【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明のアカウント情報送信システムは次の構成を採用した。すなわち、
コンピューターシステムを利用するためのアカウント情報を、該コンピューターシステムのユーザーにネットワーク回線を介して送信するアカウント情報送信システムであって、
前記ユーザーを識別するユーザー識別情報と、前記アカウント情報とを対応付けて記憶しておくユーザーアカウント情報記憶手段と、
照合に用いるデータたる照合データを、前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーから受信する照合データ受信手段と、
前記受信した照合データの照合の合致を判定する照合合致判定手段と、
前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーから前記ユーザー識別情報を受信するユーザー識別情報受信手段と、
前記照合が合致すると、前記受信したユーザー識別情報に対応付けられた前記アカウント情報を、前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーに送信するアカウント情報送信手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
また、上記のアカウント情報送信システムに対応する本発明のアカウント情報送信方法は、
コンピューターシステムを利用するためのアカウント情報を、該コンピューターシステムのユーザーにネットワーク回線を介して送信するアカウント情報送信方法であって、
前記ユーザーを識別するユーザー識別情報と、前記アカウント情報とを対応付けて記憶しておく第1の工程と、
照合に用いるデータたる照合データを、前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーから受信する第2の工程と、
前記受信した照合データの照合の合致を判定する第3の工程と、
前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーから前記ユーザー識別情報を受信する第4の工程と、
前記照合が合致すると、前記受信したユーザー識別情報に対応付けられた前記アカウント情報を、前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーに送信する第5の工程と
を備えることを要旨とする。
【0009】
かかる本発明のアカウント情報送信システムおよびアカウント情報送信方法では、アカウント情報をユーザー識別情報に対応付けて記憶している。また、ユーザー識別情報および照合データを、ネットワーク回線を介してユーザーから受信する。そして、ユーザーから受信した照合データの照合の合致を判定し、合致した場合には、ユーザーから受け取ったユーザー識別情報に対応付けられたアカウント情報をユーザーに送信する。
【0010】
こうすれば、照合に合致する照合データを送信してきたユーザーに対して、そのユーザー用のアカウント情報を送信することができる。したがって、ユーザーには照合に合致する照合データを配布するだけでよく、ユーザーを特定してそのユーザー用のアカウント情報を引き渡す作業は必要ない。また、ユーザーがアカウント情報を取得するためには、照合に合致する照合データが必要なことから、代金を支払うなどの所定の要件を満たしたユーザーに対して照合に合致する照合データを配布すれば、要件を満たしたユーザーのみにアカウントを確実に付与することが可能である。これにより、ユーザーを特定するための煩雑な作業を回避しながらも、所定の要件を満たしたユーザーにカウントを確実に引き渡し可能となる。
【0011】
なお、照合データの照合の合致を判定する際には、種々の方法を用いることが可能である。例えば、照合に合致する照合データを予め記憶しておき、ユーザーから受信した照合データが、予め記憶しておいた照合データと一致するか否かを判断すればよい。あるいは、照合データを変数とする関数を用意しておき、その関数の値に基づいて合致を判定してもよい。例えば、照合データを数値に変換するとともに、その数値を所定の数値で除算した剰余が特定の数値であるか否かを調べることによって、照合の合致を判定する。もちろん、こうした方法に限らず、照合の合致が判定可能であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0012】
また、照合の合致を判定可能であればよいことから、照合データはどのような態様のデータであってもよい。例えば、複数の文字や数字からなる文字列であってもよいし、あるいは、文字や数字でなく、単純に「0」または「1」からなるビットを並べたビット列であってもよい。いずれの態様のデータであっても照合の合致を判定可能である。
【0013】
なお、照合データをユーザーに配布する際には、種々の態様で配布することが可能である。たとえば、照合データを記載したカードをユーザーに配布してもよいし、あるいは、照合データを記憶した記憶媒体をユーザーに配布してもよい。あるいはより単純に、照合データを口頭でユーザーに伝えてもよい。いずれの場合も、その照合データの照合の合致を判定可能であり、したがって、照合に合致する照合データを送信してきたユーザーに対してアカウント情報を送信可能である。
【0014】
なお、本発明において「コンピューターシステムを利用する」とは、いわゆるログインを行ってから使用するコンピューターシステムを利用する場合に限らず、何らかの形でコンピューターシステムを利用するものも含まれる。例えば、アクセス制限が設けられたデータを、アカウント情報に基づいて許可を受けてダウンロードする場合も、コンピューターシステムを利用するものに含まれる。こうした場合も、ユーザーは照合データを用いて本発明のアカウント情報送信システムからアカウント情報を取得することにより、データをダウンロードすることが可能となる。そして、この場合も、ユーザーには照合データを配布するだけでよく、ユーザーを特定する煩雑な作業を行う必要はない。これにより、ダウンロード権限を店頭等で簡便に付与することが可能となる。例えば、電子データ化された書籍や教材や、各種の写真や動画などのコンテンツをユーザーに販売する場合、店頭等では照合データをユーザーに渡すだけでよいので、こうしたコンテンツを容易に販売することが可能となる。もちろん、販売に限らず無料で配布してもよいし、あるいはユーザーに特典として付与してもよい。そして、こうした場合もユーザーにそれぞれのユーザー用のアカウント情報を送信可能なことから、ユーザーごとに適切な利用制限を設けることが可能となる。また、ユーザーはユーザー専用のアカウントを用いてアクセスすることから、電子データを取得したユーザーを特定することも可能である。
【0015】
また、上述した本発明のアカウント情報送信システムでは、ユーザー識別情報を複数の種別に分類した状態で記憶しておくものとしてもよい。このとき、照合データをこれらの種別のいずれかの種別に対応付けておき、ユーザーから照合データを受信したら、その照合データの種別を特定する。そして、ユーザーから受信したユーザー識別情報の種別と、照合データの種別とが一致するか否かを判定し、一致した場合には、そのユーザー識別情報に対応付けられたアカウント情報をユーザーに送信する。
【0016】
アカウント情報はユーザー識別情報に対応付けられていることから、このように照合データの種別がユーザー識別情報の種別に一致した場合にアカウント情報を送信することは、実質的には、照合データの種別に対応付けられたアカウント情報を送信することに相当する。したがって、ユーザーに配布する照合データの種別を選択することにより、ユーザーに送信するアカウント情報を選択することが可能となる。例えば、コンピューターシステムの使用権限や使用期間などが異なる複数の種類のアカウントが設けられている場合、それぞれの種類のアカウントに対応して、複数のアカウント情報(および各アカウント情報に対応付けられたユーザー識別情報)を本発明のアカウント情報送信システムに記憶しておくことになるが、このとき、それぞれのユーザー識別情報を異なる種別に分類して記憶しておく。こうすると、ユーザーに付与されるアカウントの種類は、ユーザーにどの種別の照合データを渡すかによって定まることになる。したがって、複数の種類のアカウントが設けられている場合であっても、ユーザーに付与しようとするアカウントの種類に対応する照合データをユーザーに渡すだけで、目的のアカウントをユーザーに付与可能である。例えば、複数の種類のアカウントの中からユーザーがアカウントの種類を選択してアカウントを購入した場合、そのアカウントの種類に対応する照合データをユーザーに渡すだけで、その種類のアカウントをユーザーに付与可能である。このように、複数の種類のアカウントが設けられている場合であっても、煩雑な作業が必要となることがなく、アカウントを容易に付与可能である。
【0017】
なお、ユーザーから受信した照合データの種別を特定可能であれば、照合データはどのような態様で分類されていてもよい。例えば、照合データと種別とを予め対応付けて記憶しておいてもよい。この場合には、照合データを受信した際に、その照合データに対応付けられた種別を取得することにより、受信した照合データの種別を特定可能である。あるいは、照合データの一部分に種別を特定するデータを包含しておくものとしてもよい。例えば、照合データの先頭から所定数のビットまでの部分を、種別に対応させておく。こうした場合も、照合データの種別を特定可能である。
【0018】
また、こうした方法に限らず、照合データから種別が定まるのであれば、どのような方法で照合データを分類してもよい。例えば、照合データを変数とする関数を用意しておき、受信した照合データから関数を用いて種別を定める。一例としては、照合データを「0」または「1」からなるビット列に変換し、各ビットの値を加算した総和を照合データの種別とする。こうした場合、照合データごとに種別が定まることになるが、このことは、照合データが種別に分類されていることを意味する。したがって、照合データから種別が定まりさえすれば、どのような方法を用いてもよい。
【0019】
また、上述した本発明のアカウント情報送信システムでは、照合データが照合に合致した後に、ユーザー識別情報を受信するものとしてもよい。
【0020】
こうすると、照合に合致するまではユーザーはユーザー識別情報を送信しなくてよいので、ユーザー識別情報が漏洩するのではとの不安をユーザーが抱く虞を回避することが可能である。すなわち、ユーザーは手元の照合データが照合に合致すると、そのことによって、自分がネットワーク回線を介して接続している相手が、自分がアカウント情報を受け取ろうとしている相手に間違いなく、誤って別の相手に接続していることがないことを認識することができる。このため、ユーザーが不安を覚えて手続きを途中で止めてしまう虞を回避可能である。その結果、ユーザーがコンピューターシステムの管理者に問い合わせてユーザーや管理者が煩雑な作業をしなければならなくなる虞を回避可能である。
【0021】
また、ユーザーが照合データを送信する際には、照合データだけを送信すればよいことから、ユーザーがアカウント情報を取得する手間を軽減することが可能となる。すなわち、ネットワーク回線に接続可能な機器には、データを容易に読み込んで送信可能な機器が存在する。例えば、二次元バーコードを読み込む装置を備え、読み込んだ二次元バーコードに記述されたデータを送信可能な機器が広く普及している。照合データだけを送信すればよい場合には、ユーザーはこうした機能を用いることによって照合データを容易に送信可能である。このため、ユーザーはアカウント情報をより容易に取得することが可能である。
【0022】
更に本発明は、上述したアカウント情報送信方法を実現するためのプログラムをコンピューターに読み込ませ、所定の機能を実行させることにより、コンピューターを用いて実現することも可能である。従って、本発明は次のようなプログラム、あるいは該プログラムを記録した記録媒体としての態様も含んでいる。すなわち、上述したアカウント情報送信方法に対応する本発明のプログラムは、
コンピューターシステムを利用するためのアカウント情報を、該コンピューターシステムのユーザーにネットワーク回線を介して送信する方法を、該ネットワーク回線に接続されるコンピューターを用いて実現するためのプログラムであって、
前記ユーザーを識別するユーザー識別情報と、前記アカウント情報とを対応付けて記憶しておく第1の機能と、
照合に用いるデータたる照合データを、前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーから受信する第2の機能と、
前記受信した照合データの照合の合致を判定する第3の機能と、
前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーから前記ユーザー識別情報を受信する第4の機能と、
前記照合が合致すると、前記受信したユーザー識別情報に対応付けられた前記アカウント情報を、前記ネットワーク回線を介して前記ユーザーに送信する第5の機能と
をコンピューターを用いて実現することを要旨とする。
【0023】
こうしたプログラムをコンピューターに読み込んで、上記の各機能を実現させれば、ユーザーを特定するための煩雑な作業を回避しながらも、アカウント付与の要件を満たしたユーザーにカウントを確実に引き渡し可能となる。