特許第5737863号(P5737863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737863
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 15/00 20060101AFI20150528BHJP
   G01G 11/00 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   G01G15/00 A
   G01G11/00 H
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-125304(P2010-125304)
(22)【出願日】2010年5月31日
(65)【公開番号】特開2011-252729(P2011-252729A)
(43)【公開日】2011年12月15日
【審査請求日】2013年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】柴田 清志
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特公平03−033391(JP,B2)
【文献】 特開平08−014997(JP,A)
【文献】 特開昭59−120823(JP,A)
【文献】 特開昭62−142229(JP,A)
【文献】 特開昭59−120824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00 − 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が載せられる載台と、
前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、
前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部とを有し、
前記報知部は、
前記載台に被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分、および、前記重量の増加分に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知し、
前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する
計量装置。
【請求項2】
被計量物が載せられる載台と、
前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、
前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部とを有し、
前記報知部は、
前記載台に被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分、および、前記重量の増加分に対応する重量ランクの少なくとも一方と、前記計量部により計測された重量の変化が被計量物の重量の増加により生じた結果であることを示す情報とを報知し、
前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方と、前記計量部により計測された重量の変化が被計量物の重量の減少により生じた結果であることを示す情報とを報知する
計量装置。
【請求項3】
被計量物が載せられる載台と、
前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、
前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部と、
前記計量部により計測された重量を記憶する記憶部とを有し、
前記記憶部は、
被計量物が載せられている前記載台に別の被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分を記憶し、
前記報知部は、
前記別の被計量物が前記載台に載せられる前から前記載台に載せられていた被計量物である既存の被計量物、および、前記別の被計量物が併せて前記載台から取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記記憶部に記憶されている前記重量の増加分に基づいて、前記既存の被計量物の重量、および、その重量に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する
計量装置。
【請求項4】
被計量物が載せられる載台と、
前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、
前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部とを有し、
前記報知部は、
前記載台に被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分、および、前記重量の増加分に対応する重量ランクの少なくとも一方を音声により報知し、その後、前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方を音声以外の方法により報知する
計量装置。
【請求項5】
前記報知部は、
前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する
請求項3または4に記載の計量装置。
【請求項6】
前記報知部は、
前記計量部により計測された重量の変化が被計量物の重量の増加および減少のいずれにより生じた結果であるかを示す情報を報知する
請求項1、請求項3、請求項4、または、請求項2以外を引用する請求項5に記載の計量装置。
【請求項7】
前記計量部により計測された重量を記憶する記憶部をさらに有し、
前記記憶部は、
被計量物が載せられている前記載台に別の被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分を記憶し、
前記報知部は、
前記別の被計量物が前記載台に載せられる前から前記載台に載せられていた被計量物である既存の被計量物、および、前記別の被計量物が併せて前記載台から取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記記憶部に記憶されている前記重量の増加分に基づいて、前記既存の被計量物の重量、および、その重量に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する
請求項1、請求項2、請求項4、請求項3以外を引用する請求項5、または、請求項3以外を引用する請求項6に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物を載置する載台と、この載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部とを備える計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計量装置として、計量部により計測された被計量物の計量値が減少したときに計量値の減少分を算出し、算出した減少分に基づいて計量部から取り除かれた被計量物の重量ランクを判定する減算式判定処理を行うものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記計量装置は、例えば複数の被計量物を重量ランク毎に用意された仕分箱に分類する作業に用いられる。この作業は一般には次の各工程を含めて行われる。
(1)作業者は、複数の被計量物が入れられた計量箱を計量部に載せる。
(2)作業者は、1つの被計量物を計量部から取り除く。
(3)作業者は、取り除いた被計量物の重量ランクを表示部の表示内容により確認する。
(4)作業者は、被計量物を重量ランク毎に用意された仕分箱のいずれかに入れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3516001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者が上記(4)の作業を行う場合に重量ランクの結果を忘れたとき、そのときに手にしている被計量物を再び計量部に載せた後、この被計量物を計量部から取り除いたときに表示部に表示される被計量物の重量ランクに基づいて被計量物をいずれかの仕分箱に入れることになる。
【0006】
一方、作業者の作業効率の観点からすると、被計量物を再び計量部に載せたときに重量ランクの判定結果が表示部に表示されることが好ましい。すなわち、重量ランクの判定結果が表示部に表示されるタイミングが早くなるにつれ、作業者は被計量物をいずれの仕分箱に入れるべきかの判断を速やかに行うことができるため、被計量物を仕分箱に分類する作業効率が向上すると考えられる。
【0007】
本発明の目的は、被計量物を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることのできる計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕本計量装置の独立した一形態は、被計量物が載せられる載台と、前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部とを有し、前記報知部は、前記載台に被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分、および、前記重量の増加分に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知し、前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する。
〔2〕本計量装置の独立した別の一形態は、被計量物が載せられる載台と、前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部とを有し、前記報知部は、前記載台に被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分、および、前記重量の増加分に対応する重量ランクの少なくとも一方と、前記計量部により計測された重量の変化が被計量物の重量の増加により生じた結果であることを示す情報とを報知し、前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方と、前記計量部により計測された重量の変化が被計量物の重量の減少により生じた結果であることを示す情報とを報知する。
〔3〕本計量装置の独立した別の一形態は、被計量物が載せられる載台と、前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部と、前記計量部により計測された重量を記憶する記憶部とを有し、前記記憶部は、被計量物が載せられている前記載台に別の被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分を記憶し、前記報知部は、前記別の被計量物が前記載台に載せられる前から前記載台に載せられていた被計量物である既存の被計量物、および、前記別の被計量物が併せて前記載台から取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記記憶部に記憶されている前記重量の増加分に基づいて、前記既存の被計量物の重量、および、その重量に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する。
〔4〕本計量装置の独立した別の一形態は、被計量物が載せられる載台と、前記載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部と、前記計量部により計測された結果に基づいて被計量物の重量に関する情報を報知する報知部とを有し、前記報知部は、前記載台に被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分、および、前記重量の増加分に対応する重量ランクの少なくとも一方を音声により報知し、その後、前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方を音声以外の方法により報知する。
〔5〕前記計量装置に従属する一形態によれば、前記報知部は、前記載台から被計量物が取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記重量の減少分に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する。
〔6〕前記計量装置に従属する一形態によれば、 前記報知部は、前記計量部により計測された重量の変化が被計量物の重量の増加および減少のいずれにより生じた結果であるかを示す情報を報知する。
〔7〕前記計量装置に従属する一形態によれば、前記計量部により計測された重量を記憶する記憶部をさらに有し、前記記憶部は、被計量物が載せられている前記載台に別の被計量物が載せられたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が増加したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の増加分を記憶し、前記報知部は、前記別の被計量物が前記載台に載せられる前から前記載台に載せられていた被計量物である既存の被計量物、および、前記別の被計量物が併せて前記載台から取り除かれたことにより、前記載台に載せられている被計量物の重量が減少したことが前記計量部により計測されたとき、前記計量部により計測された重量の減少分、および、前記記憶部に記憶されている前記重量の増加分に基づいて、前記既存の被計量物の重量、および、その重量に対応する重量ランクの少なくとも一方を報知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被計量物を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることのできる計量装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1第1実施形態の計量装置およびその周辺の作業環境を示す模式図。
図2第1実施形態の基本減算式判定処理を示すフローチャート。
図3第1実施形態の加算式判定処理を示すフローチャート。
図4第1実施形態の重量ランクの判定に用いられるテーブル。
図5第1実施形態の表示部における表示内容の一例を示す模式図。
図6第1実施形態の除外型仕分け作業の手順を示す工程図。
図7第1実施形態の複合減算式判定処理を示すフローチャート。
図8第1実施形態の判定方式選択処理を示すフローチャート。
図9第2実施形態の重量ランク判定処理を示すフローチャート。
図10第3実施形態の除外型仕分け作業の手順を示す工程図。
図11第3実施形態の判定方式選択処理を示すフローチャート。
図12第4実施形態の計量装置およびその周辺の作業環境を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
図1図8を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。この実施形態では、複数の被計量物を重量ランク毎に仕分けする作業(以下、「仕分け作業」)に用いる計量装置として本発明を具体化した場合の一例を示している。
【0018】
図1に、計量装置10およびその周辺の作業環境を示す。
計量装置10は、被計量物40の重量を計測する計量部16と、計量部16の計測結果に基づく演算およびその結果の報知を行う報知部11とを含む。
【0019】
報知部11は、計量部16の計測結果に基づいて被計量物40の重量および重量ランクの判定等を行う制御部12と、被計量物40の重量等をモニタに表示する表示部13と、被計量物40の重量等を音声として出力する音声部14と、制御部12の演算結果等を記憶する記憶部15とを含む。
【0020】
計量部16は、載台17に載せられた物体の重量に応じた信号を制御部12に出力する。表示部13は、制御部12から送信された信号に基づいて被計量物40の重量および重量ランク等を表示する。音声部14は、制御部12から送信された信号に基づいて被計量物40の重量を音声により出力する。
【0021】
計量装置10の周囲には、被計量物40を重量ランク毎に収容するための複数の仕分箱30が配置されている。計量箱20内の被計量物40は、表示部13に表示される重量ランクの結果に応じて対応する重量ランクの仕分箱30に入れられる。なお以下では、作業者50が被計量物40を載台17に載せる作業、作業者50が被計量物40を載台17から取り除く作業、および作業者50が被計量物40を仕分箱30に入れる作業の総称として、「被計量物40の搬送」旨の記載を用いる。
【0022】
計量装置10を用いた仕分け作業には、除外型仕分け作業および分割型仕分け作業が含まれる。これらの作業において、作業者50が重量ランクの判定作業の1回あたりに搬送する被計量物40の基本の数量を「単位搬送数量」とする。
【0023】
除外型仕分け作業の内容を工程順に以下に示す。
・工程A:計量装置10の電源を入れる。
・工程B:仕分けの対象となる複数の被計量物40を空の計量箱20に入れる。
・工程C:複数の被計量物40が入れられた計量箱20を載台17に載せる。
・工程D:単位搬送数量の被計量物40を載台17から取り除く。
・工程E:取り除かれた被計量物40の重量ランクが表示部13に表示される。
・工程F:被計量物40の重量ランクを表示部13の表示内容により確認する。
・工程G:被計量物40を対応する重量ランクの仕分箱30に入れる。
【0024】
工程G以降は、載台17上の被計量物40の全てがいずれかの仕分箱30に搬送されるまで、工程D〜工程Gの作業が繰り返し行われる。なお、工程Aは工程Bの後または工程Cの後に行うこともできる。
【0025】
除外型仕分け作業において、被計量物40の単位搬送数量が「1」のときには、工程D〜工程Gにおいて1つの被計量物40が計量箱20から仕分箱30に搬送される。この実施形態では、単位搬送数量を「1」とした除外型仕分け作業を想定している。
【0026】
分割型仕分け作業の内容を工程順に以下に示す。
・工程A:計量装置10の電源を入れる。
・工程B:コンベアにより計量装置10に向けて被計量物40を流す。
・工程C:コンベアから単位搬送数量の被計量物40を取り出す。
・工程D:単位搬送数量の被計量物40を載台17に載せる。
・工程E:載せられた被計量物40の重量ランクが表示部13に表示される。
・工程F:被計量物40の重量ランクを表示部13の表示内容により確認する。
・工程G:被計量物40を対応する重量ランクの仕分箱30に入れる。
【0027】
工程G以降は、コンベア上の被計量物40の全てがいずれかの仕分箱30に搬送されるまで、工程C〜工程Gの作業が繰り返し行われる。なお、コンベアを用いる作業態様に代えて、仕分けの対象となる複数の被計量物40が入れられた計量箱20を計量装置10の周囲に配置し、作業者がこの計量箱20から被計量物40を載台17に搬送することもできる。
【0028】
分割型仕分け作業において、被計量物40の単位搬送数量が「1」のときには、工程C〜工程Gにおいて1つの被計量物40がコンベアから仕分箱30に搬送される。この実施形態では、単位搬送数量を「1」とした分割型仕分け作業を想定している。
【0029】
次に、計量部16により計測される重量に関する各用語の内容について説明する。
・「計量部16の計量値W」は、計量部16の出力値に基づいて算出された物体の重量に相当する値の総称を示す。
・「被計量物40の計量値W」は、計量部16の出力値に基づいて算出された被計量物40の重量に相当する値の総称を示す。
・「全体計量値WAL」は、載台17上にある全ての被計量物40の重量に相当する被計量物40の計量値Wを示す。
・「今回全体計量値WALx」は、制御部12の今回の演算周期において算出された全体計量値WALを示す。
・「前回全体計量値WALy」は、制御部12の前回の演算周期において算出された全体計量値WALを示す。
・「前々回全体計量値WALz」は、制御部12の前々回の演算周期において算出された全体計量値WALを示す。
・「今回全体変化量△Wxy」は、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差を示す。
・「前回全体変化量△Wyz」は、前回全体計量値WALyと前々回全体計量値WALzとの差を示す。
・「単位計量値WID」は、単位搬送数量の被計量物40の計量値Wを示す。
・「今回単位計量値WIDx」は、制御部12の今回の演算周期において算出された単位計量値WIDを示す。
・「前回単位計量値WIDy」は、制御部12の前回の演算周期において算出された単位計量値WIDを示す。
【0030】
除外型仕分け作業においては、計量箱20の中の全ての被計量物40の重量を合わせた計量値Wが全体計量値WALとなる。すなわち、計量箱20を含めて計測された計量部16の計量値Wから予め把握されている計量箱20の重量分を減算し、減算後の計量値Wを全体計量値WALとして算出する。なお、計量箱20の重量を含めたかたちで全体計量値WALを算出することもできる。
【0031】
制御部12は、計量部16の出力値が入力される毎に同出力値に基づいて、全体計量値WALおよび単位計量値WIDを算出する。単位計量値WIDは、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差として算出される。算出された全体計量値WALおよび単位計量値WIDは記憶部15に記憶される。
【0032】
制御部12は、被計量物40の重量ランクを判定するための処理として、以下の(A)に示す減算式判定処理、(B)に示す加算式判定処理、および(C)に示す判定方式選択処理を行う。
【0033】
(A)減算式判定処理では、計量部16により計測された被計量物40の計量値Wが減少したときに計量値Wの減少分である今回全体変化量△Wxyを算出し、この今回全体変化量△Wxyに基づいて載台17から取り除かれた被計量物40の重量ランクを判定する。減算式判定処理としては、図2に示される「基本減算式判定処理」および図7に示される「複合減算式判定処理」が用意されている。
【0034】
(B)加算式判定処理では、計量部16により計測された被計量物40の計量値Wが増加したときに計量値Wの増加分である今回全体変化量△Wxyを算出し、この今回全体変化量△Wxyに基づいて載台17に載せられた被計量物40の重量ランクを判定する。
【0035】
(C)判定方式選択処理では、被計量物40の重量ランクの判定に基本減算式判定処理、複合減算式判定処理、および加算式判定処理のいずれを用いるかの選択を計量部16の計量値Wに基づいて行う。
【0036】
当該計量装置10では、判定方式選択処理によりいずれかの減算式判定処理または加算式判定処理が選択されたとき、選択された判定処理がすぐに実行される。すなわち報知部11は、減算式判定処理および加算式判定処理の双方を有効にした状態で重量ランクの判定に用いる判定処理の選択を行う。
【0037】
図2を参照して、「基本減算式判定処理」の内容について説明する。この判定処理では、今回全体計量値WALxが「0」のとき、および今回全体計量値WALxが「0」よりも大きいときのいずれにもステップS11およびこれ以降の処理を行う。
【0038】
ステップS11では、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差である今回全体変化量△Wxyを算出する。算出された今回全体変化量△Wxyは今回単位計量値WIDxとしても取り扱われる。
【0039】
ステップS12では、今回全体変化量△Wxyの絶対値が予め設定された最小測定量△XAよりも大きいか否かを判定する。今回全体変化量△Wxyの絶対値が最小測定量△XAよりも大きいときには、ステップS13以降の処理を行う。今回全体変化量△Wxyの絶対値が最小測定量△XAと同じまたは最小測定量△XAよりも小さいときには、本判定処理を終了する。
【0040】
ステップS13では、今回全体変化量△Wxyの絶対値が図4のランク判定テーブルのいずれの重量ランクに属するかを判定する。すなわち、今回全体変化量△Wxyの絶対値の属する重量ランクを被計量物40の重量ランクとして選択する。
【0041】
ステップS14では、重量ランクの判定の結果を示す信号を表示部13に出力する。表示部13においてこの信号が受信されると、信号に対応した数値等が表示される。表示部13に表示された今回の重量ランクの判定結果等は、次に重量ランクの判定結果を示す信号が表示部13に入力されるまで継続して表示される。
【0042】
ステップS15では、図8の「判定方式選択処理」によりオンまたはオフに設定される音声フラグFVがオンに設定されているか否かを判定する。音声フラグFVがオンに設定されているときには、ステップS16の処理を行う。音声フラグFVがオフに設定されているときには、ステップS16の処理を省略する。
【0043】
ステップS16では、重量ランクの判定の結果を示す信号を音声部14に出力する。音声部14においてこの信号が受信されると、各信号に対応した音声が出力される。音声の出力態様としては、1回または予め設定された複数回だけ音声を出力する態様、および次に重量ランクの判定結果を示す信号が音声部14に入力されるまで音声を繰り返し出力する態様を選択することができる。
【0044】
図3を参照して、「加算式判定処理」の内容について説明する。
ステップS21では、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差である今回全体変化量△Wxyを算出する。算出された今回全体変化量△Wxyは今回単位計量値WIDxとしても取り扱われる。
【0045】
ステップS22では、今回全体変化量△Wxyの絶対値が予め設定された最小測定量△XAよりも大きいか否かを判定する。今回全体変化量△Wxyの絶対値が最小測定量△XAよりも大きいときには、ステップS23以降の処理を行う。今回全体変化量△Wxyの絶対値が最小測定量△XAと同じまたは最小測定量△XAよりも小さいときには、本判定処理を終了する。
【0046】
ステップS23では、今回全体変化量△Wxyの絶対値が図4のランク判定テーブルのいずれの重量ランクに属するかを判定する。すなわち、今回全体変化量△Wxyの絶対値の属する重量ランクを被計量物40の重量ランクとして選択する。
【0047】
ステップS24では、重量ランクの判定の結果を示す信号を表示部13に出力する。表示部13においてこの信号が受信されると、信号に対応した数値等が表示される。表示部13に表示された今回の重量ランクの判定結果等は、次に重量ランクの判定結果を示す信号が表示部13に入力されるまで継続して表示される。
【0048】
ステップS25では、音声フラグFVがオンに設定されているか否かを判定する。音声フラグFVがオンに設定されているときには、ステップS26の処理を行う。音声フラグFVがオフに設定されているときには、ステップS26の処理を省略する。
【0049】
ステップS26では、重量ランクの判定の結果を示す信号を音声部14に出力する。音声部14においてこの信号が受信されると、各信号に対応した音声が出力される。音声の出力態様としては、1回または予め設定された複数回だけ音声を出力する態様、および次に重量ランクの判定結果を示す信号が音声部14に入力されるまで音声を繰り返し出力する態様を選択することができる。
【0050】
図4に、ランク判定テーブルの一例を示す。
被計量物40の計量値W(今回単位計量値WIDxまたは今回全体変化量△Wxy)は、最小測定量△XAおよび第1境界値WX1〜第4境界値WX4に基づいて次のように分類される。なお、最小測定量△XAおよび第1境界値WX1〜第4境界値WX4は「△XA<WX1<WX2<WX3<WX4」の関係を有する判定値として記憶部15に予め記憶されている。
・最小測定量△XA以上かつ第1境界値WX1未満の計量値Wはランク外に分類される。
・第1境界値WX1以上かつ第2境界値WX2未満の計量値WはランクAに分類される。
・第2境界値WX2以上かつ第3境界値WX3未満の計量値WはランクBに分類される。
・第3境界値WX3以上かつ第4境界値WX4未満の計量値WはランクCに分類される。
・第4境界値WX4以上の計量値Wはランク外に分類される。
【0051】
被計量物40の計量値Wがランク外、ランクA、ランクBおよびランクCのいずれかに分類されたとき、分類されたランクの内容が表示部13に表示される。被計量物40の計量値Wがいずれの重量ランクにも分類されないとき、被計量物40の搬送以外の理由により計量値Wの変化が生じたと推定される。このため、表示部13の重量ランクの項目には重量ランクの判定結果を示すものは表示されない。また、表示部13の重量の項目には「0」が表示される。
【0052】
図5に、表示部13の表示内容の一例を示す。
表示部13には、「全体重量」および「単位重量」および「重量ランク」の項目が表示される。「全体重量」の項目には、制御部12により算出された全体計量値WAL(今回全体計量値WALx)が表示される。「単位重量」の項目には、制御部12により算出された単位計量値WID(今回単位計量値WIDx)が表示される。「重量ランク」の項目には、制御部12により選択された重量ランクに対応した文字が表示される。
【0053】
ところで、除外型仕分け作業においては、基本的には載台17から被計量物40を取り除く作業が継続して行われるが、工程D〜Gの間に被計量物40が新たに載台17に載せられることも想定される。以下では、このように載台17に被計量物40が載せられている状態でさらに別の被計量物40が載台17に載せられ、その後に同別の被計量物40が載台17から取り除かれる作業を「複合搬送作業」とする。
【0054】
複合搬送作業の具体的な例としては主に以下の2つが挙げられる。
(a)作業者50は、工程Gの作業を行うときに被計量物40の重量ランクを忘れたことにより、同被計量物40の重量ランクの確認のために被計量物40を再び載台17に載せる。そして、この被計量物40の重量ランクが表示部13に表示されたことにより、被計量物40を載台17から取り除いて対応する仕分箱30に入れる。
(b)作業者50は、すでに載台17に載せられている被計量物40とは別の被計量物40について、載台17上の被計量物40よりも優先して仕分けする必要が生じたことにより、同別の被計量物40を載台17に載せる。そして、この被計量物40の重量ランクが表示部13に表示されたことにより、被計量物40を載台17から取り除いて対応する仕分箱30に入れる。
【0055】
複合搬送作業の態様としては、被計量物40を載せた後に単位搬送数量の被計量物40を取り除く態様(以下、「単位複合搬送作業」)と、被計量物40を載せた後に2組の単位搬送数量の被計量物40を取り除く態様(以下、「同時複合搬送作業」)とが挙げられる。
【0056】
図6に、同時複合搬送作業の工程図を示す。
図6(A)に示されるように、除外型仕分け作業の過程において、単位搬送数量の被計量物40Aが載台17に載せられる。図6(B)に示されるように、加算式判定処理により被計量物40Aの重量ランクが判定される。
【0057】
図6(C)および(D)に示されるように、重量ランクが判定された被計量物40Aおよび、これとは別の被計量物40Bが載台17から取り除かれる。すなわち、2組の単位搬送数量の被計量物40Aおよび被計量物40Bが併せて載台17から取り除かれる。
【0058】
当該計量装置10では、同時複合搬送作業が行われたときに計量部16の計量値Wに基づいて、減算式判定処理により被計量物40Bの重量ランクを判定する。具体的には以下の手順で重量ランクの判定を行う。
【0059】
制御部12は、載台17に被計量物40Aが載せられて計量部16の計量値Wが増加したとき(図6(A))、被計量物40Aの重量ランクを判定する加算式判定処理を行う(図6(B))。その後、載台17から被計量物40Aおよび被計量物40Bが併せて取り除かれたとき(図6(C))、計量部16の計量値Wの減少分と被計量物40Aの計量値Wとに基づいて被計量物40Bの重量ランクを判定する複合減算式判定処理を行う(図6(D))。
【0060】
この処理が行われることにより、作業者50は被計量物40Aを載台17に載せて重量ランクを確認した後、被計量物40Aおよび被計量物40Bを併せて載台17から取り除くことにより、被計量物40Bの重量ランクを確認することができる。従って、被計量物40Aおよび被計量物40Bが併せて載台17から取り除かれたときに後者の重量ランクの判定を行う機能を有していない計量装置と比較して、作業者50が被計量物40Bの重量ランクをより早いタイミングで確認できる。このため、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率をより高めることができる。
【0061】
図7を参照して、「複合減算式判定処理」の内容について説明する。この判定処理では、今回全体計量値WALxが「0」のとき、および今回全体計量値WALxが「0」よりも大きいときのいずれにもステップS31およびこれ以降の処理を行う。
【0062】
ステップS31では、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差である今回全体変化量△Wxyを算出する。なお、ここで算出された今回全体変化量△Wxyは、今回単位計量値WIDxと前回単位計量値WIDyとを合わせたものに相当する。
【0063】
ステップS32では、今回全体変化量△Wxyと前回単位計量値WIDyとの差である今回単位計量値WIDxを算出する。前回単位計量値WIDyは、複合搬送作業において最初に載台17に載せられる被計量物40(図6の被計量物40A)の計量値Wを示す。
【0064】
ステップS33では、今回単位計量値WIDxの絶対値が図4のランク判定テーブルのいずれの重量ランクに属するかを判定する。すなわち、今回単位計量値WIDxの絶対値の属する重量ランクを被計量物40(図6の被計量物40B)の重量ランクとして選択する。
【0065】
ステップS34では、重量ランクの判定の結果を示す信号を表示部13に出力する。表示部13においてこの信号が受信されると、各信号に対応した数値等が表示される。表示部13に表示された今回の重量ランクの判定結果等は、次に重量ランクの判定結果を示す信号が表示部13に入力されるまで継続して表示される。
【0066】
ステップS35では、音声フラグFVがオンに設定されているか否かを判定する。音声フラグFVがオンに設定されているときには、ステップS36の処理を行う。音声フラグFVがオフに設定されているときには、ステップS36の処理を省略する。
【0067】
ステップS36では、重量ランクの判定の結果を示す信号を音声部14に出力する。音声部14においてこの信号が受信されると、信号に対応した音声が出力される。音声の出力態様としては、1回または予め設定された複数回だけ音声を出力する態様、および次に重量ランクの判定結果を示す信号が音声部14に入力されるまで音声を繰り返し出力する態様を選択することができる。
【0068】
図8を参照して、「判定方式選択処理」の内容について説明する。なお、この処理は、計量装置10の電源が投入されている状態において予め設定された所定の制御周期毎に制御部12により繰り返し行われる。
【0069】
この判定方式選択処理は、大きくは以下の(処理群1)〜(処理群5)に分類される。
(処理群1)この処理群にはステップS110〜S130が含まれる。この処理群では、音声フラグFVの設定および重量ランクの判定を下記(処理群2)〜(処理群5)のいずれにより行うかの判定が行われる。
【0070】
(処理群2)この処理群にはステップS210およびS220が含まれる。この処理群では、図3の加算式判定処理による被計量物40の重量ランクの判定、および同判定の結果の報知が行われる。
【0071】
(処理群3)この処理群にはステップS310およびS320が含まれる。この処理群では、図2の基本減算式判定処理による被計量物40の重量ランクの判定、および同判定の結果の報知が行われる。
【0072】
(処理群4)この処理群にはステップS410およびS420が含まれる。この処理群では、図7の複合減算式判定処理による被計量物40の重量ランクの判定、および同判定の結果の報知が行われる。
【0073】
(処理群5)この処理群にはステップS510およびS520が含まれる。この処理群では、図2の基本減算式判定処理による被計量物40の重量ランクの判定、および同判定の結果の報知が行われる。
【0074】
処理群1においては具体的には次の各判定処理が行われる。
ステップS110では、前回全体計量値WALyから今回全体計量値WALxへの変化が減少側の変化か否かを判定する。ステップS120では、前々回全体計量値WALzから前回全体計量値WALyの変化が減少側の変化か否かを判定する。ステップS130では、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差である今回全体変化量△Wxyと、前回全体計量値WALyと前々回全体計量値WALzとの差である前回全体変化量△Wyzとの差である変化量差△WZが変化量差判定値△XBよりも大きいか否かを判定する。
【0075】
(A)ステップS110の判定結果が「いいえ」の場合、作業者50により載台17に被計量物40が載せられたと推定される。この場合には、処理群2の次の各処理が行われる。
【0076】
ステップS210では、音声フラグFVをオンに設定する。ステップS220では、図3の加算式判定処理を実行して被計量物40の重量ランクを判定する。すなわち、加算式判定処理により被計量物40の重量ランクの判定が行われるとともに、その結果が表示部13および音声部14により作業者50に報知される。
【0077】
(B)ステップS110の判定結果が「はい」、およびステップS120の判定結果が「はい」の場合、作業者50により載台17から被計量物40が取り除かれたと推定される。この場合には、処理群3の次の各処理が行われる。
【0078】
ステップS310では、音声フラグFVをオンに設定する。ステップS320では、図2の基本減算式判定処理を実行して被計量物40の重量ランクを判定する。すなわち、減算式判定処理により被計量物40の重量ランクの判定が行われるとともに、その結果が表示部13および音声部14により作業者50に報知される。
【0079】
(C)ステップS110の判定結果が「はい」、ステップS120の判定結果が「いいえ」、およびステップS130の判定結果が「はい」の場合、同時複合搬送作業が行われたと推定される。この場合には、処理群4の次の各処理が行われる。
【0080】
ステップS410では、音声フラグFVをオンに設定する。ステップS420では、図7の複合減算式判定処理を実行して被計量物40(図6の被計量物40B)の重量ランクを判定する。すなわち、減算式判定処理により被計量物40Bの重量ランクの判定が行われるとともに、その結果が表示部13および音声部14により作業者50に報知される。
【0081】
(D)ステップS110の判定結果が「はい」、ステップS120の判定結果が「いいえ」、およびステップS130の判定結果が「いいえ」の場合、単位複合搬送作業が行われたと推定される。この場合には、処理群5の次の各処理が行われる。
【0082】
ステップS510では、音声フラグFVをオフに設定する。ステップS520では、図2の基本減算式判定処理を実行して被計量物40の重量ランクを判定する。すなわち、減算式判定処理により被計量物40の重量ランクの判定が行われるとともに、その結果が表示部13により作業者50に報知される。また、重量ランクの判定の結果を音声部14により報知することが禁止される。
【0083】
本実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)計量装置10は、被計量物40が載せられている載台17に別の被計量物40が追加されたとき、計量部16で計測された増加分の重量および重量ランクを報知する報知部11を備える。
【0084】
この計量装置10によれば、被計量物40が載せられている載台17に追加で被計量物40が載せられたとき、この被計量物40の重量および重量ランクが報知される。これにより、追加で被計量物40が載せられたときに重量ランクの報知を行わない計量装置と比較して、重量ランクの判定の結果がより早いタイミングで作業者に報知される。従って、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる。
【0085】
(2)計量装置10は、被計量物40の一部が載台17から取り除かれたとき、計量部16で計測された減少分の重量および重量ランクを報知部11により報知する。
この計量装置10によれば、被計量物40が載台17に載せられたときには、重量の増加分および重量ランクが報知部11により報知され、被計量物40が載台17から取り除かれたときには、重量の減少分および重量ランクが報知部11により報知される。従って、被計量物40が載台17に載せられたときのみ被計量物40の重量および重量ランクが報知される計量装置と比較して、重量ランクの判定の結果がより早いタイミングで作業者に報知される。これにより、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる。
【0086】
(3)計量装置10は、計量部16で計測された重量の変化量が判定値(最小測定量△XA)よりも大きいとき、被計量物40の重量および重量ランクを報知部11により報知する。
【0087】
この計量装置10によれば、計量部16で計測された重量の変化量が判定値(最小測定量△XA)よりも大きいとき、すなわち計量部16で計測された重量の変化量が被計量物40の搬送に基づくものと予測されるとき、被計量物40の重量および重量ランクの少なくとも一方が報知部11により報知される。従って、作業者に対して被計量物40の重量および重量ランクを適切に報知することができる。
【0088】
(4)計量装置10は、被計量物40の少なくとも一部が載台17から取り除かれたとき、計量部16で計測された減少分の重量および重量ランクを報知部11により報知する。また、計量部16で計測された重量の変化が重量の増加および減少のいずれに基づくものであるかについての情報も報知部11により報知する。
【0089】
この計量装置10によれば、被計量物40の重量および重量ランクと、被計量物40の重量および重量ランクについての判定が載台17上にある被計量物40の重量の増加および減少のいずれに基づいて行われたものであるかの情報とが併せて報知される。従って、作業者50が直前に被計量物40をどのように搬送したのかを作業者50に適切に認識させることができる。
【0090】
(5)計量装置10は、計量部16で計測された重量を記憶する記憶部15を備える。報知部11は、記憶部15に記憶されている被計量物40Aの重量に基づいて、被計量物40Aとは別の被計量物40Bの重量および重量ランクを報知する。
【0091】
この計量装置10では、計測済みの被計量物40の重量を利用して別の被計量物40の重量ランクを報知する。このため、多様な判定方法により被計量物40の重量および重量ランクの少なくとも一方を報知することができる。
【0092】
(6)計量装置10は、被計量物40の少なくとも一部が載台17から取り除かれたとき、計量部16で計測された減少分の重量および重量ランクを報知部11により報知する。また、被計量物40が載せられている載台17に別の被計量物40Aが追加されたとき(図6参照)、計量部16で計測された増加分の重量および重量ランクを報知するとともに被計量物40Aの重量を記憶部15に記憶する。また、その直後に被計量物40Aと被計量物40Bとが併せて載台17から取り除かれたとき、計量部16で計測された減少分の重量と記憶部15に記憶されている重量とに基づいて、被計量物40Bの重量および重量ランクを報知部11により報知する。
【0093】
この計量装置10によれば、載台17に被計量物40Aが載せられたとき、被計量物40Aの重量および重量ランクが報知部11により報知される。その直後に、被計量物40Aおよび被計量物40Bが併せて取り除かれたとき、被計量物40Aおよび被計量物40Bの搬送にともなう重量の減少分と、記憶部15に記憶されている被計量物40Aの重量とに基づいて、被計量物40Bの重量および重量ランクが報知部11により報知される。すなわち、作業者は被計量物40Aを計量部16に載せて重量および重量ランクを確認した後、被計量物40Aおよび被計量物40Bを併せて計量部16から取り除くことにより、被計量物40Bの重量および重量ランクを確認することができる。
【0094】
従って、被計量物40Aおよび被計量物40Bが併せて計量部16から取り除かれたときに後者の重量および重量ランクを報知する機能を有していない計量装置と比較して、作業者が被計量物40Bの重量および重量ランクをより早いタイミングで確認できる。これにより、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率をより高めることができる。
【0095】
(7)計量装置10は、被計量物40の少なくとも一部が載台17から取り除かれたとき、計量部16で計測された減少分の重量および重量ランクを報知部11により報知する。また、計量部16で計測された増加分の重量および重量ランクを報知した直後に計量部16で重量の減少が計測されたとき、計量部16で計測された減少分の重量および重量ランクを音声以外の方法により、すなわち表示部13により報知する。
【0096】
被計量物40の重量が増加したときおよび被計量物40の重量が減少したときの双方において重量および重量ランクを報知する計量装置10によれば、作業者が被計量物40を載台17に載せた後に同被計量物40を載台17から取り除く作業をしたとき、被計量物40の重量および重量ランクについて2回の判定が行われる。一方、1回目の重量および重量ランクの判定の結果が音声により出力された場合、作業者はこの時点ですでに重量および重量ランクの結果を認識しているため、2回目の重量ランクの判定の結果も音声により出力されたとすると、すでに認識している情報が再び音声として出力されたことに対して作業者が煩わしさを感じるおそれもある。
【0097】
当該計量装置10では、増加分の重量および重量ランクを報知した直後に計量部16で重量の減少が計測されたとき、減少分の重量および重量ランクを音声以外の方法により報知しているため、上述した問題の発生を抑制することができる。
【0098】
(8)計量装置10は、重量ランクの判定の結果を作業者に報知するための報知部11を含む。報知部11は、計量部16から被計量物40が取り除かれて計量部16の計量値Wが「0」となるとき、減算式判定処理により被計量物40の重量ランクの判定を行い、同判定の結果を報知部11により報知させる。
【0099】
減算式判定処理を行う計量装置として、計量部から被計量物が取り除かれて計量部の計量値が「0」となるとき、計量値が「0」である旨を報知するとともに被計量物の重量ランクの判定の結果を報知しないものも考えられる。すなわち、重量ランクの判定の結果よりも計量部上に被計量物があるかないかを優先的に報知する計量装置も考えられる。この計量装置によれば、計量部から最後の1つの被計量物が取り除かれたとき、作業者はこの被計量物の重量ランクを確認することができない。
【0100】
当該計量装置10では、計量部16から被計量物40が取り除かれて計量部16の計量値Wが「0」となるとき、重量ランクの判定の結果が報知部11により報知されるため、上述の問題の発生を抑制することができる。
【0101】
(9)計量装置10は、減算式判定処理および加算式判定処理を行う報知部11を含む。この報知部11は、被計量物40の重量ランクの判定に減算式判定処理および加算式判定処理のいずれを用いるかの選択を計量部16の計量値Wに基づいて行う。すなわち、減算式判定処理および加算式判定処理の双方を有効にした状態で計量部16の計量値Wの変化に基づいて被計量物40の重量ランクを判定する。
【0102】
この計量装置10によれば、重量ランクの確認のために被計量物40を計量部16に載せたとき、加算式判定処理により重量ランクの判定が行われる。これにより、重量ランクの判定が減算式判定処理のみにより行われる計量装置と比較して、重量ランクの判定の結果がより早いタイミングで作業者50に報知される。従って、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる。
【0103】
また、重量ランクの判定に減算式判定処理および加算式判定処理のいずれを用いるかの選択が計量部16の計量値Wに基づいて行われるため、すなわち重量ランクの判定に用いる判定処理の方式を選択する作業を作業者50がその都度行う必要がないため、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる。
【0104】
(10)従来の計量装置として、加算式判定処理のみを行う計量装置(以下、「加算式計量装置」)がある。仕分け作業にこの加算式計量装置を用いた場合には、単位搬送数量の被計量物を計量部の載台に載せる工程と、表示部の表示により被計量物の重量ランクを確認する工程と、計量部上の被計量物を対応する重量ランクの仕分箱に入れる工程とを含めて被計量物の重量ランク毎の仕分けが行われる。すなわち、単位搬送数量の被計量物を計量部に載せる作業と、単位搬送数量の被計量物を載台から取り除く作業とが繰り返し行われる。
【0105】
このように加算式計量装置は、単位搬送数量の被計量部を載台に載せ、その直後に同被計量物を載台から取り除くという作業を前提としている。このため、載台にすでに被計量物が載せられている状態で追加の被計量物が載せられたとき、追加で載せられた被計量物の重量ランクが表示部に表示されることはない。すなわち、追加の被計量物の重量および重量ランクを報知部により報知するためには、追加の被計量物が載台に載せられた時点ですでに載台上に載せられている被計量物の計量値をリセットする必要がある。しかし、上記のとおり単位搬送数量の被計量物を載台に載せた直後にこの被計量物を載台から取り除く作業を前提として構成されているため、計測済みの被計量物の計量値がリセットされることはない。従って、作業者が追加の被計量物を載台に載せても、その被計量物のみの重量および重量ランクを確認することはできない。
【0106】
当該計量装置10では、被計量物40が載せられている載台17に別の被計量物40が追加されたとき、計量部16で計測された増加分の重量および重量ランクを報知するため、加算式計量装置を用いて仕分け作業を行う場合と比較して、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる。
【0107】
(11)除外型仕分け作業によれば、仕分け作業の開始後において作業者50が単位搬送数量の被計量物40を仕分箱30に入れるまでに被計量物40に触れる回数が基本的には1回となる。このため、例えば桃などの傷みやすい被計量物40の仕分け作業を行う場合に、仕分け作業に起因した被計量物40の傷みを生じにくくすることができる。
【0108】
(第2実施形態)
図9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
この実施形態の計量装置10は、第1実施形態の計量装置10に対して次の変更を加えたものとして構成されている。すなわち、第1実施形態の「基本減算式判定処理(図2)」および「加算式判定処理(図3)」および「複合減算式判定処理(図7)」および「判定方式選択処理(図8)」に代えて、図9に示される「重量ランク判定処理」を行う。その他の点については、第1実施形態の計量装置10と同様に構成されているため、共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0109】
「重量ランク判定処理」の内容について説明する。なお、この処理は、計量装置10の電源が投入されている状態において報知部11により予め設定された所定の制御周期毎に繰り返し行われる。
【0110】
ステップS41では、同時複合搬送作業が行われたか否かを判定する。すなわち、第1実施形態の「判定方式選択処理(図8)」のステップS110〜S130と同様の判定処理を行う。ステップS110の判定結果が「はい」、ステップS120の判定結果が「いいえ」、およびステップS130の判定結果が「はい」の場合、同時複合搬送作業が行われたと推定されるため、ステップS50の処理に移行する。ステップS110〜S130の判定結果が上記以外のときには、ステップS42の処理に移行する。
【0111】
ステップS42では、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差である今回全体変化量△Wxyを算出する。算出された今回全体変化量△Wxyは今回単位計量値WIDxとしても取り扱われる。
【0112】
ステップS43では、今回全体変化量△Wxyの絶対値が予め設定された最小測定量△XAよりも大きいか否かを判定する。今回全体変化量△Wxyの絶対値が最小測定量△XAよりも大きいときには、ステップS44以降の処理を行う。今回全体変化量△Wxyの絶対値が最小測定量△XAと同じまたは最小測定量△XAよりも小さいときには、本判定処理を終了する。
【0113】
ステップS44では、今回全体変化量△Wxyの絶対値が図4のランク判定テーブルのいずれの重量ランクに属するかを判定する。すなわち、今回全体変化量△Wxyの絶対値の属する重量ランクを被計量物40の重量ランクとして選択する。
【0114】
ステップS45では、重量ランクの判定の結果を示す信号を表示部13に出力する。表示部13においてこの信号が受信されると、信号に対応した数値等が表示される。表示部13に表示された今回の重量ランクの判定結果等は、次に重量ランクの判定結果を示す信号が表示部13に入力されるまで継続して表示される。
【0115】
ステップS46では、重量ランクの判定の結果を示す信号を音声部14に出力する。音声部14においてこの信号が受信されると、信号に対応した音声が出力される。音声の出力態様としては、1回または予め設定された複数回だけ音声を出力する態様、および次に重量ランクの判定結果を示す信号が音声部14に入力されるまで音声を繰り返し出力する態様を選択することができる。
【0116】
減算式判定処理により重量ランクを判定した場合において、上記ステップS110〜S130の判定結果から単位複合搬送作業が行われたことが推定されるときには、ステップS46の処理を禁止する。
【0117】
ステップS50では、第1実施形態の「複合減算式判定処理(図7)」のステップS31〜S36と同様の処理を行う。すなわち、減算式判定処理により被計量物40Bの重量ランクを判定し、その結果を表示部13および音声部14により作業者50に報知する。
【0118】
なお、当該重量ランク判定処理において、ステップS42〜S46は基本減算式判定処理および加算式判定処理に相当する。また、ステップS50は複合減算式判定処理に相当する。
【0119】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわち被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる旨の効果、ならびに同実施形態の(2)〜(11)の効果を奏することができる。
【0120】
(第3実施形態)
図10および図11等を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
第1実施形態では、除外型仕分け作業の同時複合搬送作業として、載台17に被計量物40が載せられている状態でさらに別の被計量物40が載台17に載せられ、その後に同被計量物40が載台17から取り除かれる作業を例示した。本実施形態では、同時複合搬送作業としてさらに次のものを想定している。
【0121】
すなわち同時複合搬送作業として、除外型仕分け作業の工程D〜Fの間において、重量ランクが判定された被計量物40、およびこれとは別の被計量物40を載台17に載せることもできる。
【0122】
図10に、上記の同時複合搬送作業の工程図を示す。
図10(A)に示されるように、除外型仕分け作業の過程において、単位搬送数量の被計量物40Cが載台17から取り除かれたとき、減算式判定処理により被計量物40Cの重量ランクが判定される。
【0123】
図10(B)および(C)に示されるように、重量ランクが判定された被計量物40Cおよび、これとは別の被計量物40Dが併せて載台17に載せられる。すなわち、2組の単位搬送数量の被計量物40Cおよび被計量物40Dが載台17に載せられる。
【0124】
当該計量装置10では、同時複合搬送作業が行われたときに計量部16の計量値Wに基づいて、加算式判定処理により被計量物40Dの重量ランクを判定する。具体的には以下の手順で重量ランクの判定を行う。
【0125】
制御部12は、載台17から被計量物40Cが取り除かれて計量部16の計量値Wが減少したとき、被計量物40Cの重量ランクを判定する減算式判定処理を行う(図10(A))。その後、載台17に被計量物40Cおよび被計量物40Dが併せて載せられたとき(図10(B))、計量部16の計量値Wの増加分と被計量物40Cの計量値Wとに基づいて被計量物40Dの重量ランクを判定する複合加算式判定処理を行う(図10(C))。被計量物40Cおよび被計量物40Dは、その後に作業者50により併せて載台17から取り除かれる(図10(D))。
【0126】
この処理が行われることにより、作業者50は被計量物40Cを載台17から取り除いて重量ランクを確認した後、被計量物40Cおよび被計量物40Dを併せて載台17に載せることにより、被計量物40Dの重量ランクを確認することができる。従って、被計量物40Cおよび被計量物40Dが併せて載台17に載せられたときに後者の重量ランクの判定を行う機能を有していない計量装置と比較して、作業者50が被計量物40Dの重量ランクをより早いタイミングで確認できる。このため、被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率をより高めることができる。
【0127】
次に、報知部11により行われる各処理について説明する。
報知部11は、図2の「基本減算式判定処理」および図3の「加算式判定処理」および図7の「複合減算式判定処理」、図7の「複合減算式判定処理」と同様の内容の「複合加算式判定処理」、ならびに図8の「判定方式選択処理」に図11の処理を追加した判定方式選択処理を行う。これにより、作業者50が被計量物40を仕分箱30に入れたとき、この被計量物40の重量および重量ランクが報知部11により報知される。また、作業者50が仕分箱30から被計量物40を取り除いたとき、この被計量物40の重量および重量ランクが報知部11により報知される。
【0128】
図11を参照して、「判定方式選択処理」の内容について説明する。
ステップS110の前にステップS100の判定処理を行う。すなわち、被計量物40の重量ランクの判定を省略するための判定省略条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、前回の演算周期において用いた判定処理が複合加算式判定処理、かつ今回全体変化量△Wxyが前回全体変化量△Wyzと同じか否かを判定する。
【0129】
ステップS100の判定結果が「いいえ」の場合、ステップS110の処理を行う。
ステップS100の判定結果が「はい」の場合、前回の演算周期において図10の同時複合搬送作業のうち被計量物40Cおよび被計量物40Dを併せて載台17に載せる作業が行われ、今回の演算周期において図10の同時複合搬送作業のうち被計量物40Cおよび被計量物40Dを併せて載台17から取り除く作業が行われたと推定される。この場合には、被計量物40Cおよび被計量物40Dの重量および重量ランク等が報知部11によりすでに報知されているため、重量ランクの判定等を行うことなく本選択処理を一旦終了する。
【0130】
ステップS110の判定結果が「いいえ」の場合、ステップS140の判定処理を行う。ステップS140では、今回全体変化量△Wxyと前回全体変化量△Wyzとの差である変化量差△WZが変化量差判定値△XBよりも大きいか否かを判定する。
【0131】
ステップS110の判定結果が「いいえ」、およびステップS140の判定結果が「はい」の場合、図10の同時複合搬送作業が行われたと推定される。この場合には、ステップS610およびS620の処理を行う。
【0132】
ステップS610では、音声フラグFVをオンに設定する。ステップS620では、図7の複合減算式判定処理と同様の内容の複合加算式判定処理を実行して被計量物40(図10の被計量物40D)の重量ランクを判定する。すなわち、加算式判定処理により被計量物40Dの重量ランクの判定が行われるとともに、その結果が表示部13および音声部14により作業者50に報知される。
【0133】
図7を参照して、「複合加算式判定処理」の内容について説明する。
ステップS31では、今回全体計量値WALxと前回全体計量値WALyとの差である今回全体変化量△Wxyを算出する。なお、ここで算出された今回全体変化量△Wxyは、今回単位計量値WIDxと前回単位計量値WIDyとを合わせたものに相当する。
【0134】
ステップS32では、今回全体変化量△Wxyと前回単位計量値WIDyとの差である今回単位計量値WIDxを算出する。前回単位計量値WIDyは、図10の同時複合搬送作業において最初に載台17から取り除かれた被計量物40(図10の被計量物40C)の計量値Wを示す。
【0135】
ステップS33では、今回単位計量値WIDxの絶対値が図4のランク判定テーブルのいずれの重量ランクに属するかを判定する。すなわち、今回単位計量値WIDxの絶対値の属する重量ランクを被計量物40(図10の被計量物40D)の重量ランクとして選択する。なお、ステップS34以降も複合減算式判定処理と同様の処理を行う。
【0136】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわち被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる旨の効果、ならびに同実施形態の(2)〜(11)の効果を奏することができる。
【0137】
(第4実施形態)
図12を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
第1実施形態では、仕分け作業としての除外型仕分け作業および分割型仕分け作業に計量装置10を用いる場合を例示した。本実施形態では、仕分け作業としての追加型仕分け作業に計量装置10を用いる場合の作業態様等について説明する。
【0138】
計量装置10の周囲には、重量の計測前の被計量物40を収容するための計測前収納箱60と、重量の計測後かつ重量ランクが特定の重量ランクから外れている被計量物40を収容するための計測後収納箱70とが配置されている。また、載台17上には特定の重量ランクの被計量物40を収容するための1つの仕分箱30が配置されている。計測前収納箱60から仕分箱30に入れられた被計量物40は、表示部13に表示される重量ランクの結果に応じて仕分箱30に入れられたままの状態とされるか、または計測後収納箱70に搬送される。なお、「被計量物40の搬送」には、作業者50が被計量物40を計測前収納箱60から取り出す作業、作業者50が被計量物40を仕分箱30に入れる作業、作業者50が被計量物40を仕分箱30から取り除く作業、および作業者50が被計量物40を計測後収納箱70に入れる作業も含まれる。
【0139】
追加型仕分け作業の内容を工程順に以下に示す。
・工程A:計量装置10の電源を入れる。
・工程B:仕分けの対象となる複数の被計量物40を計測前収納箱60に入れる。
・工程C:工程Bで用意した計測前収納箱60を計量装置10の周囲に置く。
・工程D:空の仕分箱30を載台17に載せる。
・工程E:単位搬送数量の被計量物40を計測前収納箱60から仕分箱30に搬送する。
・工程F:仕分箱30に入れた被計量物40の重量ランクが表示部13に表示される。
・工程G:被計量物40の重量ランクを表示部13の表示内容により確認する。
・工程H:表示された被計量物40の重量ランクが仕分箱30の重量ランクと対応している場合、工程Cで仕分箱30に入れた被計量物40を仕分箱30に入れたままにしておく。表示された被計量物40の重量ランクが仕分箱30の重量ランクと異なる場合、工程Cで仕分箱30に入れた被計量物40を仕分箱30から取り出して計測後収納箱70に入れる。
【0140】
工程H以降は、計測前収納箱60内の被計量物40の全てが仕分箱30または計測後収納箱70に搬送されるまで、工程D〜工程Hの作業が繰り返し行われる。なお、工程Aは工程Bの後または工程Cの後または工程Dの後に行うこともできる。
【0141】
追加型仕分け作業において、被計量物40の単位搬送数量が「1」のときには、工程D〜工程Hにおいて1つの被計量物40が計量箱20から仕分箱30に搬送される。この実施形態では、単位搬送数量を「1」とした追加型仕分け作業を想定している。
【0142】
特定の重量ランクとして、例えば図4のランクAが選択されている場合、作業者は具体的に次のように各工程の作業を行う。すなわち工程Dでは、ランクAの被計量物40を入れるための空の仕分箱30を載台17に載せる。工程Eでは、1つの被計量物40を仕分箱30に入れる。工程Hでは、工程Gにおいて確認した被計量物40の重量ランクがランクAのとき、同被計量物40を仕分箱30に入れたままにしておく。一方、工程Gにおいて確認した被計量物40の重量ランクがランクA以外のとき、同被計量物40を仕分箱30から計測後収納箱70に搬送する。そして、被計量物40を含めた仕分箱30の重量が規定の範囲内の重量となるまで上記の作業を繰り返し行う。
【0143】
次に、報知部11により行われる各処理について説明する。
報知部11は、図2の「基本減算式判定処理」および図3の「加算式判定処理」および図7の「複合減算式判定処理」および図8の「判定方式選択処理」を行う。これにより、作業者50が被計量物40を仕分箱30に入れたとき、この被計量物40の重量および重量ランクが報知部11により報知される。また、作業者50が仕分箱30から被計量物40を取り除いたとき、この被計量物40の重量および重量ランクが報知部11により報知される。
【0144】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわち被計量物40を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる旨の効果、同実施形態の(2)〜(10)の効果、ならびに以下の効果を奏することができる。
【0145】
(12)追加型仕分け作業によれば、仕分け作業の開始後において作業者50が単位搬送数量の被計量物40を仕分箱30に入れるまでに被計量物40に触れる回数が基本的には1回となる。また、仕分箱30に入れた被計量物40の重量ランクが仕分箱30の重量ランクに対応しているときには、作業者50がそれ以上に被計量物40に触れる必要がない。このため、例えば桃などの傷みやすい被計量物40の仕分け作業を行う場合に、仕分け作業に起因した被計量物40の傷みを生じにくくすることができる。
【0146】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態の内容に限られるものではなく、例えば各実施形態を以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0147】
図2の「基本減算式判定処理」について、次に重量ランクの判定結果を示す信号が表示部13に入力されるまで重量ランクの判定結果等を表示する構成に代えて、重量ランクの判定結果等が表示された期間に基づいて表示を消去することもできる。すなわち、ステップS14において重量ランクの判定結果等が表示された期間が所定期間を超えたとき、重量ランクの判定結果等の表示を消去することもできる。
【0148】
図3の「加算式判定処理」について、上記「基本減算式判定処理」の変形例と同様、ステップS24において重量ランクの判定結果等が表示された期間が所定期間を超えたとき、重量ランクの判定結果等の表示を消去することもできる。
【0149】
図7の「複合減算式判定処理」について、上記「基本減算式判定処理」の変形例と同様、ステップS34において重量ランクの判定結果等が表示された期間が所定期間を超えたとき、重量ランクの判定結果等の表示を消去することもできる。
【0150】
図4のランク判定テーブルについて、重量ランクの区分を2〜4のいずれかまたは6以上のいずれかに変更することもできる。この場合には、重量ランクの区分数に応じて仕分箱30の数も変更される。
【0151】
図5の表示部13の表示内容を次の(A)〜(D)のように変更することもできる。
(A)全体重量の項目を省略する。
(B)単位重量の項目を省略する。
(C)全体重量および単位重量の項目を省略する。
(D)全体重量および重量ランクの項目を省略する。
【0152】
図5の表示部13の表示内容について、「判定方式」の項目をさらに追加することもできる。また、上記(A)〜(D)のいずれかの表示内容に対して「判定方式」の項目を追加することもできる。「判定方式」の項目には、「重量ランク」の項目に表示されている重量ランクの判定に用いられた判定方式が表示される。すなわち、重量ランクの判定に基本減算式判定処理または複合減算式判定処理が用いられたときには「減算式判定処理」が「判定方式」の項目に表示される。また、重量ランクの判定に加算式判定処理または複合加算式判定処理が用いられたときには「加算式判定処理」が「判定方式」の項目に表示される。この構成を採用する場合には、各判定処理のそれぞれに対して以下の(A)〜(C)のいずれかの変更が加えられる。
【0153】
(A)図2の「基本減算式判定処理」について、ステップS14において重量ランクの判定の結果を示す信号に併せて、減算式判定処理により被計量物40の重量ランクを判定した旨を示す信号を表示部13に出力する。
【0154】
(B)図3の「加算式判定処理」について、ステップS24において重量ランクの判定の結果を示す信号に併せて、加算式判定処理により被計量物40の重量ランクを判定した旨を示す信号を表示部13に出力する。
【0155】
(C)図7の「複合減算式判定処理」について、ステップS34において重量ランクの判定の結果を示す信号に併せて、減算式判定処理により被計量物40の重量ランクを判定した旨を示す信号を表示部13に出力する。
【0156】
図8の「判定方式選択処理」について、ステップS510において音声フラグFVをオンに設定することもできる。また、ステップS210およびステップS310およびステップS410の少なくとも1つにおいて、音声フラグFVをオフに設定することもできる。
【0157】
図2の「基本減算式判定処理」および図7の「複合減算式判定処理」の少なくとも一方を省略することもできる。これら処理の両方を省略したとき、計量装置10は、被計量物40が載せられていない載台17に被計量物40が載せられたとき、および載台17に追加で被計量物40が載せられたときの双方において、被計量物40の重量ランク等を報知する機能を備えたものとなる。
【0158】
・報知部11の構成について、表示部13および音声部14のいずれか一方を省略することもできる。表示部13を省略した場合には、図8の「判定方式選択処理」のステップS510において音声フラグFVがオンに設定される。
【0159】
(実施形態の記載に基づく付記事項)
上記実施形態に記載の事項を上位概念化した事項を以下に記載する。
(付記事項1)被計量物を載置する載台と、この載台に載せられた被計量物の重量を計測する計量部とを備える計量装置において、当該計量装置は、前記計量部の計量値が減少したときに被計量物の重量ランクを判定する減算式判定処理と、前記計量部の計量値が増加したときに被計量物の重量ランクを判定する加算式判定処理とを行う報知部を含み、この報知部は、前記減算式判定処理および前記加算式判定処理の双方を有効にした状態で前記計量部の計量値の変化に基づいて被計量物の重量ランクを判定することを特徴とする計量装置。
【0160】
この計量装置によれば、載台に被計量物が載せられているときに追加の被計量物が載台に載せられたとき、加算式判定処理により重量ランクの判定が行われる。これにより、重量ランクの判定が減算式判定処理のみにより行われる計量装置と比較して、重量ランクの判定の結果がより早いタイミングで作業者に報知される。従って、被計量物を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる。
【0161】
また、重量ランクの判定に減算式判定処理および加算式判定処理のいずれを用いるかの選択が計量部の計量値に基づいて行われるため、すなわち重量ランクの判定に用いる判定処理の方式を選択する作業を作業者がその都度行う必要がないため、被計量物を重量ランク毎に分類する作業の効率を高めることができる。
【0162】
(付記事項2)付記事項1に記載の計量装置において、前記報知部は、前記計量部の計量値が減少したときの減少分または前記計量部の計量値が増加したときの増加分が判定値よりも小さいとき、被計量物の重量ランクの判定を行わないことを特徴とする計量装置。
【0163】
この計量装置によれば、計量値の減少分または増加分が判定値よりも小さいとき、すなわち計量値の変化が被計量物の搬送とは別の理由により生じたものと推定されるとき、減算式判定処理および加算式判定処理のいずれによっても重量ランクの判定が行われない。
【0164】
(付記事項3)付記事項1または2に記載の計量装置において、前記報知部は、前記計量部から被計量物が取り除かれて前記計量部の計量値が「0」となるとき、前記減算式判定処理により被計量物の重量ランクの判定を行い、同判定の結果を報知することを特徴とする計量装置。
【符号の説明】
【0165】
10…計量装置、11…報知部、12…制御部、13…表示部、14…音声部、15…記憶部、16…計量部、17…載台、20…計量箱、30…仕分箱、40…被計量物、50…作業者、60…計測前収納箱、70…計測後収納箱。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12