特許第5737766号(P5737766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737766
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】携帯用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20150528BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20150528BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   H02J7/00 A
   H02J7/00 X
   H02J7/00 301B
   H02J7/00 302C
   G01R31/36 A
   H02J7/34 E
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-42616(P2013-42616)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-171348(P2014-171348A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2013年9月26日
【審判番号】不服2014-3525(P2014-3525/J1)
【審判請求日】2014年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505425878
【氏名又は名称】中村 正一
(73)【特許権者】
【識別番号】592248835
【氏名又は名称】日本エー・シー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【復代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 正一
【合議体】
【審判長】 新海 岳
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−227732(JP,A)
【文献】 特開2007−202347(JP,A)
【文献】 特開2008−295129(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な外部機器に電源を供給する携帯用電源装置であって、
商用電源を直流電力に変換して出力すると共に前記商用電源とは切り離し自在な直流電源回路と、
前記直流電源回路からの直流電力により充電可能な複数の二次電池を含むバッテリー電源部と、
充電時に前記バッテリー電源部への充電経路を形成する充電切換回路と、
前記二次電池ごとに端子電圧を監視して、放電による電圧低下及び前記充電時における充電異常を検知して表示する表示部を含む充電管理部と、
電源を供給する複数の前記外部機器の各動作電圧及び該外部機器の電源入力端の形状に対応する複数の電源出力端と、前記各電源出力端に対応する直流電圧に前記バッテリー電源部の電圧を変更するDC−DCコンバータとを含み、前記外部機器の前記電源入力端の形状に適合する前記電源出力端から前記DC−DCコンバータによりDC−DC変換した所定の直流電源を出力する電源出力部と、
前記直流電源回路、前記充電管理部、前記充電切換回路及び前記電源出力部を内蔵するケースと、
人が胴部に巻いて前記バッテリー電源部と前記ケースとを保持するベルトと、を備え、
前記ケースには、接続される前記外部機器の前記電源入力端の形状に適合する各種の前記電源出力端を配置したことを特徴とする携帯用電源装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記充電異常をインジケータの点灯又は報知器からの警告によって表示することを特徴とする請求項1に記載の携帯用電源装置。
【請求項3】
前記表示部は、さらに充電時における前記二次電池の個々の充電完了を表示することを特徴とする請求項2に記載の携帯用電源装置。
【請求項4】
前記バッテリー電源部における複数の前記二次電池は直列接続されており、充電時に前記充電管理部は、前記端子電圧が所定レベル以下であることを検出した前記二次電池に対し前記直流電源回路からの充電が行われるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯用電源装置。
【請求項5】
前記電源出力端には、USB形式による電源出力端を含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯用電源装置。
【請求項6】
前記外部機器は、作業者が頭部に被るヘルメット又はヘッドバンドに装着するLEDスポットライトであることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の携帯用電源装置。
【請求項7】
前記ヘルメット又はヘッドバンドには、LEDスポットライトと共に撮像装置が取り付けられることを特徴とする請求項に記載の携帯用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の電気・電子機器にバッテリー電源を供給する携帯用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話器、携帯用パソコン、移動用医療機器、電動工具等の移動可能な外部機器に電源を供給する携帯用電源装置に関しては、商用電源を直流電力に変換する電源変換回路によって充電可能な電源装置側二次電池を備えて、電源変換回路からの直流電力又は充電装置側二次電池からの放電電力を外部機器の内蔵二次電池に充電し、外部機器が商用電源から切り離されても充電装置側二次電池から給電することで、外部機器の移動と共に携帯可能な充電装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、外部機器に電力を供給する二次電池を内蔵した携帯用電源装置として、内部に二次電池を収納する本体ケースの端面に二次電池を充電するための電力を外部から受けるための受電端子と外部の電気機器に電力を供給するための給電端子とを形成し、二次電池の電力を給電端子から供給する出力電力に変換する変換回路を実装した電源装置が知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−325390号公報
【特許文献2】特開2012−205371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の携帯用電源装置は電源装置側二次電池を補助電池として用いているために、外部機器を長時間に亘って作動させることができず、特に、医療機器や電動工具のように作業により長時間に亘って使用される機器の電源装置としては不向きであった。しかも、この充電装置は接続される機器の専用の充電装置のため、種々の外部機器に共通して使用できるようには構成されていない。
【0006】
一方、特許文献2の電源装置では、LED照明、電気カミソリ、電動歯ブラシ、電動ボウルやハンドミキサーなどによる外部機器を本体ケースに被せるキャップ形状にて構成し、このキャップ部をアタッチメントとして交換自在とすることで汎用性を有する携帯可能な電源装置となっている。しかし、この電源装置からは、本体ケースに適合するキャップの形状に構成した外部機器のみしか接続して電源の供給を受けることができず、自ずと利用範囲が限定されている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電源を供給する各種の外部機器を電源装置に適合させる形状に変更することなく使用でき、しかも長時間に亘り電源を供給可能な携帯用電源装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による携帯用電源装置は、移動可能な外部機器に電源を供給する携帯用電源装置であって、商用電源を直流電力に変換して出力すると共に前記商用電源とは切り離し自在な直流電源回路と、前記直流電源回路からの直流電力により充電可能な複数の二次電池を含むバッテリー電源部と、充電時に前記バッテリー電源部への充電経路を形成する充電切換回路と、前記二次電池ごとに端子電圧を監視して放電による電圧低下及び前記充電時における充電異常を検知して表示する表示部を含む充電管理部と、電源を供給する複数の前記外部機器の各動作電圧に応じて前記バッテリー電源部の電圧を変更するDC−DCコンバータを含み、前記外部機器の電源入力端の形状に適合する各種の電源出力端からDC−DC変換した所定の直流電源を出力する電源出力部と、前記直流電源回路、前記充電管理部、前記充電切換回路及び前記電源出力部を内蔵するケースと、人が胴部に巻いて前記バッテリー電源部と前記ケースとを保持するベルトと、を備え、前記ケースには、接続される前記外部機器の前記電源入力端の形状に適合する各種の前記電源出力端を配置したことを特徴にしている
【0009】
このとき、前記ケースの表面には、規格に準拠した各種の前記電源出力端を備えて、適合している外部機器の電源入力端と接続されるが、USB形式による電源出力端も含まれる
【0010】
前記充電管理部は、前記充電異常をインジケータの点灯又は報知器からの警告によって前記表示部に表示する。さらに、前記表示部は、充電時における前記二次電池の個々の充電完了を表示してもよい。
【0013】
そして、この携帯用電源装置は、例えば、作業者が頭部に被るヘルメット又はヘッドバンドに装着するLEDスポットライトや撮像装置を外部機器として直流電源を供給する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の二次電池を含むバッテリー電源部を保持具により保持して作業者の体に装着するために、大容量のバッテリー電源を確保して携帯することができる。そのため、屋外においても電動工具などの外部機器を長時間作動させて作業を行うことができる。また、医療分野においては、特に長時間に亘る手術や院外での診察等において患部を照らすスポットライトや医療機器の動作時間を充分確保することができる。
【0015】
しかも、複数の二次電池ごとに充電を監視して充電異常を表示するために、異常の二次電池を速やかに交換してバッテリー電源を最良な状態に保全しておくことができる。
【0016】
そして、電源出力部には、電源を供給する複数の外部機器の各動作電圧に応じてバッテリー電源部の電圧を降圧または昇圧して、外部機器の電源入力部の形状に適合している電源出力端から直流電源を供給するために種々の外部機器に利用可能な汎用性の高い携帯用電源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る携帯用電源装置の回路構成を示す。
図2】充電時における時間の経過とバッテリー電圧の変化を示す。
図3】本発明の実施形態に係る携帯用電源装置における充電管理部の構成をブロックで示す。
図4】DC−DCコンバータの構成例を示す。
図5】DC−DCコンバータの動作を波形で示す。
図6】本発明の実施形態に係る携帯用電源装置の外観構成図。
図7】本発明の実施形態に係る携帯用電源装置から給電されるLEDスポットライト及びビデオカメラが取り付けられるヘッドバンドの外観図。
図8】LEDスポットライトに定電流を供給する駆動回路の一例を示す。
図9】本発明に係る携帯用電源装置の全体動作を説明するフローチャート。
図10図9に続いて本発明に係る携帯用電源装置の全体動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1において、直流電源回路3は、商用電源11から電源トランス12に印加される交流電圧を降圧して、整流回路13および平滑回路14を通し直流電圧に変換した後、トランジスタ9を通してバッテリー電源部1に充電電流を供給する。このとき、差動増幅器15は、定電圧ダイオードによる基準電圧Vと、出力電圧Vを抵抗R、Rで分圧した電圧Vとを比較し、VとVとが常に等しくなるようにトランジスタ9へ信号を出力して出力電圧を安定化させている。
【0020】
バッテリー電源部1は複数の二次電池1乃至1を直列接続して構成されており、その端子A、Bに直流電源回路3から定電流定電圧が供給さてれ充電が行われる。充電切換回路4は、バッテリー電源部1への充電と同時に通電されて、接点S1を閉止すると共に接点S2を開放する。これにより、バッテリー電源部1は接点S1を通して直流電源回路3によって充電される。
【0021】
充電管理部5は、バッテリー電源部1の充電時において、二次電池1乃至1の個々の充電状況から充電の完了又は充電の異常を検知するものである。図2は、二次電池1乃至1に充電を行うときの個々の二次電池の端子電圧Vcの時間軸での変化を示しており、バッテリー電源部1のバッテリー電圧は、接点S1の閉止による充電開始のtから一定時間後のtまで徐々に上昇していき、その後、一定となる。しかし、二次電池が不良であると、tから急激に上昇するか、または上昇しない。そこで、t近辺での電圧Vcの変化を確認することで充電の異常を検知することができる。
【0022】
また、充電時に二次電池に流れる電流からも充電の完了又は充電の異常を検知することができる。図示しないが、二次電池1乃至1は正常な場合、充電開始後から一定時間は最大電流が流れるが、この電流はある時点から徐々に減少していく特性を示す。よって、この時間による電流変化のタイミングに基づいて充電の完了又は充電の異常を判定することができる。
【0023】
このような充電管理部5は、図3に示すように各二次電池1乃至1のそれぞれに対応して、電圧検出部5aと、電圧比較部5bと、3個のLED素子を含む表示部5cとから成る充電検出部5Aと、各電圧比較部5bに共通してタイマ信号を供給するタイマ5Bとから構成されている。各二次電池1乃至1に対応している各表示部5cの3個のLED素子は、例えば、緑色、橙色及び赤色のそれぞれ発光するときの色が異なるLED素子が用いられる。
【0024】
それぞれの電圧比較部5bは、充電を開始してからタイマ5dによって示される一定時間後のΔTで示す期間において、電圧検出部5aが検出する充電端子電圧がΔV上昇していると被充電電池を正常と判定し、表示部5cに充電完了信号を出力する。これにより、表示部5cは、緑色LED素子を点灯させて充電の完了を表示する。しかし、電圧比較部5bは、充電開始後から充電端子電圧が急激に上昇するか、または、ΔTの期間で充電端子電圧が上昇せずに、ΔTの期間でΔVの電圧上昇が検出できないと被充電電池を異常と判定し、表示部5cに不良判定信号を出力する。これにより、表示部5cは、赤色LED素子を点灯させて充電異常を表示する。
【0025】
そして、橙色LED素子は、対応している二次電池1乃至1のバッテリー電圧の低下を表示する。このとき、電圧比較部5bは、電圧検出部5aで検出する二次電池1乃至1のバッテリー電圧が所定レベル以下に低下すると、電圧低下信号を出力して橙色LED素子を点灯させてバッテリー電圧の低下を表示する。そして、電圧比較部5bは、充電によりバッテリー電圧が回復したのを検出すると橙色LED素子を消灯するが、この充電時での充電異常を検出すると、赤色LED素子を点灯させて充電異常を表示する。
【0026】
図1に戻って、電源出力部7は、バッテリー電源部1のバッテリー電圧をDC−DCコンバータにより所望の直流電圧に変換して外部機器に供給するもので、種々の外部機器の電源入力端と接続するための複数の電源出力端30を有している。電源出力端30と外部機器の電源入力端とで構成されるDCコネクタは、例えば、同心円に配置された2極の導体を接触させるもので中心電極がプラス極、外周電極がマイナス極としていて、電圧区分でサイズが異なる。よって、電源出力部7は、それぞれの電圧区分に応じてバッテリー電圧をDC−DCコンバータによって降圧又は昇圧してそれぞれの電源出力端30に出力する。このようなDCコネクタは、上記の同軸以外に電極がピン形状の物など接続する外部機器によって多種存在している。
【0027】
DC−DCコンバータの一例を図4で示すと、バッテリー電源部1のバッテリー電圧をスイッチング素子15により高速にスイッチし、バッテリー電圧を整流し平滑してトランス16の変圧比によって出力回路19から所望の直流出力Voで取り出す構成となっている。図5を用いてDC−DCコンバータ20の動作をさらに説明すると、駆動回路17は、定電圧あるいは定電流の検出回路18から出力された電圧と基準電圧となる三角波とを比較し、三角波の電圧が高い期間をスイッチング素子15のオン(ON)期間とすることで、検出回路16のフィードバックによってスイッチング素子15によるスイッチング周期tでのオン/オフ比(デューティ)を変化させて安定化出力を得る。
【0028】
図4に示すDC−DCコンバータ20は、絶縁型フォワードコンバータであり、本発明に係る携帯用電源装置をノートパソコンや電動工具の電源などに使用する場合には、バッテリー電源部1を3.7Vの20個のリチュームイオン二次電池によって構成したとすると約80Vのバッテリー電圧を16Vに降圧して、この電圧を供給する電源出力端30に供給する。
【0029】
また、携帯電話、スマートフォン及びタブレット端末などの充電に使用する場合には、16Vをさらに電圧変換し5Vに降圧してUSB規格による電源出力端31(USBポート)から供給する。この場合、USB充電コードを利用して携帯電話などをUSBポート31と接続することで充電が可能となる。5Vで動作する各機器にもこのUSBポート31に接続できれば、DC電源を供給することができる。これ以外にも、例えば、デジタルスチルカメラに電源供給する場合には3Vに降圧してその電源出力端30に出力し、デジタルビデオカメラに電源供給する場合には6Vに降圧してその電源出力端30に出力するなど、DC電源にて作動する各種機器に対応して複数通りの電源電圧を供給する。よって、電源出力部7は、機器に供給する各電源電圧に応じた電源出力端30及びUSBポート31を備えている。
【0030】
図6は本発明に係る携帯用電源装置の外観を示しており、作業者の腰に巻くベルト40には、バッテリーパック44がそれぞれ嵌め込まれる受部41が形成されている。各バッテリーパック44は、二次電池1乃至1の内の2個を一つの容器にまとめたもので、2個の二次電池は直列接続されてこの容器に組み込まれる。さらに、コントロールユニット10は、直流電源回路3、充電切換回路4、充電管理部5及び電源出力部7を内蔵しており、ベルト40に取り付けられている。
【0031】
コントロールユニット10と各受部41とはハーネス42によって接続される。このハーネス42は、コントロールユニット10内に配置されている端子A、B間(図1に図示)に、受部41に嵌め込まれる隣り合うバッテリーパック44の+側と−側を接続する配線と、コントロールユニット10内の充電管理部5から各二次電池1乃至1の+側と−側に対してそれぞれ並列に接続される配線とを含むものである。
【0032】
そして、コントロールユニット10は、その外枠ケースが箱体で構成されており、表側の面には、充電管理部5の各充電検出部5Aにおける各二次電池1乃至1に対応している表示部5cを構成するインジケータ2乃至2が配列されている。インジケータ2乃至2は、各表示部5cの緑色、橙色及び赤色の一組のLED素子を一つのパッケージにしたもので、点灯するLED素子により緑・橙・赤の何れかの色を表示する。
【0033】
そして、コントロールユニット10の外枠ケースの側面には、電源を供給する機器を接続するための電源出力端30及びUSBポート31が配置されている。前述したように、DCコネクタの電源出力端(電源プラグ)と電源入力端(電源ジャック)は、規格に準拠して種々の形状やサイズがあり、外枠ケースの4つの側面のスペースを利用して、これらの規格に応じた各種の電源出力端30としての各種の電源プラグが設けられている。そして、形状やサイズが適合している電源プラグに、外部機器の電源入力端であるサイズが適合している電源ジャックが差し込まれると、その規格に応じた電源電圧の直流電源がこの電源プラグからこの外部機器に出力される。また、USBポート31からは外部機器の電源入力端であるUSB充電ケーブルを差し込むことで、5Vの直流電源が出力される。
【0034】
充電器46は電源トランス12を含み、プラグ43をコントロールユニット10の電源入力端子に接続することで商用電源11が直流電源回路3に印加され、そして上記したように充電切換回路4が通電されることで接点S1が閉止して、これによりバッテリー電源部1への充電が行われる。
【0035】
コントロールユニット10を介してバッテリー電源部1から外部機器へ駆動電源を取り出す具体例について説明する。図7は、作業者が頭部に被るヘッドバンド21にLEDスポットライト29(ヘッドライト)とデジタルビデオカメラ34を取り付けて、コントロールユニット10から電源供給される例を示している。ヘッドバンド21を着用した作業者は、ヘッドライト29によって作業箇所を照らしながら作業を行い、その状況をビデオカメラ34によって撮影することができ、暗闇での作業や医療手術のような精密作業など幅広い分野で利用できる。しかし、特にヘッドバンドに限るものではなくヘルメットなどの帽子でもよく、また照明用途のみでヘッドライト29だけを取り付けたものであってもよい。
【0036】
因みに、LEDスポットライトを操作者の頭部に装着するのに双眼ルーペを保持具としてもよい。双眼ルーペは、手元の局所的な視覚対象物を拡大して視認するもので、医療、精密工作、宝石加工等の各分野に広く使用されていて、眼鏡と同じ構造のフレームに作業対象の像を拡大するための双眼ルーペ本体を装着しており、このフレームにLEDスポットライトを装着するものである。そして、作業者はフレーム蔓部を耳に掛けてLEDスポットライトを頭部に保持する。
【0037】
電源の供給は、この例でのヘッドライト29とビデオカメラ34は共に6Vで駆動するものとして、給電コード32の電源入力端である電源ジャック33をコントロールユニット10の外枠ケースに配置されている中からサイズが適合している電源出力端30(電源プラグ)に差し込むことにより電源出力部7と接続される。そして、電源出力部7は、給電コード32を介して、6Vの直流電源を生成するDC−DCコンバータからヘッドライト29及びビデオカメラ34にそれぞれ電源を供給する。
【0038】
図8は、ヘッドライト29のLED素子を定電流で駆動するようヘッドライト29に設けられる駆動回路20の構成を示し、電源端子28には、電源出力部7から6VのDC電源が供給されている。この電源端子28と接地間には、ヘッドライト29の光源であるLED29Aと、コレクタがLED29Aと接続される駆動トランジスタ23と、抵抗24とが直列に接続されている。また、電源端子28と接地間には、この直列回路とは並列に定電圧ダイオード25と、抵抗26とが直列接続されている。さらに、トランジスタ23にベース電圧を印加する差動増幅器27の+入力側には抵抗26の端子電圧が印加されて、−入力側には抵抗24の端子電圧が印加されている。
【0039】
駆動回路20は、電源端子28からの電源供給によりトランジスタ23が差動増幅器27からベース電圧が印加されてオンすると、LED29Aに電流が供給されて発光する。そして、LED29Aに流れる電流が設定値を超えると抵抗24の端子電圧が上昇するため、差動増幅器27はトランジスタ23をオフさせてLED29Aへの供給電流を遮断する。このようなトランジスタ23のオン・オフの繰り返しにおりLED29Aを定電流で駆動する。LED素子を定電流で駆動する回路は、上記の構成に限らず、例えばMOS型の電界効果トランジスタを使用して、電界効果トランジスタのゲートに供給するパルス信号のデュ−ティを制御することでLED29Aへの供給電流を一定にするパルス駆動方式による駆動回路などでもよい。
【0040】
上記の具体例で示す本発明に係る携帯用電源装置は、医療分野においては、施術者がバッテリーを保持しているベルト40を腰に巻いて、ヘッドライト29及びビデオカメラ34が取り付けられているヘッドバンド21を頭に被って手術を行う用途がある。この場合、ベルト40には多数のバッテリーパック44が保持されているために、長時間の手術であってもヘッドライト29及びビデオカメラ34は十分作動可能である。また、医療分野における外部機器としては、ヘッドライト29やビデオカメラ34に限らず人工透析器や血圧計さらには人工心臓などでも利用することができ、院外や大きな停電時における診療、手術に有効である。
【0041】
また、作業者がベルト40を腰に巻いて、電動工具の電源ジャックを適合する電源プラグ(電源出力端30)に差し込むことで、長時間に亘って屋外での作業を行うことができる。しかも、使用する電動工具の電源ジャックに適合している電源プラグを選択して接続することで、作業する内容に応じてドリル・ノコギリ・ハンマー・レンチなど種々の電動工具を使い分けることができ、この面からも屋外の作業にも非常に有効な携帯用電源装置となる。
【0042】
次に、本発明に係る携帯用電源装置の全体動作を説明する。図9及び図10は本実施の形態の携帯用電源装置の動作の概略を説明するフローチャートである。
【0043】
まず、図9において、ステップST1では、商用電源11が接続されたかを判別する。図6の例では、プラグ43がコントロールユニット10の電源入力端に差し込まれて商用電源11と接続されると、直流電源回路3は、電源トランス12で降圧された商用電源を整流回路13及び平滑回路14を通し直流電圧に変換し、トランジスタ9を通して充電切換回路4に通電する(ステップST2)。通電により充電切換回路4が動作すると、接点S1を閉止すると共に接点S2を開放し(ステップST3)、バッテリー電源部1の二次電池1乃至1が充電される(ステップST4)。
【0044】
そして、充電開始のtからt時間が経過すると、充電管理部5は、個々の二次電池1乃至1に対して、tからΔTで示す期間で各二次電池の端子電圧がΔV上昇しているかを判定し、電圧が上昇している二次電池を正常と判定し、ΔVの電圧変化がない二次電池を異常と判定する(ステップST5)。そして、充電管理部5は、この判定結果に応じてそれぞれの充電完了の緑色LED素子或いは充電異常の赤色LED素子を駆動してインジケータ2乃至2に表示し(ステップST6)、次に全ての二次電池が1乃至1正常に充電完了したかで充電終了を判別する(ステップST7)。
【0045】
充電管理部5は、異常と判定した被充電電池が無ければ充電終了と判断して、次に商用電源11が切り離されるのを待機する(ステップST8)。ここで、充電終了によりプラグ43が引き抜かれて商用電源11が切り離されると、充電切換回路4は通電が断たれて不動作となるために、接点S1は開放状態、接点S2は閉止状態にそれぞれ復帰し(ステップST9)、インジケータ2乃至2による充電完了表示を停止して(ステップST10)、ステップST11(図10)の動作となる。
【0046】
一方、充電不良の被充電電池がある場合には充電終了とならずステップST7の動作からステップST4の動作となる。この場合、充電不良の二次電池があることをインジケータにより確認したことで、不良の二次電池と正常な二次電池との交換作業が行われ、その後、全ての二次電池1乃至1の充電が終了すると、上記のステップST8からステップST10の動作が行われる。
【0047】
そして、外部機器の電源プラグ又は電源ジャックが所定の電源出力端30に差し込まれて接続されると(ステップST11)、例えば、図7に示すヘッドライト29及びビデオカメラ34に6Vの直流電源を供給する電源ジャック33がコントロールユニット10の6Vの電源プラグ30(電源出力端)に差し込まれると、DC−DCコンバータによりバッテリー電源が6Vに降圧されてヘッドライト29及びビデオカメラ34に供給される(ステップST12)。しかし、外部機器が接続されないときはステップST11からステップST13の動作となる。
【0048】
ステップST13において、充電管理部5がバッテリー電源の消耗により二次電池1乃至1の電圧が所定レベルにまで低下するのを検知すると、電圧の低下した二次電池を対応しているインジケータ2乃至2に表示して(ステップST14)、図9のステップST1の動作となる。本例では、二次電池の電圧低下は充電異常を橙色表示のLED素子により表示して、上記のステップST1の動作となる。
【0049】
ここで、インジケータ2乃至2の表示により電圧低下が確認され充電のために商用電源11が接続されたときには、上記したように充電切換回路4が通電され(ステップST2)、接点S1が閉止して接点S2が開放する。これにより二次電池1乃至1に充電が行われ(ステップST4)、充電管理部5が二次電池1乃至1ごとに正常又は異常を判定し(ステップST5)、正常に充電が行われた二次電池1乃至1にはインジケータ2乃至2を充電異常表示(電圧低下表示)から充電終了表示の緑色LED素子の点灯に切り替える。しかし、充電管理部5は、充電異常の二次電池1乃至1については、電圧低下の表示から赤色LED素子を点灯させて充電異常表示に切り換える。なお、充電管理部5は、電圧低下の表示がない二次電池1乃至1についても充電異常を検出したときは、この時点で赤色表示のLED素子を点灯して充電異常を表示する。
【0050】
一方、二次電池1乃至1の電圧低下をインジケータ2乃至2が表示していても、外部機器への電源供給の継続が選択されて商用電源11が接続されない場合には、ステップST1から再びステップST11の動作となる。よって、外部機器が継続して接続されている間は、電圧低下を表示しながらも、ステップST1で商用電源11が接続されるまでは、ステップST1−ステップST11−ステップST12−ステップST13−ステップST14の動作を繰り返して外部機器への電源供給を行う。しかし、外部機器の接続が解除されたときは電源供給を停止し、この場合は、ステップST1で商用電源11が接続されるまでステップST1−ステップST11−ステップST13−ステップST14の動作を繰り返して、二次電池1乃至1の電圧低下を表示する。
【0051】
インジケータ2乃至2はそれぞれ3色のLED素子を含むものであるが、2色のLED素子によって構成し、例えば、赤色LED素子によって端子電圧の低下と充電異常との表示を兼用してもよい。この場合、充電管理部5は、端子電圧が低下している二次電池1乃至1をそれに対応している赤色LED素子を点灯させて表示するが、その後の充電で充電異常を検出すると継続して赤色LED素子を点灯させる。
【0052】
また、表示部5cは、インジケータ2乃至2と共に、又はインジケータ2乃至2の代わりに報知器を備えてもよい。報知器による報知音には、電子音や音声合成による音声などが用いられるが、充電完了・充電異常・バッテリー電圧の低下をそれぞれ電子音のトーンや音声合成による音声内容により区別して報知する。このような報知器をインジケータ2乃至2と共に用いる場合には、充電異常やバッテリー電圧の低下、特に充電異常を警告するものであればよい。
【0053】
上記した実施形態による携帯用電源装置は、バッテリー電源部1の各二次電池1乃至1には直列の充電経路によって充電する簡易な充電方法を採用している。しかしながら、多数の二次電池1乃至1を用いる場合、個々の二次電池の電池性能のばらつきから充電時期がそれぞれ異なり、電圧が低下した二次電池をその都度交換することを長期間行うと、全ての二次電池1乃至1に対して一様に適切な充電を行うことができなくなる。そのため、バッテリー電源部1の各二次電池1乃至1には直列の充電経路で充電する場合は、期間を定めてその時期が来たときは一斉に二次電池1乃至1を交換するのが好ましい。
【0054】
これに対して、二次電池1乃至1を一斉に交換せずとも二次電池1乃至1に適切な充電を行うこと可能である。
【0062】
また、別の実施形態としては、バッテリー電源部1の各二次電池1乃至1には比較的大容量のものを用いてこれを並列接続して構成し、充電も個別に電圧の低下した二次電池1乃至1に充電する構成であってもよい。
【0063】
以上、詳述したように、本発明は、複数の二次電池を身体に装着することで大容量のバッテリー電源を確保でき、しかも電源を供給する外部機器の電源ジャックに適合する電源出力端30を選択して接続することができるために、各種の外部機器に対応可能な汎用性の高い携帯用電源装置が提供される。したがって、携帯電話やパソコンへの充電などに止まらず、移動可能な電動工具、医療機器、撮影機材にも適用でき種々の業務分野で幅広く利用することができる。
【0064】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、種々の外部機器との接続により直流電源を供給する汎用性の高い携帯用電源装置に関し、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0066】
1 バッテリー電源部
3 直流電源回路
4 充電切換回路
5 充電管理部
5c 表示部
7 電源出力部
10 コントロールユニット(ケース)
11 商用電源
21 ヘッドバンド(保持具)
29 ヘッドライト(外部機器)
30 電源出力端(電源プラグ)
31 USB形式による電源出力端(USBポート)
33 電源入力端(電源ジャック)
34 ビデオカメラ(外部機器)
S1 接点
S2 接点
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8
図9
図10