【実施例1】
【0028】
実施例1の生理用ナプキン10を
図1および
図2に沿って説明する。生理用ナプキン10は、パッド本体2と、凸状吸収体3とを備える。
本実施例では、パッド本体2は、従来の生理用ナプキンと同様に、液体不透過性の裏シート、高分子吸収材料、及び液体透過性の表シートがこの順で積層されており、表シート側から吸収した経血等を高分子吸収材料が吸収し、保持し、ショーツ側に透過させないように形成されている。パッド本体を構成する各種材料は、従来生理用ナプキンに用いられているものを特段の制限なく用いることができる。
例えば、表シートとしては、各種の製法による単層又は多層の不織布を用いることができ、着用者の皮膚に対して従順であり、柔らかな感触であり、そして非刺激性である。裏面シートとしては、非透水性の外漏れ防止用シートとして、樹脂フィルムや、樹脂フィルムの非肌対向面側に不織布等の他のシートを接合してなる積層シート、撥水性の不織布(SMS)等の不織布を用いることができる。裏面シートも着用者の皮膚に対して従順であり、柔らかな感触であり、そして非刺激性である。
パッド本体2の中央付近の厚みは、好ましくは8〜10mmとする。この範囲は、現市販品の薄型生理用ナプキンに対し厚い範囲である。また、パッド本体2の横幅は、55〜60mmとする。この範囲は、現市販品の薄型生理用ナプキンに対し狭い範囲である。パッド本体2の縦幅は、105〜110mmとする。この範囲は、現市販品よりコンパクトな範囲である。
パッド本体の厚みと横幅を上記のような範囲とすることにより、装着時の閉脚によってもパッド本体2が左右に折れ曲がったりよれにくくなり、経血漏れを有効に防ぐことが可能となる。
【0029】
凸状吸収体3は、パッド本体2の中央付近に設けられている。凸状吸収体3は、パッド本体2より狭い幅を有し、膣口当接部3aと、尿道口当接部3bとを備える。
本実施形態において、膣口当接部3aと尿道口当接部3bは、同一素材で一体に成型されている。
本実施形態では、膣口当接部3aと尿道口当接部3bの表面は、薄く柔軟な不織布等で連続的に覆われている。
本実施形態においては、凸状吸収体3は、吸収性の材料で形成することが好ましく、特に急速に吸収が可能な材料で形成することが好ましい。このような材料として、たとえば、高分子ファイバーを束ねた素材を使用することが好ましい。このような材料を使用することにより、凸状吸収体3を、型くずれし難く、柔軟性があって、吸収した経血を保持せずに順次、逐次、下層の吸収要素まで移動させるものとすることができる。
【0030】
また、パッド本体2と凸状吸収体3の表面は、柔軟な薄い不織布、或いは、急速吸収性の機能を持ったファイバーシートなどの材料で形成することができる。
なお、当該凸状吸収体3の素材は、従来使用されている使い捨て可能な衛生ナプキン及び他の使い捨て可能な吸収物品において通常使用されている幅広い種類の液体吸収材料から製造することができることは言うまでもない。
上述の通り、凸状吸収体3は、吸収性である必要があるが、一方で、保水性ではないことが好ましい。保水性の場合には、凸状吸収体3が経血の吸収により膨張し、着用時に不快感を起こさせる可能性があるためである。
本発明の好ましい形態では、凸状吸収体3は、経血を速やかに吸収し、パッド本体2に移行させる一方、パッド本体2は、凸状吸収体3に吸収された経血を速やかに引き込む。そして、パッド本体2は、経血を保持する。
【0031】
膣口当接部3aと尿道口当接部3bは、パッド本体2の長手方向に高低差をつけて形成されている。尿道口当接部3bは、膣口当接部3aに対し、相対的に低く(短く)形成されている。
本発明の生理用ナプキン10を着用すると、膣口当接部3a(凸状吸収体3のより高い(長い)突起部分)は、着用者の小陰唇内に入り膣口に当接される。そして、尿道口当接部3b(凸状吸収体3のより低い(短い)突起部分)は小陰唇内の尿道口に当接される。
このように、膣口当接部3と尿道口当接部3bにおいて所定位置に当接された凸状吸収体3は、小陰唇という壁によってガードされ、安定する。
【0032】
凸状吸収体3の形状は、全体として円筒形状であることが好ましい。また、凸状吸収体3の身体に触れる上面は、曲面状に形成する(丸みを帯びた球面状とする)ことが好ましい。
また、寸法としては、具体的には、長手方向並びの寸法は、凸状吸収体2つを合わせて32mm〜40mm、各々の直径は16mm〜20mmとし、従来のタンポン様の形状とする。膣口当接部3a(高いほうの突起部)の高さを12mm〜15mm、尿道口当接部3b(短いほうの突起部)の高さを4mm〜7mmとし、高低差を8mm前後とすることが好ましい。
また、膣口当接部3a(高いほうの突起部)については、直径を16mm〜20mm程度とし、尿道口当接部3b(短いほうの突起部)については、直径を16mm程度とすることが好ましい。
ここで、膣口当接部3a(高いほうの突起部)については、初潮から間もない十代の利用者と、経産婦とで、直径を変えることが好ましい。具体的には、前者の場合には、16mm程度とすることが好ましく、後者の場合には、16mm〜20mm程度とすることが好ましい。
【0033】
このような寸法とすることにより、凸状吸収体3を所定位置に安定的に当接させることができると同時に、尿道口付近を圧迫しすぎることを防止することができる。
【0034】
従来は、経血の量が多いときには生理用ナプキンを何枚か重ねて使用する場合があったが、このような使用方法では、ゴワゴワする等、着用感が悪くアウターにも響いてしまうという問題があった。また、重ね使用が不要な部分である膣口付近以外にまで生理用ナプキンが重ねられてしまうため、かぶれやむれの原因ともなっていた。この点、本実施例の凸状吸収体3を備えた生理用ナプキン10によれば、小陰唇内の膣口と尿道口部分だけに生理用品が重ねられたような効果と同様の効果を得ることが可能となる。
そして、本発明の生理用ナプキンは、着用感やアウターにさほど影響を及ぼさず、しかも尻付近等におけるむれやかぶれを低減させることが可能となる。
【0035】
[本発明の生理用ナプキンの製造方法]
本発明に係る生理用ナプキンは、例えば、急速吸収性のファイバーを束ねた素材あるいは吸収綿等で作られた所定形状の凸状吸収体を作製し、凸状吸収体とパッド本体との接触位置を凸状吸収体が分離しないように軽く束ねて、ファイバーの裾野をナプキン本体の吸収要素まで広げるなどして、パッド本体の中央付近に凸状吸収体を接着剤、縫合、熱融着等既知の方法で配置及び/または固定して製造することができる。
【0036】
あるいは、凸状吸収体をパッド本体の表面中央付近に配置及び/または固定し、ファイバーの裾野の上面と下面を柔軟な単層・多層の不織布で覆い吸収移動を確実にさせ吸収を引き込むように構成してもよい。また、生理用ナプキンの表面は、着用者の皮膚に対して従順で、柔らかな感触で、非刺激性のシートを用いて、膣口当接部および尿道口当接部は蜜に並べて連結して一つの凸状吸収体に見えるようにし、パッド本体と一体化することが好ましい。これにより、凸状吸収体からパッド本体へ経血を上手く誘導する仕組みとすることが可能となる。大きさや高さなど規定することは図面に例示したが、それに限定されるものではない。
すなわち、重要な観点は、吸収性に優れた高低差ある二つ連なった突起吸収体で、経血を素早く吸収するという点であり、当該機能が発揮されるものであればどのような製造方法を採用することも可能である。
【0037】
[サニタリーショーツ]
実施例1の生理用ナプキンは、サニタリーショーツに装着して用いることができる。装着の方法は従来の貼り付け方法を用いることも可能であるが、好ましい形態では、
図3および4に示すサニタリーショーツ11に装着する。サニタリーショーツ11は、股下布4内側の長手方向の両端に、生理用ナプキン10のパッド本体2の長手方向の端2a、2bを挿入するためのポケット4a、4bを有する。
図3、4において、ポケット4aは前側、ポケット4bは後側に設けられている。
ここで、パッド本体2とサニタリーショーツ11の股下布4は寸法に於いて対応するものとする。ポケット4a、4bは、たとえば、パッド本体2の端2a、2bのそれぞれ17mm程度を挿入することができる深さに形成することができる。
ポケット4a、4bの挿入口の縁は、シャーリング、又は、伸び縮みする布地或いはゴムを内側に縫い付けて、挟み込んだナプキン本体の上端下端をゴム等で緩やかに締め付けるようにすることが好ましく、これにより、生理用ナプキン10が容易に外れないという効果が得られる。たとえば、パッド本体2の横幅が60mm程度の場合は、ポケット4a、4bの挿入口の横幅は70mmとすることができる。パッド本体2の縦幅が110mm程度の場合は、ポケット4の長さは130mm程度にする。このように、パッド本体2の横幅60mmに対しポケット4a、4bの挿入口の横幅を好ましくは70mm程度(両サイドに5mmずつの余裕)大きくすることにより、装着が容易になる。
なお、股下布4内側に設けるポケット4a、4bの位置は、一般的な女性の身体を基準にして、所謂、膣位置が「上付き」を想定して縫い付けられることが好ましい。
このようなサニタリーショーツ11を用いることにより、生理用ナプキン10のずれやよれを防止することができ、経血漏れをより有効に防ぐことが可能となる。
【0038】
生理用ナプキン10は、排泄された体液を吸収する為のものである一方、サニタリーショーツ11は着用者の衣類を汚れから防止する役目と、生理用ナプキン10を位置決めし、安定させる役目を持つ。すなわち、本発明のサニタリーショーツ11は、一般のショーツを着用した時に比べ、生理用ナプキン10を着用者の股領域の近傍に維持するように機能する。
【0039】
以下、本発明の生理用ナプキン10とサニタリーショーツ11の使用方法について説明する。
[生理用ナプキンの外し方]
トイレなどで生理用ナプキン10を膣口から外すとき、吸収しきれず膣内に残っている後追い経血などがドッと垂れ落ちてくる可能性がある。しかし、本発明の生理用ナプキン10の場合には、上手く取り外すことができる。トイレに行って、和式、洋式に関係なく、まず、サニタリーショーツ11のポケット4a、4bからパッド本体2の端2a、2bを外す。その時、生理用ナプキン10の凸状吸収体3は未だ小陰唇内の膣口と尿道口に当接され密着されている。生理用ナプキン10を小陰唇から外すと、吸収し切れなかった経血などは見事にトイレの中に落ちる。タンポンの様に糸を引っ張ることで手に経血がついてしまうようなことはない。すなわち、本発明の生理用ナプキン10は、膣口に蓋をした形態ということができ、それを外せば、膣内あるいは子宮口から新たに経血が流れ落ちて来ても、全部、トイレの中に落ちるので、後は水を流せばよい。
特に、子宮筋腫等がある使用者の場合や閉経前には、月経時に子宮内膜が剥がれ落ち、レバー状の塊となって排出されることがある。本発明の生理用ナプキンを使用すると、液体ではないレバー状の塊は、3aからは吸収されず膣腔の中に留まっているが、生理用ナプキンを取り外した際に、後追い経血と共にトイレの中に落ちるので、手や下着を汚す心配がない。
【0040】
[ナプキンの嵌め方]
局部の経血を拭ったあと、洋式の場合、膝辺りにずらしているサニタリーショーツ11の股下布4内側に設けられたポケット4a、4bに凸状吸収体3の高低(長手方向)を間違わないように確認して新しい生理用ナプキン10をセットする。正しくセットするコツは、先ず、向かって上側に尿道口にあてがう低いほうの尿道口当接部3bが来るように生理用ナプキン10を持って、パッド本体2の上端2aを上側(前側)のポケット4a内に差し込み、次にパッド本体2の下端2bを下側(後側)のポケット4b内に差し込む。続いて、立ち上がり、サニタリーショーツ11を上に引っ張って穿いてゆくが、ほぼサニタリーショーツ11を穿き終わった段階で、左手の人差し指と中指で小陰唇を開き、右手で、生理用ナプキン10をセットしたサニタリーショーツ11の外側(表側)から押し付けるように、膣口当接部3aを小陰唇内の膣口に嵌め込むなら、尿道口当接部3bも自動的に尿道口に当接できていることになる。その段階でサニタリーショーツ11のウエスト開口部を持ってサニタリーショーツ11を完全に穿き切るなら型崩れし難く、柔軟性のある凸状吸収体3は、膣口当接部3aと尿道口当接部3bにおいて、小陰唇内膣口および小陰唇内尿道口の二ヶ所に上手く当接され密着出来ていると言える。和式トイレの場合も同様である。