(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。
図1に、本発明による通信装置の機能ブロック図を示す。本装置は、通信トラフィックのフレームをスイッチングする通信装置であって、マルチキャリア信号の各サブキャリアにトラフィックを割り当て、優先トラフィックと非優先トラフィックを分離して転送することで、優先トラフィックの品質を向上させると共に、廃棄される場合にはそのフレームを検出する機能を有する。
【0016】
本装置は、1〜Mの送信側ポート1、1〜Mの受信側ポート2、スイッチ部3、およびそれらを制御する制御部4から構成されている。送信側ポート1は、マルチキャリア信号送信インタフェース11、送信フレーム確認部12、バッファ部13、フレーム廃棄管理部14から構成される。また、受信側ポート2は、マルチキャリア信号受信インタフェース21、受信フレーム確認部22、バッファ部23、フレーム廃棄管理部24から構成される。
【0017】
マルチキャリア信号送信インタフェース11は、マルチキャリア信号を生成し、送信する機能を有する。バッファ部13から転送されてきた各信号を、サブキャリア信号送信器111によって各サブキャリアにマッピングする。サブキャリア信号送信器111は、送信信号処理部113と光電変換部112から構成される。送信信号処理部113は、送信信号を変調する機能を有する。また、光電変換部112では、電気信号を光信号に変換して合波器に送信する。
【0018】
マルチキャリア信号受信インタフェース21は、マルチキャリア信号を受信すると共に復調する機能を有する。復調されたマルチキャリア信号は、サブキャリア信号受信器211から、サブキャリア毎に受信フレーム確認部22に転送される。サブキャリア信号受信器211は、受信信号処理部213と光電変換部212から構成される。光電変換部212は、受信した光信号を電気信号に変換する機能を有する。受信信号処理部213では、受信した信号を復調し、受信フレーム確認部22に送信する。
【0019】
送信フレーム確認部12は、フレームのQuality of Service(QoS)を確認する。QoSの優先度については、運用ポリシーにて決定する。
【0020】
受信フレーム確認部22は、復調された信号に収容されているフレームの転送先を確認すると共に、フレームのQuality of Service(QoS)を確認する。QoSの優先度については、運用ポリシーにて決定する。
【0021】
送信側バッファ部13、および受信側バッファ部23は、それぞれ送信フレーム、受信フレームを一時的にバッファする機能を有する。ここでバッファされたフレームは、優先度に応じたキューにて管理される。
【0022】
送信側フレーム廃棄管理部14、および受信側フレーム廃棄管理部24は、制御部4からの命令に基づき、受信フレームまたは送信フレームを破棄する。
【0023】
スイッチ部3は、インタフェースから受信した信号を、制御部4により指定されたポートに転送する機能を有する。
【0024】
制御部4は、各送信側ポート1、各受信側ポート2、およびスイッチ部3を制御する機能を有する。受信フレーム確認部22において確認されたフレームの転送先に基づいて、スイッチ部3を制御する。また、フレーム確認部12、22にて確認した優先度に基づき、バッファ部13、23のキューにて管理されたフレームの廃棄を管理する。フレーム廃棄が必要な場合には、各送信側ポート1、および各受信側ポート2のフレーム廃棄管理部14、24にフレーム廃棄の命令を送る。また、破棄されたフレーム情報をネットワーク管理装置等の上位システムに警報として送出する。
【0025】
図2に本発明による通信装置のスイッチ部の構成を示す。スイッチ部3は、受信したフレームを制御部4によって指定されたポートに転送する機能を有する。高優先度のQoSフレームが同一の切替器(Rk)(kは1〜x)に集中する場合は、受信側バッファ23に収容しきれないフレームを廃棄する。非優先度のQoSのフレームの場合は、帯域容量に制限を設けない。インタフェース容量を超える場合であっても転送するが、送信側バッファ13からあふれたフレームは廃棄する。
【0026】
図3に本発明による通信装置の動作フロー図を示す。以下に、各動作について説明する。
(S1)開始:スイッチ機能の動作を開始する。
(S2)信号受信:マルチキャリア信号受信インタフェースにおいて受信された信号が復調され、サブキャリア毎に受信フレーム確認部に転送される。
(S3)受信フレーム確認:受信フレーム確認部において、受信フレームの宛先ポートとQoS値が確認され、ぞれぞれ制御部およびフレーム廃棄管理部に通知される。ここで、QoS値の定義は運用ポリシーに基づくこととする。
(S4)受信バッファ:受信フレーム確認部によって確認されたフレームが、優先度、および入力ポート、宛先ポートの組合せごとのキューに収容される。
(S5)容量?:転送先ポートの空き容量を確認する。ここでは、ステップ3の受信フレーム確認において確認された、ある宛先ポートへの受信フレームの転送インタフェース速度の和を転送容量とし、その転送容量をインタフェース容量と比較して容量に空きがあるか否かを判断する。
ここで、パラメータを下記のようにおき、次の式で容量を判断する。
・転送先ポートの残り容量:IF
cap
・転送先ポートへ転送される受信フレームの転送インタフェース速度:IF
sub[i,j](iは受信側ポート番号を示す。jはサブキャリア番号を示す。)
・転送先のインタフェース容量:IF
dest
【数1】
ただし、kは、ある受信側ポートにおいて、ある宛先ポートへ転送されるサブキャリア数、lはある宛先ポートへ転送されるサブキャリアを有する受信側ポート数を示す。
このとき、IF
cap<=0の場合:空き容量不足、IF
cap>0の場合:空き容量ありとなる。空き容量がある場合はステップ6へ進む。空き容量が不足している場合は、ステップ7へ進む。
(S6)スイッチング:ステップ5において、空き容量があった場合は、受信フレーム確認部において確認された情報に基づき、フレームを宛先ポートへ転送する。
(S7)優先度?:転送すべきフレームが優先フレームである場合は、ステップ8へ進む。一方、非優先フレームである場合は、ステップ10へ進む。
(S8)廃棄処理:受信フレーム確認部において確認された情報に基づき、フレームを宛先ポートへ転送する。ここでは、先着フレームを優先して転送する。そのため、受信バッファ部の優先キューに収容されているフレームを廃棄するにあたり、後から到着したフレームを廃棄する。
(S9)警報:ステップ8において廃棄された優先フレーム情報を警報として送出する。
(S10)廃棄処理:ステップ7において非優先フレームであった場合は、受信フレーム確認部において確認された情報に基づき、フレームを宛先ポートへ転送する。このとき、送信バッファ部のキューに収容しきれないフレームを廃棄する。
(S11)終了:一連の動作終了。開始へ戻る。
【0027】
以下では、本発明の実施例について記述する。
実施例1:通信装置のポート1に入力されたマルチキャリア信号の優先トラフィックがポート11に出力され、非優先トラフィックがポート15に出力される例について説明する。次のような状態を想定する。
・マルチキャリア信号のビットレート(各インタフェースのビットレート):100Gbps
・サブキャリアの数:100(サブキャリア番号1〜100)
・サブキャリア信号のビットレート:1Gbps
・マルチキャリア信号の入力ポート番号:1
・マルチキャリア信号の出力ポート番号:優先トラフィックの場合11、非優先トラフィックの場合15
・優先トラフィック:入力マルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜20
(それぞれ独立したギガビットイーサネットトラフィックとする。)
・非優先トラフィック:入力マルチキャリア信号のサブキャリア番号21〜100
(それぞれ独立したギガビットイーサネットトラフィックとする。)
・インタフェース初期状態:他のポートに入力信号なし
・信号プロトコル:イーサネット(非特許文献3)
【0028】
以下、動作フローに従って説明する。
(S1)開始:スイッチ機能の動作を開始する。
(S2)信号受信:マルチキャリア信号受信インタフェースにおいて受信された信号が復調され、サブキャリア毎に受信フレーム確認部に転送される。
(S3)受信フレーム確認:受信したイーサネットフレームの宛先ポートを確認し、CoS値によりQoSを確認する(非特許文献3)。QoS確認の結果、サブキャリア番号1〜20のフレームについては、それぞれ独立したギガビットイーサネットの優先フレームであり、宛先ポートは11である。サブキャリア番号21〜100のフレームは、それぞれ独立したギガビットイーサネットの非優先フレームであり、宛先ポートは15である。
(S4)受信バッファ:受信フレームを確認されたフレームが、優先度、および入力ポート、宛先ポートの組合せごとのキューに収容される。ここでは、次のキューにフレームが収容される。
キュー(1):サブキャリア番号1〜20に収容された優先フレーム
キュー(2):サブキャリア番号21〜100に収容された非優先フレーム
(S5)容量?:転送先ポートの空き容量を確認する。転送先ポート11については、l=1、k=20であることから、
【数2】
となる。転送先ポート15については、l=1、k=80であることから、
【数3】
となる。以上のように本例では、転送先ポート11へのトラフィックは20Gbpsであり、転送先ポート15へのトラフィックは80Gbpsであることから、サブキャリア番号1〜100までの各フレーム転送先ポートの容量は空いている。そのため、次のステップであるスイッチングへ進む。
(S6)スイッチング:受信フレームを、宛先ポートへ転送する。宛先ポートへ転送されたフレームは、マルチキャリア信号送信インタフェースにおいて各サブキャリア信号にマッピングされ送信される。
(S11)終了:一連の動作終了。開始へ戻る。
【0029】
実施例2:ポート1とポート2に入力された信号の優先トラフィックがポート11に出力され、非優先トラフィックがポート15に出力される例である。次のような状態を想定する。
・マルチキャリア信号のビットレート(各インタフェースのビットレート):100Gbps
・サブキャリアの数:100(サブキャリア番号1〜100)
・サブキャリア信号のビットレート:1Gbps
・マルチキャリア信号の入力ポート番号:1、2
・マルチキャリア信号の出力ポート番号:優先トラフィックの場合11、非優先トラフィックの場合15
・優先トラフィック:
−ポート1に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜20
−ポート2に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜40
(それぞれ独立したギガビットイーサネットトラフィックとする。)
・非優先トラフィック:
−ポート1に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号21〜100
−ポート2に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号41〜100
(それぞれ独立したギガビットイーサネットトラフィックとする。)
・インタフェース初期状態:他のポートに入力信号なし
・信号プロトコル:イーサネット(非特許文献3)
【0030】
以下、動作フローに従って説明する。
(S1)開始:スイッチ機能の動作を開始する。
(S2)信号受信:マルチキャリア信号受信インタフェースにおいて受信された信号が復調され、サブキャリア毎に受信フレーム確認部に転送される。
(S3)受信フレーム確認:受信したイーサネットフレームの宛先ポートを確認し、CoS値によりQoSを確認する。ここでは、ポート1に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜20のフレームは優先フレームであり、宛先ポートは11である。また、ポート2に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜40のフレームは優先フレームであり、宛先ポートは11である。
一方、ポート1に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号21〜100のフレーム、およびポート2に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号41〜100のフレームは非優先フレームであり、宛先ポートは15である。
(S4)受信バッファ:受信フレームを確認されたフレームが、優先度、および入力ポート、宛先ポートの組合せごとのキューに収容される。ここでは、次のキューにフレームが収容される。
・ポート1の受信バッファキュー(1):サブキャリア番号1〜20に収容された優先フレーム
・ポート1の受信バッファキュー(2):サブキャリア番号21〜100に収容された非優先フレーム
・ポート2の受信バッファキュー(1):サブキャリア番号1〜40に収容された優先フレーム
・ポート2の受信バッファキュー(2):サブキャリア番号41〜100に収容された非優先フレーム
(S5)容量?:転送先ポートの空き容量を確認する。転送先ポート11については、l=1のときk=20、l=2のときk=40であることから、
【数4】
となる。転送先ポート15については、l=1のときk=80、l=2のときk=60であることから、
【数5】
となる。以上のように本例では、転送先ポート11へのトラフィックは、ポート1からのトラフィックは20Gbpsであり、ポート2からのトラフィックは40Gbpsであることから、転送先ポート11については、空き容量がある。そのため、転送先ポート11へのトラフィックに関しては、ステップ6の「スイッチング」処理に進む。一方、宛先ポート15へのトラフィックは、ポート1からのトラフィックは80Gbpsであり、ポート2からのトラフィックは60Gbpsであることから、転送先ポート15については、容量が不足している。そのため、転送先ポート15へのトラフィックに関しては、ステップ7の「優先度?」処理を行う。
(S6)スイッチング:受信フレームを、宛先ポートへ転送する。宛先ポートへ転送されたフレームは、マルチキャリア信号送信インタフェースにおいて各サブキャリア信号にマッピングされ送信される。
(S7)優先度?:容量が不足になっている転送先ポートの収容フレームは、非優先フレームである。
(S10)廃棄処理:送信側バッファにおいて、あふれた分のフレームが廃棄される。廃棄されずに送信されるフレームは、マルチキャリア信号送信インタフェースにおいて各サブキャリア信号にマッピングされ送信される。
(S11)終了:一連の動作終了。開始へ戻る。
【0031】
実施例3:ポート1とポート2に入力されたマルチキャリア信号の優先トラフィックがポート11に出力され、非優先トラフィックがポート15に出力される例である。ここでは、優先トラフィックの宛先ポートの容量が超過する場合を想定する。次のような状態とする。
・マルチキャリア信号のビットレート(各インタフェースのビットレート):100Gbps
・サブキャリアの数:100(サブキャリア番号1〜100)
・サブキャリア信号のビットレート:1Gbps
・マルチキャリア信号の入力ポート番号:1、2
・マルチキャリア信号の出力ポート番号:優先トラフィックの場合11、非優先トラフィックの場合15
・優先トラフィック:
−ポート1に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜50
−ポート2に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜60
(それぞれ独立したギガビットイーサネットトラフィックとする。)
・非優先トラフィック:
−ポート1に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号51〜100
−ポート2に入力されるマルチキャリア信号のサブキャリア番号61〜100
(それぞれ独立したギガビットイーサネットトラフィックとする。)
・インタフェース初期状態:他のポートに入力信号なし
・信号プロトコル:イーサネット(非特許文献3)
【0032】
以下、動作フローに従って説明する。
(S1)開始:スイッチ機能の動作を開始する。
(S2)信号受信:マルチキャリア信号受信インタフェースにおいて受信された信号が復調され、サブキャリア毎に受信フレーム確認部に転送される。
(S3)受信フレーム確認:受信したイーサネットフレームの宛先ポートを確認し、CoS値によりQoSを確認する。ここでは、ポート1に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜50のフレームは優先フレームであり、宛先ポートは11である。また、ポート2に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号1〜60のフレームは優先フレームであり、宛先ポートは11である。
一方、ポート1に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号51〜100のフレーム、およびポート2に入力されたマルチキャリア信号のサブキャリア番号61〜100のフレームは非優先フレームであり、宛先ポートは15である。
(S4)受信バッファ:受信フレームを確認されたフレームが、優先度、および入力ポート、宛先ポートの組合せごとのキューに収容される。ここでは、次のキューにフレームが収容される。
・ポート1の受信バッファキュー(1):サブキャリア番号1〜50に収容された優先フレーム
・ポート1の受信バッファキュー(2):サブキャリア番号51〜100に収容された非優先フレーム
・ポート2の受信バッファキュー(1):サブキャリア番号1〜60に収容された優先フレーム
・ポート2の受信バッファキュー(2):サブキャリア番号61〜100に収容された非優先フレーム
(S5)容量?:転送先ポートの空き容量を確認する。転送先ポート11については、l=1のときk=50、l=2のときk=60であることから、
【数6】
となる。転送先ポート15については、l=1のときk=50、l=2のときk=40であることから、
【数7】
となる。以上のように本例では、転送先ポート11へのトラフィックは、ポート1からのトラフィックは50Gbpsであり、ポート2からのトラフィックは60Gbpsであることから、転送先ポート11については、容量が不足している。そのため、転送先ポート11へのトラフィックに関しては、ステップ7の「優先度?」処理に進む。一方、宛先ポート15へのトラフィックは、ポート1からのトラフィックは50Gbpsであり、ポート2からのトラフィックは40Gbpsであることから、転送先ポート15については、空き容量がある。そのため、転送先ポート15へのトラフィックに関しては、ステップ6の「スイッチング」処理を行う。
(S6)スイッチング:受信フレームを、宛先ポートへ転送する。宛先ポートへ転送されたフレームは、マルチキャリア信号送信インタフェースにおいて各サブキャリア信号にマッピングされ送信される。
(S7)優先度?:容量が不足になっている転送先ポートの収容フレームは、優先フレームである。
(S8)廃棄処理:受信側バッファにおいて、転送先ポートにおいてあふれる分のフレームが廃棄される。ここでは、サブキャリア番号51から60のフレームが廃棄される。廃棄されずに送信されるフレームは、マルチキャリア信号送信インタフェースにおいて各サブキャリア信号にマッピングされ送信される。
(S9)警報:ステップ8において優先フレームを廃棄された。そのため、警報としてサブキャリア番号51から60のフレームが廃棄されたことを送出する。
(S11)終了:一連の動作終了。開始へ戻る。
【0033】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様および変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等範囲によってのみ規定されるものである。