特許第5737697号(P5737697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5737697-通線用先導体 図000002
  • 特許5737697-通線用先導体 図000003
  • 特許5737697-通線用先導体 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5737697
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】通線用先導体
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/08 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   H02G1/08 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-171598(P2014-171598)
(22)【出願日】2014年8月26日
【審査請求日】2014年9月25日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514243818
【氏名又は名称】有限会社 三葉建設
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】高井 英樹
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−509597(JP,A)
【文献】 特開平06−070422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部、中央部及び後端部を有し、前記後端部に線材が取り付けられる支軸と、
前記支軸の前記中央部に設けられた空気受け部と、
前記支軸の前記先端部に設けられたガイド部と、
を備え、
前記空気受け部は、
前記支軸を中心として放射状に設けられた複数本の骨部材と、
前記複数本の骨部材に被せられ、前記後端部側から前記先端部側に向かう方向に流れる空気を受ける受圧部と、
前記複数本の骨部材の先端に設けられた第1ローラと、を備え、
前記ガイド部は、
前記支軸を中心として放射状に設けられた複数本の支持部材と、
前記支持部材の先端に設けられた第2ローラと、を備え、
前記複数本の骨部材及び前記複数本の支持部材は、前記支軸との取り付け位置を支点として開閉可能に設けられ、且つ、前記複数本の骨部材及び前記複数本の支持部材を拡げた状態で固定する固定手段をさらに備えることを特徴とする通線用先導体。
【請求項2】
前記複数本の骨部材を拡げた際の前記空気受け部の大きさは、前記複数本の支持部材を拡げた際の前記ガイド部の大きさと実質的に等しいことを特徴とする請求項記載の通線用先導体。
【請求項3】
前記複数本の骨部材の開閉動作と、前記複数本の支持部材の開閉動作とを連動させる連動手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の通線用先導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内に電線やケーブル、呼び線などの線材を通す際に用いられる通線用先導体に関する。
【背景技術】
【0002】
敷設した配管内に電線やケーブルなどを通す場合、予め配管内に呼び線を通しておき、この呼び線に電線等を取り付けて反対側から引っ張ることで、配管内に電線等を通すようにしている。しかし、予め呼び線が通されていない場合、先導体を使って呼び線を配管内に通しておく必要がある。
【0003】
従来、先導体としては、例えば特許文献1に記載されるような円錐筒型のエア圧受体を用いるものや、特許文献2〜6に記載されるようなパラシュート型の受圧誘導体を用いるものが開示されている。いずれの先導体においても、呼び線等の線材を取り付けた先導体を配管内に挿入し、配管に空気を送り込むことでその圧力によって先導体を配管内に進めていく。そして、先導体の進行とともに線材が配管内に通されていくことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−243893号公報
【特許文献2】実用新案登録第3047549号公報
【特許文献3】特開2000−134750号公報
【特許文献4】特開平9−308036号公報
【特許文献5】特開平6−133426号公報
【特許文献6】特開平6−121425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エア圧受体やパラシュート型の受圧誘導体である先導体を用いて空気の圧力により先導体を進めていく場合、空気圧や空気の流れのバランスなどによって配管内で先導体の姿勢が乱れ、十分な圧力を得ることができず、途中から先に進まなくなることがある。特に長い配管や太めの配管など、先導体を挿入して強い圧力で空気を送り込む必要がある場合、先導体の姿勢の乱れが発生しやすく、線材を目的の位置まで通すことができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、配管内に送り込む空気の圧力を受けて、姿勢を乱すことなく確実に配管内を進むことができる通線用先導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の通線用先導体は、先端部、中央部及び後端部を有し、後端部に線材が取り付けられる支軸と、支軸の中央部に設けられた空気受け部と、支軸の先端部に設けられたガイド部と、を備える。そして、空気受け部は、支軸を中心として放射状に設けられた複数本の骨部材と、複数本の骨部材に被せられ、後端部側から先端部側に向かう方向に流れる空気を受ける受圧部と、複数本の骨部材の先端に設けられた第1ローラと、を備え、ガイド部は、支軸を中心として放射状に設けられた複数本の支持部材と、支持部材の先端に設けられた第2ローラと、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、通線用先導体を配管内に挿入し、挿入口から空気を送り込むことで、空気圧を空気受け部で確実に受け、ガイド部によって姿勢を乱すことなく通線用先導体を管内に進めていく。これにより、支軸の後端部に取り付けられた線材を配管内に導くことができる。
【0009】
空気受け部は、支軸の中央部に設けられるため、通線用先導体の重心に近い位置で空気圧を受けることができる。空気受け部において空気を受ける受圧部は、複数本の骨部材に被せられているため、高い空気圧を受けても変形しにくい。また、複数本の骨部材の先端に設けられた第1ローラが配管の内壁に当たりながら転がるため、空気受け部の姿勢を維持しながら通線用先導体を滑らかかつ安定して進めていくことができる。
【0010】
また、支軸の先端部にガイド部が設けられているため、支軸の空気受け部よりも先端側の配管内での位置をガイド部によって維持することができる。さらに、ガイド部の複数本の支持部材の先端に設けられた第2ローラが配管の内壁に当たりながら転がるため、ガイド部の姿勢を保ちながら通線用先導体を滑らかかつ安定して進めていくことができる。
【0011】
本発明の通線用先導体において、複数本の骨部材及び複数本の支持部材は、支軸との取り付け位置を支点として開閉可能に設けられていてもよい。このような構成によれば、複数本の骨部材及び複数本の支持部材の開閉に合わせて空気受け部及びガイド部の大きさを調整することができる。これにより、様々な大きさの配管に対応して空気受け部及びガイド部の大きさを調整し、配管内に通線用先導体を導くことができる。
【0012】
本発明の通線用先導体において、複数本の骨部材を拡げた際の空気受け部の大きさは、複数本の支持部材を拡げた際のガイド部の大きさと実質的に等しくしてもよい。このような構成によれば、空気受け部を拡げたサイズとガイド部を拡げたサイズとを揃えることができ、一定の内径を有する配管に確実に通線用先導体を導くことができる。
【0013】
本発明の通線用先導体において、複数本の骨部材及び複数本の支持部材を拡げた状態で固定する固定手段をさらに備えていてもよい。このような構成によれば、配管の内径に合わせて空気受け部及びガイド部の大きさを固定することができ、空気受け部及びガイド部を安定して進行させることができる。
【0014】
本発明の通線用先導体において、複数本の骨部材の開閉動作と、複数本の支持部材の開閉動作とを連動させる連動手段をさらに備えていてもよい。このような構成によれば、複数本の骨部材及び複数の支持部材のいずれか一方の大きさを調整すれば、他方の大きさも連動して調整される。これにより、空気受け部及びガイド部の大きさ調整を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配管内に送り込む空気の圧力を受けて、姿勢を乱すことなく確実に配管内を進むことができる通線用先導体を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る通線用先導体を例示する斜視図であり、(a)は全体構成を示す図、(b)はローラ部分を示す拡大図である。
図2】空気受け部及びガイド部の開閉状態を例示する断面図であり、(a)は大きく拡がった状態、(b)は小さく拡がった状態を示す図である。
図3】(a)〜(e)は、本実施形態に係る通線用先導体を用いた通線方法を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0018】
[通線用先導体の構成]
図1(a)の斜視図に表したように、本実施形態に係る通線用先導体1は、配管Pの内部に電線やケーブル、呼び線などの線材Wを通す際に用いられる器具である。配管P内に空気Aを送り込むことで空気Aの圧力によって通線用先導体1を配管P内で推進させ、線材Wを送り込むようにする。このような本実施形態に係る通線用先導体1の主要な構成は、支軸10、空気受け部20及びガイド部30である。
【0019】
支軸10は、先端部、中央部及び後端部を有する細い棒状の部材である。支軸10は、丸棒でも、角棒でもよい。支軸10の後端部には、線材Wを取り付けるための例えばリング11が設けられる。支軸10の材料としては、例えばカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)などの樹脂、アルミニウムなどの金属、竹などの木材が用いられる。
【0020】
空気受け部20は、支軸10の中央部に設けられる。空気受け部20は、支軸10を中心として放射状に設けられた複数本の骨部材21と、複数本の骨部材21に被せられた受圧部22と、複数本の骨部材21のそれぞれの先端に設けられた第1ローラR1とを備える。
【0021】
骨部材21は、支軸10との接続端から先端にかけて、傘の骨のように湾曲している。すなわち、骨部材21の接続端側は、支軸10に対して放射状に伸びるとともに、先端に向かうに従い徐々に支軸10の後端側に湾曲している。複数の骨部材21の材料としては、例えばCFRPなどの樹脂、アルミニウムなどの金属、竹などの木材が用いられる。
【0022】
受圧部22は、複数本の骨部材21に被せられるように取り付けられる。受圧部22は、支軸10の後端部側から先端部側に向かう方向に流れる空気Aを受ける部分である。受圧部22を複数本の骨部材21に被せることで、空気受け部20の形状が傘やパラシュートのようになる。このように、受圧部22が複数本の骨部材21に被せられているため、受圧部22に高い空気圧が加わっても変形しにくい。受圧部22の材料としては、例えばビニールや布が用いられる。
【0023】
各骨部材21の先端に設けられた第1ローラR1は、配管Pの内壁と接して配管Pの延びる方向に転がりやすいよう設けられる。図1(b)に示すように、第1ローラR1として、例えばキャスター15が用いられる。キャスター15は、車輪15rを外向きにして骨部材21の先端に設けられる。キャスター15は、車輪15rの向きが固定の固定車であっても、車輪15rの向きが自由の自由車であってもよい。第1ローラR1が配管Pの内壁に当たりながら転がるため、配管P内において空気受け部20の姿勢を維持しながら滑らかかつ安定して進めることができる。なお、キャスター15が固定車であれば転がりの方向安定性が高まり、自由車であれば配管Pの内壁の凹凸や、内壁から受ける反力に柔軟に追従することができる。
【0024】
このような構成を備えた空気受け部20は、支軸10の中央部に設けられるため、通線用先導体1の重心に近い位置で空気圧を受けることができる。このため、空気受け部20で空気圧を受けて支軸10が配管P内を進む際、空気圧による推進力がバランスよく支軸10に伝わることになる。
【0025】
ガイド部30は、支軸10の先端部に設けられる。ガイド部30は、支軸10を中心として放射状に設けられた複数本の支持部材31と、複数本の支持部材31のそれぞれの先端に設けられた第2ローラR2とを備える。
【0026】
支持部材31は、支軸10の先端部から後方に斜めに延びるよう設けられる。複数の支持部材31の材料としては、例えばCFRPなどの樹脂、アルミニウムなどの金属、竹などの木材が用いられる。
【0027】
各支持部材31の先端に設けられた第2ローラR2は、配管Pの内壁と接して配管Pの延びる方向に転がりやすいよう設けられる。第2ローラR2も第1ローラR1と同様に、図1(b)に示すようなキャスター15が用いられる。第2ローラR2が配管Pの内壁に当たりながら転がるため、配管P内において通線用先導体1の姿勢を維持しながら滑らかかつ安定して進めることができる。
【0028】
このように、支軸10の先端部にガイド部30が設けられているため、空気受け部20よりも先端側の支軸10の位置を配管P内の中央付近に維持しておくことができる。
【0029】
このような構成を備えた本実施形態に係る通線用先導体1では、支軸10の中央部分を空気受け部20の複数本の骨部材21で支持し、支軸10の先端部分をガイド部30の複数本の支持部材31で支持する。そして、配管Pに送り込まれた空気Aの圧力を、支軸10の中央部に設けられた空気受け部20で受けて、通線用先導体1が配管P内を推進する際、支軸10の先端部をガイド部30によってガイドする。これにより、線材Wが取り付けられた支軸10を配管P内に進めていくにあたり、通線用先導体1を安定して進めていくことができる。さらに、空気受け部20に設けられた第1ローラR1及びガイド部30に設けられた第2ローラR2によって配管Pの内壁との接触抵抗を減らして、通線用先導体1を滑らかに進めていくことができる。
【0030】
[空気受け部及びガイド部の開閉]
本実施形態に係る通線用先導体1において、空気受け部20及びガイド部30の大きさは、配管Pの内径に合わせた固定のサイズになっていてもよいが、様々な配管Pの内径に合わせて調整できるようになっていてもよい。すなわち、複数本の骨部材21及び複数本の支持部材31が、支軸10との取り付け位置を支点として開閉可能に設けられていてもよい。
【0031】
例えば、図2(a)の断面図に表したように、内径の大きな配管Pについては、複数本の骨部材21及び複数本の支持部材31を大きく開くようにする。これにより、空気受け部20及びガイド部30は、配管Pの内径一杯に拡がることになる。
【0032】
一方、図2(b)の断面図に表したように、内径の小さな配管Pについては、複数本の骨部材21及び複数本の支持部材31を小さく開くようにする。これにより、空気受け部20及びガイド部30は、小さな配管Pの内径に合わせられる。
【0033】
ここで、複数本の骨部材21を拡げた際の空気受け部20の大きさが、複数本の支持部材31を拡げた際のガイド部30の大きさと実質的に等しくなるようにすることが望ましい。通常、配管Pの内径は一定である。したがって、空気受け部20及びガイド部30の両方において拡がった際の大きさを配管Pの内径に確実にフィットさせることができる。
【0034】
複数本の骨部材21及び複数本の支持部材31の開閉機構としては、スライドリング及びリンク機構などを用いて、例えば傘と同様な原理で開閉させてもよい。また、複数本の骨部材21及び複数本の支持部材31を拡げた際に任意の大きさで固定できるようにすることが望ましい。
【0035】
さらに、複数本の骨部材21及び複数本の支持部材31の開閉を連動させる機構を設けてもよい。例えば、リンク機構によって、複数本の骨部材21及び複数本の支持部材31のいずれか一方を開くと、これに連動して他方が開くように構成してもよい。これにより、空気受け部20及びガイド部30の大きさを容易に調整することができる。
【0036】
[支軸の長さ調整]
図示しないが、本実施形態に係る通線用先導体1において、支軸10の長さを調整可能に設けてもよい。例えば、支軸10を長さ方向に2分割しておき、両者間にねじによる長さ調整機構を設けておく。これにより、必要に応じて支軸10の長さを調整することができる。
【0037】
例えば、配管Pの内径が大きい場合には支軸10を長くし、配管Pの内径が小さい場合には支軸10を短くする。これにより、空気受け部20及びガイド部30の大きさと、支軸10の長さとのバランスを調整して、通線用先導体1の安定性を高める。また、配管Pの途中に曲がっている部分がある場合、この曲がりの曲率半径が小さい場合には支軸10の長さを短くしておく。これにより、配管Pの途中が曲がっていても、この曲がりに沿って通線用先導体1を滑らか推進させることができる。
【0038】
[通線用先導体による通線方法]
次に、本実施形態に係る通線用先導体1を用いたケーブル等の敷設方法を、図3(a)〜(e)の断面図に沿って説明する。
先ず、図3(a)に表したように、配管Pの一方の開口端P1から本実施形態に係る通線用先導体1を挿入する。この際、空気受け部20及びガイド部30の大きさを配管Pの内径に合わせておく。また、支軸10の後端部には線材Wを取り付けておく。
【0039】
次に、図3(b)に表したように、配管Pの一方の開口端P1から配管P内に空気Aを送り込む。空気Aは、図示しないブロワーなどによって送り込まれる。送り込まれた空気Aによる圧力は、配管P内で拡げられた空気受け部20で受けられる。この空気受け部20で受けた空気圧を推進力として、通線用先導体1は配管P内を進んでいく。
【0040】
図3(c)に表したように、配管Pの途中に曲がっている部分があっても、通線用先導体1は滑らかに進んでいく。本実施形態に係る通線用先導体1では、支軸10の中央部を空気受け部20の複数本の骨部材21で支持し、支軸10の先端部をガイド部30の複数本の支持部材31で支持している。したがって、配管P内を進む際の通線用先導体1の姿勢が安定し、配管Pの曲がっている部分でも安定して進むことができる。
【0041】
さらに、各骨部材21の先端に設けられた第1ローラR1及び各支持部材31の先端に設けられた第2ローラR2によって、通線用先導体1は配管P内を滑らかに進むことができる。このため、配管Pの途中に曲がっている部分があっても、曲がりに沿って少ない抵抗で進むことができる。
【0042】
配管Pの一方の開口端P1から空気Aを送り続けることで、やがて図3(d)に表したように、通線用先導体1は配管Pの他方の開口端P2まで達する。通線用先導体1の到達とともに、線材Wが配管P内に引き込まれることになる。
【0043】
線材Wが敷設するケーブル等である場合には、他方の開口端P2まで達した通線用先導体1から線材Wを取り外すことで、ケーブル等の敷設が完了する。一方、線材Wが呼び線である場合、他方の開口端P2まで達した線用先導体1から呼び線を取り外し、呼び線の一方端(例えば、支軸10に取り付けられた端)に敷設するケーブル等を取り付ける。そして、呼び線の他方端を引っ張り、配管Pから引き出すことで、呼び線に取り付けられたケーブル等を配管P内に引き込む。これにより、配管P内のケーブル等の敷設が完了する。
【0044】
このように、本実施形態に係る通線用先導体1を用いることで、空気圧を利用して線材Wを配管P内に滑らかかつ確実に引き込むことができる。特に、配管P内で推進する通線用先導体1の姿勢を安定させることができるとともに、第1ローラR1及び第2ローラR2によって滑らかに推進できるため、例えば数kmに及ぶ長い配管Pであっても確実に線材Wを引き込むことが可能になる。
【0045】
以上説明したように、実施形態によれば、配管P内に送り込む空気Aの圧力を受けて、姿勢を乱すことなく確実に配管P内を進むことができる通線用先導体1を提供することが可能になる。
【0046】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、第1ローラR1及び第2ローラR2としてキャスター15を用いる例を示したが、キャスター15の代わりに回転しない球体を設けてもよい。また、前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…通線用先導体
10…支軸
11…リング
20…空気受け部
21…骨部材
22…受圧部
30…ガイド部
31…支持部材
A…空気
P…配管
R1…第1ローラ
R2…第2ローラ
W…線材
【要約】
【課題】配管内に送り込む空気の圧力を受けて、姿勢を乱すことなく確実に配管内を進むことができる通線用先導体を提供すること。
【解決手段】本発明の通線用先導体は、先端部、中央部及び後端部を有し、後端部に線材が取り付けられる支軸と、支軸の中央部に設けられた空気受け部と、支軸の先端部に設けられたガイド部と、を備える。そして、空気受け部は、支軸を中心として放射状に設けられた複数本の骨部材と、複数本の骨部材に被せられ、後端部側から先端部側に向かう方向に流れる空気を受ける受圧部と、複数本の骨部材の先端に設けられた第1ローラと、を備え、ガイド部は、支軸を中心として放射状に設けられた複数本の支持部材と、支持部材の先端に設けられた第2ローラと、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3