(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バックストップを、外筒の一端側に内筒が摺動自在に挿入されていて、内筒が外筒内にばねの弾性力に抗して押し込まれることにより、リミットスイッチが作動するようにしてある上記外筒の反対側端部に、該外筒内に挿入する突出部を有する伸縮外筒部を伸縮可能に備え、且つ上記突出部の長さを、タワークレーン仕様からクレーン仕様に切り替えるために必要な長さに対応する長さ寸法としてあるスペーサの長さよりも長くすると共に、上記突出部を、上記外筒の反対側端部又は該反対側端部と上記スペーサに、着脱可能に固定できるようにしてなる伸縮機構を備え、更に、上記伸縮機構に、上記リミットスイッチに接続してあるバックストップ設置コネクタと、タワークレーン仕様の場合に該バックストップ設置コネクタに接続するようにする機体本体側接続のバックストップ側コネクタを備えると共に、クレーン仕様の場合に上記バックストップ設置コネクタとバックストップ側コネクタの間に接続するクレーン仕様用ワイヤーハーネスを備えるようにしてなる請求項1,2又は3記載のブームバックストップ装置。
【背景技術】
【0002】
クレーンの一例としてのクローラクレーンは、一般的に、クローラによる下部走行体上に搭載した上部旋回体の前端部にブームの基端部を上下方向へ回動可能に連結して、該ブームと上部旋回体との間に装備したブーム起伏装置によりブームを起伏できるようにしてあると共に、上記上部旋回体とブームとの間に、上記ブームの最大起伏角度を制限してブームの上部旋回体側への転倒を防止するためのバックストップ装置が装備されるようにしてある。
【0003】
上記バックストップ装置は、ブームの基端部側であるインナーブームの上端部付近に、一端を連結したバックストップと、上記インナーブームの上部旋回体への連結位置寄り位置に基端部を連結して上記バックストップの中間部分に先端部を着脱可能に連結できるようにした支持部材と、ブームの起立時に上記バックストップの自由端側となる下端部を受け止めるために上部旋回体の上面に設けたブラケットとからなる構成としてあり、上記ブームをブーム起伏装置により回動させて起立させた際に、上記バックストップの自由端側となる下端部を上部旋回体のブラケットに受けさせるようにしてブームを支持するようにしてある。これにより、上記ブームの最大起伏角度を制限するようにして、該ブームの起立角度を、クレーン仕様、タワークレーン仕様において最適な角度に設定できるようにしてある。
【0004】
ところで、クレーン仕様とタワークレーン仕様とでは、作業時のブームの最大起伏角度が異なるため、クレーン仕様とタワークレーン仕様とを1台のクレーンで兼用させる場合には、各仕様に応じて、長さの異なるバックストップを用意する必要がある。このため、現在では、バックストップに伸縮機構を設けることにより、バックストップの長さをクレーン仕様とタワークレーン仕様とで切り替えられるようにした構造のものが提案されてきている。
【0005】
このような伸縮機構付のバックストップを装備したバックストップ装置は、
図6(イ)(ロ)(ハ)に一例を示す如く、クレーンの上部旋回体1の前端部にインナーブーム2の基端部が起伏可能に取付けられている構成において、外筒4aの一端側に内筒4bが出入り自在に挿入されていて、外筒4aの他端側に伸縮機構5が備えられているバックストップ4と、該バックスストップ4の外筒4aをインナーブーム2に支持させるようにする支持部材6と、インナーブームを起立させたときに上記バックストップ4の伸縮機構5側の端部を受けるために上部旋回体1の上面に設置したブラケット7とからなる構成としてあり、上記バックストップ4の内筒4bの端部をインナーブーム2の上端部付近のブラケット3に連結して使用するようにしてある。8は内筒4bの端部に設置してあるリミットスイッチ、9は外筒4aの内筒4b側の端部に取付けてあるリミット作動用のロッド、10は外筒4aから露出している内筒4bの露出部の外側に配してあるばね、11は伸縮機構5を構成する長さ可変筒であり、外筒4aに出入自在に挿入されていて、ピン12にて外筒4aに固定させることにより、長さ可変筒11の突出長さを可変にして、バックストップ4全体の長さを切り替えるようにしてある。
【0006】
かかる構成のバックストップ装置をクレーン仕様の作業と、タワークレーン仕様の作業兼用のクローラクレーンに装備させて使用する場合、タワークレーン仕様で作業を行う場合は、クレーン仕様で作業を行う場合に比してブーム最大起伏角度が大きいので、まず、
図6(ロ)に示す如く、上記外筒4a下端部からの長さ可変筒11の突出長さを短くした状態で、上記長さ可変筒11を上記ピン12により上記外筒4aに固定し、バックストップ4の全長を短くする。次に、ブームを図示してないブーム起伏装置により回動させてブームを起立させていくと、バックストップ4の下端部となる長さ可変筒11の端部がブラケット7に接近する。更にブームを起立させていくと、バックストップ4の下端部がブラケット7の上面に沿って下方に移動して、該ブラケット7の係止溝に係止される。この状態でブームが更に起立することにより、上記バックストップ4のばね10が圧縮されながらバックストップ4は収縮することになる。しかる後、ブームを最大起伏角度まで回動させると、上記ロッド9が上記リミットスイッチ8に接触して、該リミットスイッチ8が作動し、
図6(ロ)に示す如く、ブームがタワークレーン仕様で作業を行うのに最適な角度で停止することになる。
【0007】
一方、クレーン仕様で作業を行う場合、まず、ブーム最大起伏角度がタワークレーン仕様で作業を行う場合に比して小さいので、上記外筒4aからの長さ可変筒11の突出長さを、
図6(イ)(ハ)に示す如く長くした状態で、上記長さ可変筒11を上記ピン12により上記外筒4aに固定し、バックストップ4の全長を長くする。その後、上記タワークレーン仕様での作業の場合と同様に、ブームを最大起伏角度まで回動させると、上記ロッド9の先端部が上記リミットスイッチ8に接触するので、該リミットスイッチ8が作動し、
図6(ハ)に示す如く、ブームがクレーン仕様で作業を行うのに最適な角度で停止することになる(たとえば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記特許文献1に記載されたバックストップ装置では、クレーン仕様とタワークレーン仕様とを切り替える段取り変更の際に、該各仕様に合わせて作業者がバックストップ4の全長を伸縮機構5により切り替える作業を行う必要があるが、このバックストップ4の長さの切り替え作業を行ったことを検知する手段を有していないため、バックストップ4の長さ切り替えを行うことを作業者が忘れてしまう場合がある。このため、ブームを起立させる際に、クレーン仕様で作業を行おうとしているにもかかわらず、クレーン仕様角度でブームが停止しなかったり、タワークレーン仕様で作業を行おうとしているにもかかわらず、タワークレーン仕様角度に達する前にブームの起立が停止してしまったりすることがあり、クレーン仕様とクレーンタワー仕様との切り替えがスムーズに行えない場合がある。
【0010】
そこで、本発明は、クレーン仕様とタワークレーン仕様とを切り替える際に、バックストップの全長を切り替えを忘れることがないようにするためのブームバックストップ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、伸縮機構によりクレーン仕様とタワークレーン仕様とで全長を切り替えられるようにしてある一対のバックストップを備えたブームバックストップ装置において、上記バックストップの上記伸縮機構による伸長状態への切り替えと収縮状態への切り替えとを検出するための全長切替検出装置を設置してなる構成とし、上記全長切替検出装置
は、タワークレーン仕様の場合には、クレーンの機体本体側に設置した機体設置コネクタに、バックストップ側に設置したバックストップ設置コネクタを接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記バックストップ設置コネクタに流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の収縮状態を検出するようにする伸縮機構収縮状態検出回路と、クレーン仕様の場合には、上記機体設置コネクタに、伸縮機構に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタを接続し、且つ該クレーン仕様用ワイヤーハーネスの他方のコネクタを、上記バックストップ設置コネクタに接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記一方のコネクタに流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の伸長状態を検出するようにする伸縮機構伸長状態検出回路と
、を備えてなる構成とする。
【0013】
又、伸縮機構によりクレーン仕様とタワークレーン仕様とで全長を切り替えられるようにしてある一対のバックストップを備えたブームバックストップ装置において、上記バックストップの上記伸縮機構による伸長状態への切り替えと収縮状態への切り替えとを検出するための全長切替検出装置を設置してなる構成とし、上記全長切替検出装置
は、タワークレーン仕様の場合には、クレーンの機体本体側に設置した機体設置コネクタに、ジャンクションボックスのクレーン機体側に接続したクレーン機体側コネクタを接続すると共に、該ジャンクションボックスのバックストップ側に接続したバックストップ側コネクタに、バックストップ側に設置したバックストップ設置コネクタを接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記バックストップ設置コネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の収縮状態を検出するようにする伸縮機構収縮状態検出回路と、クレーン仕様の場合には、上記機体設置コネクタに、上記クレーン機体側コネクタを接続すると共に、上記バックストップ側コネクタに、伸縮機構に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタを接続し、且つ該クレーン仕様用ワイヤーハーネスの他方のコネクタを、上記バックストップ設置コネクタに接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記一方のコネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の伸長状態を検出するようにする伸縮機構伸長状態検出回路と
、を備えてなる構成とする。
【0014】
更に
、伸縮機構によりクレーン仕様とタワークレーン仕様とで全長を切り替えられるようにしてある一対のバックストップを備えたブームバックストップ装置において、上記バックストップの上記伸縮機構による伸長状態への切り替えと収縮状態への切り替えとを検出するための全長切替検出装置を設置してなる構成とし、上記全長切替検出装置
は、タワークレーン仕様の場合には、クレーンの機体本体側に設置した機体設置コネクタに、ジャンクションボックスのクレーン機体本体側に接続したクレーン機体側コネクタを接続すると共に、該ジャンクションボックスのバックストップ側に接続した2つのバックストップ側コネクタに、バックストップ側に設置したバックストップ設置コネクタをそれぞれ接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記一方のバックストップ設置コネクタ、上記ジャンクションボックス、上記他方のバックストップ設置コネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の収縮状態を検出するようにする伸縮機構収縮状態検出回路と、クレーン仕様の場合には、上記機体設置コネクタに、上記クレーン機体側コネクタを接続すると共に、上記各バックストップ側コネクタに、伸縮機構に設けた各クレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタをそれぞれ接続し、且つ該各クレーン仕様用ワイヤーハーネスの他方のコネクタを、上記各バックストップ設置コネクタにそれぞれ接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記一方のクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタ、上記ジャンクションボックス、上記他方のクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の伸長状態を検出するようにする伸縮機構伸長状態検出回路と
、を備えてなる構成とする。
【0015】
又、
上記各構成におけるバックストップを、外筒の一端側に内筒が摺動自在に挿入されていて、内筒が外筒内にばねの弾性力に抗して押し込まれることにより、リミットスイッチが作動するようにしてある上記外筒の反対側端部に、該外筒内に挿入する突出部を有する伸縮外筒部を伸縮可能に備え、且つ上記突出部の長さを、タワークレーン仕様からクレーン仕様に切り替えるために必要な長さに対応する長さ寸法としてあるスペーサの長さよりも長くすると共に、上記突出部を、上記外筒の反対側端部又は該反対側端部と上記スペーサに、着脱可能に固定できるようにしてなる伸縮機構を備え、更に、上記伸縮機構に、上記リミットスイッチに接続してあるバックストップ設置コネクタと、タワークレーン仕様の場合に該バックストップ設置コネクタに接続するようにする機体本体側接続のバックストップ側コネクタを備えると共に、クレーン仕様の場合に上記バックストップ設置コネクタとバックストップ側コネクタの間に接続するクレーン仕様用ワイヤーハーネスを備えるようにしてなる構成とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクレーンのバックストップ装置によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(
1)
伸縮機構によりクレーン仕様とタワークレーン仕様とで全長を切り替えられるようにしてある一対のバックストップを備えたブームバックストップ装置において、上記バックストップの上記伸縮機構による伸長状態への切り替えと収縮状態への切り替えとを検出するための全長切替検出装置を設置してなる構成とし、上記全長切替検出装置
は、タワークレーン仕様の場合には、クレーンの機体本体側に設置した機体設置コネクタに、バックストップ側に設置したバックストップ設置コネクタを接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記バックストップ設置コネクタに流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の収縮状態を検出するようにする伸縮機構収縮状態検出回路と、クレーン仕様の場合には、上記機体設置コネクタに、伸縮機構に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタを接続し、且つ該クレーン仕様用ワイヤーハーネスの他方のコネクタを、上記バックストップ設置コネクタに接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記一方のコネクタに流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の伸長状態を検出するようにする伸縮機構伸長状態検出回路と
、を備えてなる構成としてあるので、
クレーン仕様とタワークレーン仕様とを切り替える際に、バックストップの全長を切り替えることを忘れてしまうのを防止することができる。よって、クレーン仕様、クレーンタワー仕様の切り替えをスムーズに行うことができる。しかも、バックストップ毎に伸縮機構の収縮状態、伸長状態を検出することができ
、バックストップ毎にバックストップの全長の切り替え忘れの有無を確認することができる。よって、全長を切り替えていないバックストップを容易に特定することができる。又、伸縮機構に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネスの接続の有無で、クレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構の伸長状態とタワークレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構の収縮状態とを検出できるようにしてあるので、伸縮機構の伸長状態、収縮状態を検出するために別途高価なセンサを設ける必要がない。
(
2)
又、伸縮機構によりクレーン仕様とタワークレーン仕様とで全長を切り替えられるようにしてある一対のバックストップを備えたブームバックストップ装置において、上記バックストップの上記伸縮機構による伸長状態への切り替えと収縮状態への切り替えとを検出するための全長切替検出装置を設置してなる構成とし、上記全長切替検出装置
は、タワークレーン仕様の場合には、クレーンの機体本体側に設置した機体設置コネクタに、ジャンクションボックスのクレーン機体側に接続したクレーン機体側コネクタを接続すると共に、該ジャンクションボックスのバックストップ側に接続したバックストップ側コネクタに、バックストップ側に設置したバックストップ設置コネクタを接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記バックストップ設置コネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の収縮状態を検出するようにする伸縮機構収縮状態検出回路と、クレーン仕様の場合には、上記機体設置コネクタに、上記クレーン機体側コネクタを接続すると共に、上記バックストップ側コネクタに、伸縮機構に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタを接続し、且つ該クレーン仕様用ワイヤーハーネスの他方のコネクタを、上記バックストップ設置コネクタに接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記一方のコネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の伸長状態を検出するようにする伸縮機構伸長状態検出回路と
、を備えてなる構成としてあるので、上記(
1)に記載したのと同様に
、バックストップ毎に伸縮機構の収縮状態、伸長状態を検出することができ
、バックストップ毎にバックストップの全長の切り替え忘れの有無を確認することができる。よって、全長を切り替えていないバックストップを容易に特定することができる。又、上記(
1)に記載したのと同様に、伸縮機構に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネスの接続の有無で、クレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構の伸長状態とタワークレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構の収縮状態とを検出できるようにしてあるので、伸縮機構の伸長状態、収縮状態を検出するために別途高価なセンサを設ける必要がない。更に、ジャンクションボックスを設けるようにしてあるので、伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を、他の電気回路と一緒にすることができる。
(
3)更に
、伸縮機構によりクレーン仕様とタワークレーン仕様とで全長を切り替えられるようにしてある一対のバックストップを備えたブームバックストップ装置において、上記バックストップの上記伸縮機構による伸長状態への切り替えと収縮状態への切り替えとを検出するための全長切替検出装置を設置してなる構成とし、上記全長切替検出装置
は、タワークレーン仕様の場合には、クレーンの機体本体側に設置した機体設置コネクタに、ジャンクションボックスのクレーン機体本体側に接続したクレーン機体側コネクタを接続すると共に、該ジャンクションボックスのバックストップ側に接続した2つのバックストップ側コネクタに、バックストップ側に設置したバックストップ設置コネクタをそれぞれ接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記一方のバックストップ設置コネクタ、上記ジャンクションボックス、上記他方のバックストップ設置コネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の収縮状態を検出するようにする伸縮機構収縮状態検出回路と、クレーン仕様の場合には、上記機体設置コネクタに、上記クレーン機体側コネクタを接続すると共に、上記各バックストップ側コネクタに、伸縮機構に設けた各クレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタをそれぞれ接続し、且つ該各クレーン仕様用ワイヤーハーネスの他方のコネクタを、上記各バックストップ設置コネクタにそれぞれ接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタを介して上記ジャンクションボックス、上記一方のクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタ、上記ジャンクションボックス、上記他方のクレーン仕様用ワイヤーハーネスの一方のコネクタ、上記ジャンクションボックスの順に流れた後、上記機体設置コネクタに戻されてアースに落ちるようにすることで、伸縮機構の伸長状態を検出するようにする伸縮機構伸長状態検出回路と
、を備えてなる構成としてあるので、一方のバックストップと他方のバックストップとで、伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を共通にすることができる。よって、伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を単純な電気回路とすることができる。又、上記(
1)に記載したのと同様に、伸縮機構に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネスの接続の有無で、クレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構の伸長状態とタワークレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構の収縮状態とを検出できるようにしてあるので、伸縮機構の伸長状態、収縮状態を検出するために別途高価なセンサを設ける必要はない。
(
4)又、バックストップを、外筒の一端側に内筒が摺動自在に挿入されていて、内筒が外筒内にばねの弾性力に抗して押し込まれることにより、リミットスイッチが作動するようにしてある上記外筒の反対側端部に、該外筒内に挿入する突出部を有する伸縮外筒部を伸縮可能に備え、且つ上記突出部の長さを、タワークレーン仕様からクレーン仕様に切り替えるために必要な長さに対応する長さ寸法としてあるスペーサの長さよりも長くすると共に、上記突出部を、上記外筒の反対側端部又は該反対側端部と上記スペーサに、着脱可能に固定できるようにしてなる伸縮機構を備え、更に、上記伸縮機構に、上記リミットスイッチに接続してあるバックストップ設置コネクタと、タワークレーン仕様の場合に該バックストップ設置コネクタに接続するようにする機体本体側接続のバックストップ側コネクタを備えると共に、クレーン仕様の場合に上記バックストップ設置コネクタとバックストップ側コネクタの間に接続するクレーン仕様用ワイヤーハーネスを備えるようにしてなる構成としてあるので、クレーン仕様とタワークレーン仕様との間でバックストップの全長を切り替える際に、上記リミットスイッチに接続したバックストップ設置コネクタからジャンクションボックスのバックストップ側コネクタ、クレーン仕様用ワイヤーハーネスの反ジャンクションボックス側コネクタを取り外すことになり、リミットスイッチの信号を断つことができる。よって、バックストップの長さの切り替え中に、ブームを誤って回動させるようなことはない。又、バックストップの全長の切り替え中にブームを回動させることができないようにする装置を別途設ける必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1及至
図5は本発明の実施の一形態を示すもので、本発明のブームバックストップ装置は、クローラクレーンの機体本体としての上部旋回体1前端部に起伏可能に装備させたブーム基端部としてのインナーブーム2に、
図6に示す場合と同様に、伸縮機構14を備えた左右一対のバックストップ13の各一端部をブラケット3を介してそれぞれ連結すると共に、該各バックストップ13の長手方向中間部分を、上記インナーブーム2の長手方向中間部分に連結した支持部材15で支持するようにし、且つ上記上部旋回体1に、バックストップ13の他端部を受けるためのブラケット16を設置するようにしてある。更に、バックストップ13を構成する外筒17に、バックストップ13の他端側に設けられる内筒18の一端側が出し入れできるように摺動自在に挿入され、内筒18の突出側端部と外筒17の内筒18側端部との間における内筒18の外周にばね19を設けると共に、上記外筒17の内筒18側端部にリミットスイッチ20を設置し、且つ上記内筒18の先端部(バックストップ13の他端側端部)に、リミットスイッチ作動用のロッド21をリミットスイッチ20に向けて設置し、インナーブーム2が起立させられて上記内筒18の先端が、上部旋回体1上のブラケット16で受けられた後もインナーブーム2が起立させられることにより内筒18がばね19の弾性力に抗して外筒17内に押し込まれたときに、ロッド21がリミットスイッチ20を作動させて、インナーブーム2の起立動作を停止させるようにしてある構成において、伸縮機構14により、クレーン仕様の場合には、それに合わせてバックストップ13の全長を長くし、又、タワークレーン仕様の場合には、それに合わせてバックストップの全長を収縮させるように切り替えできるようにし、且つこれらの切り替えを、それぞれ自動検知できるようにした構成とする。
【0020】
詳述すると、上記伸縮機構14は、上記バックストップ13のインナーブーム2側の端部を長手方向に2分割する形式で、バックストップ13の外筒17の端部17aに伸縮外筒部17bを備えて、該伸縮外筒部17bを上記外筒17の端部17aに直接に連結、あるいは、両者の間を広くして、所要長さの筒状のスペーサ22を上記外筒17の端部17aと伸縮外筒部17bとの間に狭持させて一体的に連結できるようにしてある。又、上記外筒17の端部17aと伸縮外筒部17bを、上記のように直接連結したり、あるいはスペーサ22を狭持して連結させたりすることにより、バックストップ13の全長を異なる長さに切り替えたときに、電気的に接続するようにする。そのために、上記伸縮外筒部17bは、
図2(ロ)に示す如く、一端側に、上記インナーブーム2のブラケット3に連結するためのピース17cを取り付け、他端側に、上記スペーサ22の軸心方向の寸法よりも長い寸法とし且つ外形寸法を上記外筒17及びスペーサ22の内径よりも小さい筒状突出部17dを同一軸心上に取り付け、更に、上記筒状突出部17dの伸縮外筒部17b側端部とその反対側の先端部との2箇所に、軸心方向と直交する方向に貫通する貫通孔23と24を設けた構成としてある。
【0021】
一方、上記外筒17の端部17a側には、上記伸縮外筒部17bの筒状突出部17dを外筒17内に挿入したときに該筒状突出部17dの貫通孔23に対応する貫通孔25を設け、又、上記スペーサ22の一端側には、上記筒状突出部17dの貫通孔24を上記外筒17の貫通孔25に合わせたときに上記伸縮外筒17bの筒状突出部17dに設けた貫通孔23に対応する貫通孔26を設けるようにする。
【0022】
したがって、上記外筒17の端部17aに、伸縮外筒部17bを直接連結してバックストップ13の全長を収縮させ、タワークレーン仕様とする場合は、
図2(イ)に示す如く、上記伸縮外筒17bの筒状突出部17dを外筒17内に端部17a側から挿入した後、外筒17の貫通孔25と筒状突出部17dの貫通孔23とを一致させることにより連通させ、該貫通孔23と25に固定用ピン27を通して連結するようにする。又、上記外筒17の端部17aに、スペーサ22を介して伸縮外筒部17bを連結してバックストップ13の全長を長くし、クレーン仕様とする場合は、
図3(イ)に示す如く、上記筒状突出部17dを外筒17内から所要寸法突出させて、上記筒状突出部17dの貫通孔24と外筒17の貫通孔25に固定用ピン27を通して着脱可能に連結すると共に、上記伸縮外筒部17bの筒状突出部17dの外側にスペーサ22を嵌合させて、上記筒状突出部17dの貫通孔23とスペーサ22の貫通孔26に固定用ピン27を通して着脱可能に連結するようにして、上記伸縮機構14にてバックストップ13の全長を切り替えることができるようにする。
【0023】
又、上記スペーサ22は、
図3(イ)(ロ)に示す如く、伸縮外筒部17bの筒状突出部17dの外径より大径の内径を有する2つの半円筒部材22a,22bを、ヒンジ軸22cを介し連結した2つ割り構造としてあり、上記貫通孔26は、上記半円筒部材22a,22bの径方向に貫通させて設けてある。
【0024】
更に、上記スペーサ22には、長手方向中央部分に外周方向に開口する略L形状のワイヤーハーネス用ガード28を設けて、スペーサ22に設けられるクレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bの導線部分を保護するようにしてある。
【0025】
一方、上記一対のバックストップ13の内筒18端部に取り付けられるリミットスイッチ20には、
図1(イ)(ロ)に示す如く、上記外筒17の外周に沿って該外筒17の端部17aまで延びる導線30をそれぞれ接続すると共に、該導線30に、
図2(イ)、
図3(イ)に示す如く、バックストップ設置コネクタ31a,31bをそれぞれ接続するようにしてある。該バックストップ設置コネクタ31a,31bには、タワークレーン仕様で作業を行う場合には、
図2(イ)、
図4に示す如く、ジャンクションボックス32のバックストップ側に接続したバックストップ側コネクタ32a,32bをそれぞれ接続すると共に、
図4に示す如く、該ジャンクションボックス32の上部旋回体側に接続したクレーン機体側コネクタ32cに、上部旋回体側に設置した機体設置コネクタ33を接続するようにして、
図4に示す如き電気回路を構成する。一方、クレーン仕様で作業を行う場合には、
図3(イ)、
図5に示す如く、上記各リミットスイッチ20に接続した各バックストップ設置コネクタ31a,31bに、上記スペーサ22に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bの反ジャンクションボックス側コネクタ34a,34bをそれぞれ接続すると共に、該ワイヤーハーネス29a,29bのジャンクションボックス側コネクタ35a,35bを、上記ジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32a,32bにそれぞれ接続するようにして、
図5に示す如き電気回路を構成してバックスストップの全長切替検出装置36を構成するようにしてある。
【0026】
上記各電気回路は、
図4、
図5に示す如く、一方のバックストップ13に設けたブレーク接点のリミットスイッチを備える第1のリミットスイッチ回路と、他方のバックストップ13に設けたブレーク接点のリミットスイッチを備える第2のリミットスイッチ回路と、バックストップの全長切替検出装置36としての、伸縮機構14の収縮状態(クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bを接続して無い状態)を検出する伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構14の伸長状態(クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bを接続した状態)を検出する伸縮機構伸長状態検出回路を、図示してない電源に並列に接続した構成としてある。
【0027】
上記第1のリミットスイッチ回路は、
図4、
図5に示す如く、上部旋回体1側に設けた端子Bとジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子B´とを上記機体設置コネクタ33、上記クレーン機体側コネクタ32cを介して接続する導体と、上記端子B´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子aとを接続する導体と、該端子aとバックストップ13におけるブレーク接点のリミットスイッチとを上記バックストップ側コネクタ32a、上記バックストップ設置コネクタ31a、又は、上記バックストップ側コネクタ32a、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a、上記バックストップ設置コネクタ31aを介して接続する導体と、上記ブレーク接点のリミットスイッチとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子bとを上記バックストップ設置コネクタ31a、上記バックストップ側コネクタ32a、又は、上記バックストップ設置コネクタ31a、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a、上記バックストップ側コネクタ32aを介して接続する導体と、上記端子bとジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子A´とを接続する導体と、該端子A´と上部旋回体1側に設けた端子Aとを上記クレーン機体側コネクタ32c、上記機体設置コネクタ33を介して接続する導体とを備えてなる構成としてある。
【0028】
又、上記第2のリミットスイッチ回路は、上部旋回体1側に設けた端子Cとジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子C´とを上記機体設置コネクタ33、上記クレーン機体側コネクタ32cを介して接続する導体と、上記端子C´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子a´とを接続する導体と、該端子a´とバックストップ13のブレーク接点のリミットスイッチとを上記バックストップ側コネクタ32b、上記バックストップ設置コネクタ31b、又は、上記バックストップ側コネクタ32b、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29b、上記バックストップ設置コネクタ31bを介して接続する導体と、上記ブレーク接点のリミットスイッチとジャンクションボックス32のバックストップ側の端子b´とを上記バックストップ設置コネクタ31b、上記バックストップ側コネクタ32b、又は、上記バックストップ設置コネクタ31b、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29b、上記バックストップ側コネクタ32bを介して接続する導体と、上記端子b´とジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子A´とを接続する導体と、該端子A´と上部旋回体1側に設けた端子Aとを上記クレーン機体側コネクタ32c、上記機体設置コネクタ33を介して接続する導体とを備えてなる構成としてある。
【0029】
更に、上記バックストップの全長切替検出装置36において、上記バックストップ設置コネクタ31a,31b及びジャンクションボックス32に、クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bが接続されていない場合、上記伸縮機構収縮状態検出回路は、
図4に示す如く、上部旋回体1側に設けた端子Dとジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子D´とを上記機体設置コネクタ33、上記クレーン機体側コネクタ32cを介して接続する導体と、上記端子D´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子cとを接続する導体と、該端子cとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子dとを上記バックストップ側コネクタ32a、上記バックストップ設置コネクタ31aを介して接続する導体と、上記端子dとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子c´とを接続する導体と、該端子c´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子d´とを上記バックストップ側コネクタ32b、上記バックストップ設置コネクタ31bを介して接続する導体と、上記端子d´とジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子A´とを接続する導体と、該端子A´と上部旋回体1側に設けた端子Aとを上記クレーン機体側コネクタ32c、上記機体設置コネクタ33を介して接続する導体とを備えてなる構成となるようにしてあり、上記各導体を通った電流が、上記端子Aに接続したアース(グランド)に落ちるようにすることで、上記伸縮機構14の収縮状態を検出できるようにしてある。又、上記伸縮機構伸長状態検出回路は、上部旋回体1側に設けた端子Eとジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子E´とを上記機体設置コネクタ33、上記クレーン機体側コネクタ32cを介して接続する導体と、上記端子E´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子eとを接続する導体と、該端子eとジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32aとを接続する導体と、該バックストップ側コネクタ32aとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子fとを接続する導体と、該端子fとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子e´とを接続する導体と、該端子e´とジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32bとを接続する導体と、該バックストップ側コネクタ32bとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子f´とを接続する導体と、該端子f´とジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子A´とを接続する導体と、該端子A´と上部旋回体17側に設けた端子Aとを上記クレーン機体側コネクタ32c、上記機体設置コネクタ33を介して接続する導体とを備えてなる構成となるようにしてあり、上記端子eと端子fとの間、及び、上記端子e´と端子f´との間を導体で接続されないようにすることにより、電流が上記各導体を通って端子Aに接続したアース(グランド)に落ちないようにして、上記伸縮機構14の伸長状態が検出されないようにしてある。
【0030】
一方、上記バックストップの全長切替検出装置36において、上記バックストップ設置コネクタ31a,31b及びジャンクションボックス32に、クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bが接続されている場合、上記伸縮機構収縮状態検出回路は、
図5に示す如く、上部旋回体1側に設けた端子Dとジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子D´とを上記機体設置コネクタ33、上記クレーン機体側コネクタ32cを介して接続する導体と、上記端子D´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子cとを接続する導体と、該端子cとバックストップ設置コネクタ31aとを上記バックストップ側コネクタ32a、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29aを介して接続する導体と、上記バックストップ側コネクタ32aとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子dとを接続する導体と、該端子dとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子c´とを接続する導体と、該端子c´と上記バックストップ設置コネクタ31bとを上記バックストップ側コネクタ32b、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29bを介して接続する導体と、上記バックストップ側コネクタ32bとジャンクションボックス32のバックストップ側の端子d´とを接続する導体と、該端子d´とジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子A´とを接続する導体と、該端子A´と上部旋回体1側に設けた端子Aとを上記クレーン機体側コネクタ32c、上記機体設置コネクタ33を介して接続する導体とを備えてなる構成となるようにしてあり、上記端子cと端子dとの間、及び、上記端子c´と端子d´との間を導体で接続されないようにすることにより、電流が上記各導体を通って端子Aに接続したアース(グランド)に落ちないようにして、上記伸縮機構14の収縮状態が検出されないようにしてある。又、上記伸縮機構伸長状態検出回路は、上部旋回体1側に設けた端子Eとジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子E´とを上記機体設置コネクタ33、上記クレーン機体側コネクタ32cを介して接続する導体と、該端子E´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子eとを接続する導体と、該端子eとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子fとを上記バックストップ側コネクタ32a、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29aのジャンクションボックス側コネクタ35aを介して接続する導体と、該端子fとジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子e´とを接続する導体と、該端子e´とジャンクションボックス32のバックストップ側に設けた端子f´とを上記バックストップ側コネクタ32b、上記クレーン仕様用ワイヤーハーネス29bのジャンクションボックス側コネクタ35bを介して接続する導体と、上記端子f´とジャンクションボックス32の上部旋回体側に設けた端子A´とを接続する導体と、該端子A´と上部旋回体1側に設けた端子Aとを上記クレーン機体側コネクタ32c、上記機体設置コネクタ33を介して接続する導体とを備えてなる構成になるようにしてあり、上記各導体を通った電流が、上記端子Aに接続したアース(グランド)に落ちるようにすることで、上記伸縮機構14の伸長状態を検出できるようにしてある。
【0031】
なお、図中37はスペーサ22の半円筒部材22a,22bの外周方向先端側を結合するためのピンである。
【0032】
かかる構成のブームバックストップ装置を装備したクレーンによりタワークレーン仕様で作業を行う場合は、まず、
図3(イ)に示す如き状態にある伸縮機構14の各固定用ピン27を取り外すと共に、クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bの各コネクタ34a,34b,35a,35bを、リミットスイッチ20に接続したバックストップ設置コネクタ31a,31b及びジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32a,32bから取り外す。この際、リミットスイッチ20の信号(第1のリミットスイッチ回路、第2のリミットスイッチ回路を流れる電流)が断たれてリミットスイッチ20がONになった状態になるので、図示してないブーム起伏装置の誤操作によりブームを回動させてしまうようなことはない。次に、スペーサ22の半円筒部材22a,22bを結合するピン37を取り外して、スペーサ22をヒンジ軸22cを中心に開いた状態にし、スペーサ22を伸縮外筒部17bの筒状突出部17dから取り外す。次いで、伸縮外筒部17bと外筒17とを結合する固定用ピン27を取り外した後、上記外筒17を、該外筒17の端部17a側に設けた貫通孔25が上記伸縮外筒部17bの筒状突出部17dに設けてある貫通孔23に合うまでインナーブーム上端部側に移動させて、上記筒状突出部17dを外筒17内に挿入させて、該外筒17の貫通孔25と上記伸縮外筒部17bの筒状突出部17dの貫通孔23に、上記固定用ピン27を挿通させ、上記外筒17と伸縮外筒部17bとをピン結合する。しかる後、
図2に示す如く、リミットスイッチ20に接続したバックストップ設置コネクタ31a,31bに、ジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32a,32bをそれぞれ接続することにより、
図5におけるジャンクションボックス32の上記端子cと端子d、及び、上記端子c´と端子d´がそれぞれ接続されると共に、ジャンクションボックス32の上記端子eと端子f、及び、上記端子e´と端子f´が切り離されるので、
図4に示す如き電気回路が形成されることになる。このようにして、
図4に示す如き電気回路が形成されると、伸縮機構収縮状態検出回路を、電流が、上部旋回体1側に設置した機体設置コネクタ33を介してジャンクションボックス32、一方のバックストップ13のリミットスイッチ20に接続したバックストップ設置コネクタ31a、ジャンクションボックス32、他方のバックストップ13のリミットスイッチ20に接続したバックストップ設置コネクタ31b、ジャンクションボックス32の順に流れた後、上部旋回体1側に設置した機体設置コネクタ33に戻されてアース(グランド)に落ちることになるので、伸縮機構14の収縮状態を検出することができる。
【0033】
一方、クレーン仕様で作業を行う場合、まず、
図2に示す如き状態にある伸縮機構14の固定用ピン27を取り外して、外筒17と伸縮外筒部17bとのピン結合を解除すると共に、リミットスイッチ20に接続したバックストップ設置コネクタ31a,31bから、ジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32a,32bをそれぞれ取り外す。この際、リミットスイッチ20の信号(第1のリミットスイッチ回路、第2のリミットスイッチ回路を流れる電流)が断たれてリミットスイッチ20がONになった状態になるので、図示してないブーム起伏装置の誤操作によりブームを回動させてしまうようなことはない。次に、上記外筒17を、該外筒17の端部17a側に設けた貫通孔25が上記伸縮外筒部17bの筒状突出部17dに設けてある貫通孔24に合うまで
図2(イ)で左方向に移動させ、該外筒17の貫通孔25と伸縮外筒部17bの筒状突出部17dの先端側の貫通孔24に、上記固定用ピン27を挿通させて、上記外筒17と伸縮外筒部17bとを連結する。次いで、上記スペーサ22をヒンジ軸22cを中心に開いた状態で、上記外筒17の端部17aから突出させた伸縮外筒部17bの筒状突出部17dの外周側に配置した後、該スペーサ22を閉じて、半円筒状部材22a,22bの外周方向先端側をピン37により結合すると共に、上記伸縮外筒部17bの筒状突出部17dに設けた貫通孔23とスペーサ22に設けた貫通孔26に、固定用ピン27を挿通させて、上記スペーサ22と伸縮外筒部17bとを連結し、スペーサ22を伸縮外筒部17bに保持させるようにする。しかる後、
図3(イ)に示す如く、リミットスイッチ20に接続したバックストップ設置コネクタ31a,31bに、スペーサ22に設けてあるクレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bの反ジャンクションボックス側コネクタ34a,34bをそれぞれ接続すると共に、該クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bのジャンクションボックス側コネクタ35a,35bを、ジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32a,32bにそれぞれ接続することにより、
図4におけるジャンクションボックス32の上記端子eと端子f、及び、上記端子e´と端子f´がそれぞれ接続されると共に、ジャンクションボックス32の上記端子cと端子d、及び、上記端子c´と端子d´が切り離されることになるので、
図5に示す如き電気回路が形成されることになる。このようにして、
図5に示す如き電気回路が形成されると、伸縮機構伸長状態検出回路を、電流が、上部旋回体1側に設置した機体設置コネクタ33を介して、ジャンクションボックス32、クレーン仕様用ワイヤーハーネス29aのジャンクションボックス側コネクタ35a、ジャンクションボックス32、クレーン仕様用ワイヤーハーネス29bのジャンクションボックス側コネクタ35b、ジャンクションボックス32の順に流れた後、上部旋回体1側に設置した機体設置コネクタ33に戻されてアース(グランド)に落ちることになるので、伸縮機構14の伸長状態を検出することができる。
【0034】
このように、本発明のブームバックストップ装置によれば、伸縮機構14によりクレーン仕様とタワークレーン仕様とで全長を変更できるようにしてある一対のバックストップ13における各リミットスイッチ20に、外筒17に沿って延び且つ先端にバックストップ設置コネクタ31a,31bを設けた導線30をそれぞれ接続して、該バックストップ設置コネクタ31a,31bに、タワークレーン仕様で作業を行う場合には、ジャンクションボックス32のバックストップ側に接続したバックストップ側コネクタ32a,32bをそれぞれ接続すると共に、該ジャンクションボックス32の上部旋回体側に接続したクレーン機体側コネクタ32cを、上部旋回体1側に設置した機体設置コネクタ33に接続することにより、電流が、該機体設置コネクタ33を介して上記ジャンクションボックス32、上記バックストップ設置コネクタ31a、上記ジャンクションボックス32、上記バックストップ設置コネクタ31b、上記ジャンクションボックス32の順に流れた後、上部旋回体17側に設置した機体設置コネクタ33に戻されてアース(グランド)に落ちるようにすることで、上記伸縮機構14の収縮状態を検出する伸縮機構収縮状態検出回路を形成すると共に、クレーン仕様で作業を行う場合には、上記バックストップ設置コネクタ31a,31bに、上記伸縮機構14に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bの反ジャンクションボックス側コネクタ34a,34bをそれぞれ接続すると共に、該クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bを、上記ジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32a,32bにそれぞれ接続することにより、電流が、上記機体設置コネクタ33を介して、上記ジャンクションボックス32、上記ジャンクションボックス側コネクタ35a、上記ジャンクションボックス32、上記ジャンクションボックス側コネクタ35b、上記ジャンクションボックス32の順に流れた後、上部旋回体1側に設置した機体設置コネクタ33に戻されてアース(グランド)に落ちるようにすることで、上記伸縮機構14の伸長状態を検出する伸縮機構伸長状態検出回路を形成するようにした構成としてあるので、クレーン仕様とタワークレーン仕様とを切り替える際の伸縮機構14の収縮状態、伸長状態を検出することができ、バックストップ13の全長の切り替え忘れを確実に防止することができる。よって、クレーン仕様、クレーンタワー仕様の切り替えをスムーズに行うことができる。
【0035】
又、伸縮機構14のスペーサ22に設けたクレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bの接続の有無で、クレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構14の伸長状態とタワークレーン仕様で作業を行う際の伸縮機構14の収縮状態とを検出することができるようにしてあるので、伸縮機構14の伸長状態、収縮状態を検出するために別途高価なセンサを設ける必要はない。
【0036】
更に、リミットスイッチ20の電気回路に、上記バックストップの全長切替検出装置36としての伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を組み込むことにより、クレーン仕様とタワークレーン仕様との間でバックストップ13の全長を切り替える際に、上記リミットスイッチ20に接続したバックストップ設置コネクタ31a,31bからジャンクションボックス32のバックストップ側コネクタ32a,32b、クレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bの反ジャンクションボックス側コネクタ34a,34bを取り外すようにしてあるので、リミットスイッチ20の信号を断つことができ、リミットスイッチ20をONにすることができる。よって、バックストップ13の全長の切り替える際に、図示してないブーム起伏装置の誤操作によりブームを回動させてしまうようなことはない。又、バックストップ13の全長切り替え中にブームを回動させることができないようにする装置(電気回路)を別途設ける必要がない。
【0037】
なお、上記実施の形態では、一例として、リミットスイッチ20の電気回路に、バックストップの全長切替検出装置36としての伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を設けるようにした場合について説明したが、これらの回路をリミットスイッチ20の電気回路と別にしてもよい。なお、この場合には、バックストップ13の全長切り替え中にブームを回動させることができないようにする装置(電気回路)を別途設けるようにするとよい。
【0038】
又、バックストップの全長切替検出装置36としての伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を、下端部側にリミットスイッチ20が設置されるバックストップ13に設置する場合について説明したが、これに限られるものではなく、伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を、リミットスイッチ20の電気回路と別にして、
図6(イ)(ロ)(ハ)に示した如き、上端部にリミットスイッチ8が設置されるバックストップ4に設置するようにしてもよい。
【0039】
更に、上記伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を一方のバックストップ13と他方のバックスストップ13とで共通にした場合について説明したが、これらの回路を、一方のバックストップ13と他方のバックスストップ13とで別々にしてもよい。なお、この場合には、ジャンクションボックス32を設けないで、上記機体設置コネクタ33に、タワークレーン仕様の場合にはバックストップ設置コネクタ31a,31bを、クレーン仕様の場合にはクレーン仕様用ワイヤーハーネス29a,29bのジャンクションボックス側コネクタ35a,35bを、直接又は別のワイヤーハーネスなどを介して接続するようにしてもよい。
【0040】
更に又、バックストップの全長切替検出装置36として、伸縮機構収縮状態検出回路及び伸縮機構伸長状態検出回路を設置する場合について説明したが、これに限られるものではなく、クレーン仕様の際の伸縮機構14の伸長状態とタワークレーン仕様の際の伸縮機構14の収縮状態とを検出することができれば、たとえば、伸縮外筒部17bに対する外筒17の移動に応じてワイヤの繰り出しとワイヤの巻取りを行えると共に該ワイヤの繰り出し長さを測定することができるワイヤエンコーダや、レーザー距離センサなど、任意の距離測定センサを採用するようにしてもよい。
【0041】
更に、設計条件によっては、上記伸縮機構14にスペーサ22を設けなくともよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。