特許第5737844号(P5737844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5737844CO2回収装置の熱回収設備および熱回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737844
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】CO2回収装置の熱回収設備および熱回収方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20150528BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   B01D53/34 135Z
   B01D53/14 C
   B01D53/14 103
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2010-25901(P2010-25901)
(22)【出願日】2010年2月8日
(65)【公開番号】特開2011-162383(P2011-162383A)
(43)【公開日】2011年8月25日
【審査請求日】2012年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大石 剛司
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】八木 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】貝原 一彦
【審査官】 近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−031834(JP,A)
【文献】 特開昭57−092614(JP,A)
【文献】 特開昭51−151259(JP,A)
【文献】 特表2005−532157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14〜53/18
B01D 53/34〜53/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラから排出される燃焼排ガス中のCOを吸収液に吸収させて除去する吸収塔、およびCOを吸収した前記吸収液からCOを放出させ当該吸収液を前記吸収塔で再利用する再生塔を有するCO回収装置の熱回収設備であって、
前記ボイラから排出されて前記CO回収装置に至る以前の燃焼排ガスと前記ボイラに供給される未燃焼空気との相互間の熱交換を行うユングストローム式熱交換器と、
前記CO回収装置からの排熱により前記ユングストローム式熱交換器に至る以前の前記未燃焼空気を予熱する空気予熱器と、
を備えたことを特徴とするCO回収装置の熱回収設備。
【請求項2】
前記ユングストローム式熱交換器を経て前記CO回収装置に至る以前の前記燃焼排ガスの熱を回収し、前記CO回収装置に供給する熱回収器をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のCO回収装置の熱回収設備。
【請求項3】
前記ボイラからの過熱蒸気で蒸気タービンを駆動させて発電を行う発電プラントに適用されることを特徴とする請求項1または2に記載のCO回収装置の熱回収設備。
【請求項4】
前記空気予熱器は、前記CO回収装置からの排熱を伝熱させた熱媒体を循環させて前記未燃焼空気を間接的に加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のCO回収装置の熱回収設備。
【請求項5】
前記空気予熱器は、前記CO回収装置からの排熱流体を循環させて前記未燃焼空気を直接的に加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のCO回収装置の熱回収設備。
【請求項6】
前記排熱は、前記吸収塔を循環する洗浄水、前記吸収塔と前記再生塔とを循環する前記吸収液、および前記再生塔の頂部から排出されるCOガス、の少なくとも一つから得ることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のCO回収装置の熱回収設備。
【請求項7】
ボイラから排出される燃焼排ガス中のCOを吸収液に吸収させて除去すると共に、COを吸収した前記吸収液からCOを放出させ当該吸収液をCOの吸収に再利用するCO回収工程を含むCO回収装置の熱回収方法であって、
前記ボイラから排出されて前記CO回収工程に至る以前の燃焼排ガスと前記ボイラに供給される未燃焼空気との相互間の熱交換をユングストローム式熱交換器を用いて行う熱交換工程と、
前記CO回収工程からの排熱により前記熱交換工程に至る以前の前記未燃焼空気を予熱する空気予熱工程と、
を含むことを特徴とするCO回収装置の熱回収方法。
【請求項8】
前記熱交換工程を経て前記CO回収工程に至る以前の前記燃焼排ガスの熱を回収し、前記CO回収工程に供給する熱回収工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のCO回収装置の熱回収方法。
【請求項9】
前記ボイラからの過熱蒸気で蒸気タービンを駆動させて発電を行う発電工程をさらに含むことを特徴とする請求項7または8に記載のCO回収装置の熱回収方法。
【請求項10】
前記排熱は、CO回収工程において、前記燃焼排ガス中のCOが除去された脱炭酸排ガスに同伴される化合物を除去するために循環される洗浄水、前記燃焼排ガス中のCOを吸収しつつCOを放出されるように循環する前記吸収液、および前記吸収液から放出されるCOガス、の少なくとも一つから得ることを特徴とする請求項7〜9の何れか一つに記載のCO回収装置の熱回収方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO回収装置から排出される熱を有効利用するCO回収装置の熱回収設備および熱回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球の温暖化の原因として、COによる温室効果が指摘され、地球環境を守る上で国際的にもその対策が急務となってきた。COの発生源としては、化石燃料を燃焼させるあらゆる人間の活動分野に及び、その排出抑制への要求が一層強まる傾向にある。これに伴い、大量の化石燃料を使用する火力発電所などの動力発生設備を対象に、ボイラの燃焼排ガスとアミン化合物水溶液などのアミン系吸収液と接触させ、燃焼排ガス中のCOを除去し回収する方法が精力的に研究されている。
【0003】
吸収液を用いて燃焼排ガスからCOを回収するCO回収装置としては、吸収塔において燃焼排ガスとCO吸収液とを接触させることで燃焼排ガスからCOを除去し、次に、再生塔においてCOを吸収した吸収液を加熱することでCOを放出させて吸収液を再生し、この吸収液を吸収塔に戻して再利用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−245339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したCO回収装置では、70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱ガスが多量に排出されている。しかし、通常、この排熱ガスの熱は、低温であるために冷却水で冷却されて捨てられている。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、COを回収する際に排出される低温の排熱を有効利用することのできるCO回収装置の熱回収設備および熱回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明のCO回収装置の熱回収設備では、ボイラから排出される燃焼排ガス中のCOを吸収液に吸収させて除去する吸収塔、およびCOを吸収した前記吸収液からCOを放出させ当該吸収液を前記吸収塔で再利用する再生塔を有するCO回収装置の熱回収設備であって、前記ボイラから排出されて前記CO回収装置に至る以前の燃焼排ガスと前記ボイラに供給される未燃焼空気との相互間の熱交換を行うユングストローム式熱交換器と、前記CO回収装置からの排熱により前記ユングストローム式熱交換器に至る以前の前記未燃焼空気を予熱する空気予熱器と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このCO回収装置の熱回収設備によれば、COを回収する際に排出される低温の排熱でユングストローム式熱交換器に至る以前の未燃焼空気を予熱することで、CO回収装置で消費する低圧蒸気の流量を低減できる。
【0009】
しかも、ユングストローム式熱交換器は、硫黄分を含む燃焼排ガスと未燃焼空気との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがあるが、このCO回収装置の熱回収設備によれば、ユングストローム式熱交換器の入口側での未燃焼空気のガス温度を上昇させ、かつユングストローム式熱交換器の出口側での燃焼排ガスのガス温度を上昇させる。この結果、ユングストローム式熱交換器の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が上昇するので、ユングストローム式熱交換器の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制できる。
【0010】
また、本発明のCO回収装置の熱回収設備では、前記ユングストローム式熱交換器を経て前記CO回収装置に至る以前の前記燃焼排ガスの熱を回収し、前記CO回収装置に供給する熱回収器をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
このCO回収装置の熱回収設備によれば、COを回収する際に排出される低温の排熱でユングストローム式熱交換器に至る以前の未燃焼空気を予熱しつつ、ユングストローム式熱交換器を経た後の燃焼排ガスの熱を回収することで、CO回収装置で消費する低圧蒸気の流量をさらに低減できる。
【0012】
また、本発明のCO回収装置の熱回収設備では、前記ボイラからの過熱蒸気で蒸気タービンを駆動させて発電を行う発電プラントに適用されることを特徴とする。
【0013】
このCO回収装置の熱回収設備によれば、ボイラに供給される未燃焼空気のガス温度が上昇するため、ボイラから蒸気タービンに供給する過熱蒸気の流量が増加するので、発電プラントの発電効率を向上できる。
【0014】
また、本発明のCO回収装置の熱回収設備では、前記空気予熱器は、前記CO回収装置からの排熱を伝熱させた熱媒体を循環させて前記未燃焼空気を間接的に加熱することを特徴とする。
【0015】
このCO回収装置の熱回収設備によれば、CO回収装置の排熱流体を用いて直接的に未燃焼空気を加熱する場合に対し、排熱流体が流出するおそれを防ぐことができる。
【0016】
また、本発明のCO回収装置の熱回収設備では、前記空気予熱器は、前記CO回収装置からの排熱流体を循環させて前記未燃焼空気を直接的に加熱することを特徴とする。
【0017】
このCO回収装置の熱回収設備によれば、熱媒体を介して間接的に未燃焼空気を加熱する場合に対し、伝熱効率を向上できる。
【0018】
上述の目的を達成するために、本発明のCO回収装置の熱回収方法では、ボイラから排出される燃焼排ガス中のCOを吸収液に吸収させて除去すると共に、COを吸収した前記吸収液からCOを放出させ当該吸収液をCOの吸収に再利用するCO回収工程を含むCO回収装置の熱回収方法であって、前記ボイラから排出されて前記CO回収工程に至る以前の燃焼排ガスと前記ボイラに供給される未燃焼空気との相互間の熱交換を行う熱交換工程と、前記CO回収工程からの排熱により前記熱交換工程に至る以前の前記未燃焼空気を予熱する空気予熱工程と、を含む。
【0019】
このCO回収装置の熱回収方法によれば、COを回収する際に排出される低温の排熱で熱交換工程に至る以前の未燃焼空気を予熱することで、CO回収工程で消費する低圧蒸気の流量を低減できる。
【0020】
しかも、熱交換工程では、硫黄分を含む燃焼排ガスと未燃焼空気との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがあるが、このCO回収装置の熱回収方法によれば、熱交換工程の入口側での未燃焼空気のガス温度を上昇させ、かつ熱交換工程の出口側での燃焼排ガスのガス温度を上昇させる。この結果、熱交換工程の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が上昇するので、熱交換工程の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制できる。
【0021】
また、本発明のCO回収装置の熱回収方法では、前記熱交換工程を経て前記CO回収工程に至る以前の前記燃焼排ガスの熱を回収し、前記CO回収工程に供給する熱回収工程をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
このCO回収装置の熱回収方法によれば、COを回収する際に排出される低温の排熱でユングストローム式熱交換器に至る以前の未燃焼空気を予熱しつつ、熱交換工程を経た後の燃焼排ガスの熱を回収することで、CO回収工程で消費する低圧蒸気の流量をさらに低減できる。
【0023】
また、本発明のCO回収装置の熱回収方法では、前記ボイラからの過熱蒸気で蒸気タービンを駆動させて発電を行う発電工程をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
このCO回収装置の熱回収方法によれば、ボイラに供給される未燃焼空気のガス温度が上昇するため、ボイラから蒸気タービンに供給する過熱蒸気の流量が増加するので、発電工程での発電効率を向上できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、COを回収する際に排出される低温の排熱を有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備が適用される発電プラントの概略図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備のパターンを示す図表である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係るCO回収装置の熱回収設備のパターンを示す図表である。
図7図7は、本発明の実施の形態2に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
図8図8は、本発明の実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備が適用される発電プラントの概略図である。
図9図9は、本発明の実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図である。
図10図10は、本発明の実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備のパターンを示す図表である。
図11図11は、本発明の実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
図12図12は、本発明の実施の形態4に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図である。
図13図13は、本発明の実施の形態4に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0028】
[実施の形態1]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備が適用される発電プラントの概略図であり、図2は、実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図であり、図3は、実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備のパターンを示す図表であり、図4は、実施の形態1に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
【0029】
図1に示すように、発電プラント50は、主に、燃料を燃焼させた熱エネルギーにより水を密閉器内で加熱して高温・高圧の過熱蒸気100を得るボイラ51と、ボイラ51からの過熱蒸気100により回転動力を得る蒸気タービン52と、蒸気タービン52の回転動力により発電する発電機53とを備えている。また、発電プラント50には、ボイラ51から排出される燃焼排ガス101に含まれる硫黄分(硫黄化合物を含む)を除去する排煙脱硫装置54と、ボイラ51から排出される燃焼排ガス101に含まれるCO(二酸化炭素)を除去するCO回収装置55とを備えている。すなわち、発電プラント50は、ボイラ51からの過熱蒸気100により発電すると共に、ボイラ51から排出される硫黄分およびCOを除去した脱炭酸排ガス101aを煙突56から排出する。
【0030】
このような発電プラント50において、ボイラ51には、ユングストローム式熱交換器57が付設されている。ユングストローム式熱交換器57は、ボイラ51から排出される燃焼排ガス101と、ボイラ51に供給される未燃焼空気102との相互間の熱交換を行う。このユングストローム式熱交換器57によれば、ボイラ51への未燃焼空気102を予熱してボイラ51の熱効率を向上する。
【0031】
そして、本実施の形態のCO回収装置55の熱回収設備では、CO回収装置55からの排熱によりユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱する空気予熱器58を備えている。
【0032】
具体的に、CO回収装置55からの排熱について説明する。図2に示すように、CO回収装置55は、ボイラ51から排出される燃焼排ガス101を、冷却水103により冷却する冷却塔1と、燃焼排ガス101に、COを吸収するアミン化合物の水溶液である吸収液104のリーン液104aを向流接触させて燃焼排ガス101中のCOを吸収液104に吸収させ、COを除去した脱炭酸排ガス101aを排出する吸収塔2と、COを吸収した吸収液104のリッチ液104bからCOを放出してリーン液104aに再生する再生塔3とを備える。
【0033】
冷却塔1は、COを含有する燃焼排ガス101が、排ガス送風機(図示せず)により昇圧されて内部に送られ、ここで冷却水103と向流接触させて燃焼排ガス101を冷却する。
【0034】
冷却水103は、冷却塔1内の下部に溜まっており、加湿冷却水循環ポンプ1aにより冷却塔1の外部の冷却水管1bを経て冷却塔1内の上部に供給される。そして、冷却水103は、冷却塔1内の上部に設けられたノズル1cから流下されつつ、冷却塔1内の下部に至る過程に設けられた充填層1dの位置で、上昇する燃焼排ガス101と向流接触する。また、冷却水管1bには、冷却水103を冷却することで凝縮させて凝縮水とする冷却器1eが設けられている。この冷却塔1にて冷却された燃焼排ガス101は、排ガス管1fを経て冷却塔1の頂部から排出され吸収塔2に供給される。
【0035】
吸収塔2は、その下半部にCO吸収部21、上半部に水洗部22を有している。CO吸収部21は、冷却塔1から供給された燃焼排ガス101と、吸収液104のリーン液104aとを向流接触させ、燃焼排ガス101中のCOを吸収液104に吸収させる。
【0036】
吸収液104のリーン液104aは、再生塔3から供給され、ノズル21aから流下されつつ、吸収塔2の下部に至る過程に設けられた充填層21bの位置で、上昇する燃焼排ガス101と向流接触した後、COを吸収したリッチ液104bとなり吸収塔2の底部に貯留される。そして、吸収塔2の底部に貯留された吸収液104のリッチ液104bは、吸収塔2の外部のリッチ液管21cに介装されたリッチ液排出ポンプ21dにより圧送されて再生塔3に供給される。また、吸収液104のリッチ液104bは、リッチ液管21cを経て再生塔3に供給される過程で、後述のリーン液管33dを経て吸収塔2に供給される過程の吸収液104のリーン液104aとリッチ・リーン熱交換器4により熱交換される。
【0037】
水洗部22は、CO吸収部21にてCOを除去された脱炭酸排ガス101aと、洗浄水105とを向流接触させ、脱炭酸排ガス101aに同伴されたアミン化合物を洗浄水105で除去し、アミン化合物が除去された脱炭酸排ガス101aを吸収塔2外に排出するようにしている。
【0038】
洗浄水105は、ノズル22aから流下されつつ、下方に至る過程に設けられた充填層22bの位置で、上昇する脱炭酸排ガス101aと向流接触した後、水受22cに貯留される。そして、水受22cに貯留された洗浄水105は、吸収塔2の外部の洗浄水管22dに介装された洗浄水排出ポンプ22eにより圧送循環されつつ冷却器22fで冷却されてノズル22aから再び流下される。
【0039】
再生塔3は、吸収液104のリッチ液104bからCOを除去したリーン液104aとして再生して底部に貯留し、COを吸収した吸収液104からCOを放出させる。この再生塔3は、上部再生部31、中部再生部32、下部再生部33に上中下で三分割されている。
【0040】
上部再生部31では、吸収液104が、吸収塔2におけるCO吸収部21のリッチ液管21cから供給されてノズル31aから流下され、下方に至る過程に設けられた充填層31bを通過しつつ、チムニートレイ31cに貯留される。チムニートレイ31cに貯留された吸収液104は、セミリーン液抜出管31dに介装されたセミリーン液排出ポンプ31eにより再生塔3の外部に圧送されつつ中部再生部32に供給される。
【0041】
中部再生部32では、吸収液104が、上部再生部31のセミリーン液抜出管31dから供給されてノズル32aから流下され、下方に至る過程に設けられた充填層32bを通過しつつ、チムニートレイ32cに貯留される。チムニートレイ32cに貯留された吸収液104は、セミリーン液抜出管32dに介装されたセミリーン液排出ポンプ32eにより再生塔3の外部に圧送されつつ下部再生部33に供給される。
【0042】
下部再生部33では、吸収液104が、中部再生部32のセミリーン液抜出管32dから供給されてノズル33aから流下され、下方に至る過程に設けられた充填層33bを通過しつつ、再生塔3の底部33cに貯留される。再生塔3の底部33cに貯留された吸収液104は、リーン液管33dに介装されたリーン液排出ポンプ33eにより再生塔3の外部に圧送され、リッチ液管21cを経て再生塔3に供給される過程の吸収液104のリッチ液104bとリッチ・リーン熱交換器4により熱交換された後、冷却器33fにより冷却されつつ吸収塔2に供給される。
【0043】
再生塔3の外部には、蒸気タービン52からの低圧蒸気106を加熱源とする再生加熱部34が設けられている。そして、再生塔3の底部33cに貯留された吸収液104の一部は、加熱管34aを介して再生塔3の外部に抜き出されつつ再生加熱部34を経て加熱されることでリーン液104aとなり再生塔3の底部33cに戻され貯留される。また、再生加熱部34に供給された低圧蒸気106は、加熱管34aを経る過程の吸収液104を加熱した後、蒸気ドレン106aとなり、ドレン管34bを介して排出される。
【0044】
また、上部再生部31のセミリーン液抜出管31dには、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置35が設けられている。リーン液・蒸気ドレン熱回収装置35は、セミリーン液抜出管31dを経て中部再生部32に供給される過程の吸収液104と、リーン液管33dを経て吸収塔2に供給される過程の吸収液104のリーン液104a、およびドレン管34bを経て排出される過程の蒸気ドレン106aとを熱交換する。
【0045】
また、中部再生部32のセミリーン液抜出管32dには、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置36が設けられている。リーン液・蒸気ドレン熱回収装置36は、セミリーン液抜出管32dを経て下部再生部33に供給される過程の吸収液104と、リーン液管33dを経て吸収塔2に供給される過程の吸収液104のリーン液104a、およびドレン管34bを経て排出される過程の蒸気ドレン106aとを熱交換する。
【0046】
すなわち、再生塔3では、上部再生部31に供給される吸収液104のリッチ液104bは、リッチ液管21cを経て再生塔3に供給される過程で、吸収塔2に供給される過程の吸収液104のリーン液104aとリッチ・リーン熱交換器4により熱交換されて加熱されつつノズル31aから下流される。この吸収液104のリッチ液104bは、下方に至る過程で充填層31bを通過しつつ、吸熱反応により、大部分のCOを放出したセミリーン液104cとされ、チムニートレイ31cに貯留される。
【0047】
また、上部再生部31からセミリーン液抜出管31dを経て中部再生部32に供給される吸収液104のセミリーン液104cは、セミリーン液抜出管31dを経て中部再生部32に供給される過程で、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置35により熱交換されて加熱されつつノズル32aから下流される。この吸収液104のセミリーン液104cは、下方に至る過程で充填層32bを通過しつつ、吸熱反応により、さらにCOを放出したセミリーン液104cとされ、チムニートレイ32cに貯留される。
【0048】
また、中部再生部32からセミリーン液抜出管32dを経て下部再生部33に供給される吸収液104のセミリーン液104cは、セミリーン液抜出管32dを経て下部再生部33に供給される過程で、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置36により熱交換されて加熱されつつノズル33aから下流される。この吸収液104のセミリーン液104cは、下方に至る過程で充填層33bを通過しつつ、吸熱反応により、ほぼ全てのCOが除去されたリーン液104aとされ、再生塔3の底部33cに貯留される。そして、再生塔3の底部33cに貯留されたリーン液104aは、再生加熱部34にて低圧蒸気106により加熱される。
【0049】
また、各再生部31,32,33において吸収液104から除去されたCOガス107は、CO回収部37により回収される。CO回収部37では、吸収液104から除去されたCOガス107は、再生塔3内を上昇して再生塔3の頂部から凝縮水管37aを経て再生塔3の外部に排出される。そして、COガス107は、凝縮水管37aを通る過程で、再生塔環流冷却器37bにより冷却された後、CO分離器37cにより水蒸気が凝縮されて凝縮水108と分離され、回収CO排出管37dよりCO処理工程(図示せず)へ導かれる。CO分離器37cにてCOから分離された凝縮水108は、凝縮水管37aに介装された凝縮水ポンプ37eにより圧送されて再生塔3へ供給され、再生塔3内の頂部に設けられたノズル37fから流下される。
【0050】
なお、上述した構成では、再生塔3が上部再生部31と中部再生部32と下部再生部33との上中下3段で構成されているが、再生塔3は、上部再生部31と下部再生部33との上下2段で構成されていてもよい。また、上部再生部31と中部再生部32と下部再生部33との上中下3段に限らず、3段以上の複数であってもよい。
【0051】
このようなCO回収装置55において、COを回収する際に排出される低温の排熱を有効利用する熱回収設備について図2を参照して説明する。再生塔3から吸収塔2に吸収液104のリーン液104aを供給するリーン液管33dには、リッチ・リーン熱交換器4と冷却器33fとの間に第一熱交換器ex1が設けられている。この第一熱交換器ex1は、リーン液管33dを経て冷却器33fで冷却される前の吸収液104のリーン液104aと熱交換して、当該リーン液104aの排熱が伝熱された熱媒体(例えば、水)109を循環させる。
【0052】
また、吸収塔2の水洗部22における洗浄水管22dには、洗浄水排出ポンプ22eと冷却器22fとの間に第二熱交換器ex2が設けられている。この第二熱交換器ex2は、洗浄水管22dを経て冷却器22fで冷却される前の洗浄水105と熱交換して、当該洗浄水105の排熱が伝熱された熱媒体(例えば、水)109を循環させる。
【0053】
さらに、再生塔3のCO回収部37における凝縮水管37aには、再生塔3と再生塔環流冷却器37bとの間に第三熱交換器ex3が設けられている。この第三熱交換器ex3は、凝縮水管37aを経て再生塔環流冷却器37bで冷却される前のCOガス107と、上述した第一熱交換器ex1および/または第二熱交換器ex2の熱媒体109とを熱交換して、COガス107の排熱を熱媒体109に伝熱させつつ循環させる。
【0054】
そして、これら各熱交換器ex1,ex2,ex3で熱交換された全て、または少なくとも一つの熱媒体109は、図1に示す発電プラント50の空気予熱器58を経由するようにCO回収装置55の[a]から[b]に至り循環することで、ユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102の予熱に用いられる。
【0055】
具体的に、各熱交換器ex1,ex2,ex3で熱交換された全て、または、少なくとも一つの熱媒体109を未燃焼空気102の予熱に用いる各パターンを図1図3を参照して説明する。
【0056】
図3に示すパターン1は、第一熱交換器ex1のみに循環する熱媒体109を用いたもので、第一熱交換器ex1で伝熱した温度44.3℃の熱媒体109を[a−1](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度33.1℃の熱媒体109を[b−1](図1に示す[b]に相当)に戻して再び第一熱交換器ex1で伝熱する。
【0057】
図3に示すパターン2は、第二熱交換器ex2のみに循環する熱媒体109を用いたもので、第二熱交換器ex2で伝熱した温度47℃の熱媒体109を[a−2](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度33.1℃の熱媒体109を[b−2](図1に示す[b]に相当)に戻して再び第二熱交換器ex2で伝熱する。
【0058】
図3に示すパターン3は、第一熱交換器ex1および第二熱交換器ex2に循環する熱媒体109を用いたもので、第一熱交換器ex1で伝熱した温度44.3℃の熱媒体109を[a−1]から[b−2]に供給し、さらに第二熱交換器ex2で伝熱した温度47℃の熱媒体109を[a−2](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度33.1℃の熱媒体109を[b−1](図1に示す[b]に相当)に戻して再び第一熱交換器ex1および第二熱交換器ex2で伝熱する。
【0059】
図3に示すパターン4は、第一熱交換器ex1および第三熱交換器ex3に循環する熱媒体109を用いたもので、第一熱交換器ex1で伝熱した温度44.3℃の熱媒体109を[a−1]から[x](図1に示す[a]に相当)に供給し、さらに第三熱交換器ex3で伝熱した温度78.6℃の熱媒体109を[a−3]から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度33.4℃の熱媒体109を[b−1](図1に示す[b]に相当)に戻して再び第一熱交換器ex1および第三熱交換器ex3で伝熱する。
【0060】
図3に示すパターン5は、第二熱交換器ex2および第三熱交換器ex3に循環する熱媒体109を用いたもので、第二熱交換器ex2で伝熱した温度47℃の熱媒体109を[a−2]から[x]に供給し、さらに第三熱交換器ex3で伝熱した温度79.2℃の熱媒体109を[a−3](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度33.4℃の熱媒体109を[b−2](図1に示す[b]に相当)に戻して再び第二熱交換器ex2および第三熱交換器ex3で伝熱する。
【0061】
図3に示すパターン6は、第一熱交換器ex1、第二熱交換器ex2および第三熱交換器ex3に循環する熱媒体109を用いたもので、第一熱交換器ex1で伝熱した温度44.3℃の熱媒体109を[a−1]から[b−2]に供給し、さらに第二熱交換器ex2で伝熱した温度47℃の熱媒体109を[a−2]から[x]に供給し、さらに第三熱交換器ex3で伝熱した温度79.3℃の熱媒体109を[a−3](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度33℃の熱媒体109を[b−1](図1に示す[b]に相当)に戻して再び第一熱交換器ex1、第二熱交換器ex2および第三熱交換器ex3で伝熱する。
【0062】
上述した本実施の形態のCO回収装置55の熱回収設備において、ユングストローム式熱交換器57の温度効率を90%として空気予熱器58を設け、図3に示すパターン6を適用した作用を、図4を用いて説明する。図4に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図1において空気予熱器58の上流のA位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58を経ることでユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の予熱された未燃焼空気102のガス温度は72℃になった。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は322℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。さらに、ユングストローム式熱交換器57を経て排煙脱硫装置54の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は141℃になった。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、870t/hrであった。
【0063】
これに対し、空気予熱器58を設けず、ユングストローム式熱交換器57の温度効率を82.6%とした従来相当での作用は、図4に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図1において、A位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58がないことからユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃になる。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は294℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。さらに、ユングストローム式熱交換器57を経て排煙脱硫装置54の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は130℃になった。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、870t/hrであった。
【0064】
このように、実施の形態1のCO回収装置55の熱回収設備では、CO回収装置55からの排熱によりユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱する空気予熱器58を備えている。
【0065】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用することが可能になる。具体的には、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、322℃として28℃上昇させる。この28℃の上昇により、ボイラ51への入熱が増加し、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量が56t/hr減少されるのと同等の効果となる。この56t/hrの流量は、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量の6%に相当する。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱でユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱することで、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量を低減することと同等の効果となる。
【0066】
しかも、ユングストローム式熱交換器57は、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態1のCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でユングストローム式熱交換器57の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を72℃に上昇させ、かつユングストローム式熱交換器57の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を141℃に上昇させる。この結果、ユングストローム式熱交換器57の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から106.5℃になり26.5℃上昇するので、ユングストローム式熱交換器57の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0067】
また、実施の形態1のCO回収装置55の熱回収設備では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う発電プラント50に適用される。
【0068】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、322℃として28℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電プラント50の発電効率を向上することが可能になる。
【0069】
また、実施の形態1のCO回収装置55の熱回収設備では、空気予熱器58は、CO回収装置55からの排熱を伝熱させた熱媒体109を循環させて未燃焼空気102を間接的に加熱する。
【0070】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、吸収液104や洗浄水105やCOガス107などの排熱流体を用いて直接的に未燃焼空気102を加熱する場合に対し、排熱流体が流出するおそれを防ぐことが可能になる。
【0071】
上述した実施の形態1のCO回収装置55の熱回収方法では、ボイラ51から排出される燃焼排ガス101中のCOを吸収液104に吸収させて除去すると共に、COを吸収した吸収液104からCOを放出させ当該吸収液104をCOの吸収に再利用する工程(CO回収工程)を含むCO回収装置55の熱回収方法であって、ボイラ51から排出されてCO回収工程に至る以前の燃焼排ガス101とボイラ51に供給される未燃焼空気102との相互間の熱交換を行う工程(熱交換工程)と、CO回収工程からの排熱により熱交換工程に至る以前の未燃焼空気102を予熱する工程(空気予熱工程)とを含む。
【0072】
このCO回収装置55の熱回収方法によれば、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用することが可能になる。具体的には、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、322℃として28℃上昇させる。この28℃の上昇により、ボイラ51への入熱が増加し、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量が56t/hr減少されるのと同等の効果となる。この56t/hrの流量は、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量の6%に相当する。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱で熱交換工程に至る以前の未燃焼空気102を予熱することで、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量を低減することと同等の効果となる。
【0073】
しかも、熱交換工程では、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態1のCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当で熱交換工程の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を72℃に上昇させ、かつ熱交換工程の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を141℃に上昇させる。この結果、熱交換工程の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から106.5℃になり26.5℃上昇するので、熱交換工程の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0074】
また、実施の形態1のCO回収装置55の熱回収方法では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う発電工程をさらに含む。
【0075】
このCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、322℃として28℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電工程での発電効率を向上することが可能になる。
【0076】
[実施の形態2]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図5は、実施の形態2に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図であり、図6は、実施の形態2に係るCO回収装置の熱回収設備のパターンを示す図表であり、図7は、実施の形態2に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
【0077】
実施の形態2のCO回収装置55の熱回収設備は、上述した実施の形態1の熱回収設備と同様に、発電プラント50にて、CO回収装置55からの排熱によりユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱する空気予熱器58を備えたもので、CO回収装置55における排熱の形態が異なる。従って、実施の形態2では、CO回収装置55の排熱について説明し、上述した実施の形態1と同等部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
CO回収装置55において、COを回収する際に排出される低温の排熱を有効利用する熱回収設備について図5を参照して説明する。再生塔3から吸収塔2に吸収液104のリーン液104aを供給するリーン液管33dは、リッチ・リーン熱交換器4と冷却器33fとの間にて、空気予熱器58を経由して設けられている。
【0079】
また、吸収塔2の水洗部22における洗浄水管22dは、洗浄水排出ポンプ22eと冷却器22fとの間にて、空気予熱器58を経由して設けられている。
【0080】
さらに、再生塔3のCO回収部37における凝縮水管37aは、再生塔3と再生塔環流冷却器37bとの間にて、空気予熱器58を経由して設けられている。
【0081】
そして、リーン液管33dを通る吸収液104のリーン液104a、洗浄水管22dを通る洗浄水105、凝縮水管37aを通るCOガス107の全て、または、少なくとも一つの排熱流体は、図1に示す発電プラント50の空気予熱器58を経てCO回収装置55の[a]から[b]に至り循環することで、ユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102の予熱に用いられる。
【0082】
具体的に、各排熱流体(吸収液104のリーン液104a、洗浄水105、COガス107)の全て、または、少なくとも一つを未燃焼空気102の予熱に用いる各パターンを図1図5および図6を参照して説明する。
【0083】
図6に示すパターン1は、リッチ・リーン熱交換器4で熱交換された温度47.3℃の吸収液104のリーン液104aを[a−1’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度44.9℃のリーン液104aを[b−1’](図1に示す[b]に相当)に戻し、冷却器33fで冷却してCOの吸収に用いる。
【0084】
図6に示すパターン2は、脱炭酸排ガス101aと熱交換された温度50℃の洗浄水105を[a−2’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度48.5℃の洗浄水105を[b−2’](図1に示す[b]に相当)に戻し、冷却器22fで冷却して脱炭酸排ガス101aの洗浄に用いる。
【0085】
図6に示すパターン3は、吸収液104のリッチ液104bから吸熱反応により除去された温度85.9℃のCOガス107を[a−3’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度75.5℃のCOガス107を[b−3’](図1に示す[b]に相当)に戻し、再生塔環流冷却器37bで冷却して回収する。
【0086】
図6に示すパターン4は、パターン1およびパターン2を並行して用いたもので、温度74.3℃の吸収液104のリーン液104aを[a−1’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給すると共に、温度50℃の洗浄水105を[a−2’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度44.9℃のリーン液104aを[b−1’](図1に示す[b]に相当)に戻すと共に、空気予熱器58を経由して熱交換された温度49.6℃の洗浄水105を[b−2’](図1に示す[b]に相当)に戻す。
【0087】
図6に示すパターン5は、パターン1およびパターン3を並行して用いたもので、温度47.3℃の吸収液104のリーン液104aを[a−1’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給すると共に、温度85.9℃のCOガス107を[a−3’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度44.9℃のリーン液104aを[b−1’](図1に示す[b]に相当)に戻すと共に、空気予熱器58を経由して熱交換された温度78.9℃のCOガス107を[b−3’](図1に示す[b]に相当)に戻す。
【0088】
図6に示すパターン6は、パターン2およびパターン3を並行して用いたものであり、温度50℃の洗浄水105を[a−2’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給すると共に、温度85.9℃のCOガス107を[a−3’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度48.5℃の洗浄水105を[b−2’](図1に示す[b]に相当)に戻すと共に、空気予熱器58を経由して熱交換された温度79.6℃のCOガス107を[b−3’](図1に示す[b]に相当)に戻す。
【0089】
図6に示すパターン7は、パターン1、パターン2およびパターン3を並行して用いたものであり、温度47.3℃の吸収液104のリーン液104aを[a−1’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給し、温度50℃の洗浄水105を[a−2’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給すると共に、温度85.9℃のCOガス107を[a−3’](図1に示す[a]に相当)から空気予熱器58に供給する。そして、空気予熱器58を経由して熱交換された温度44.9℃のリーン液104aを[b−1’](図1に示す[b]に相当)に戻し、空気予熱器58を経由して熱交換された温度49.6℃の洗浄水105を[b−2’](図1に示す[b]に相当)に戻すと共に、空気予熱器58を経由して熱交換された温度79.8℃のCOガス107を[b−3’](図1に示す[b]に相当)に戻す。
【0090】
上述した本実施の形態のCO回収装置55の熱回収設備において、ユングストローム式熱交換器57の温度効率を90%として空気予熱器58を設け、図6に示すパターン7を適用した作用を、図7を参照して説明する。図7に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図1において空気予熱器58の上流のA位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58を経ることでユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の予熱された未燃焼空気102のガス温度は82℃になった。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は323℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。さらに、ユングストローム式熱交換器57を経て排煙脱硫装置54の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は148℃になった。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、870t/hrであった。
【0091】
これに対し、空気予熱器58を設けず、ユングストローム式熱交換器57の温度効率を82.6%とした従来相当での作用は、図7に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図1において、A位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58がないことからユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃になる。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は294℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。さらに、ユングストローム式熱交換器57を経て排煙脱硫装置54の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は130℃になった。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、870t/hrであった。
【0092】
このように、実施の形態2のCO回収装置55の熱回収設備では、CO回収装置55からの排熱によりユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱する空気予熱器58を備えている。
【0093】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用することが可能になる。具体的には、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、323℃として29℃上昇させる。この29℃の上昇により、ボイラ51の入熱が増加し、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量が58t/hr減少されるのと同等の効果となる。この58t/hrの流量は、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量の7%に相当する。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱でユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱することで、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量を低減することと同等の効果となる。
【0094】
しかも、ユングストローム式熱交換器57は、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態2のCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でユングストローム式熱交換器57の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を82℃に上昇させ、かつユングストローム式熱交換器57の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を148℃に上昇させる。この結果、ユングストローム式熱交換器57の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から115℃になり35℃上昇するので、ユングストローム式熱交換器57の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0095】
また、実施の形態2のCO回収装置55の熱回収設備では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う発電プラント50に適用される。
【0096】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、323℃として29℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電プラント50の発電効率を向上することが可能になる。
【0097】
また、実施の形態2のCO回収装置55の熱回収設備では、空気予熱器58は、CO回収装置55からの各排熱流体(吸収液104のリーン液104a、洗浄水105、COガス107)の全て、または、少なくとも一つを循環させて未燃焼空気102を直接的に加熱する。
【0098】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、熱媒体を介して間接的に未燃焼空気102を加熱する場合に対し、伝熱効率を向上することが可能になる。
【0099】
上述した実施の形態2のCO回収装置55の熱回収方法では、ボイラ51から排出される燃焼排ガス101中のCOを吸収液104に吸収させて除去すると共に、COを吸収した吸収液104からCOを放出させ当該吸収液104をCOの吸収に再利用する工程(CO回収工程)を含むCO回収装置55の熱回収方法であって、ボイラ51から排出されてCO回収工程に至る以前の燃焼排ガス101とボイラ51に供給される未燃焼空気102との相互間の熱交換を行う工程(熱交換工程)と、CO回収工程からの排熱により熱交換工程に至る以前の未燃焼空気102を予熱する工程(空気予熱工程)とを含む。
【0100】
このCO回収装置55の熱回収方法によれば、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用することが可能になる。具体的には、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、空気予熱工程にて323℃として29℃上昇させる。この29℃の上昇により、ボイラ51への入熱が増加し、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量が58t/hr減少されるのと同等の効果となる。この58t/hrの流量は、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量の7%に相当する。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱で熱交換工程に至る以前の未燃焼空気102を予熱することで、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量を低減することと同等の効果とになる。
【0101】
しかも、熱交換工程では、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態2のCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当で熱交換工程の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を82℃に上昇させ、かつ熱交換工程の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を148℃に上昇させる。この結果、熱交換工程の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から115℃になり35℃上昇するので、熱交換工程の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0102】
また、実施の形態2のCO回収装置55の熱回収方法では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う工程(発電工程)をさらに含む。
【0103】
このCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、323℃として29℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電工程での発電効率を向上することが可能になる。
【0104】
[実施の形態3]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図8は、実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備が適用される発電プラントの概略図であり、図9は、実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図であり、図10は、実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備のパターンを示す図表であり、図11は、本発明の実施の形態3に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
【0105】
実施の形態3のCO回収装置55の熱回収設備は、図8に示すように、上述した実施の形態1の熱回収設備に加え、ユングストローム式熱交換器57を経てCO回収装置55に至る以前の燃焼排ガス101の熱を回収し、CO回収装置55に供給する熱回収器59をさらに備えている。従って、実施の形態3では、熱回収器59からCO回収装置55への熱回収について説明し、上述した実施の形態1と同等部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0106】
CO回収装置55への回収熱の供給について図9を参照して説明する。図9に示すように、吸収塔2から再生塔3に吸収液104のリッチ液104bを供給するリッチ液管21cは、リッチ・リーン熱交換器4と、再生塔3のノズル31aとの間にて、熱回収器59を経由して設けられている。
【0107】
また、再生塔3におけるセミリーン液抜出管31dは、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置35とノズル32aとの間にて、熱回収器59を経由して設けられている。
【0108】
また、再生塔3におけるセミリーン液抜出管32dは、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置36とノズル33aとの間にて、熱回収器59を経由して設けられている。
【0109】
そして、リッチ液管21cを通る吸収液104のリッチ液104b、セミリーン液抜出管31dを通るセミリーン液104c、セミリーン液抜出管32dを通るセミリーン液104cの全て、または、少なくとも一つの排熱流体は、図8に示す発電プラント50の熱回収器59を経てCO回収装置55の[c]から[d]に至り循環することで、ユングストローム式熱交換器57を経てCO回収装置55に至る以前の燃焼排ガス101の熱の回収に用いられる。
【0110】
具体的に、各排熱流体(吸収液104のリッチ液104b,セミリーン液104c、洗浄水105、COガス107)の全て、または、少なくとも一つを燃焼排ガス101の熱の回収に用いる各パターンを図8図10を参照して説明する。
【0111】
図10に示すパターン1は、リッチ・リーン熱交換器4で熱交換された温度91.2℃の吸収液104のリッチ液104bを[c−1](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給する。そして、熱回収器59を経由して熱回収した温度100.8℃のリッチ液104bを[d−1](図8に示す[d]に相当)に戻し、ノズル31aから再生塔3内に流下させ、吸熱反応させる。
【0112】
図10に示すパターン2は、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置35で熱回収された温度105.0℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−2](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給する。そして、熱回収器59を経由して熱回収した温度112.4℃のセミリーン液104cを[d−2](図8に示す[d]に相当)に戻し、ノズル32aから再生塔3内に流下させ、吸熱反応させる。
【0113】
図10に示すパターン3は、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置36で熱回収された温度117.6℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−3](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給する。そして、熱回収器59を経由して熱回収した温度123.2℃のセミリーン液104cを[d−3](図8に示す[d]に相当)に戻し、ノズル33aから再生塔3内に流下させ、吸熱反応させる。
【0114】
図10に示すパターン4は、パターン1およびパターン2を並行して用いたもので、温度91.2℃の吸収液104のリッチ液104bを[c−1](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給すると共に、温度105.0℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−2](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給する。そして、熱回収器59を経由して熱回収した温度94.1℃のリッチ液104bを[d−1](図8に示す[d]に相当)に戻すと共に、熱回収器59を経由して熱回収した温度112.4℃のセミリーン液104cを[d−2](図8に示す[d]に相当)に戻す。
【0115】
図10に示すパターン5は、パターン1およびパターン3を並行して用いたもので、温度91.2℃の吸収液104のリッチ液104bを[c−1](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給すると共に、温度117.6℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−3](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給する。そして、熱回収器59を経由して熱回収した温度95.6℃のリッチ液104bを[d−1](図8に示す[d]に相当)に戻すと共に、熱回収器59を経由して熱回収した温度123.2℃のセミリーン液104cを[d−3](図8に示す[d]に相当)に戻す。
【0116】
図10に示すパターン6は、パターン2およびパターン3を並行して用いたものであり、温度105.0℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−2](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給すると共に、温度117.6℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−3](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給する。そして、熱回収器59を経由して熱回収した温度107.4℃のセミリーン液104cを[d−2](図8に示す[d]に相当)に戻すと共に、熱回収器59を経由して熱回収した温度123.2℃のセミリーン液104cを[d−3](図8に示す[d]に相当)に戻す。
【0117】
図10に示すパターン7は、パターン1、パターン2およびパターン3を並行して用いたものであり、温度91.2℃の吸収液104のリッチ液104bを[c−1](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給し、温度105.0℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−2](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給すると共に、温度117.6℃の吸収液104のセミリーン液104cを[c−3](図8に示す[c]に相当)から熱回収器59に供給する。そして、熱回収器59を経由して熱回収した温度93.4℃のリッチ液104bを[d−1](図8に示す[d]に相当)に戻し、熱回収器59を経由して熱回収した温度107.4℃のセミリーン液104cを[d−2](図8に示す[d]に相当)に戻すと共に、熱回収器59を経由して熱回収した温度123.2℃のセミリーン液104cを[d−3](図8に示す[d]に相当)に戻す。
【0118】
上述した本実施の形態のCO回収装置55の熱回収設備において、空気予熱器58および熱回収器59を設け、図10に示すパターン7を適用した作用を、図11を参照して説明する。図11に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図8において空気予熱器58の上流のA位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58を経ることでユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の予熱された未燃焼空気102のガス温度は72℃になった。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は302℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。また、ユングストローム式熱交換器57を経て熱回収器59の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は158℃になった。さらに、熱回収器59を経て排煙脱硫装置54の上流のF位置の熱回収された燃焼排ガス101のガス温度は104℃になった。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、800t/hrであった。
【0119】
これに対し、空気予熱器58および熱回収器59を設けない従来相当での作用は、図11に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図8において、A位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58がないことからユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃になる。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は294℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。さらに、ユングストローム式熱交換器57を経て排煙脱硫装置54の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は130℃になった。また、熱回収器59を設けていないので、F位置相当での燃焼排ガス101のガス温度は130℃である。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、870t/hrであった。
【0120】
このように、実施の形態3のCO回収装置55の熱回収設備では、実施の形態1の熱回収設備に対し、ユングストローム式熱交換器57を経てCO回収装置55に至る以前の燃焼排ガス101の熱を回収し、CO回収装置55に供給する熱回収器59をさらに備えた。
【0121】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用しつつ、回収熱を有効利用することが可能になる。具体的には、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、302℃として8℃上昇させる。この8℃の上昇により、ボイラ51への入熱が増加し、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量が15t/hr減少されるのと同等の効果となる。この15t/hrの流量は、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量の1.7%に相当する。さらに、従来相当でCO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量870t/hrを、800t/hrとして70t/hr減少させる。この70t/hrの流量は、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量の8%に相当する。すなわち、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量を、合計9.7%相当減少させたことになる。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱でユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱しつつ、ユングストローム式熱交換器57を経た後の燃焼排ガス101の熱を回収することで、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量を低減することが可能になる。
【0122】
しかも、ユングストローム式熱交換器57は、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態3のCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でユングストローム式熱交換器57の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を72℃に上昇させ、かつユングストローム式熱交換器57の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を158℃に上昇させる。この結果、ユングストローム式熱交換器57の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から115℃になり35℃上昇するので、ユングストローム式熱交換器57の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0123】
また、実施の形態3のCO回収装置55の熱回収設備では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う発電プラント50に適用される。
【0124】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、302℃として8℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電プラント50の発電効率を向上することが可能になる。
【0125】
上述した実施の形態3のCO回収装置55の熱回収方法では、実施の形態1の熱回収方法に対し、熱交換工程を経てCO回収工程に至る以前の燃焼排ガス101の熱を回収し、CO回収工程に供給する工程(熱回収工程)をさらに含む。
【0126】
このCO回収装置55の熱回収方法では、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用することが可能になる。具体的には、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、302℃として8℃上昇させる。この8℃の上昇により、ボイラ51への入熱が増加し、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量が15t/hr減少されるのと同等の効果となる。この15t/hrの流量は、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量の1.7%に相当する。さらに、従来相当でCO回収工程に供給される低圧蒸気106の流量870t/hrを、800t/hrとして70t/hr減少させる。この70t/hrの流量は、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量の8%に相当する。すなわち、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量を、合計9.7%相当減少させたことになる。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱で熱交換工程に至る以前の未燃焼空気102を予熱しつつ、熱交換工程を経た後の燃焼排ガス101の熱を回収することで、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量を低減することが可能になる。
【0127】
しかも、熱交換工程では、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態3のCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当で熱交換工程の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を72℃に上昇させ、かつ熱交換工程の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を158℃に上昇させる。この結果、熱交換工程の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から115℃になり35℃上昇するので、熱交換工程の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0128】
また、実施の形態3のCO回収装置55の熱回収方法では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う発電工程をさらに含む。
【0129】
このCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、302℃として8℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電工程での発電効率を向上することが可能になる。
【0130】
なお、上述した構成では、再生塔3が上部再生部31と中部再生部32と下部再生部33との上中下3段で構成されているが、再生塔3は、上部再生部31と下部再生部33との上下2段で構成されていてもよい。この場合、再生塔3におけるセミリーン液抜出管31dは、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置35とノズル32aとの間にて、熱回収器59を経由して設けられ、図10に示すパターン2、およびパターン2を含むパターンが削除されることになる。また、上部再生部31と中部再生部32と下部再生部33との上中下3段に限らず、3段以上の複数であってもよい。この場合、増えた段の分のパターン、および当該パターンを含むパターンが増すことになる。
【0131】
[実施の形態4]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図12は、実施の形態4に係るCO回収装置の熱回収設備の概略図であり、図13は、実施の形態4に係るCO回収装置の熱回収設備の作用を示す概略図である。
【0132】
実施の形態4のCO回収装置55の熱回収設備は、図8および図12に示すように、上述した実施の形態2の熱回収設備に加え、ユングストローム式熱交換器57を経てCO回収装置55に至る以前の燃焼排ガス101の熱を回収し、CO回収装置55に供給する熱回収器59をさらに備えている。また、熱回収器59からCO回収装置55への熱回収については、上述した実施の形態3と同様である。従って、実施の形態4では、上述した実施の形態2および実施の形態3の説明によりその説明を省略する。
【0133】
本実施の形態のCO回収装置55の熱回収設備において、空気予熱器58および熱回収器59を設け、図10に示すパターン7を適用した作用を、図13を参照して説明する。図13に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図8において空気予熱器58の上流のA位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58を経ることでユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の予熱された未燃焼空気102のガス温度は82℃になった。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は303℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。また、ユングストローム式熱交換器57を経て熱回収器59の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は165℃になった。さらに、熱回収器59を経て排煙脱硫装置54の上流のF位置の熱回収された燃焼排ガス101のガス温度は104℃になった。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、791t/hrであった。
【0134】
これに対し、空気予熱器58および熱回収器59を設けない従来相当での作用は、図13に示すように、未燃焼空気102のガス温度が外気相当の30℃の場合、図8において、A位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃であり、空気予熱器58がないことからユングストローム式熱交換器57の上流のB位置の未燃焼空気102のガス温度は30℃になる。そして、ユングストローム式熱交換器57を経てボイラ51の上流のC位置の熱交換された未燃焼空気102のガス温度は294℃になった。また、ボイラ51を経てユングストローム式熱交換器57の上流のD位置の燃焼排ガス101のガス温度は350℃になった。さらに、ユングストローム式熱交換器57を経て排煙脱硫装置54の上流のE位置の熱交換された燃焼排ガス101のガス温度は130℃になった。また、熱回収器59を設けていないので、F位置相当での燃焼排ガス101のガス温度は130℃である。このとき、CO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量Gは、870t/hrであった。
【0135】
このように、実施の形態4のCO回収装置55の熱回収設備では、実施の形態2の熱回収設備に対し、ユングストローム式熱交換器57を経てCO回収装置55に至る以前の燃焼排ガス101の熱を回収し、CO回収装置55に供給する熱回収器59をさらに備えた。
【0136】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用しつつ、回収熱を有効利用することが可能になる。具体的には、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、303℃として9℃上昇させる。この9℃の上昇により、ボイラ51への入熱が増加し、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量が17t/hr減少されるのと同等の効果となる。この17t/hrの流量は、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量の2%に相当する。さらに、従来相当でCO回収装置55の再生加熱部34に供給される低圧蒸気106の流量870t/hrを、791t/hrとして79t/hr減少させる。この79t/hrの流量は、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量の9.1%に相当する。すなわち、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量を、合計11.1%相当減少させたことになる。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱でユングストローム式熱交換器57に至る以前の未燃焼空気102を予熱しつつ、ユングストローム式熱交換器57を経た後の燃焼排ガス101の熱を回収することで、CO回収装置55で消費する低圧蒸気106の流量を低減することが可能になる。
【0137】
しかも、ユングストローム式熱交換器57は、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態4のCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でユングストローム式熱交換器57の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を82℃に上昇させ、かつユングストローム式熱交換器57の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を165℃に上昇させる。この結果、ユングストローム式熱交換器57の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から123.5℃になり43.5℃上昇するので、ユングストローム式熱交換器57の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0138】
また、実施の形態4のCO回収装置55の熱回収設備では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う発電プラント50に適用される。
【0139】
このCO回収装置55の熱回収設備によれば、上述したように、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、303℃として9℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電プラント50の発電効率を向上することが可能になる。
【0140】
上述した実施の形態4のCO回収装置55の熱回収方法では、実施の形態1の熱回収方法に対し、熱交換工程を経てCO回収工程に至る以前の燃焼排ガス101の熱を回収し、CO回収工程に供給する工程(熱回収工程)をさらに含む。
【0141】
このCO回収装置55の熱回収方法によれば、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱を有効利用することが可能になる。具体的には、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、303℃として9℃上昇させる。この9℃の上昇により、ボイラ51への入熱が増加し、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量が17t/hr減少されるのと同等の効果となる。この17t/hrの流量は、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量の2%に相当する。さらに、従来相当でCO回収工程に供給される低圧蒸気106の流量870t/hrを、791t/hrとして79t/hr減少させる。この79t/hrの流量は、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量の9.1%に相当する。すなわち、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量を、合計11.1%相当減少させたことになる。この結果、COを回収する際に排出される70℃〜80℃の温度レベル以下の低温の排熱で熱交換工程に至る以前の未燃焼空気102を予熱しつつ、熱交換工程を経た後の燃焼排ガス101の熱を回収することで、CO回収工程で消費する低圧蒸気106の流量を低減することが可能になる。
【0142】
しかも、熱交換工程では、硫黄分を含む燃焼排ガス101と未燃焼空気102との熱交換を行うことから、蓄熱体の伝熱面に発生する結露により、当該蓄熱体が硫酸腐食するおそれがある。この点、実施の形態4のCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当で熱交換工程の入口側のB位置の未燃焼空気102のガス温度30℃を82℃に上昇させ、かつ熱交換工程の出口側のE位置での燃焼排ガス101のガス温度130℃を165℃に上昇させる。この結果、熱交換工程の平均コールドエンド温度((燃焼排ガス出口側ガス温度+未燃焼空気入口側ガス温度)/2)が、80℃から123.5℃になり43.5℃上昇するので、熱交換工程の蓄熱体の伝熱面の結露を防ぎ、蓄熱体の硫酸腐食を抑制することが可能になる。
【0143】
また、実施の形態4のCO回収装置55の熱回収方法では、ボイラ51からの過熱蒸気100で蒸気タービン52を駆動させて発電機53により発電を行う発電工程をさらに含む。
【0144】
このCO回収装置55の熱回収方法によれば、従来相当でボイラ51に供給されるC位置での未燃焼空気102のガス温度294℃を、303℃として9℃上昇させる。このため、ボイラ51から蒸気タービン52に供給する過熱蒸気100の流量が増加するので、発電工程での発電効率を向上することが可能になる。
【0145】
なお、上述した構成では、再生塔3が上部再生部31と中部再生部32と下部再生部33との上中下3段で構成されているが、再生塔3は、上部再生部31と下部再生部33との上下2段で構成されていてもよい。この場合、再生塔3におけるセミリーン液抜出管31dは、リーン液・蒸気ドレン熱回収装置35とノズル32aとの間にて、熱回収器59を経由して設けられ、図10に示すパターン2、およびパターン2を含むパターンが削除されることになる。また、上部再生部31と中部再生部32と下部再生部33との上中下3段に限らず、3段以上の複数であってもよい。この場合、増えた段の分のパターン、および当該パターンを含むパターンが増すことになる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
以上のように、本発明に係るCO回収装置の熱回収設備および熱回収方法は、COを回収する際に排出される低温の排熱を有効利用することに適している。
【符号の説明】
【0147】
1 冷却塔
2 吸収塔
3 再生塔
4 リッチ・リーン熱交換器
50 発電プラント
51 ボイラ
52 蒸気タービン
53 発電機
54 排煙脱硫装置
55 CO回収装置
56 煙突
57 ユングストローム式熱交換器
58 空気予熱器
59 熱回収器
100 過熱蒸気
101 燃焼排ガス
101a 脱炭酸排ガス
102 未燃焼空気
103 冷却水
104 吸収液
104a リーン液
104b リッチ液
104c セミリーン液
105 洗浄水
106 低圧蒸気
106a 蒸気ドレン
107 COガス
108 凝縮水
109 熱媒体
図1
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