特許第5737915号(P5737915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737915
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ノイズキャンセリング装置及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/178 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   G10K11/16 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-268617(P2010-268617)
(22)【出願日】2010年12月1日
(65)【公開番号】特開2012-118334(P2012-118334A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】岸田 昌弘
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−255954(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0066940(US,A1)
【文献】 特開2003−055918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00 − 3/14
G10K 11/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の騒音源からの第1伝搬音波と所定のスピーカからの第2伝搬音波とを含む伝搬音波を検出して第1電気信号に変換するマイクロホンと、
前記マイクロホンで変換された第1電気信号を取得し、前記第1電気信号と逆位相である第1逆相電気信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部で生成された前記第1逆相電気信号を、前記伝搬音波を打ち消すための第1干渉音波に変換し、所定の空間に向けて出力する第1スピーカと、
外部装置から取得される前記第2伝搬音波の音声データである第2電気信号と逆位相である第2逆相電気信号を変換した第2干渉音波を前記マイクロホンに向けて出力する第2スピーカと、
を有することを特徴とするノイズキャンセリング装置。
【請求項2】
前記マイクロホンは、前記第1スピーカが第1干渉音波を出力する側と反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のノイズキャンセリング装置。
【請求項3】
前記第1スピーカから出力される第1干渉音波を遮断するための防音壁が、前記第1スピーカと前記マイクロホンとの間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のノイズキャンセリング装置。
【請求項4】
前記所定のスピーカは、自装置のスピーカとして設けられ、前記第2伝搬音波を出力する第3スピーカであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のノイズキャンセリング装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載のノイズキャンセリング装置を搭載することを特徴とする電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズキャンセリング装置及び電気機器に関し、特に、周囲の騒音を低減して所定の音声や音楽を聴者に聴取しやすくするのに好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型音楽再生装置や携帯電話機等で音楽を聴取する際に用いるヘッドホンに、周囲の騒音を低減させるノイズキャンセリング機能(ノイズ低減機能)が搭載されている。また、現状で実用されているノイズキャンセリング機能としては、フィードバック方式が知られている。
【0003】
このフィードバック方式では、ヘッドホンの内部にマイクロホンを設置し、マイクロホンで集音した騒音の電気信号(ノイズ信号)の位相を反転した逆位相の電気信号(ノイズキャンセル信号)を生成する。そして、このノイズキャンセル信号をヘッドホンのドライバユニットに供給することにより、ヘッドホンから騒音を打ち消す干渉音波を出力させ、ユーザに聞こえる騒音を低減させることができるように構成されている。
【0004】
例えば特許文献1には、マイクロホン及びスピーカから離れた地点において、ノイズキャンセリングの効果が最大となるようなノイズキャンセルを行うことができるノイズキャンセリング装置が開示されている。当該ノイズキャンセリング装置は、マイクロホン、メインスピーカ、サブスピーカを備え、メインスピーカからノイズ信号に対して逆位相のノイズキャンセル信号を出力し、サブスピーカからノイズ信号と同位相で音圧の低い信号(正相信号)を出力する。マイクロホンにはノイズキャンセル信号とこの正相信号が入力され、ノイズキャンセル信号を正相信号により減衰させることにより、観測点で観測されるノイズキャンセル信号と同等の振幅レベルのノイズキャンセル信号がマイクロホンに到達するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−262887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば家電量販店では、その量販店自体で放送される広告のほか、顧客や店員の話し声、商品から出る音(音声や音楽)といった様々な音が混在している。商品を提供するメーカや販売会社にとって、このような状況においても、ある商品の説明音声や宣伝広告映像を興味のある顧客に聴取させることができることが望ましい。当該要望に対して、上記のノイズキャンセリング機能は有効といえる。つまり、顧客に所定の音声を聞かせるために、周囲の雑音を集音してそれを打ち消す干渉音波を発せさせて静寂状態を作り出す。
【0007】
ここで問題となるのは、図5に示すように、顧客に聴取させるために出力する音声は、キャンセリングするべき周囲の雑音を集音するマイクにも届いてしまい、結果として、顧客に向けた音声を打ち消す干渉音波が生成されて出力されてしまうということである。つまり、本来顧客に聴いてもらう音声も周囲の雑音とともにキャンセリングされてしまい、その商品の周辺に静寂状態のみが発生することになる。
【0008】
引用文献1の発明は、観測点(ユーザが音を聴取する場所)と離れた地点(スピーカ設置場所の近傍)に設けられたマイクロホンで、観測点で観測されるはずのノイズキャンセル信号と同等の振幅レベルのノイズキャンセル信号を検出できるようにするもの(いわば実際には離れた地点にあるマイクロホンを観測点に設置したかのような状況を仮想的に作り出すもの)であり、喧騒状態の中で所定の領域にいる者に対して所定の音声を聴取させたい場合には適用できない。また、マイクロホンは周囲の騒音のみならずメインスピーカからのノイズキャンセル信号も検出するように構成されているため、ハウリングが発生する可能性もある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑み、喧騒状態の中で所定の領域にいる者に対して所定の音声を聴取させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面であるノイズキャンセリング装置は、周囲の騒音源からの第1伝搬音波と所定のスピーカからの第2伝搬音波とを含む伝搬音波を検出して第1電気信号に変換するマイクロホンと、マイクロホンで変換された第1電気信号を取得し、第1電気信号と逆位相である第1逆相電気信号を生成する信号生成部と、信号生成部で生成された第1逆相電気信号を、搬音波を打ち消すための第1干渉音波に変換し、所定の空間に向けて出力する第1スピーカと、外部装置から取得される第2伝搬音波の音声データである第2電気信号と逆位相である第2逆相電気信号を変換した第2干渉音波をマイクロホンに向けて出力する第2スピーカと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、喧騒状態の中で所定の領域にいる者に対して所定の音声を聴取させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るノイズキャンセリング装置の仕組みを説明するための図である。
図2】本発明の実施形態に係るノイズキャンセリング装置の構成を示したブロック図である。
図3】本発明の実施形態における雑音及び広告音声の伝搬音波及び干渉音波の信号波形を示した略線図である。
図4】本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図である。
図5】従来のノイズキャンセリング装置の仕組みを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るノイズキャンセリング装置の仕組みを説明するための図である。従来は、図5に示すように、キャンセリングの対象としてマイクロホン110で検出する音群に、店舗宣伝用スピーカ81aや81bからの音声、店員や顧客が発する音声のほか、商品説明用スピーカ51から出力された音声が含まれてしまい、スピーカ120から商品に関する説明や宣伝広告の音声を打ち消す干渉音波が出力されて、顧客が商品説明等の音声を聴取できないという問題があった。
【0020】
本発明では、図1に示すように、マイクロホン11に対して、顧客に聴取させたい音声をキャンセリングする干渉音波を出力し、マイクロホン11の検出領域において商品説明用スピーカ51からの音声(伝搬音波)が打ち消されるようにする。そして、マイクロホン11が、商品説明用スピーカ51からの音声以外の音群を周囲の雑音として検出できるようにする。このように構成することにより、マイクロホン11の検出した伝搬音波に基づいて生成されスピーカa12から出力される干渉音波に、商品説明用スピーカ51からの商品説明の音声を打ち消すものが含まれず、例えば電気量販店等における喧騒状態の中で商品近辺にいる顧客が商品説明の音声を聴取することができる。
【0021】
また、マイクロホン11で検出した音波から生成した干渉音波が、マイクロホン11に到達して検出されないようにする。このように構成することで、ハウリングを防止することができる。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るノイズキャンセリング装置の構成を示したブロック図である。本実施形態のノイズキャンセリング装置1は、マイクロホン11、スピーカa12、スピーカb13、信号生成部15、アンプa16、アンプb17、通信部18を有して構成される。また、図1に示すように、ノイズキャンセリング装置1は、マイクロホン11とスピーカa12の間に防音壁14を設けている。
【0023】
マイクロホン11は、周囲の音源からの伝搬音波をキャンセリングの対象となる雑音として検出し、検出した音波を電気信号(音声信号)に変換する。信号生成部15は、マイクロホン11から周囲の雑音の音声信号(以下、雑音音声信号という)を入力し、この雑音音声信号と逆位相の音声信号(以下、雑音キャンセル信号という)を生成してアンプa16に出力する。アンプa16は、信号生成部15から入力した雑音キャンセル信号を増幅し、スピーカa12に出力する。スピーカa12は、アンプa16から入力した雑音キャンセル信号を音波に変換し、マイクロホン11が検出した伝搬音波を打ち消す干渉音波として出力する。
【0024】
通信部18は、商品説明用スピーカ51から出力される商品説明の音声のデータを保持する外部装置5から該音声のデータを取得し、信号生成部15に出力する。信号生成部15は、通信部18から商品説明の音声信号(以下、説明音声信号という)を入力し、この説明音声信号と逆位相の音声信号(以下、説明キャンセル信号という)を生成してアンプb17に出力する。アンプb17は、信号生成部15から入力した説明キャンセル信号を増幅し、スピーカb13に出力する。スピーカb13は、アンプb17から入力した説明キャンセル信号を音波に変換し、商品説明用スピーカ51からの伝搬音波(商品説明の音声)を打ち消す干渉音波として出力する。
【0025】
ここで、商品説明用スピーカ51や店舗宣伝用スピーカ81a、81bは、通常のスピーカであってもよいが、騒音に対する干渉音波を出力するスピーカa12と、商品説明や広告の音声に対する干渉音波を出力するスピーカb13は、超指向性スピーカであることが望ましい。静寂状態を作り出す空間としては、広範囲ではなく限られた領域であることが適当で、喧騒状態の中でその商品の説明や宣伝広告を聴取できるようにするという目的からも商品の近傍で十分である。また、商品説明や広告の音声に対する干渉音波は、マイクロホン11のみに届き、これらの音声を聴取する顧客には到達しないようにしなければならない。このため、図1に示すように、スピーカa12からの干渉音波を商品近傍の空間のみに放射し、スピーカb13からの干渉音波をマイクロホン11付近の空間のみに放射することが可能な超指向性スピーカが好適である。
【0026】
通常のスピーカは、振動板を介して直接空気等の媒体中へ可聴帯域の音波を放射し、回折効果により比較的広範囲に可聴帯域の音波を伝搬させることができる。これに対して、超指向性スピーカは、パラメトリックスピーカとも呼ばれ、可聴帯域の信号を搬送波として超音波帯域の信号に変調し、さらに特定の倍率で増幅した後、この変調された信号を超音波振動子等からなる放音部へ入力し、空気等の媒体中へ超音波帯域の音波として放射する。超指向性スピーカは、音波が伝搬する媒体の非線形性と超音波が有する指向性の高さを利用したもので、特定の空間範囲内に存在する人物にのみ可聴帯域の音波を伝えることができる。超指向性スピーカは、現在既に実用化されており、また本発明の特徴と直接関係するものではないことから、具体的な構成等については省略する。
【0027】
なお、マイクロホン11は、無指向性で、周囲360°の音を検出することが可能である。また、防音壁14は、音を反射あるいは吸収するような素材からなり、可能な限りスピーカa12からの干渉音波がマイクロホン11に到達しないようにする。
【0028】
図3は、本発明の実施形態における雑音や広告音声の伝搬音波及び干渉音波の信号波形を示した略線図である。図3(a)は、各音源からの伝搬音波のそれぞれを表したもので、図中のP波を雑音、Q波を商品説明の音声の伝搬音波とする。図5に示す従来のノイズキャンセリング装置では、マイクロホン110が検出する伝搬音波はP波とQ波であり、2波が合成されて図3(b)に示すような波形の音波が検出される。従来のノイズキャンセリング装置は、マイクロホン110で検出した伝搬音波(図3(b))の音声信号と逆位相の音声信号が生成し、干渉音波(波形は図示しないが、図3(b)と180°反対のもの)としてスピーカ120から出力する。このため、P波のみならずQ波も打ち消してしまう。
【0029】
本実施形態のノイズキャンセリング装置は、スピーカb13から図3(d)に示す波形の干渉音波(Q’波)を出力する。図3(d)に示すQ’波は、商品説明用スピーカ51からの伝搬音波(Q波)と逆位相でQ波を打ち消す干渉音波である。図3(b)の伝搬音波(P波+Q波)と図3(d)の干渉音波(Q’波)が合成されて、図3(a)に示すP波のみが残り、マイクロホン11においてP波(店舗広告用スピーカ81a、81bからの伝搬音波)のみが検出されることになる。そして、マイクロホン11で検出したP波から逆位相のP’波(図3(c))の音声信号を信号生成部15で生成してスピーカa12から出力する。
【0030】
商品の近傍にいる顧客には、図3(b)の伝搬音波(P波+Q波)とスピーカ12aから出力された干渉音波(図3(c)のP’波)が到達し、図3(a)に示すQ波のみが残り、顧客においてQ波(商品説明用スピーカ51からの伝搬音波)が聴取されることになる。
【0031】
騒音元の店舗広告用スピーカ81a(あるいは81b)と騒音の干渉音波を出力するスピーカa12とが比較的近くに配置されている場合、顧客までの距離もほぼ同等といえ、タイムラグはほとんど生じないと考えることができる。一方、双方のスピーカが比較的遠くに配置されている場合、多少のタイムラグは生じる。
【0032】
例えば顧客とスピーカa12との距離が2m、顧客と店舗広告用スピーカ81aとの距離が10mである場合、店舗広告用スピーカ81aからの伝搬音波が顧客に届くまでの時間は、顧客と店舗広告用スピーカ81aとの距離10mを音速(20℃の気温で考えたとき343.26m/s)で除したものである。また、スピーカa12からの干渉音波が顧客に届くまでの時間は、店舗広告用スピーカ81aとスピーカa12との距離(例えば三角関数で算出可能)と、スピーカaと顧客との距離2mの合計を上記音速で除したものである(スピーカa12の近くに配置されたマイクロホン11に店舗広告用スピーカ81aからの伝搬音波が到達して、干渉音波が生成されスピーカa12から出力される)。これらの差は5.2msとなり、これがタイムラグ(位相差)となる。この5.2msは、位相差として微少な範囲であるため、店舗広告用スピーカ81aからの伝搬音波はスピーカa12からの干渉音波により打ち消され、商品広告用スピーカ51からの商品説明の音声が聴取できる程度に広告音声は消音されると考えられる。
【0033】
上記の10mという数値は、店舗内での音を考慮して遅延が大きくなるであろう数値として考えたものである。しかし、逆に言えば、店舗広告用スピーカ81は遠くに配置されるほど、該スピーカからの音が顧客とスピーカa12にほぼ同時に到達することになるので、店舗広告用スピーカ81aからの伝搬音波が顧客に届くまでの時間と、スピーカa12からの干渉音波が顧客に届くまでの時間は、結局のところ、顧客とスピーカa12との距離2mを上記音速で除した5.8msとなる。いずれにせよ、位相差として微少な範囲といえ、上記と同様に広告音声は消音されると考えられる。
【0034】
本実施形態のノイズキャンセリング装置は、例えば商品の上部3〜4m(顧客の頭上2m程度)の位置に配置してもよい。これは、商品の陳列状態を考えたとき、上部にあった方が各商品の前にスポットを作り出すことができるためである。もちろん、干渉音波を出力するスピーカは顧客に近い方がノイズキャンセルに遅延が起きないことから、ノイズキャンセリング装置を商品に併設したり、あるいは商品に搭載したりすることも考えられる。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図で、上述したノイズキャンセリング装置を搭載したものである。本実施形態の情報処理装置2は、例えばPC等で、マイクロホン21、スピーカa22、スピーカb23、信号生成部25、アンプa26、アンプb27、音声データ保存部31、音声信号取得部32、アンプc33、スピーカc34を有して構成される。マイクロホン21、スピーカa22、スピーカb23、信号生成部25、アンプa26、アンプb27は、図2のノイズキャンセリング装置1の各部と同等の機能を持つため説明を省略する。
【0036】
情報処理装置2は、自機の説明や宣伝広告の音声あるいは任意のコンテンツ(音楽や映画等)を出力する機能を備える。音声データ保存部31は、これらの音声データを保持する。音声信号取得部32は、音声データ保存部31から再生してスピーカ出力する音声データを取得し、音声信号として信号生成部25及びアンプc33に出力する。信号生成部25に出力するのは、スピーカb23から干渉音波として出力するためのキャンセル信号を信号生成部25に生成させるためである。アンプc33は、音声信号取得部32から入力した音声信号を増幅し、スピーカc34に出力する。スピーカc34は、アンプc33から入力した音声信号を音波に変換し、自機の説明や宣伝広告の音声あるいは任意のコンテンツとして出力する。
【0037】
図4の情報処理装置2は、自機の説明や宣伝広告の音声あるいは任意のコンテンツを出力するスピーカc34と、それらを打ち消す干渉音波を出力するスピーカb23をともに備えるが、マイクロホン21をスピーカa22の出力が届かない位置に設け、またスピーカb23を出力が顧客に届かずかつマイクロホン21に届く位置に設ける等、マイクロホン21、スピーカa22、スピーカb23の配置を工夫することで、図1を示して述べた本発明の特有の構成を持たせる。
【0038】
すなわち、マイクロホン21に対して、顧客に聴取させたい音声をキャンセリングする干渉音波をスピーカb23から出力し、マイクロホン11の検出領域においてスピーカc34からの音声(伝搬音波)が打ち消されるようにする。そして、マイクロホン21が、スピーカc34からの音声以外の音群を周囲の雑音として検出できるようにする。また、スピーカa22から出力される干渉音波がマイクロホン21に到達して検出されないようにし、ハウリングを防止する。
【0039】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、上記ノイズキャンセリング装置を搭載した装置としては、上記の情報処理装置のほか、テレビジョン装置、オーディオコンポ等の電気機器が挙げられる。
【符号の説明】
【0040】
1 ノイズキャンセリング装置
2 情報処理装置
5 外部装置
11,21,120 マイクロホン
12,22 スピーカa
13,23 スピーカb
14 防音壁
15,25 信号生成部
16,26 アンプa
17,27 アンプb
18 通信部
31 音声データ保存部
32 音声信号取得部
33 アンプc
34 スピーカc
51 商品説明用スピーカ
81 店舗宣伝用スピーカ
110 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5