特許第5737516号(P5737516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737516
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】探傷装置の治具
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/26 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   G01N29/26
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-235282(P2011-235282)
(22)【出願日】2011年10月26日
(65)【公開番号】特開2013-92467(P2013-92467A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2014年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134925
【氏名又は名称】株式会社ニチゾウテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091409
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100096792
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 八郎
(74)【代理人】
【識別番号】100091395
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 博由
(72)【発明者】
【氏名】中山 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】新村 直人
(72)【発明者】
【氏名】星子 修一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 俊哉
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−304431(JP,A)
【文献】 実開昭60−137369(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0178466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接によって接続されたノズルの溶接部を探傷するためのノズル用の探傷装置の治具であって、
それぞれが第1方向に延在する直線状の探触子保持部を有する複数のアルミフレームを含み、
前記探触子保持部の各々は、発信用探触子と受信用探触子とを前記第1方向において間隔を開けて保持し、
前記アルミフレームのそれぞれの一方側は相互に隣接して配置され、
前記アルミフレームのそれぞれの他方側を、相互に隣接する第1の位置とノズルを中心とした円弧上に位置する第2の位置との間で移動可能に保持する移動手段とを含む、ノズル用の探傷装置の治具。
【請求項2】
前記アルミフレームのそれぞれの一方側に設けられ、前記ノズルに当接する回転リングを取り付ける回転リング取付部を含む請求項1に記載のノズル用の探傷装置の治具。
【請求項3】
前記移動手段は、前記複数のアルミフレームのそれぞれの他方側を前記第2の位置へ移動するようガイドする補強アームを含む、請求項1または2に記載のノズル用の探傷装置の治具。
【請求項4】
前記アルミフレームの前記回転リング取付部側には前記回転リングを上下方向にガイドする縦ガイドを取付ける縦ガイド取付部が設けられる、請求項2または3に記載のノズル用の探傷装置の治具。
【請求項5】
前記縦ガイドは前記縦ガイド取付部に対して回転可能に取付け可能である、請求項4に記載のノズル用の探傷装置の治具。
【請求項6】
前記縦ガイドは下端においてヒンジを有し、前記ヒンジを介して前記回転リング取付部が取付けられる、請求項4または5に記載のノズル用の探傷装置の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は探傷装置の治具に関し、特に、溶接で接続されたノズルを探傷する探傷装置の治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の探傷装置の治具が、例えば特開2004−20549号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によれば、探傷装置はTOFD(Time Of Flight Diffraction)法を用いてボルトの探傷を行なっている。このようなTOFD法を用いた探傷装置用の治具は全体が長手の棒状部材であって、棒状部材の略両端部に発信用探触子と受信用探触子とが間隔を開けて保持している。
【0003】
また、小径管円周継手溶接部検査用のスキャナが、たとえば、下記非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−20549号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「小径管円周継手溶接部検査用COBRAスキャナの開発」 山本優一郎、オリンパス、溶接技術、2010年10月号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のTOFD法を用いた探傷を行なう探傷装置の治具や小径管円周継手の溶接部の検査は上記のように構成されていた。それぞれ、送信側と受信側とを含む一組の探触子を所定の間隔を保持して探傷する構成であった。
【0007】
しかしながら、従来の特許文献等には、ノズルの探傷については特に開示がなく、新しいノズルの探傷用の治具の出現が待たれていた。
【0008】
この発明はTOFD法によって溶接で接続されたノズルを容易に探傷できるノズル用の探傷装置の治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るノズル用の探傷装置の治具は、溶接によって接続されたノズルの溶接部を探傷するためのノズル用の探傷装置の治具である。ノズル用の探傷装置の治具は、それぞれが第1方向に延在する直線状の探触子保持部を有する複数のアルミフレームを含む。探触子保持部の各々は、発信用探触子と受信用探触子とを第1方向において間隔を開けて保持し、アルミフレームのそれぞれの一方側は相互に隣接して配置され、アルミフレームのそれぞれの他方側を、相互に隣接する第1の位置とノズルを中心とした円弧上に位置する第2の位置との間で移動可能に保持する移動手段とを含む。
【0010】
好ましくは、アルミフレームのそれぞれの一方側に設けられ、ノズルに当接する回転リングを取り付ける回転リング取付部を含む。
【0011】
さらに好ましくは、移動手段は、複数のアルミフレームのそれぞれの他方側を第2の位置へ移動するようガイドする補強アームを含む。
【0012】
アルミフレームの回転リング取付部側には回転リングを上下方向にガイドする縦ガイドを取付ける縦ガイド取付部が設けられてもよい。
【0013】
縦ガイドは縦ガイド取付部に対して回転可能に取付け可能であってもよい。
【0014】
縦ガイドは下端においてヒンジを有し、ヒンジを介して回転リング取付部が取付けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、各々が発信用探触子と受信用探触子とを第1方向において間隔を開けて保持する複数の探触子保持部を、探傷する対象であるノズルの溶接部を中心として放射状に配置できるため、ノズルを中心とした複数個所の探傷を一度に行なうことができる。
【0016】
その結果、溶接で接続されたノズルを容易に探傷できるノズル用の探傷装置の治具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】溶接で接続されたノズルをTOFD法で探傷する方法を示す模式図である。
図2】この実施の形態に係る探傷装置用の治具の較正時の状態を示す斜視図である。
図3図2に示した治具10の平面図(A)と側面図(B)である。
図4】治具の使用時の斜視図である。
図5】治具の使用時の平面図である。
図6】アルミフレームに対する縦ガイドの取付け方法を示す図である。
図7】縦ガイドを示す図である。
図8】回転リングの平面図である。
図9】治具の探傷時の状態を示す斜視図である。
図10】治具を胴部の軸方向に交わる方向に配置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は溶接で接続されたノズルをTOFD法で探傷する方法を示す模式図である。図1(A)は平面図であり、図1(B)は図1(A)において、IA-IAで示す部分の断面図である。図1を参照して、円筒形の胴部201に溶接によってノズル202が接続されている。ここで203は溶接部である。この溶接部203の欠陥の有無を知るために、ノズル202に沿って複数組(ここでは3組)の送信側および受信用探触子が設けられている。それぞれの探触子の組は、図1(B)に示すように、胴部201側に設けられた発信用探触子111および112と、ノズル側に設けられた受信用探触子113とを含む。これらの探触子111、112、113は一直線に並べて配置され、発信用探触子111と112とから出力された超音波(図中a、bで示す)を受信用探触子113で受信して溶接部203の欠陥の有無を検出する。
【0019】
図1(A)に示すように、溶接部203の欠陥部を検出するには複数の発信用探触子111、112と、受信用探触子113とが相互に一直線上に配置される必要がある。
【0020】
図2は、図1で示すように、複数の発信用探触子と受信用探触子とを所定の位置に配置するための、この実施の形態に係る探傷装置用の治具10の較正時の状態を示す斜視図であり、図3図2に示した治具10の平面図(A)と側面図(B)である。図2および図3に示すように、治具10は、後に説明する回転リングを取付けるための回転リング取付部20を前端に有する長手の棒状のアルミフレーム12と、アルミフレーム12の両側に設けられたアルミフレーム11,13とを含む。ここで、アルミフレーム11〜13の長さはそれぞれ等しい。また、図3においては、回転リング80の一部のみを示す。
【0021】
アルミフレーム11,12,13の各々は、アルミフレーム11,12,13の下部に設けられ、それぞれが、回転リング取付部20の反対側の端部から順に設けられた、2個の発信用および1個の受信用の合計3個の探触子40を所定の間隔で保持する探触子保持部40a,40b,40cを有する。このアルミフレーム11〜13の延在する方向を第1方向という。図2図3に示すように、3個のアルミフレーム11〜13は較正時(不使用時を含む)には相互に隣接して平行に配置されている。
【0022】
中央のアルミフレーム12の回転リング取付部20側にはアルミフレーム12の延在する長手方向に直交する方向(以下、「直交方向」という)に設けられた矩形状の軸受アーム間隔保持部21bが設けられる。アルミフレーム12上において、軸受アーム間隔保持部21bの直交方向の両端部には、軸受アーム間隔保持部21b側に設けられた軸22a,22cを中心として回転可能に設けられた軸受アーム21a,21cが設けられる。アルミフレーム11,13は、その前部のアルミフレーム12側を、それぞれ、この軸受アーム21a,21cに保持されている。
【0023】
また、アルミフレーム12の軸受アーム間隔保持部21bの後部には取手62aが設けられている。軸受アーム間隔保持部21bの前端部には、後に説明する、縦ガイド27を取付ける縦ガイド取付部が設けられる。回転リング取付部20の中央部にはセンターガイドローラ25bが設けられる。また、受信側探触子を保持する探触子保持部40cは縦ガイド取付部の下方に設けられている。
【0024】
同様に、アルミフレーム11および13のそれぞれは、その前端部の上部を軸受アーム21a,21cに保持され、その下部に受信側探触子40を保持する探触子保持部40cが設けられ、その前端に倣いガイドローラ25a,25cが設けられている(図4図5参照)。
【0025】
軸受アーム21a,21cは、それぞれ、軸22a,22cを中心として、後部側(回転リング取付部20の反対側)がアルミフレーム12から離れるように旋回可能である。
【0026】
次に治具10の探傷時の状態を含めて説明する。図4および図5は治具10の使用時の斜視図および平面図である。図2図5を参照して、アルミフレーム12のほぼ中央部にはアルミフレーム11の回転リング取付部20側の先端部と接続された第1リンク35aが設けられる。同様に、アルミフレーム12のほぼ中央部にはアルミフレーム13の回転リング取付部20側の先端部と接続された第2リンク35cが設けられる。それぞれのリンク35a,35cのアルミフレーム11、13との接続はピン36a,36cを用いて行なわれている。また、アルミフレーム12の、第1および第2リンク35a,35cが接続される部分は回転軸であって、その上には回転軸を中心として回転可能な固定ギヤ34a,34cが設けられる。固定ギヤ34aと34cとは相互に噛み合うように設けられており、第1リンク35aを開くと、それに応じて第2リンク35cも開く。すなわち、アルミフレーム11をアルミフレーム12から離れるように移動させると、アルミフレーム13もアルミフレーム12から離れるように移動する。
【0027】
また、それぞれのリンク35a,35cとアルミフレーム11、13との接続を行なうピン36a,36cには、クランプアーム38a,38cが設けられ、このクランプアーム38a,38cを緩めると、アルミフレーム11、13とそれぞれのリンク35a,35cとの固定が解除されて、アルミフレーム11、13上にその長手方向に設けられた溝26a,26cに沿ってピン36a,36cが移動可能になる。
【0028】
アルミフレーム11,13のそれぞれの、アルミフレーム12に対して反対側の前端部には側面から見てL字形(図3(B)参照)のキャスタ保持部32a,32cが設けられ、キャスタ保持部32a,32cには、検査対象となるノズルを有する胴部の上を任意の方向に走行できるよう、アルミフレーム11〜13の延在方向およびその直交方向によって形成される面に垂直な方向の軸を中心に回転自在のキャスタ33a,33cが設けられている。
【0029】
また、アルミフレーム11のキャスタ保持部32aには、探傷位置を検出するためのロータリエンコーダ39を設けても良い(図3参照)。
【0030】
また、アルミフレーム12の相互に噛み合う第1および第2の固定ギヤ34a,34cの後端側には載置台50が設けられ、この載置台50の上に探傷用のパルサレシーバ(増幅器)51a〜51cが載置される。
【0031】
アルミフレーム12の載置台50の後部には、第2の把手部62bが設けられる。
【0032】
また、アルミフレーム12の把手部62bの後方の端部には、アルミフレーム12の延在する方向に交わる方向に、ピン63a,63bを中心として旋回可能に延在する補強アーム60a(アルミフレーム11側),60b(アルミフレーム13側)が設けられている。補強アーム60a,60bには補強アーム60a,60bの中央部に設けられた長手の貫通孔61a,61bを含む。アルミフレーム11,13の後端部側には、それぞれ、ねじ31a,31cが設けられ、これらのねじ31a,31cがこの長手の貫通孔61a,61bにガイドされて、アルミフレーム11,13の後端部はアルミフレーム11,13の延在する側に交わる方向に移動する。これらのねじ31a,31cはアルミフレーム11,13を補強アーム60a,60bに沿って任意の位置に移動したときに、アルミフレーム11〜13と補強アーム60a,60bとを固定し、それによって、その位置における治具10の剛性を高めるものである。
【0033】
図4および図5に示すように、アルミフレーム11,13は、アルミフレーム12に設けられた軸22a,22cを中心として回転可能である。このとき、相互に噛み合う第1および第2ギヤ34a,34c、および、ピン35a,35cによる拘束を受けて移動する。したがって、相互に噛み合う第1および第2ギヤ34a,34c、第1および第2リンク35a,35c、ピン36a,36c、および、補強アーム60a,60bは移動手段として作動する。
【0034】
図6は縦ガイド取付部24の詳細を示す図である。図6(A)は縦ガイド取付部24のアルミフレーム12への取付状態を示す図であり、図6(B)は図6(A)において矢印Bで示す部分の拡大図であり、図6(C)は縦ガイド取付部24への縦ガイド27の取付方法を示す図である。以下、図4〜7を参照して、アルミフレーム11〜13の前端部の詳細について説明する。まず、縦ガイド27の取付け方法について説明する。図6に示すように、アルミフレーム12は、長手の直方体の長手方向に延在する4面の中央部に断面が矩形状の溝を設けた2つの部材12a,12bで構成され、その上部が軸受アーム間隔保持部21bで保持されることによって一体化されている。なお、アルミフレーム11,13も、同様に、一対の同一形状の部材で構成されている。
【0035】
アルミフレーム12を構成する2つの部材12a,12bの中央の矩形部にはねじ穴12c,12dが設けられている。一方、縦ガイド27は縦ガイド取付部24を含み、図7に示すように一体化されており、この縦ガイド27は、縦ガイド取付部24をアルミフレーム12に固定することによってアルミフレーム12に一体として取付けられる。
【0036】
縦ガイド取付部24のアルミフレーム12への固定は次のように行なう。図6(A)に示すように、縦ガイド取付部24は、アルミフレーム12に設けられたねじ穴12c,12dに対応する位置に断面が半円形の貫通孔24a,24bを有する。この貫通孔24a,24bを介してねじ29a,29bをねじ穴12c,12dに固定することによって、縦ガイド取付部24をアルミフレーム12の先端部に取付ける。
【0037】
ここで、断面が半円形の貫通孔24a,24bを設けているのは、縦ガイド取付部24を取付けるスペースが狭いため、ねじ29a,29bを少し緩めれば、縦ガイド27をその上部へ取外すことができるようにするためである。このような構成にすることにより、縦ガイド取付部24の前方にねじ29a,29bを取外すための水平方向の空間が不要になる。
【0038】
次に、縦ガイド取付部等の詳細について説明する。縦ガイド取付部24は、断面が半円形の貫通孔24a,24bを有する、下端部に設けられた横長部材24cとその幅方向の中央部に上方向に延在する直方体状の長手部材24dとを有する。長手部材24dはその上端部において、アルミフレーム12側に延在する横長部材24eを有する。
【0039】
縦ガイド取付部24の上側の横長部材24eの上部は側面から見て逆「L」字状でありその上に、アルミフレーム12側から、回転機構43と、リニアガイド取付板45と、縦ガイド27を上下方向に移動するためのリニアガイド30a,30bとがこの順で設けられている。これらの縦ガイド取付部24,リニアガイド取付板45、リニアガイド30a,30bおよび回転機構43は一体的に設けられている。
【0040】
図6(B)は回転機構43とその前に取付けられたリニアガイド取付板45とを示す拡大図である。図6(B)を参照して、回転機構43は内部に回転可能に設けられた円筒形の回転機構本体43aを有し、回転機構本体43aはその前方向に設けられたリニアガイド取付板45まで延在する2個のねじ部45aを有し、このねじ部45aを回転させることによって、後に説明するように、縦ガイド27が回転可能になる。
【0041】
図6(A)を参照して、リニアガイド取付板45の前にはその幅方向両端部に一対のリニアガイド30a,30bが設けられる。また、図6(C)に示すように、このリニアガイド30a,30bはそれぞれレール46a,46bを含む。一対のレール46a,46bはリニアガイド30によって上下方向に駆動される。
【0042】
次に、縦ガイド取付部24に対する縦ガイド27の取付方法を説明する。図6(C)を参照して、リニアガイド30a,30bのレール46a,46bには複数のねじ47が一定の間隔で複数設けられており、そのねじ47で縦ガイド27をレール46a,46bに取付ける。また、縦ガイド27のリニアガイド30a,30b側には回転機構本体43aのねじ45aに係合する図示のない係合部が設けられており、回転機構本体43aを作動すると、この係合部を介して縦ガイド27は回転する。なお、縦ガイド27にはその下部に開口27cが設けられている。
【0043】
次に、リニアガイド30a,30bに取付けられる縦ガイド27について説明する。図7は縦ガイド27の全体構成を示す斜視図である。図7(A)は縦ガイド27とそれに設けられた回転リング取付部20の斜視図であり、図7(B)は図7(A)において矢印B−Bで示す側面図であり、図7(C)は図7(B)において矢印C―Cで示す部分の矢視図である。
【0044】
図7(A)を参照して、ここでは、縦ガイド27がリニアガイド30a,30bと一体化され、一対のレール46a,46bに沿って上下動可能に設けられている。また、図7(B)に示すように、縦ガイド27にはその下端部にヒンジ27aが設けられており、このヒンジ27aにはヒンジ27aを中心として旋回可能な旋回ガイド板28aが接続される。この旋回ガイド板28aのヒンジ27aとは反対側の端部にもヒンジ28bが設けられ、このヒンジ28bを介して、回転リング取付部20が取付けられている。なお、縦ガイド27は上記したリニアガイド30a,30bを用いて図中矢印Aで示す方向に昇降可能である。また、図7(A)に示すように、縦ガイド27の下端部のヒンジ27aの上部近傍には開口27cが設けられているため、ヒンジ28bはヒンジ27aの直上に位置することが可能である。
【0045】
なお、ヒンジ27a,28bの縦ガイド27や旋回ガイド板28aに対する角度の固定は図示のないねじによって行なわれる。
【0046】
また、図7(C)に示すように、回転機構43は、リニアガイド取付板45等と一体化するためのねじ43bを背面に有している。回転機構43aは自身に所定の角度毎に回転、停止を繰り返す機能を有している。なお、ねじ43bに回転機構本体43aの作動、非作動を切り替える機能を持たせてもよい。
【0047】
また、上記したように、縦ガイド27は回転機構本体43aを作動させることによって、図7(C)において矢印Bで示す方向に回動可能である。
【0048】
次に回転リング取付部20について説明する。図8は回転リング取付部20に回転リング80を取付けて、ノズル71の周囲に当接させた状態を示す。なお、ここでは、回転リング取付部20が取付けられる縦ガイド27については図示を簡略化している。
【0049】
図4図5図7および図8を参照して、回転リング取付部20は中央に設けられたセンターガイドローラ25bと、その両端部に設けられた回転リング取付け孔20a,20cとを含む。この回転リング取付け孔20a,20cに回転リング80が取付けられる。
【0050】
回転リング80は、回転リング取付部20に取付けるための、回転リング取付け孔20a,20cに挿入される取付けピン81a,81cと、取付けピン81a,81cに連続して設けられ、それぞれが、弧状の、複数の弧状部材82と、複数の弧状部材82を旋回可能に接続する複数の接続ピン83とを含み、図9図10に示すように、探傷されるノズル71の外周に沿うように設けられる。
【0051】
図9図3に示した治具10の使用状態を示す斜視図である。ここでは、治具10が胴部55の軸方向に沿って配置されている場合を示している。図9を参照して、溶接で胴部55に接続されたノズル71の外周に回転リング80が沿うように設置される。
【0052】
また、治具10の使用時には、それぞれのアルミフレーム11〜13は回転リング取付部20側においては隣接した状態を維持しているが、反対側は、ノズル71を中心として相互に円弧状に配置されうる。このように、この治具10を用いれば図1に示したようにノズル71の溶接部を円周方向において探傷可能になる。
【0053】
図10は治具10を胴部55の軸方向に交わる方向に配置した状態を示す図である。なお、ここでは、ノズル71に当接する回転リング80の図示を省略している。図10に示すように、この場合は、胴部55の径やその長さによって、回転リング取付部20等がノズルの周囲の所定の位置に配置されなくなる場合がある。
【0054】
この実施の形態においては、縦ガイド27が上記のような構成を有しているため、2箇所のヒンジ27a,28bを用いて縦ガイド27の向きに拘わらず、垂直な外周壁面を有するノズル71のようなノズルに対して、その外周面に沿ってローラが移動できるようになる。
【0055】
なお、上記実施の形態においては、縦ガイド27は図7(C)において矢印Bで示す方向に回動可能である場合について説明したが、これに限らず、固定されていてもよい。
【0056】
図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明に係る探傷装置の治具は、溶接で接続されたノズルの溶接部を簡単に探傷できるため、ノズルの探傷装置の治具として有利に利用される。
【符号の説明】
【0058】
10 治具、11,12,13 アルミフレーム、20 回転リング取付部、21a,21c 軸受アーム、21b 軸受アーム間隔保持部、24 縦ガイド取付部、25a,25c 倣いガイドローラ、25b センターガイドローラ、27 縦ガイド、30 リニアガイド、40 探触子保持部、43 回転機構、50 載置台、55 胴部、60 補強アーム、80 回転リング、111,112 発信用探触子、113 受信用探触子。
図1
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図7
図8
図9
図10