特許第5737666号(P5737666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5737666遠心式送風機または斜流送風機に用いられるインペラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737666
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】遠心式送風機または斜流送風機に用いられるインペラ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20150528BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   F04D29/28 J
   F04D29/28 P
   F04D29/66 M
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-29011(P2010-29011)
(22)【出願日】2010年2月12日
(65)【公開番号】特開2010-185456(P2010-185456A)
(43)【公開日】2010年8月26日
【審査請求日】2013年2月8日
(31)【優先権主張番号】09152661.6
(32)【優先日】2009年2月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507336503
【氏名又は名称】エーベーエム‐パプスト・ムルフィンゲン・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】EBM‐PAPST MULFINGEN GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】カトリン・ボール
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・シェーネ
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第00438036(GB,A)
【文献】 特開2001−173595(JP,A)
【文献】 特開2008−223741(JP,A)
【文献】 特開2001−263294(JP,A)
【文献】 特開2006−9669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口(4)を有するシュラウド(2)と、ハブ(6)と、前記ハブ(6)と前記シュラウド(2)とのそれぞれの間に、前記吸気口(4)の円周全体にわたり回転軸(Z)周りに分散配置された複数のブレード(8)とを含み、
それぞれ周方向において隣接する前記ブレード(8)の間に、前記シュラウド(2)と前記ハブ(6)とによって軸方向に画定され、前記吸気口(4)の領域から径方向外側または斜め方向外側に通じて外周領域において吹出し口を作り出すブレード間流路(10)が形成され、
前記シュラウド(2)または前記ハブ(6)あるいはその両方が非回転対称的形状を有し、
前記シュラウド(2)と前記ハブ(6)は、前記回転軸(Z)の方向に非回転対称に形成され、
記非回転対称的形状が、軸方向ないし回転軸(Z)と平行な方向で見て、連続的な延びを有し、前記シュラウド(2)および/または前記ハブ(6)は、周方向に波形に形成されている遠心式送風機または斜流送風機に用いられるインペラ(1)において、
それぞれ2枚の隣接する前記ブレード(8)の間には外に向かって凸状に彎曲した区域が形成されていることを特徴とするインペラ。
【請求項2】
記非回転対称的形状が、前記回転軸(Z)を含んだ、各ブレード(8)の両側に位置する2枚の放射断面の間で、前記ブレード(8)越しに階段形状を生ずることなく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記非回転対称的形状が、径方向で見て、連続的な延または不連続的な、階段状の延びを有していることを特徴とする請求項1または2に記載のインペラ。
【請求項4】
前記シュラウド(2)が、前記吸気口(4)を包囲する、軸方向に突き出したインペラ流入口(12)の領域において、前記回転軸(Z)の方向に非回転対称的に形成されて、前記インペラ流入口(12)は凸部と凹部とが交互に連続する波形の延び輪郭を有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインペラ。
【請求項5】
前記シュラウド(2)が径方向に非回転対称的に形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインペラ。
【請求項6】
前記ハブ(6)が径方向に非回転対称的に形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインペラ。
【請求項7】
前記非回転対称的形状が、形状または配置あるいはその両方の点で、周方向に周期的にまたは不規則的に反復して形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気口を有するシュラウドと、ハブと、前記ハブと前記シュラウドとのそれぞれの間に、前記吸気口の円周全体にわたり回転軸周りに分散配置された複数のブレードとを含み、それぞれ周方向において隣接する前記ブレードの間に、前記シュラウドと前記ハブとによって軸方向に画定され、前記吸気口の領域から径方向外側または斜め方向外側に通じて外周領域において吹出し口を作り出すブレード間流路が形成され、前記シュラウドまたは前記ハブあるいはその両方が非回転対称的形状を有し、前記シュラウドと前記ハブは、前記回転軸方向に非回転対称に形成され、前記非回転対称的形状が、軸方向ないし回転軸と平行な方向で見て、連続的な延びを有し、前記シュラウドおよび/または前記ハブは、周方向に波形に形成されている遠心式送風機または斜流送風機に用いられるインペラに関する。
【0002】
ここで、“非回転対称的”なる概念は、上記回転軸を含んだ、周方向に一定の挟角を含んだ2つの面内における、上記ハブまたは上記シュラウドあるいはその両方の任意の2つの異なった放射断面が、円周角が異なっていれば、合同ではなく、互いに相異していることを意味している。この場合、その相異は、基本的に、回転軸の方向(軸方向)または半径の方向(径方向)あるいはその両方で作り出すことができる。これは、換言すれば、非回転対称の場合には、回転軸を中心として一定角度だけ回転させても、物体ないしその断面が自分自身に重ならないことを意味している。
【背景技術】
【0003】
冒頭に述べたタイプ(いわゆるターボマシン)のインペラは、日本特開第2001−263294号公報(特許文献1)に種々の実施形態で記載されている。この場合、シュラウドまたはハブまたはこれら双方の板のそれぞれは周方向に傾斜−階段状の輪郭を有している。回転方向に傾斜して形成されたこうした階段形状により、流れの剥離傾向は減少させられ、こうして、騒音および効率に好適な影響が及ぼされることになる。こうした階段形状により、各ブレードはそれらの負圧側と正圧側において(軸方向で測定して)異なった出口幅を有し、しかも適用条件に応じて、負圧側の出口幅は正圧側の出口幅よりも小さいかまたは大きくてよいことになる。
【0004】
欧州出願公開第1933039号明細書(特許文献2)は、シュラウドの外側面にリブ、溝ないし切り込みを有する遠心式送風機送風機を開示している。こうした構成は一定の流れガイドによって騒音低減をもたらそうとするものである。
【0005】
さらに別の文献、欧州特開第1032766号公報(特許文献3)は、特にターボチャージャ用のインペラを開示している。このインペラにおいて、ブレードは2枚の板(ハブとシュラウド)の少なくとも一方の造形によって形成される。この造形によって、同じく、非回転対称的形状も生ずる。ただし、この文献は流れに影響を及ぼす問題を課題にしているのではなく、主として製造技術的ならびに安定性向上の主題を内容としている。
【0006】
特開2001−173595号公報(特許文献8)の図5には、前記シュラウドのみが、周方向に波形に形成され、前記軸方向に連続的な延びを有する非回転対称に形成され遠心型羽根車が示されている。しかし、シュラウドのそれぞれ2枚の隣接するブレードの間には、上方に凸状、下方に凹状に彎曲した区域が形成され、その結果、吹出し口の断面が縮小されている。
【0007】
米国特許公開第2007/0116561号明細書(特許文献9)ないし対応する米国特許第7,455,504号明細書(特許文献10)のそれぞれは、超小型仕様の、特にコンピュータ向けの、かなり特殊な、異なる実施形態の流体マシンを開示している。この場合、層流を達成すべく、流れ断面の非常に小さな流路が形成されていなければならない。したがって、この従来の技術においてレイノルズ数はいずれにせよ2300未満でなければならないことは明らかであり、それゆえ、これは本発明の趣旨の「ターボマシン」ではない。具体的には、流れ断面全体は多数の小さな流路に分割される。これは、それぞれ2つの外側のシュラウドの間に定義され、たとえば、ハニカム構造によって達成される。これにより、一見、同じく非回転対称的形状が生ずるが、こうした形状は、層流を保証すべく小さな流路を形成すること以外の目的を果たしていない。これら公知の実施形態の特徴は、ここで本発明の範囲内で論じられるタイプの「ターボマシン」には当てはまらない。というのも、作用方式がまったく異なっているからである。したがって、たとえばこの公知の「層流マシン」の「ピーク効率」は約0.2(20%)でしかない。
【0008】
その他の数多くの文献には、回転対称的なインペラが開示されている。ここでは、もっぱら純然たる例として、以下の文献つまりドイツ特開第2940773号公報(特許文献4)、ドイツ出願公開第19918085号明細書(特許文献5)、欧州特開第1574716号公報(特許文献6)およびドイツ登録実用新案第20303443号明細書(特許文献7)を挙げておくこととする。回転対称的に構成されたハブまたはシュラウドあるいはその両方を有するこの種の送風機は、回転軸の方向にも周方向にも、一部非常に不均等な速度・圧力分布、つまり局所的に高まった速度/圧力領域を有している。これは流れの剥離と逆流さえも結果することがあり、このことがまた空力損失、効率低下そしてまた騒音放出の高まりをもたらすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本特開第2001−263294号公報
【特許文献2】欧州出願公開第1933039号明細書
【特許文献3】欧州特開第1032766号公報
【特許文献4】ドイツ特開第2940773号公報
【特許文献5】ドイツ出願公開第19918085号明細書
【特許文献6】欧州特開第1574716号公報
【特許文献7】ドイツ登録実用新案第20303443号明細書
【特許文献8】日本特開2001−173595号公報
【特許文献9】米国特許出願公開第2007/0116561号明細書
【特許文献10】米国特許第7,455,504号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、優れた機械的安定性が実現されると同時に、流れに対する影響が改善されて、体積流量、効率ならびに騒音挙動の点で最適化が達成されるように構成した冒頭に述べたタイプのインペラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
吸気口を有するシュラウドと、ハブと、前記ハブと前記シュラウドとのそれぞれの間に、前記吸気口の円周全体にわたり回転軸周りに分散配置された複数のブレードとを含み、それぞれ周方向において隣接する前記ブレードの間に、前記シュラウドと前記ハブとによって軸方向に画定され、前記吸気口の領域から径方向外側または斜め方向外側に通じて外周領域において吹出し口を作り出すブレード間流路が形成され、前記シュラウドまたは前記ハブあるいはその両方が非回転対称的形状を有し、前記シュラウドと前記ハブは、前記回転軸方向に非回転対称に形成され、前記非回転対称的形状が、軸方向ないし回転軸と平行な方向で見て、連続的な延びを有し、前記シュラウドおよび/または前記ハブは、周方向に波形に形成されている遠心式送風機または斜流送風機に用いられるインペラにおいて、上記目的を達成するため、本発明によるインペラは、それぞれ2枚の隣接する前記ブレードの間には外に向かって凸状に彎曲した区域が形成されている
【0012】
上記第1の構成では、それぞれ非回転対称的なシュラウドないしハブが、さらに軸方向ないし軸と平行な方向で見て、ハブまたはシュラウドあるいはその両方の外面につき円周全体にわたって(また、ブレード領域全体にわたっても)連続的な延びを形成している点にある。これは、軸を通って延びる2つの放射断面の間に、双方の放射断面の持続的接近により、ハブまたはシュラウドあるいはその両方の外面の軸方向における形状差がますます小さくなる限界角αG>0°が存在することを意味している。したがって、これは軸方向への連続的な延びを示しており、これにより、たとえば日本特開第2001−263294号公報(特許文献1)およびまた欧州出願公開第1933039号明細書(特許文献2)に記載の階段状の延びに比較して著しい改善が達成される。
【0013】
記第1の構成に付加される第2の構成では、上記非回転対称的なシュラウドないしハブは、回転軸を含んだ、各ブレードの両側に位置する2枚の放射断面の間で、各ブレード越しに階段形状を生ずることなく形成されている。これも本発明の目的を解決するのに適した構造である。
【0014】
本発明の別な好適実施形態において、各非回転対称的な板(シュラウドまたはハブ)の、回転軸を含んだ2つの異なった断面の径方向における形状差は(本発明による、軸方向におけるいずれにせよ連続的な延びとは異なって)任意であってよい。このことは、径方向において、連続的な延びもあるいは階段状の延びも選択できることを意味している。
【0015】
回転対称的に構成された公知のハブまたはシュラウドあるいはその両方により、ブレードの形状構成およびブレード間に形成される流路構成によって、回転軸方向における速度・圧力分布に影響を及ぼすことは可能であるが、他方、これによるだけでは、依然として、周方向における不均等性にほとんど影響を及ぼすことはできない。これとは異なり、本発明による非回転対称的形状構成によれば、さらに意図的に、周方向に発生する速度・圧力分布の不均等性に関して有利な影響を及ぼすことができる。これから、特に、以下の利点が得られる:
− 特に周方向における流れの均等化と、それによって、局所的に生ずる最大流れ速度の低下が生ずるようにして送風機からの空気流出に影響を及ぼすことができ、こうして、インペラの空力・音響特性に好適な効果がもたらされ、その結果、効率および騒音放出の改善が達成されること。
− 騒音低下および、体積流量ならびに効率の向上を目的として、ブレード間流路内壁との相互作用を減少させるためにインペラ内の流れに適確な影響を及ぼすことができること。
− (特に周方向における)流れへの影響行使ならびに流れガイドのための自由度の向上;これにより、ブレード間流路内の流れの安定化と共に流れの剥離傾向の減少が達成されること。
− 機械的安定性の向上ならびに、それによって、材料節減も可能になること。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1ンペラを示す参考図であり、(a)は斜視図であり、(b)は直径断面によって軸方向断面を示す図である。
図2本発明による実施形態のインペラを示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図3本発明による実施形態のインペラを示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図4本発明による実施形態のインペラを示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図5ンペラを示す参考図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図6ンペラを示す参考図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図7ンペラを示す参考図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図8ンペラを示す参考図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図9ンペラを示す参考図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図10】本発明を詳細に説明するために、たとえば図4(a)に示した実施形態を例とした本発明によるインペラを拡大して示すさらに別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に示した複数の実施形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0018】
すべての実施形態において、回転軸Zを中心にして回転駆動されるインペラ1は、好ましくは基本的に中央に位置する空気吸気口4を有するシュラウド2と、軸方向Zにおいて前記シュラウドに対向するハブ6と、複数のブレード8とを含んでいる。これらのブレード8はハブ6とシュラウド2との間に配置されている。ブレード8は一定の間隔で周方向に分散されて、回転軸Zならびに吸気口4周りに配置されている。周方向において隣接した2枚のブレード8の間には、それぞれ、吸気口4の領域から径方向外側または斜め方向外側に通じて、インペラ1の外周領域において吹出し口を形成するブレード間流路10が形成されて
いる。
【0019】
本発明によるインペラ1において、先ず重要な点は、シュラウド2またはハブ6またはこれら双方の板体としての形状が非回転対称的形状を有していることである。
【0020】
この点につき、ここで、図10を参照して、以下に説明する。同図には、付加的に、半径r方向に延びて回転軸Zで互いに交差する、一定の挟角αを有する2枚の放射面E1とE2とが記入されている。本発明の趣旨の非回転対称性とは、面E1と面E2内にあるそれぞれシュラウド2またはハブ6あるいはその両方の断面が−円周角が異なっていれば−互いに相異しているということである。
【0021】
ただし、この場合さらに、ハブ6またはシュラウド2あるいはその両方の外面における、それぞれ非回転対称的なハブ6またはシュラウド2あるいはその両方の軸方向の延びは円周領域全体にわたって(またブレード越しにも)点連続的であり、このことを換言すれば、挟角αの減少と共に、2つの放射断面E1とE2(図10、参照)の漸近的接近により、ハブ6またはシュラウド2あるいはその両方の外面の軸方向Zにおける形状差がますます小さくなる際の限界角αG>0°が存在するということである。補足説明的には、回転軸Zを含んだ、したがって回転軸Zで互いに交差する2つの面内にある2つの断面は、各々のブレード8の両側で回転方向においてブレード8越しに階段形状を示さないようになされている。本発明における連続的な変化形状なる語句において、微小部分では変化のない一定形状が存在する連続(点連続)も含まれるということである。
【0022】
軸方向Zにおける連続的な延びとは異なり、本発明によれば、回転軸Zを含んだ2つの異なった断面の半径(図10の半径r)方向における形状差は任意であってよい。このことは、この場合、連続的な延びも、階段状の延びもいずれも可能であることを意味している。
【0023】
以下、個々の実施形態を簡潔詳細に説明することとする。
【0024】
図1に示したインペラ1において、シュラウド2は吸入口4の領域にインペラ流入口12を備えており、ここで、シュラウド2はこのインペラ流入口12の領域において回転軸Zの方向に非回転対称的に形成されている。図示されたインペラ1において、インペラ流入口12はシュラウド2から軸方向にリブ状に突き出して、周方向において軸方向凸部とそれらの間の凹部とで形成される波形輪郭を有している。このインペラ1はこの場合、遠心式送風機送風機として形成されている。
【0025】
図2に示した実施形態において、インペラ1は遠心式送風機送風機であり、この場合、シュラウド2のみが回転軸Zの方向に非回転対称的に形成されている。そのため、この実施形態において、本発明に係るシュラウド2は周方向に波形に形成されており、この場合、それぞれ2枚のブレード8の間には外に向かって凸状に彎曲した区域が形成されている。これらの区域は各ブレード8の領域において互いに連続している。
【0026】
図3には、ハブ6のみが軸方向Zにおいて非回転対称的に形成された遠心式送風機送風機としての実施形態が表されている。これは具体的には、図2に示したシュラウド2の場合と同じ類の実施態様である。
【0027】
図4に示した実施形態は実質的に、図2図3に示した2つの実施形態を組み合わせたものである。このことは、この遠心式送風機送風機はシュラウド2の領域でも、ハブ6の領域でも、非回転対称的かつ波形に成されていることを意味している。
【0028】
図5には斜流送風機として形成されたインペラ1が示されており、ここで、シュラウド2は径方向rにおいて、しかもこの場合、連続的にではなく不連続的に、非回転対称的に形成されている。これは、シュラウド2の外側円周端縁14の、連続的ではなく、角を形成して径方向に延びるカーブによって達成される。
【0029】
図6は遠心式送風機送風機が示されており、この場合、シュラウド2は径方向rにおいて非回転対称的、しかも連続的に形成されている。
【0030】
このことは、シュラウド2は、この場合、角またはその他の不連続箇所のない連続的な周方向延びを有していることを意味している。
【0031】
同様なことは図7に示した非常に類似したインペラにも当てはまるが、ただし、この場合、点Pの箇所にそれぞれ角ないし屈曲が生じている。
【0032】
図8は遠心式送風機送風機のインペラを示しており、この場合、双方の板すなわちシュラウド2もハブ6も、周方向に波形を描く輪郭カーブによって、回転軸Zの方向に非回転対称的に形成されている。さらに、この場合、シュラウド2とハブ6はインペラ1の外側円周領域において互いに直接結合されており、こうして、共同してブレード8の少なくとも1部分領域を形成するようになされている。これを具体的に示すため、補足図としての図8(c)では、ブレード間流路10の1領域において、シュラウド2の部分領域が切り取られて表されている。基本的に、ブレード8は、適切に成形されたハブ6またはシュラウド2あるいはその両方がブレード8の延び全体にわたって互いに直接結合されることによって完全に形成されることができる。ただし、図示されたインペラにおいて、板体としのシュラウド2やハブ6は外側円周領域においてのみ互いに結合されており、ブレード間流路10の内側流入領域では、従来のブレード区域が別個の部材として成形されている。
【0033】
以上に述べたすべてのインペラにおいて、非回転対称的な設計態様により、周方向に周期的に反復して形成される幾何的構造が生ずる。ただし、幾何的構造が形状および/配置の点で不規則的となるように選択することも本発明の範囲内である。
【0034】
そのため、図にはインペラの参考図が示されている。このインペラもまた、非回転対称的なシュラウド2を備えた遠心式送風機送風機である。このシュラウドは1つの円周箇所16で半径rが急激に変化しており、シュラウド2の外側円周端縁14は上記円周箇所16から出発して円周全体にわたって連続的に半径を変化させて延び、360°回転した後、再び、半径が急激に変化する上記円周箇所16に達している。これにより、この実施形態において、円周端縁14は渦巻き状に延びている。
【0035】
また、周方向に不規則的な形状のシュラウド2またはハブ6あるいはその両方が生ずるような別なインペラも可能であることはいうまでもない。
【0036】
ブレード8は任意の延びを有していてよいとのことはすべてのインペラに当てはまる。たとえば、回転ブレードは回転方向に関して前方または後方に彎曲していてよい。
【0037】
その他に、上述したすべての個別的特徴を任意に組み合わせることも可能である。
【0038】
本発明は図示説明した実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨で同様に機能するすべての実施形態を含むものである。さらに、本発明はこれまでもそれぞれの独立した請求項によって定義された特徴組み合わせに制限されるものではなく、総じて開示され
たすべての個別的特徴のうちの特定の特徴のその他のあらゆる任意の組み合わせによって定義されることも可能である。このことは、実際のところ基本的に、それぞれの独立した請求項の任意の個別的特徴は省かれても、あるいは本出願のその他の箇所で開示された少なくとも1つの個別的特徴によって置き換えられてもよいことを意味している。その限りで、本出願の請求項は単に発明を画定するための第1の試みとして理解されなければならない。
【0039】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
1:インペラ
2:シュラウド
4:吸気口
6:ハブ
8:ブレード
Z:回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10