーク102は、露光工程30においてガラス基板100を搬送する基板搬送方向と平行な2つの辺のそれぞれに添って、断続的に形成されている。
なお、SHGレーザの代わりに、THG(Third Harmonic Generation)レーザやFHG(Fourth Harmonic Generation)レーザ等の、さらに高次の高調波レーザを用いてもよいし、また他のレーザを用いてもよい。
【0020】
塗布工程20は、形成工程10によってアライメントマークが形成されたガラス基板の表面の画素配置領域に相当する位置に、感光性を有するレジストをスピンレスコーター等により均一の厚さに塗布する。ここでは揮発性の溶剤入りのレジストを用いて、塗布後に溶剤成分を気化させて乾燥させる。また塗布工程20は、下層が形成された後で上層を形成する際に、同様に繰り返しレジストを塗布する。
露光工程30は、塗布工程20によってレジストを塗布されたガラス基板を搬送しつつ、ガラス基板の裏面側からアライメントマークを読み取ることにより、露光ヘッドの位置を調整しながら、ガラス基板の表面を小型マスク連続露光方式により露光する。また露光工程30は、下層が形成された後で上層を形成する際に、下層のパターンを読み取るか、あるいは、アライメントマークを読み取りながら、同様に繰り返しガラス基板の表面を小型マスク連続露光方式により露光する。ここで、ガラス基板の裏面側からアライメントマークを読み取るのは、ガラス基板の表面にレジストを塗布すると、表面からアライメントマークを読み取ることができなくなるからである。
【0021】
図3は、露光工程30において、ガラス基板の表面を露光する様子を示す図である。
図4は、図3を横(図3中のXの方向)から見た図である。
詳細には、露光工程30は、アライメントマーク読み取り用の光学センサを有するカメラ32と、露光ヘッドA列33と、露光ヘッドB列34と、ガラス基板を保持して移動させる機能を有するステージ35とを備えるEGIS露光装置31を用いて、ガラス基板の表面を露光する。
ここで、EGIS露光装置31に備えられたステージ35は、ガラス基板を確実に保持するためのチャック機構36と、保持されたガラス基板と露光ヘッドA列33及び露光ヘッドB列34との相対位置を任意に変更可能な移動機構37と、移動機構37の機械的な動作量を出力するエンコーダ38とを有する。
【0022】
さらに露光工程30は、エンコーダ38から移動機構37の機械的な動作量を示すエンコーダ情報を取得し、またカメラ32からアライメントマークの移動量を示す光学センサ情報を取得し、エンコーダ情報と当該光学センサ情報とを比較して、機械的な動作量とガラス基板の実際の移動量との差分から機械的なズレを検出して、露光ヘッドの位置調整にフィードバックすることによって、機械的な移動量を補償する。ここで機械的なズレとは、搬送軸の歪に起因するヨーイングの影響によるガラス基板の位置ズレ、クロススキャン方向へのガラス基板の移動量、及び、スキャン方向とクロススキャン方向とのなす角θのズレ量等である。
【0023】
現像工程40は、露光工程30によって露光されたガラス基板の表面を、現像液を用いて現像して第1層を形成する。詳細には、アルカリ現像液により未露光部分を現像し、洗浄後にオーブン焼成することにより、素ガラス基板の表面に第1層となるBM層を形成する。また現像工程40は、下層が形成された後で上層を形成する際に、同様に繰り返し現像を行い上層を形成する。
さらに上層を形成する必要がある場合には、塗布工程20、露光工程30、及び現像工程40を繰り返し実施し、全ての層が形成されると次工程へと搬出する。
【0024】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態に係るカラーフィルタの製造方法を用いれば、予めガラス基板にアライメントマークをレーザマーキングにより形成するので、アライメントマークを基準に第1層を小型マスク連続露光方式により露光することができる。従って、マスク費用を大幅に削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、液晶テレビ等に用いられるカラーフィルタに用いることができる。特に画面が大きくなるほどマスク費用の削減効果が高いので、大画面のテレビ等に用いるとより効果的である。また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、カラーフィルタに限らず、2層目以降を小型マスク連続露光方式により露光しているあらゆる物の製造に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 カラーフィルタの製造方法
10 形成工程
11 マーキング装置
12 SHGレーザヘッド
13 ステージ
14 チャック機構
15 移動機構
20 塗布工程
30 露光工程
31 EGIS露光装置
32 カメラ
33 露光ヘッドA列
34 露光ヘッドB列
35 ステージ
36 チャック機構
37 移動機構
38 エンコーダ
40 現像工程
100 ガラス基板
101 画素配置領域
102 アライメントマーク
図1
図2
図3
図4