特許第5737652号(P5737652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737652
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】小分け可能な包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   B65D5/54 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-142608(P2011-142608)
(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公開番号】特開2013-10512(P2013-10512A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390001270
【氏名又は名称】グリコ乳業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592181842
【氏名又は名称】株式会社サガシキ
(74)【代理人】
【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益
(74)【代理人】
【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人
(72)【発明者】
【氏名】村山 陽一
(72)【発明者】
【氏名】山本 一誌
(72)【発明者】
【氏名】高畑 幸典
(72)【発明者】
【氏名】山口 茂樹
【審査官】 会田 博行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−058673(JP,A)
【文献】 実開昭58−183319(JP,U)
【文献】 特開2004−026271(JP,A)
【文献】 実開平03−069623(JP,U)
【文献】 特開2001−328622(JP,A)
【文献】 米国特許第05375761(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
六面体の天板、天板の両側に連設された側板、両側の側板に連設された底板のそれぞれに六面体を半々に分割可能な切断線が形成され、
天板には切断線を挟んで六面体の分割後の小分けした包装箱の開口側に折り曲げて収納品の飛び出しを防止する押さえ板が形成されるとともに、天板の両側板側の折曲線がミシン目からなる切断線で形成され、
天板及び底板の蓋板がそれぞれの側板の蓋板に貼着されて包装箱内に収納されている収納品が目視できる枠状の蓋が形成され、
側板の切断線の天板側には、六面体の分割後に開口側に折り曲げられた押さえ板を上から押さえる押さえ片が切断線を跨いで対向して形成され、
側板の切断線の底板側には、六面体の分割後に収納品の飛び出しを防止する下部押さえ片が切断線を跨いで対向して形成されていることを特徴とする小分け可能な包装箱。
【請求項2】
天板の切断線がジッパーであることを特徴とする請求項1記載の小分け可能な包装箱。
【請求項3】
ジッパーには、側板と貼着する天板の貼着片側に摘み片が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の小分け可能な包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙パック入り商品などを複数個収納する包装箱に関し、特に分割して小分けできる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳あるいはジュース類が入った紙パックなどは、数ダースあるいは複数個まとめて段ボール製の包装箱に入れられて搬送されている。例えば、1ダース(12パック)入りの包装箱を搬送している場合、納入先によっては、例えば、半分の6パック、あるいはそれ以下のパックが必要となる場合がある。そこで、包装箱を小分けできるように分割可能にした包装箱が知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された包装箱は、図6(a)、図6(b)に示すように、段ボール製の外装体31のブランクと中仕切体32のブランクとからなる。中仕切体32の両仕切板33,33を折り重ねて仕切壁34を形成し、外装体31に貼着する。次いで、物品を収納した後、外装体31の各蓋板35を折り曲げ、その先端部同士を仕切壁34上で寄せ合わせ、各耳片36を中仕切体32の上部にそれぞれ貼着し、接合片37を他方の蓋板35に貼り付ける。
【0004】
この包装箱を2つの小箱に分割するには、図6(c)に示すように、接合片37を切取線38に沿って切り取りつつ蓋板35から剥がし、両仕切板33,33を分離すると共に、切端部39を切り取り、底切手段40に沿って底板41を破断する。
【0005】
前記特許文献2記載された包装箱は、図7(a)、図7(b)に示すように、段ボール箱41は、複数の小箱42が単一の連結天板43により連結され、各小箱42は、その対向する側壁44を互いに隣接させて配列されている。また、連結天板43は、各小箱42の開放された上部を閉塞する蓋板部45と、蓋板部45の両側端縁から下方に垂直に折り曲げ形成された一対の連結片46とによって構成されている。
【0006】
蓋板部45には、各小箱42を分離するための破断部49の中央位置に表裏貫通して切り込まれたH状カット部50が形成され、H状カット部50を手がかりとしてカットテープ48による破断が開始できるようになっている。破断部49においては、切れ目51から連結片46の先端縁近傍にかけてカットテープ48による破断を案内するジッパー52が形成されている。連結天板43の裏面側には、両小箱42の境界に対応して帯状のカットテープ48が貼着され、それによりカットテープ48に沿った破断部49が形成されている。
【0007】
連結天板43の連結片46は、両小箱42の側壁47に接着され、両小箱42を一体に連結する。
【0008】
以上の構成による段ボール箱41を小箱42に分割するには、図7(c)に示すように、H状カット部50を把持してカットテープ48を引き上げることにより、破断部49に沿ってカットテープ48による破断が開始される。さらにカットテープ48を引っ張ることによって破断がジッパー52に沿って進行し、一対の小箱42に分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3055945号公報
【特許文献2】特開2002−321732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1に記載された包装箱は、外装体のブランクの他にさらに中仕切体のブランクも必要となるためにブランク数が多くなるだけでなく、両ブランクの加工に手間がかかる。さらに外装体及び中仕切体を合体させて組み立てるため工程が複雑になって、手間がかかるという問題がある。
【0011】
また前記特許文献2に記載された包装箱は、複数の小箱とカットテープを備えた連結天板を別途用意し、これらを連結しなければならないので、小箱と連結天板の材料を多く必要とし、その準備と組立に手間がかかるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、一枚のブランクから容易に製造できるとともに、分割後の小分けした包装箱から収納品の飛び出しを防止可能な包装箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の請求項1の発明は、六面体の天板、天板の両側に連設された側板、両側の側板に連設された底板のそれぞれに六面体を半々に分割可能な切断線が形成され、天板には切断線を挟んで六面体の分割後の小分けした包装箱の開口側に折り曲げて収納品の飛び出しを防止する押さえ板が形成されるとともに、天板の両側板側の折曲線がミシン目からなる切断線で形成され、天板及び底板の蓋板がそれぞれの側板の蓋板に貼着されて包装箱内に収納されている収納品が目視できる枠状の蓋が形成され、側板の切断線の天板側には、六面体の分割後に開口側に折り曲げられた押さえ板を上から押さえる押さえ片が切断線を跨いで対向して形成され、側板の切断線の底板側には、六面体の分割後に収納品の飛び出しを防止する下部押さえ片が切断線を跨いで対向して形成されていることを特徴とする小分け可能な包装箱である。
【0014】
本願の請求項2の発明は、天板の切断線がジッパーであることを特徴とする請求項1記載の小分け可能な包装箱である。
【0015】
本願の請求項3の発明は、ジッパーには、側板と貼着する天板の貼着片側に摘み片が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の小分け可能な包装箱である。
【発明の効果】
【0017】
本願請求項1の発明では、小分け後の箱の開口部に押さえ板、押さえ板を押さえる押さえ片、下部押さえ片が形成されるので、小分け後の箱の運搬等の取扱中に収納品の飛び出しを防止することができる。
【0018】
また、一枚のブランクから小分け後の箱に形成される開口部に押さえ板、下部押さえ片が形成できるので、仕切り板を必要とせず、また、複数の小箱を準備することなく、少ない材料で且つ簡単な工程により小分け可能且つ収納品飛び出し防止手段付きの包装箱が得られる。
【0019】
本願請求項2の発明では、天板の切断線がジッパーであることから、包装箱を簡単に分割可能となる。
【0020】
摘み片を摘んで引き上げることによりジッパーを容易に切り取ることができる。
本願請求項4の発明では、ミシン目からなる切断線6により天板1が容易に除去できるので、小分け後の箱から収納物を取り出し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の包装箱を展開した板紙の平面図である。
図2】本発明の包装箱の折り曲げ途中を示す斜視図である。
図3】本発明の包装箱を示す斜視図である。
図4】本発明の包装箱を分割した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の小分けした包装箱を示す斜視図である。
図6】従来の包装箱の例を示す斜視図である。
図7】従来の包装箱の別の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例について図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0023】
包装箱は6面体で構成され、包装箱を展開した厚紙あるいは段ボールからなるブランクは、図1に示すように、天板1、天板の両側に連設された第1の側板2及び第2の側板4、第1の側板2及び第2の側板4が連設された底板3が、折曲線5を介して順次一体に連設されている。なお、天板1の折曲線は、包装箱の小分け後に中身を取り出す際に分割された天板1を除去し易いようにミシン目からなる切断線6で形成してもよい。
【0024】
天板1、第1の側板2、底板3及び第2の側板4のそれぞれの上辺及び下辺には、ブランクを折り曲げて四角筒にした際、四角筒の両端に形成される開口部20(図3参照)を塞ぐ枠状の蓋を形成するための蓋板7a〜7dが連設されている。天板1及び底板3の蓋板7a,7cがそれぞれ側板2及び第2の側板4の蓋板7b,7dに貼着されて枠状の蓋に形成される。枠状の蓋にすることにより、包装箱内に収納されている収納品が目視できるようにしている。
【0025】
天板1の側辺には、ブランクを四角筒に折り曲げて第2の面板4に貼着する貼着用板8が連設されている。貼着用板8には、後述するジッパー9の摘み片10が2列の切断線11を介して切り離し可能に形成されている。
【0026】
天板1、第1の側板2、底板3及び第2の側板4には、上下に2分割するスリット状の切断線12が上下部を接続する容易に切り離し可能な接続部13を介して間隔をおいて形成されている。
【0027】
天板1には、ジッパー9を挟んで押さえ板14が対向して折曲線15を介して形成されている。ジッパー11を切除後、押さえ板14を開口部20に向けて下方に折り曲げることにより、小分けした箱の取扱中に、収納されている収納品が箱の開口部20から飛び出すのを防止する。
【0028】
第1の側板2の天板1側には、中央線の切断線12を挟んで折り曲げられた押さえ板14を上から押さえる2個の押さえ片16が円弧状の切断線17を介して折り曲げ可能に形成されている。
【0029】
第2の側板4にもブランクを四角筒に折り曲げた際に天板1側には、第1の側面板2と同様に、中央線の切断線12を挟んで折り曲げられた押さえ板14を上から押さえる2個の押さえ片16が円弧状の切断線17を介して折り曲げ可能に形成されている。
【0030】
さらに第1の側板2及び第2の側板4と底板3とには、中央線の切断線12を挟んで底板3との折り線5を横切る平行な2本の直線状の切断線18により2個の下部押さえ片19が形成される。下部押さえ片19は、下から開口部20の内側に押し上げて切り起こして段部を形成することにより、収納品の下部を押さえて小分けした箱の開口部から収納品の飛び出しを防ぐストッパーとなる。
【0031】
本発明の包装箱の組立は紙パックの箱詰めラインで自動的に行われる。図2図5において、紙パックの搬送ラインから所定量の紙パックがブランクの上に載せられると、天板1、第1の側板2、底板3、第2の側板4を折曲線5に沿って折り曲げられ、貼着用板8が第2の側板4の上に貼着されて四角筒が形成され、次いで天板1及び底板3の蓋板7a,7cがそれぞれ側板2及び第2の側板4の蓋板7b,7dに貼着されて枠状の蓋に形成される。
【0032】
紙パックが箱詰めされた包装箱は、納入先に搬送されて納入される。納入量が包装箱の半分あるいはそれ以下の量が必要となった場合には、ジッパー9の摘み片10をつまんで引き上げてジッパー9を切り離し、さらに中央線の切断線12に沿って切断して包装箱を2分割して小分けする。
【0033】
小分けした箱の開口部20に向けて押さえ板14を折り曲げ、押さえ片16を下から押し上げて切断線に沿って切り起こして押さえ板14を押さえるとともに、下部押さえ片19を起こして段部を形成して収納品の飛び出しを防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1:天板 2:第1の側板
3:底板 4:第2の側板
5:折曲線 6:切断線
7a〜d:蓋板 8:貼着用板
9:ジッパー 10:摘み片
11:切断線 12:切断線
13:接続部 14:押さえ板
15:折曲線 16:押さえ片
17:切断線 18:切断線
19:下部押さえ片 20:開口部
31:外装体 32:中仕切体
33:仕切板 34:仕切壁
35:蓋板 36:耳片
37:接合片 38:切取線
39:切端部 40:底切手段
41:段ボール箱 42:小箱
43:連結天板 44:側壁
45:蓋板部 46:連結片
47:側壁 48:カットテープ
49:破断部 50:H状カット部
51:切れ目 52:ジッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7