(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電波強度計測装置1000の一部である電波吸収部100の外観を示す図である。電波強度計測装置1000は、電波の強度を計測するための装置である。
【0019】
図1に示されるように、電波強度計測装置1000は、電波吸収部100を備える。電波吸収部100の形状は、シート(薄板)状である。電波吸収部100の表面は、電波源RW10から照射される電波を吸収する。電波吸収部100は、誘電体基板(プリント基板)である。なお、電波吸収部100は、誘電体基板に限定されることなく、他の種類の基板であってもよい。なお、電波吸収部100は、測定者が容易に持ち運び可能なサイズであるとする。
【0020】
電波吸収部100の表面には、複数のセル(セルCL11,CL12,・・・,CL21,CL22,・・・)が行列状に配置される。以下においては、電波吸収部100の表面に配置される各セルを、セルCLとも表記する。したがって、セルCL11,CL12,・・・,CL21,CL22の各々は、セルCLとも表記する。複数のセルCLの各々は、銅板により形成される方形電極である。なお、セルCLの形状は、方形に限定されることなく、たとえば、三角形、六角形等の他の形状であってもよい。
【0021】
電波吸収部100の表面に配置される複数のセルCLの各々は、電波源RW10から照射される電波の波長よりも十分に短い間隔で行列状に配置される。また、電波吸収部100の表面に配置される複数のセルCLの各々の縦、横の長さ(サイズ)は、電波源RW10から照射される電波の波長よりも十分に短いとする。
【0022】
電波源RW10から照射される電波の周波数は、一例として、800MHz〜2.4GHzの間の周波数であるとする。なお、周波数が800MHzの電波の波長は、37.5cmである。また、周波数が2.4GHzの電波の波長は、12.5cmである。この場合、たとえば、セルCL11と、セルCL12との間隔は、一例として、1ミリメートルであるとする。また、たとえば、セルCL11の縦および横の長さは、一例として、20ミリメートルであるとする。以下においては、電波吸収部100の表面に入射される電波を、表面入射電波という。
【0023】
電波吸収部100の裏面は、グランドとして機能する銅板で覆われる。なお、電波吸収部100の裏面は、銅板に限定されることなく、他の金属の板であってもよい。以下においては、電波吸収部100の裏面を、グランド面という。電波吸収部100の表面に配置される複数のセルCLの各々の表面は、ショートピン(以下、ビアという)により、グランド面と電気的に接続される。たとえば、セルCL11の表面は、ビアV11により、グランド面と電気的に接続される。
【0024】
電波吸収部100の裏面には、詳細は後述するが、電波吸収部100の表面に照射される電波の強度を測定するための複数の測定回路が配置される。
【0025】
図2Aおよび
図2Bは、電波吸収部100の断面を説明するための図である。
図2Aは、電波吸収部100の断面図である。なお、電波吸収部100の表面の各セルCL間には、後述する、図示しない抵抗が設けられるが、ここでは、説明を簡単にするため、抵抗を図示していない。
【0026】
図2Aに示されるように、電波吸収部100の断面図の構成により、表面入射電波に対して、電波吸収部100は、
図2Bに示されるように、等価的にLC並列回路として機能する。すなわち、電波吸収部100は、表面入射電波に対して、LC並列回路としてのインピーダンスを持つシートとして機能する。すなわち、電波吸収部100は、周波数により入射電波の反射位相を変えたり、特定の周波数帯の表面波伝搬を遮断(バンドギャップ)したりする性質を持つ。
【0027】
図3は、電波吸収部100の表面に配置される複数のセルCLの一部を詳細に示す図である。
図3に示されるように、電波吸収部100の表面に配置される複数のセルCLの各々は、抵抗により電気的に接続される。たとえば、セルCL11は、抵抗R11により、セルCL12と電気的に接続される。また、セルCL11は、抵抗R11Dにより、セルCL21と電気的に接続される。
【0028】
すなわち、複数のセルCLの各々の近傍には、1以上の抵抗が配置される。
図3に示されるように、電波吸収部100には、複数の抵抗が配置される。電波吸収部100に配置される複数の抵抗は、行列状に配置される。
【0029】
電波吸収部100の表面に配置される各セルCL間を接続する抵抗は、当該抵抗に接続されているセルCLにおいて吸収される電波の電力(エネルギー)を消費する。なお、各セルCL間を接続する抵抗の値は、一例として、377オームであるとする。
【0030】
図4Aおよび
図4Bは、電波吸収部100の断面を説明するための図である。
図4Aは、電波吸収部100の断面図である。
【0031】
図4Aに示されるように、電波吸収部100の断面図の構成により、電波吸収部100の表面への入射電波に対して、電波吸収部100は、
図4Bに示されるように、抵抗と、LC並列回路とが並列に接続される回路として機能する。当該抵抗は、等価的に自由空間の波動インピーダンスと整合したシート抵抗となる。
【0032】
ここで、電波吸収部100の表面に対し、LC並列回路の共振周波数と同じ周波数の電波が入射すると、LC並列回路のインピーダンスが無限大となる。この場合、LC並列回路は、存在しないことと同様になり、シート抵抗のみが、入射電波と整合して電波を吸収する。なお、電波吸収部100は、いわゆる、λ/4型電波吸収体(波長の1/4の厚さが必要)と同じ原理であるが、
図4Aにより示される構造および
図4Bに示す等価回路により、電波吸収部100は、入射電波の波長よりも極めて薄くできる。
【0033】
図5は、実施の形態1における電波強度計測装置1000の構成を示す図である。
【0034】
図5に示されるように、電波強度計測装置1000は、測定部200をさらに備える。測定部200は、複数の電波強度を測定する。測定部200は、複数の測定回路(測定回路211.1,211.2,211.3,・・・)を含む。以下においては、測定回路211.1,211.2,211.3の各々を、単に、測定回路211とも表記する。すなわち、測定部200に含まれる各測定回路を、測定回路211とも表記する。
【0035】
各測定回路211は、
図5で示すように、電波吸収部100の表面に配置される複数のセルCLの各々に接続される抵抗の両端に電気的に接続される。たとえば、測定回路211.1は、セルCL11と、セルCL12とを接続する抵抗R11の両端に電気的に接続される。各測定回路211は、対応する抵抗により消費される電力を測定する。
【0036】
前述したように、電波吸収部100の表面に配置される各セルCL間を接続する抵抗は、接続されているセルCLにおいて吸収される電波の電力(エネルギー)を消費する。そのため、測定回路211により、対応する抵抗により消費される電力を計測すれば、対応するセルCLでの電波吸収量を計測することができる。すなわち、各測定回路211により、対応する抵抗に対応するセルCLに入射される電波の強度を測定することができる。
【0037】
つまり、電波吸収部100の表面に配置される各セルCLは、電波の強度を測定するための測定領域である。また、各セルCL間を接続する抵抗は、電波の強度を測定するために使用される測定部材である。なお、電波の強度を測定するために使用される測定部材は、抵抗に限定されず、例えば、抵抗と同様な性質を有する他の素子であってもよい。
【0038】
測定回路211は、電波吸収部100の表面に行列状に配置された複数のセルCL(セルCL11,CL12,・・・,CL21,CL22,・・・)の各々に接続される抵抗の両端に電気的に接続される。そのため、測定部200に含まれる複数の測定回路211の各々が測定する電波の強度を集計することにより、表面入射電波の強度の二次元分布を測定することができる。
【0039】
また、測定部200に含まれる複数の測定回路211の各々が測定する電波の強度を集計すれば、従来のように電磁界プローブ等のセンサを移動させるような手間をかけることなく、電波吸収部100の表面に入射して吸収された電波の電力(すなわち電波強度)の空間分布を測定することができる。また、上記電波の強度の集計を繰り返し行なうことで、時間経過に伴う、電波強度の空間分布の変化を測定することができる。
【0040】
以上説明したように、実施の形態1によれば、極めて短時間で(高速に)、ほぼリアルタイム(msec程度)で、表面入射電波の強度の二次元分布を計測できる。すなわち、複数の電波の測定領域における、電波強度を、極めて短時間で測定することができる。
【0041】
また、電波吸収部100の表面に配置されるセルCLのサイズは、電波源RW10から、電波吸収部100の表面に照射される電波の波長よりも十分小さいので、波長オーダ以下の細かい空間分解能が得られる。そのため、複数の電波間の干渉によるフェージングパターンなども高分解能で計測することができる。
【0042】
また、実施の形態1の電波吸収部100の構成によれば、アンテナアレイでアンテナどうしを近接させて計測する空間分解能を上げるときのような、アンテナ間結合の問題が生じない。
【0043】
また、実施の形態1によれば、電波吸収部100は、電波を吸収する部材であるので、被測定物から放射された電波の空間分布を(反射等により)乱すことなく計測できる。
【0044】
また、電波吸収部100は、測定者が容易に持ち運び可能なサイズであるので、電波吸収部100を電波の測定位置に容易に設置することができ、その場所の電波の空間分布を手軽に、かつ、リアルタイム(msec程度の時間分解能)で計測できる。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2では、表面入射電波の偏波方向を識別することが可能な電波強度計測装置について説明する。
【0046】
図6は、実施の形態2における電波強度計測装置1002の構成を示すブロック図である。
図6に示されるように、電波強度計測装置1002は、
図5の電波強度計測装置1000と比較して、データ収集部300と、制御部400とをさらに備える点が異なる。それ以外は、電波強度計測装置1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0047】
データ収集部300は、測定部200に含まれる複数の測定回路211から、測定された複数の電波強度を受信する。なお、データ収集部300は、電波強度の送信元となる測定回路211に接続されている抵抗の位置情報もあらかじめ把握しているとする。
【0048】
データ収集部300は、詳細は後述するが、受信した複数の電波強度を、制御部400へ送信する。制御部400は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路である。なお、制御部400は、外部のコンピュータ内に設けられたCPUであってもよい。
【0049】
図7は、電波吸収部100の表面において生じる、電波の電界の吸収について説明するための図である。
【0050】
図7に示されるように、電波吸収部100の表面において、横(X(行))方向に並ぶ抵抗(抵抗R11等)は、表面入射電波の電界の横方向の直線偏波を吸収する。また、電波吸収部100の表面において、縦(Y(列))方向に並ぶ抵抗(抵抗R11D等)は、表面入射電波の電界の縦方向の直線偏波を吸収する。
【0051】
また、表面入射電波の電界の方向が、斜め方向である場合、電波は、横および縦に並ぶ抵抗により同時に電力が吸収される。
【0052】
実施の形態2では、上記性質を利用して、横方向に並ぶ抵抗で消費(吸収)される電力と、縦方向に並ぶ抵抗で消費(吸収)される電力とに基づいて、表面入射電波の偏波方向(縦、横、斜め(斜め右上、斜め左上等))を識別する。
【0053】
具体的には、測定部200に含まれる複数の測定回路211の各々が、当該測定回路211に対応して接続される抵抗の消費電力(電波強度)を、データ収集部300へ送信する。前述したように、データ収集部300は、電波強度の送信元となる測定回路211に接続されている抵抗の位置情報もあらかじめ把握しているとする。抵抗の位置情報は、セルCLの特定情報、および、当該セルCLにおける抵抗の接続位置を示す情報であるとする。
【0054】
たとえば、データ収集部300は、測定回路211.1から受信した電波強度は、セルCL11の右横に接続されている抵抗R11(
図7参照)の消費電力であることを把握している。
【0055】
この場合、抵抗の位置情報は、セルCLの特定情報(CL11)、および、当該セルCLにおける抵抗の接続位置(右)を示す情報であるとする。データ収集部300は、受信した電波強度と、当該電波強度が測定された抵抗の位置情報とを対応づけて、制御部400へ送信する。
【0056】
制御部400は、同一のセルCLに接続される互いに直交して接続される2つの抵抗にそれぞれ対応する2つの電波強度(消費電力)により、表面入射電波の偏波方向を識別する。
【0057】
すなわち、制御部400は、同一のセルCLに対し横(行)方向に接続される抵抗に対応する電波強度(消費電力)と、当該同一のセルCLに対し縦(列)方向に接続される抵抗に対応する電波強度(消費電力)とに基づいて、表面入射電波の偏波方向を識別する。つまり、制御部400は、電波吸収部100に配置される複数の抵抗のうち、横(行)方向に並ぶ一部の抵抗に対応する電波強度(消費電力)と、当該複数の抵抗のうち、縦(列)方向に並ぶ一部の抵抗に対応する電波強度(消費電力)とに基づいて、表面入射電波の偏波方向を識別する。
【0058】
ここで、セルCLに対して横(行)方向に接続されている抵抗に吸収される電力(消費電力)をP
Hとする。また、セルCLに対して縦(列)方向に接続されている抵抗に吸収される電力(消費電力)をP
Vとする。
【0059】
たとえば、
図7のセルCL11に接続される抵抗R11の消費電力を電力P
Hとする。また、
図7のCL11に接続される抵抗R11Dの消費電力を電力P
Vとする。この場合、制御部400は、電力P
Hと、電力P
Vとに基づいて、表面入射電波の偏波方向を識別する。
【0060】
電力P
Vが“0”以外であり、かつ、電力P
Hが“0”である場合、制御部400は、表面入射電波が直線偏波であり、表面入射電波の偏波方向が縦(Y)方向であると識別する。また、電力P
Vが“0”であり、かつ、電力P
Hが“0”以外である場合、制御部400は、表面入射電波が直線偏波であり、表面入射電波の偏波方向が横(X)方向であると識別する。
【0061】
また、電力P
Vが“0”以外であり、かつ、電力P
Hが“0”以外である場合、制御部400は、表面入射電波が、直線偏波、円偏波および楕円偏波のいずれかであると判定する。なお、表面入射電波が、円偏波または楕円偏波である場合、縦横の抵抗に同時に電力が吸収されるため、そのままでは斜め方向の直線偏波と区別できない。この場合、電波吸収部100を、たとえば、時計周りに45度回転させた状態において、電力P
Vが“0”であり、かつ、電力P
Hが“0”以外である場合、制御部400は、表面入射電波が直線偏波であり、表面入射電波の偏波方向が、縦軸を反時計周りに45度回転させた状態での当該縦軸の方向であると識別する。
【0062】
また、電波吸収部100を時計周りに45度回転させた状態において、電力P
Vが“0”以外であり、かつ、電力P
Hが“0”である場合、制御部400は、表面入射電波が直線偏波であり、表面入射電波の偏波方向が、縦軸を時計周りに45度回転させた状態での当該縦軸の方向であると識別する。
【0063】
また、電波吸収部100を所定角度(例えば、時計周りに45度)回転させた状態の電力P
Vおよび電力P
Hの値が、電波吸収部100を回転させる前と比較して、変化しない場合、制御部400は、表面入射電波が円偏波であると判定する。ただし、円偏波の回転方向までは識別できない。
【0064】
また、電波吸収部100を、所定角度(例えば、時計周りに45度)回転させた状態の電力P
Vおよび電力P
Hの値が、電波吸収部100を回転させる前と比較して、変化し、かつ、“0”でない場合、制御部400は、表面入射電波が楕円偏波であると判定する。ただし、楕円偏波の回転方向までは識別できない。
【0065】
なお、電力P
Vが“0”以外であり、かつ、電力P
Hが“0”以外である場合、電波吸収部100を回転させる角度を45度以外の角度とすることで、縦軸を時計周りに45度回転させた状態での当該縦軸の方向以外の偏波方向も識別可能である。
【0066】
電波吸収部100を、たとえば、時計周りに30度回転させた状態において、電力P
Vが“0”以外であり、かつ、電力P
Hが“0”である場合、制御部400は、表面入射電波が直線偏波であり、表面入射電波の偏波方向が、縦軸を時計周りに30度回転させた状態での当該縦軸の方向であると識別する。
【0067】
また、電波吸収部100を、たとえば、時計周りに60度回転させた状態において、電力P
Vが“0”以外であり、かつ、電力P
Hが“0”である場合、制御部400は、表面入射電波が直線偏波であり、表面入射電波の偏波方向が、縦軸を時計周りに60度回転させた状態での当該縦軸の方向であると識別する。
【0068】
すなわち、制御部400は、電波の偏波方向を識別する偏波方向識別部である。
【0069】
以上説明したように、実施の形態2によれば、同一のセルCLに接続される互いに直交して接続される2つの抵抗にそれぞれ対応する2つの電波強度(消費電力)に基づいて、表面入射電波の電界の縦方向・横方向の偏波を同時に計測することができる。
【0070】
すなわち、制御部400は、同一のセルCLに対し横(行)方向に接続される抵抗に対応する電波強度(消費電力)と、当該同一のセルCLに対し縦(列)方向に接続される抵抗に対応する電波強度(消費電力)とに基づいて、表面入射電波の電界の縦方向・横方向の偏波を同時に計測することができる。つまり、制御部400は、電波吸収部100に配置される複数の抵抗のうち、横(行)方向に並ぶ一部の抵抗に対応する電波強度(消費電力)と、当該複数の抵抗のうち、縦(列)方向に並ぶ一部の抵抗に対応する電波強度(消費電力)とに基づいて、表面入射電波の電界の縦方向・横方向の偏波を同時に計測することができる。
【0071】
したがって、表面入射電波の縦・横・斜めの直線偏波方向を識別することができる。
【0072】
なお、表面入射電波の偏波方向は、同一のセルCLに接続される互いに直交して接続される2つの抵抗に限定されず、行方向に並ぶ2つ以上の抵抗の合計の消費電力と、列方向に並ぶ2つ以上の抵抗の合計の消費電力とに基づいて識別されてもよい。
【0073】
なお、表面入射電波の偏波方向の識別は上記方法に限定されない。電力を計測する際、表面入射電波の振幅(電波強度)に加え、表面入射電波の位相も計測するようにしてもよい。この場合、電波吸収部100を回転させることなく、制御部400は、表面入射電波が、直線偏波、円偏波および楕円偏波のいずれであるか特定できる。
【0074】
また、制御部400は、表面入射電波が直線偏波である場合、表面入射電波の偏波方向(例えば、縦軸を時計周りに45度回転させた状態での当該縦軸の方向)も識別できる。また、制御部400は、表面入射電波が円偏波である場合、当該円偏波の回転方向(例えば、右回り)も識別できる。また、制御部400は、表面入射電波が楕円偏波である場合、当該楕円偏波の回転方向も識別できる。
【0075】
(実施の形態3)
実施の形態1,2では、
図4Bに示す等価回路において、LC並列回路が共振し、LC並列回路のインピーダンスが無限大となる場合は、表面入射電波の周波数が、当該LC並列回路の共振周波数となる場合のみである。そのため、実施の形態1,2では、電波吸収部100が表面入射電波を大きく吸収できる周波数帯域は極めて狭いものであった。
【0076】
実施の形態3では、電波吸収部が吸収できる電波、すなわち、測定する電波の周波数帯域を広げるための構成を説明する。
【0077】
電波吸収部が吸収できる電波の周波数帯域を広げるためには、LC並列回路において、LまたはCの値を可変とすることが考えられる。Lは、電波吸収部の厚さで決まってしまうので、Cを可変とする。
【0078】
実施の形態3では、
図1、
図3および
図5等に示される電波吸収部100の代わりに以下の電波吸収部100Aが使用される。
【0079】
図8A、
図8Bおよび
図8Cは、実施の形態3における電波吸収部100Aを説明するための図である。
図8Aは、電波吸収部100Aの表面を示す図である。以下においては、電波吸収部100Aの表面に入射される電波も、表面入射電波という。
【0080】
図8Aに示されるように、電波吸収部100Aは、
図3の電波吸収部100と比較して、各セルCL間が、図示されない抵抗に加えて、高周波可変容量ダイオードにより電気的に接続される点が異なる。それ以外は、電波吸収部100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0081】
図8Bは、電波吸収部100Aの断面の構成を簡易に示す図である。なお、
図8Bでは、図を簡略化するために、抵抗は図示していない。
図8Bに示されるように、電波吸収部100Aの表面に配置される複数のセルCLには、1つおきに、セルCLに対し適切なバイアス電圧が印加される。以下においては、バイアス電圧が印加されるセルCLを、バイアス印加セルという。また、以下においては、グランドに接続されるセルCLをグランド接続セルという。
【0082】
たとえば、
図8Aおよび
図8Bに示されるように、セルCL11,CL22には、電圧が印加される。すなわち、セルCL11,CL22は、バイアス印加セルである。また、セルCL12,CL21は、グランドに接続される。すなわち、セルCL12,CL21は、グランド接続セルである。この構成により、セルCL間の高周波可変容量ダイオード(たとえば、可変容量ダイオードCD21)の容量を変化させることができる。
【0083】
電波吸収部100Aに示す構成を、等価回路で示すと、
図8Cのような、LC並列回路になる。すなわち、電波吸収部100Aは、共振周波数を変化させることが可能な複数のLC並列回路を有する。
【0084】
図9は、電波吸収部100Aの構成を詳細に示す図である。
図9に示されるように、各セルCL間は、直列に接続された抵抗およびDC(direct current)(直流)カット用コンデンサにより、電気的に接続される。たとえば、セルCL11と、セルCL12とは、直列に接続された抵抗R11およびDCカット用コンデンサC11により、電気的に接続される。
【0085】
図10は、実施の形態3の電波強度計測装置1003における電波吸収部100Aの断面の構成を詳細に示す図である。なお、
図10では、図を簡略化するために、
図9に示したDCカット用コンデンサは、図示していない。また、電波強度計測装置1003は、
図5の電波強度計測装置1000と同様に、測定部200を備えるが、図を簡略化するために、
図10では、測定部200は図示していない。
【0086】
図10に示されるように、電波吸収部100Aは、
図5の電波吸収部100と同様に電波を吸収する基板103の裏面に、基板103Aが貼り付けられた構造を有する。電波吸収部100Aには、グランド線GLと、バイアス線BLとが設けられる。
【0087】
バイアス線BLには、直流電源P100が接続される。直流電源P100は、バイアス線BLに供給する電圧を変化することができる。グランド線GLは、グランド接続セル(たとえば、セルCL21)と、ビア(たとえば、ビアV21)により電気的に接続される。バイアス線BLは、ノイズカット用のインダクタ(たとえば、L22)を介して、ビア(たとえば、ビアV22)によりバイアス印加セル(たとえば、セルCL22)と電気的に接続される。
【0088】
また、バイアス印加セル(たとえば、セルCL22)は、ビア(たとえば、ビアV22)およびコンデンサ(たとえば、コンデンサC22)を介して、グランド線GLと電気的に接続される。
【0089】
直流電源P100が、バイアス線BLに供給する電圧を変化させることにより、セルCL間の高周波可変容量ダイオード(たとえば、可変容量ダイオードCD21)の容量を変化させることができる。
【0090】
以上説明したように、実施の形態3によれば、セルCL間の高周波可変容量ダイオードの容量を変化させることが可能な構成を有する。そのため、電波吸収部100Aの有する複数のLC並列回路の共振周波数を変化させることができる。すなわち、直流電源P100は、共振回路の共振周波数を変更する共振周波数変更部である。
【0091】
電波吸収部100Aは、LC並列回路が共振したとき、すなわち、LC並列回路の共振周波数と、表面入射電波の周波数とが一致したときに、表面入射電波を最大限に(効率よく)吸収する。
【0092】
したがって、実施の形態3によれば、LC並列回路の共振周波数を可変とすることにより、電波吸収部100Aが吸収できる表面入射電波、すなわち、測定する表面入射電波の周波数帯域を広げることができる。すなわち、バイアス電圧をコントロールすることで、広帯域の電波を計測できる。その結果、電波強度計測装置1003を、数百MHz〜数GHzの広帯域周波数に適用することができる。
【0093】
なお、バイアス電圧を掃引して、計測された値が最も強くなる周波数を調べれば、表面入射電波の周波数をある程度識別することが可能である。この場合、電波強度計測装置1003は、スペクトラムアナライザのように対象電波の周波数を識別できる。
【0094】
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態1〜3とは異なる構成を有する電波強度計測装置について説明する。
【0095】
図11は、実施の形態4における電波強度計測装置1004の構成を示すブロック図である。
図11に示されるように、電波強度計測装置1004は、
図5の電波強度計測装置1000と比較して、電波吸収部100の代わりに電波吸収部100Bを備える点と、測定部200の代わりに測定部200Aを備える点とが異なる。それ以外は、電波強度計測装置1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0096】
電波吸収部100Bは、
図10の電波吸収部100Aと比較して、複数の抵抗のうち、一部の抵抗を、測定回路210A(測定回路210A.1,210A.2,・・・)と置き換えている点が異なる。それ以外は、電波吸収部100Aと同様なので詳細な説明は繰り返さない。以下においては、測定回路210A.1,210A.2,・・・の各々を、単に、測定回路210Aとも表記する。
【0097】
以下においては、電波吸収部100Bの表面に入射される電波も、表面入射電波という。また、電波吸収部100Bは、
図8Aの電波吸収部100Aと同様に、電波吸収部100Bの表面に配置される複数のセルCLには、縦および横方向に、1つおきに、バイアス電圧が印加される。
【0098】
たとえば、セルCL21は、グランド線GLと電気的に接続される。すなわち、セルCL21は、グランド接続セルである。また、セルCL22は、バイアス線BLと電気的に接続される。すなわち、セルCL22は、バイアス印加セルである。
【0099】
図12は、電波吸収部100Bの表面の構成を示す図である。
図12に示されるように、たとえば、セルCL20,CL11,CL22は、バイアス印加セルである。また、セルCL10,CL21,CL12は、グランド接続セルである。
【0100】
図12に示される16個の円内には、可変容量ダイオード(たとえば、可変容量ダイオードCD21)のみが設けられる。
【0101】
また、
図11に示されるように、電波吸収部100Bは、
図10の電波吸収部100Aと同様に電波を吸収する基板104の裏面に、基板104Bが貼り付けられた構造を有する。
【0102】
図13は、電波吸収部100Bを構成する、基板104および基板104Bの外観を示す図である。
図13に示されるように、基板104の表面は、電波を吸収する面である。基板104の裏面には銅によりグランド層が形成される。基板104Bの片面には、バイアス層が形成されるとともに、複数の測定回路210Aを含む測定部200Aが設けられる。
【0103】
また、
図11に示されるように、測定部200Aは、複数の測定回路210A(測定回路210A.1,210A.2,・・・)を含む。各測定回路210Aは、
図11で示すように、セルCL間に接続される可変容量ダイオードの両端に電気的に接続される。測定回路210Aは、
図12に示される円内に設けられる可変容量ダイオードに対してのみ接続される。たとえば、測定回路210A.1は、セルCL21と、セルCL22とを接続する可変容量ダイオードCD21の両端に電気的に接続される。すなわち、測定回路210A.1は、セルCL21と、セルCL22との両端に電気的に接続される。
【0104】
各測定回路210Aは、置き換えられた抵抗のインピーダンスと同じ入力インピーダンス(たとえば、377オーム)を有する整合回路211Aと、対数増幅器211Bとを有する。たとえば、セルCL21と、セルCL22との間には、
図10の抵抗R21の代わりに測定回路210A.1が接続される。各測定回路210Aは、
図13に示すように、基板104Bの一方の面に設けられる。
【0105】
また、
図11に示されるように、各測定回路210Aは、抵抗R21のインピーダンスと同じ入力インピーダンス(たとえば、377オーム)を有する整合回路211Aと、対数増幅器211Bとを有する。測定回路210A.1に含まれる整合回路211Aは、セルCL21と、セルCL22との間に接続される。整合回路211Aは、対数増幅器211Bと電気的に接続される。整合回路211Aは、接続されているセルCLにおいて吸収される電波の電力(エネルギー)を消費する。
【0106】
対数増幅器211Bは、整合回路211Aで消費される電力を対数的に測定し、測定した電力に応じたアナログ電圧を出力する。すなわち、対数増幅器211Bにより、整合回路211Aで消費される電力を計測すれば、対応するセルCLでの電波吸収量を計測することができる。すなわち、測定回路210Aにより、整合回路211Aに対応するセルCLに入射される表面入射電波の強度を測定することができる。なお、測定部200Aに含まれる他の測定回路210Aも、測定回路210A.1と同様な構成なので詳細な説明は繰り返さない。
【0107】
以上の構成において、測定部200Aは、測定部200Aに含まれる複数の測定回路210Aの各々により、対応する可変容量ダイオードに接続されるセルCLに入射される表面入射電波の強度を同時に測定することができる。そのため、電波吸収部100Bの表面において、複数箇所の表面入射電波の強度を同時に測定することができる。
【0108】
なお、表面入射電波の振幅と位相を計測する場合は、電波強度計測装置1004に、振幅・位相計測回路を設ける。なお、この場合、電波強度計測装置1004に振幅・位相計測回路を設けたうえで、さらに、周波数変換回路を設けてもよい。
【0109】
(実施の形態5)
実施の形態5では、電波吸収部に電圧を印加し、表面入射電波の強度のデータを収集することが可能な電波強度計測システムについて説明する。
【0110】
図14は、実施の形態5における電波強度計測システム10000の構成を示すブロック図である。
【0111】
図14に示されるように、電波強度計測システム10000は、電波強度計測装置1005と、表示装置500とを含む。
【0112】
電波強度計測装置1005は、
図11の電波強度計測装置1004と比較して、さらに、データ収集部300を備える。それ以外の構成は、電波強度計測装置1004と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0113】
データ収集部300は、測定部200Aに含まれる複数の測定回路210Aによりそれぞれ測定された複数の電波強度をスキャンして収集し、収集した電波強度のデータを出力する。データ収集部300は、マルチプレクサ310と、バイアス印加部320と、A/D変換部330と、制御部340とを含む。
【0114】
マルチプレクサ310は、入力される複数の信号のうち指示された信号を出力する。マルチプレクサ310は、測定部200Aに含まれる複数の測定回路210Aに接続される。マルチプレクサ310は、接続される複数の測定回路210Aのうち、外部からの選択指示により特定される測定回路210Aにより測定されたアナログ電圧を有する信号を、A/D変換部330へ送信する。
【0115】
A/D変換部330は、マルチプレクサ310から受信した信号の電圧レベルを、ディジタルデータに変換し、変換したディジタルデータ(以下、電波強度データという)を、制御部340へ送信する。制御部340は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路である。制御部340は、データ収集部300内の各部を制御する。
【0116】
データ収集部300と、表示装置500との間の通信は、通信ケーブルを利用して行なわれる。なお、データ収集部300と、表示装置500との間の通信は、無線(たとえば、無線LAN(Local Area Network))により、行なわれてもよい。
【0117】
バイアス印加部320は、D/A変換器等である。バイアス印加部320は、制御部340からの指示に応じて、電波吸収部100Bのバイアス線BLにバイアスを印加する。
【0118】
表示装置500は、一例として、PC(Personal Computer)である。表示装置500は、表示部510と、制御部520とを含む。表示部510は、画像を表示するための表示装置である。制御部520は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路である。制御部520は、表示装置500内の各部を制御する。また、制御部520は、データ収集部300の各部を制御するための処理を行う。
【0119】
次に、制御部520の制御により、表面入射電波の強度のデータを収集するための処理について説明する。
【0120】
まず、制御部520は、バイアス制御指示を、制御部340へ送信する。バイアス制御指示は、データ収集部300内のバイアス印加部320に、電波吸収部100Bのバイアス線BLに、指定したバイアス(たとえば、3V)を印加させるための指示である。すなわち、バイアス制御指示は、電波吸収部100Bの表面に配置される各セルCLにおける共振周波数を特定の周波数に設定するための指示である。制御部340は、バイアス制御指示を受信すると、受信したバイアス制御指示を、バイアス印加部320へ送信する。
【0121】
バイアス印加部320は、バイアス制御指示の受信に応じて、電波吸収部100Bのバイアス線BLに、バイアス制御指示により指定されたバイアス(たとえば、3V)を印加する。これにより、電波吸収部100Bの表面の複数のセルCLの一部のセルCL(たとえば、セルCL11,CL22)に、指定されたバイアス(たとえば、3V)が印加される。なお、電波吸収部100Bの表面のセルCL全てに指定されたバイアスが印加されてもよい。
【0122】
これにより、電波吸収部100Bの表面に配置される各セルCLにおける共振周波数が特定の周波数に設定される。すなわち、電波吸収部100Bの表面において吸収される、表面入射電波の周波数が制御される。すなわち、制御部520は、バイアス制御指示により、電波吸収部100Bの表面において吸収される、表面入射電波の周波数を制御する。
【0123】
また、制御部520は、データ収集制御指示を、制御部340へ送信する。データ収集制御指示は、データ収集部300から、表面入射電波の強度のデータを収集するための指示である。
【0124】
制御部340は、データ収集制御指示の受信に応じて、データリクエスト指示RQを、A/D変換部330へ送信する。データリクエスト指示RQは、A/D変換部330にデータを要求するための指示である。
【0125】
また、制御部340は、データ収集制御指示の受信に応じて、選択指示送信処理を行なう。選択指示送信処理では、選択指示SLを、マルチプレクサ310へ送信する。選択指示SLは、マルチプレクサ310に接続される測定回路210Aを特定するための指示である。
【0126】
マルチプレクサ310は、選択指示SLの受信に応じて、選択指示SLにより特定される測定回路210Aにより測定されたアナログ電圧を有する信号を、A/D変換部330へ送信する。A/D変換部330が受信する信号の電圧は、測定回路210Aに対応するセルCLに入射される電波の強度を示す電圧である。
【0127】
A/D変換部330は、受信した信号の電圧レベルを、ディジタルデータとしての電波強度データに変換し、変換した電波強度データを、制御部340へ送信する。これにより、制御部340は、選択指示SLにより特定される測定回路210Aにより測定された電圧の電波強度データを受信する。当該電波強度データは、選択指示SLにより特定される測定回路210Aに対応するセルCLに入射される電波の強度を示すデータである。
【0128】
制御部340は、
図12に示される全ての円内の可変容量ダイオードに接続される測定回路210Aにより測定した電圧の電波強度データを受信するまで、上記選択指示送信処理を繰り返し行う。この場合、選択指示送信処理が繰り返される毎に、制御部340が送信する選択指示SLは、異なる測定回路210Aを特定するための指示となる。
【0129】
たとえば、制御部340が送信する選択指示SLは、選択指示送信処理が繰り返される毎に、
図12に示される複数の円のうち、左上(1行1列目)の円から、1つ右の円(1行2列目)内の可変容量ダイオードに接続される測定回路210Aを特定する指示となる。なお、右側に円が存在しない場合、選択指示送信処理では、次の行の一番左の円内の可変容量ダイオードに接続される測定回路210Aを特定する選択指示SLが送信される。
【0130】
最終的には、
図12に示される複数の円の右下の円(4行4列目)内の可変容量ダイオードに接続される測定回路を特定する選択指示SLが送信される。この処理により、制御部340は、
図12に示される全ての円内の可変容量ダイオードに接続される測定回路210Aにより測定した電圧の16個の電波強度データを取得する。
【0131】
なお、1回の選択指示送信処理は、極めて短時間で終了する。そのため、制御部340は、極めて短時間で、すなわち、ほぼ同時に、16個の電波強度データを取得する。以下においては、選択指示送信処理が繰り返されることにより受信した全ての電波強度データを含むデータを、電波強度分布データという。
【0132】
そして、制御部340は、電波強度分布データを、制御部520へ送信する。
【0133】
以上の処理により、表示装置500は、極めて短時間で、すなわち、ほぼ同時に、電波吸収部100Bの表面の複数箇所のセルCL(測定部200Aに含まれる複数の測定回路210Aにそれぞれ対応する複数のセルCL)に入射される表面入射電波の電波強度を示す電波強度分布データを取得することができる。
【0134】
以上説明したように、実施の形態5によれば、極めて短時間で、すなわち、ほぼ同時に、電波吸収部100Bの表面の複数箇所のセルCLに入射される表面入射電波の電波強度を示す電波強度分布データを取得することができる。
【0135】
なお、実施の形態5では、測定部200Aに含まれる複数の測定回路210Aがそれぞれ測定した複数の電圧の電波強度データをシリアルに取得する処理を説明したが、複数の測定回路210Aがそれぞれ測定した複数の電圧の電波強度データを同時に取得する構成としてもよい。
【0136】
なお、測定部200Aに含まれる複数の測定回路210AにA/D変換機能を持たせ、測定部200Aが、有線または無線通信によりディジタルデータを制御部340に送る構成としてもよい。この場合、データ収集部300に含まれるA/D変換部330は不要となる。
【0137】
(実施の形態6)
実施の形態6では、電波の強度分布を示す画像を生成し、生成した画像を表示するための処理について説明する。
【0138】
実施の形態6における電波強度計測システムは、
図14の電波強度計測システム10000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0139】
表示装置500の制御部520は、実施の形態5で説明した処理により、電波強度分布データを取得すると、当該電波強度分布データに基づいて、電波強度分布画像を生成する。すなわち、制御部520は、画像を生成する画像生成部である。
【0140】
電波強度分布画像は、測定部200Aに含まれる複数の測定回路210Aによりそれぞれ測定された、電波吸収部100Bの表面の複数箇所のセルCLの表面入射電波の強度の二次元分布を示す画像である。すなわち、電波強度分布画像は、複数の測定領域(セルCL)の位置に対応させて、測定された表面入射電波の強度を可視化した画像である。
【0141】
ここで、制御部520により、生成された電波強度分布画像は、以下の電波強度分布画像G110であるとする。この場合、制御部520は、生成した電波強度分布画像G110を、表示部510に表示させる。
【0142】
図15は、表示装置500の表示部510に、電波強度分布画像G110が表示されている状態を示す図である。
図15に示されるように、表示部510には、電波強度分布画像G110が配置されたウインドウ画像G100が表示される。
【0143】
電波強度分布画像G110は、
図12のように測定箇所が16個ある場合の電波強度分布画像ではなく、測定箇所が、一例として、25箇所ある場合の電波強度分布を示す画像である。電波強度分布画像G110は、色により、測定箇所(セルCL)の表面入射電波の強度を表現する。
【0144】
ここで、電波の強度を、たとえば、1〜10の10段階で表現するとする。なお、電波強度“10”が最も大きい電波強度であるとする。この場合、電波強度分布画像G110では、電波強度が“10”,“8”,“6” ,“4” ,“1”である測定箇所(セルCL)を、それぞれ、赤色、だいだい色、黄色、青色および紫色で示す。
【0145】
以上のように、電波強度分布画像G110が、表示部510に表示されることにより、電波吸収部100Bの表面における複数箇所のセルCLの表面入射電波の強度の二次元分布を可視化することができる。
【0146】
次に、時間経過に伴って変化する電波強度分布画像を、動画として表示する処理について説明する。
【0147】
この場合、表示装置500の制御部520は、所定時間(たとえば、1/15秒)毎に、実施の形態5で説明した、電波強度分布データを取得するための処理を行なう。電波強度分布データを取得する処理は、実施の形態5で説明したので説明は繰り返さない。
【0148】
この場合、制御部520は、所定時間(たとえば、1/15秒)毎に、電波強度分布データを取得する。そして、制御部520は、電波強度分布データを取得する毎に、取得した電波強度分布データに基づいて、電波強度分布画像を生成し、生成した電波強度分布画像を表示部510に表示させる。すなわち、表示部510には、所定時間(たとえば、1/15秒)毎に、異なる電波強度分布画像が表示される。つまり、表示部510は、制御部520により所定時間毎に生成された電波強度分布画像を更新しながら表示する。
【0149】
したがって、電波吸収部100Bの表面における複数箇所のセルCLの表面入射電波の強度の二次元分布の変化の状態をリアルタイムに可視化することができる。
【0150】
なお、制御部520が生成する電波強度分布画像は、実施の形態2で説明した方法により特定した表面入射電波の偏波方向を、矢印等で表現した画像であってもよい。
【0151】
実施の形態5では、所定時間毎に、電波強度分布データを取得して、所定時間毎に、電波強度分布データに基づく電波強度分布画像を表示する例を説明した。しかしながら、これに限定されず、所定時間よりも高速に、電波強度分布データを順次取得し、取得した複数の電波強度分布データを、一旦、メモリ等に記憶させておいてもよい。
【0152】
この場合、メモリ記憶させた複数の電波強度分布データに基づいて、各電波強度分布データに基づく電波強度分布画像を、順次、表示部510に表示させてもよい。なお、電波強度分布画像の計測間隔を、たとえば、1ミリ秒とし、表示間隔を、たとえば、1/15秒とすることにより、電波強度分布画像をスロー再生してもよい。
【0153】
以上、本発明に係る電波強度計測装置および電波強度計測システム等について、実施の形態1〜6を用いて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、各実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される形態も、本発明に含まれる。
【0154】
たとえば、表面入射電波の強度を測定する測定部(たとえば、測定部200)自体に、強度を表示する機能を持たせてもよい。この場合、表面入射電波の強度を、LEDの明るさ、またはフルカラーLEDの色の変化で表示してもよい。また、表面入射電波の偏波の違いにより色を変えてもよい。
【0155】
このように、LED等を使用することで、PCを用いることなく、複数箇所の表面入射電波の強度の二次元分布を可視化することができる。この場合、電波強度計測システムのコストを低減させることができる。
【0156】
なお、上記のように、LED等を使用して複数箇所の表面入射電波の強度の二次元分布を表現している状態を、ビデオカメラで撮影して記録・保存してもよい。