(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液槽基底部の液排出口に流体連絡的に接続された排液本管の特定部、即ち、液槽基底部の液排出口と、排液本管自体に設けられた排液弁との間の部分に、流体連絡的に接続された油層上面レベル調整用排液支管の上端が、油層の規定上面レベルと実質的に同じレベルで実質的に水平に切断された自由端とされ、この自由端に如何なる液体誘導手段も直結されないようにされたことを特徴とする、請求項1に記載のフライヤー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1には、液槽内に調理油と水の上下層を設ける形式のフライヤーであって、水層に積極的に水平渦流を発生させ、油層中に設けられたヒーター付近の油にもその渦流の影響を及ぼすことで、ヒーターと油との熱交換効性を高め、ヒーター自体、及び、ヒーター近傍の油の過熱防止を計ろうとするフライヤーが開示されている。
【0005】
上記特許文献をはじめとして、様々な観点からフライヤーの機能を向上させる試みがなされている。その一方で、とくに油の汚濁抑制という観点からは、上側の油層と下側の水層を互いに境界を接するように液槽に湛えるという基本的な構成のままであり、この点についてのさらなる進展が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題の解決のため、本発明では、以下のフライヤーを提供する。第一の発明で提供されるフライヤーは、食材を調理槽としての液槽内で、水上に湛えられた油層の高温の調理油によりディープフライ処理する方式のものであって、上側の油層、この油層と界面を接する下側の水層、及び、油層中に配設されたヒーターを備えるとともに、水層内に積極的に水流を形成させ、水層と油層の界面近傍において、水流の流速と、水流に付随する油層の油流の流速とに相対差を生じさせることで、油層に含まれている種々の油汚染物質が水層により回収されやすくする異流速発生機構を備えたものである。
【0007】
第二の発明で提供されるフライヤーは、上記異流速発生機構として、液槽側壁部若しくはそれに実質的に沿った部分から、ほぼこの液槽側壁部の水平方向幅にわたって、幾何学的に連続的若しくは非連続的に水を噴射して、水層内に然るべき幅を備えた略層流状の水流を形成させることで、上記水層と上記油層の界面近傍において、水層の水に積極的に与えられる水流の流速と、水流に付随する油層の油流の流速とに相対差を生じさせるものが使用されたものである。
【0008】
第三の発明で提供されるフライヤーは、上記異流速発生機構として、液槽内で水層内に設置可能な構造の、独立型の円環状水噴射器であって、その円環状水噴射器の中空円環状本体の円周部に、円環の周方向に沿って、望ましくは複数個の水噴射穴が設けられたものである。この、円環状水噴射器は、その噴射穴から噴射される水で形成される水流を液槽内面で反射させて、上記水層と上記油層の界面下に到達させることで、滓状物が、液槽の側壁付近で淀みにくいようにするとともに、水層と油層の界面近傍において、水層の水に積極的に与えられる水流の流速と、水流に付随する油層の油流の流速とに相対差を生じさせる機能を備えている。
【0009】
第四の発明で提供されるフライヤーは、液槽基底部の液排出口に流体連絡的に接続された排液本管の特定部、即ち、液槽基底部の液排出口と、排液本管自体に設けられた排液弁との間の部分に、流体連絡的に接続された油層上面レベル調整用排液支管の上端が、油層の規定上面レベルと実質的に同じレベルで実質的に水平に切断された自由端とされ、この自由端に如何なる液体誘導手段も直結されないようにされたものである。
【0010】
第五の発明で提供されるフライヤーは、水噴射器に上水道水が、水圧及び/又は流量が調節された上、供給されるようにされたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、油層中の油の汚濁抑制をさらに向上させたフライヤーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0014】
本実施形態のフライヤーは、液槽側壁部に沿った部分に、ほぼ液槽側壁部の水平方向幅にわたって、横並びに設けられ複数個の水噴射穴から水層内へ水を同時に噴射して、水層内に然るべき幅を備えた実質的に層流状の水流を形成させ、水層と油層の界面近傍において、水層の水に積極的に与えられる水流の流速と、水流に付随する油層の油流の流速とに相対差を生じさせる異流速発生機構を備えたものである。ただし、液槽側壁部に沿った部分に複数個の水噴射穴を横並びに設ける代わりに、実質的に横方向に延びたスリットを少なくとも1本設けることもできる。また、水噴射穴又はスリットの形状、寸法、配置については、この異流速発生機構の適用されるフライヤーの構造、特にその液槽の幾何学的形状や寸法に応じたものとされる。
<実施形態1 構成>
【0015】
図1は、本実施形態に係るフライヤーの概念図である。
図1(a)は、上方視した概念図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示されるA−A線での切断面図である。
【0016】
図1(b)の切断図のように、液層10には、調理油と、その浄化用の水が、互いの比重差で上側の油層101と下側の水層102の二層に分離した状態で貯留され、油層101中には、その油を過熱するためのヒーター20が配設される。
【0017】
本実施形態のフライヤーでは、上述の異流速発生機構により、油層に含まれている前述の油汚染物質が水層により回収されやすくされる。
図1のフライヤーには、異流速発生機構の一例としての水噴射器30が示されている。この水噴射器30は、液槽10の側壁部11の水平方向の一端から他端までの間に、その側壁11に沿うように、実質的に水平に横並び配列された複数の水噴射穴を備えている。この水噴射器30により、複数の水噴射穴から水層102内へ水が実質的に平行に、かつ、同時に噴射される。その結果、水層102内に、実質的に水平方向に或る幅を持った層流が、側壁部11に対向する側壁部16へ向かうように形成される。水噴射器30の水噴射穴から水層102内へ向かう水流は、
図1(a)では矢印80で示されている。なお、この水噴射器30への水供給は、例えば、例示されているような水供給管32で行われる。
【0018】
図1(b)を用いて水噴射器から噴射される水による流れを説明する。水噴射器30が配設される液槽の側壁部11の液槽内側へ噴射される水は流れ104を形成する。この水流は水層と油層との界面Lifと略平行に進み、水噴射器が配設される側壁部と対向する側壁部16へ到達するとその側壁部に沿って下降し、さらに液槽底部の傾斜壁部17に沿って流れを形成する。そして、傾斜壁部に沿った流れは再び側壁部に至りそれに沿って上昇する。なお、傾斜壁部は側壁部16から側壁部11に向かって下方に傾斜しつつ、この傾斜の方向と直交する方向においてもその中央線18に向けた傾斜を形成し、排液口14が最も深い位置となるように構成している。なお、液槽底部の形状は
図1(b)に示した態様に限られず、例えば、切妻屋根を逆さにした形状として屋根の頂部に該当する部分、すなわち液槽内の最深部に排液口を設けるように構成してもよい。
【0019】
水層と油層との界面においては、その界面に沿って進む水流に促され、換言すれば、その水流の保有する運動エネルギーの一部により、油層にも油流が形成される。この油流は、
図1(b)において、点線矢印103で示されている。
【0020】
この油流の形成においては、油流の速度は水流の速度より必然的に低くなり、水流の速度と油流の速度との間の自ずと差異が生ずる。それは、基本的には、調理油は、水より大きい粘性を備えているため、油流の形成に水流の形成より大きなエネルギーが必要とされること、水層から油層へ、両層の界面を介して伝えられる運動エネルギーは、水流の保有する運動エネルギーの一部でしかないことなどによる。また、水流の速度と油流の速度との間に差異を生じさせる、さらなる要因としては、油流が、油層中に配設されるヒーター20や、ヒーターの上方に配置される調理品受け止め用金網15による抵抗を受けることなども挙げられる。
【0021】
油層に含まれる油汚染物質の中、水分や水溶性の液体、固体は、油層101と水層102の界面Lifで水層102の水に溶けてゆき、滓状物(固形物や非水溶性のコロイド状物質)は、重力による自然沈降または油層101における循環流により界面Lif付近に至る。そして、その滓は、界面Lifにおいて油流と流速の異なる水流により水層102に引き込まれた後、重力と水層中の循環流により、さらに液槽深部ないしは液槽傾斜部17沿いに導かれる。なお、水噴射器30の操作に際しては、水の噴射条件を適宜調製し、水層深部にせっかく導かれた非水溶性物が、重力に抗して、水層中の循環流で巻き上げられないようにする必要がある。
【0022】
水噴射器30から噴射される水としては、予め所定の圧力の掛かった衛生的な上水道水の他、液槽10の排液口から排出される排液の、濾過器などによる浄化水や、その浄化水と上水道水との混合水などを使用することができる。いずれの水を使用する場合でも、給水管32への給水に際し、給水系統に加圧ポンプ、圧力調整弁、流量調整弁が必要に応じて設けられる。
<実施形態1 効果>
【0023】
本実施形態により、油層中の油の汚濁抑制をさらに向上させたフライヤーを提供することができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0024】
本実施形態は、油層と水層とが上下2層に湛えられたフライヤーにおける、以下のさらなる課題につき、解決を目指すものである。
第一の課題として挙げられるのは、前に述べた水噴射器の場合、それが設置される側の液槽側壁には水流が及ばず、滓が、液槽側壁付近の水層に留まりやすくなることである。そこで、まず、滓が、水槽の側壁付近の水層中で淀みにくいように工夫された別形態の水噴射器を提供することにする。
【0025】
第二の課題として挙げられるのは、液槽における油層上面のレベルを実質的に一定に保つため手段が必要とされることである。なぜなら、油層の上面レベルは、液槽の上縁位置、ヒーター位置、揚げ物落下防止網の位置などの関係から、ほぼ一定にしておく必要があるにもかかわらず、油層の油の体積が、揚げ調理時に油層に投入された食材の体積、食材に由来する油脂分や水分、揚げ物の一部としてや飛散油として油層を去る油の体積などの影響を受け、絶えず変動するからである。そこで、次に、液槽における油層上面レベルを実質的に一定に保つため手段として、液槽中で油層を担っている水層の保有水量を、油層の油の体積変動に応じて補償的かつ自動的に調節する機構を提供することにする。
【0026】
従来のフライヤーにおいては、油水界面レベルを一定に保つのに、油水界面レベル検知センサーや許容最低水位/許容最高水位検知センサー、それらセンサー用の電子的制御器、自動制御装置を用いるものがある。その一方で、油層上面レベル調節のために行う水位(油水界面レベル)調節のための水層水排出用手動弁を設け、調理人などが自ら弁の開閉を行うことで一定レベルを保持せしめるものがある。前者においては、構造が複雑なため、製造コストが嵩むのみならず、維持の手間と経費も問題になる。また、後者においては、手動弁の操作を従事者に強いることとなり、作業効率の低下を招来することになるという問題がある。
【0027】
そこで、第一の課題に対しては、食材を調理槽としての液槽内で、水層上に湛えられた油層の高温の調理油によりディープフライ処理する方式のフライヤーであって、水層への水注入手段として、水層の存在する部位において液槽内に設置可能な構造を備えた独立型の円環状水噴射器が用いられること、及び、この水噴射器の中空円環状本体の下面を含む周囲に、液槽側壁及び/又は液槽漏斗部に向けて、望ましくは複数本の水流を形成し得る、望ましくは複数個の水噴射穴が設けられることを特徴とするフライヤーを提供する。
【0028】
また、第二の課題に対しては、上記のフライヤーであって、さらに、液槽基底部の液排出口に流体連絡的に接続された排液本管の特定部、即ち、液槽基底部の液排出口と、排液本管自体に設けられた排液弁との間の部分に、流体連絡的に接続された油層上面レベル調整用排液支管の上端が、油層上面レベルと実質的に同じレベルで実質的に水平に切断された自由端とされ、この自由端に如何なる液体誘導手段も直結されないようにされたことを特徴とするフライヤーを提供する。さらに、上記いずれかのフライヤーであって、水噴射器に上水道水が、水圧及び/又は流量が調節された上、供給されることを特徴とするフライヤーを提供する。
<実施形態2 構成>
【0029】
本実施形態のフライヤーを
図2から
図7の各図に基づいて説明する。調理槽としての液槽10は、例えば平面図的に矩形に、特に
図2のように正方形に作られたものであって、四面の実質的鉛直壁で形成される側壁部11と、その下の截頭正方錐体状の漏斗部12を備えている。側壁部11の各実質的鉛直壁と、漏斗部12の各傾斜壁は整合的に接続され、漏斗部12の最下端部には、排液口14の設けられた基底面13が設けられる。
【0030】
液槽10には水と調理油が湛えられ、下側の水層102と上側の油層101が形成される。油層101の形成部においては、側壁部11に、油槽加熱用電気ヒーター20が装着されるとともに、加熱調理品の深部沈降防止用の金網15或いはそれに類する格子、多孔板などが、随意に懸架される。また、水層102の形成部には、水噴射器30が設けられる。
【0031】
本実施形態のフライヤーの水噴射器30は、特に中空円環状の水噴射器本体31を備えたものとされる。水噴射器本体31は、中空円環部で囲まれる空間が、基底面13の排水口14の真上にくるように、かつ、水噴射器本体31の下底面と、液槽10の漏斗部12の傾斜面の間に適当な隙間が形成されるように、水層102の形成部に、望ましくは漏斗部12内に実質的に水平に設置される。上記、隙間は、揚げ滓やコロイド状物が、液槽10の液槽漏斗部12の傾斜壁面沿いに、液槽10の基底面13へ向かうのを妨げないようにするのに設けられる。水噴射器本体31には、それ自体に水を供給するための給水管32が少なくとも一本接続される。
図3の例では、一本の給水管32が環状水噴射器本体31の下縁部の或る一か所に接続され、液槽10の液槽漏斗部12の傾斜壁に通されているが、給水管32自体の本数や配管経路、水噴射器本体31への給水管32の接続位置については随意とする。
【0032】
水噴射器30で水層102へ供給される水としては、上水道から直接供給される衛生的な新鮮水のみ使用されるのが望ましいが、フライヤーから生じる排液に含まれる水も利用することができる。しかし、水層102中の水には、当然、油滴や、コロイド状物ないし滓状物(例えば、変質油滓、揚げ滓、食材片)が混入しているため、排液の利用に際しては、排液から少なくとも、そのような滓状物を、沈殿、濾過などの浄化処理で除去する必要がある。このように浄化処理で排水から得られた再生水を以後「排液由来水」と呼称する。
【0033】
水噴射器30へ、結局は水層102へ供給される水としては、上水道水及び/又は排液由来水を用いることができるが、当然、排液由来水の浄化処理設備、貯槽、送給経路などについては、衛生上十分に配慮されるべきである。
【0034】
水噴射器本体31の水噴射穴33から水層102中へ噴流Jとして噴射される水は、少なくともその噴射に必要な圧力を備えている必要がある。その最低限圧力は、「水噴射穴33の設置レベルと、油層101の規定上面レベルLsfの間に存在する液体の厚みに依存する」圧力と大気圧の和で実質的に与えられるものである。そして、この最低限圧力は、例えば液厚が25cmの場合、常温での水の比重は約1.0、調理油の比重は約0.9であるので、約102.5KPaである。
【0035】
水噴射器30に上水道水を直接供給する場合、上水道水自体、200〜400KPaの圧力を備えているため、水噴射器30への上水道水の供給圧を、水噴射器30の幾何学的形状や寸法、水層102内での水循環状態を考慮の上、適当な圧力調整弁で適当な値に調整する必要がある。また、水噴射器30に排液由来水を供給する場合には、その供給路に適宜、加圧ポンプや圧力調整弁を設ける必要がある。
【0036】
水噴射器30の中空円環状水噴射器本体31内の水は、水噴射穴33から水層102中へ噴流Jとして放射状に噴出した後、まず液槽漏斗部12の傾斜壁面に当たり、この面に沿って下降する水流と上昇する水流を形成する。下降水流は、傾斜壁面へ沈殿しようとする揚げ滓やコロイド状物などの滓状物を基底面13の排水口14へ押し流す。上昇水流は、傾斜壁面への異物の沈殿、付着を抑制しながら上昇し続け、油層101と水層102の界面Lifに達する。界面Lif付近において界面Lif沿いに形成された水流は、液槽10の中心部へ進みつつ、界面Lif付近の油と比較的静かに接し、界面Lif付近の油層101に漂っている油汚染物質を水流中に捕獲する。このように油層101を浄化しながら界面Lif沿いに、液槽10周囲から液槽10中央部へ進んできた複数の水流は、液槽10中央部において互いに合流しつつ、中空円環状水噴射器本体31で囲まれた空間を通って、下方の液槽底面13の排液口14を目指すに至る。
【0037】
液槽底面13の排液口14には、排液本管40の上端部41が接続される。排液本管40の下端部42には、排液弁43が設けられるが、この弁は、通常は閉じておかれ、必要時にのみ、一時的に開かれる。その必要時とは、例えば、液槽10中の水も油も排出してしまいたいときや、液槽漏斗部12に異常に沈殿、蓄積した揚げ滓などの滓状物を効率よく排出したいときなどである。
【0038】
排液本管40の特定部(排液本管40の上端部41と排液弁43の間)に、油層上面位置調整用排液支管50の下端部51が流体連絡的に接続される。この排液支管50の上端部52は、液槽10中の油層101の上面Lsfと同じ絶対高さの所で実質的に水平に切断される。こうすることで、油層101の油量が多少増減した場合でも、排液支管50の上端部52から水が溢れるような流量で水層102に水噴射器30で水が供給されている限り、油層101の上面Lsfのレベルは一定に保たれる。
【0039】
油層上面位置調整用排液支管50の上端部52の自由端から溢出した排液は、溢出液受け具60の筐体61で受けられた後、溢出液受け具60から、然るべき随意の溢出液二次受け具に排出される。この随意の溢出液二次受け具とは、要するに、溢出液受け具60から排出される溢出液を直接又は間接的に受けることのできる導管、樋、下水溝のような誘導具や貯槽などであり、また、溢出液受け具60に直結される必然性もないものである。ちなみに、溢出液受け具60も、必ずしも
図2、
図3、
図7に示された筐体61状のものである必要はなく、単に樋状のものであっても構わない。
【0040】
なお、液槽10からの排液の排出経路において、油層上面位置調整用排液支管50の上端部を自由端とせずに、その上端部に、例えば逆U形管やJ形管のような誘導管を排液の誘導のために接続する構造も考えられる。しかし、そのような構造にすると、排液支管50上端部に到達した排液が、上記誘導管の下側底部を濡らしている排液の表面張力で、この誘導管に無節操に誘い出される結果、例えば、水層102への水供給停止時に、液槽10の水層102の水が減り続け、結局、油層上面レベルが規定レベル以下となってしまう可能性がある。この発明のフライヤーにおいて、油層上面位置調整用排液支管50の上端部が自由端とされている所以は、正にそこにある。
【0041】
図4、
図5、
図6に、それぞれ別実施態様に係る水噴射器30の水噴射器本体31、31'、31"の基本構造例が示されている。
図4、
図5、
図6においては、
図3に示されている給水管32も、水噴射器本体31、31'、31"における給水管32の接続部も、説明の簡素化のため記入が省かれている。基本的には、水噴射器30自体、及び、それに含まれる諸部分の形状、寸法は、水噴射器30の使用される液槽10の形状や寸法、液槽10への水噴射器30の設置位置に応じたものとされる。
【0042】
図4の水噴射器本体31は、丸断面管による円環として構成されている。水噴射器本体31には、その中空円環の最外周部沿いに8個の水噴射穴33が等間隔に(円環中心を中心とした配分角45°で)、かつ、円環中心からの放射方向に設けられている。水噴射器本体31の円環の外形は180mm、円環を構成する丸断面管の外径は20mm、水噴射穴33の径は2mmとされている。
【0043】
図5の水噴射器本体31'は、正方形断面管による円環として構成されている。水噴射器本体31'には、その中空円環の最外周部沿いに8個の水噴射穴33が等間隔に(円環中心を中心とした配分角45°で)、かつ、円環中心からの放射方向に設けられている。水噴射器本体31'の円環の外形は200mm、円環を構成する正方形断面管の辺長は20mm、水噴射穴33'の径は2.5mmとされている。
【0044】
図6の水噴射器本体31"も、正方形断面管による円環として構成されている。水噴射器本体31"には、その下面の長手方向沿いに、4個の水噴射穴33"が等間隔に(円環中心を中心とした配分角90°で)、かつ、鉛直方向に設けられている。水噴射器本体31"の円環の外形は200mm、円環を構成する正方形断面管の辺長は20mm、水噴射穴33"の径は3.0mmとされている。
【0045】
上に例示した、円環状水噴射器30にあっては、本体31、31'、32"を構成する管の断面形状が円形または四角形とされている。しかし、管の断面形状は任意に選択されるべきものであり、その断面形状としては、例えば三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形などの多角形や、円形、長円形、及び、それらの組合せが考えられる。また、水噴射器本体に設けられる水噴射穴の位置や個数、水噴射穴の断面形状は、それ自体、水層内に形成される水流の形状や強さと密接に関係するものであるゆえ、水噴射器の設置状況に応じて適宜、随意に決められるべきである。水噴射穴の断面形状は、特に円形に限定されるものではなく、他の形状、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形などの多角形や、円形、長円形、及び、それらの組合せであってもよい。
【0046】
水噴射穴は、円環を構成する管の円周部(管の長手軸を中心とする円周部)において管壁に、その円周に沿って適宜、随意個数設けることができる。また、水噴射穴は、円環の円周部(円環自体の回転中心線を中心とする円周部)において管壁に、その円周に沿って適宜、随意個数設けることができる。
【0047】
水噴射穴が複数個設けられた場合、水噴射穴同士の配置や間隔も随意とされる。従って本発明の円環状水噴射器については、個々の水噴射穴の幾何学的形状、寸法、個数、水噴射器本体管壁上での水噴射穴の絶対的及び相対的配置位置などは、円環状水噴射器の適用されるフライヤーの液槽の構造(幾何学的形状や寸法)、円環状水噴射器自体の構造(幾何学的形状や寸法)、液槽内での円環状水噴射器の設置位置、水噴射に用いられる水の圧力、流量などに応じて決定されるべきである。
【0048】
図2、
図3には、溢出液受け具の一実施態様としての溢出液受け具60と、溢出液二次受け具としての溢出液誘導管70の一実施態様の組み合わせ状態の例が示されている。この例では、溢出液受け具60の筐体61に設けられた溢出液排出穴63に、溢出液誘導管70の上端71が接続されている。
【0049】
図7に、溢出液受け具60若しくはその筐体61の基本構造例が示されている。筐体61の底には、排液支管接続穴62と溢出液排出穴63が設けられる。筐体61の底において穴62の設けられる付近の底面64には、必要に応じて、溢出液排出穴63方向への下り勾配が付けられる。この勾配の水平面に対する傾斜角αは、望ましくは45°以下とされる。この勾配は必須のものではないので、傾斜角αは0°であってもよい。筐体61の底において穴62の設けられる部分周囲は、漏斗状に窪まされるのが望ましい。なお、例示の溢出液受け具60は上壁(天井)を備えているが、この上壁は、単に象徴的に示されているにすぎない。したがって、上壁は、特になくてもよく、また、上壁の代わりに着脱自在の蓋が用いられてもよい。
【0050】
本実施形態のフライヤーによれば、第一に、液槽側壁部及び/又は液槽漏斗部に付着したり、そのような部分付近に滞留している揚げ滓やコロイド状物などが水流で均等に効果的に排除され、また、水層が主に鉛直方向に攪拌されるに従って、ヒーター近傍の油も十分流動するため、ヒーター、及び、その近傍の油の過熱も効果的に抑制される。これは、液槽の水層への水の注入手段として、望ましくは複数本の水噴射穴の設けられた円環状水噴射器(厳密には、その中空円環状本体)が、水槽の水層部に、液槽−側壁部及び/又は液槽−漏斗部に向かう水流が望ましくは複数本形成されるように設置されることによる。
【0051】
本実施形態のフライヤーによれば、第二に、油層を担っている水層の水量の過剰化が、特別な制御機構を用いることなしに、自動的に阻止され、結局、油上面レベルが自動的に調整される。これは、液槽の油層の油上面レベルの自動調整手段として、油上面レベルと実質的に同じレベルの所に自由端(実質的に水平に切断された上端)を備えた連通管が、液槽底部に、直接又は間接的に、流体連絡的に接続されることによる。
【解決手段】液槽10内で水層102上に湛えられ、かつ、ヒーター20などの熱源で加熱される油層101で揚げ調理が行われる方式のフライヤーにおいて、油層に含まれている種々の油汚染物質が水層で回収されやすいように、フライヤーに異流速発生機構、即ち、水層の水に積極的に水流を与え、水層と油層の界面近傍Lifにおいて、水流104の流速と、水流に付随する油層の油流103の流速との間に有意の相対差を生じさせる機構30が具備される。